第二〇章 岸辺の出迎(一)〔一九一四〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第75巻 天祥地瑞 寅の巻
篇:第4篇 千山万水
よみ(新仮名遣い):せんざんばんすい
章:第20章 岸辺の出迎(一)
よみ(新仮名遣い):きしべのでむかえ
通し章番号:1914
口述日:1933(昭和8)年11月29日(旧10月12日)
口述場所:水明閣
筆録者:林弥生
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年2月3日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:「スウヤトゴル」とは、聖なる山、という意味である。
天地の邪気が凝り固まって生まれた十二頭の大蛇神が、この連峰となって日南河の西北に高くそびえ、邪気を日々発生させて紫微天界の一部を曇らせ、神々を悩ませていた。
スウヤトゴルはこの邪神の連峰の偽名であり、実は曲津・悪霊が割拠していたのである。
顕津男の神がスウヤトゴルを帰順させて西方の国を開こうと、日南河の北岸に渡って来たとき、照男(てるお)の神は、七柱の神々を従えて迎えにやってきた。
七柱の神々とは、内津豊日(うちつゆたひ)の神、大道知男(おおみちしりお)の神、宇志波岐(うしはぎ)の神、臼造男(うすつくりお)の神、内容居(うちいるい)の神、初産霊(はつむすび)の神、愛見男(なるみを)の神である。
八柱の神々は、顕津男の神に挨拶を述べ、そのご健在を祝して歌った。
照男の神はまた、スウヤトゴル山の猛威を訴え、顕津男の神を待ち望んでいた西方の国の神人たちの心情を歌った。
顕津男の神は、様子の分からない国の案内を照男の神に頼みつつ、これまで曲神の猛威に耐えつつよく国を治めてきた照男の神をねぎらう歌を歌った。
従者神の内津豊日の神、大道知男の神、宇志波岐の神は、西方の国の現状を訴え、顕津男の神への期待を歌に歌い、御降臨を喜んだ。
すると、たちまち天地が割れるかというような雷鳴がとどろき、稲妻が走り、大雨が降りだすと、日南河はみるみる濁流にあふれ、岸を呑み、河底の巨巖をまりのように押し流してしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7520
愛善世界社版:
八幡書店版:第13輯 392頁
修補版:
校定版:383頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 スウヤトゴルは、002聖なる山の義である。003ここに天地の邪気凝り固まりて、004十二頭の大蛇神となりけるが、005忽ち姿を変じ、006スウヤトゴルの連峰となりて、007日南河の西北方に高く聳え、008邪気を日夜発生して、009紫微天界の一部を曇らせ、010数多の神々をなやませて居たのである。011スウヤトゴルは偽名にして、012その実は大曲津見の神、013八十曲津見の神の悪霊が割拠してゐるのである。
014 顕津男の神は、015西方の国土を拓かむとして、016先づ第一に悪神の化身なるスウヤトゴルを帰順せしめむと、017日南河を北岸に打ち渡り給へば、018ここに照男の神は内津豊日の神、019大道知男の神、020宇志波岐の神、021臼造男の神、022内容居の神、023初産霊の神、024愛見男の神の七柱を従へて出で迎へ給ひ、025別れて程経し挨拶を述べ終り、026その御健在を祝しつつ御歌詠ませ給ふ。
027 照男の神の御歌。
028『気永くも待ちわびにける顕津男の
029神は来ませりわが守る国土に
030西方の国土は曲神塞がりて
031日に夜に邪気を吹きまくるなり
032如何にしてこの曲神ををさめむと
033心を千々に砕きけるはや
034顕津男の神の出でます今日よりは
035西方の国土の月日冴ゆらむ
036時じくに黒雲起し雨降らせ
037風吹き荒ぶスウヤトゴルの山
038スウヤトゴルの山は時じく黒煙
039吐きて四方八方に邪気を散らすも
040草も木も木の実も五穀さへも
041この邪気のため伊竦みにけり
042育つべきものも育たず日に月に
043しをれ行くかなスウヤトゴルの雲に
044言霊の光の岐美にめぐり会ひて
045わが雄心の高鳴りやまずも
046高照の山より落つる日南河の
047水も濁りぬ曲津見の邪気に
048神々の生命を奪ひ草や木の
050この上は言霊の水火の光にて
052 顕津男の神は御歌詠ませ給ふ。
