霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二一章 言触(ことぶれ)〔一四七一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第57巻 真善美愛 申の巻 篇:第3篇 天上天下 よみ(新仮名遣い):てんじょうてんか
章:第21章 言触 よみ(新仮名遣い):ことぶれ 通し章番号:1471
口述日:1923(大正12)年03月26日(旧02月10日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年5月24日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ワックスが我が家に馳せ帰ると、父のオールスチンはほとんど虫の息となっていた。ワックスは驚き、病床に駆け寄って涙の声でいつになく優しく加減を尋ねたが、オールスチンは瞑目してしまった。
ワックスは看護婦に当たり散らし、出て行くようにと怒鳴りつけた。ワックスは、出て行こうとする看護婦の荷物に難癖をつけて荷物改めをした。すると中から白い煙が音を立てて立ち上がり、中からデビス姫とケリナ姫がニコニコしながら立ち現われた。
ワックスは驚いて腰を抜かし、のどが詰まって震えている。オークスとビルマはその間にソファーを取り除け畳をめくり、オールスチンが隠しておいた金銀の小玉を引っ張り出して、看護婦のトランクに詰めると、倒れているワックスを嘲笑して表に駆け出してしまった。
エルはこの有様を見ると慌てて面に駆け出して、自分が見たことをわけのわからない歌にして歌って、十字街頭で触れ回っている。
親爺がせがれに渡さずに残した金銀は天下の所有品だと触れ回るのを聞いた群衆は、葬式がてら金銀をせしめようとワックスの館に集まってきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5721
愛善世界社版:256頁 八幡書店版:第10輯 352頁 修補版: 校定版:266頁 普及版:120頁 初版: ページ備考:
001 ワックスは(おどろ)(わが)()馳帰(はせかへ)()れば(ちち)のオールスチンは(やまひ)益々(ますます)(おも)く、002(ほとん)(むし)(いき)になつて()た。003流石(さすが)のワックスも(おどろ)いて(ちち)病床(びやうしやう)()()り、004(なみだ)(こゑ)(しぼ)(なが)ら、
005ワックス『お(とう)(さま)006如何(いかが)(ござ)います。007(くる)しう(ござ)いますか』
008とツヒになく(やさ)しく(たづ)ねる。009オールスチンはクワツと()(みひら)き、010ニタリと(わら)つた(まま)瞑目(めいもく)して(しま)つた。
011ワックス『アーア到頭(とうとう)大切(たいせつ)大切(たいせつ)のお(とう)さまはなくなつて(しま)つた。012アアどうしようかな。013おい、014オークス、015ビルマ、016一度(いちど)どうかして(よみがへ)つて(もら)(みち)はあるまいかな。017コラ看護婦(かんごふ)018貴様(きさま)(たち)二人(ふたり)()いて()つて(なに)して()た。019親爺(おやぢ)()ぬやうな看護(かんご)(たの)みはせぬぞ、020病気(びやうき)(なほ)(ため)021(たか)(かね)()して(やと)うて()たのだ。022(おれ)不在(るす)()(なに)(わる)(こと)したのだらう。023トツトと()()け』
024とソロソロ地金(ぢがね)()しワヤな(こと)()()した。025看護婦(かんごふ)(あき)れて(かへ)言葉(ことば)もなく、026(つら)(ふく)らし(なが)自分(じぶん)持物(もちもの)()りまつべて()(かへ)らうとする。
027ワックス『コリヤ一寸(ちよつと)()て、028その荷物(にもつ)税関(ぜいくわん)調(しら)べてやらう。029親爺(おやぢ)小判(こばん)をソファーの(した)から引張(ひつぱ)()して()めて()るのだらう』
