霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一三章 悪酔怪(あくすゐくわい)〔一四六三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第57巻 真善美愛 申の巻 篇:第2篇 顕幽両通 よみ(新仮名遣い):けんゆうりょうつう
章:第13章 悪酔怪 よみ(新仮名遣い):あくすいかい 通し章番号:1463
口述日:1923(大正12)年03月25日(旧02月9日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年5月24日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ワックスは、悪友のエキスとヘルマンや、三五教の三千彦、また水平会なる団体を敵視し、これらに対抗するために悪酔怪なる団体を考え出した。弱きをくじき強気に従うという奇妙奇天烈な結社である。
ワックスは創立委員長としてテルモン山の議事堂に集まり、オークスに開会の辞を朗読せしめた。そして一条の演説を試み、三五教の三千彦、エキス、ヘルマンらは弱者なるがゆえに、悪酔怪設立の趣旨にしたがって彼らを除くべく会員たちに協力を願いたてた。
群衆の中からエキスが怒って現れ、我々に六百両を脅し取られたワックスこそ弱者だと述べ立てた。そして宮町の家々の宝が盗まれたのはワックスの仕業だと暴露した。
ワックスは経緯を詳しく知っているエキスこそ犯人に違いないと言い返した。群衆はこのやり取りを聞いて、ワックスとエキスをなぐり殺せと猛り狂った。ワックス、エキス、オークス、ビルマは細くなって抜け出し、テルモン山の山奥に逃げて行ってしまった。
エルが演壇に登って大声で演説を始め、ワックスとエキスは皆の肝玉を試そうとわざと活劇を演じて見せたのだ、と群衆を抑えにかかった。そして三五教の宣伝使こそが我々の共通の敵だとなだめた。
そして悪酔怪の設立を祝して酒宴を開くことを提案した。集まった荒くれ男たちは歓呼の声とともに踊り狂い、議事堂はたちまち床が墜落し、数百の鼠がおどろいて戸外に飛び出し、草むらに逃げて行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-04-12 12:54:05 OBC :rm5713
愛善世界社版:171頁 八幡書店版:第10輯 322頁 修補版: 校定版:179頁 普及版:83頁 初版: ページ備考:
001 ワックスは(ちち)(やまひ)旦夕(たんせき)(せま)り、002(うれ)しうもあり(かな)しうもあり、003大事(だいじ)(かか)()なして同時(どうじ)美人(びじん)芸者(げいしや)後連(あとづ)れに(もら)うたやうな、004悲喜(ひき)交々(こもごも)(てい)であつた。005其処(そこ)へ、006エキス、007ヘルマンの二人(ふたり)幾度(いくど)となくなつて()て、008(かね)むし()り、009(いま)(また)大枚(たいまい)六百(ろくぴやく)(りやう)強奪(がうだつ)して()()り、010三十(さんじふ)(にち)(のち)には(ふたた)無心(むしん)()ると下駄(げた)(あづ)けて(かへ)つたので、011(こころ)(こころ)ならず、012(なん)とかして強力(きやうりよく)なる団体(だんたい)(つく)り、013二人(ふたり)(がい)(まぬが)れむものと苦心(くしん)惨憺(さんたん)結果(けつくわ)014()智恵(ちゑ)(しぼ)()して悪酔怪(あくすゐくわい)なるものを()()したのである。