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第46巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 仕組の縺糸
01 榛並樹
〔1211〕
02 慰労会
〔1212〕
03 噛言
〔1213〕
04 沸騰
〔1214〕
05 菊の薫
〔1215〕
06 千代心
〔1216〕
07 妻難
〔1217〕
第2篇 狐運怪会
08 黒狐
〔1218〕
09 文明
〔1219〕
10 唖狐外れ
〔1220〕
11 変化神
〔1221〕
12 怪段
〔1222〕
13 通夜話
〔1223〕
第3篇 神明照赫
14 打合せ
〔1224〕
15 黎明
〔1225〕
16 想曖
〔1226〕
17 惟神の道
〔1227〕
18 エンゼル
〔1228〕
第4篇 謎の黄板
19 怪しの森
〔1229〕
20 金の力
〔1230〕
21 民の虎声
〔1231〕
22 五三嵐
〔1232〕
23 黄金華
〔1233〕
余白歌
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> 第1篇 仕組の縺糸 > 第5章 菊の薫
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第五章
菊
(
きく
)
の
薫
(
かをり
)
〔一二一五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻
篇:
第1篇 仕組の縺糸
よみ(新仮名遣い):
しぐみのれんし
章:
第5章 菊の薫
よみ(新仮名遣い):
きくのかおり
通し章番号:
1215
口述日:
1922(大正11)年12月15日(旧10月27日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年9月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
お菊は壇上に登り、卓の脚を叩きながら歌い始めた。蠑螈別はお寅を隠し妻として教団をこの地に開き、朝から晩まで酒を飲んでわけのわからない説教をしていたことを暴露した。そして、神の戸籍がどうであろうと神徳をいただいてこの世が楽に暮らせたらよいだろうと信者たちを説得した。
またテクはウラナイ教の神が曲津神であり、教祖自身が信者の女と逃げて行き、幹部のお寅がそれを牛のように追いかける様を見れば、それが何よりの証拠だと歌った。
テクが歌い終わると大広前は喧々囂々と醜態を演出し始めた。テクは壇上から声を張り上げて心を鎮め、誠の神を拝むようにと歌を歌った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-03-10 18:13:52
OBC :
rm4605
愛善世界社版:
66頁
八幡書店版:
第8輯 384頁
修補版:
校定版:
67頁
普及版:
28頁
初版:
ページ備考:
001
お
菊
(
きく
)
は
満座
(
まんざ
)
の
騒擾
(
さうぜう
)
を
見
(
み
)
て、
002
慌
(
あわただ
)
しく
壇上
(
だんじやう
)
に
登
(
のぼ
)
り、
003
白扇
(
はくせん
)
をもつて
卓
(
たく
)
の
脚
(
あし
)
を
叩
(
たた
)
きながら
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めた。
004
お菊
『ウラナイ
教
(
けう
)
の
大教主
(
だいけうしゆ
)
005
蠑螈別
(
いもりわけ
)
は
大広木
(
おほひろき
)
006
正宗
(
まさむね
)
さまと
名告
(
なの
)
りつつ
007
高姫
(
たかひめ
)
さまの
後
(
あと
)
襲
(
おそ
)
ひ
008
魔我彦
(
まがひこ
)
さまの
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
009
怪
(
あや
)
しき
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
さまと
010
北山村
(
きたやまむら
)
を
立出
(
たちい
)
でて
011
こんな
所
(
ところ
)
へ
出張
(
しゆつちやう
)
し
012
唯一
(
ゆゐいつ
)
無二
(
むに
)
なる
聖場
(
せいぢやう
)
と
013
讃
(
たた
)
へてお
寅
(
とら
)
の
鈴野姫
(
すずのひめ
)
014
人
(
ひと
)
には
云
(
い
)
はぬ
隠
(
かく
)
し
妻
(
づま
)
015
夫婦
(
ふうふ
)
の
水火
(
いき
)
を
合
(
あは
)
せつつ
016
大神業
(
だいしんげふ
)
を
起
(
おこ
)
さむと
017
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
み
018
世
(
よ
)
に
落
(
お
)
ち
給
(
たま
)
ひし
神
