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第46巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 仕組の縺糸
01 榛並樹
〔1211〕
02 慰労会
〔1212〕
03 噛言
〔1213〕
04 沸騰
〔1214〕
05 菊の薫
〔1215〕
06 千代心
〔1216〕
07 妻難
〔1217〕
第2篇 狐運怪会
08 黒狐
〔1218〕
09 文明
〔1219〕
10 唖狐外れ
〔1220〕
11 変化神
〔1221〕
12 怪段
〔1222〕
13 通夜話
〔1223〕
第3篇 神明照赫
14 打合せ
〔1224〕
15 黎明
〔1225〕
16 想曖
〔1226〕
17 惟神の道
〔1227〕
18 エンゼル
〔1228〕
第4篇 謎の黄板
19 怪しの森
〔1229〕
20 金の力
〔1230〕
21 民の虎声
〔1231〕
22 五三嵐
〔1232〕
23 黄金華
〔1233〕
余白歌
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第七章
妻難
(
さいなん
)
〔一二一七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻
篇:
第1篇 仕組の縺糸
よみ(新仮名遣い):
しぐみのれんし
章:
第7章 妻難
よみ(新仮名遣い):
さいなん
通し章番号:
1217
口述日:
1922(大正11)年12月15日(旧10月27日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年9月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
喜久公の妻・お覚はまた、小北山に来て神がかりし、自分の身魂が神業に仕える尊い身魂だと聞かされて、ここで奉仕したら神代からの罪悪を洗われると思い込み半信半疑で仕えてきたが、今狐の仕業とわかってすっかり迷いが晴れたと、三五教に改心することを表明した。
お福はまた、お寅が自分の家に来てから口を切るようになり、お寅の神力を信じて全財産を寄進して一心に仕えてきたが、皆の話を聞いてウラナイ教の裏を知りすっかり愛想がつきたと歌った。
お福は、夫の竹公はまだ目が覚めないが自分はもうこんなところは止めたと、春公の手を握って外へ走り出した。お福は河鹿川の神政松の御神木までくると、今までよくもだましたと怒って苗木をすっかり引き抜いて川に捨ててしまった。
あとから竹公が追いかけてきた。竹公が怒り狂うお福をなだめるが、お福は大勢の前で狐の仕業だとすっぱ抜かれることになったのも、竹公が気が利かないから騙されたのだと責め立てた。
竹公はお前がしょうもない神がかりをするから自分が巻き込まれたのだと喧嘩を始める。晴公が中へ割って入り、誰がなんと言おうと自分は二人が神の身魂だと信じると言って喧嘩を収めた。
機嫌を直した竹公とお福は、春公と共に大広間へ帰って行く。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-03-11 16:09:38
OBC :
rm4607
愛善世界社版:
91頁
八幡書店版:
第8輯 392頁
修補版:
校定版:
94頁
普及版:
36頁
初版:
ページ備考:
001
お
覚
(
かく
)
は
歌
(
うた
)
ふ。
002
お覚
『
高姫司
(
たかひめつかさ
)
の
開
(
ひら
)
きたる
003
北山村
(
きたやまむら
)
の
本山
(
ほんざん
)
を
004
蠑螈別
(
いもりわけ
)
や
魔我彦
(
まがひこ
)
の
005
司
(
つかさ
)
に
従
(
したが
)
ひ
喜久
(
きく
)
さまと
006
これの
聖地
(
せいち
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
007
思
(
おも
)
ひもよらぬ
神憑
(
かむがかり
)
008
思
(
おも
)
ひがけなや
吾
(
わが
)
魂
(
たま
)
は
009
古
(
ふる
)
き
昔
(
むかし
)
の
因縁
(
いんねん
)
で
010
木曽
(
きそ
)
義姫
(
よしひめ
)
の
守護神
(
しゆごうじん
)
011
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
裔
(
すゑ
)
と
012
聞
(
き
)
いたる
時
(
とき
)
の
驚
(
おどろ
)
きは
013
何
(
なん
)
に
譬
(
たと
)
へむものもなく
014
其
(
その
)
驚
(
おどろ
)
きと
嬉
(
うれ
)
しさの
015
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれゐたりけり
016
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
命令
(
めいれい
)
は
017
反
(
そむ
)
くに
由
(
よし
)
なく
喜久
(
きく
)
さまと
018
三年
(
みとせ
)
を
越
(
こ
)
えし
今日
(
けふ
)
迄
(
まで
)
も
019
身
(
み
)
を
慎
(
つつし
)
みて
褥
(
しとね
)
さへ
020
別
(
べつ
)
にいく
夜
(
よ
)
の
淋
(
さび
)
しさを
021
涙
(
なみだ
)
と
共
(
とも
)
にしのびつつ
022
これも
昔
(
