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第57巻(申の巻)
序文
総説歌
第1篇 照門山颪
01 大山
〔1451〕
02 煽動
〔1452〕
03 野探
〔1453〕
04 妖子
〔1454〕
05 糞闘
〔1455〕
06 強印
〔1456〕
07 暗闇
〔1457〕
08 愚摺
〔1458〕
第2篇 顕幽両通
09 婆娑
〔1459〕
10 転香
〔1460〕
11 鳥逃し
〔1461〕
12 三狂
〔1462〕
13 悪酔怪
〔1463〕
14 人畜
〔1464〕
15 糸瓜
〔1465〕
16 犬労
〔1466〕
第3篇 天上天下
17 涼窓
〔1467〕
18 翼琴
〔1468〕
19 抱月
〔1469〕
20 犬闘
〔1470〕
21 言触
〔1471〕
22 天葬
〔1472〕
23 薬鑵
〔1473〕
24 空縛
〔1474〕
25 天声
〔1475〕
余白歌
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第八章
愚摺
(
ぐすり
)
〔一四五八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第57巻 真善美愛 申の巻
篇:
第1篇 照門山颪
よみ(新仮名遣い):
てるもんざんおろし
章:
第8章 愚摺
よみ(新仮名遣い):
ぐすり
通し章番号:
1458
口述日:
1923(大正12)年03月24日(旧02月8日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年5月24日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ワックスは、三千彦を袋叩きにして川に投げ込み、意気揚々として自分の館に戻ってきた。父のオールスチンは怪我のためにふせっている。ワックスは容態を看護婦に尋ねたが、治る見込みはないという答えが返ってきた。
それを聞いたビルマは、ワックスが父親の財産を狙っていることをふと漏らした。オールスチンはそれを聞いて、ワックスがいつもそのようなことを言っているからビルマがそのようなことを口にするのだ、と注意した。
看護婦に注意されてワックスとビルマは別館に退散し、酒をあおりはじめた。ビルマはへべれけに酔いつぶれ、オールスチンが死ねばワックスは財産が手に入り、自分も出世できると大声で歌い始めた。ワックスは父親が死ぬのは悲しいが財産が手に入るのは嬉しくもあり、と複雑な心中を吐露する。
そこへエキスとヘルマンが酔って現れた。門をやたらに叩き、押し開けてオールスチンの病室にどかどかと入ってくると、金をせびりはじめた。看護婦に注意され、二人は別館のワックスのところにやってきた。そして金をゆすりはじめた。
ワックスは酒をすすめてこの場を乗り切ろうとする。エキスとヘルマンはすすめられた酒を飲んでさらに酔っ払うと、ワックスの悪事を大声で歌いだした。ワックスはたまりかねて、父親の病室に隠してあった六百両の黄金を取り出し、仕方なく二人に与えた。
エキスとヘルマンは、三十日したらまた金をもらいにくると言い置いて、酒臭い息を吐きながら帰って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5708
愛善世界社版:
102頁
八幡書店版:
第10輯 295頁
修補版:
校定版:
106頁
普及版:
47頁
初版:
ページ備考:
001
ワックスはビルマと
共
(
とも
)
に
巧
(
うま
)
く
町民
(
ちやうみん
)
を
煽動
(
せんどう
)
し、
002
三千彦
(
みちひこ
)
を
袋叩
(
ふくろだた
)
きにして、
003
アンブラック
川
(
がは
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
み、
004
意気
(
いき
)
揚々
(
やうやう
)
として
己
(
おの
)
が
館
(
やかた
)
に
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
005
父
(
ちち
)
のオールスチンは
二人
(
ふたり
)
の
看護婦
(
かんごふ
)
に
看護
(
かんご
)
され
乍
(
なが
)
ら
現
(
うつつ
)
になつて、
006
ワックス ワックスと
連呼
(
れんこ
)
してゐる。
007
そこへソツと
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たワックスは、
008
盗猫
(
ぬすとねこ
)
が
留守
(
るす
)
の
家
(
いへ
)
を
覗
(
のぞ
)
く
様
(
やう
)
な
態度
(
たいど
)
で、
009
ノソリノソリと
這入
(
はい
)
り
来
(
きた
)
り
父
(
ちち
)
の
病床
(
びやうしやう
)
に
近寄
(
ちかよ
)
り、
010
二人
(
ふたり
)
の
看護婦
(
かんごふ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
011
小
(
ちひ
)
さい
声
(
こゑ
)
で、
012
ワックス『モシ、
013
看護婦
(
かんごふ
)
さま、
014
日夜
(
にちや
)
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
ですが
老爺
(
おやぢ
)
の
病気
(
びやうき
)
は
助
(
たす
)
かりませうかな』
015
看護婦
(
かんごふ
)
の
一人
(
ひとり
)
『ハイ、
016
お
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
乍
(
なが
)
ら
到底
(
たうてい
)
諦
(
あきら
)
めて
貰
(
もら
)
はねばなりますまい』
017
ワックス『
成程
(
なるほど
)
、
018
それも
仕方
(
しかた
)
がありませぬ。
019
何程
(
なにほど
)
悔
(
くや
)
んだつて
寿命
(
じゆみやう
)
はどうする
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ませぬからな』
020
ビルマ、
021
小
(
ちひ
)
さい
声
(
こゑ
)
で、
022
『
親
(
おや
)
の
財産
(
ざいさん
)
あてにすりや
023
薬罐頭
(
やくわんあたま
)
が
邪魔
(
じやま
)
になる』
024
とウツカリ
喋
(
しやべ
)
つた。
025
病人
(
びやうにん