030看護婦(かんごふ)『ホホホそんな(やす)人間(にんげん)(おも)つて(もら)ひますと片腹(かたはら)(いた)(ござ)います。031(しか)(この)トランクは(わたし)(もの)ですから指一本(ゆびいつぽん)()へるなら()へて御覧(ごらん)なさい』
032ワックス『ヨシ、033みん(ごと)調(しら)べてやらう。034大泥棒(おほどろぼう)()が』
035()(なが)二人(ふたり)看護婦(かんごふ)のトランクを無理(むり)捻開(ねぢあ)けた。036(たちま)(しろ)(けむり)シユーシユーと(おと)()てて(たち)あがり、037(なか)よりデビス(ひめ)038ケリナ(ひめ)二人(ふたり)がニコニコしながら()(あら)はれた。039ワックスはアツと(おどろ)(こし)()かし『バ……化物(ばけもの)』と()んだきり、040(のど)がつまり(くち)をワナワナさせ(ふる)うて()る。041オークス、042ビルマは(その)(あひだ)にソファーを()()け、043(たたみ)をめくり、044オールスチンの(かく)して()いた金銀(きんぎん)小玉(こだま)引張(ひつぱり)()し、045看護婦(かんごふ)のトランクに()()み、046(たふ)れて()るワックスの(まへ)()せびらかし、
047オークス『もし、048ワックス(さま)049これ(だけ)戦利品(せんりひん)(ござ)いましたよ。050(あと)にはもう(ひと)つも(のこ)つて()りませぬ。051ビルマと両人(りやうにん)有難(ありがた)頂戴(ちやうだい)(いた)します。052(まへ)さまはお(ばけ)(ひめ)(さま)仲良(なかよ)(くら)しなさい。053(まへ)さまの(こし)三日(みつか)四日(よつか)にや()ちますまいから、054これから両人(りやうにん)聖地(せいち)逐電(ちくでん)(いた)し、055ハルナの(みやこ)()つて栄耀(えいえう)栄華(えいぐわ)(くら)します、056アバよ、057ウツフフフフフフ』
058(あご)をしやくり嘲笑(てうせう)しながらスタスタと(おもて)()()す。059二人(ふたり)看護婦(かんごふ)姿(すがた)何処(どこ)()つたか皆目(かいもく)()えなかつた。060ワックスは無念(むねん)をこらへ歯切(はぎ)りを()んで()()二人(ふたり)(あと)(うら)めしげに見送(みおく)つて()た。061狼狽者(あわてもの)のエルはトランクの(なか)から美人(びじん)()たのと、062オールスチンの絶命(ことぎ)れたのを()逸早(いちはや)()()し、063(ふたた)十字(じふじ)街頭(がいとう)()(あら)はれ、064大音声(だいおんじやう)()()げて言触(ことぶれ)(はじ)()した。
065エル『ドンドコ ドンドコ ドンドコドン
066ヤア大変(たいへん)ぢやア大変(たいへん)ぢやア
067(てん)()となり()(てん)となる
068ドンドコ ドンドコ ドンドコドン
069ワックスさまの親爺(おやぢ)さま
070(かみ)(やかた)家老職(からうしよく)
071オールスチンが(めい)()きて
072極楽(ごくらく)(まゐ)りを(いた)したぞ
073ドンドコ ドンドコ ドンドコドン
074(みな)さま(はや)()けつけて
075葬式(さうしき)万端(ばんたん)手伝(てつだ)うて
076野辺(のべ)(おく)りをするが()
077悪酔怪(あくすゐくわい)会長(くわいちやう)さま
078ワックスさまは(こし)()かし
079アフンとばかり(くち)()けて
080ものをも()はず(たふ)れてる
081ドンドコ ドンドコ ドンドコドン
082それにまだまだ不思議(ふしぎ)なは
083二人(ふたり)看護婦(かんごふ)(たちま)ちに
084(くも)(かすみ)()()せた
085不思議(ふしぎ)(おも)最中(さいちう)
086ワックスさまがパツと()けた
087トランクの(なか)からシユーシユーと
088(しろ)(けぶり)()(のぼ)
089ドンドコ ドンドコ ドンドコドン
090あらマア不思議(ふしぎ)摩訶(まか)不思議(ふしぎ)
091(かみ)(やかた)にあれませる
092デビスの(ひめ)やケリナ(ひめ)
093ニコニコし(なが)(あら)はれた
094ドンドコ ドンドコ ドンドコドン
095これもヤツパリ三五(あななひ)
096魔法使(まはふづかひ)仕業(しわざ)だと
097(おも)へば(にはか)(こは)くなり
