霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 文明(ぶんめい)〔一二一九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻 篇:第2篇 狐運怪会 よみ(新仮名遣い):こうんかいかい
章:第9章 文明 よみ(新仮名遣い):ぶんめい 通し章番号:1219
口述日:1922(大正11)年12月15日(旧10月27日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年9月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
文助は朝から晩まで白装束に白袴を着け、松に一本角の黒蛇、蕪、大根を書いていた。そこへお菊がやってきて、蠑螈別がお寅に三万両を渡したことを話した。そして不思議なことなので来て見てやってくれと頼む。
お菊は文助を先導して教主館へと導いた。文助は奥の間にいるお寅に向かい、蠑螈別が三万両の大金を持って帰ってきたことへの祝を言った。
お寅は身を正すと、文助に対して自分は今、けっこうなご神徳をいただいたと語りだした。そして蠑螈別が金を置くと牛のような古狐となって向こうの森に逃げてしまったという。
この有様を見てお寅は今まで自分の胴欲が目を曇らせていたのだと悟ったという。蠑螈別は酒に身魂を腐らし、高姫を慕いお民という女に迷っている。それもすっかり判って執着心も晴れ、これからは魂を入れ替えて天地の祖神を祀りなおすと心情を明かした。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-03-13 18:07:40 OBC :rm4609
愛善世界社版:122頁 八幡書店版:第8輯 403頁 修補版: 校定版:127頁 普及版:50頁 初版: ページ備考:
001 文助(ぶんすけ)(あさ)から(ばん)まで置物然(おきものぜん)として白装束(しろしやうぞく)白袴(しろばかま)()け、002相変(あひかは)らず(まつ)一本角(いつぽんつの)黒蛇(くろくちなは)003(かぶら)004大根(だいこん)(ゑが)いて()た。005そこへお(きく)がソツとやつて()て、
006お菊『もし、007文助(ぶんすけ)さま、008(まへ)チヨツト此方(こつち)()(くだ)さらぬか。009大変(たいへん)面白(おもしろ)いもの()せてあげますよ』
010文助(ぶんすけ)何程(なにほど)面白(おもしろ)いものでも、011(わし)()せてやらうと()ふのは無理(むり)註文(ちうもん)だ。012(めくら)芝居(しばゐ)013(つんぼ)浄瑠璃(じやうるり)(きき)(おな)じだから、014まあ()めておかう』
015(きく)(なに)016(まへ)さま、017(かぶら)大根(だいこん)()ける(くらゐ)なら()えぬ(はず)がない。018()ようと(おも)つたら屹度(きつと)()えるだらう。019本当(ほんたう)(めう)(こと)があるのよ。020(ひと)(わか)らぬ(うち)021ソツと()ておくれよ』
022文助『さう受付役(うけつけやく)(せき)()つて此処(ここ)をあけておく(わけ)にもゆかないから、023(また)(ひま)(とき)()せて(もら)はう』
024お菊『そんな()(なが)(こと)()つてゐたら駄目(だめ)よ。025(いま)(うち)()()なくちやいけない。026(じつ)(ところ)は、027蠑螈別(いもりわけ)さまが(かへ)つて()たのよ。028さうして三万(さんまん)(りやう)(かね)をお(かあ)さまにやつて()るのよ』
029文助(なに)030三万(さんまん)(ゑん)のお(かね)をお(かあ)さまにあげられましたか。031流石(さすが)蠑螈別(いもりわけ)さまだ。032夜前(やぜん)()ぬけをなさつたとかで随分(ずゐぶん)(うへ)(した)への大騒動(おほさうどう)033どうなることかと(わし)心配(しんぱい)してをつたが、034あゝ有難(ありがた)有難(ありがた)い、035あの(かた)(かへ)つて(くだ)さつたら小北山(こぎたやま)大丈夫(だいぢやうぶ)だ。036(かみ)(さま)有難(ありがた)(ござ)ります』
037お菊一寸(ちよつと)()()(くだ)さいな。038どうも不思議(ふしぎ)(たま)らないのよ』