053『月も日も照男の神の功績に
054西方の国土は明るからむを
055我は今真鶴の国土を造りをへて
056日南の河を渡りつるかも
057西方の国土の有様知らねども
058汝の案内に進まむとぞおもふ
059照男神心安かれ主の神の
060生言霊を受けし我あれば
061如何ならむ醜の曲津見猛ぶとも
063日南河渡りしばかりの我なれば
064西方国の状はわからず』
065 照男の神は再び御歌もて答へ給ふ。
066『力なきわれ恥づかしも言霊の
067水火の濁れば曲津見は猛ぶ
068スウヤトゴルの清き神山に身を変じ
069大曲津見は国土を乱しつ
070朝夕に曲津見の吹く水火の色は
071黒雲となりて四方を包めり
072われは今七柱の神従へて
074七柱神の神言はウの声の
075生言霊ゆ生れし神ぞや
076主の神の神言畏みウ声より
077七柱の神は生れましにけり
078七柱神を率ゐてわれは今
079岐美がみゆきを迎へまつりぬ』
080 ここに七柱の神の一柱、081内津豊日の神は御歌もて寿ぎ給ふ。
082『久方の高地秀の山ゆ下りましし
083岐美を初めて拝みけるはや
084言霊の光の岐美に今あひて
086国土を生み御子を生まさむ瑞御霊の
087神業たふとみ待ち迎へゐし
088月も日も照男の神の御供して
089日南の河に立ち向ひける
090日南河水は俄に清みけり
091岐美の御水火の光にふれて
092瑞御霊現れませしたまゆらに
094かくの如尊き光の神ますとは
095夢に現に思はざりしを
096われこそは内津豊日の神なるよ
097守らせ給へ言霊の水火に
098今日よりは岐美の御尾前を守りつつ
099国土生みの業に仕へまつらむ
100美波志比古の神は先つ日現れまして
102美波志比古神の便りは絶えにけり
103大曲津見にとらはれ給ひしか
104ともかくも神の心に任せつつ
105吉日良辰待たむと思ふも』
106 大道知男の神は御歌詠ませ給ふ。
107『われは今照男の神の御供して
108光の岐美を迎へけるかな
109月も日も照男の神の功績に
110大曲津見の禍少なき
111さりながらこの稚き国土広き空
112一柱神の如何に堪ふべき
113国津神は岐美の出でまし待ちにつつ
114空を仰ぎて歎きゐしはや
115畏くも光の岐美の出でましに
117曲津見は山河と化り巌と化りて
118神々等を惑はせてをり
119スウヤトゴル山の姿は清けれど
120表面を飾る曲津のたくみよ
121美しき山の姿となりながら
122日に夜に邪気を吐き散らすなり
123西方の国土はよしあし茂らひて
124神の住むべき所少なき
125スウヤトゴルの山の裾野に住む神は
126何時も魔神の餌食となれり
127折々は八十曲津見は河中の
128巌となりて堰き止めにけり
129瑞御霊光の岐美の言霊に
130曲津見の巌は砕かれしはや
131曲津見の醜の猛びの強ければ
132野辺の木草もことごとしなへり
133今日よりは岐美の御尾前に仕へつつ
134西方の国土の邪気を払はむ
135ありがたく尊くおもふ西方の
136国土に天降りし瑞の御霊を
137駿馬の嘶きにさへも四方八方を
138ふたぎし雲は散り初めにけり
139永久の光に満てる岐美ゆゑに
140醜の黒雲散り初めにけり
141今日よりは天津御空の日も月も
143 宇志波岐の神は御歌詠ませ給ふ。
144『吾こそは稚国原を宇志波岐の
145神なりながら力足らずも
146待ち待ちし光の神のいでましに
147山河一度に晴れ渡りつつ
148久方の天津高宮あとにして
149光の岐美は此処に来ませり
150常闇の西方の国土を照らさむと
151出でます岐美の姿雄々しも
152ヒーローの神いまさずば西方の
153国の曲津見は帰順はざるべし
154八雲立つ出雲八重雲重なりて
155月日もたしに拝めざる国土
156月と日の光をさへぎる曲津見の
157水火かたまりて黒雲となりぬ
158次々に湧き立つ雲の天に満ちて
159この国原の水火をそこなふ
160主の神のウ声に生れ出でしわれも
162 かく四柱神は、163顕津男の神の御降臨を喜び給ひて、164寿ぎ歌を詠ませつつ、165天に向ひて合掌礼拝久しくし給ふぞ畏けれ。
166 折しもあれや、167天地も割るるばかりの雷鳴轟き、168稲妻走り、169大雨沛然として臻り、170みるみる日南河は濁流漲り、171岸を呑み、172河底の巨巌を鞠の如くに下流に流し初めにける。
173(昭和八・一一・二九 旧一〇・一二 於水明閣 林弥生謹録)