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第66巻(巳の巻)
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第75巻(寅の巻)
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第77巻(辰の巻)
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第46巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 仕組の縺糸
01 榛並樹
〔1211〕
02 慰労会
〔1212〕
03 噛言
〔1213〕
04 沸騰
〔1214〕
05 菊の薫
〔1215〕
06 千代心
〔1216〕
07 妻難
〔1217〕
第2篇 狐運怪会
08 黒狐
〔1218〕
09 文明
〔1219〕
10 唖狐外れ
〔1220〕
11 変化神
〔1221〕
12 怪段
〔1222〕
13 通夜話
〔1223〕
第3篇 神明照赫
14 打合せ
〔1224〕
15 黎明
〔1225〕
16 想曖
〔1226〕
17 惟神の道
〔1227〕
18 エンゼル
〔1228〕
第4篇 謎の黄板
19 怪しの森
〔1229〕
20 金の力
〔1230〕
21 民の虎声
〔1231〕
22 五三嵐
〔1232〕
23 黄金華
〔1233〕
余白歌
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第六章
千代心
(
ちよごころ
)
〔一二一六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻
篇:
第1篇 仕組の縺糸
よみ(新仮名遣い):
しぐみのれんし
章:
第6章 千代心
よみ(新仮名遣い):
ちよごころ
通し章番号:
1216
口述日:
1922(大正11)年12月15日(旧10月27日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年9月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
幹部の竹公は壇上に上がり、述懐を含めた歌を歌いだした。竹公夫婦は先祖の残した遺産で遊んで暮らせるだけの身代があったが、お寅がやってきて世界の立替が始まって神政が成就するにあたり、自分たち夫婦の身魂は因縁があって大切な役目があるなどとうまいことを並べたという。
また妻のお福がにわかに神がかりしてお寅の言ったことと口裏合せて脅したため、家財を処分してすべてウラナイ教にささげ、夫婦で移住したという。しかし今タク、テクの話を聞くにつけて目が覚め、これは古狸の仕業であったのかと後悔を表し、こうなった上は三五教の真の神の道に真心を捧げようと歌った。
お千代は壇上に上がると、率直な物言いでウラナイ教の迷信を一刀両断し、また心が曇った人々を集めておいて誠を教えようという神様の仕組かもしれないので、心を改めて真の神を信仰しようと呼び掛けた。
喜久公は壇上に上がり、ウラナイ教の甘言につられて入信して奉仕してきた今日までの述懐を述べ、お千代の善悪不二の道理を聞いたからは皇大神の御心にしたがって御用をしようと改心を表した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-03-10 18:14:30
OBC :
rm4606
愛善世界社版:
77頁
八幡書店版:
第8輯 387頁
修補版:
校定版:
79頁
普及版:
32頁
初版:
ページ備考:
001
竹公
(
たけこう
)
は
立上
(
たちあが
)
り、
002
演壇
(
えんだん
)
に
登
(
のぼ
)
つて
面
(
つら
)
をふくらし、
003
錫
(
すず
)
の
瓶
(
びん
)
からコツプに
水
(
みづ
)
を、
004
ついでは
飲
(
の
)
みついでは
飲
(
の
)
み、
005
オホン
徳利
(
どくり
)
の
様
(
やう
)
な
面
(
つら
)
をさらし、
006
顎
(
あご
)
を
斜
(
ななめ
)
に
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
へニユツとつき
出
(
だ
)
し、
007
両手
(
りやうて
)
で
卓
(
たく
)
をグツと
押
(
おさ
)
へ、
008
腰
(
こし
)
を
弓
(
ゆみ
)
に
曲
(
ま
)
げながら、
009
述懐
(
じゆつくわい
)
を
述
(
の
)
べ
始
(
はじ
)
めた。
010
竹公
『
浮木
(
うきき
)
の
村
(
むら
)
に
生
(
うま
)
れたる
011
竹公
(
たけこう
)
さまとは
私
(
わし
)
のこと
012
親
(
おや
)
の
代
(
だい
)
から
蓄
(
たくは
)
へた
013
資産
(
しさん
)
は
余
(
あま
)
り
多
(
おほ
)
くない