015そして一方(いつぱう)にはアンブラック(がは)()()んだる、016三五教(あななひけう)三千彦(みちひこ)が、017スマートに(たす)けられ、018何処(どこ)かに姿(すがた)(かく)したと()(こと)()いて(こころ)(こころ)ならず、019(いま)(うち)強力(きようりよく)なる団体(だんたい)組織(そしき)し、020三千彦(みちひこ)威喝(ゐかつ)(また)自分(じぶん)悪事(あくじ)暴露(ばくろ)したる(とき)は、021この団体(だんたい)(ちから)(もつ)(ふせ)がむと千思(せんし)万慮(ばんりよ)結果(けつくわ)022同志(どうし)糾合(きうがふ)して本会(ほんくわい)設立(せつりつ)したのである。023本会(ほんくわい)(てき)とする(ところ)三千彦(みちひこ)のみならず、024水平会(すいへいくわい)をも唯一(ゆゐいつ)(てき)見做(みな)し、025(よわ)きを(くじ)(つよ)きに(したが)ふと()ふ、026奇妙(きめう)奇天烈(きてれつ)結社(けつしや)である。
027 ワックスは創立(さうりつ)委員長(ゐゐんちやう)としてテルモン(ざん)議事堂(ぎじだう)(あつ)まり、028オークスを臨時(りんじ)痴爺(ちぢ)として開怪(かいくわい)()朗読(らうどく)せしめたのである。029(いま)()開怪(かいくわい)()縮辞(しゆくじ)030(ならび)挨拶(あいさつ)摘記(てきき)する(こと)にした。031アア(かな)はぬから(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
 
032  (よわ)きを(くじ)(つよ)きを(たす)く、033天晴男(てんせいだん)悪酔怪(あくすゐくわい)
034痴爺(ちぢ)縮辞(しゆくじ)怪長(くわいちやう)瞹擦(あいさつ)
035 (だい)テルモン(ごく)036悪酔怪(あくすゐくわい)037スマネーケン凡夫(ほんぶ)発怪色(はつくわいしき)は、038鬼報(きはう)(とほ)り、039二重惨(にぢうさん)(にち)午後(ごご)(いち)()より待合(まちあひ)(おい)開催(かいさい)されたが、040尾皮(をがは)怪長(くわいちやう)()041(ならび)痴爺(ちぢ)縮辞(しゆくじ)()(とほ)りであつた。
 
042開怪(かいくわい)()
043隔靴(かくくわ)044(ならび)頭掻位(あたまかくゐ)臨場(りんぢやう)(かたじけ)なふし、045怪員(くわいゐん)笑死(しよし)出席(しゆつせき)()046(ここ)(だい)テルモン(ごく)047悪酔怪(あくすゐくわい)スマネーケン凡夫(ほんぶ)発怪式(はつくわいしき)狂行(きよかう)するに(いた)りたるは金睾(きんかう)とする(ところ)(なり)048(おも)ふに(わが)テルモン(ごく)一大(いちだい)蚊属(かぞく)(こく)にして、049バラモン神祖(しんそ)以来(いらい)歴代(れきだい)(たう)()蛮民(ばんみん)撫育(ぶいく)し、050化身(けんしん)哀哭(あいこく)心情(しんじやう)発露(はつろ)上下(しやうか)不和(ふわ)もつて(から)うじて国家(こくか)支持(しぢ)国威(こくゐ)中外(ちうぐわい)失墜(しつつゐ)し、051烈国(れつこく)平和(へいわ)攪乱(かくらん)をなす。052これ我国(わがくに)情弊(じやうへい)にして、053宇内(うだい)冠絶(くわんぜつ)する所以(ゆゑん)なり。054(しか)るにバラモン(ぐん)と、055三五軍(あななひぐん)との大戦(たいせん)以来(いらい)056死葬怪(しさうくわい)悪化(あくくわ)影響(えいきやう)()け、057仁義(じんぎ)道徳(だうとく)(やうや)(すた)れ、058(さか)んに弱肉(じやくにく)強食(きやうしよく)(おこな)はれ、059社会(しやくわい)秩序(ちつじよ)(まつた)紊乱(ぶんらん)せむとす。060(くは)ふるに物質(ぶつしつ)(てき)卑吝(ひりん)発達(はつたつ)学研(がくけん)(てき)陋説(ろうせつ)横行(わうかう)とは(まさ)にテルモン(ごく)人民(じんみん)(をか)して(いま)(まさ)解乱(かいらん)せむとす。