(
かみ
)
さまに
019
神酒
(
みき
)
を
献上
(
けんじやう
)
するといひ
020
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
づぶ
六
(
ろく
)
に
021
酔
(
よ
)
つて
厶
(
ござ
)
つた
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
022
張子
(
はりこ
)
の
虎
(
とら
)
のやうだつた
023
露国
(
ろこく
)
の
土地
(
とち
)
に
生
(
うま
)
れたる
024
大海原
(
おほうなばら
)
の
姫神
(
ひめがみ
)
が
025
大
(
おほ
)
ふね
さまと
生
(
うま
)
れ
変
(
かは
)
り
026
その
又
(
また
)
霊
(
れい
)
が
変化
(
へんげ
)
して
027
八坂
(
やさか
)
の
盛竹
(
もりたけ
)
大臣
(
だいじん
)
と
028
御
(
お
)
成
(
な
)
りなさつたといふ
事
(
こと
)
だ
029
大舟
(
おほふね
)
さまの
兄弟
(
きやうだい
)
に
030
大岩
(
おほいは
)
大藤
(
おほふぢ
)
二柱
(
ふたはしら
)
031
あるとか
教
(
をし
)
へて
下
(
くだ
)
さつた
032
元下
(
もとした
)
則武
(
のりたけ
)
日吉姫
(
ひよしひめ
)
033
夫婦
(
ふうふ
)
の
仲
(
なか
)
に
出来
(
でき
)
た
子
(
こ
)
が
034
時文
(
じぶん
)
といつて
其
(
その
)
家来
(
けらい
)
035
八坂
(
やさか
)
盛竹
(
もりたけ
)
を
随
(
したが
)
へて
036
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
に
渡
(
わた
)
り
来
(
く
)
る
037
其
(
その
)
又
(
また
)
日吉
(
ひよし
)
の
姫
(
ひめ
)
さまは
038
大海原姫
(
おほうなばらひめ
)
又
(
また
)
の
御名
(
みな
)
039
平野
(
ひらの
)
の
姫
(
ひめ
)
の
変化
(
へんげ
)
だと
040
訳
(
わけ
)
のわからぬ
御
(
ご
)
説教
(
せつけう
)
041
何時
(
いつ
)
も
御
(
お
)
聞
(
き
)
かせ
遊
(
あそ
)
ばした
042
露国
(
ろこく
)
の
土地
(
とち
)
の
頭領
(
とうりやう
)
は
043
山竹
(
やまたけ
)
さまで
又
(
また
)
の
名
(
な
)
は
044
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
と
言
(
い
)
うたげな
045
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
は
又
(
また
)
へぐれ
046
大鶴姫
(
おほづるひめ
)
とならしやつた
047
常世
(
とこよ
)
の
姫
(
ひめ
)
が
又
(
また
)
へぐれ
048
猿田子
(
さだこ
)
の
姫
(
ひめ
)
や
平野姫
(
ひらのひめ
)
049
大海原姫
(
おほうなばらひめ
)
や
日吉姫
(
ひよしひめ
)
050
てるむす
孟子
(
まうし
)
路易
(
ろい
)
出
(
い
)
づる
051
何
(
なん
)
だかわけの
分
(
わか
)
らない
052
前後
(
ぜんご
)
矛盾
(
むじゆん
)
の
御
(
ご
)
神名
(
しんめい
)
053
てるむす
姫
(
ひめ
)
の
又
(
また
)
の
名
(
な
)
は
054
たらた
姫
(
ひめ
)
だと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ
055
口
(
くち
)
から
馬
(
うま
)
が
生
(
うま
)
れたり
056
獅子
(
しし
)
が
飛出
(
とびで
)
る
孔雀
(
くじやく
)
生
(
う
)
む
057
蜈蚣
(
むかで
)
に
蛇
(
へび
)
に
蟇蛙
(
ひきがへる
)
058
その
又
(
また
)
蛙
(
かへる
)
と
狐
(
きつね
)
さまが
059
つるんで
人
(
ひと
)
を
生
(
う
)
んだとか
060
わけのわからぬ
事
(
こと
)
ばかり
061
酒
(
さけ
)
の
上
(
うへ
)
にてベラベラと
062
仰有
(
おつしや
)
るのだから
怺
(
たま
)
らない
063
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へばアクさまが
064
名
(
な
)
の
無
(
な
)
き
神
(
かみ
)
ぢやというたのも
065
あながち
無理
(
むり
)
ではあらうまい
066
神
(
かみ
)
の
戸籍
(
こせき
)
は
何
(
ど
)
うあろと
067
決
(
けつ
)
して
心配
(
しんぱい
)
は
要
(
い
)
りませぬ
068
