第一〇章 霊界土産〔一三四六〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻
篇:第2篇 文明盲者
よみ(新仮名遣い):ぶんめいもうじゃ
章:第10章 霊界土産
よみ(新仮名遣い):れいかいみやげ
通し章番号:1346
口述日:1923(大正12)年01月30日(旧12月14日)
口述場所:
筆録者:松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:1925(大正14)年1月28日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:小北山の神殿では、文助の蘇生を祝って盛大な祭典を行い、直会の宴を張った。役員信者一同は、歓喜の神酒に酔った。
文助はそろそろ歌いだした。自分が仮死の間に霊界にて見聞したことを交えて将来の自分の信仰の方針について略述し、かつ親切な介抱に預かったことを感謝した。松姫は文助の信仰の向上を讃える道歌を歌った。
一方イクは、改めて初稚姫を追ってハルナの都までも行く覚悟を歌に歌い、小北山の役員信者一同に感謝と別れの辞を述べた。松姫は言葉を尽くして出立を思い止めようとしたが、彼らのはやる心を翻すことはできなかった。
イクとサールは小北山を拝礼し、怪しの森を抜けて浮木ケ原を目指す道を進んで行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:2023-11-21 20:48:00
OBC :rm5210
愛善世界社版:144頁
八幡書店版:第9輯 431頁
修補版:
校定版:150頁
普及版:64頁
初版:
ページ備考:
001 小北山の神殿にては、002文助が蘇生したる其祝意を表する為に、003盛大なる祭典を行ひ、004且直会の宴を張つた。005松姫を始め其他一般の役員信者は大広前に集まつて、006文助が神より与へられたる広大無辺の神徳にあやからむと参籠せる信者は各宿舎より来つて歓喜の神酒に酔うた。007文助はソロソロ歌ひ出した。
008文助『無限絶対無始無終 009生死の上に超越し
010此世を造り給ひたる 011皇大神の神徳に
012生れ出でたる人草は 013何れも神の子神の宮
014永遠無窮の生命を 015保ちて顕幽両界に
016生き通し行く尊さよ
020知らず知らずに突入し 021山河草木悉く
023大地の上を歩みつつ
024吾身の嘗て死去したる
026之を思へば人の身は
028不老不死にて永遠に 029神の御国に栄え行く
032一度神の御国へ
035容易に忘るることを得ず
036実にも楽しき霊界の 037光は今に現然し
038宛然高天の神界に 039身をおく如き心地なり
040松姫司や其他の 041百の司の介抱に
042再び現世に立帰り 043四方の有様伺へば
044実にも此世は娑婆世界 045罪に汚れし状態に
046彷徨ふものとの感深し
048目かひの見えぬ吾々も
050残る隈なく目撃し 051殊更気分も麗しく
052身も軽々と道を行く 053地上の世界を行く如き
054苦痛は少しも知らざりき 055現界人は気を急ぎ
056足を早めて道行けば 057必ず呼吸切迫し
058心臓の鼓動忽ちに
060喉は渇き汗は出で
063旅行は之に相反し
064何の苦もなく易々と
066実にも此世は苦の世界 067厭離穢土ぞと言ふことは
068只聖人の方便と
071抑も神の坐す国は
072恨み嫉みも醜業も
074愛と善との徳に充ち 075信と真との光明に
076輝き渡り日限も 077土地さへ知らぬ長閑なる
078常世の春の如くなり 079之を思へば大神の
080仁慈無限の御経綸
082此大前に参集ふ 083信徒等よ司等
084人の此世にある時は 085時世時節に従ひて
087五倫五常の大道を
088明め悟り実行し 089最第一の神の国
090開き給ひし大神の 091其神格を理解して
092善と真との徳を積み
094智慧証覚に充たされて 095仮の浮世の生涯を
096完全無欠に相送り 097凡ての罪を大神の
098御前にひれ伏し悉く 099悔い改めて天国の
100門戸を開く準備をば 101此文助は云ふも更
102皆さま心を一つにし
104神の御国の御為に 105吾三五の大道を
