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天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
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第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第52巻(卯の巻)
序文
総説代用
第1篇 鶴首専念
01 真と偽
〔1337〕
02 哀別の歌
〔1338〕
03 楽屋内
〔1339〕
04 俄狂言
〔1340〕
05 森の怪
〔1341〕
06 梟の笑
〔1342〕
第2篇 文明盲者
07 玉返志
〔1343〕
08 巡拝
〔1344〕
09 黄泉帰
〔1345〕
10 霊界土産
〔1346〕
11 千代の菊
〔1347〕
第3篇 衡平無死
12 盲縞
〔1348〕
13 黒長姫
〔1349〕
14 天賊
〔1350〕
15 千引岩
〔1351〕
16 水車
〔1352〕
17 飴屋
〔1353〕
第4篇 怪妖蟠離
18 臭風
〔1354〕
19 屁口垂
〔1355〕
20 険学
〔1356〕
21 狸妻
〔1357〕
22 空走
〔1358〕
第5篇 洗判無料
23 盲動
〔1359〕
24 応対盗
〔1360〕
25 恋愛観
〔1361〕
26 姑根性
〔1362〕
27 胎蔵
〔1363〕
余白歌
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第52巻
> 第5篇 洗判無料 > 第23章 盲動
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第二三章
盲動
(
まうどう
)
〔一三五九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻
篇:
第5篇 洗判無料
よみ(新仮名遣い):
せんばんむりょう
章:
第23章 盲動
よみ(新仮名遣い):
もうどう
通し章番号:
1359
口述日:
1923(大正12)年02月10日(旧12月25日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年1月28日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
文助は、秋の時雨の季節を現した八衢の関所で、路傍の石に腰かけて門を通る数多の精霊の審判を聞いていた。
高姫は妖幻坊にさらわれて空中をかけり、途中で取り離されて空中から転落し、デカタン高原のある地点の砂原に気絶していた。その間に精霊が八衢にやってきた。高姫はあたりかまわず日の出神の生き宮を振り回し、自分は時置師神・杢助の妻だと威張り散らしている。
八衢の守衛は杢助は斎苑の館でずっと総務を取っていると高姫をたしなめるが、高姫はまったく聞かず、守衛たちを嘲弄する。文助は高姫に声をかけ、幽冥界の役人に乱暴な言葉を使わないように注意するが、高姫の態度は変わらない。
そこへ、伊吹戸主神様に御用がある本物の杢助が天の一方からやってきた。高姫は杢助に一緒に帰ろうと声をかけるが、本物の杢助は、高姫が妖幻坊という妖怪にだまされていること、自分は高姫と祠の森で会っていないし曲輪城も知らない、と事実を説いて聞かせた。
高姫は杢助の話を信じず、門内に入ろうとする杢助にすがって泣き喚いた。杢助は高姫をポンとけって街道に転げさせ、文助を招いて門内に入って行った。
高姫は八衢の街道に転がりながら、自分は常世姫の再来、高宮姫だと大音声に呼ばわっている。この声をききつけて、八衢に来る精霊が集まってきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-12-20 17:40:45
OBC :
rm5223
愛善世界社版:
269頁
八幡書店版:
第9輯 476頁
修補版:
校定版:
277頁
普及版:
120頁
初版:
ページ備考:
001
一
(
ひと
)
しきり
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
るかと
思
(
おも
)
へば、
002
又
(
また
)
一
(
ひと
)
しきり
晴
(
は
)
れわたる
秋
(
あき
)
の
時雨
(
しぐれ
)
の
季節
(
きせつ
)
を
現
(
あら
)
はした
八衢
(
やちまた
)
の
関所
(
せきしよ
)
に、
003
文助
(
ぶんすけ
)
はロハ
台
(
だい
)
に
腰
(
こし
)
打
(
う
)
ちかけて、
004
此
(
この
)
関門
(
くわんもん
)
を
通
(
とほ
)
る
数多
(
あまた
)
の
精霊
(
せいれい
)
の
審判
(
しんぱん
)
を、
005
胸
(
むね
)
を
轟
(
とどろ
)
かせながら
聞
(
き
)
いてゐた。
006
そこへやつて
来
(
き
)
たのは、
007
顔
(
かほ
)
に
白粉
(
おしろい
)
をベツタリとつけた、
008
高慢
(
かうまん
)
さうな
面付
(
つらつき
)
をした
婆
(
ばば
)
アである。
009
文助
(
ぶんすけ
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
な
奴
(
やつ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たものだなア、
010
さぞ
彼奴
(
あいつ
)
の
審判
(
しんぱん
)
は
面白
(
おもしろ
)
いだらうと、
011
稍
(
やや
)
興味
(
きようみ
)
を
以
(
もつ
)
て
待
(
ま
)
つてゐた。
012
これは
肉体
(
にくたい
)
のある
精霊
(
せいれい
)
とみえて、
013
稍
(
やや
)
俯
(
うつむ
)
いてヒヨロリ ヒヨロリとやつて
来
(
く
)
る。
014
関所
(
せきしよ
)
の
門
(
もん
)
にトンと
突
(
つ
)
き
当
(
あた
)
り、
015
額
(
ひたひ
)
を
打
(
う
)
ち、
016
婆(高姫)
『アイタタ、
017
こんな
所
(
ところ
)
に、
018
断
(
ことわ
)
りもなく
赤門
(
あかもん
)
を
拵
(
こしら
)
へ、
019
通行人
(
つうかうにん
)
の
頭
(
あたま
)
を
打
(
う
)
たすとは
以
(
もつ
)
ての
外
(
ほか
)
だ。
020
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
