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第75巻(寅の巻)
序文
総説
第1篇 玉野神業
01 禊の神事
〔1895〕
02 言霊の光
〔1896〕
03 玉藻山
〔1897〕
04 千条の滝
〔1898〕
05 山上の祝辞
〔1899〕
06 白駒の嘶
〔1900〕
第2篇 国魂出現
07 瑞の言霊
〔1901〕
08 結の言霊
〔1902〕
09 千代の鶴
〔1903〕
第3篇 真鶴の声
10 祈り言
〔1904〕
11 魂反し
〔1905〕
12 鶴の訣別(一)
〔1906〕
13 鶴の訣別(二)
〔1907〕
14 鶴の訣別(三)
〔1908〕
15 鶴の訣別(四)
〔1909〕
16 鶴の訣別(五)
〔1910〕
第4篇 千山万水
17 西方の旅
〔1911〕
18 神の道行
〔1912〕
19 日南河
〔1913〕
20 岸辺の出迎(一)
〔1914〕
21 岸辺の出迎(二)
〔1915〕
22 清浄潔白
〔1916〕
23 魔の森林
〔1917〕
余白歌
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第二三章
魔
(
ま
)
の
森林
(
しんりん
)
〔一九一七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第75巻 天祥地瑞 寅の巻
篇:
第4篇 千山万水
よみ(新仮名遣い):
せんざんばんすい
章:
第23章 魔の森林
よみ(新仮名遣い):
まのしんりん
通し章番号:
1917
口述日:
1933(昭和8)年11月30日(旧10月13日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年2月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
スウヤトゴル(=聖なる山)に身を変えて、西方の国土の天地を我が物としようとしていた大曲津見は、顕津男の神を騙って朝香比女の神を騙し、御子生みをなそうと企んでいた。
しかし、本物の顕津男の神が西方の国に間近にやってきたのに驚き恐れ、途中で一行を全滅させようと、部下の邪神を集めて何度も評議をした。
その結果、嘘つきに長けた醜狐を柏木の森に遣わして、妨害計画を与えて実行させたのである。この醜狐は、醜女の神、といった。
醜女の神は柏木の森の手前に姿を隠し、顕津男の神の一行の駒の足許ちかく、かすかな声で、『右に行けば必ず勝つ、中の道を行けば必ず負ける、左に行けば必ず滅びる、主の神の教えであるぞ』と歌っていた。
顕津男の神はこの歌を聞いて微笑みつつ、醜神の罠と見破り、左の道へ進むことを歌う。
従者神たちはそれを聞いて不安に思うが、美波志比古は、スウヤトゴルの手下の曲津神の姦計であろう、と歌って不安を鎮める。
こうして一行は、曲津神が滅びると言った左の道を選んだ。おのおの曲津神に対する決意を歌って勇気をつけつつ、柏木の森を難なく突破し、スウヤトゴル山脈さして悠然と進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-09-11 16:56:16
OBC :
rm7523
愛善世界社版:
八幡書店版:
第13輯 407頁
修補版:
校定版:
439頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
スウヤトゴルに
姿
(
すがた
)
を
変
(
へん
)
じて、
002
西方
(
にしかた
)
の
国土
(
くに
)
の
天地
(
てんち
)
を
吾物
(
わがもの
)
とし、
003
邪気
(
じやき
)
に
包
(
つつ
)
み
居
(
ゐ
)
たる
大曲津見
(
おほまがつみ
)
は、
004
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮
(
みや
)
より
降
(
くだ
)
らせ
給
(
たま
)
ふ
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
を、
005
自
(
みづか
)
ら
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
と
称
(
しよう
)
し
迎
(
むか
)
へ
奉
(
まつ
)
りて、
006
御子生
(
みこう
)
みを
為
(
な
)
し、
007
西方
(
にしかた
)
の
国土
(
くに
)
を
完全
(
くわんぜん
)
に
占領
(
せんりやう
)
せむものと、
008
計画
(
けいくわく
)
をさをさ
怠
(
をこた
)
らざりし
処
(
ところ
)
へ、
009
真正
(
しんせい
)
の
太元
(
おほもと
)
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
の
間近
(
まぢか
)
に
来
(
きた
)
り
給
(
たま
)
ひしに
驚
(
おどろ
)
き、
010
途中
(
とちう
)
にて
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
一行
(
いつかう
)
を
全滅
(
ぜんめつ
)
せしめむと、
011
部下
(
ぶか
)
の
邪神
(
じやしん
)
等
(
たち
)
を
集
(
あつ
)
めて
種々
(
しゆじゆ
)
評議
(
ひやうぎ
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
012
最
(
もつと
)
も
狡猾
(
かうくわつ
)
にして
性質
(
せいしつ
)
悪
(
わる
)
く、
013
嘘
(
うそ
)
つき
上手
(
じやうず
)
で、
014
自己
(
じこ
)
の
利益
(
りえき
)
のみを
巧妙
(
かうめう
)
に
計
(
はか
)
らふ
醜狐
(
しこぎつね
)
を
柏木
(
かしはぎ