061(そと)国際(こくさい)状態(じやうたい)(あん)ずるに、062(その)実力(じつりよく)(てき)圧迫(あつぱく)過重(くわぢゆう)()()るやの疑惧(ぎぐ)あり。063内憂(ないいう)外患(ぐわいくわん)交々(こもごも)(いた)現状(げんじやう)上下(しやうか)三十五万(さんじふごまん)(ねん)(いま)(かつ)()ざる鬼期(きき)目睫(もくせふ)(あひだ)(ひか)へたるものと()ふべし。064(われ)065(とく)066(がく)あり、067()あり、068(ざい)あるなし。069(しか)栄位(えいゐ)(いう)すと(いへど)も、070バラモン神祖(しんそ)より享受(きやうじゆ)せるバラモン(だましひ)茫漠(ばうばく)として(そん)す。071(この)発露(はつろ)によりて、072金権(きんけん)(くつ)するの気骨(きこつ)(いう)す。073同情(どうじやう)()(なみだ)(いう)せず。074時勢(じせい)(がい)する熱血(ねつけつ)なく、075献身(けんしん)奉公(ほうこう)仁侠(じんけふ)(いう)せず、076(かく)(ごと)不正意(ふせいい)をもつて()つて時患(じくわん)救済(きうさい)すべからざる(とき)(きた)れるものと覚悟(かくご)す。077これ(だい)テルモン(ごく)078悪酔怪(あくすゐくわい)(うま)れたる所以(ゆゑん)なり。079スマネーケン同志(どうし)(これ)狂鳴(きやうめい)し、080(ちから)(わか)ち、081(こころ)(ふた)つにして奉公(ほうこう)(じつ)()げざらむとす。082(さいはひ)隔靴(かくくわ)(ならび)頭掻位(あたまかくゐ)()援助(ゑんじよ)会員(くわいいん)一同(いちどう)()賛助(さんじよ)()て、083呱々(ここ)(こゑ)()ぐるを()たるは、084金塊(きんくわい)(きん)ずる(あた)はざる(ところ)なり。085(こひねが)はくは怪員(くわいゐん)諸氏(しよし)一層(いつそう)自製(じせい)発糞(はつぷん)もつて凡怪(ほんくわい)臭意(しゆい)086目的(もくてき)貫徹(くわんてつ)(つと)められむ(こと)鬼望(きばう)す。087(あへ)心情(しんじやう)披瀝(ひれき)して謝辞(しやじ)()べ、088開怪(かいくわい)()とす。
089  バラモン始終苦(しじうく)(ねん)(さん)(かつ)惨重惨(さんぢうさん)(にち)  拙立(せつりつ)異淫長(いいんちやう)ワックス
 
090痴爺(ちぢ)縮辞(しゆくじ)
091(ここ)悪酔怪(あくすゐくわい)はスマネーケン凡夫(ほんぶ)拙立(せつりつ)()り、092凡日(ほんじつ)をもつて発怪式(はつくわいしき)()げられたり。093()(この)発怪式(はつくわいしき)(れつ)し、094一言(いちごん)縮意(しゆくい)(へう)し、095(あは)せて諸怪(しよくわい)()べる鬼怪(きくわい)()たるは(もつと)欣鬼(きんき)()へざる(ところ)なり。096(おも)ふに(わが)テルモン(ごく)大自在天(だいじざいてん)097大国彦(おほくにひこの)(みこと)建国(けんこく)以来(いらい)三十五万(さんじふごまん)(ねん)連綿(れんめん)として万古(ばんこ)不易(ふえき)ならず。098世界(せかい)無比(むひ)動乱国(どうらんこく)として国光(こくくわう)宇内(うだい)失墜(しつつゐ)し、099国辱(こくじよく)海外(かいぐわい)発揚(はつやう)(いま)世界(せかい)最小(さいせう)弱国(じやくこく)(はん)(れつ)するに(いた)る。100(これ)(もと)より大自在天(だいじざいてん)神祖(しんそ)守護(しゆご)(あつ)からざる(ところ)にして、101国民(こくみん)上下(しやうか)不一致(ふいつち)哀哭(あいこく)死状(しじやう)偽勇(ぎゆう)彷徨(はうくわう)102死誠(しせい)とを(もつ)(わが)民族(みんぞく)精神(せいしん)となし、103不誠意(ふせいい)哭家(こくか)隆盛(りうせい)貢献(こうけん)せざりしもの(あづか)りて(ちから)ありと()はざるべからず。