第一四章 鶴の訣別(三)〔一九〇八〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第75巻 天祥地瑞 寅の巻
篇:第3篇 真鶴の声
よみ(新仮名遣い):まなづるのこえ
章:第14章 鶴の訣別(三)
よみ(新仮名遣い):つるのわかれ
通し章番号:1908
口述日:1933(昭和8)年11月27日(旧10月10日)
口述場所:水明閣
筆録者:白石恵子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年2月3日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:引き続き、従者神の国中比古の神、宇礼志穂の神、美波志比古の神、産玉の神たちが、顕津男の神の真鶴国固成の偉業をたたえ、また国の発展を祈りつつ顕津男の神との別れを歌った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7514
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 358頁
修補版:
校定版:258頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 国中比古の神は、002御歌詠ませ給ふ。
003『真鶴の中津神国を固めまし
004今立たすかも瑞の御霊は
005朝夕に仕へまつりし瑞御霊に
006別るる今日を惜しまるるかな
007神風はそよろに吹きて玉藻山の
008常磐の松は囁きそめたり
009笹の葉にうつや霰のたしたしに
010国魂御子は生れましにける
012母に千代鶴姫は育たむ
013旅立たす岐美を送らむ今日こそは
015涙もて嬉しく迎へしわが岐美を
016今日は涙に送らむとすも
017春たけし山の尾の上に瑞御霊と
018別るる朝を白梅の散る
019真鶴の国はつぎつぎ固まりて
021八百万神を生みまし千万の
022ものを生かせて旅立たす岐美よ
023若草の妻の神言に別れゆく
024岐美の旅路は雄々しかりけり
025いすくはし生代の比女の御姿を
026その折々に偲ばせ給へ
027岐美待ちて気永く仕へし玉野比女の
028真心ゆめにも忘らせ給ふな
029白梅の花より清き玉野比女の
030姿拝めばわれも悲しき
031力おちしおもひするかな今日よりは
032岐美に別れて国土造りすも
033西方の国に立たさむ瑞御霊の
034行手遥けきを思へば悲しき
035久方の天津高宮に永久に
036いませる神も嘉し給はむ
037瑞御霊今日を限りと真鶴の
038国を立たすも空曇らひつ
039百神の水火のくもりて雲となり
041いささ川水のながれは涸るるとも
042われは忘れじ岐美の功を
043現世も幽世もまた天界も
044主の大神の水火の中なる
045国といふ国は多けれど主の神の
046生きの命の照らざるはなし
047主の神はいや永遠の天地を
048固めむとして岐美を降せり
049月読の神の御霊と生れませる
050岐美にしあへば心豊けし
051豊なりし岐美に別れて只一人
052真鶴国土を開くは淋しも』
053 宇礼志穂の神は御歌詠ませ給ふ。
054『美しき国土を造りて旅立たす
055岐美の出でまし嬉しかりけり
056国土も神も嬉し嬉しの花咲かせ
057瑞の御霊は今や立たすも
058主の神の御水火に生りし白梅の
059花は散れども実り嬉しき
060月読の神は御庭の白梅に
061露を宿してかがやき給ふ
062奴羽玉の闇はなかりき月読の
063神の光のかがよふ限りは
064ふさがりし心も開く白梅の
065花の粧ひ愛しき岐美はも
066結び合ひし水火と水火との固まりて
067生れます御子や千代鶴姫の命
068雪よりも白き肌の御子なれば
069一入清しくましましにけり
070産玉の神の力に生れし御子は
072歓ぎまして旅立ちませよ真鶴の
073国土は万世までも動かじ
074現世の神と生れましし瑞御霊は
075今日を限りに旅に立たすも
076背の岐美に別れて一人玉藻山に
077宮仕へせむ玉野比女あはれ
078てらてらと松の梢に天津日は
079輝き給ひて国土固めましぬ
080山も野も瑞の御霊の言霊に
081いや栄えましぬこれの国原は
083岐美の出で立ち笑顔に送るも
084いすくはし真鶴の国の山も野も
085百花千花咲き匂ひつつ