)
の
森
(
もり
)
に
遣
(
つか
)
はし、
015
種々
(
しゆじゆ
)
の
謀計
(
ぼうけい
)
を
与
(
あた
)
へて
之
(
これ
)
に
当
(
あた
)
らしめて
居
(
ゐ
)
る。
016
此
(
この
)
狐
(
きつね
)
を
醜女
(
しこめ
)
の
神
(
かみ
)
といふ。
017
醜女
(
しこめ
)
の
神
(
かみ
)
は
柏木
(
かしはぎ
)
の
森
(
もり
)
の
手前
(
てまへ
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
しながら、
018
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
の
一行
(
いつかう
)
の
駒
(
こま
)
の
脚許
(
あしもと
)
近
(
ちか
)
く、
019
微
(
かすか
)
なる
声
(
こゑ
)
にて、
020
『
右
(
みぎ
)
行
(
ゆ
)
かば
必
(
かなら
)
ず
勝
(
か
)
たむ
021
中
(
なか
)
行
(
ゆ
)
かば
必
(
かなら
)
ず
負
(
ま
)
けむ
022
左
(
ひだり
)
行
(
ゆ
)
かば
必
(
かなら
)
ず
亡
(
ほろ
)
びむ
023
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
ぞ』
024
と
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
して
歌
(
うた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
025
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は
耳敏
(
みみざと
)
くも、
026
醜女
(
しこめ
)
の
神
(
かみ
)
の
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
きて
微笑
(
ほほゑ
)
みつつ
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
027
『
醜神
(
しこがみ
)
の
醜
(
しこ
)
の
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
きにけり
028
左
(
ひだり
)
に
行
(
ゆ
)
くも
我
(
われ
)
は
亡
(
ほろ
)
びず
029
三
(
み
)
ツ
栗
(
ぐり
)
の
中津道
(
なかつみち
)
をば
我
(
われ
)
行
(
ゆ
)
かむ
030
亡
(
ほろ
)
びを
知
(
し
)
らぬ
面勝
(
おもかつ
)
の
神
(
かみ
)
は
031
右
(
みぎ
)
行
(
ゆ
)
かば
勝
(
か
)
たむといひし
醜
(
しこ
)
の
声
(
こゑ
)
は
032
我
(
われ
)
を
謀
(
たばか
)
る
偽
(
いつは
)
り
言
(
ごと
)
なり
033
この
森
(
もり
)
は
奥深
(
おくふか
)
くしてほの
暗
(
ぐら
)
し
034
駒
(
こま
)
の
蹄
(
ひづめ
)
に
踏
(
ふ
)
み
破
(
やぶ
)
りなむ
035
右
(
みぎ
)
行
(
ゆ
)
かば
必
(
かなら
)
ず
曲津
(
まが
)
の
深
(
ふか
)
き
罠
(
わな
)
に
036
かかりて
百神
(
ももがみ
)
亡
(
ほろ
)
ぶなるべし
037
いざさらば
亡
(
ほろ
)
ぶといひし
左
(
ゆんで
)
の
道
(
みち
)
を
038
駒
(
こま
)
の
蹄
(
ひづめ
)
にかけて
進
(
すす
)
まむ』
039
この
御歌
(
みうた
)
に
七柱
(
ななはしら
)
の
供神
(
ともがみ
)
は
稍
(
やや
)
不安
(
ふあん
)
の
面持
(
おももち
)
しながら、
040
各自
(
おのもおのも
)
に
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
041
美波志
(
みはし
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
042
『スウヤトゴル
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
の
先走
(
さきばし
)
り
043
醜女
(
しこめ
)
の
神
(
かみ
)
の
謀計
(
たくみ
)
なるらむ
044
美波志
(
みはし
)
比古
(
ひこ
)
吾
(
われ
)
は
進
(
すす
)
まむ
瑞御霊
(
みづみたま
)
の
045
御許
(
みゆる
)
しを
得
(
え
)
て
左
(
ひだり
)
の
道
(
みち
)
を
046
わが
岐美
(
きみ
)
の
光
(
ひかり
)
を
恐
(
おそ
)
れてスウヤトゴルは
047
此処
(
ここ
)
に
謀計
(
たくみ
)
の
罠
(
わな
)
を
造
(
つく
)
れるか
048
スウヤトゴル
輩下
(
てした
)
に
仕
(
つか
)
ふる
醜狐
(
しこぎつね
)
049
この
森林
(
しんりん
)
に
仇
(
あだ
)
すると
聞
(
き
)
く
050
この
森
(
もり
)
を
拓
(
ひら
)
き
渡
(
わた
)
りてスウヤトゴルの
051
曲津
(
まが
)
のすみかに
進
(
すす
)
まむと
思
(
おも
)
ふ
052
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
吾
(
われ
)
は
御前
(
みさき
)
に
仕
(
つか
)
ふべし
053
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
よ
続
(
つづ
)
かせ
給
(
たま
)
へ』
054