104(しか)るに今回(こんくわい)105河鹿(かじか)(たうげ)戦闘(せんとう)結果(けつくわ)として彼我(ひが)(とも)異常(いじやう)変革(へんかく)(てい)し、106死想怪(しさうくわい)(また)(いちぢる)しく混乱(こんらん)(はなはだ)しきは過劇(くわげき)なる死想(しさう)助長(じよちやう)し、107(わが)(くに)(また)(この)死想(しさう)大根元(だいこんげん)となれり。108(こと)理非(りひ)曲直(きよくちよく)(もの)正邪(せいじや)善悪(ぜんあく)(きは)めずして附和(ふわ)雷同(らいどう)し、109この国体(こくたい)相容(あひいる)(ところ)不完全(ふくわんぜん)なる死想(しさう)感染(かんせん)し、110(もつ)国家(こくか)社会(しやくわい)秩序(ちつじよ)(みだ)し、111バラモン国家(こくか)本義(ほんぎ)(わす)るべからず。112(こと)経済(けいざい)(てき)変動(へんどう)労働(らうどう)問題(もんだい)惹起(じやくき)し、113労資(らうし)関係(くわんけい)紛糾(ふんきう)せしめ、114(その)協調(けふてう)(やぶ)り、115(したが)つて人心(じんしん)不安(ふあん)(おとしい)れむとする情勢(じやうせい)(てい)するに(いた)りしは、116(まこと)偉観(ゐくわん)とする(ところ)なり。117(この)(とき)(さい)憂国(いうこく)()相計(あひはか)り、118バラモン(こく)悪酔怪(あくすゐくわい)組織(そしき)し、119正義(せいぎ)公道(こうだう)(たて)とし、120仁侠(じんけふ)死誠(しせい)(ぬき)とし、121同身(どうしん)一体(いつたい)結束(けつそく)(かた)くし、122(もつ)時弊(じへい)救急(きうきふ)し、123万邦(ばんぱう)無比(むひ)動乱(どうらん)124(くに)毀損(きそん)する(ごと)き、125失態(しつたい)あるべからず。126狐狗狸(こくり)眠副(みんぷく)増進(ぞうしん)(はか)(こと)努力(どりよく)せざらむ(こと)()し、127(すで)死想(しさう)団体(だんたい)として無力(むりよく)なる地歩(ちほ)()むるに(いた)りしはバラモン(ごく)()慶賀(けいが)()へざる(ところ)なり。128由来(ゆらい)(わが)スマネーケンたる、129神代(かみよ)(おい)てバラモン(しん)()統治(とうち)し、130悪政(あくせい)()(たま)ひし以来(いらい)邪智(じやち)(ねん)(ふか)く、131加之(しかのみならず)テルモン山麓(さんろく)一角(いつかく)僻在(へきざい)するを(もつ)一般(いつぱん)民風(みんぷう)質素(しつそ)剛健(がうけん)ならず、132軽挙(けいきよ)妄動(もうどう)(ふう)あり。133産業怪(さんげふくわい)葬儀(さうぎ)(ごと)(また)(おほ)顕現(けんげん)し、134勃発(ぼつぱつ)し、135(やや)もすれば近時(きんじ)()風潮(ふうてう)(さか)らひ、136頓幸(とんかう)微風(びふう)137道義(だうぎ)観念(くわんねん)(とう)漸次(ぜんじ)廃頽(はいたい)傾向(けいかう)(しめ)したるは(じつ)(わが)国体(こくたい)(ため)金睾(きんかう)とする(ところ)なり。138(いま)同憂(どういう)()相鳩合(あひきうがふ)しバラモン(ごく)139悪酔怪(あくすゐくわい)スマネーケン凡夫(ほんぶ)葬説(さうせつ)して天下(てんか)惑乱(わくらん)主義(しゆぎ)綱領(かうりやう)(たい)し、140(おほい)濁世(ぢよくせ)害民(がいみん)(じつ)をあげむとす。141(まこと)時期(じき)(てき)したる愚挙(ぐきよ)にして、142(その)効果(かうくわ)(けだ)甚大(じんだい)なるものあるべしと(しん)ず。