014
さはさりながら
夫婦
(
ふうふ
)
等
(
ら
)
が
015
一生
(
いつしやう
)
遊
(
あそ
)
んで
暮
(
くら
)
すだけ
016
物質
(
ぶつしつ
)
的
(
てき
)
の
財産
(
ざいさん
)
が
017
あつた
所
(
ところ
)
へお
寅
(
とら
)
さま
018
朝
(
あさ
)
も
早
(
はや
)
うから
飛
(
と
)
んで
来
(
き
)
て
019
ウラナイ
教
(
けう
)
の
祝詞
(
のりと
)
をば
020
声
(
こゑ
)
高々
(
たかだか
)
と
唱
(
とな
)
へ
上
(
あ
)
げ
021
コレコレモウシ
竹
(
たけ
)
さまよ
022
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
立替
(
たてかへ
)
始
(
はじ
)
まつて
023
悪
(
あく
)
の
世界
(
せかい
)
は
滅亡
(
めつぼう
)
し
024
世界
(
せかい
)
は
三分
(
さんぶ
)
に
減
(
へ
)
りますぞ
025
さうした
後
(
あと
)
へ
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
026
五六七
(
みろく
)
菩薩
(
ぼさつ
)
が
現
(
あら
)
はれて
027
結構
(
けつこう
)
な
神世
(
かみよ
)
を
立
(
た
)
てなさる
028
之
(
これ
)
を
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
と
029
教祖
(
けうそ
)
のきみが
申
(
まを
)
された
030
結構
(
けつこう
)
な
事
(
こと
)
ではないかいな
031
こんな
時代
(
じだい
)
に
生
(
うま
)
れ
来
(
き
)
た
032
私
(
わたし
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
なれど
033
お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
夫婦
(
ふうふ
)
のお
霊
(
みたま
)
は
034
昔
(
むかし
)
の
昔
(
むかし
)
のさる
昔
(
むかし
)
035
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
先祖
(
せんぞ
)
とあれませる
036
国治立
(
くにはるたち
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
037
根本
(
こつぽん
)
の
根本
(
こつぽん
)
の
御
(
ご
)
系統
(
ひつぽう
)
038
五六七
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
039
霊
(
みたま
)
がうつつて
厶
(
ござ
)
るぞや
040
物質
(
ぶつしつ
)
的
(
てき
)
の
財産
(
ざいさん
)
を
041
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
献
(
たてまつ
)
り
042
家
(
いへ
)
をたたんで
小北山
(
こぎたやま
)
043
大聖場
(
だいせいぢやう
)
に
参上
(
まゐのぼ
)
り
044
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
結構
(
けつこう
)
な
045
御用
(
ごよう
)
を
遊
(
あそ
)
ばす
気
(
き
)
はないか
046
お
前
(
まへ
)
の
家
(
うち
)
のお
福
(
ふく
)
さま
047
こなたも
結構
(
けつこう
)
なお
霊
(
みたま
)
だ
048
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
049
五六七
(
みろく
)
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
050
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
奥様
(
おくさま
)
だ
051
なぞと
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
並
(
なら
)
べたて
052
枯木
(
かれき
)
に
餅
(
もち
)
がなるやうに
053
よい
事
(
こと
)
づくめで
云
(
い
)
ふ
故
(
ゆゑ
)
に
054
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
け
思案
(
しあん
)
する
055
間
(
ま
)
もなくお
福
(
ふく
)
が
手
(
て
)
をふつて
056
突然
(
とつぜん
)
起
(
おこ
)
つた
神憑
(
かむがかり
)
057