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひて、
055
左
(
ひだり
)
へ
行
(
ゆ
)
けば
亡
(
ほろ
)
ぶべしとの
曲神
(
まがかみ
)
の
言葉
(
ことば
)
踏
(
ふ
)
みにじりつつ、
056
奥
(
おく
)
へ
奥
(
おく
)
へと
一行
(
いつかう
)
八柱
(
やはしら
)
は
馬上
(
ばじやう
)
豊
(
ゆたか
)
に
御歌
(
みうた
)
うたひつつ
進
(
すす
)
み
給
(
たま
)
ふ。
057
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
058
『
柏木
(
かしはぎ
)
の
森
(
もり
)
は
小暗
(
をぐら
)
く
繁
(
しげ
)
りたれど
059
我
(
われ
)
は
恐
(
おそ
)
れじ
悪魔
(
まが
)
のすみかも
060
大空
(
おほぞら
)
を
封
(
ふう
)
じて
小暗
(
をぐら
)
き
柏木
(
かしはぎ
)
の
061
森
(
もり
)
を
照
(
てら
)
してわが
行
(
ゆ
)
かむかな
062
スウヤトゴル
大曲津見
(
おほまがつみ
)
の
潜
(
ひそ
)
みたる
063
峰
(
みね
)
は
彼方
(
かなた
)
の
空
(
そら
)
に
聳
(
そび
)
えつ
064
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
ゆ
怪
(
あや
)
しき
声
(
こゑ
)
の
響
(
ひび
)
き
来
(
く
)
る
065
われ
柏木
(
かしはぎ
)
の
森
(
もり
)
を
拓
(
ひら
)
かむ
066
曲神
(
まがかみ
)
の
勢
(
いきほひ
)
如何
(
いか
)
に
強
(
つよ
)
くとも
067
生言霊
(
いくことたま
)
に
拓
(
ひら
)
きすすまむ
068
愛善
(
あいぜん
)
の
光
(
ひかり
)
を
四方
(
よも
)
に
照
(
てら
)
し
行
(
ゆ
)
く
069
我
(
われ
)
に
仇
(
あだ
)
する
曲津
(
まが
)
は
亡
(
ほろ
)
びむ
070
醜神
(
しこがみ
)
の
亡
(
ほろ
)
ぶといひし
森林
(
しんりん
)
の
071
左
(
ひだり
)
の
道
(
みち
)
を
伊行
(
いゆ
)
くは
楽
(
たの
)
しも
072
大空
(
おほぞら
)
の
雲
(
くも
)
はちぎれて
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
073
光
(
ひかり
)
は
静
(
しづか
)
にさし
初
(
そ
)
めにけり
074
曲神
(
まがかみ
)
は
雲
(
くも
)
を
起
(
おこ
)
して
御空
(
みそら
)
包
(
つつ
)
み
075
月日
(
つきひ
)
の
光
(
かげ
)
をさへぎりて
居
(
を
)
り』
076
内津
(
うちつ
)
豊日
(
ゆたひ
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
077
『
時
(
とき
)
じくに
怪
(
あや
)
しき
音
(
おと
)
の
聞
(
きこ
)
ゆなる
078
柏木
(
かしはぎ
)
の
森
(
もり
)
は
曲津
(
まが
)
のすみかよ
079
今
(
いま
)
とならば
何
(
なに
)
を
恐
(
おそ
)
れむ
瑞御霊
(
みづみたま
)
080
光
(
ひかり
)
の
岐美
(
きみ
)
の
現
(
あ
)
れましぬれば
081
亡
(
ほろ
)
びなむと
醜女
(
しこめ
)
の
神
(
かみ
)
の
叫
(
さけ
)
びたる
082
道行
(
みちゆ
)
く
吾
(
われ
)
は
楽
(
たの
)
しかりけり
083
亡
(
ほろ
)
ぶべき
道
(
みち
)
を
明
(
あか
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
084
光
(
ひかり
)
の
岐美
(
きみ
)
の
雄々
(
をを
)
しきろかも
085
斯
(
か
)
くならば
如何
(
いか
)
なる
醜
(
しこ
)
のさやるとも
086
何
(
なに
)
か
恐
(
おそ
)
れむ
禊
(
みそぎ
)
せし
身
(
み
)
は
087
惟神
(
かむながら
)
禊祓
(
みそぎはら
)
ひしわれなれば
088
醜
(
しこ
)
の
犯
(
をか
)
さむ
術
(
すべ
)
なかるべし
089
わが
行
(
ゆ
)
かむ
道
(
みち
)
の
隈手
(
くまで
)
も
恙
(
つつが
)
なく
090
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へ
皇
(
すめら
)
大神
(
おほかみ
)
091
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
のウ
声
(
ごゑ
)
に
生
(
あ
)
れし
吾
(
われ
)
にして
092
醜女
(
しこめ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
動
(
うご
)
くべきやは
093
地
(
つち
)
稚
(
わか
)
き
西方
(
にしかた
)
の
国土
(
くに
)
は
彼方
(
あち
)
此方
(
こち
)
に
094
曲津見
(
まがつみ
)
潜
(
ひそ
)
みて
仇
(
あだ
)
を
為
(
な
)
すかな
095
今日
(
けふ
)
よりはこの
国原
(
くにはら
)
は
天国
(
てんごく
)
と
096
新
(
あらた
)
に
生
(
あ
)
れし
聖所
(
すがど
)
なるぞや』
097
大道
(
おほみち
)
知男
(
しりを
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