)
のオールスチンは
耳敏
(
みみざと
)
くも
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
きつけて
苦
(
くる
)
しい
体
(
からだ
)
を
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り、
026
……
悴
(
せがれ
)
のワックス
奴
(
め
)
、
027
大切
(
たいせつ
)
な
親
(
おや
)
の
死
(
し
)
ぬのを
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
やがるのだな……と
苦痛
(
くつう
)
を
忘
(
わす
)
れ、
028
声
(
こゑ
)
を
尖
(
とが
)
らして、
029
オールスチン『こりや
悴
(
せがれ
)
、
030
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
不孝
(
ふかう
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
すのか。
031
ま
一度
(
いちど
)
今
(
いま
)
云
(
い
)
つた
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
見
(
み
)
よ』
032
ワックス『へ、
033
あまり
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
が
重
(
おも
)
いので
心配
(
しんぱい
)
して
看護婦
(
かんごふ
)
に
尋
(
たづ
)
ねて
居
(
を
)
つた
処
(
ところ
)
です。
034
ここに
来
(
き
)
てゐる
門番
(
もんばん
)
のビルマと
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
、
035
お
父
(
とう
)
さまが
大病
(
たいびやう
)
で、
036
私
(
わし
)
がこれ
丈
(
だ
)
け
心配
(
しんぱい
)
してるのに
其
(
その
)
心
(
こころ
)
も
知
(
し
)
らず、
037
あんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひやがつたのです』
038
オールスチン『さうぢやあるまい。
039
貴様
(
きさま
)
常平生
(
つねへいぜい
)
から
左様
(
さやう
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るものだからビルマが
真似
(
まね
)
をしたのだらう。
040
貴様
(
きさま
)
はチツと
心得
(
こころえ
)
ねばならぬぞ。
041
俺
(
おれ
)
が
目
(
め
)
を
冥
(
つぶ
)
つて
了
(
しま
)
へばお
前
(
まへ
)
の
身辺
(
しんぺん
)
は
忽
(
たちま
)
ち
危
(
あや
)
ふくなつて
来
(
く
)
るぞ。
042
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
玉
(
たま
)
を
隠
(
かく
)
したり、
043
種々
(
しゆじゆ
)
雑多
(
ざつた
)
と
陰謀
(
いんぼう
)
を
企
(
くはだ
)
てて
居
(
を
)
つた
事
(
こと
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
三千彦
(
みちひこ
)
様
(
さま
)
がスツパリ
御存
(
ごぞん
)
じだ。
044
こんな
事
(
こと
)
が
表沙汰
(
おもてざた
)
になつたならば
家令
(
かれい
)
の
家
(
いへ
)
は
断絶
(
だんぜつ
)
、
045
お
前
(
まへ
)
の
命
(
いのち
)
はなきものと
覚悟
(
かくご
)
せねばなるまい。
046
これが
一生
(
いつしやう
)
の
別
(
わか
)
れだから
憎
(
にく
)
い
悴
(
せがれ
)
でも
矢張
(
やつぱ
)
り
親
(
おや
)
の
因果
(
いんぐわ
)
として
庇
(
かば
)
い
度
(
た
)
うなつて
来
(
く
)
る。
047
今
(
いま
)
の
間
(
うち
)
何処
(
どこ
)
かへ
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
し、
048
遠
(
とほ
)
い
国
(
くに
)
へ
行
(
い
)
つて
苦労
(
くらう
)
を
致
(
いた
)
したが
宜
(
よ
)
からう』
049
ワックス『お
父
(
とう
)
さま、
050
そりや
違
(
ちが
)
ひます。
051
三千彦
(
みちひこ
)
と
云
(
い
)
ふ
魔法使
(
まはふつかひ
)
が
盗
(
と
)
つて
居
(
ゐ
)
たのですよ。
052
その
証拠
(
しようこ
)
には
町中
(
まちぢう
)
の
者
(
もの
)
が
袋叩
(
ふくろだた
)
きにして……ムニヤムニヤムニヤ』
053
オールスチン『
何
(
なに
)
、
054
町中
(
まちぢう
)
の
者
(
もの
)
が、
055
三千彦
(
みちひこ
)
を
袋叩
(
ふくろだた
)
きにしたと
云
(
い
)
ふのか。
056
そりや
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
をして
呉
(
く
)
れた。
057
早
(
はや
)
くお
詫
(
わび
)
をせなくちやお
館
(
やかた
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
が
起
(
おこ
)
るかも
知
(
し
)
れぬぞ』
058
ビルマ『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
町内
(
ちやうない
)
が
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて
雁字搦
(
がんじがら
)
みにし、
059
アンブラック
川
(
がは
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んだものですから、
060
疾
(
と
)
うの
昔
(
むかし
)
に
死
(
し
)
んでゐますよ。
061
滅多
(
めつた
)
にワックスさまの
難儀
(
なんぎ
)
になる
気遣
(
きづか
)