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
058
神
(
かみ
)
の
憑
(
うつ
)
つた
因縁
(
いんねん
)
の
059
霊
(
みたま
)
のお
福
(
ふく
)
ぢや
竹公
(
たけこう
)
よ
060
お
前
(
まへ
)
は
五六七
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
061
皇神
(
すめかみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
ぞ
062
旭
(
あさひ
)
の
申
(
まを
)
す
神勅
(
しんちよく
)
を
063
もしも
疑
(
うたが
)
ひ
反
(
そむ
)
くなら
064
きつい
神罰
(
しんばつ
)
当
(
あた
)
るぞや
065
七生
(
しちしやう
)
までも
祟
(
たた
)
るぞと
066
現在
(
げんざい
)
女房
(
にようばう
)
の
口
(
くち
)
をかり
067
なだめつ おどしつ
言
(
い
)
ふ
故
(
ゆゑ
)
に
068
神
(
かみ
)
はウソをば
云
(
い
)
はないと
069
思
(
おも
)
ひ
込
(
こ
)
んだが
病
(
や
)
みつきで
070
近所隣
(
きんじよとなり
)
や
親族
(
しんぞく
)
の
071
とめるも
聞
(
き
)
かず
家倉
(
いへくら
)
を
072
二足
(
にそく
)
三文
(
さんもん
)
に
売飛
(
うりと
)
ばし
073
残
(
のこ
)
らずお
金
(
かね
)
にとりまとめ
074
何
(
いづ
)
れ
此
(
この
)
世
(
よ
)
が
替
(
かは
)
るのだ
075
物質
(
ぶつしつ
)
的
(
てき
)
の
財宝
(
ざいほう
)
は
076
ガラガラガラガラ メチヤメチヤと
077
今
(
いま
)
になるのは
知
(
し
)
れてゐる
078
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
079
人
(
ひと
)
より
先
(
さき
)
に
聞
(
き
)
いたのは
080
ヤツパリ
身魂
(
みたま
)
のよい
故
(
ゆゑ
)
だ
081
コリヤ
斯
(
か
)
うしては
居
(
を
)
られぬと
082
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
さまのお
言葉
(
ことば
)
を
083
一
(
いち
)
も
二
(
に
)
もなく
承諾
(
しようだく
)
し
084
夫婦
(
ふうふ
)
は
茲
(
ここ
)
にウラナイの
085
信者
(
しんじや
)
の
中
(
なか
)
の
世話役
(
せわやく
)
と
086
選
(
えら
)
まれ
朝
(
あさ
)
から
日暮
(
ひぐれ
)
まで
087
碌
(
ろく
)
でないもの
食
(
く
)
はされて
088
蕪
(
かぶら
)
大根
(
だいこん
)
芋
(
いも
)
牛蒡
(
ごばう
)
089
これを
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
御
(
ご
)
馳走
(
ちそう
)
と
090
今
(
いま
)
まで
勤
(
つと
)
めて
来
(
き
)
ましたが
091
タク、テクさまやお
菊
(
きく
)
さまの
092
今
(
いま
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
くにつけ
093
どうやら
眼
(
まなこ
)
がさめかけた
094
五六七
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
大神
(
おほかみ
)
と
095
得意
(
とくい
)
になつてゐたけれど
096
どうやら
此奴
(
こいつ
)
ア
怪
(
あや
)
しいぞ
097
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
の
古狸
(
ふるだぬき
)
098
俺
(
おれ
)
の
体
(
からだ
)
を
宿
(
やど
)
として
099
巣
(
す
)
ぐつてゐるに
違
(
ちが
)
ひない
100
女房
(
にようばう
)
お
福
(
ふく
)
の
体
(
からだ
)
にも
101
古
(
ふる
)
い
狸
(
たぬき
)
が
巣
(
す
)
をくんで
102
天眼通
(
てんがんつう
)
だといひながら
103
女房
(
にようばう
)
の
眼
(
まなこ
)
をくらませつ
104
妙
(
めう
)
な
所
(
ところ
)
を
見聞
(
みき
)
きさせ
105
馬鹿
(
ばか
)
にしてるに
違
(
ちが
)
ひない
106
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
恥
(
はづか
)
しや
107
騙
(
だま
)
したお
寅
(
とら
)
さまは
憎