098
『
惟神
(
かむながら
)
大道
(
おほみち
)
知男
(
しりを
)
の
神
(
かみ
)
われは
099
左
(
ひだり
)
の
道
(
みち
)
に
災
(
わざはひ
)
なしと
思
(
おも
)
ふ
100
右
(
みぎ
)
行
(
ゆ
)
けば
災
(
わざはひ
)
せむと
醜女神
(
しこめがみ
)
101
力
(
ちから
)
かぎりに
謀
(
たく
)
らみ
居
(
ゐ
)
るも
102
この
森
(
もり
)
は
東西
(
とうざい
)
十
(
じふ
)
里
(
り
)
南北
(
なんぼく
)
は
103
三十八
(
さんじふはち
)
里
(
り
)
の
曲津
(
まが
)
のすみかぞ
104
スウヤトゴル
輩下
(
てした
)
の
神
(
かみ
)
の
大方
(
おほかた
)
は
105
この
森林
(
しんりん
)
に
潜
(
ひそ
)
み
居
(
を
)
るとふ
106
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
柏木
(
かしはぎ
)
の
森
(
もり
)
の
醜神
(
しこがみ
)
を
107
言向和
(
ことむけやは
)
せて
進
(
すす
)
みませ
岐美
(
きみ
)
108
行
(
ゆ
)
けど
行
(
ゆ
)
けど
果
(
はて
)
しも
知
(
し
)
らぬ
森林
(
しんりん
)
の
109
木蔭
(
こかげ
)
を
渡
(
わた
)
る
風
(
かぜ
)
は
冷
(
つめ
)
たき
110
曲神
(
まがかみ
)
の
水火
(
いき
)
凝
(
こ
)
り
凝
(
こ
)
りて
風
(
かぜ
)
さへも
111
わが
身
(
み
)
の
骨
(
ほね
)
を
浸
(
し
)
み
透
(
とほ
)
すなり
112
言霊
(
ことたま
)
の
水火
(
いき
)
を
照
(
てら
)
してこの
森
(
もり
)
を
113
駒
(
こま
)
の
蹄
(
ひづめ
)
に
踏
(
ふ
)
みにじり
行
(
ゆ
)
かむ
114
曲神
(
まがかみ
)
の
醜
(
しこ
)
の
謀計
(
たくみ
)
は
飽
(
あ
)
くまでも
115
深
(
ふか
)
くあれども
底力
(
そこぢから
)
なし
116
表面
(
うはべ
)
のみ
強
(
つよ
)
く
見
(
み
)
ゆれど
曲神
(
まがかみ
)
は
117
生言霊
(
いくことたま
)
にあひて
消
(
き
)
ゆるも
118
言霊
(
ことたま
)
の
幸
(
さち
)
はふ
国
(
くに
)
よ
言霊
(
ことたま
)
の
119
天照
(
あまて
)
る
国
(
くに
)
よ
恐
(
おそ
)
れなき
国
(
くに
)
よ
120
今日
(
けふ
)
までは
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
に
襲
(
おそ
)
はれしが
121
今
(
いま
)
や
真言
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
得
(
え
)
にけり
122
禊
(
みそぎ
)
して
清
(
きよ
)
まりにけるわが
魂
(
たま
)
は
123
昨日
(
きのふ
)
に
増
(
ま
)
して
百倍
(
ももへ
)
強
(
つよ
)
きも』
124
宇志波岐
(
うしはぎ
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
125
『この
辺
(
あた
)
り
宇志波岐
(
うしはぎ
)
居
(
を
)
れど
柏木
(
かしはぎ
)
の
126
森
(
もり
)
に
足
(
あし
)
をば
入
(
い
)
れし
事
(
こと
)
なし
127
今日
(
けふ
)
までは
怪
(
あや
)
しの
森
(
もり
)
と
捨
(
す
)
て
置
(
お
)
きし
128
曲津
(
まが
)
のすみかを
踏
(
ふ
)
みて
破
(
やぶ
)
らむ
129
心強
(
こころづよ
)
くも
光
(
ひかり
)
の
神
(
かみ
)
の
御供
(
みとも
)
して
130
曲津
(
まがつ
)
のこもる
森
(
もり
)
行
(
ゆ
)
く
今日
(
けふ
)
は
131
スウヤトゴル
峰
(
みね
)
の
魔神
(
まがみ
)
もこの
森
(
もり
)
の
132
亡
(
ほろ
)
びを
聞
(
き
)
かば
忽
(
たちま
)
ち
消
(
き
)
ゆべし
133
果
(
はて
)
しなき
小暗
(
をぐら
)
き
穢
(
きたな
)
きこの
森
(
もり
)
は
134
曲津
(
まが
)
のすみかに
応
(
ふさ
)
はしきかな
135
百木々
(
ももきぎ
)
は
半
(
なか
)
ば
枯
(
か
)
れつつ
各
(
おの
)
も
各
(
おの
)
も
136
邪気
(
じやき
)
吐
(
は
)
き
出
(
い
)
でて
世
(
よ
)
を
汚
(
けが
)
しつつ
137
曲津見
(
まがつみ
)
の
邪気
(
じやき
)
の
集
(
あつま
)
るこの
森
(
もり
)
を
138
生言霊
(
いくことたま
)
にきよめひらかむ
139
この
森
(
もり
)
に
醜
(
しこ
)
の
狐
(
きつね
)
の
棲
(
す
)
むと
聞
(
き
)
けば
140
分
(
わ
)
け
入
(
い
)
りし
神
(
かみ
)
今
(
いま
)
までになし
141
この
森
(
もり
)
に
迷
(
まよ
)
ひ
入
(
い
)
りたる
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
は
142
生
(
い
)
きて
帰
(
かへ
)
りし
一柱
(
ひとはしら
)
もなし
143
瑞御霊
(
みづみたま
)
岐美
(
きみ
)
に
仕
(
つか
)
へて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
144