ひはありませぬ。
062
寧
(
むし
)
ろ
神館
(
かむやかた
)
の
悪魔
(
あくま
)
を
退治
(
たいぢ
)
なさつた
結構
(
けつこう
)
な
救世主
(
きうせいしゆ
)
です。
063
そして
小国別
(
をくにわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
養子
(
やうし
)
になられる
約束
(
やくそく
)
がチヤンと
奥
(
おく
)
さまとの
間
(
あひだ
)
に
定
(
きま
)
つたのですから、
064
オールスチン
様
(
さま
)
、
065
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ』
066
オールスチン『
一人
(
ひとり
)
の
悴
(
せがれ
)
を
養子
(
やうし
)
にやると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
はどうしても
出来
(
でき
)
ない。
067
さうすればオールスチンの
家
(
いへ
)
は
血統
(
けつとう
)
が
絶
(
た
)
えるぢやないか』
068
ワックス『お
父
(
とう
)
さま、
069
そんな
心配
(
しんぱい
)
は
為
(
な
)
さらず
早
(
はや
)
く
成仏
(
じやうぶつ
)
して
下
(
くだ
)
さい。
070
貴方
(
あなた
)
の
苦
(
くるし
)
みを
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
るのが
子
(
こ
)
として
見
(
み
)
て
居
(
を
)
られませぬからな。
071
私
(
わたし
)
とデビス
姫
(
ひめ
)
と
結婚
(
けつこん
)
した
上
(
うへ
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
や
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
子
(
こ
)
は
出来
(
でき
)
るでせう。
072
総領
(
そうりやう
)
は
養家
(
やうか
)
の
後継
(
あとつぎ
)
とし、
073
次男
(
じなん
)
をオールスチン
家
(
け
)
の
後目
(
あとめ
)
相続
(
さうぞく
)
にすれば
宜
(
よ
)
いぢやありませぬか。
074
貴方
(
あなた
)
の
血統
(
けつとう
)
たる
私
(
わたし
)
が
残
(
のこ
)
つてる
以上
(
いじやう
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
です。
075
ゴテゴテ
云
(
い
)
つたら
養家
(
やうか
)
をオールスチン
家
(
け
)
にして
了
(
しま
)
へば
宜
(
よ
)
いのです。
076
(
小声
(
こごゑ
)
)エー
年寄
(
としより
)
だてら
死際
(
しにぎは
)
になつて
要
(
い
)
らぬお
節介
(
せつかい
)
だ。
077
いい
加減
(
かげん
)
に
斃
(
くたば
)
つたら
宜
(
よ
)
いのにな』
078
と
後
(
あと
)
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
つて
小声
(
こごゑ
)
に
呟
(
つぶや
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
079
幸
(
さいはひ
)
に
病躯
(
びやうく
)
に
悩
(
なや
)
む
父
(
ちち
)
の
耳
(
みみ
)
には
這入
(
はい
)
らなかつた。
080
オールスチンはグタリとなつて
苦
(
くる
)
しげに
又
(
また
)
もや
寝台
(
しんだい
)
の
上
(
うへ
)
に
倒
(
たふ
)
れて
了
(
しま
)
つた。
081
看護婦
(
かんごふ
)
『モシ
若旦那
(
わかだんな
)
様
(
さま
)
、
082
余
(
あんま
)
り
八釜
(
やかま
)
しう
仰有
(
おつしや
)
いますと
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
に
障
(
さは
)
りますから、
083
何卒
(
どうぞ
)
別館
(
はなれ
)
の
方
(
はう
)
へ
行
(
い
)
つてお
休
(
やす
)
み
下
(
くだ
)
さいませ』
084
ワックス『オツト、
085
ヨシヨシ、
086
それを
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
たのだ。
087
然
(
しか
)
し
看護婦
(
かんごふ
)
さま、
088
此方
(
こちら
)
にも
都合
(
つがふ
)
があるのだが、
089
お
前
(
まへ
)
の
考
(
かんが
)
へでは
今日
(
けふ
)
一
(
いち
)
日
(
にち
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だと
思
(
おも
)
ふか。
090
葬礼
(
さうれい
)
の
用意
(
ようい
)
もせなならぬからな』
091
看護婦
(
かんごふ
)
『
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
なさいますな。
092
屹度
(
きつと
)
本復
(
ほんぷく
)
さして
上
(
あ
)
げます。
093
仮令
(
たとへ
)
お
亡
(
な
)
くなり
遊
(
あそ
)
ばすとしても、
094
三十
(
さんじふ
)
日
(
にち
)
や
五十
(
ごじふ
)
日
(
にち
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
ですからな』
095
ワックス『へー、
096
何分
(
なにぶん
)
御
(
ご
)
介抱
(
かいはう
)
を
宜
(
よろ
)
しう
頼
(
たの
)
みます』
097
と
云
(
い
)
ひながら
別館
(
はなれ
)
の
間
(
ま
)
に
至
(
いた
)
り、
098
冷酒
(
ひやざけ
)
を
両人
(
りやうにん
)
差向
(
さしむか
)
ひになつてグイグイとやり
初
(
はじ
)
めた。
099
ビルマはへべれけに
酔
(
よ
)
ひ
潰
(
つぶ
)
れ、
100
ソロソロ
銅羅声
(
どらごゑ
)
を
張
(
は
)
り
上
(
あ
)
げて
唄
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