(
にく
)
けれど
108
これもヤツパリ
昔
(
むかし
)
から
109
悪
(
あく
)
を
働
(
はたら
)
いた
其
(
その
)
酬
(
むく
)
い
110
今
(
いま
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
き
)
たのだろ
111
こんな
事
(
こと
)
にて
今迄
(
いままで
)
の
112
罪
(
つみ
)
や
汚
(
けが
)
れがスツパリと
113
払
(
はら
)
はれ
清
(
きよ
)
まる
事
(
こと
)
ならば
114
真
(
まこと
)
に
安
(
やす
)
い
代償
(
だいしやう
)
だ
115
かうなる
上
(
うへ
)
は
三五
(
あななひ
)
の
116
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
117
遵奉
(
じゆんぽう
)
なして
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
118
世人
(
よびと
)
の
為
(
ため
)
に
真心
(
まごころ
)
を
119
捧
(
ささ
)
げまつらむ
惟神
(
かむながら
)
120
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
にねぎまつる
121
お
福
(
ふく
)
よお
前
(
まへ
)
もこれからは
122
心
(
こころ
)
をスツパリ
立直
(
たてなほ
)
し
123
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
124
なぞといふよな
慢心
(
まんしん
)
を
125
致
(
いた
)
しちやならない
惟神
(
かむながら
)
126
神
(
かみ
)
に
目
(
め
)
ざめて
竹公
(
たけこう
)
が
127
一寸
(
ちよつと
)
お
前
(
まへ
)
に
気
(
き
)
をつける
128
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
129
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
130
お
千代
(
ちよ
)
は
壇上
(
だんじやう
)
に
登
(
のぼ
)
り、
131
小
(
ちひ
)
さき
顔
(
かほ
)
に
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へながら
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
132
お千代
『
天地
(
てんち
)
を
造
(
つく
)
り
給
(
たま
)
ひたる
133
尊
(
たふと
)
き
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
134
智慧
(
ちゑ
)
と
力
(
ちから
)
に
比
(
くら
)
ぶれば
135
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
人間
(
にんげん
)
の
136
知識
(
ちしき
)
と
力
(
ちから
)
は
大海
(
たいかい
)
の
137
水一滴
(
みづいつてき
)
に
如
(
し
)
かざらむ
138
そは
云
(
い
)
ふものの
人
(
ひと
)
は
又
(
また
)
139
万
(
よろづ
)
の
物
(
もの
)
の
霊長
(
れいちやう
)
だ
140
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
が
守護
(
しゆごう
)
して
141
守
(
まも
)
り
給
(
たま
)
へる
上
(
うへ
)
からは
142
決
(
けつ
)
して
曲
(
まが
)
の
犯
(
をか
)
すべき
143
道理
(
だうり
)
はなかろ、あの
様
(
やう
)
に
144
一心
(
いつしん
)
不乱
(
ふらん
)
に
真心
(
まごころ
)
を
145
こめて
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
146
祈
(
いの
)
り
遊
(
あそ
)
ばす
上
(
うへ
)
からは
147
其
(
その
)
信仰
(
しんかう
)
の
力
(
ちから
)
にて
148
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
も
醜鬼
(
しこおに
)
も
149
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
も
如何
(
いか
)
にして
150
犯
(
をか
)
さむ
由
(
よし
)
もなかるべし
151
これの
御山
(
みやま
)
に
集
(
あつ
)
まれる
152
人
(
ひと
)
は
残
(
のこ
)
らず