さまがお
通
(
とほ
)
り
遊
(
あそ
)
ばすのに、
021
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
不都合
(
ふつがふ
)
だ……ヤアお
前
(
まへ
)
はここの
門番
(
もんばん
)
と
見
(
み
)
えるが、
022
なぜ
職務
(
しよくむ
)
を
大事
(
だいじ
)
に
致
(
いた
)
さぬのかい。
023
こんな
怠惰
(
たいだ
)
な
事
(
こと
)
をして
居
(
ゐ
)
ると、
024
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しませぬぞや』
025
とエライ
権幕
(
けんまく
)
である。
026
文助
(
ぶんすけ
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
といふ
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いて、
027
よくよく
透
(
すか
)
しみれば
高姫
(
たかひめ
)
であつた。
028
高姫
(
たかひめ
)
は
妖幻坊
(
えうげんばう
)
にかつ
攫
(
さら
)
はれ、
029
空中
(
くうちう
)
を
翔
(
かけ
)
り
行
(
ゆ
)
く
途中
(
とちう
)
に
於
(
おい
)
て、
030
デカタン
高原
(
かうげん
)
の
或
(
ある
)
地点
(
ちてん
)
で
妖幻坊
(
えうげんばう
)
に
取放
(
とりはな
)
され、
031
空中
(
くうちう
)
より
砂
(
すな
)
つ
原
(
ぱら
)
に
顛落
(
てんらく
)
して
気絶
(
きぜつ
)
してゐた。
032
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
に
精霊
(
せいれい
)
が
此処
(
ここ
)
へ
迷
(
まよ
)
うて
来
(
き
)
たのである。
033
されど
高姫
(
たかひめ
)
は
自分
(
じぶん
)
が
正気
(
しやうき
)
を
失
(
うしな
)
つた
事
(
こと
)
も、
034
霊界
(
れいかい
)
へ
来
(
き
)
てゐることも
少
(
すこ
)
しも
気
(
き
)
がつかず、
035
依然
(
いぜん
)
として
現界
(
げんかい
)
を
歩
(
ある
)
いてゐるやうな
心持
(
こころもち
)
であつた。
036
赤色
(
あかいろ
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
は
大喝
(
たいかつ
)
一声
(
いつせい
)
、
037
赤の守衛
『
高姫
(
たかひめ
)
、
038
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
て、
039
取調
(
とりしら
)
べることがある』
040
と
呶鳴
(
どな
)
りつけた。
041
高姫
『ヘン
門番
(
もんばん
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
042
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
を
取調
(
とりしら
)
べるとは
片腹痛
(
かたはらいた
)
いワ。
043
それよりも
此方
(
こちら
)
から
取調
(
とりしら
)
べにやならぬ
事
(
こと
)
がある。
044
三五教
(
あななひけう
)
の
三羽烏
(
さんばがらす
)
の
一
(
いち
)
人
(
にん
)
、
045
時置師
(
ときおかし
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
何処
(
どこ
)
へ
隠
(
かく
)
したか。
046
サ、
047
キツパリと
白状
(
はくじやう
)
しなさい。
048
グヅグヅ
致
(
いた
)
すと、
049
天
(
あめ
)
の
八衢
(
やちまた
)
はまだおろか、
050
地獄
(
ぢごく
)
の
釜
(
かま
)
のドン
底
(
ぞこ
)
へ
堕
(
おと
)
しますぞや』
051
赤の守衛
『
其
(
その
)
方
(
はう
)
はデカタン
高原
(
かうげん
)
に
於
(
おい
)
て、
052
妖幻坊
(
えうげんばう
)
といふ
悪魔
(
あくま
)
のために
空中
(
くうちう
)
から
取落
(
とりおと
)
され、
053
気絶
(
きぜつ
)
を
致
(
いた
)
して
此処
(
ここ
)
へやつて
来
(
き
)
た
亡者
(
まうじや
)
であるぞ。
054
最早
(
もはや
)
此処
(
ここ
)
へ
来
(
く
)
れば
冥土
(
めいど
)
の
規則
(
きそく
)
に
従
(
したが
)
はねばならぬ。
055
これから
其
(
その
)
方
(
はう
)
の
罪状
(
ざいじやう
)
を
調
(
しら
)
べるに
依
(
よ
)
つて、
056
包
(
つつ
)
まず
隠
(
かく
)
さず
申開
(
まをしひら
)
きを
致
(
いた
)
したがよからうぞ』
057
高姫
『オホホホホ、
058
あのマア
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい
顔
(
かほ
)
わいの、
059
一石
(
いつこく
)
の
米
(
こめ
)
が
百
(
ひやく
)
両
(
りやう
)
するやうな、
060
其
(
その
)
しやつ
面
(
つら
)
は
何
(
なん
)
だい、
061
お
前
(
まへ
)
も
余程
(
よほど
)
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
生活難
(
せいくわつなん
)
に
襲
(
おそ
)
はれて、
062
会計
(
くわいけい
)
が
辛
(
つら
)
いと
見
(
み
)
える。
063
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
さまに
従
(
したが
)
うて
来
(
く
)
れば、
064
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
不景気
(
ふけいき
)
もなければ
心配
(
しんぱい
)
もいりませぬ。
065
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