143(こひねが)はくは怪淫(くわいいん)妾窘(しよくん)(その)責任(せきにん)(ぢう)()(だい)なるを(おも)ひ、144自重(じちよう)自愛(じあい)145(いやし)くも本怪(ほんくわい)臭意(しゆい)(はん)する(こと)なく、146不同心(ふどうしん)147不協力(ふけふりよく)148不確乎(ふかくこ)149不不抜(ふふばつ)精神(せいしん)をもつて凡怪(ほんくわい)目的(もくてき)達成(たつせい)し、150幽醜(いうしう)鼻下(びか)()ぐる(こと)災前(さいぜん)努力(どりよく)(いた)し、151もつて国家(こくか)貢献(こうけん)せざらむ(こと)(のぞ)む。152(をは)りに凡怪(ほんくわい)不健全(ふけんぜん)なる不発達(ふはつたつ)怪淫(くわいいん)妾窘(しよくん)不健康(ふけんかう)(いの)る。153(いささ)蕪辞(ぶじ)()べて縮辞(しゆくじ)となす。
154バラモン(こく)始終苦(しじふく)(ねん)(さん)(かつ)惨重惨(さんぢうさん)(にち)
155スマネーケン痴爺(ちぢ) 重死位(ぢうしゐ)窘惨倒(くんさんたふ) 田柄屁(たからべ)(うなる)
 
156 ワックスは、157(しき)無事(ぶじ)(をは)一場(いちぢやう)演説(えんぜつ)(こころ)みた。
158ワックス『(みな)さま今日(こんにち)()多忙中(たばうちう)(かか)はらず賑々(にぎにぎ)しく()来会(らいくわい)(くだ)さいまして、159発起者(ほつきしや)()()恐悦(きようえつ)至極(しごく)(ぞん)じます。160(つい)ては、161開怪(かいくわい)()()べました(とほ)り、162(だい)バラモン(ごく)主義(しゆぎ)主張(しゆちやう)(のつと)り、163弱肉(じやくにく)強食(きやうしよく)真理(しんり)(みと)め、164(よわ)きを(くじ)き、165(つよ)きに(したが)時代(じだい)思想(しさう)遺憾(ゐかん)なく発揮(はつき)したもので(ござ)います。166(たと)へば此処(ここ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)一人(ひとり)(あら)はれたと(いた)しますれば、167それは(はた)して強者(きやうしや)(ござ)いませうか。168何事(なにごと)多数決(たすうけつ)(たふと)()(なか)169吾々(われわれ)会員(くわいゐん)無慮(むりよ)数百(すうひやく)(めい)170(てき)(ただ)一人(ひとり)(ござ)います。171如何(いか)(つよ)いと()うても多数(たすう)には()てませぬ。172(それ)(ゆゑ)三千彦(みちひこ)宣伝使(せんでんし)弱者(じやくしや)(ござ)います。173(ゆゑ)宮町(みやまち)町民(ちやうみん)(ため)手足(てあし)(しば)られ、174アンブラック(がは)()()まれたのはバラモン(ごく)伝統(でんとう)教義(けうぎ)として(もつと)(たふと)ぶべき行為(かうゐ)(おも)ひます。175(しか)るに(また)(かれ)三千彦(みちひこ)四足(よつあし)(いのち)(すく)はれ、176(この)テルモン(ざん)(いづ)れにか潜伏(せんぷく)(いた)して()形跡(けいせき)がありますれば、177本会(ほんくわい)規則(きそく)により、178()つけ次第(しだい)容赦(ようしや)なく(しば)りつけ、179今回(こんくわい)(いし)(くく)りつけ()()まれたいもので(ござ)います。180拙者(せつしや)(ごと)きはテルモン(ざん)神館(かむやかた)(おい)ては家令(かれい)(せがれ)として(もつと)(つよ)きもので(ござ)います。181その(もつと)(つよ)(もの)(たい)してエキス、182ヘルマンなどの弱者(じやくしや)折々(をりをり)(かね)無心(むしん)(まゐ)り、183駄々(だだ)()ねまする(ゆゑ)184もし今後(こんご)そんな(こと)(いた)した(とき)には会長(くわいちやう)(わたし)から、185会員(くわいゐん)諸君(しよくん)通知(つうち)(はつ)しますから(みな)さま悪酔怪(あくすゐくわい)設立(せつりつ)趣旨(しゆし)(したが)つて(すみやか)にお(かけ)つけ(くだ)さらむ(こと)悪酔怪(あくすゐくわい)規則(きそく)によつてお(ねが)ひして()きます』