101
ビルマ『オールスチンの
老爺
(
おやぢ
)
さま
102
肋骨
(
あばら
)
を
折
(
を
)
られてウンウンと
103
呻
(
うな
)
つて
厶
(
ござ
)
る
憐
(
いぢ
)
らしさ
104
癒
(
なほ
)
りもせねば
死
(
し
)
にもせず
105
厄介
(
やくかい
)
至極
(
しごく
)
の
老爺
(
おやぢ
)
さま
106
ワックスさまも
嘸
(
さぞ
)
や
嘸
(
さぞ
)
107
困
(
こま
)
つて
厶
(
ござ
)
るに
違
(
ちが
)
ひない
108
早
(
はや
)
く
何
(
なん
)
とか
埒
(
らち
)
つけて
109
ワックスさまの
目的
(
もくてき
)
を
110
立
(
た
)
てさしてやらねばなるまいぞ
111
もしも
都合
(
つがふ
)
好
(
よ
)
う
行
(
い
)
つたなら
112
私
(
わたし
)
は
一躍
(
いちやく
)
家令職
(
かれいしよく
)
113
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば
一時
(
いつとき
)
も
114
早
(
はや
)
く
老爺
(
おやぢ
)
さまに
死
(
し
)
んで
欲
(
ほ
)
しい
115
欲
(
ほ
)
しいわいな
欲
(
ほ
)
しいわいな
欲
(
ほ
)
しいわいな
116
薬鑵
(
やくわん
)
老爺
(
おやぢ
)
が
死
(
し
)
んだなら
117
皆
(
みな
)
さま
喜
(
よろこ
)
ぶ
事
(
こと
)
だらう
118
ヨーイセー ヨーイセー
119
思
(
おも
)
ふやうにはいかぬもの
120
ホンニ
浮世
(
うきよ
)
はじれつたい
121
ヨーイトセー ヨーイトセー』
122
ワックス『こりや
何
(
なん
)
ぼ
何
(
なん
)
でも
俺
(
おれ
)
の
前
(
まへ
)
で、
123
そんな
事
(
こと
)
を
唄
(
うた
)
ふ
奴
(
やつ
)
があるか。
124
俺
(
おれ
)
だつて
肉身
(
にくしん
)
の
親
(
おや
)
だもの、
125
死
(
し
)
ぬのがチツトは……
嬉
(
うれ
)
しいとも
悲
(
かな
)
しいとも
思
(
おも
)
はないよ。
126
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
老爺
(
おやぢ
)
が
死
(
し
)
ねば
此
(
この
)
財産
(
ざいさん
)
がスツカリ
俺
(
おれ
)
の
所有物
(
もの
)
になるのだから
嬉
(
うれ
)
しい
様
(
やう
)
でもあり、
127
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
の
親
(
おや
)
が
死
(
し
)
ぬのだから
悲
(
かな
)
しい
様
(
やう
)
でもあり、
128
嫁入
(
よめい
)
りと
葬式
(
さうしき
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
来
(
き
)
たやうで
一掬
(
いつきく
)
同情
(
どうじやう
)
の
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
居
(
ゐ
)
るのだ。
129
貴様
(
きさま
)
も
余程
(
よつぽど
)
没分暁漢
(
わからずや
)
だなア』
130
ビルマ『
没分暁漢
(
わからずや
)
か、
131
何
(
なに
)
か
知
(
し
)
らぬが
此
(
この
)
ビルマは
心
(
こころ
)
にもない
追従
(
つゐしやう
)
を
云
(
い
)
ふのは
嫌
(
きら
)
ひだ。
132
ワックスさま、
133
お
前
(
まへ
)
の
心
(
こころ
)
は
此
(
この
)
ビルマが
云
(
い
)
つた
通
(
とほ
)
りだらう。
134
そんな
目
(
め
)
に
唾
(
つば
)
を
着
(
つ
)
けるやうな
同情
(
どうじやう
)
は
止
(
や
)
めなさい。
135
それよりも
態
(
てい
)
よう
老爺
(
おやぢ
)
に
早
(
はや
)
く
死
(
し
)
んだらよいと
云
(
い
)
うたが
宜
(
よろ
)
しからうぜ。
136
悪党
(
あくたう
)
なら
悪党
(
あくたう
)
らしく、
137
男
(
をとこ
)
らしくせぬのかい。
138
そんな
事
(
こと
)
で
大陰謀
(
だいいんぼう
)
が
成就
(
じやうじゆ
)
するものか、
139
お
前
(
まへ
)
さまも
徹底
(
てつてい
)
的
(
てき
)
の
悪人
(
あくにん
)
だと
思
(
おも
)
つたが
大徹底
(
だいてつてい
)
的
(
てき
)
の
悪人
(
あくにん
)
だつたな。
140
悲
(
かな
)
しくもないのに
悲
(
かな
)
しい
様
(
やう
)
に
云
(
い
)
ふ
丈
(
だ
)
け
人間
(
にんげん
)
が
悪
(
わる
)
いわ』
141
と
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
を
管巻
(
くだま
)
く。
142
斯
(
か
)
かる
処
(
ところ
)
へエキス、
143
ヘルマンの
両人
(
りやうにん
)
、
144
ズブ
六
(
ろく
)
に
酔
(
よ
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
門
(
もん
)
の
戸
(
と
)
を
矢鱈
(
やたら
)
に
叩
(
たた
)
き、
145
両人
(
りやうにん
)
『ヘー、
146
御免
(
ごめん
)
なせえ。
147
鬼門
(
きもん
)
の
神
(
かみ
)
がやつて
来
(
き
)
やした。
148
ワックスさまの
陰謀
(
いんぼう
)
先生
(
せんせい
)
は
在宅
(
ざいたく
)
ですかな。
149
何
(
なん
)
だ、
150
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
も
返事
(
へんじ
)
しやがらぬな。
151
ハハア、
152
俺
(
おれ
)
を
排斥
(
はいせき
)
してけつかるのか。
153
ヨーシ、
154
何
(
なに
)
もかも、
155
之
(
これ
)
から
館
(
やかた
)
へ
行
(
い
)
つて
陰謀
(
いんぼう
)
を
素破抜
(
すつぱぬ
)
いてやらう……と
云
(
い
)
つても
俺
(