救
(
すく
)
ひ
主
(
ぬし
)
、
066
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
高姫
(
たかひめ
)
さまで
厶
(
ござ
)
るぞや。
067
さてもさても、
068
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
可哀相
(
かあいさう
)
な
人民
(
じんみん
)
が
沢山
(
たくさん
)
あるものだなア。
069
これだから
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
現界
(
げんかい
)
、
070
幽界
(
いうかい
)
、
071
神界
(
しんかい
)
の
立直
(
たてなほ
)
しを
致
(
いた
)
さねば、
072
五六七
(
みろく
)
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
は
致
(
いた
)
さぬと
仰有
(
おつしや
)
るのだ。
073
あああ、
074
世界中
(
せかいぢう
)
の
人民
(
じんみん
)
を
助
(
たす
)
けねばならぬ
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
も、
075
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
肉宮
(
にくみや
)
も、
076
並大抵
(
なみたいてい
)
ぢやありませぬワイな、
077
ああ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
078
赤
(
あか
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
は、
079
余
(
あま
)
りきつい
高姫
(
たかひめ
)
の
脱線振
(
だつせんぶり
)
に、
080
取調
(
とりしら
)
べる
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
081
又
(
また
)
生死簿
(
せいしぼ
)
には
死
(
し
)
んでゐない、
082
近
(
ちか
)
き
中
(
うち
)
に
現界
(
げんかい
)
へ
帰
(
かへ
)
る
奴
(
やつ
)
だから、
083
本真剣
(
ほんしんけん
)
に
調
(
しら
)
べる
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
084
いい
加減
(
かげん
)
にあしらつて
追
(
お
)
ひ
帰
(
かへ
)
さむものと
思
(
おも
)
ひながら、
085
赤の守衛
『オイ、
086
高姫
(
たかひめ
)
、
087
お
前
(
まへ
)
はここを
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
てるか』
088
高姫
『ヘン、
089
釈迦
(
しやか
)
に
経
(
きやう
)
を
説
(
と
)
くやうな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふものぢやありませぬぞや。
090
馬鹿
(
ばか
)
にするにも
程
(
ほど
)
がある。
091
此処
(
ここ
)
は
大門
(
おほもん
)
神社
(
じんしや
)
の
一
(
いち
)
里
(
り
)
許
(
ばか
)
り
手前
(
てまへ
)
ぢやないか。
092
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
の
厄雑神
(
やくざがみ
)
の
眷属
(
けんぞく
)
だらう。
093
こんな
所
(
ところ
)
にしやちこ
張
(
ば
)
つて
居
(
を
)
るよりも、
094
此
(
この
)
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
の
肉宮
(
にくみや
)
の
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
いて、
095
一度
(
いちど
)
大門開
(
おほもんびら
)
きの
御用
(
ごよう
)
に
立
(
た
)
つたら
何
(
ど
)
うだ。
096
結構
(
けつこう
)
な
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
かしてやるぞや』
097
文助
(
ぶんすけ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
袖
(
そで
)
を
引
(
ひ
)
いて、
098
文助
『モシモシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
099
珍
(
めづら
)
しい
所
(
ところ
)
でお
目
(
め
)
にかかりました。
100
私
(
わたし
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
文助
(
ぶんすけ
)
で
厶
(
ござ
)
いますよ』
101
高姫
『ヤア、
102
最前
(
さいぜん
)
から
怪体
(
けつたい
)
な
男
(
をとこ
)
が
居
(
ゐ
)
ると
思
(
おも
)
うたら
文助
(
ぶんすけ
)
だな。
103
ても
扨
(
さ
)
ても
淋
(
さび
)
しさうな
面
(
つら
)
をして、
104
こんな
所
(
ところ
)
に
何
(
なに
)
をしてゐるのだい。
105
サ、
106
文助
(
ぶんすけ
)
どん、
107
高姫
(
たかひめ
)
に
跟
(
つ
)
いて
厶
(
ござ
)
れ。
108
ウラナイ
教
(
けう
)
の
誠生粋
(
まこときつすゐ
)
を
聞
(
き
)
かして
上
(
あ
)
げよう。
109
こんな
赤面
(
あかづら
)
や
青瓢箪
(
あをべうたん
)
面
(
づら
)
が、
110
何
(
なに
)
を
知
(
し
)
つてゐるものか。
111
世
(
よ
)
の
元
(
もと
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
元
(
もと
)
を
掴
(
つか
)
んだ、
112
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
ぢやぞえ。
113
途中
(
とちう
)
から
湧
(