むかし
)
の
神代
(
かみよ
)
から
023
世
(
よ
)
を
持
(
も
)
ちあらした
天罰
(
てんばつ
)
が
024
酬
(
むく
)
うて
来
(
き
)
たのに
違
(
ちが
)
ひない
025
かうして
身魂
(
みたま
)
の
借銭
(
しやくせん
)
を
026
つぐなひ
下
(
くだ
)
さる
事
(
こと
)
ならば
027
こんな
結構
(
けつこう
)
な
事
(
こと
)
はない
028
限
(
かぎ
)
りもしれぬ
罪悪
(
ざいあく
)
を
029
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
し
030
百目
(
ひやくめ
)
の
質
(
かた
)
に
編笠
(
あみがさ
)
を
031
一介
(
いつかい
)
出
(
だ
)
してすますよな
032
ボロイ
尊
(
たふと
)
い
話
(
はなし
)
ぢやと
033
ここまで
教
(
をしへ
)
をよく
守
(
まも
)
り
034
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へて
参
(
まゐ
)
りました
035
其
(
その
)
おかげやら
今日
(
けふ
)
は
又
(
また
)
036
結構
(
けつこう
)
な
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
り
出
(
だ
)
し
037
半信
(
はんしん
)
半疑
(
はんぎ
)
の
雲
(
くも
)
はれて
038
げに
爽快
(
さうくわい
)
な
魂
(
たましひ
)
と
039
スツパリ
生
(
うま
)
れ
変
(
かは
)
りました
040
これもヤツパリ
小北山
(
こぎたやま
)
041
鎮
(
しづ
)
まりいます
曲神
(
まがかみ
)
の
042
一
(
ひと
)
つはおかげに
違
(
ちが
)
ひない
043
吾
(
わが
)
身
(
み
)
に
憑
(
うつ
)
つた
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
044
木曽
(
きそ
)
義姫
(
よしひめ
)
といふ
事
(
こと
)
ぢや
045
どこの
狐
(
きつね
)
か
知
(
し
)
らねども
046
ようマア
人
(
ひと
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
047
うまく
使
(
つか
)
うたものだなア
048
これぢやに
依
(
よ
)
つて
人間
(
にんげん
)
は
049
注意
(
ちゆうい
)
をせなくちやならないと
050
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
051
赤子
(
あかご
)
の
口
(
くち
)
にそら
豆
(
まめ
)
を
052
かみくくめるやう
親切
(
しんせつ
)
に
053
諭
(
さと
)
して
下
(
くだ
)
さる
御
(
ご
)
仁愛
(
じんあい
)
054
其
(
その
)
お
言葉
(
ことば
)
をいつとなく
055
忘
(
わす
)
れて
了
(
しま
)
ひウラナイの
056
教司
(
をしへつかさ
)
の
高姫
(
たかひめ
)
が
057
水
(
みづ
)
も
漏
(
も
)
らさぬ
弁舌
(
べんぜつ
)
に
058
迷
(
まよ
)
うた
為
(
ため
)
に
肝腎
(
かんじん
)
の
059
尊
(
たふと
)
き
親
(
おや
)
を
袖
(
そで
)
にして
060
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
061
迷
(
まよ
)
うて
来
(
き
)
たのが
情
(
なさけ
)
ない
062
大
(
おほ
)
きな
顔
(
かほ
)
して
家
(
いへ
)
の
外
(
そと
)
063
どうしてこれが
歩
(
ある
)
けよか
064
とは
云
(
い
)
ふもののこれも
亦
(
また
)
065
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
066
お
試
(
ため
)
しならむと
見直
(
みなほ
)
せば
067
見直
(
みなほ
)
されない
事
(
こと
)
もない
068
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
069
神
(
かみ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
幸
(
さち
)
はひて
070
此
(
この
)
神山
(
かみやま
)
に
天地
(
あめつち
)
の
071
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
降
(
くだ
)
りまし
072
世人
(
よびと
)
を
普
(
あまね
)
く
善道
(
ぜんだう
)
に
073
教
(
をし
)
へ
導
(
みちび
)
き
吾
(
わが
)
身魂
(
みたま
)
074
救
(
すく
)
ひ
給
(
たま
)
ひて
天国
(
てんごく
)
の
075
栄
(
さか
)
えを
与
(
あた
)
へ
給
(
たま
)
へかし
076
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
077
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