おれ
)
も
其
(
その
)
仲間
(
なかま
)
だ。
156
何時
(
なんどき
)
暴露
(
ばれ
)
て
笠
(
かさ
)
の
台
(
だい
)
が
飛
(
と
)
ぶかも
知
(
し
)
れないのだ。
157
それを
思
(
おも
)
へば
甘
(
うめ
)
え
酒
(
さけ
)
も
不味
(
まづ
)
うなつて
来
(
く
)
る。
158
斯
(
か
)
う
毎日
(
まいにち
)
毎日
(
まいにち
)
心
(
こころ
)
の
鬼
(
おに
)
に
責
(
せ
)
められては、
159
やりきれない。
160
一
(
ひと
)
つワックスの
若造
(
わかざう
)
に
無心
(
むしん
)
を
云
(
い
)
つて
三百
(
さんびやく
)
両
(
りやう
)
ばかりおつ
放
(
ぽ
)
り
出
(
だ
)
させ、
161
自棄酒
(
やけざけ
)
でも
飲
(
の
)
んで
過
(
す
)
ごさにややりきれないわ』
162
と
戸
(
と
)
を
無理
(
むり
)
に
引
(
ひ
)
き
開
(
あ
)
け、
163
ドカドカと
病室
(
びやうしつ
)
に
駆
(
か
)
け
込
(
こ
)
み、
164
エキス『ヤ、
165
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
、
166
矢張
(
やつぱり
)
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
ですかな。
167
そりや
誠
(
まこと
)
にお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だ。
168
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
一
(
ひと
)
つ
願
(
ねが
)
ひ
度
(
て
)
え
事
(
こと
)
があつて
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
がやつて
来
(
き
)
やした。
169
此
(
この
)
様子
(
やうす
)
では
御
(
ご
)
家令
(
かれい
)
さまも、
170
とても
助
(
たす
)
かりますまい。
171
沢山
(
たくさん
)
の
財産
(
ざいさん
)
を
持
(
も
)
つて
冥土
(
めいど
)
に
行
(
ゆ
)
く
訳
(
わけ
)
にもゆくまいし、
172
チツトは
善根
(
ぜんこん
)
の
為
(
ため
)
にわれわれ
両人
(
りやうにん
)
に
三百
(
さんびやく
)
両
(
りやう
)
ばかり
死土産
(
しにみやげ
)
を
下
(
くだ
)
つせえ。
173
お
前
(
まへ
)
の
大切
(
たいせつ
)
の
倅
(
せがれ
)
の
首
(
くび
)
がつなげるのも、
174
つなげぬのも、
175
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
の
舌
(
した
)
三寸
(
さんずん
)
の
使
(
つか
)
ひやうだ。
176
死
(
し
)
んでも
心残
(
こころのこ
)
りのない
様
(
やう
)
に、
177
サア、
178
スツパリと
三百
(
さんびやく
)
両
(
りやう
)
〆
(
しめ
)
て
六百
(
ろくぴやく
)
両
(
りやう
)
出
(
だ
)
して
頂
(
いただ
)
きやせう。
179
御
(
ご
)
家令
(
かれい
)
さま、
180
小倅
(
こせがれ
)
の
命
(
いのち
)
が
繋
(
つな
)
げると
思
(
おも
)
へば
安価
(
やす
)
いものでせう』
181
看護婦
(
かんごふ
)
『コレお
二方
(
ふたかた
)
、
182
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
が
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
の
処
(
とこ
)
へ、
183
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
来
(
く
)
るものぢやありませぬよ。
184
若旦那
(
わかだんな
)
が
別館
(
はなれ
)
に
居
(
を
)
られますから、
185
彼処
(
あそこ
)
に
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
186
此
(
この
)
病室
(
びやうしつ
)
へは
這入
(
はい
)
つてはなりませぬ。
187
ここは
看護婦
(
かんごふ
)
の
許可
(
ゆるし
)
がなけりや
一歩
(
ひとあし
)
も
這入
(
はい
)
つてはいけませぬ』
188
エキス『
成程
(
なるほど
)
、
189
これは
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
つた。
190
ワックスの
若
(
わか
)
が
別館
(
はなれ
)
に
居
(
ゐ
)
るさうだ。
191
一
(
ひと
)
つ
彼奴
(
あいつ
)
に
談判
(
だんぱん
)
してドツサリと
むし
つて
来
(
こ
)
ようぢやないか。
192
グツツツツゲゲゲゲガラガラガラドツツツツ』
193
と
八百屋
(
やほや
)
店
(
みせ
)
を
出
(
だ
)
す。
194
看護婦
(
かんごふ
)
『エー、
195
好
(
す
)
かんたらしい、
196
掃除
(
さうぢ
)
をなさい。
197
妾
(
わたし
)
はお
前
(
まへ
)
等
(
たち
)
の
掃除役
(
さうぢやく
)
ではありませぬぞえ』
198
エキス『エー、
199
八釜
(
やかま
)
しう
云
(
い
)
ふない。
200
出
(
で
)
たものは
仕方
(
しかた
)
がないわ。
201
グヅグヅ
吐
(
ぬか
)
して
六百
(
ろくぴやく
)
両
(
りやう
)
の
金
(
かね
)
を
出
(
だ
)
し
惜
(
をし
)
みしやがるものだから
嘔吐
(
へど
)
の
奴
(
やつ
)
、
202
気
(
き
)
を
利
(
き
)
かして
八百
(
はつぴやく
)
両
(
りやう
)
、
203
いや
八百屋
(
はつぴやくや
)
店
(
みせ
)
を
出
(
だ
)
したのだ。
204
エー、
205
臭
(
くさ
)
い
臭
(
くさ
)
い、
206
おいヘルマン、
207
行
(
い
)
かうぢやないか。
208
こんな
斃
(
くたば
)
つた
老爺