わ
)
いた
神
(
かみ
)
や、
114
学
(
がく
)
で
知恵
(
ちゑ
)
の
出来
(
でき
)
た
鼻高
(
はなだか
)
が、
115
何
(
ど
)
うして
誠
(
まこと
)
の
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
るものか。
116
……
聞
(
き
)
きたくば
訪
(
たづ
)
ねて
厶
(
ござ
)
れ。
117
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて、
118
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
、
119
高宮姫
(
たかみやひめの
)
命
(
みこと
)
となつて、
120
世界
(
せかい
)
の
事
(
こと
)
を
何
(
なに
)
もかも
説
(
と
)
いて
聞
(
き
)
かすぞや。
121
……こんな
門番
(
もんばん
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
るやうな、
122
途中
(
とちう
)
の
鼻高
(
はなだか
)
に、
123
ヘン、
124
神界
(
しんかい
)
の
誠
(
まこと
)
が
分
(
わか
)
つてたまりますかい。
125
サアサア
文助
(
ぶんすけ
)
どん、
126
私
(
わたし
)
に
跟
(
つ
)
いて
厶
(
ござ
)
れ』
127
赤
(
あか
)
『
高姫
(
たかひめ
)
、
128
まだ
其
(
その
)
方
(
はう
)
がここへ
来
(
く
)
るのはチツと
早
(
はや
)
い。
129
これから
現界
(
げんかい
)
へ
帰
(
かへ
)
り、
130
充分
(
じうぶん
)
に
狂態振
(
きやうたいぶ
)
りを
発揮
(
はつき
)
し、
131
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
出
(
で
)
なくなつてから
始
(
はじ
)
めて
気
(
き
)
がつくだらう。
132
さうすれば
三五教
(
あななひけう
)
の
尊
(
たふと
)
い
事
(
こと
)
や、
133
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
御心
(
みこころ
)
が
分
(
わか
)
るであらう。
134
事務
(
じむ
)
の
妨
(
さまた
)
げとなるから、
135
トツトと
此処
(
ここ
)
を
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
れ』
136
高姫
『ヘン、
137
赤
(
あか
)
さまは、
138
私
(
わし
)
が
居
(
を
)
ると
都合
(
つがふ
)
が
悪
(
わる
)
いでせう。
139
ハハア、
140
ここは
案
(
あん
)
に
違
(
たが
)
はず、
141
ヤツパリ
三五教
(
あななひけう
)
の
門口
(
もんぐち
)
だな。
142
時置師
(
ときおかし
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を、
143
うまく
引張
(
ひつぱ
)
り
込
(
こ
)
みやがつたに
違
(
ちがひ
)
ない。
144
挺
(
てこ
)
でも
棒
(
ぼう
)
でも
動
(
うご
)
きは
致
(
いた
)
さぬぞや。
145
ササ
早
(
はや
)
く
時置師
(
ときおかし
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を、
146
此処
(
ここ
)
へ
出
(
だ
)
して
下
(
くだ
)
され』
147
赤の守衛
『
時置師
(
ときおかし
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は、
148
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
の
総務
(
そうむ
)
をして
厶
(
ござ
)
るのだ。
149
まだ
現界
(
げんかい
)
にゐらつしやるから、
150
此処
(
ここ
)
へお
越
(
こ
)
しになる
筈
(
はず
)
がない。
151
さてもさても
分
(
わか
)
らぬ
代物
(
しろもの
)
だなア』
152
高姫
『ヘン、
153
うまい
事
(
こと
)
仰有
(
おつしや
)
いますワイ、
154
ホホホホホ、
155
流石
(
さすが
)
は
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
悪
(
あく
)
の
教
(
をしへ
)
を
腹
(
はら
)
へ
締
(
し
)
め
込
(
こ
)
みて
居
(
を
)
るとみえて、
156
上手
(
じやうず
)
に
嘘
(
うそ
)
をつきますな。
157
そんな
事
(
こと
)
にチヨロまかされるやうな
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
ぢや
厶
(
ござ
)
りませぬワイな、
158
赤
(
あか
)
さま』
159
と
目
(
め
)
を
細
(
ほそ
)
うして
頤
(
あご
)
をしやくつて
嘲弄
(
てうろう
)
する。
160
文助
(
ぶんすけ
)
『モシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
161
此処
(
ここ
)
は
冥土
(
めいど
)
の
八衢
(
やちまた
)
の
関所
(
せきしよ
)
ですよ。
162
決
(
けつ
)
して
現界
(
げんかい
)
ぢやありませぬから、
163
そんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふものぢやありませぬ。
164
ササ、
165
トツトと
帰
(
かへ
)
りなさい。
166
そして
三五教
(
あななひけう
)
にお
詫
(
わび
)
をして
誠
(
まこと
)
の
魂
(
たましひ
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
167
改
(
あらた
)
めて
天国
(
てんごく
)
に
昇
(
のぼ
)
れるやうに
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひなさりませ』
168
高姫
『ようマア、
169
文助
