第一二章 鶴の訣別(一)〔一九〇六〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第75巻 天祥地瑞 寅の巻
篇:第3篇 真鶴の声
よみ(新仮名遣い):まなづるのこえ
章:第12章 鶴の訣別(一)
よみ(新仮名遣い):つるのわかれ
通し章番号:1906
口述日:1933(昭和8)年11月27日(旧10月10日)
口述場所:水明閣
筆録者:加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年2月3日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:真鶴国の修理固成がようやく緒についてきたところで、顕津男の神は七十五声の言霊歌を歌った。
その一連の歌は、真鶴国の造成が、言霊のはたらきによるものであったことを明かし、またこれからの生成発展も、水火(いき)と水火を結びあわせる言霊の活用(はたらき)によるものであることを歌っていた。
そして、比女神たち、従者神たちにそれぞれ真鶴国のその後の役目を割り振り、自分は西方の国へ旅立つと歌い、ひらりと駒にまたがった。
一同の神たちは、顕津男の神の馬のくつわを取り、しばし引きとどめて名残の歌を歌ったのであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7512
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 350頁
修補版:
校定版:225頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 天地の一切万有は、002総て言霊の水火の活用によりて生れ出でたるものなる事は、003前巻既に述べたるが如し。004例へばカコクケキの言霊幸ひて烏、005家鶏鳥、006鵲等の鳥族生り出で、007其声音も亦カコクケキを発するは其象徴なり。008雀、009鼠、010其他の禽獣は、011タトツテチの言霊幸ひて生れたるをもつて、012今に其声音を保ち、013猫の如きはナノヌネニに生れ、014牛の如きはマモムメミより、015馬の如きはハホフヘヒより、016犬の如きはワヲウヱヰより、017其他各禽獣虫魚は生れたる言霊の声音を万世に通じて発するものなり。
018 茲に顕津男の神は真鶴国の修理固成やや緒につきたれば、019七十五声の言霊を宣り給ひて、020天界に必要なる禽獣虫魚及び木草のはしに至るまで、021生言霊の水火によりて生み出で給ひたるこそ畏けれ。
022『天晴れ天晴れ生言霊の幸ひに
023百の翼はなり出でにけり
024畏くも生言霊の天照りて
025国土は次ぎ次ぎ固まりにける
026冴えわたるスの言霊に天地を
027包みし雲も消え失せにける
028立つ雲のかげも消えたり言霊の
029御稜威は天地に澄みきらひつつ
030長き世の末の末まで言霊の
031水火は栄えて生命を守らむ
032花咲きて稔り豊けき国原は
034まろまろとわが言霊は響くなり
035吹き来る風も柔かにして
036安国と治め澄まさむ言霊の
037厳の力を腹に充たして
038若草の妻は御子をば生ましけり
039この真鶴の国の柱と
040いすくはし生言霊に生り出でし
041森羅万象に生命ありけり
042木に草におく白露の光さへ
043生言霊の水火のこもれる
044白雲の墜居向伏すそのかぎり
045⦿の大神の御水火に生れし
046塵芥積り積りて地となり
047木草の種は萌え出づるなり
048賑しく栄ゆる国土は言霊の
049水火の力の功なりけり
050日も月もスの言霊の御水火より
051生れしを思へば畏くぞある
052水清き千条の滝も非時に
054五十鈴をふれるが如く常磐樹の
055こずゑは風に言霊宣るも
056生き生きてまかるべきもの一つなき
057わが天界は言霊の国土よ
058美しき天津神国のなり立ちも