107具備させ給へと大前に
108祈れよ祈れ百の人
110至りて親しく見聞し
112黄泉路帰りの礼祭に 113集ひ給ひし人々に
117朝日は照るとも曇るとも
119仮令大地は沈むとも
120少しも動かぬ神の国 121常住不断の信楽に
124省み給へ百の人
126此神国に生れたる
131神の御前に文助が
133此処に謹み述べ終る
135限りも知らぬ神の恩
136果てしも知らぬ御稜威』
137と歌ひ了り、138一同に向つて自分が仮死中種々親切な介抱に預かつたことを感謝し、139且将来の自分の神に仕ふる方針に就いて略叙し自席に着いた。140次に松姫は歌ふ。
141松姫『高姫司の開きたる
143支離滅裂の教義をば 144至善至美なる大道と
148照らされ給ひ大神の
149誠の心を理解して 150朝な夕なに神殿に
152誠の信者となり給ふ
154惜しみ給ひて神々は
155再び此世に追ひ返し
157其神業を完成し 158神の御前に復命
159申させ給はむ御心 160仰ぐも畏き次第なり
161此世を造りし神直日 162心も広き大直日
163只何事も人の世は 164直日に見直せ聞直せ
166善言美詞の詔
167深遠微妙の真理をば 168含ませ給ふ有難さ
169初公、徳公両人は
171醜の曲津に欺かれ 172朝な夕なに大神に
174此真人を打擲し
175仮死状態に至るまで
177其真相を思惟すれば 178之も全く神界の
179不可知的なる御経綸 180文助さまは其為に
183再び此世に帰り来て 184世人を導き給ふべく
185計らひ給ひし事ならむ
187只何事も神様に
189何程人が利口でも 190物質界に住む上は
191幽玄微妙の神界の 192深き真理は分らない
193卑しき弱き人の身で 194何程真理を究めむと
199俄に向上せし如く 200神の御国の有様を
202歓喜の心に充たされぬ
205すべての執着排除して
207許させ給へ真人よ 208朝日は照るとも曇るとも
210少しも動かぬ神の国
215吾等は手段なきものぞ
217天国浄土や地獄道
222右と左に真人が
224其真相を詳細に
225教へ給ひし有難さ
227此世に命のある限り 228神に親しみ神を愛し
229善と真との徳を積み 230生きて此世の範となり
231死しては神の御使と
235処世を誤ること勿れ
237神の御前に此度の 238恵を感謝し奉る』
239 イクは立上つて歌ひ出した。
240イク『ああ有難し有難し 241思ひ掛なき神界の
242深遠微妙の経綸を
244説き示されし吾々は 245此世の中の人として
248松姫さまの御教訓
250心は勇み腕は鳴り
253俄に湧き出し全身の
254血は漲りて歓楽の
259夜前の騒ぎを他所にして
260出で行きますとは何事ぞ
263他所に見すてて帰るとは
264合点の行かぬ節がある
266向ふの見えぬ愚か者 267智慧証覚に秀れたる
268愛と信との善徳を 269身に帯び給ひし姫君の
270心は如何で吾々の 271小才浅智の知悉する
273此上何にも言ひませぬ
275初心を貫徹せにやならぬ
277仮令地獄に堕つるとも
278神の御為世の為に 279尽す誠の益良夫を
281松姫様よお菊さま
282其外百の司たち
284之より私は小北山 285神の御前に拝礼し
286膝の栗毛に鞭うつて 287特急列車に身を任せ
288矢を射る如く御後を
290我慢の強い男だと 291必ず笑うて下さるな
292バラモン軍の猪突武者
294今迄言はれて来たけれど 295夜光の玉を保護しつつ
296常世の暗を踏み分けて 297浮き瀬に悩む人々を
299舎身の活動継続し
300首尾よくハルナに立向ひ
302斎苑の館に復命 303申さむ折は小北山
305山と積れる御話を
306皆々さまの御前に
308今より楽しみ待たれける
311と歌ひ了り、312サールを促して早くも此場を立出で、313初稚姫の後を追はむとした。314松姫は百方言葉を尽して、315イク、316サールの出立を止むべく、317初稚姫の意を体して説き諭した。318されどはやり男の猪武者、319いかでか其言葉に耳を傾くべき。320サールと共に小北山を拝礼し、321善一筋の心を渡す一本橋、322二人の身なりも怪シの森、323運ぶ歩みも浮木ケ原を指して進み行く。
324(大正一二・一・三〇 旧一一・一二・一四 松村真澄録)