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
153
すぐれて
正
(
ただ
)
しき
人
(
ひと
)
ばかり
154
ちつとは
理解
(
りかい
)
のある
方
(
かた
)
と
155
思
(
おも
)
うて
居
(
ゐ
)
たに
情
(
なさけ
)
なや
156
子供
(
こども
)
の
私
(
わたし
)
の
目
(
め
)
にさへも
157
分
(
わか
)
り
切
(
き
)
つたる
詐
(
いつは
)
りが
158
欲
(
よく
)
に
迷
(
まよ
)
うた
魂
(
たましひ
)
にや
159
てつきり
誠
(
まこと
)
と
見
(
み
)
えるそな
160
尊
(
たふと
)
き
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
161
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
誹謗
(
ひばう
)
して
162
名
(
な
)
もなき
詐
(
いつは
)
り
神
(
がみ
)
どもを
163
立派
(
りつぱ
)
なお
宮
(
みや
)
の
中
(
なか
)
に
入
(
い
)
れ
164
鬚面
(
ひげづら
)
男
(
をとこ
)
が
嬉
(
うれ
)
しそに
165
十能
(
じふのう
)
のやうな
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
せ
166
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
祈
(
いの
)
るさま
167
横
(
よこ
)
から
眺
(
なが
)
めた
其
(
その
)
時
(
とき
)
は
168
フツと
吹出
(
ふきだ
)
し
笑
(
わら
)
ひこけ
169
尻餅
(
しりもち
)
ついて
べべ
よごし
170
松姫
(
まつひめ
)
さまにお
叱言
(
こごと
)
を
171
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
した
事
(
こと
)
もある
172
ホンに
人間
(
にんげん
)
といふものは
173
身欲
(
みよく
)
に
迷
(
まよ
)
うた
其
(
その
)
時
(
とき
)
は
174
二
(
ふた
)
つの
眼
(
まなこ
)
もくらみはて
175
耳
(
みみ
)
は
塞
(
ふさ
)
がり
曲事
(
まがこと
)
が
176
神
(
かみ
)
の
慈言
(
じげん
)
に
響
(
ひび
)
くのか
177
五官
(
ごくわん
)
の
作用
(
さよう
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
178
大変調
(
だいへんてう
)
を
来
(
きた
)
しつつ
179
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
心霊
(
しんれい
)
まで
180
ねぢけ
曇
(
くも
)
りてあとさきの
181
見
(
み
)
えぬ
心
(
こころ
)
の
盲目
(
まうもく
)
と
182
なつて
憐
(
あは
)
れな
生涯
(
しやうがい
)
を
183
送
(
おく
)
るに
至
(
いた
)
るあはれさよ
184
松姫
(
まつひめ
)
さまは
朝夕
(
あさゆふ
)
に
185
皆
(
みな
)
さま
方
(
がた
)
の
迷信
(
めいしん
)
を
186
払
(
はら
)
ひて
誠
(
まこと
)
の
大道
(
おほみち
)
に
187
救
(
すく
)
はむものと
心
(
こころ
)
をば
188
配
(
くば
)
らせ
給
(
たま
)
ひ
皇神
(
すめかみ
)
の
189
真
(
まこと
)
の
御名
(
みな
)
を
讃
(
たた
)
へむと
190
心
(
こころ
)
を
焦
(
いら
)
ち
給
(
たま
)
へども
191
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
や
192
豊国姫
(
とよくにひめの
)
大御神
(
おほみかみ
)
193
かかる
尊
(
たふと
)
き
神名
(
しんめい
)
を
194
公然
(
こうぜん
)
唱
(
とな
)
ふるものならば
195
蠑螈別
(
いもりわけ
)
が
目
(
め
)
をむいて
196
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
殊
(
こと
)
に
斜
(
ななめ
)
なり
197
婆
(
ば
)
アさままでが
尾
(
を
)
について
198
いかい
小言
(
こごと
)
を
云
(
い
)
ふ
故
(
ゆゑ
)
に
199
こらへ
忍
(
しの
)
んで
今日
(
けふ
)
迄
(
まで
)
も
200
館
(
やかた
)
を
別
(
べつ
)
になされつつ
201
人
(
ひと
)
に
聞
(
き
)