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
に
邪気
(
じやき
)
は
襲
(
おそ
)
はざりけり
145
わが
駒
(
こま
)
は
邪気
(
じやき
)
の
集
(
あつま
)
る
森中
(
もりなか
)
を
146
いななきながら
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くかも
147
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
に
驚
(
おどろ
)
きて
148
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
は
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りにけむか
149
安々
(
やすやす
)
と
渡
(
わた
)
り
行
(
ゆ
)
くかも
魔
(
ま
)
の
森
(
もり
)
の
150
茂
(
しげ
)
みを
分
(
わ
)
けて
八柱
(
やはしら
)
の
神
(
かみ
)
は』
151
臼造男
(
うすつくりを
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
152
『
岐美
(
きみ
)
行
(
ゆ
)
かば
柏木
(
かしはぎ
)
の
森
(
もり
)
は
明
(
あき
)
らけく
153
光
(
ひか
)
り
初
(
そ
)
めたり
曲津
(
まが
)
は
何処
(
いづく
)
ぞ
154
仰
(
あふ
)
ぎ
見
(
み
)
ればスウヤトゴルの
山脈
(
やまなみ
)
は
155
いやつぎつぎに
遠去
(
とほざ
)
りにける
156
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
に
曲津見
(
まがつみ
)
は
157
恐
(
おそ
)
れ
山
(
やま
)
もて
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
ると
見
(
み
)
ゆ
158
この
森
(
もり
)
は
生言霊
(
いくことたま
)
に
縛
(
しば
)
りあれば
159
曲津
(
まが
)
も
動
(
うご
)
かす
能
(
あた
)
はざるべし
160
醜女神
(
しこめがみ
)
この
森林
(
しんりん
)
に
永遠
(
とことは
)
に
161
すまひて
国土
(
くに
)
の
仇
(
あだ
)
をなしつつ
162
曲津見
(
まがつみ
)
の
輩下
(
てした
)
の
神
(
かみ
)
は
八百万
(
やほよろづ
)
163
この
柏木
(
かしはぎ
)
の
森
(
もり
)
にひそめる
164
曲神
(
まがかみ
)
の
数
(
かず
)
の
限
(
かぎ
)
りを
言向
(
ことむ
)
けて
165
神
(
かみ
)
の
聖所
(
すがど
)
に
清
(
きよ
)
めむとぞ
思
(
おも
)
ふ
166
亡
(
ほろ
)
ぶべしと
曲津
(
まがつ
)
の
宣
(
の
)
りし
左
(
ゆんで
)
の
道
(
みち
)
は
167
心安
(
うらやす
)
けかり
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
に
168
月
(
つき
)
も
日
(
ひ
)
も
御空
(
みそら
)
の
雲
(
くも
)
を
押分
(
おしわ
)
けて
169
柏木
(
かしはぎ
)
の
森
(
もり
)
の
上
(
うへ
)
に
輝
(
かがや
)
く
170
輝
(
かがや
)
ける
御魂
(
みたま
)
々々
(
みたま
)
を
照
(
てら
)
しつつ
171
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
に
曲津
(
まが
)
の
姿
(
かげ
)
なし
172
日南河
(
ひなたがは
)
禊
(
みそぎ
)
の
神事
(
わざ
)
の
功績
(
いさをし
)
に
173
安
(
やす
)
く
渡
(
わた
)
らむ
柏木
(
かしはぎ
)
の
森
(
もり
)
を
174
曲神
(
まがかみ
)
は
姿
(
かげ
)
を
潜
(
ひそ
)
めて
静
(
しづか
)
なり
175
梢
(
こずゑ
)
を
渡
(
わた
)
る
風
(
かぜ
)
の
音
(
ね
)
のみにて
176
迦陵
(
から
)
頻伽
(
びんが
)
時
(
とき
)
を
得顔
(
えがほ
)
にうたふなり
177
曲津見
(
まがつみ
)
の
森
(
もり
)
にも
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
照
(
て
)
らひて
178
百花
(
ももばな
)
は
露
(
つゆ
)
を
帯
(
お
)
びつつ
森蔭
(
もりかげ
)
に
179
艶
(
えん
)
を
競
(
きそ
)
ひて
咲
(
さ
)
き
出
(
い
)
でにける
180
花蓆
(
はなむしろ
)
敷
(
し
)
き
並
(
なら
)
べたる
如
(
ごと
)
くなり
181
わが
行
(
ゆ
)
く
森
(
もり
)
の
木下蔭
(
こしたかげ
)
の
道
(
みち
)
は
182
醜神
(
しこがみ
)
のすまへる
森
(
もり
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
183
花
(
はな
)
匂
(
にほ
)
ひつつ
小鳥
(
ことり
)
はうたひつ
184
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
も
小鳥
(
ことり
)
の
声
(
こゑ
)
も
天国
(
かみくに
)
の
185
春
(
はる
)
をうたふか
冴
(
さ
)
え
渡
(
わた
)
るなり
186