060国土造り御子生む神業も言霊の
061水火の力の功なりけり
062スの声は総てのものの元津親
063⦿の神これに現れましにける
064月も日も澄みきらひつつ大空に
065輝きたまふも言霊の水火
066奴羽玉の闇も晴れゆく言霊の
067水火の力の大いなるかな
068吹く風の音にも見ゆる言霊の
069強き力のたふとき功よ
070蒸しわかし天地なりし其元は
071水火と水火とのむすびなりけり
072ゆがみなき誠心の言霊は
073生きて活用きすべてを生ませり
074美しき生言霊の幸ひに
075この天界は生れ出でしはや
076ゑらゑらに歓ぎ賑はふ言霊の
077水火と水火とは神を生ませり
078景色よき真鶴国の国形は
079皆言霊ゆ生れ出でしはや
080跼まりぬきあしなしつ天地の
081中に生きたるわが言霊よ
082光り照りて神国を清むる天津日の
083光もいづの言霊なりける
084音色よき虫の鳴く声耳すませ
085聞けばのこらず言霊の水火よ
086荒野原経廻りここに真鶴の
087生国原は生れ出でにけり
088目出度さの限りなるかも国魂の
089神生れましぬ生言霊に
090選まれて瑞の御霊と生れたる
091我は言霊の局なるかも
092笑み栄え果しも知らぬ喜びの
093国土言霊に永遠を生くるも
094起きて見つ寝てみつ玉藻の山の上に
095心楽しき真鶴の国
096衣手を撫でゆく風も言霊の
097水火と思へば尊かりける
098そよと吹く風の響も言霊の
099水火の力の幸ひにこそ
100鳥獣虫類までも言霊を
102野に山に生言霊の幸ひて
103百花千花咲きみつるなり
104ほのぼのと遠山霞み近山は
105緑に萌ゆる言霊さき国よ
106もろもろの鳥獣や草木虫
107魚も残らず生みし言霊
108夜昼の差別わかちて万有を
109動かせやすます言霊の幸よ
110面白し心爽けし言霊の
111水火にみちたる国土に生れし
112国魂の神生れましぬ生代比女
114我は今国魂神を生みをへて
115西方の国土いざや拓かむ
116玉野比女神の神言は玉藻山
117神の御前に永遠に仕へよ
118国中比古神は国魂神守りて
119真鶴の国を永遠にひらかせ
120遠見男の神は南の国原を
122産玉の神は千代鶴姫御子の
124美波志比古神は往来の道芝を
125永遠に守りて神業たすけよ
126魂機張神は真鶴国魂の
127命を守れ千代に八千代に
128万有の水火と水火とを結び合せ
129国の栄えを永遠に守らへ
130真鶴の国に生り出づる万有に
131味はひ与へて世を守りませ
132いざさらば我は別れむ玉藻山
134 斯く生言霊を宣らせつつ玉野宮居の神霊に別れをつげ、135天の白駒にひらりと跨り、136単騎出発せむとし給ひしぞ雄々しけれ。
137『仰ぎ見れば雲の彼方にかすみたる
138西方の国の遥けくもあるか
139国土を生み御子を生みつつ果しなき
140旅ゆく我はやすらふ間もなし
141万代の基礎を定むる言霊の
143久方の天の高日の宮を出で
144けながくなりし国土生みの旅
145わが思ひはろけかりけり⦿の神の
146います宮居にかへり言申すまで
147八十比女はあれどもわが身一つにて
148国魂生まむことの苦しき
149御子生まばすぐ立ち出づる言霊の
151玉野比女生代比女神のやさしかる
152心思ひて去りがてに居るも
153常磐樹の松の梢に鳴く鶴の
154声も一入今日はかなしき
155家鶏鳥の鳴く音も曇る心地して
156名残惜しみつ別れむとすも
157行く先は如何にならむとわづらひつ
158スの言霊を力と出でゆかむ
159国土稚き大野の原をはしりゆく
161いざさらば百神達よ別れむと
162駒に鞭うちいでむとしたまふ』
163 茲に玉野比女の神をはじめ、164御供に仕へ来りし神等は別れを惜しみ、165顕津男の神の乗らせる駒の轡をとり、166暫しの間と引きとめながら名残の御歌詠ませ給ひける。
167(昭和八・一一・二七 旧一〇・一〇 於水明閣 加藤明子謹録)