039文助(なに)040(かね)人間(にんげん)()つものだから三万(さんまん)(ゑん)(くらゐ)()つて(かへ)つたつて(べつ)不思議(ふしぎ)はない。041あの(かた)だから(ひと)(もの)泥棒(どろばう)なさる(はず)がない。042それは(かみ)(さま)からお(なさけ)でお(かね)()らして(くだ)さつたのでせう。043さうして(その)(かね)をお(かあ)さまは如何(どう)なさいました』
044お菊直様(すぐさま)(ふところ)捻込(ねぢこ)んで(しま)つたのよ』
045文助『そりや()(こと)をなさいました。046あの(かた)にお()たせして()くといけませぬから。047(かみ)(さま)有難(ありがた)(ござ)ります』
048(また)(をが)む。
049(きく)(なに)050そればつかしぢやないのよ。051(あと)から()いて()れば、052まだあと二十七万(にじふしちまん)(りやう)053(ふところ)()つて()ると()つてゐたよ』
054文助(ぶんすけ)(なに)055二十七万(にじふしちまん)(ゑん)056ハヽヽそりや大方(おほかた)()(ちが)ひだ。057二十七(にじふしち)(せん)だらう』
058お菊阿呆(あはう)らしい、059二十七万(にじふしちまん)(ゑん)二十七(にじふしち)(せん)取違(とりちがひ)へる(やう)(わたし)馬鹿(ばか)ぢやありませぬ。060(たしか)二十七万(にじふしちまん)(りやう)061十分(じふぶん)(いち)()らうと()つて三万(さんまん)(りやう)()()したのだもの、062さうしてまだお(たみ)さまに二十万(にじふまん)(りやう)やつて()たと()つてゐましたよ。063文助(ぶんすけ)さま、064(はや)()(くだ)さいな。065(たみ)さまの(ところ)へ、066これから()くなんて()つてゐますよ。067(わたし)068それ()いて()()でないので、069ソツと貴方(あなた)(たの)みに()たのよ。070蠑螈別(いもりわけ)さまは貴方(あなた)()(こと)()いて()れるけれども、071(かあ)さまの(こと)()いてくれぬのだから』
072文助『そりや大変(たいへん)だ。073あんな(ひと)に、074そんな大金(たいきん)()たせておいたら、075どんな(こと)をするか()れやしない。076人間(にんげん)()いから(すぐ)(ひと)にとられて(しま)ひ、077(かみ)(さま)()(わる)くするやうにしちや大変(たいへん)だから。078それなら()きませう』
079お菊文助(ぶんすけ)さま、080ソツと()(くだ)さいや。081あまり(ひと)(きこ)えちや都合(つがふ)(わる)いかも()れぬから』
082受付係(うけつけがかり)文助(ぶんすけ)
083(おも)はぬ(はなし)()かされて
084(なん)とはなしに(いさ)()
085(おも)たい(しり)をあげながら
086咫尺(しせき)()えぬ()()つて
087(つゑ)(ちから)にトボトボと
088(きく)(あと)(したが)ひて
089蠑螈別(いもりわけ)住居(すまゐ)なる
090(やかた)をさして()でて()
091(きく)(さき)()ちながら
092お菊『これこれもうし文助(ぶんすけ)さま
093此処(ここ)(おもて)入口(いりぐち)
094さあさあ(わたし)()()いて
095教祖(けうそ)のお居間(ゐま)(まゐ)りませう』
096()へば文助(ぶんすけ)首肯(うなづ)いて
097一寸(ちよつと)(ゑみ)をば(たた)へつつ
098(とし)(わか)いに()もやらず
099(なに)から(なに)まで(かぶら)から
100大根(だいこん)菜種(なたね)(はし)までも
101()のつく(むすめ)()めながら
102(おく)一間(ひとま)(すす)()
103文助『これこれもうしお(とら)さま
104目出度(めでた)(こと)出来(でき)ました
105蠑螈別(いもりわけ)教祖(けうそ)さまは
106()無事(ぶじ)でお(かへ)(あそ)ばして
107(わたし)(うれ)しう(ござ)ります
108その(うへ)沢山(たくさん)のお(かね)をば
109土産(みやげ)にもつてお(かへ)りと
110(わたし)()いて()(あが)
111大神(おほかみ)(さま)(おん)(れい)
112直様(すぐさま)申上(まをしあ)げました
113昨夜(ゆうべ)蠑螈別(いもりわけ)(さま)
114駆落(かけおち)なさつたと()いてから
115(やかた)上下(うへした)大騒動(おほさうどう)
116数多(あまた)信者(しんじや)信仰(しんかう)