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
き
満
(
み
)
つる
柏木
(
かしはぎ
)
の
187
森
(
もり
)
に
曲津
(
まがつ
)
のすむと
思
(
おも
)
へず
188
岐美
(
きみ
)
が
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
の
隈手
(
くまで
)
に
曲津
(
まが
)
はなし
189
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ひ
鳥
(
とり
)
うたふのみ
190
真鶴
(
まなづる
)
の
国
(
くに
)
より
来
(
きた
)
るか
幾千
(
いくせん
)
の
191
鶴
(
つる
)
は
御空
(
みそら
)
に
舞
(
ま
)
ひ
初
(
そ
)
めにけり
192
斯
(
か
)
くならばこの
魔
(
ま
)
の
森
(
もり
)
は
天国
(
かみくに
)
よ
193
醜女
(
しこめ
)
の
神
(
かみ
)
は
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りにけむ
194
勇
(
いさ
)
ましき
岐美
(
きみ
)
の
旅
(
たび
)
かも
山
(
やま
)
も
野
(
の
)
も
195
木草
(
きぐさ
)
の
果
(
はて
)
までよみがへりつつ
196
幾千
(
いくせん
)
の
鶴
(
つる
)
の
鳴
(
な
)
く
音
(
ね
)
は
西方
(
にしかた
)
の
197
国土
(
くに
)
の
万世
(
よろづよ
)
うたふなるらむ
198
右左
(
みぎひだり
)
道
(
みち
)
を
違
(
たが
)
へず
進
(
すす
)
み
来
(
こ
)
し
199
今日
(
けふ
)
の
旅路
(
たびぢ
)
は
安
(
やす
)
けかりけり
200
右
(
みぎ
)
行
(
ゆ
)
かば
醜女
(
しこめ
)
の
神
(
かみ
)
の
謀計
(
たくらみ
)
に
201
落
(
お
)
ちて
吾
(
われ
)
はも
苦
(
くる
)
しみにけむ
202
曲神
(
まがかみ
)
の
謀
(
たくみ
)
の
裏
(
うら
)
をかきながら
203
岐美
(
きみ
)
は
雄々
(
をを
)
しく
出
(
い
)
でまししはや
204
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
光
(
ひかり
)
の
岐美
(
きみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
に
205
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
けく
魔
(
ま
)
の
森
(
もり
)
を
行
(
ゆ
)
くも
206
処々
(
ところどころ
)
清水
(
しみづ
)
湛
(
たた
)
ふる
泉
(
いづみ
)
ありて
207
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
影
(
かげ
)
浮
(
うか
)
べて
澄
(
す
)
むも
208
この
清水
(
しみづ
)
今日
(
けふ
)
が
日
(
ひ
)
までも
濁
(
にご
)
らひしを
209
生言霊
(
いくことたま
)
に
甦
(
よみがへ
)
りたるよ
210
斯
(
か
)
くならば
手
(
て
)
に
掬
(
むす
)
ぶとも
汚
(
けが
)
れまじ
211
長
(
なが
)
き
生命
(
いのち
)
の
糧
(
かて
)
ともならむか』
212
内容居
(
うちいるゐ
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
213
『
月読
(
つきよみ
)
の
神
(
かみ
)
の
御霊
(
みたま
)
に
従
(
したが
)
ひて
214
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
けく
魔
(
ま
)
の
森
(
もり
)
を
行
(
ゆ
)
くも
215
大曲津見
(
おほまがつみ
)
醜
(
しこ
)
のすみかのこの
森
(
もり
)
の
216
岐美
(
きみ
)
のみゆきに
清
(
きよ
)
まりしはや
217
曲津見
(
まがつみ
)
は
恐
(
おそ
)
れをなしてスウヤトゴルの
218
山
(
やま
)
もろともに
遠去
(
とほざ
)
りにける
219
醜狐
(
しこぎつね
)
数多
(
あまた
)
棲
(
す
)
むてふこの
森
(
もり
)
も
220
月日
(
つきひ
)
輝
(
かがや
)
く
神園
(
みその
)
となりしはや
221
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
も
清
(
すが
)
しく
冴
(
さ
)
えて
光
(
ひか
)
るなり
222
木々
(
きぎ
)
の
梢
(
こずゑ
)
は
千代
(
ちよ
)
ささやきつ
223
大空
(
おほぞら
)
を
包
(
つつ
)
みし
醜
(
しこ
)
の
黒雲
(
くろくも
)
も
224
散
(
ち
)
りて
跡
(
あと
)
なく
月日
(
つきひ
)
は
照
(
て
)
らふ
225
斯
(
か
)
くならば
未
(
ま
)
だ
地
(
つち
)
稚
(
わか
)
き
西方
(
にしかた
)
の
226
国土
(
くに
)
は
栄
(
さか
)
えむ
草木
(
くさき
)
は
萌
(
も
)
えむ
227
天津
(
あまつ
)
醜女
(
しこめ
)
神
(
かみ
)
は
何処
(
いづく
)
の
野
(
の
)
の
果
(
はて
)
に
228
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りにけむ
姿
(
かげ
)
だにもなし
229
次々
(
つぎつぎ
)
に
岐美
(
きみ