ただ
神徳
(
しんとく
)
を
頂
(
いただ
)
いて
069
此
(
この
)
世
(
よ
)
が
楽
(
らく
)
に
暮
(
くら
)
せたら
070
それで
皆
(
みな
)
さまは
宜
(
よろ
)
しかろ
071
天地
(
てんち
)
尋常
(
じんじやう
)
の
神
(
かみ
)
さまや
072
青森
(
あをもり
)
白木
(
しらき
)
上
(
じやう
)
の
神
(
かみ
)
073
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
074
常世
(
とこよ
)
の
姫
(
ひめ
)
や
黄竜姫
(
わうりようひめ
)
075
大足姫
(
おほだるひめ
)
や
言上姫
(
ことじやうひめ
)
076
金山姫
(
かなやまひめ
)
や
未姫
(
ひつじひめ
)
077
地上
(
ちじやう
)
大臣
(
だいじん
)
地上丸
(
ちじやうまる
)
078
たがやし
大臣
(
だいじん
)
杵築姫
(
きづきひめ
)
079
朝日子
(
あさひこ
)
姫
(
ひめ
)
や
みのる
姫
(
ひめ
)
080
はやざと
姫
(
ひめ
)
や
地上姫
(
ちじやうひめ
)
081
以上
(
いじやう
)
十六
(
じふろく
)
神柱
(
かむばしら
)
082
これが
根本
(
こつぽん
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
083
昔
(
むかし
)
の
昔
(
むかし
)
のさる
昔
(
むかし
)
084
まだも
昔
(
むかし
)
のその
昔
(
むかし
)
085
霊
(
れい
)
の
もと
なる
十六
(
じふろく
)
の
086
お
菊
(
きく
)
の
御魂
(
みたま
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ
087
お
菊
(
きく
)
は
今
(
いま
)
や
十六
(
じふろく
)
の
088
冬
(
ふゆ
)
を
迎
(
むか
)
へた
花盛
(
はなざか
)
り
089
神
(
かみ
)
の
御名
(
みな
)
をばとらまへて
090
ゴテゴテいふより
此
(
こ
)
の
菊
(
きく
)
を
091
拝
(
をが
)
んだ
方
(
はう
)
が
御
(
ご
)
利益
(
りやく
)
が
092
よつぽど
沢山
(
たんと
)
あるだろ
093
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
が
預
(
あづか
)
つて
094
御
(
お
)
育
(
そだ
)
て
申
(
まを
)
した
七
(
しち
)
人
(
にん
)
の
095
神
(
かみ
)
は
天照彦
(
あまてるひこ
)
さまに
096
天若彦
(
あまわかひこ
)
や
八王
(
やつわう
)
さま
097
大野
(
おほの
)
大臣
(
だいじん
)
大広木
(
おほひろき
)
098
正宗
(
まさむね
)
さまや
同情
(
どうじやう
)
の
099
ふかい
道上
(
だうじやう
)
義則
(
よしのり
)
や
100
柔道
(
じうだう
)
行成
(
ゆきなり
)
此
(
この
)
神
(
かみ
)
を
101
合
(
あは
)
せて
二十三
(
にじふさん
)
神
(
しん
)
と
102
崇
(
あが
)
めまつると
聞
(
き
)
きました
103
此
(
この
)
神
(
かみ
)
さまは
親
(
おや
)
が
子
(
こ
)
に
104
なるかと
思
(
おも
)
へば
子
(
こ
)
が
親
(
おや
)
に
105
なつたり
又
(
また
)
も
主従
(
しうじゆう
)
に
106
なつたりなされてこれといふ
107
定
(
きま
)
つた
判定
(
はんてい
)
がつきませぬ
108
不思議
(
ふしぎ
)
と
思
(
おも
)
うて
正宗
(
まさむね
)
に
109
神名
(
しんめい
)
の
由来
(
ゆらい
)
を
聞
(
き
)
いた
時
(
とき
)
110
正宗
(
まさむね
)
さまは
仰有
(
おつしや
)
つた
111
へぐれのへぐれのへぐれ
武者
(
むしや
)
112
へぐれ
神社
(
じんしや
)
と
云
(
い
)
ふぢやないか
113
如何
(
いか
)
に
矛盾
(
むじゆん
)
があるとても
114
へぐれといへば
一言
(
ひとこと
)
で
115
どんな
事
(
こと
)
でも
解決
(
かいけつ
)
が
116
つくではないかお
菊
(
きく
)
さま
117
馬鹿
(
ばか
)
正直
(
しやうぢき
)
に
神
(
かみ
)
さまを
118
崇
(
あが
)
める
奴
(
やつ
)
が
何処
(
どこ
)
にある
119
お
前
(
まへ
)
は
文明
(
ぶんめい
)
の
空気
(
くうき
)
をば
120
吸
(
す
)
うた
女
(
をんな
)
に
似
(
に
)
もやらず
121
馬鹿
(
ばか
)
正直
(
しやうぢき
)
のものだなと
122
笑
(
わら
)
うてゐられた