(
ぶんすけ
)
どん、
170
しらばくれ
ますね。
171
お
前
(
まへ
)
も
余程
(
よほど
)
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
の
霊
(
みたま
)
が
憑
(
うつ
)
つたとみえますワイ。
172
嘘
(
うそ
)
は
一
(
ひと
)
つも
言
(
い
)
はれぬお
道
(
みち
)
ですよ。
173
嘘
(
うそ
)
で
固
(
かた
)
めた
三五
(
あななひ
)
の
道
(
みち
)
、
174
オホホホホ、
175
高姫
(
たかひめ
)
誠
(
まこと
)
に
感心
(
かんしん
)
致
(
いた
)
しました。
176
お
前
(
まへ
)
は
目
(
め
)
が
悪
(
わる
)
いから、
177
夢
(
ゆめ
)
でも
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
るのだらう。
178
チツと
確
(
しつか
)
りしなさらぬかいな』
179
と
横面
(
よこづら
)
をピシヤピシヤと
撲
(
なぐ
)
りつけた。
180
文助
(
ぶんすけ
)
は
少
(
すこ
)
しばかりムツとして、
181
文助
『コリヤ
高姫
(
たかひめ
)
、
182
これだけ
事
(
こと
)
を
分
(
わ
)
けて
知
(
し
)
らしてやるのに、
183
まだお
前
(
まへ
)
は
分
(
わか
)
らぬのか。
184
なぜお
役人
(
やくにん
)
さまの
言葉
(
ことば
)
を
守
(
まも
)
つて
帰
(
かへ
)
りなさらぬのだ。
185
皺
(
しわ
)
だらけの
面
(
つら
)
に
白
(
しろ
)
い
物
(
もの
)
を
塗
(
ぬ
)
つて、
186
何
(
なん
)
だ。
187
まるきり
気違
(
きちが
)
ひの
所作
(
しよさ
)
ぢやないか』
188
高姫
『ヘン、
189
お
構
(
かま
)
ひ
御
(
ご
)
無用
(
むよう
)
。
190
これでも、
191
トさまが
可
(
い
)
いと
仰有
(
おつしや
)
るのだから、
192
別
(
べつ
)
にお
前
(
まへ
)
の
様
(
やう
)
な
盲
(
めくら
)
共
(
ども
)
に
見
(
み
)
て
貰
(
もら
)
はなくても
宜
(
よろ
)
しい。
193
サ、
194
之
(
これ
)
から
奥
(
おく
)
へ
踏
(
ふ
)
み
込
(
こ
)
んで、
195
トさまにお
目
(
め
)
にかかり、
196
厭
(
いや
)
でも
応
(
おう
)
でもウラナイ
教
(
けう
)
へ
連
(
つ
)
れて
帰
(
かへ
)
らなおきませぬぞや。
197
かう
見
(
み
)
えても、
198
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
は
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
とは
違
(
ちが
)
ひますぞや。
199
曲輪城
(
まがわじやう
)
の
城主
(
じやうしゆ
)
高宮彦
(
たかみやひこ
)
の
妻
(
つま
)
、
200
高宮姫
(
たかみやひめ
)
とは
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
事
(
こと
)
だ。
201
そんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
はずに、
202
一遍
(
いつぺん
)
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
曲輪城
(
まがわじやう
)
まで
私
(
わたし
)
に
従
(
つ
)
いて
来
(
き
)
てみなさい。
203
いかなお
前
(
まへ
)
でも、
204
あの
御殿
(
ごてん
)
を
見
(
み
)
たら
吃驚
(
びつくり
)
致
(
いた
)
すぞえ。
205
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
曲輪
(
まがわ
)
の
法
(
はふ
)
によつて、
206
中天
(
ちうてん
)
高
(
たか
)
く
飛行
(
ひかう
)
の
術
(
じゆつ
)
を
習
(
なら
)
ひ
覚
(
おぼ
)
えた
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
、
207
最早
(
もはや
)
天下
(
てんか
)
に
恐
(
おそ
)
るる
者
(
もの
)
はチツともありませぬ。
208
どうか
其
(
その
)
積
(
つも
)
りで
交際
(
つきあ
)
つて
下
(
くだ
)
さいや』
209
と
高姫
(
たかひめ
)
は
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
の
妖怪
(
えうくわい
)
の
ばれ
た
事
(
こと
)
はまだ
気
(
き
)
がついて
居
(
を
)
らぬらしい。
210
斯
(
か
)
かる
処
(
ところ
)
へ
大
(
おほ
)
きな
獅子
(
しし
)
に
乗
(
の
)
つて
驀地
(
まつしぐら
)
に
天
(
てん
)
の
一方
(
いつぱう
)
から
降
(
くだ
)
つて
来
(
き
)
たのは、
211
まがふ
方
(
かた
)
なき
杢助
(
もくすけ
)
であつた。
212
高姫
(
たかひめ
)
は
此
(
この
)
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て
大
(
おほい
)
に
喜
(
よろこ
)
び、
213
高姫
『ホホホホホ、
214
お
手柄
(
てがら
)
お
手柄
(
てがら
)
、
215
杢助
(
もくすけ
)
さま、
216
お
前
(
まへ
)
は
何
(
ど
)
うしてマア、
217
それ
程
(
ほど
)
偉
(
えら
)
いお
方
(
かた
)
になつたのだ。
218
これほど
猛悪
(
まうあく
)
な
唐獅子
(
からじし
)
を
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
使
(
つか
)
ふとは、
219
ヤツパリ
私
(
わたし
)
の
夫
(
をつと
)
だな。
220
コレ
文助
(
ぶんすけ
)
どん、
221
アレ
御覧
(
ごらん
)
、
222
曲輪
(
まがわ
)
の
法力
(
ほふりき
)
によつて、
223