(
おやぢ
)
に
向
(
むか
)
つて
文句
(
もんく
)
を
並
(
なら
)
べたつて
仕方
(
しかた
)
がないや』
209
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
210
ヒヨロリヒヨロリ
廊下
(
らうか
)
を
伝
(
つた
)
つて
足
(
あし
)
をヨボヨボさせ
乍
(
なが
)
ら
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
211
エキス『おい、
212
ワックスの
大将
(
たいしやう
)
、
213
金
(
かね
)
だ
金
(
かね
)
だ。
214
今日
(
けふ
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
貰
(
もら
)
はなくちや
動
(
うご
)
かねえのだ。
215
エー、
216
よう
考
(
かんが
)
へてみよ。
217
宮町
(
みやまち
)
一般
(
いつぱん
)
の
人間
(
にんげん
)
を
騙
(
だま
)
くらかし、
218
大切
(
たいせつ
)
なお
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
を
狐
(
きつね
)
のお
化
(
ばけ
)
だと
云
(
い
)
つて、
219
あんな
岩窟
(
いはや
)
に
押込
(
おしこ
)
めよつて
往生
(
わうじやう
)
づくめでウンと
云
(
い
)
はさうと
思
(
おも
)
つても、
220
さうはいかぬぞ。
221
サア
六百
(
ろくぴやく
)
両
(
りやう
)
、
222
耳
(
みみ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
出
(
だ
)
したり
出
(
だ
)
したり、
223
グヅグヅ
吐
(
ぬか
)
すと
二人
(
ふたり
)
が
之
(
これ
)
からお
館
(
やかた
)
へ
行
(
い
)
つて
素破抜
(
すつぱぬ
)
くが
如何
(
どう
)
だ。
224
三千彦
(
みちひこ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
にだつて、
225
あんな
事
(
こと
)
をしやがつて、
226
本当
(
ほんたう
)
に
太
(
ふて
)
え
野郎
(
やらう
)
だ。
227
サア、
228
キリキリチヤツと、
229
四
(
し
)
の
五
(
ご
)
の
吐
(
ぬか
)
さず
六百
(
ろくぴやく
)
両
(
りやう
)
出
(
だ
)
さぬかい。
230
エー
篦棒
(
べらぼう
)
奴
(
め
)
、
231
無
(
な
)
いと
云
(
い
)
ふのか。
232
こんなデツカイ
屋台骨
(
やたいぼね
)
をしやがつて
金
(
かね
)
の
千
(
せん
)
両
(
りやう
)
や
一万
(
いちまん
)
両
(
りやう
)
、
233
無
(
な
)
いとは
云
(
い
)
はさぬぞ。
234
お
前
(
まへ
)
の
老爺
(
おやぢ
)
は
家令
(
かれい
)
をしやがつて、
235
うまい
事
(
こと
)
して
沢山
(
たくさん
)
の
金
(
かね
)
を
穴倉
(
あなぐら
)
へ
仕舞
(
しま
)
ひ
込
(
こ
)
んだと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ。
236
渋老爺
(
しぶおやぢ
)
の
鬼老爺
(
おにおやぢ
)
の
倅
(
せがれ
)
だけあつて
貴様
(
きさま
)
も
中々
(
なかなか
)
出
(
だ
)
し
嫌
(
ぎら
)
ひと
見
(
み
)
えるが、
237
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
俺
(
おれ
)
には
出
(
だ
)
さにやならぬ
理由
(
わけ
)
がある。
238
サア、
239
キリキリ チヤツとおつ
放
(
ぽ
)
り
出
(
だ
)
さぬかい。
240
マゴマゴして
居
(
ゐ
)
やがると
貴様
(
きさま
)
の
首
(
くび
)
が
飛
(
と
)
んで
了
(
しま
)
ふぞ』
241
ワックス『オイ、
242
又
(
また
)
しても
又
(
また
)
してもさう
脅喝
(
けふかつ
)
に
来
(
き
)
ては
困
(
こま
)
るぢやないか。
243
今
(
いま
)
老爺
(
おやぢ
)
が
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
場合
(
ばあひ
)
だから……
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
の
親
(
おや
)
に
離
(
はな
)
れようとする
最中
(
さいちう
)
だから、
244
チツと
俺
(
おれ
)
の
身
(
み
)
にもなつて
呉
(
く
)
れ。
245
老爺
(
おやぢ
)
が
亡
(
な
)
くなつてから
如何
(
どう
)
でもしてやるから』
246
エキス『
暫
(
しば
)
らく
待
(
ま
)
たれる
位
(
くらゐ
)
なら
病人
(
びやうにん
)
で
取込
(
とりこ
)
んで
居
(
ゐ
)
る
家
(
うち
)
へやつて
来
(
く
)
るものかい。
247
お
前
(
まへ
)
はさう
陽気
(
やうき
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つてるが
俺
(
おれ
)
は
尻
(
しり
)
に
火
(
ひ
)
がついて
居
(
ゐ
)
るのだ。
248
サア
早
(
はや
)
くキリキリチヤツと
出
(
だ
)
したり
出
(
だ
)
したり』
249
ビルマ『オイ
両人
(
りやうにん
)
、
250
さう
八釜
(
やかま
)
しう
云
(
い
)
はずに、
251
俺
(
おれ
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
酒
(
さけ
)
でも
飲
(
の
)
んだら
如何
(
どう
)
だ。
252
話
(
はなし
)
は
後
(
あと
)
で
緩
(
ゆつく
)
りしたら
宜
(
い
)
いぢやないか』
253
エキス『ウン、
254
酒
(
さけ
)
なら
飲
(
の
)
んでやらぬ
事
(
こと
)
はない。
255
四斗樽
(
しとだる
)
と
仇名
(
あだな
)
をとつたエキス、
256
ヘルマンの
両人
(