事
(
こと
)
がある
123
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば
此
(
この
)
山
(
やま
)
に
124
祀
(
まつ
)
つた
神
(
かみ
)
は
皆
(
みな
)
怪
(
あや
)
し
125
末代
(
まつだい
)
日
(
ひ
)
の
王天
(
わうてん
)
の
神
(
かみ
)
も
126
上義
(
じやうぎ
)
の
姫
(
ひめ
)
も
皆
(
みな
)
嘘
(
うそ
)
だ
127
五六七
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
肉宮
(
にくみや
)
も
128
リントウビテンの
肉宮
(
にくみや
)
も
129
生羽
(
いきば
)
神社
(
じんしや
)
も
岩照姫
(
いはてるひめ
)
も
130
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
も
131
木曽
(
きそ
)
義姫
(
よしひめ
)
の
肉宮
(
にくみや
)
も
132
日
(
ひ
)
の
丸姫
(
まるひめ
)
も
天上
(
てんじやう
)
さまも
133
玉則姫
(
たまのりひめ
)
も
大将軍
(
だいしやうぐん
)
も
134
常世
(
とこよ
)
の
姫
(
ひめ
)
も
皆
(
みな
)
うそ
だ
135
四個
(
しこ
)
の
野狐
(
やかん
)
が
憑依
(
のりうつ
)
り
136
こんな
他愛
(
たあい
)
もない
事
(
こと
)
を
137
喋
(
しやべ
)
つて
人
(
ひと
)
を
暗黒
(
あんこく
)
へ
138
導
(
みちび
)
くものと
覚
(
おぼ
)
えたり
139
お
菊
(
きく
)
はこれから
皆様
(
みなさま
)
へ
140
立腹
(
りつぷく
)
させていろいろと
141
責
(
せ
)
め
立
(
た
)
てられるか
知
(
し
)
らねども
142
他人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
ける
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
143
嘘
(
うそ
)
と
知
(
し
)
りつつこれが
又
(
また
)
144
何
(
ど
)
うして
黙
(
だま
)
つて
居
(
を
)
られませう
145
何卒
(
なにとぞ
)
妾
(
わたし
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
146
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
147
よくよく
悟
(
さと
)
つて
下
(
くだ
)
さんせ
148
生命
(
いのち
)
をかけて
皆
(
みな
)
さまに
149
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
の
内幕
(
うちまく
)
を
150
ここに
打明
(
うちあ
)
け
奉
(
たてまつ
)
る
151
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
152
みたま
幸
(
さち
)
はひましませよ
153
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
154
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
155
たとへ
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
156
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つでない
事
(
こと
)
にや
157
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
栄
(
さか
)
えて
行
(
ゆ
)
かれない
158
妾
(
わたし
)
は
未来
(
みらい
)
が
恐
(
おそ
)
ろしい
159
短
(
みじか
)
い
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生命
(
いのち
)
をば
160
保
(
たも
)
たむために
嘘
(
うそ
)
ばかり
161
ならべて
人
(
ひと
)
を
迷
(
まよ
)
はせつ
162
永
(
なが
)
き
地獄
(
ぢごく
)
の
苦
(
くる
)
しみの
163
種子
(
たね
)
を
蒔
(
ま
)
くのは
嫌
(
いや
)
だ
故
(
ゆゑ
)
164
物質
(
ぶつしつ
)
上
(
じやう
)
の
得失
(
とくしつ
)
を
165
かへりみせずに
天地
(
あめつち
)
の
166
真理
(
しんり
)
をここに
現
(
あら
)
はして
167
迷
(
まよ
)
ひ
切
(
き
)