あんな
離
(
はな
)
れ
業
(
わざ
)
が
出来
(
でき
)
るのだもの、
224
ウラナイ
教
(
けう
)
は
偉
(
えら
)
いものでせう。
225
三五教
(
あななひけう
)
の
奴
(
やつ
)
に
一人
(
ひとり
)
だつて、
226
こんな
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ますか。
227
初稚姫
(
はつわかひめ
)
や
治国別
(
はるくにわけ
)
、
228
言依別
(
ことよりわけ
)
や
東助
(
とうすけ
)
に、
229
杢助
(
もくすけ
)
さまの、
230
天晴
(
あつぱれ
)
武者振
(
むしやぶり
)
を
見
(
み
)
せてやりたいものだなア。
231
エヘヘヘヘ、
232
南無
(
なむ
)
杢助
(
もくすけ
)
大明神
(
だいみやうじん
)
様
(
さま
)
』
233
と
手
(
て
)
を
合
(
あ
)
はして
拝
(
をが
)
む
可笑
(
をか
)
しさ。
234
杢助
(
もくすけ
)
は
獅子
(
しし
)
の
背
(
せな
)
からヒラリと
飛
(
と
)
びおり、
235
高姫
(
たかひめ
)
には
目
(
め
)
もくれず、
236
赤
(
あか
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
に
向
(
むか
)
ひ、
237
杢助
『
御
(
お
)
役目
(
やくめ
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
です。
238
一寸
(
ちよつと
)
伊吹戸主
(
いぶきどぬしの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
目
(
め
)
にかかりたいと、
239
三五教
(
あななひけう
)
の
杢助
(
もくすけ
)
が
申
(
まを
)
し
入
(
い
)
れたと
伝
(
つた
)
へて
下
(
くだ
)
さい』
240
赤
(
あか
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
は
幾度
(
いくたび
)
も
腰
(
こし
)
を
屈
(
かが
)
め、
241
敬礼
(
けいれい
)
を
表
(
へう
)
しながら
走早
(
あしばや
)
に
門内
(
もんない
)
に
入
(
い
)
る。
242
高姫
(
たかひめ
)
は
杢助
(
もくすけ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
少
(
すこ
)
し
合点
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
節
(
ふし
)
があるとは
思
(
おも
)
へども、
243
ワザとあんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るのであらう、
244
杢助
(
もくすけ
)
さまは
洒落
(
しやれ
)
が
上手
(
じやうず
)
だから……と
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
にきめて
了
(
しま
)
ひ、
245
高姫
『コレ
杢助
(
もくすけ
)
さま、
246
ええ
加減
(
かげん
)
に
洒落
(
しやれ
)
ておきなさい。
247
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
の
東助
(
とうすけ
)
に
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
され、
248
アタ
汚
(
けが
)
らはしい、
249
三五教
(
あななひけう
)
の
杢助
(
もくすけ
)
なんて、
250
言
(
い
)
ふものぢや
厶
(
ござ
)
りませぬぞや。
251
サア、
252
一緒
(
いつしよ
)
に
帰
(
かへ
)
りませう』
253
杢助
『
高姫
(
たかひめ
)
殿
(
どの
)
、
254
お
前
(
まへ
)
さまは
妖幻坊
(
えうげんばう
)
にチヨロまかされ、
255
其
(
その
)
悪魔
(
あくま
)
を
杢助
(
もくすけ
)
だと
思
(
おも
)
ひ
詰
(
つ
)
め、
256
随分
(
ずいぶん
)
狂態
(
きやうたい
)
を
演
(
えん
)
じてるやうだが、
257
此
(
この
)
杢助
(
もくすけ
)
にはお
前
(
まへ
)
さまに
会
(
あ
)
つて、
258
ウラナイ
教
(
けう
)
の
話
(
はなし
)
をした
事
(
こと
)
もなし、
259
又
(
また
)
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
で
面会
(
めんくわい
)
した
事
(
こと
)
もない。
260
まして
曲輪城
(
まがわじやう
)
などには
足踏
(
あしぶ
)
みも
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
らぬから、
261
よく
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
をおいて、
262
真偽
(
しんぎ
)
の
判別
(
はんべつ
)
を
願
(
ねが
)
ひたいものだ』
263
高姫
『ホホホホホ、
264
白々
(
しらじら
)
しい、
265
杢
(
もく
)
さまの
言
(
い
)
ひ
様
(
やう
)
、
266
人
(
ひと
)
の
前
(
まへ
)
だと
思
(
おも
)
つて、
267
そんな
体裁
(
ていさい
)
を
作
(
つく
)
るものぢやありませぬぞや。
268
コレ
高宮彦
(
たかみやひこ
)
さま、
269
そんな
六ケ
(
むつか
)
しい
顔
(
かほ
)
せずに、
270
ササ
早
(
はや
)
く
曲輪城
(
まがわじやう
)
へ
帰
(
かへ
)
りませう。
271
コレ
文助
(
ぶんすけ
)
どん、
272
何
(
ど
)
うだえ、
273
高姫
(
たかひめ
)
の
三国一
(
さんごくいち
)
の
婿
(
むこ
)
といふのは、
274
此
(
この
)
杢助
(
もくすけ
)
さまだぞえ。
275
三羽烏
(
さんばがらす
)
の
一
(
いち
)
人
(
にん
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