りやうにん
)
だ。
257
お
酒
(
さけ
)
の
御用
(
ごよう
)
なら
後
(
あと
)
へは
退
(
ひ
)
かぬぞ』
258
とドツカリと
坐
(
ざ
)
し、
259
柄杓
(
ひしやく
)
に
掬
(
すく
)
うてグーグーと
飲
(
の
)
み
始
(
はじ
)
めた、
260
四
(
よ
)
人
(
にん
)
はへべれけに
酔
(
よ
)
ひ、
261
四辺
(
あたり
)
構
(
かま
)
はず
堤
(
どて
)
を
切
(
き
)
らして
唄
(
うた
)
ひ
初
(
はじ
)
めた。
262
エキス『
欲
(
よく
)
と
色
(
いろ
)
との
二道
(
ふたみち
)
かけて
263
極道
(
ごくだう
)
息子
(
むすこ
)
のワックスが
264
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
をちよろまかし
265
テルモン
館
(
やかた
)
の
御
(
おん
)
宝
(
たから
)
266
マンマと
盗
(
ぬす
)
み
出
(
いだ
)
さして
267
自分
(
じぶん
)
がデビスの
婿
(
むこ
)
となり
268
終
(
しま
)
ひの
果
(
は
)
てにや
小国別
(
をくにわけ
)
の
269
権利
(
けんり
)
財産
(
ざいさん
)
横奪
(
わうだつ
)
し
270
栄耀
(
えいえう
)
栄華
(
えいぐわ
)
に
暮
(
くら
)
さうと
271
テツキリ
梟
(
ふくろふ
)
の
宵企
(
よひだく
)
み
272
夜食
(
やしよく
)
に
外
(
はづ
)
れて
青
(
あを
)
い
顔
(
かほ
)
273
致
(
いた
)
さにやならぬ
時
(
とき
)
が
来
(
き
)
た
274
ドツコイシヨ ドツコイシヨ
275
それさへあるにデビス
姫
(
ひめ
)
276
類
(
たぐ
)
ひ
稀
(
まれ
)
なるナイスさま
277
ケリナの
姫
(
ひめ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
278
テルモン
山
(
ざん
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
へ
279
狐
(
きつね
)
のお
化
(
ばけ
)
とちよろまかし
280
押
(
お
)
し
込
(
こ
)
んで
置
(
お
)
いて
夜
(
よ
)
な
夜
(
よ
)
なに
281
口説
(
くど
)
きに
行
(
ゆ
)
きよる
馬鹿
(
ばか
)
男
(
をとこ
)
282
之
(
これ
)
程
(
ほど
)
悪
(
あく
)
を
企
(
たく
)
む
奴
(
やつ
)
283
六百
(
ろくぴやく
)
両
(
りやう
)
の
黄金
(
わうごん
)
が
284
惜
(
をし
)
うて
出
(
だ
)
せぬ
位
(
くらゐ
)
なら
285
首
(
くび
)
でも
吊
(
つ
)
つて
死
(
し
)
ぬがよい
286
何
(
いづ
)
れ
死
(
し
)
なねばならぬ
奴
(
やつ
)
287
今
(
いま
)
に
天罰
(
てんばつ
)
報
(
むく
)
い
来
(
き
)
て
288
家
(
いへ
)
は
断絶
(
だんぜつ
)
その
身
(
み
)
は
所刑
(
しおき
)
289
これの
館
(
やかた
)
は
風前
(
ふうぜん
)
の
290
燈火
(
とうくわ
)
の
如
(
ごと
)
く
刻々
(
こくこく
)
に
291
危険
(
きけん
)
の
迫
(
せま
)
るを
知
(
し
)
らないか
292
生命
(
いのち
)
が
大切
(
だいじ
)
か
黄金
(
わうごん
)
が
293
大切
(
だいじ
)
かよつく
考
(
かんが
)
へよ
294
金
(
かね
)
と
命
(
いのち
)
の
引替
(
ひきか
)
へに
295
早
(
はや
)
く
渡
(
わた
)
せよワックスよ
296
俺
(
おい
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
は
自棄糞
(
やけくそ
)
だ
297
之
(
これ
)
から
館
(
やかた
)
へ
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで
298
恐
(
おそ
)
れ
乍
(
なが
)
らと
白状
(
はくじやう
)
する
299
そしたら
貴様
(
きさま
)
は
第一
(
だいいち
)
に
300
悪
(
あく
)
の
兇頭
(
きやうとう
)
と
定
(
さだ
)
められ
301
命
(
いのち
)
のないのは
知
(
し
)
れた
事
(
こと
)
302
俺
(
おれ
)
等
(
たち
)
二人
(
ふたり
)
は
従犯
(
じゆうはん
)
だ
303
重
(
おも
)
い
所
(
ところ
)
で
遠島
(
ゑんたう
)
か
304
所払
(
ところばら
)
ひになる
位
(
くらゐ
)
305
早
(
はや
)
く
出
(
だ
)
せ
出
(
だ
)
せ
六百
(
ろくぴやく
)
両
(
りやう
)
306
ヨイトシヨー ヨイトシヨー
307
こんな
酸
(
す
)
つぱい
酒
(
さけ
)
位
(
ぐらゐ
)
308
飲
(
の
)
ましておいて
箝口令
(
かんこうれい
)
309
布
(
し
)
いた
所
(
ところ
)
で
駄目
(
だめ
)
ぢやぞよ
310
暴露
(
ばら
)
してやらうかワックスよ
311
命
(
いのち
)
が
惜
(
をし
)
けりや
金
(
かね
)
を
出
(
だ
)
せ
312
デビスが
欲
(
ほ
)
しけりや
金
(
かね
)
を
出
(
だ
)
せ
313
ケリナが
欲
(
ほ
)
しくば
金
(
かね
)
を
出
(
だ
)
せ
314
館
(
やかた
)
の
養子
(
やうし
)
になり
度
(
た
)
くば
315
ヤツパリ
六百
(
ろくぴやく
)
両
(
りやう
)
の
金
(
かね
)
を
出
(
だ
)
せ
316
金
(
かね
)
を
出
(
だ
)
すのが
嫌
(
いや
)
なれば
317
俺
(
おれ
)
等
(
たち
)
の
前
(
まへ
)
に
首
(
くび
)
を
出
(
だ
)
せ
318
此
(
この
)
出刃
(
でば
)
庖丁
(
ばうちよう
)
でチヨンぎつて
319
アンブラック
川
(
がは
)
へドンブリと
320
流
(
なが
)
してやらうか
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
か
321
アア
金
(
かね
)
が
欲