098家令(かれい)()んだ報告(はうこく)
099ワックスさまの(こし)()かし
100化女(ばけをんな)出現(しゆつげん)
101報告(はうこく)がてらにやつて()
102ドンドコ ドンドコ ドンドコドン
103今度(こんど)(うそ)では()(ほど)
104本真(ほんま)本真(ほんま)()んだのだ
105ソファーの(した)にドツサリと
106(きん)(ぎん)との小玉(こだま)()
107目玉(めだま)()いて(うな)つてる
108()()れるなら(いま)だぞや
109(すべ)(この)()財産(ざいさん)
110人一代(ひといちだい)()(こと)
111親爺(おやぢ)(せがれ)(わた)さずに
112(のこ)して()んだ(たから)なら
113(たれ)(ひろ)うても(おな)(こと)
114これは天下(てんか)所有品(しよいうひん)
115(かね)()しい代物(しろもの)
116(いち)()(はや)()んで()
117(おも)存分(ぞんぶん)引掴(ひつつか)
118栄耀(えいえう)栄華(えいぐわ)()らさんせ
119ドンドコ ドンドコ ドンドコドン
120執念(しふねん)かかつた金銀(きんぎん)
121(おれ)(ひろ)はうと(おも)はない
122さはさり(なが)黄金(わうごん)
123もの()時節(じせつ)(みな)さまよ
124ドンドコ ドンドコ ドンドコドン
125強欲爺(がうよくぢぢ)葬礼(さうれい)
126(おもて)にかこつけドシドシと
127遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)()らぬ(ゆゑ)
128()しかけ()きて(たから)をば
129各自(めんめ)にせしめた(はう)がよい
130ワックスさまの腰抜(こしぬ)けが
131もとへ(もど)らぬ(その)(さき)
132(はや)()つたら()(どく)ぢや
133一歩先(ひとあしさき)()(もの)
134どうしてもお神徳(かげ)(おほ)いぞや
135ドンドコ ドンドコ ドンドコドン
136ア、エーエエエ エーエエエ
137()ても果敢(はか)ない人間(にんげん)(いのち)
138(よく)(かは)をば引張(ひつぱ)つて
139小国別(をくにのわけ)のお(やかた)
140家令(かれい)(つと)めチヨコ チヨコと
141上前(うはまへ)はねて()()いた
142(つみ)(けがれ)凝固(かたま)つた
143(きん)(ぎん)とを沢山(たくさん)
144(のこ)して()んだ気味(きみ)()
145(あく)はどうしても(なが)つづき
146(いた)さぬものだと今更(いまさら)
147(この)エルさまは(さと)りました
148オールスチンの親爺(おやぢ)()
149何時(いつ)(えら)さうに俺様(おれさま)
150エルよエルよと()()てに
151こき使(つか)ひやがつた(その)(むく)
152(いま)()のあたり面白(おもしろ)
153ドンドコ ドンドコ ドンドコドン
154(ひと)はどうしても生前(せいぜん)
155(ぜん)(おこな)(ほどこ)しを
156やつて()かねば(つま)らない
157今度(こんど)家令(かれい)()手本(てほん)
158(みな)さま(しつか)りなさいませ
159ドンドコ ドンドコ ドンドコドン
160サアサア(わたし)()案内(あんない)
161(みな)さま()いて(ござ)いませ
162ドンドコ ドンドコ ドンドコドン』
163豆太鼓(まめだいこ)(たた)(なが)()()した。164(よく)()()群衆(ぐんしう)()第一(だいいち)金銀(きんぎん)小玉(こだま)(ひと)つなりとも拾得(しふとく)し、165(その)葬式(さうしき)(くは)はり、166故人(こじん)(れい)(なぐさ)めむものと、167()(あつ)(なつ)()(よく)(かは)引張(ひつぱ)つて、168(あせ)をタラタラ(しぼ)(なが)(はし)()く。
169大正一二・三・二六 旧二・一〇 於皆生温泉浜屋 北村隆光録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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