078
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
079
星
(
ほし
)
は
天
(
てん
)
より
下
(
くだ
)
るとも
080
山
(
やま
)
さけ
海
(
うみ
)
はあするとも
081
三五教
(
あななひけう
)
の
神徳
(
しんとく
)
に
082
眼
(
まなこ
)
を
覚
(
さま
)
した
上
(
うへ
)
からは
083
如何
(
いか
)
なる
事
(
こと
)
の
来
(
きた
)
るとも
084
決
(
けつ
)
して
邪教
(
じやけう
)
にや
迷
(
まよ
)
はない
085
曇
(
くも
)
つた
眼
(
まなこ
)
は
今
(
いま
)
あけて
086
真如
(
しんによ
)
の
光明
(
くわうみよう
)
ありありと
087
心
(
こころ
)
の
海
(
うみ
)
に
照
(
て
)
り
出
(
だ
)
した
088
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
よ
089
天
(
てん
)
の
誠
(
まこと
)
の
五六七
(
みろく
)
様
(
さま
)
090
何卒
(
なにとぞ
)
々々
(
なにとぞ
)
吾々
(
われわれ
)
が
091
汚
(
きたな
)
い
心
(
こころ
)
を
憐
(
あは
)
れみて
092
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
三五
(
あななひ
)
の
093
教
(
をしへ
)
を
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
かに
094
さとらせ
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
095
珍
(
うづ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
願
(
ね
)
ぎまつる』
096
お
福
(
ふく
)
はまた
歌
(
うた
)
ふ。
097
お福
『
さだ
子
(
こ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
肉宮
(
にくみや
)
と
098
鈴野
(
すずの
)
の
姫
(
ひめ
)
をかね
給
(
たま
)
ふ
099
内事司
(
ないじつかさ
)
のお
寅
(
とら
)
さま
100
吾
(
わが
)
家
(
や
)
に
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
りまし
101
ウラナイ
教
(
けう
)
の
信仰
(
しんかう
)
を
102
お
勧
(
すす
)
めなさつた
時
(
とき
)
もあれ
103
不思議
(
ふしぎ
)
や
妾
(
わたし
)
の
身体
(
しんたい
)
は
104
地震
(
ぢしん
)
の
如
(
ごと
)
く
震動
(
しんどう
)
し
105
胸苦
(
むなぐる
)
しくもなつて
来
(
き
)
た
106
此奴
(
こいつ
)
ア
不思議
(
ふしぎ
)
とわれながら
107
怪
(
あや
)
しみ
疑
(
うたが
)
ふ
時
(
とき
)
もあれ
108
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
からウンウンと
109
唸
(
うな
)
り
出
(
だ
)
したる
玉
(
たま
)
ゴロが
110
漸
(
やうや
)
く
喉
(
のど
)
へ
上
(
のぼ
)
りつめ
111
口
(
くち
)
を
切
(
き
)
らうとした
時
(
とき
)
は
112
後
(
あと
)
にも
先
(
さき
)
にもないやうな
113
苦
(
くる
)
しい
思
(
おも
)
ひを
致
(
いた
)
しました
114
お
寅
(
とら
)
さまが
吾
(
わが
)
家
(
や
)
へ
来
(
く
)
るや
否
(
いな
)
115
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たのは
116
偉
(
えら
)
い
神徳
(
しんとく
)
ある
人
(
ひと
)
だ
117
只
(
ただ
)
のお
方
(
かた
)
ぢやあらうまい
118
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
化身
(
けしん
)
と
119
信
(
しん
)
じて
拝
(
をが
)
む
折
(
をり
)
もあれ
120
息
(
いき
)
は
追々
(
おひおひ
)
楽
(
らく
)
になり
121
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
122
これからお
前
(
まへ
)
は
因縁
(
いんねん
)
で
123
俺
(
おれ
)
が
肉体
(
にくたい
)
かる
程
(
ほど
)
に
124
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
へ
罷
(
まか
)
り
出
(
い
)
で
125
信仰
(
しんかう
)
せよとおごそかに
126
自分
(
じぶん
)
の
口
(
くち
)
から
宣
(
の
)
り
伝
(
つた
)
ふ
127
かうなる
上
(
うへ
)
は
夫婦
(
ふうふ
)
とも
128
疑
(
うたが
)
ふ
余地
(
よち
)