117ぐらつき()して(わたくし)まで
118(あたま)(いた)めて()りました
119(その)(うへ)(なほ)(かみ)(さま)
120(たふと)(めぐ)みによりまして
121三十万(さんじふまん)(りやう)(かね)もつて
122無事(ぶじ)にお(かへ)りなさるとは
123(なに)(たと)へむものもなき
124歓喜(くわんき)(きは)みで(ござ)ります
125これこれもうし教祖(けうそ)さま
126(わたし)文助(ぶんすけ)受付(うけつけ)
127時間(じかん)(ぬす)んで()挨拶(あいさつ)
128(いた)さにやならぬとお(きく)さまに
129()をひかれて(まゐ)りました
130何卒(どうぞ)結構(けつこう)なお(はなし)
131(わたし)()かして(くだ)さんせ
132(まこと)(うれ)しい(こと)ですよ
133(つる)千歳(ちとせ)()(あそ)
134(かめ)万歳(まんざい)(うた)()
135こんな目出度(めでた)いお目出度(めでた)
136(こと)如何(どう)して()たものか
137これもやつぱりユラリ(ひこ)
138末代(まつだい)()王天(わうてん)(かみ)
139五六七(みろく)成就(じやうじゆ)大御神(おほみかみ)
140リントウビテン大神(おほかみ)
141()出神(でのかみ)義理(ぎり)天上(てんじやう)
142大将軍(だいしやうぐん)常世姫(とこよひめ)
143(あさひ)豊栄昇(とよさかのぼ)(ひめ)
144(その)(ほか)(たふと)(かみ)(さま)
145()守護(しゆご)(とく)(ござ)りませう
146あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
147何程(なにほど)(うれ)しいと()つたとて
148(くち)(ふさ)がる(はず)がない
149蠑螈別(いもりわけ)さま、お(とら)さま
150あまり(わたし)をじらさずに
151(はや)くお(はな)(くだ)さんせ
152()がせきます』と()ばはれば
153(とら)(あき)れて(たふ)れたる
154身体(からだ)ムツと()(おこ)
155火鉢(ひばち)(まへ)座蒲団(ざぶとん)
156キチンと()いて行儀(ぎやうぎ)よく
157(ひざ)両手(りやうて)をおきながら
158お寅文助(ぶんすけ)さまか、よくもまあ
159()(わる)いにトボトボと
160(たづ)ねなさつて(くだ)さつた
161(わたし)結構(けつこう)()神徳(しんとく)
162今日(けふ)(はじ)めて()けました
163(あま)岩戸(いはと)(ひら)けたる
164やうな心地(ここち)(いた)します
165何卒(どうぞ)(よろこ)んで(くだ)さんせ
166本当(ほんたう)目出度(めでた)吉日(きちにち)』と
167(まを)せば文助(ぶんすけ)(いさ)()
168文助『そりやまあ結構(けつこう)(こと)でした
169蠑螈別(いもりわけ)教祖(けうそ)さまは
170(おほ)きな神徳(しんとく)(いただ)いて
171三十万(さんじふまん)(りやう)(ふところ)
172()れてお(かへ)(あそ)ばして
173十分一(じふぶんいち)三万(さんまん)(りやう)
174(まへ)さまにスツパリ(くだ)さつた
175やうにお(きく)さまに()きました
176本当(ほんたう)目出度(めでた)(こと)ですな
177(わたし)直接(ちよくせつ)(いただ)いた
178やうに(うれ)しう(ござ)ります
179さうして蠑螈別(いもりわけ)さまは
180(こゑ)()つから(きこ)えぬが
181(くたぶ)()ててグツスリと
182(やす)みなさつて(ござ)るのか
183それならそれで(わたくし)
184(やす)みなさる邪魔(じやま)をしちや
185(まこと)()まない(こと)(ゆゑ)
186これからお(いとま)(まを)します
187これこれもうしお(とら)さま
188娘御寮(むすめごれう)のお(きく)さま
189これから御免(ごめん)(かうむ)つて
190()(のこ)したる(かぶら)()
191スツカリ仕上(しあ)げた(その)(うへ)
192(ひま)(いただ)()えの(ばん)
193(あし)()ばして今夜(こんや)こそ
194グツスリ()さして(もら)ひませう
195(いづ)れもサラバ』と立上(たちあが)
196(この)(とき)(とら)(こゑ)をかけ
197お寅文助(ぶんすけ)さまよ(いま)(わし)
198結構(けつこう)なお神徳(かげ)(いただ)いた
199(あま)岩戸(いはと)(ひら)けたと