)
の
光
(
ひかり
)
の
輝
(
かがや
)
きて
230
醜
(
しこ
)
の
魔神
(
まがみ
)
の
隠
(
かく
)
れ
所
(
が
)
もなし
231
天
(
あま
)
翔
(
かけ
)
り
地
(
つち
)
を
潜
(
くぐ
)
りて
逃
(
に
)
ぐるとも
232
如何
(
いか
)
でのがれむ
神
(
かみ
)
の
眼
(
まなこ
)
を
233
西方
(
にしかた
)
の
稚
(
わか
)
き
国原
(
くにはら
)
にやうやうと
234
あらはれましぬ
光
(
ひかり
)
の
岐美
(
きみ
)
は
235
この
国土
(
くに
)
は
八十
(
やそ
)
比女神
(
ひめがみ
)
のいまさずば
236
殊
(
こと
)
に
乱
(
みだ
)
れし
曲津
(
まが
)
のすみかよ
237
曲神
(
まがかみ
)
は
八十
(
やそ
)
比女神
(
ひめがみ
)
のいまさぬを
238
よき
機会
(
しほ
)
として
雄猛
(
をたけ
)
び
狂
(
くる
)
ふも
239
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さし
給
(
たま
)
ひし
八十
(
やそ
)
比女
(
ひめ
)
の
240
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
は
国土
(
くに
)
の
鎮
(
しづ
)
めよ
241
この
国土
(
くに
)
に
八十
(
やそ
)
比女
(
ひめ
)
の
一柱
(
ひとり
)
ましまさば
242
斯
(
か
)
くも
曲津
(
まがつ
)
は
猛
(
たけ
)
ばざりしを
243
漸
(
やうや
)
くに
光
(
ひかり
)
の
神
(
かみ
)
の
出
(
い
)
でましを
244
仰
(
あふ
)
ぎて
国原
(
くにはら
)
よみがへりつつ
245
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
国原
(
くにはら
)
を
246
廻
(
めぐ
)
れど
曲津
(
まが
)
は
亡
(
ほろ
)
びざりける
247
八十日
(
やそか
)
日
(
ひ
)
はあれども
今日
(
けふ
)
の
生日
(
いくひ
)
こそ
248
国土
(
くに
)
の
始
(
はじ
)
めの
吉日
(
よきひ
)
なるかも
249
濛々
(
もうもう
)
と
黒雲
(
くろくも
)
立
(
た
)
ちて
昼
(
ひる
)
もなほ
250
小暗
(
をぐら
)
き
国土
(
くに
)
を
照
(
てら
)
し
給
(
たま
)
ひぬ
251
わが
岐美
(
きみ
)
の
厳
(
いづ
)
の
御水火
(
みいき
)
に
大空
(
おほぞら
)
を
252
包
(
つつ
)
みし
雲
(
くも
)
も
散
(
ち
)
り
失
(
う
)
せにけり
253
黒雲
(
くろくも
)
は
紫
(
むらさき
)
の
雲
(
くも
)
と
変
(
へん
)
じつつ
254
この
国原
(
くにはら
)
はあらたに
生
(
うま
)
れむ
255
八雲
(
やくも
)
立
(
た
)
つ
黒雲
(
くろくも
)
立
(
た
)
ちたつ
西方
(
にしかた
)
の
256
国土
(
くに
)
を
照
(
てら
)
して
光
(
ひか
)
る
岐美
(
きみ
)
はも
257
待
(
ま
)
ち
待
(
ま
)
ちし
光
(
ひかり
)
の
岐美
(
きみ
)
は
現
(
あ
)
れましぬ
258
神
(
かみ
)
に
祈
(
いの
)
りし
功
(
いさを
)
なるらむ
259
今日
(
けふ
)
よりは
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
導
(
みちび
)
きて
260
禊
(
みそぎ
)
の
神事
(
わざ
)
に
世
(
よ
)
を
生
(
い
)
かすべし
261
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
は
雲
(
くも
)
と
霧
(
きり
)
とに
包
(
つつ
)
まれて
262
月光
(
つきかげ
)
さへも
見
(
み
)
ぬ
国土
(
くに
)
なりけり
263
仰
(
あふ
)
ぎ
見
(
み
)
れば
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
光
(
かげ
)
月
(
つき
)
の
光
(
かげ
)
264
御空
(
みそら
)
の
碧
(
あを
)
に
輝
(
かがや
)
き
給
(
たま
)
ひぬ
265
空
(
そら
)
碧
(
あを
)
く
地
(
つち
)
は
緑
(
みどり
)
に
木草
(
きぐさ
)
生
(
お
)
ひて
266
生
(
うま
)
れし
国土
(
くに
)
は
神国
(
みくに
)
なるかも
267
高照
(
たかてる
)
の
山
(
やま
)
は
東
(
ひがし
)
に
聳
(
そび
)
えつつ
268
紫
(
むらさき
)
の
雲
(
くも
)
わき
立
(
た
)
つが
見
(
み
)
ゆ
269
今日
(
けふ
)
までは
高照山
(
たかてるやま
)
の
頂上
(
いただき
)
も
270
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれ
見
(
み
)
えずありしよ』
271
初産霊
(
はつむすび
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
272
『
駿馬
(
はやこま
)
の
嘶
(
いなな
)
き
強
(
つよ
)
し
御空
(
みそら
)
にも
273
鶴
(
つる
)
の
鳴
(
な
)
く
音
(
ね
)
の
冴
(
さ
)
え
渡
(
わた
)
る
今日
(
けふ
)
274
この
国土
(
くに
)
に
始
(
はじ
)
めて
見
(
み
)
たる
日月
(
じつげつ
)