086岐美が行く大野の果ても百千花
087咲き匂ひつつ慰めまつらむ
088白梅の花は漸く散り初めぬ
089後の実りを思へば楽し
090真鶴は言ふも更なり百千鳥
091林に鳴きて岐美を送るも
092西方の国土は広けく限りなし
093はてなき望み持たす岐美はも
094右左の契りを終へて御子生ませ
095立たさむ岐美の功を思ふ
096充ち満ちて隙間もあらぬ言霊の
097生きの力の大いなるかも
098勇ましく駒嘶きぬ今立たす
099岐美のすがたは此上なく勇まし
100水火と水火凝り固まりし真鶴の
101国魂神のみさち多かれ
102甘美国尊き国土よ真鶴の
103稚国原に月日照らひて
104天津日は隈なく照らひあしびきの
105山野の木草日々に栄ゆも
108遠見男の神の守らす南の
109国土にめづらし真鶴の国
110住み心地よき天界に生れあひて
111如何で心の濁らふべきやは
112瑞御霊よさしの言霊畏みて
113吾は仕へむ千代に八千代に』
114 美波志比古の神は御歌詠ませ給ふ。
115『瑞御霊今日の旅立ち守りつつ
117天に照る太陽のかげも時折は
118曇らふ世なり心して行きませ
119かき曇る空のしたびを走り行く
120駒の脚なみ安かれと思ふ
121さまざまの悩み苦しみ凌ぎつつ
122国魂神を生ます旅かも
123玉の緒の命の限り仕ふべし
125鳴く鶴の声もかすみて聞ゆなり
126岐美旅立たす今日の神苑は
127春たけて白梅の花は散りぬれど
128岐美の心に開く百花
129真鶴の国は広けし一日二日
130駒駈けらすもなほ余りあり
131七日七夜駒に鞭うち走らせて
132いよいよ西の国に着かさむ
133山を生み地を固めて旅立たす
134岐美の功の重くもあるかな
135吾もまた瑞の御霊の御尾前に
136仕へてみゆきを安く守らむ
137五百鈴の清き小鈴を駒の尻に
138飾りてしやんしやん野路を行かなむ
139今日よりは岐美の旅立ち駿馬の
141万世の末まで駒に鈴かけて
142岐美のみゆきの形見となさばや
143白駒も五百鈴の音に勇み立ち
144蹄も軽く逸り進まむ
145右左草にひそみてなく虫の
146声にも似たり五百鈴の音は
147清しくも岐美ゆく野辺に鈴虫や
148松虫なきて行手を慰めむ
149鳳凰は御空に舞ひつをどりつつ
150駒は地上を嘶きて行かむ
151言霊のア声に生りし顕津男の
152神の出で立ち勇ましきかも
153吾も亦ウの言霊に生れあひて
154今日のみゆきを送る楽しさ
155空高み道遠みつつ大野原
156駒をうたさす岐美ぞ勇まし』
157 産玉の神は御歌詠ませ給ふ。
158『いつまでも名残はつきじ瑞御霊の
159やさしき神は今日を立たすも
160情深き岐美に別れて真鶴の
161国に仕へむ御子を守りつ
162いすくはし岐美の御水火の現はれて
163千代鶴姫の御姿くはし
164ははそはの母に抱かれ育ちます
165千代鶴姫の命やあはれ
166年月を御子に仕へて真鶴の
167国の千歳の礎守らむ
168生れし御子の生ひ立ちまさむよき月日
169岐美の御霊とわれは待つなり
170生代比女淋しかるらむ背の岐美に
171生きて別るる心思へば
172玉藻山この頂上の聖所に
173玉野の比女を補けて仕へむ
174玉藻山真鶴山と日毎夜毎
175天翔りつつわれは守らな
176果しなき稚国原を旅立たす
177岐美の雄々しき心を思ふ
178万世の名残惜みて別れゆく
179瑞の御霊を思へば悲しも
180さりながら主の大神の御旨なれば
181吾如何ともせむ術なけれ
182主の神は皇神国を固めむと
183任け給ひけむ瑞の御霊を
184何一つなき大空に天津国を
185生り出でましし主の神尊き
186かたちなき生言霊の凝り凝りて
187うつしき天界は生り出でしはや
188言霊の御稜威を思へば有難し
189万世生きて神に報いむ
190真鶴の山の麓を白雲は
191深く包めり岐美を惜むか
192玉藻山わきたつ雲のつぎつぎに
193膨れあがりて空曇らへり
194落ちたぎつ千条の滝も見えぬまでに
195白雲つつみて風静なり
196見渡せば真下の国原霧立ちて
198百鳥の声は聞けどもその姿
199霧の中なる今のながめよ
200玉藻山尾の上に立ちて見渡せば
201この国原は霧の海なり
202大空の雲ちりゆきて紺碧の
204大空を包みし雲の破れより
205天津日かげはさし初めにける』
206(昭和八・一一・二七 旧一〇・一〇 於水明閣 白石恵子謹録)