186 エキスは(この)(とき)群衆(ぐんしう)(なか)より、187怒髪(どはつ)(てん)()いて(あら)はれ(きた)()()になつて、
188エキス『(みな)さま、189(いま)ワックス殿(どの)()べられました(とほ)り、190(よわ)きを(くじ)(つよ)きに(したが)ふが本会(ほんくわい)趣旨(しゆし)たる(こと)御存(ごぞん)じでせう。191一人(ひとり)(をとこ)二人(ふたり)(をとこ)脅迫(けふはく)され、192(いのち)よりも大事(だいじ)六百(ろくぴやく)(りやう)(かね)をおつ()()し、193(いのち)(たす)けて(もら)うたものがありとすれば、194(みな)さまどちらが(つよ)いと(おも)はれますか、195(また)二人(ふたり)一人(ひとり)とは、196何方(どちら)(つよ)いと(おも)ひますか。197本会(ほんくわい)主義(しゆぎ)精神(せいしん)(もとづ)いて拙者(せつしや)()両人(りやうにん)強者(きやうしや)なる(こと)(みと)め、198拙者(せつしや)()二人(ふたり)がワックスの(やかた)押寄(おしよ)せたる(とき)は、199何卒(なにとぞ)()援助(ゑんじよ)(ねが)ひます。200()のワックスと()(やつ)は、201宮町(みやまち)町民(ちやうみん)馬鹿(ばか)(いた)して()人犬(にんげん)(ござ)いますから、202(みな)さま()用心(ようじん)なさいませ。203家々(いへいへ)大切(たいせつ)(たから)をあの騒動(さうだう)(まぎ)(ぬす)ませたのはワックスで(ござ)いますよ。204(その)窃盗(せつとう)(しよう)(あた)つた強者(きやうしや)此処(ここ)二人(ふたり)(ばか)(かほ)(なら)べて()られます。205これは皆様(みなさま)()判断(はんだん)(まか)(こと)(いた)しませう』
206 聴衆(ちやうしう)(なか)より、
207『オイ、208エキス、209それや本当(ほんたう)か、210よもや(うそ)ではあるまいな』
211エキス『滅相(めつさう)な、212何程(なにほど)悪酔怪(あくすゐくわい)だと()つて、213そんな()()いた(うそ)(まを)されませうか。214(たから)泥坊(どろばう)(まつた)くワックス以下(いか)両人(りやうにん)仕事(しごと)(ござ)います。215そして(その)(ぬす)まれた(しな)はテルモン(ざん)(はと)岩窟(いはや)にすつかり(かく)して(ござ)いますから、216(うそ)(おも)はれるなら(みな)さま()つて調(しら)べて御覧(ごらん)なさい』
217 ワックスは(ふた)(みつ)咳払(せきばら)ひをしながら、
218ワックス『(みな)さま、219エキスの言葉(ことば)(だま)されてはなりませぬ。220現在(げんざい)(たから)(かく)場所(ばしよ)()つて()以上(いじやう)221()本人(ほんにん)(ぬす)んだに相違(さうゐ)(ござ)いませぬ。222本人(ほんにん)(ぬす)まぬのに()つて()(はず)がありますまい』
223 悪酔怪(あくすゐくわい)(しよう)する一同(いちどう)(たちま)総立(さうだち)となり、
224一同(いちどう)『ワックスを(なぐ)れ、225エキスを(ころ)せ』
226(たけ)(くる)うた。
227 (この)(さわ)ぎにワックス、228エキス、229オークス、230ビルマは(ほそ)くなつて、231テルモン(ざん)山奥(やまおく)()して一散(いつさん)駆出(かけだ)した。232そこへ、233エルが睾丸(きんたま)(おさ)(なが)らエチエチと演壇(えんだん)(のぼ)(きた)大喝(たいかつ)一声(いつせい)