の
275
光
(
かげ
)
のさやけさに
吾
(
わが
)
魂
(
たま
)
生
(
い
)
くるも
276
黒雲
(
くろくも
)
に
空
(
そら
)
は
閉
(
とざ
)
され
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
は
277
始
(
はじ
)
めて
拝
(
をが
)
む
月日
(
つきひ
)
なりけり
278
真鶴
(
まなづる
)
の
空
(
そら
)
に
舞
(
ま
)
ひつつ
歌
(
うた
)
ひつつ
279
岩戸
(
いはと
)
開
(
ひら
)
けし
国土
(
くに
)
を
祝
(
いは
)
ふも
280
大空
(
おほぞら
)
を
十重
(
とへ
)
に
二十重
(
はたへ
)
に
包
(
つつ
)
みたる
281
雲
(
くも
)
散
(
ち
)
り
行
(
ゆ
)
きて
御空
(
みそら
)
高
(
たか
)
しも
282
碧々
(
あをあを
)
と
底
(
そこ
)
ひも
知
(
し
)
らぬ
空
(
そら
)
の
海
(
うみ
)
を
283
静
(
しづか
)
に
渡
(
わた
)
らす
月舟
(
つきふね
)
の
影
(
かげ
)
284
嬉
(
うれ
)
しさは
何
(
なに
)
に
譬
(
たと
)
へむ
百千花
(
ももちばな
)
285
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ひたる
新
(
あたら
)
しき
国土
(
くに
)
を
286
山
(
やま
)
に
野
(
の
)
に
百花
(
ももばな
)
千花
(
ちばな
)
咲
(
さ
)
き
満
(
み
)
ちて
287
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
も
芳
(
かむば
)
しき
国土
(
くに
)
』
288
愛見男
(
なるみを
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
289
『
天国
(
かみくに
)
と
早
(
は
)
や
愛見男
(
なるみを
)
の
神柱
(
みはしら
)
の
290
国土
(
くに
)
はさやけく
雲
(
くも
)
晴
(
は
)
れにつつ
291
瑞御霊
(
みづみたま
)
光
(
ひかり
)
の
岐美
(
きみ
)
の
出
(
い
)
でましに
292
新
(
あたら
)
しき
国土
(
くに
)
生
(
うま
)
れたるかも
293
スウヤトゴル
曲津見
(
まがつみ
)
潜
(
ひそ
)
む
山脈
(
やまなみ
)
は
294
今
(
いま
)
を
限
(
かぎ
)
りに
遠
(
とほ
)
ざかりつつ
295
曲神
(
まがかみ
)
を
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
せ
西方
(
にしかた
)
の
296
国土
(
くに
)
の
月日
(
つきひ
)
を
永久
(
とは
)
に
拝
(
をが
)
まむ
297
草
(
くさ
)
も
木
(
き
)
も
小鳥
(
ことり
)
も
虫
(
むし
)
も
今日
(
けふ
)
よりは
298
岐美
(
きみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
をうたひ
奉
(
まつ
)
らむ
299
有難
(
ありがた
)
き
日
(
ひ
)
は
来
(
きた
)
りけり
瑞御霊
(
みづみたま
)
300
光
(
ひかり
)
の
岐美
(
きみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
あふれて
301
雲霧
(
くもきり
)
は
四方
(
よも
)
に
立
(
た
)
ち
立
(
た
)
ち
風
(
かぜ
)
冷
(
ひ
)
えて
302
木草
(
きぐさ
)
の
生育
(
そだち
)
も
乏
(
とぼ
)
しき
国土
(
くに
)
なりし
303
永遠
(
とことは
)
の
光
(
ひかり
)
の
岐美
(
きみ
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
304
この
稚国土
(
わかぐに
)
はよみがへるべし
305
西方
(
にしかた
)
の
国土
(
くに
)
には
八十
(
やそ
)
比女神
(
ひめがみ
)
坐
(
ま
)
さず
306
曲津見
(
まがつみ
)
処得顔
(
ところえがほ
)
に
猛
(
たけ
)
びし
307
待佗
(
まちわ
)
びし
光
(
ひかり
)
の
岐美
(
きみ
)
の
国土造
(
くにつく
)
り
308
喜
(
よろこ
)
び
迎
(
むか
)
へむ
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
は』
309
斯
(
か
)
く
神々
(
かみがみ
)
は
各自
(
おのもおのも
)
生言霊
(
いくことたま
)
の
御歌
(
みうた
)
うたひつつ、
310
曲神
(
まがかみ
)
の
棲
(
す
)
めるてふ、
311
柏木
(
かしはぎ
)
の
森
(
もり
)
を
何
(
なん
)
の
艱
(
なや
)
みもなく
突破
(
とつぱ
)
し、
312
スウヤトゴル
山脈
(
さんみやく
)
さして、
313
駒
(
こま
)
の
轡
(
くつわ
)
を
並
(
なら
)
べ
悠然
(
いうぜん
)
として
進
(
すす
)
み
給
(
たま
)
ふぞ
畏
(
かしこ
)
き
極
(
きは
)
みなりけり。
314
(
昭和八・一一・三〇
旧一〇・一三
於水明閣
森良仁
謹録)
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【23 魔の森林|第75巻(寅の巻)|霊界物語/rm7523】
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