もあらざれば
129
お
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
さまの
云
(
い
)
ふままに
130
屋財
(
やざい
)
家財
(
かざい
)
を
抛
(
なげう
)
つて
131
これの
館
(
やかた
)
に
転住
(
てんぢゆう
)
し
132
吾
(
わが
)
身
(
み
)
に
持
(
も
)
てる
財産
(
ざいさん
)
は
133
櫛笄
(
くしかうがい
)
に
至
(
いた
)
るまで
134
売代
(
うりしろ
)
なして
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
135
お
宮
(
みや
)
の
御用
(
ごよう
)
に
立
(
た
)
てました
136
それから
私
(
わたし
)
は
何
(
なん
)
となく
137
心
(
こころ
)
驕
(
おご
)
りて
知
(
し
)
らぬ
間
(
ま
)
に
138
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
139
霊肉
(
れいにく
)
一致
(
いつち
)
の
神柱
(
かむばしら
)
140
何
(
なん
)
たる
結構
(
けつこう
)
な
体
(
からだ
)
よと
141
夫婦
(
ふうふ
)
が
朝夕
(
あさゆふ
)
会
(
あ
)
ふ
毎
(
ごと
)
に
142
一人
(
ひとり
)
笑壺
(
ゑつぼ
)
に
入
(
い
)
つてゐた
143
然
(
しか
)
るに
何
(
なん
)
ぞ
計
(
はか
)
らむや
144
皆
(
みな
)
さまのお
話
(
はなし
)
聞
(
き
)
くにつけ
145
愛想
(
あいさう
)
もコソもつきました
146
何程
(
なにほど
)
神
(
かみ
)
の
仕組
(
しぐみ
)
でも
147
私
(
わたし
)
をこんな
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はすとは
148
余
(
あんま
)
りヒドイ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
ぢや
149
私
(
わたし
)
はこれからスツパリと
150
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
ります
神
(
かみ
)
いぢり
151
御幣
(
ごへい
)
をかついで
笑
(
わら
)
はれて
152
どうして
此
(
この
)
世
(
よ
)
が
渡
(
わた
)
れませう
153
コレコレもうし
竹
(
たけ
)
さまえ
154
お
前
(
まへ
)
は
五六七
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
155
神
(
かみ
)
のお
宮
(
みや
)
ぢやなかつたか
156
まるで
狐
(
きつね
)
につままれた
157
やうな
思
(
おも
)
ひがすぢやないか
158
思
(
おも
)
ふ
所
(
どころ
)
か
正真
(
しやうしん
)
正銘
(
しやうめい
)
の
159
坂照山
(
さかてるやま
)
のド
狐
(
ぎつね
)
が
160
騙
(
だま
)
してゐたのに
違
(
ちが
)
ひない
161
コレコレもうし
竹
(
たけ
)
さまえ
162
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
るのは
今
(
いま
)
だらう
163
グヅグヅしてると
松姫
(
まつひめ
)
や
164
松彦
(
まつひこ
)
さまに
又
(
また
)
しても
165
眉毛
(
まゆげ
)
をよまれ
尻
(
しり
)
の
毛
(
け
)
を
166
一本
(
いつぽん
)
もないまで
抜
(
ぬ
)
かれますぞや
167
あゝ
怖
(
おそ
)
ろしや
怖
(
おそ
)
ろしや
168
神
(
かみ
)
を
表
(
おもて
)
に
標榜
(
へうぼう
)
し
169
正
(
ただ
)
しき
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
人間
(
にんげん
)
を
170
騙
(
だま
)
して
食
(
く
)
はうとする
奴
(
やつ
)
は
171
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
の
眷属
(
けんぞく
)
だ
172
長居
(
ながゐ
)
は
恐
(
おそ
)
れ
逸早
(
いちはや
)
く
173
ここをば
立
(
た
)
つて
帰
(
かへ
)
りませう
174
竹
(
たけ
)
さまそれが
不承知
(
ふしようち
)
なら
175
私
(
わたし
)
は
勝手
(
かつて
)
に
帰
(
い
)
にますよ
176
コレコレもうし
春
(
はる
)
さまえ
177
お
前
(
まへ
)
と
私
(
わし
)
と
平常
(
へいぜ
)
から
178
互
(
たがひ
)
に
心
(
こころ
)
が
解
(
と
)
け
合
(
あ
)
うて
179
しつぽり
話
(
はなし
)
をしたぢやないか
180
私
(
わたし
)
が
信仰
(
しんかう
)
やめたなら
181
お
前
(
まへ
)
もやめると
云
(
い
)
ふただろ
182
サアサア
早
(
はや
)
く
帰
(
かへ
)
りませう
183
トチ
呆
(
ばう
)
け
爺
(
ぢい
)
の
竹
(
たけ
)
さまは
184