かさぬやうにして
202
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
を
一心
(
いつしん
)
に
203
祈
(
いの
)
つて
厶
(
ござ
)
つた
甲斐
(
かひ
)
あつて
204
今日
(
けふ
)
はいよいよ
天地
(
あめつち
)
を
205
包
(
つつ
)
んだ
雲
(
くも
)
は
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
り
206
誠
(
まこと
)
の
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
が
207
輝
(
かがや
)
き
給
(
たま
)
ふ
如
(
ごと
)
くなる
208
目出度
(
めでた
)
き
道
(
みち
)
の
開
(
ひら
)
け
口
(
ぐち
)
209
謹
(
つつし
)
みここに
祝
(
しゆく
)
します
210
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
211
深
(
ふか
)
き
仕組
(
しぐみ
)
にあやつられ
212
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
の
手
(
て
)
をかつて
213
よせられ
来
(
き
)
たのに
違
(
ちが
)
ひない
214
心
(
こころ
)
の
曇
(
くも
)
つた
人間
(
にんげん
)
を
215
初
(
はじ
)
めの
中
(
うち
)
から
正直
(
しやうぢき
)
な
216
誠
(
まこと
)
ばかりを
教
(
をし
)
へたら
217
中々
(
なかなか
)
容易
(
ようい
)
によりつかぬ
218
それ
故
(
ゆゑ
)
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
219
曲津
(
まがつ
)
のなすが
儘
(
まま
)
にして
220
御
(
おん
)
目
(
め
)
をとぢて
黎明
(
れいめい
)
の
221
来
(
きた
)
る
時
(
とき
)
をば
待
(
ま
)
たせつつ
222
迷
(
まよ
)
へる
魂
(
みたま
)
を
天国
(
てんごく
)
に
223
お
救
(
すく
)
ひ
下
(
くだ
)
さる
有難
(
ありがた
)
さ
224
これを
思
(
おも
)
へば
皆
(
みな
)
さまが
225
今
(
いま
)
まで
神
(
かみ
)
に
尽
(
つく
)
したる
226
事
(
こと
)
に
一
(
ひと
)
つも
仇
(
あだ
)
はない
227
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
228
立派
(
りつぱ
)
に
仕
(
つか
)
へまつりたる
229
殊勲者
(
しゆくんじや
)
なれば
力
(
ちから
)
をば
230
落
(
おと
)
さずとみに
弱
(
よわ
)
らさず
231
益々
(
ますます
)
勇気
(
ゆうき
)
をほり
出
(
だ
)
して
232
今日
(
けふ
)
から
身魂
(
みたま
)
を
立直
(
たてなほ
)
し
233
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
の
神殿
(
しんでん
)
に
234
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
御光
(
みひかり
)
が
235
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
るを
待
(
ま
)
ちませう
236
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
237
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
238
喜久公
(
きくこう
)
は
壇上
(
だんじやう
)
に
登
(
のぼ
)
り
述懐
(
じゆつくわい
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
239
喜久公
『
蠑螈別
(
いもりわけ
)
や
魔我彦
(
まがひこ
)
の
240
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
に
従
(
したが
)
ひて
241
北山村
(
きたやまむら
)
を
出立
(
しゆつたつ
)
し
242
やうやう
此処
(
ここ
)
に
来
(
き
)
てみれば
243
坂照山
(
さかてるやま
)
の
急坂
(
きふはん
)
を
244
コチコチコチと
穿
(
うが
)
ちゐる
245
二人
(
ふたり
)
の
親子
(
おやこ
)
がありました
246
不思議
(
ふしぎ
)
と
側
(
そば
)
に
立
(
た
)
ちよつて
247
あなたは
何
(
いづ