時置師
(
ときおかしの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
276
今
(
いま
)
はウラナイ
教
(
けう
)
の
大教主
(
だいけうしゆ
)
、
277
曲輪城
(
まがわじやう
)
の
城主
(
じやうしゆ
)
様
(
さま
)
だ。
278
サ、
279
私
(
わし
)
に
従
(
つ
)
いて
厶
(
ござ
)
れ。
280
昔
(
むかし
)
の
厚誼
(
よしみ
)
で、
281
キツと
立派
(
りつぱ
)
な
役
(
やく
)
にして
上
(
あ
)
げよう。
282
小北山
(
こぎたやま
)
の
受付
(
うけつけ
)
位
(
くらゐ
)
して
居
(
を
)
つてもはづみませぬぞや』
283
文助
(
ぶんすけ
)
『あああ、
284
困
(
こま
)
つた
人
(
ひと
)
だな、
285
盲
(
めくら
)
と
気違
(
きちがひ
)
と
馬鹿
(
ばか
)
位
(
ぐらゐ
)
始末
(
しまつ
)
に
了
(
を
)
へぬものはないワ。
286
私
(
わたし
)
も、
287
モツと
高姫
(
たかひめ
)
さまは
偉
(
えら
)
い
人
(
ひと
)
だと
思
(
おも
)
うて
居
(
を
)
つたに……
現在
(
げんざい
)
八衢
(
やちまた
)
へ
来
(
き
)
てゐながら、
288
執着心
(
しふちやくしん
)
が
深
(
ふか
)
い
為
(
ため
)
、
289
ヤツパリ
娑婆
(
しやば
)
だと
思
(
おも
)
うてるらしい。
290
ああ
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なものだなア』
291
と
呟
(
つぶや
)
く。
292
高姫
(
たかひめ
)
は
耳敏
(
みみざと
)
く
之
(
これ
)
を
聞
(
き
)
き
取
(
と
)
つて、
293
高姫
『ヘン、
294
気違
(
きちがひ
)
だの、
295
馬鹿
(
ばか
)
だのとよう
仰有
(
おつしや
)
いますワイ。
296
オホホホホ、
297
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
心
(
こころ
)
の
鏡
(
かがみ
)
にお
前
(
まへ
)
の
迷妄
(
めいまう
)
暗愚
(
あんぐ
)
な
魂
(
みたま
)
が
写
(
うつ
)
つたのだよ。
298
……
人
(
ひと
)
の
事
(
こと
)
だと
思
(
おも
)
うてゐると
皆
(
みな
)
吾
(
わが
)
事
(
こと
)
であるぞよ。
299
今
(
いま
)
の
人民
(
じんみん
)
は
皆
(
みな
)
盲
(
めくら
)
聾
(
つんぼ
)
ばかりであるぞよ。
300
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
現
(
あら
)
はれて、
301
夜
(
よる
)
の
守護
(
しゆご
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
守護
(
しゆご
)
に
致
(
いた
)
し、
302
五六七
(
みろく
)
の
世
(
よ
)
が
参
(
まゐ
)
りたならば、
303
盲
(
めくら
)
も
目
(
め
)
があき、
304
聾
(
つんぼ
)
も
耳
(
みみ
)
が
聞
(
きこ
)
えるやうになるぞよ……と
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
筆先
(
ふでさき
)
にも
現
(
あら
)
はれてゐませうがな。
305
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
真似
(
まね
)
の
筆先
(
ふでさき
)
にもチヤンと
出
(
で
)
てますよ。
306
……コレ
杢助
(
もくすけ
)
さま、
307
エエ
加減
(
かげん
)
に
とぼ
けておかんせいな』
308
かかる
所
(
ところ
)
へ
赤
(
あか
)
の
守衛
(
しゆゑい
)
は
恭
(
うやうや
)
しく
杢助
(
もくすけ
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ、
309
赤の守衛
『
三五教
(
あななひけう
)
の
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
、
310
伊吹戸主
(
いぶきどぬしの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が、
311
早速
(
さつそく
)
お
目
(
め
)
にかからうと
仰有
(
おつしや
)
います。
312
サ、
313
私
(
わたし
)
に
従
(
つ
)
いてお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
314
杢助
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
315
此
(
この
)
ライオンは
暫
(
しばら
)
く
御
(
お
)
預
(
あづか
)
りを
願
(
ねが
)
ひます』
316
赤の守衛
『ハイ
宜
(
よろ
)
しう
厶
(
ござ
)
います。
317
叮嚀
(
ていねい
)
に
保護
(
ほご
)
致
(
いた
)
します。
318
コレ
白
(
しろ
)
さま、
319
お
前
(
まへ
)
さま
此処
(
ここ
)
に
守
(
まも
)
つてゐて
下
(
くだ
)
さい。
320
……サア
杢助
(
もくすけ
)
様
(
さま
)
、
321
かうお
出
(
い
)
でなさいませ』
322
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて
行
(
ゆ
)
かうとする。
323
杢助
(
もくすけ
)
も
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ
門
(
もん
)
を
潜
(
くぐ
)
りかけた。
324
高姫
(
たかひめ
)
は
袖
(
そで
)
にすがり、
325
金切声
(
かなきりごゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
326
涙交
(
なみだまじ
)
りに、
327
高姫
『コレ
杢助
(
もくすけ
)
さま、
328
余
(
あま
)
りぢや
厶
(