つたる
人々
(
ひとびと
)
の
168
御
(
おん
)
眼
(
め
)
をさましおきまする
169
悪
(
わる
)
く
思
(
おも
)
うて
下
(
くだ
)
さるな
170
偏
(
ひとへ
)
に
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る
171
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
172
みたま
幸
(
さち
)
はひましませよ』
173
テクは
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
174
テク
『
松彦
(
まつひこ
)
さまに
随
(
したが
)
ひて
175
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
の
坂道
(
さかみち
)
を
176
テクテク
上
(
のぼ
)
り
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
177
木造
(
もくざう
)
石造
(
せきざう
)
いろいろの
178
沢山
(
たくさん
)
な
宮
(
みや
)
が
立
(
た
)
つてゐる
179
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
さまに
随
(
したが
)
ひて
180
大門
(
おほもん
)
神社
(
じんしや
)
の
受付
(
うけつけ
)
を
181
たづねて
見
(
み
)
れば
白衣
(
びやくえ
)
をば
182
つけたる
爺
(
ぢ
)
さまがただ
一人
(
ひとり
)
183
蕪大根
(
かぶらだいこ
)
をセツセツと
184
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
描
(
か
)
いてゐる
185
不思議
(
ふしぎ
)
な
神
(
かみ
)
もあるものと
186
疑
(
うたが
)
ひながら
山中
(
やまぢう
)
を
187
廻
(
めぐ
)
つていよいよ
曲神
(
まがかみ
)
の
188
醜
(
しこ
)
の
住処
(
すみか
)
と
悟
(
さと
)
りました
189
大方
(
おほかた
)
此処
(
ここ
)
は
幽冥
(
いうめい
)
の
190
世界
(
せかい
)
に
通
(
つう
)
づる
八衢
(
やちまた
)
か
191
六道
(
ろくだう
)
の
辻
(
つじ
)
かさもなくば
192
八万
(
はちまん
)
地獄
(
ぢごく
)
の
入口
(
いりぐち
)
と
193
思
(
おも
)
うた
事
(
こと
)
は
違
(
ちが
)
はない
194
いよいよ
真相
(
しんさう
)
を
暴露
(
ばくろ
)
して
195
教祖
(
けうそ
)
と
名告
(
なの
)
つた
蠑螈別
(
いもりわけ
)
さまは
196
夫婦
(
めをと
)
喧嘩
(
けんくわ
)
をおつ
始
(
ぱじ
)
め
197
お
民
(
たみ
)
とひそかに
喋
(
しめ
)
し
合
(
あ
)
ひ
198
闇
(
やみ
)
にまぎれてすたすたと
199
尻尾
(
しつぽ
)
をまいて
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
した
200
後姿
(
うしろすがた
)
をながむれば
201
狐
(
きつね
)
狸
(
たぬき
)
か
山犬
(
やまいぬ
)
か
202
合点
(
がてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
203
後
(
あと
)
から
唸
(
うなり
)
を
立
(
た
)
てながら
204
夜叉
(
やしや
)
の
如
(
ごと
)
くに
追
(
お
)
つかける
205
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
さまを
眺
(
なが
)
むれば
206
牛
(
うし
)
にもあらず
虎
(
とら
)
ならず
207
よくよく
見
(
み
)
れば
古狐
(
ふるぎつね
)
208
恋路
(
こひぢ
)
の
暗
(
やみ
)
に
閉
(
とざ
)
されて
209
後前
(
あとさき
)
見
(
み
)
ずにトントンと
210
恋
(
こひ
)
しき
男
(
をとこ
)
の
後
(
あと
)
追
(
お
)
うて
211
生命
(
いのち
)
からがら
追
(
お
)
つて
行
(
ゆ
)
く
212
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
の
神殿
(
しんでん
)
が
213
果
(
はた
)
して
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
214
集
(
あつ
)
まりいます
所
(
とこ
)
なれば
215
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