)
れの
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
か
248
お
名告
(
なの
)
りなされて
下
(
くだ
)
されと
249
いと
慇懃
(
いんぎん
)
に
尋
(
たづ
)
ぬれば
250
坊主
(
ばうず
)
になつた
鶴嘴
(
つるばし
)
を
251
巌
(
いはほ
)
の
上
(
うへ
)
に
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
して
252
滴
(
したた
)
る
汗
(
あせ
)
をふきながら
253
わしは
丑寅
(
うしとら
)
金
(
かね
)
の
神
(
かみ
)
254
世
(
よ
)
におちぶれて
今
(
いま
)
は
早
(
はや
)
255
いやしき
賤
(
しづ
)
の
野良
(
のら
)
仕事
(
しごと
)
256
そのひまひまに
此
(
この
)
山
(
やま
)
へ
257
登
(
のぼ
)
つて
岩
(
いは
)
を
打砕
(
うちくだ
)
き
258
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
鎮座
(
ちんざ
)
ます
259
下津
(
したつ
)
岩根
(
いはね
)
を
親
(
おや
)
と
子
(
こ
)
が
260
朝夕
(
あさゆふ
)
穿
(
うが
)
つて
居
(
を
)
りまする
261
わたしも
卑
(
いや
)
しき
首陀
(
しゆだ
)
なれど
262
大将軍
(
だいしやうぐん
)
の
生宮
(
いきみや
)
だ
263
此
(
この
)
子
(
こ
)
の
霊
(
みたま
)
は
地上丸
(
ちじやうまる
)
264
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
らぬが
自
(
おのづか
)
ら
265
一人
(
ひとり
)
腕
(
かひな
)
がうごき
出
(
だ
)
し
266
これ
程
(
ほど
)
堅
(
かた
)
い
岩山
(
いはやま
)
が
267
いつとはなしに
平坦
(
へいたん
)
な
268
場所
(
ばしよ
)
が
沢山
(
たくさん
)
出来
(
でき
)
ました
269
ここに
神
(
かみ
)
さまを
祀
(
まつ
)
つたら
270
さぞや
結構
(
けつこう
)
になりませう
271
此
(
この
)
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
に
蠑螈別
(
いもりわけ
)
272
魔我彦
(
まがひこ
)
さまは
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つて
273
実
(
じつ
)
に
感心
(
かんしん
)
々々
(
かんしん
)
だ
274
これが
人間
(
にんげん
)
だつたなら
275
どうしてここまで
開
(
ひら
)
けよぞ
276
てつきりここは
聖地
(
せいち
)
だろ
277
一先
(
ひとま
)
づ
神
(
かみ
)
に
伺
(
うかが
)
うて
278
実否
(
じつぴ
)
を
尋
(
たづ
)
ね
探
(
さぐ
)
らむと
279
私
(
わたし
)
の
女房
(
にようばう
)
のお
覚
(
かく
)
をば
280
神
(
かみ
)
のうつらす
生宮
(
いきみや
)
と
281
定
(
さだ
)
めて
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
282
うやうやしくも
伺
(
うかが
)
へば
283
女房
(
にようばう
)
のお
覚
(
かく
)
は
手
(
て
)
をふつて
284
声
(
こゑ
)
の
色
(
いろ
)
まで
変
(
か
)
へながら
285
喜久公
(
きくこう
)
しつかり
聞
(
き
)
くがよい
286
お
覚
(
かく
)
はお
前
(
まへ
)
の
女房
(
にようばう
)
だが
287
木曽
(
きそ
)
義姫
(
よしひめ
)
の
生宮
(
いきみや
)
ぞ
288
これから
神
(
かみ
)
がかる
程
(
ほど
)
に
289
此
(
この
)
聖場
(
せいぢやう
)
に
立派
(
りつぱ
)
なる
290
神
(
かみ
)
の
御舎
(
みあらか
)
建
(
た
)
つまでは
291
決
(
けつ
)
して
女房
(
にようばう
)
と
思
(
おも
)
ふなよ
292
夜
(
よる
)
のしとねも
別
(
べつ
)
にして
293
河鹿
(
かじか
)
の
川
(
かは
)
で
水垢離
(
みづごうり
)
294
夫婦
(
ふうふ
)
が
取
(
と
)
つて
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
に
295
仕
(
つか
)
へてくれる
事
(
こと
)
ならば
296
喜久公
(
きくこう
)
さまの
守護神
(
しゆごじん
)
を
297
天晴
(
あつぱれ
)
現
(