まだまだお
目
(
め
)
がさめませぬ
185
サアサア
早
(
はや
)
う』と
言
(
い
)
ひながら
186
春公
(
はるこう
)
さまの
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて
187
太
(
ふと
)
い
女
(
をんな
)
がひんにぎり
188
トントントンと
広前
(
ひろまへ
)
を
189
夜叉
(
やしや
)
の
如
(
ごと
)
くに
駆
(
か
)
け
出
(
いだ
)
し
190
坂道
(
さかみち
)
さして
帰
(
かへ
)
りゆく
191
竹公
(
たけこう
)
驚
(
おどろ
)
き
立上
(
たちあが
)
り
192
お
福
(
ふく
)
の
後
(
あと
)
を
追駆
(
おつか
)
けて
193
竹公
『
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
194
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
つた
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
つた
195
お
前
(
まへ
)
に
言
(
い
)
ひたい
事
(
こと
)
がある
196
短気
(
たんき
)
は
損気
(
そんき
)
ぢや
待
(
ま
)
てしばし
197
待
(
ま
)
てと
申
(
まを
)
さば
待
(
ま
)
つがよい
198
之
(
これ
)
には
深
(
ふか
)
いわけがある』
199
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに
叫
(
さけ
)
びつつ
200
坂道
(
さかみち
)
指
(
さ
)
して
追
(
お
)
うてゆく。
201
お
福
(
ふく
)
は
半狂乱
(
はんきやうらん
)
の
如
(
ごと
)
くになり、
202
河鹿川
(
かじかがは
)
の
川
(
かは
)
べりにある
笠松
(
かさまつ
)
の
麓
(
ふもと
)
の
堺
(
さかひ
)
の
神政松
(
しんせいまつ
)
の
神木
(
しんぼく
)
としるしてある
千引岩
(
ちびきいは
)
の
傍
(
かたはら
)
に
走
(
はし
)
りより、
203
お福
『コリヤ、
204
神政松
(
しんせいまつ
)
の
神木
(
しんぼく
)
、
205
よう
今迄
(
いままで
)
おれを
騙
(
だま
)
したなア。
206
此
(
この
)
普請
(
ふしん
)
は
俺
(
おれ
)
が
蠑螈別
(
いもりわけ
)
に
騙
(
だま
)
されて
拵
(
こしら
)
へたのだ。
207
モウ
今日
(
けふ
)
から
信仰
(
しんかう
)
をやめた
上
(
うへ
)
は、
208
叩
(
たた
)
き
潰
(
つぶ
)
さうと
何
(
ど
)
うしようと
私
(
わし
)
の
勝手
(
かつて
)
だ、
209
エヽ
怪体
(
けたい
)
の
悪
(
わる
)
い』
210
と
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
押
(
お
)
せども
引
(
ひ
)
けども、
211
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
を
以
(
もつ
)
て
引張
(
ひつぱ
)
つた
此
(
この
)
巨岩
(
きよがん
)
、
212
ビクとも
致
(
いた
)
さばこそ、
213
泰然
(
たいぜん
)
自若
(
じじやく
)
、
214
平気
(
へいき
)
な
顔
(
かほ
)
でお
福
(
ふく
)
の
繰言
(
くりごと
)
を
冷笑
(
れいせう
)
してゐる。
215
お
福
(
ふく
)
は
十六柱
(
じふろくはしら
)
の
神
(
かみ
)
になぞらへて
植
(
う
)
ゑておいた
十六
(
じふろく
)
本
(
ぽん
)
の
小松
(
こまつ
)
をグイグイと
引抜
(
ひきぬ
)
きながら、
216
お福
『エヽ
神政松
(
しんせいまつ
)
もへつたくれもあつたものか、
217
アタいまいましい、
218
奴狐
(
どぎつね
)
め、
219
騙
(
だま
)
しやがつた』
220
と
言
(
い
)
ひながら、
221
握
(
にぎ
)
つては
川
(
かは
)
へ
流
(
なが
)
し、
222
握
(
にぎ
)
つては
川
(
かは
)
へ
流
(
なが
)
し
猛
(
たけ
)
り
狂
(
くる
)
ひ、
223
お福
『コリヤ
神政木
(
しんせいぼく
)
、
224
元
(
もと
)
の
金
(
かね
)
にならぬか、
225
性念
(
しやうねん
)
があるなら、
226
せめて
一寸
(
ちよつと
)
なと
動
(
うご
)
いて
見
(
み
)
せよ。
227
コラよう
動
(
うご
)
かぬか、
228
ド
甲斐性
(
かひしやう
)
なし
奴
(
め
)
、
229
貴様
(
きさま
)
は
神
(
かみ
)
だと
申
(
まを
)
すが、
230
まるで
躄
(
ゐざり
)
のやうな
奴
(
やつ
)
だ』
231
と
云
(
い
)
ひながら、
232
あたりの
石
(
いし
)
を
拾
(
ひろ
)
つて、
233
千引
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
にバラバラと
打
(
う
)
ちかけてゐる。
234
そこへ
春公
(
はるこう
)
、