ござ
)
んせぬか。
329
ここは
三五教
(
あななひけう
)
の
奴
(
やつ
)
等
(
ら
)
の
集
(
あつ
)
まる
場所
(
ばしよ
)
、
330
なぜあれ
程
(
ほど
)
固
(
かた
)
い
約束
(
やくそく
)
をしながら、
331
今
(
いま
)
となつて
変心
(
へんしん
)
をなさるのだえ。
332
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
恐
(
おそ
)
れませぬか』
333
杢助
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
334
拙者
(
せつしや
)
は
拙者
(
せつしや
)
の
権利
(
けんり
)
を
以
(
もつ
)
て、
335
伊吹戸主
(
いぶきどぬし
)
様
(
さま
)
にお
目
(
め
)
にかかるのだ。
336
貴女
(
あなた
)
は
之
(
これ
)
からお
帰
(
かへ
)
りなさい』
337
と
行
(
ゆ
)
かうとする。
338
高姫
(
たかひめ
)
は
袖
(
そで
)
に
喰
(
くら
)
ひついて
放
(
はな
)
さず、
339
高姫
『イエイエ
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つても、
340
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
の
目
(
め
)
の
黒
(
くろ
)
い
中
(
うち
)
は、
341
一足
(
ひとあし
)
たりとも、
342
三五教
(
あななひけう
)
の
門
(
もん
)
は
潜
(
くぐ
)
らせませぬぞや。
343
アンアンアンアンアン、
344
男
(
をとこ
)
の
心
(
こころ
)
と
秋
(
あき
)
の
空
(
そら
)
、
345
変
(
かは
)
ると
言
(
い
)
うても
余
(
あま
)
りだ。
346
エーエ
残念
(
ざんねん
)
や
残念
(
ざんねん
)
や、
347
クク
口惜
(
くちを
)
しい』
348
杢助
『アハハハ、
349
何
(
なん
)
と、
350
面白
(
おもしろ
)
い
芝居
(
しばゐ
)
を
見
(
み
)
せて
貰
(
もら
)
うたものだ。
351
ああ
文助
(
ぶんすけ
)
殿
(
どの
)
、
352
拙者
(
せつしや
)
の
後
(
あと
)
へついて
厶
(
ござ
)
れ』
353
と
言
(
い
)
ひながら、
354
ポンと
蹴
(
け
)
れば、
355
高姫
(
たかひめ
)
は
思
(
おも
)
はず
裾
(
すそ
)
を
放
(
はな
)
し、
356
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つコロコロコロと
街道
(
かいだう
)
に
毬
(
まり
)
の
如
(
ごと
)
く
転
(
ころ
)
げて、
357
其
(
その
)
終点
(
しうてん
)
でパツと
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
に
拡
(
ひろ
)
がり
倒
(
たふ
)
れて
了
(
しま
)
つた。
358
杢助
(
もくすけ
)
、
359
文助
(
ぶんすけ
)
は
門
(
もん
)
をガタリと
締
(
し
)
めて、
360
奥庭
(
おくには
)
へ
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
した。
361
高姫
(
たかひめ
)
は
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
になつて、
362
手足
(
てあし
)
を
動
(
うご
)
かせながら、
363
高姫
『
此
(
この
)
女
(
をんな
)
は、
364
元
(
もと
)
を
糺
(
ただ
)
せば、
365
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
の
体
(
たい
)
をかつて、
366
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
常世姫
(
とこよひめの
)
命
(
みこと
)
の
再来
(
さいらい
)
、
367
高宮姫
(
たかみやひめ
)
。
368
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
から、
369
男女
(
をとこをんな
)
と
綽名
(
あだな
)
を
取
(
と
)
つたヤンチヤ
娘
(
むすめ
)
、
370
一度
(
いちど
)
は
東助
(
とうすけ
)
さまと
夫婦
(
ふうふ
)
になり、
371
子
(
こ
)
までなしたる
仲
(
なか
)
なれど、
372
余
(
あま
)
り
東助
(
とうすけ
)
の
心
(
こころ
)
が
無情
(
むじやう
)
冷酷
(
れいこく
)
なるが
故
(
ゆゑ
)
、
373
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
でキツパリ
暇
(
ひま
)
をくれて、
374
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
375
杢助
(
もくすけ
)
さまと
夫婦
(
ふうふ
)
となり、
376
今
(
いま
)
は
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
に
曲輪城
(
まがわじやう
)
を
築
(
きづ
)
き、
377
高宮姫
(
たかみやひめ
)
と
名
(
な
)
を
改
(
あらた
)
めてウラナイ
教
(
けう
)
の
神柱
(
かむばしら
)
、
378
先
(
さき
)
をみてゐて
下
(
くだ
)
されよ』
379
と
大音声
(
だいおんじやう
)
に
呼
(
よ
)
ばはつてゐる。
380
八衢
(
やちまた
)
へ
来
(
く
)
る
精霊
(
せいれい
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
きつけ、
381
各
(
おのおの
)
歩
(
ほ
)
を
急
(
いそ
)
ぎバラバラと
駆
(
か
)
けつけた。
382
(
大正一二・二・一〇
旧一一・一二・二五
松村真澄
録)
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