(
ほ
)
しい、
金
(
かね
)
が
欲
(
ほ
)
しい
322
金
(
かね
)
が
敵
(
かたき
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
ぢや
323
何程
(
なにほど
)
敵
(
かたき
)
と
云
(
い
)
つたとて
324
金
(
かね
)
ほど
笑顔
(
ゑがほ
)
のよい
奴
(
やつ
)
が
325
又
(
また
)
と
世界
(
せかい
)
にあるものか
326
ドツコイシヨ ドツコイシヨ
327
金
(
かね
)
ぢや
金
(
かね
)
ぢや
早
(
は
)
や
金
(
かね
)
ぢや
328
警鐘
(
けいしよう
)
乱打
(
らんだ
)
の
声
(
こゑ
)
よりも
329
俺
(
おれ
)
の
催促
(
さいそく
)
烈
(
はげ
)
しいぞ
330
コラコラ
悪党
(
あくたう
)
ワックスよ
331
色
(
いろ
)
と
欲
(
よく
)
との
二道
(
ふたみち
)
かけた
332
此
(
この
)
大芝居
(
おほしばゐ
)
をやり
遂
(
と
)
げて
333
安全
(
あんぜん
)
無事
(
ぶじ
)
に
此
(
こ
)
の
世
(
よ
)
をば
334
送
(
おく
)
らうと
思
(
おも
)
へば
金
(
かね
)
を
出
(
だ
)
せ
335
資本
(
もとで
)
がなくては
何事
(
なにごと
)
も
336
成就
(
じやうじゆ
)
せないは
世
(
よ
)
の
習
(
なら
)
ひ
337
アア
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
338
金
(
かね
)
をドツサリ
下
(
くだ
)
さんせ
339
バラモン
帝釈
(
たいしやく
)
自在天
(
じざいてん
)
340
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
341
エキス ヘルマン
両人
(
りやうにん
)
が
342
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎまつる
343
ウントコシヨ ドツコイシヨ
344
八釜
(
やかま
)
しい
声
(
こゑ
)
が
人耳
(
ひとみみ
)
に
345
入
(
い
)
るのが
嫌
(
いや
)
なら
金
(
かね
)
を
出
(
だ
)
せ
346
どんな
難
(
むつかし
)
い
問題
(
もんだい
)
も
347
金
(
かね
)
で
治
(
をさ
)
まる
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だ
348
兎角
(
とかく
)
浮世
(
うきよ
)
は
色
(
いろ
)
と
酒
(
さけ
)
349
此
(
この
)
欲望
(
よくばう
)
を
充
(
みた
)
すのは
350
ヤツパリ
金
(
かね
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だ
351
お
前
(
まへ
)
の
首
(
くび
)
をつなぐのも
352
ヤツパリ
金
(
かね
)
の
御
(
ご
)
利益
(
りやく
)
だ
353
蒔
(
ま
)
かない
種子
(
たね
)
は
生
(
は
)
えぬぞや
354
早
(
はや
)
く
命
(
いのち
)
の
種子
(
たね
)
を
蒔
(
ま
)
け
355
ドツコイシヨー ドツコイシヨー
356
扨
(
さ
)
ても
強情
(
しぶと
)
い
吝嗇
(
しみたれ
)
だ
357
それ
程
(
ほど
)
金
(
かね
)
が
惜
(
をし
)
いかい
358
雪隠
(
せつちん
)
の
側
(
そば
)
の
猿
(
さる
)
不食柿
(
くはず
)
359
渋
(
しぶ
)
うて
汚
(
きたな
)
うて
小
(
こま
)
かうて
360
喰
(
く
)
へない
奴
(
やつ
)
は
貴様
(
きさま
)
ぞや
361
アア
金
(
かね
)
が
欲
(
ほ
)
しい
金
(
かね
)
が
欲
(
ほ
)
しい
362
目玉
(
めだま
)
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
しましませよ』
363
と
自棄糞
(
やけくそ
)
になつてワックスを
困
(
こま
)
らせるために
四辺
(
あたり
)
構
(
かま
)
はず
喚
(
わめ
)
き
立
(
た
)
てる。
364
ワックスは
堪
(
たま
)
りかねて
矢場
(
やには
)
に
父
(
ちち
)
の
病室
(
びやうしつ
)
に
駆
(
か
)
け
入
(
い
)
り、
365
ソファーの
下
(
した
)
に
匿
(
かく
)
してある
黄金
(
わうごん
)
を
無理
(
むり
)
に
引
(
ひつ
)
たくり、
366
二人
(
ふたり
)
の
前
(
まへ
)
に
投
(
な
)
げつけた。
367
エキス『エヘヘヘヘ
流石
(
さすが
)
は
哥兄
(
あにき
)
だ。
368
偉
(
えら
)
い
偉
(
えら
)
い、
369
吾
(
わが
)
意
(
い
)
を
得
(
え
)
たりと
云
(
い
)
ふべしだ。
370
成程
(
なるほど
)
山吹色
(
やまぶきいろ
)
の
黄金
(
わうごん
)
で
耳
(
みみ
)
を
揃
(
そろ
)
へて
六百
(
ろくぴやく
)
両
(
りやう
)
、
371
マアこれで
三十
(
さんじふ
)
日
(
にち
)
ばかりは
沈黙
(
ちんもく
)
を
守
(
まも
)
つて
居
(
ゐ
)
るから、
372
次
(
つぎ
)
に
来
(
く
)
る
迄
(
まで
)
用意
(
ようい
)
をして
置
(
お
)
くが
宜
(
よ
)
からうぞ。
373
今度目
(
こんどめ
)
にゴテゴテ
云
(
い
)
うと
駄目
(
だめ
)
だからな』
374
と
下駄
(
げた
)
を
預
(
あづ
)
け
乍
(
なが
)
ら、
375
六百
(
ろくぴやく
)
両
(
りやう
)
を
二人
(
ふたり
)
が
懐
(
ふところ
)
に
捻
(
ね
)
ぢ
込
(
こ
)
み、
376
ブラリブラリと
臭
(
くさ
)
い
息
(
いき
)
を
吐
(
は
)
きながら
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
377
(
大正一二・三・二四
旧二・八
於皆生温泉浜屋
北村隆光
録)
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