235
竹公
(
たけこう
)
は
走
(
はし
)
り
来
(
きた
)
り、
236
竹公
(
たけこう
)
『コリヤコリヤお
福
(
ふく
)
、
237
マア
気
(
き
)
をしづめたら
何
(
ど
)
うだ。
238
サウお
前
(
まへ
)
のやうに
一徹
(
いつてつ
)
に
怒
(
おこ
)
つてくれると
話
(
はなし
)
が
出来
(
でき
)
ぬぢやないか』
239
お
福
(
ふく
)
『エヽエ
腰抜
(
こしぬけ
)
男
(
をとこ
)
が
何
(
なに
)
を
言
(
い
)
つてるのだい、
240
笑
(
わら
)
ふ
門
(
かど
)
には
福
(
ふく
)
来
(
きた
)
る、
241
お
前
(
まへ
)
の
名
(
な
)
はお
福
(
ふく
)
さまだから、
242
三年先
(
さんねんさき
)
になれば
一粒
(
いちりふ
)
万倍
(
まんばい
)
にして
福
(
ふく
)
を
返
(
かへ
)
して
下
(
くだ
)
さると、
243
蠑螈別
(
いもりわけ
)
や
魔我彦
(
まがひこ
)
が
言
(
い
)
ひやがつて、
244
人
(
ひと
)
の
金
(
かね
)
を
残
(
のこ
)
らず
巻上
(
まきあ
)
げよつた。
245
丸
(
まる
)
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
になつた
時
(
とき
)
、
246
今日
(
けふ
)
は
万倍
(
まんばい
)
にしてくれるかと
思
(
おも
)
つて
待
(
ま
)
つてゐたら、
247
一文
(
いちもん
)
も、
248
どこからもくれやせぬ。
249
それでも
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
に
近付
(
ちかづ
)
いたら、
250
百万倍
(
ひやくまんばい
)
にして
返
(
かへ
)
してくれるだろと
待
(
ま
)
つてゐたのだ。
251
最前
(
さいぜん
)
から
聞
(
き
)
いてみれば、
252
坂照山
(
さかてるやま
)
のド
狐
(
ぎつね
)
に
騙
(
だま
)
されて
居
(
を
)
つたと
云
(
い
)
ふぢやないか、
253
阿呆
(
あはう
)
らしい、
254
どうしてあんな
処
(
ところ
)
に
居
(
を
)
れるものか、
255
今
(
いま
)
まで
大勢
(
おほぜい
)
の
信者
(
しんじや
)
に
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
といつて
崇
(
あが
)
められてゐたのに、
256
大勢
(
おほぜい
)
の
前
(
まへ
)
でスツパぬかれて、
257
どうして
此
(
この
)
お
福
(
ふく
)
の
顔
(
かほ
)
が
立
(
た
)
ちますか。
258
お
前
(
まへ
)
さまは
気
(
き
)
のきかぬ
頓馬
(
とんま
)
だから、
259
私
(
わたし
)
が
人
(
ひと
)
に
顔
(
かほ
)
が
会
(
あ
)
はされないやうにして
了
(
しま
)
つたのだ。
260
此
(
この
)
儘
(
まま
)
泣寝入
(
なきねい
)
りをしては
世間
(
せけん
)
へ
会
(
あ
)
はす
顔
(
かほ
)
がないから、
261
仮令
(
たとへ
)
何時
(
いつ
)
までかかつても、
262
此
(
この
)
岩
(
いは
)
をひつくり
返
(
かへ
)
し
潰
(
つぶ
)
さねば
承知
(
しようち
)
をせないのだよ。
263
竹
(
たけ
)
さま、
264
春
(
はる
)
さま、
265
何
(
なん
)
だ、
266
ヒヨツトコ
面
(
づら
)
して、
267
何
(
なに
)
青
(
あを
)
い
顔
(
かほ
)
してるのだい、
268
さうだから
意気地
(
いくぢ
)
なしと
言
(
い
)
はれるのだ』
269
竹公
『
貴様
(
きさま
)
がせうもない
神憑
(
かむがかり
)
をするものだから
俺
(
おれ
)
までが
巻
(
ま
)
き
込
(
こ
)
まれたのだ。
270
罪
(
つみ
)
は
貴様
(
きさま
)
にあるのだ、
271
俺
(
おれ
)
に
不足
(
ふそく
)
をいふ
筋
(
すぢ
)
は
一
(
ひと
)
つもあるまい』
272
お福
『それだから
頓馬
(
とんま
)
といふのよ。
273
何程
(
なにほど
)
嬶
(
かか
)
が
勧
(
すす
)
めても、
274
夫
(
をつと
)
は
夫
(
をつと
)
の
権利
(
けんり
)
があるぢやないか、
275
なぜ
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
一言
(
ひとこと
)
気
(
き
)
をつけてくれないのだ。
276
お
前
(
まへ
)
も
一緒
(
いつしよ
)
に
賛成
(
さんせい
)
をするものだから、
277
此
(
この
)
お
福
(
ふく
)
も
怪
(
あや
)
しいとは
思
(
おも
)
うては
居
(
を
)
つたが、
278
竹
(
たけ
)
さまが
男
(
をとこ
)
の
身
(
み
)
で
居
(
ゐ
)
ながら
一番
(
いちばん
)
に
賛成
(
さんせい
)
したものだから、
279
ヤツパリ
私
(
わたし
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
は