200()つたは(かね)(こと)でない
201百万(ひやくまん)(りやう)はまだ(おろ)
202幾千万(いくせんまん)とも(かぎ)りなき
203(たと)(がた)なき神徳(しんとく)
204スツカリ()けた(こと)ですよ
205蠑螈別(いもりわけ)突然(とつぜん)
206(この)()(かへ)(きた)りまし
207三万(さんまん)(りやう)小判(こばん)をば
208ゾロリと(わたし)()(まへ)
209(なら)べて()れたと(おも)ふうち
210(あに)(はか)らむや蠑螈別(いもりわけ)
211(たちま)姿(すがた)変更(へんかう)
212(うし)(やう)なる古狐(ふるぎつね)
213クワイ クワイ クワイと()きながら
214(むか)ふの(たに)森林(しんりん)
215目蒐(めが)けて姿(すがた)をかくしました
216あまり(わたし)胴欲(どうよく)
217(きたな)(こと)のみ朝夕(あさゆふ)
218(おも)つて()たのが(つみ)となり
219(きよ)(たふと)(たましひ)
220自然(しぜん)(くも)つて()つたのか
221(この)有様(ありさま)()るよりも
222一度(いちど)(ひら)蓮花(はちすばな)
223サラリと()いた(むね)(やみ)
224これ(ほど)(うれ)しい(こと)はない
225蠑螈別(いもりわけ)教祖(けうそ)さまは
226(まへ)()つてゐる(とほ)
227(さけ)身魂(みたま)(くさ)らして
228前後(ぜんご)夢中(むちう)(くび)をふり
229精神(せいしん)病者(びやうしや)となつてゐる
230あんな(わか)らぬ(をとこ)をば
231何程(なにほど)大切(だいじ)にしたとても
232(かみ)のお(みち)何処(どこ)までも
233(ひろ)まりさうな(こと)はない
234(また)あの(ひと)はお(たみ)()
235(をんな)(まよ)三五(あななひ)
236(みち)(ござ)高姫(たかひめ)
237(した)うて朝晩(あさばん)(むね)(いた)
238鬱散(うつさん)ばらしに(さけ)をのみ
239()るやうな(ひと)(わたくし)
240何程(なにほど)大切(だいじ)(おも)うても
241最早(もはや)駄目(だめ)だと()(うへ)
242執着心(しふちやくしん)(なに)もかも
243速河(はやかは)()(なが)()
244(いま)(うれ)しき水晶(すゐしやう)
245御空(みそら)(ごと)くになりました
246(よろこ)(いさ)(かみ)(さま)
247(れい)(まを)して(くだ)さんせ
248(わたし)もこれから(たましひ)
249()()天地(てんち)祖神(おやがみ)
250(まつ)(なほ)して神妙(しんめう)
251一心(いつしん)不乱(ふらん)(つか)へます
252文助(ぶんすけ)さまよ今迄(いままで)
253(わたし)醜行(しうかう)見直(みなほ)して
254愛想(あいそ)つかさず何処(どこ)までも
255交際(かうさい)なされて(くだ)さんせ
256今日(けふ)(あらた)めて(ねが)ひます
257朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
258(つき)()つとも()くるとも
259仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
260もう(この)(うへ)(わが)(こころ)
261(けつ)して(けつ)して(かは)らない
262天地(てんち)(かみ)百神(ももがみ)
263(はじ)めて(さと)吾々(われわれ)
264(まこと)(みち)御光(みひかり)
265いや永久(とこしへ)()らしつつ
266(この)肉体(にくたい)()ふも(さら)
267(この)()()つて神界(しんかい)
268旅立(たびだ)ちする(とき)(わが)(たま)
269(やす)きに(すく)(たま)へかし
270(かみ)(われ)()(すく)(ぬし)
271(こころ)()をも(かたむ)けて
272(ひとへ)(ねが)(たてまつ)
273あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
274御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
275大正一一・一二・一五 旧一〇・二七 北村隆光録)
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