教祖
(
けうそ
)
さま
216
醜
(
しこ
)
の
悪魔
(
あくま
)
に
憑依
(
ひようい
)
され
217
霊
(
たま
)
をぬかれて
此
(
この
)
場
(
ば
)
をば
218
逃出
(
にげだ
)
しなさる
筈
(
はず
)
はない
219
此
(
この
)
有様
(
ありさま
)
を
見
(
み
)
たならば
220
如何
(
いか
)
なる
堅
(
かた
)
き
迷信
(
めいしん
)
も
221
忽
(
たちま
)
ち
夢
(
ゆめ
)
が
醒
(
さ
)
めるだろ
222
わたしは
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
を
行
(
ゆ
)
く
223
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つのテク
司
(
つかさ
)
224
決
(
けつ
)
して
他処
(
よそ
)
の
教
(
をしへ
)
をば
225
誹
(
そし
)
る
心
(
こころ
)
はなけれども
226
見
(
み
)
るに
見
(
み
)
かねて
身
(
み
)
を
忘
(
わす
)
れ
227
憎
(
にく
)
まれ
口
(
ぐち
)
をたたくのだ
228
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
集
(
あつ
)
まる
人々
(
ひとびと
)
よ
229
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
し
230
よきに
省
(
かへり
)
み
給
(
たま
)
へかし
231
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
232
みたま
幸
(
さち
)
はひましませよ』
233
斯
(
か
)
くテクが
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
るや、
234
又
(
また
)
もや
大広前
(
おほひろまへ
)
は
喧々
(
けんけん
)
囂々
(
がうがう
)
として
騒
(
さわ
)
ぎ
立
(
た
)
て、
235
怒
(
おこ
)
るもの、
236
泣
(
な
)
くもの、
237
笑
(
わら
)
ふもの、
238
叫
(
さけ
)
ぶもの、
239
千態
(
せんたい
)
万状
(
ばんじやう
)
、
240
言語
(
げんご
)
に
絶
(
ぜつ
)
する
醜態
(
しうたい
)
を
演出
(
えんしゆつ
)
し
始
(
はじ
)
めた。
241
テクは
壇上
(
だんじやう
)
より
声
(
こゑ
)
を
張
(
は
)
りあげて、
242
テク
『
道
(
みち
)
のため
世人
(
よびと
)
のために
身
(
み
)
をすてて
243
生言霊
(
いくことたま
)
を
宣
(
の
)
り
初
(
そ
)
めにけり。
244
人々
(
ひとびと
)
よ
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
らに
平
(
たひら
)
かに
245
しづまりませよ
神
(
かみ
)
の
大前
(
おほまへ
)
。
246
やがて
今
(
いま
)
元
(
もと
)
の
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
247
斎
(
いつ
)
きまつりて
世
(
よ
)
を
開
(
ひら
)
きゆかむ。
248
凩
(
こがらし
)
にうたれて
散
(
ち
)
りゆく
木々
(
きぎ
)
の
葉
(
は
)
は
249
枝
(
えだ
)
にとどまる
力
(
ちから
)
なきもの。
250
凩
(
こがらし
)
に
吹
(
ふ
)
かれたたかれ
何処
(
どこ
)
までも
251
梢
(
こずゑ
)
にのこるは
生
(
い
)
きたみたまぞ。
252
何事
(
なにごと
)
の
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
るとも
世
(
よ
)
の
元
(
もと
)
の
253
神
(
かみ
)
にしたがへ
百
(
もも
)
の
人々
(
ひとびと
)
。
254
蠑螈別
(
いもりわけ
)
、
魔我彦
(
まがひこ
)
、お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
アさまの
255
迷
(
まよ
)
ふ
心
(
こころ
)
を
照
(
て
)
らす
今日
(
けふ
)
かな。
256
魔我彦
(
まがひこ
)
も
今日
(
けふ
)
を
嘸
(
さぞ
)
かし
悦
(
よろこ
)
ばむ
257
迷
(
まよ
)
ひ
切
(
き
)
つたる
やみ
をはなれて』
258
(
大正一一・一二・一五
旧一〇・二七
外山豊二
録)
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