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だと
思
(
おも
)
うて
賛成
(
さんせい
)
したのだ。
280
それがサツパリ
当
(
あて
)
が
外
(
はづ
)
れて、
281
世間
(
せけん
)
へ
顔出
(
かほだ
)
しが
出来
(
でき
)
ぬ
事
(
こと
)
になつて
了
(
しま
)
つたぢやないか。
282
本当
(
ほんたう
)
にいまいましい、
283
アンアンアン、
284
返
(
かへ
)
せ
戻
(
もど
)
せ、
285
私
(
わたし
)
の
出
(
だ
)
した
金
(
かね
)
を』
286
竹公
『
俺
(
おれ
)
だつて、
287
怪
(
あや
)
しいとは
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
つたが、
288
お
前
(
まへ
)
が
一寸
(
ちよつと
)
も
怪
(
あや
)
しまないものだから、
289
ヤツパリ
本真
(
ほんま
)
かと
思
(
おも
)
つたのだ。
290
つまりどちらの
魂
(
みたま
)
も
間
(
ま
)
が
抜
(
ぬ
)
けとつたのだから、
291
責任
(
せきにん
)
は
両方
(
りやうはう
)
にある。
292
マア
俺
(
おれ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いて、
293
マ
一遍
(
いつぺん
)
大広間
(
おほひろま
)
まで
出
(
で
)
て
来
(
き
)
てくれ、
294
結構
(
けつこう
)
な
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
つてやるから……』
295
お福
『ヘン、
296
責任
(
せきにん
)
は
二人
(
ふたり
)
にあるなんて、
297
何
(
なん
)
とマア
卑怯
(
ひけふ
)
な
男
(
をとこ
)
だ
事
(
こと
)
、
298
女
(
をんな
)
は
蔭者
(
かげもの
)
、
299
表
(
おもて
)
には
立
(
た
)
ちませぬぞや。
300
家長権
(
かちやうけん
)
の
執行者
(
しつかうしや
)
はお
前
(
まへ
)
ぢやないか、
301
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つてもお
前
(
まへ
)
が
悪
(
わる
)
いのだよ。
302
馬鹿
(
ばか
)
野郎
(
やらう
)
の
頓痴気
(
とんちき
)
野郎
(
やらう
)
だよ』
303
竹公
(
たけこう
)
はムツとして、
304
つかみつく、
305
茲
(
ここ
)
に
夫婦
(
ふうふ
)
は
組
(
く
)
んづ
組
(
く
)
まれつ、
306
互
(
たがひ
)
に
髪
(
かみ
)
をつかみ
合
(
あ
)
ひ、
307
キヤアキヤア
犬
(
いぬ
)
の
噛
(
か
)
み
合
(
あ
)
ひのやうに
云
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
した。
308
春公
(
はるこう
)
は
中
(
なか
)
に
割
(
わ
)
つて
入
(
い
)
り、
309
春公
『マアマア
待
(
ま
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
310
五六七
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
311
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
312
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
人間
(
にんげん
)
なみに
喧嘩
(
けんくわ
)
するといふ
事
(
こと
)
がありますか、
313
みつともないぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
314
これから
五六七
(
みろく
)
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
して
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
りに
栄
(
さか
)
える
松
(
まつ
)
の
神代
(
かみよ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
うとしてゐるのに、
315
肝腎
(
かんじん
)
の
神柱
(
かむばしら
)
がそんな
事
(
こと
)
で
如何
(
どう
)
なりますか。
316
どうぞ
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
を
助
(
たす
)
けると
思
(
おも
)
うて、
317
春公
(
はるこう
)
に
免
(
めん
)
じてお
鎮
(
しづ
)
まりを
願
(
ねが
)
ひます』
318
お
福
(
ふく
)
『
何
(
なに
)
、
319
春
(
はる
)
さま、
320
お
前
(
まへ
)
はヤツパリわたしを
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
と
思
(
おも
)
つてゐるのかい』
321
春公
『ヘーヘー、
322