あら
)
はしやりませうと
298
いと
厳
(
おごそ
)
かに
宣
(
の
)
り
給
(
たま
)
ふ
299
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
か
300
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
身魂
(
みたま
)
かと
301
案
(
あん
)
じ
煩
(
わづら
)
ふ
折
(
をり
)
もあれ
302
リントウビテン
大臣
(
だいじん
)
の
303
因縁
(
いんねん
)
深
(
ふか
)
き
生宮
(
いきみや
)
と
304
聞
(
き
)
いたる
時
(
とき
)
の
嬉
(
うれ
)
しさよ
305
それより
夫婦
(
ふうふ
)
は
朝夕
(
あさゆふ
)
に
306
普請
(
ふしん
)
万端
(
ばんたん
)
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けて
307
夜
(
よ
)
の
目
(
め
)
もロクに
寝
(
ね
)
もやらず
308
御用
(
ごよう
)
をつとめて
参
(
まゐ
)
りました
309
タク、テク、お
寅
(
とら
)
さまの
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
310
真
(
まこと
)
とすれば
吾
(
わが
)
夫婦
(
ふうふ
)
311
話
(
はなし
)
にならぬ
呆
(
はう
)
け
方
(
かた
)
312
バカの
骨頂
(
こつちやう
)
を
尽
(
つく
)
したと
313
そろそろ
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
ち
出
(
だ
)
して
314
神
(
かみ
)
のお
宮
(
みや
)
を
小口
(
こぐち
)
から
315
こはしてやらうと
思
(
おも
)
ふ
折
(
をり
)
316
年端
(
としは
)
もゆかぬお
千代
(
ちよ
)
さまが
317
清明
(
せいめい
)
無垢
(
むく
)
の
魂
(
たましひ
)
に
318
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
がかかられて
319
善悪
(
ぜんあく
)
不二
(
ふじ
)
の
道理
(
だうり
)
をば
320
教
(
をし
)
へ
給
(
たま
)
ひし
嬉
(
うれ
)
しさよ
321
モウ
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
何事
(
なにごと
)
も
322
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御心
(
みこころ
)
に
323
従
(
したが
)
ひまつり
一言
(
ひとこと
)
も
324
決
(
けつ
)
して
不足
(
ふそく
)
は
云
(
い
)
ひませぬ
325
其
(
その
)
日
(
ひ
)
々々
(
そのひ
)
を
楽
(
たのし
)
んで
326
しつかり
御用
(
ごよう
)
を
致
(
いた
)
しませう
327
ここに
並
(
な
)
みゐる
皆
(
みな
)
さまよ
328
定
(
さだ
)
めて
私
(
わたし
)
のやうな
事
(
こと
)
329
思
(
おも
)
うて
厶
(
ござ
)
つたでありませう
330
私
(
わたし
)
にならひ
之
(
これ
)
からは
331
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
のまま
332
謹
(
つつし
)
み
敬
(
うやま
)
ひ
御
(
ご
)
奉公
(
ほうこう
)
333
身
(
み
)
もたなしらに
励
(
はげ
)
みませう
334
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
335
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
喜久公
(
きくこう
)
が
336
迷
(
まよ
)
ひの
雲霧
(
くもきり
)
ふき
分
(
わ
)
けて
337
リントウビテンの
称号
(
しやうがう
)
を
338
御
(
お
)
返
(
かへ
)
し
申
(
まを
)
し
民草
(
たみぐさ
)
の
339
一
(
ひと
)
つの
数
(
かず
)
に
加
(
くは
)
へられ
340
心
(
こころ
)
の
限
(
かぎ
)
り
身
(
み
)
のきはみ
341
尽
(
つく
)
しまつるを
平
(
たひら
)
けく
342
いと
安
(
やす
)
らけく
聞
(
きこ
)
しめせ
343
偏
(
ひとへ
)
にこひのみ
奉
(
たてまつ
)
る』
344
(
大正一一・一二・一五
旧一〇・二七
松村真澄
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