234エル『皆様(みなさま)(しづ)まりなさいませ、235貴方(あなた)(がた)悪酔怪(あくすゐくわい)(ゐん)ぢやありませぬか。236ワックス(さま)(はじ)(その)(ほか)方々(かたがた)がどうしてそんな(こと)をなさいませう。237発会式(はつくわいしき)余興(よきよう)(みな)さま(がた)肝玉(きもだま)(ため)さむと(おも)故意(わざ)とにあんな(こと)()うて喧嘩(けんくわ)をして()せられたのです。238(みな)さまこれから鉢巻(はちまき)をして腹帯(はらおび)()め、239(よわ)きを(くじ)(つよ)きに(したが)ふの大精神(だいせいしん)になつて(もら)はなくてはなりませぬ。240(いま)のワックス、241エキスの(あらそ)ひは八百長(やほちやう)ですから、242本当(ほんたう)にしてはなりませぬ。243それよりもバラモン(けう)聖地(せいち)に、244幾度(いくたび)となく()()(きた)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(ふせ)ぐために、245貴方(あなた)(がた)のお(ちから)(たの)まねばなりませぬ。246(その)(ため)本会(ほんくわい)組織(そしき)したので(ござ)います。247水平会(すゐへいくわい)などを相手(あひて)にするのが目的(もくてき)ぢやありませぬ。248(みな)さまは非常(ひじやう)特権(とくけん)(あた)へられて()(こと)()つて()ますか』
249 群衆(ぐんしう)(なか)より、
250『その特権(とくけん)とは(なん)だ。251詳細(しやうさい)説明(せつめい)(ねが)ふ』
252エル『(その)特権(とくけん)(まを)すのは表面(へうめん)には(まを)されませぬが、253(つき)(くに)254ハルナの(みやこ)大黒主(おほくろぬし)(さま)より、255烏鷺(うろ)勝負(しようぶ)黙認(もくにん)()()るので(ござ)います。256それ(ゆゑ)昼間(ひるま)褞袍(どてら)()てウロウロ(いた)し、257ウロをうつて()ても()()(ふう)をするから(それ)第一(だいいち)特権(とくけん)です。258(みな)さま(これ)から悪酔怪(あくすゐくわい)万歳(ばんざい)三唱(さんしやう)し、259悪酔踊(あくすゐをど)りでも(さか)んにやつて本会(ほんくわい)創立(さうりつ)(こころ)から(しゆく)して(くだ)さいませ。260(さけ)弱者(じやくしや)から徴発(ちようはつ)して()たのが沢山(たくさん)(ござ)いますから』
261一同(いちどう)『ウロー、262ウロー』
263()(なが)ら、264(あら)くれ(をとこ)が、265毛脛(けずね)()して縦横(たてよこ)十文字(じふもんじ)(をど)(くる)ひ、266議事堂(ぎじだう)(たちま)(ゆか)墜落(つゐらく)し、267数百(すうひやく)(ねずみ)(おどろ)いて一生(いつしやう)懸命(けんめい)戸外(こぐわい)()()し、
268『クウクウクウ チウチウチウチウ』
269()(なが)強者(きやうしや)(てき)(がた)(よわ)()つて(くさむら)(なか)(いのち)からがら()げて()く。270嗚呼(ああ)(かな)はぬから(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
271(よわ)きをば(たす)(つよ)きを(くじ)くとは
272表面(へうめん)ばかり(おに)念仏(ねんぶつ)
273その(じつ)弱身(よわみ)につけ()(かぜ)(かみ)
274(つよ)(やつ)()()()偽侠(ぎけふ)よ。
275大正一二・三・二五 旧二・九 於皆生温泉浜屋 加藤明子録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
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