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
私
(
わたし
)
は
飽
(
あ
)
くまで
信
(
しん
)
じます。
323
そして
竹
(
たけ
)
さまは
何処迄
(
どこまで
)
も
五六七
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
です、
324
こんな
事
(
こと
)
が
違
(
ちが
)
うてなりますものか。
325
私
(
わたし
)
はお
寅
(
とら
)
婆
(
ば
)
アさまにタク、
326
テク、
327
お
菊
(
きく
)
さまの
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
が
気
(
き
)
に
喰
(
く
)
はないのです。
328
ドタマをカチ
割
(
わ
)
つてやろと、
329
腕
(
うで
)
が
鳴
(
な
)
り
肉
(
にく
)
が
躍
(
をど
)
つて
仕方
(
しかた
)
がなかつたのに、
330
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
前
(
まへ
)
だと
思
(
おも
)
つて
涙
(
なみだ
)
を
呑
(
の
)
み
辛抱
(
しんばう
)
してゐたのだ。
331
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
332
五六七
(
みろく
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
333
旭
(
あさひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
り
姫
(
ひめ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
間違
(
まちがひ
)
はありませぬ』
334
春公
(
はるこう
)
の
言
(
ことば
)
に
二人
(
ふたり
)
はケロリと
喧嘩
(
けんくわ
)
を
忘
(
わす
)
れ、
335
ニコニコしながら、
336
お
福
(
ふく
)
『ソラさうでせうねえ、
337
そんな
事
(
こと
)
があつてたまりますものか。
338
コレ
竹
(
たけ
)
さま、
339
春公
(
はるこう
)
さまが
証明
(
しようめい
)
してくれるのだから
安心
(
あんしん
)
しなさい。
340
これから
二人
(
ふたり
)
が
小北山
(
こぎたやま
)
を
背負
(
せお
)
つて
立
(
た
)
たねばなりませぬで、
341
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
為
(
ため
)
ですからね』
342
竹公
(
たけこう
)
『ウーン、
343
さうだな、
344
大変
(
たいへん
)
だな、
345
これから』
346
お
福
(
ふく
)
は
腹立紛
(
はらだちまぎ
)
れに
引
(
ひ
)
きむしつて
川
(
かは
)
へ
流
(
なが
)
した
松
(
まつ
)
の
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
し、
347
忽
(
たちま
)
ち
大地
(
だいち
)
に
平伏
(
ひれふ
)
し、
348
拍手
(
かしはで
)
をうつて
涙声
(
なみだごゑ
)
、
349
お福
『
栄
(
さか
)
えの
神政松
(
しんせいまつ
)
、
350
ミロク
神代
(
かみよ
)
の
御
(
ご
)
神木
(
しんぼく
)
様
(
さま
)
、
351
十六
(
じふろく
)
本
(
ぽん
)
の
柱神
(
はしらがみ
)
様
(
さま
)
、
352
真
(
まこと
)
にすまない
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しました。
353
どうぞ
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さいませ、
354
其
(
その
)
代
(
かは
)
りにすぐ
十六
(
じふろく
)
本
(
ぽん
)
の
松
(
まつ
)
を
植
(
う
)
ゑてお
返
(
かへ
)
し
申
(
まを
)
します、
355
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
356
春公
(
はるこう
)
『
竹
(
たけ
)
さまの
胸
(
むね
)
の
村雲
(
むらくも
)
晴
(
は
)
るさまは
357
松
(
まつ
)
の
根元
(
ねもと
)
でキン
言
(
げん
)
をふく』
358
竹公
(
たけこう
)
『アハヽヽヽお
目出度
(
めでた
)
う』
359
お
福
(
ふく
)
『
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
、
360
真
(
まこと
)
にすみませぬ、
361
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います、
362
それなら
之
(
これ
)
から、
363
マ
一度
(
いちど
)
大広間
(
おほひろま
)
へやらして
頂
(
いただ
)
きませう』
364
(
大正一一・一二・一五
旧一〇・二七
松村真澄
録)
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