霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第二〇章 (かね)(ちから)〔一二三〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第46巻 舎身活躍 酉の巻 篇:第4篇 謎の黄板 よみ(新仮名遣い):なぞのおうばん
章:第20章 金の力 よみ(新仮名遣い):かねのちから 通し章番号:1230
口述日:1922(大正11)年12月16日(旧10月28日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年9月25日
概要: 舞台:怪志の森 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
バラモン軍の目付、コー、ワク、エムはお民に投げられては起き上がり、投げられては起き上がり戦っている。そこへ蠑螈別が走ってきたが、この様を見るなり腰を抜かして倒れてしまった。
お民は蠑螈別に助けを求めるが、腰を抜かした蠑螈別は、これしきの相手に自分が出る幕ではないと強がりを言う。蠑螈別の異変を察したお民は、バラモンの目付たちに一時休戦を申し入れて、休息を取った。
蠑螈別の様子がおかしいことに気付いた目付たちは、蠑螈別に立ってみろと騒ぎ立てる。蠑螈別は五人の目付たちに四千両の小判を渡して買収した。五人は小判を受け取りホクホクしている。
そこへ大目付のエキスがやってきた。蠑螈別は、残りの五千両をエキスにわいろとして渡し、その代わりにランチ将軍の家来になれるように取り計らってほしいと頼み込んだ。エキスは承諾し、蠑螈別とお民を駕籠に乗せてランチ将軍の陣営に送り届けることになった(その続きは第47巻第5章)。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-03-18 19:37:34 OBC :rm4620
愛善世界社版:250頁 八幡書店版:第8輯 448頁 修補版: 校定版:262頁 普及版:103頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎全集 > 第五巻 言霊解・其他 > 【随筆・其他】 > 三つの問題 > 金の問題
001 コー、002ワク、003エムは一人(ひとり)のお(たみ)相手(あひて)に、004()げられては()き、005()げつけられては()き、006武者(むしや)()りついて(いど)(たたか)うてゐる。007そこへ、008枯草(かれくさ)野道(のぢ)()けて「おーい おーい」と(よば)はりながら近寄(ちかよ)つて()一人(ひとり)(をとこ)009(この)(てい)()て、
010男(蠑螈別)『やあ、011(まへ)はお(たみ)か』
012()つたきり、013ドスンと(こし)()かし(たふ)れて(しま)つた。014(たみ)は、015(さん)(にん)相手(あひて)にしながら、
016お民『あゝ蠑螈別(いもりわけ)さま、017よう()(くだ)さつた。018(わたし)019野中(のなか)(もり)まで()つた(ところ)020あまり沢山(たくさん)人声(ひとごゑ)がするので、021本街道(ほんかいだう)()ようと(おも)つて此処(ここ)までやつて()(ところ)022泥棒(どろばう)(やう)(やつ)()無体(むたい)(こと)()つて(とほ)そまいとするのよ。023それで此方(こちら)仕方(しかた)がないから(ひと)(おも)()らしてやらうと(おも)つて活劇(くわつげき)をやつてゐる(ところ)だ。024よい(ところ)()(くだ)さつた。025さあ、026(ひと)貴方(あなた)手伝(てつだ)つて(くだ)さい』
027 蠑螈別(いもりわけ)(こし)()かして身体(からだ)自由(じいう)()かなくなつてゐる。028(しか)(てき)弱身(よわみ)()せては一大事(いちだいじ)(こころ)(さだ)め、
029蠑螈別『アツハヽヽヽ、030(たみ)031それしきの蠅虫(はへむし)(おれ)()るまでもないぢやないか。032(おれ)此処(ここ)でゆつくりと、033煙草(たばこ)でも()んで見物(けんぶつ)するから、034(ひと)つお(まへ)活動(くわつどう)()りを()せて(もら)はう』
035お民最前(さいぜん)から(なが)らく()()つてゐるのだから、036(わたし)(いき)()れさうなのよ。037さあ貴方(あなた)038()(かは)つて(ひと)此奴(こいつ)(こら)してやつて(くだ)さい。039(なに)ゆつくりして()なさるの』
040蠑螈別『さあ、041さう(いそ)いだつて仕方(しかた)がないぢやないか』
042 お(たみ)蠑螈別(いもりわけ)吃驚腰(びつくりごし)()けた(こと)直覚(ちよくかく)した。
043(たみ)『こりや(さん)(にん)(をとこ)ども、044大将軍(だいしやうぐん)のお()ましだから(ひと)此処(ここ)(みづ)()れたら如何(どう)だ。045いづれ勝敗(しようはい)はきまつてゐるが、046(まへ)随分(ずゐぶん)(のど)がひつついただらう』
047コー『それなら一寸(ちよつと)一服(いつぷく)しようかな。048おい、049ワク、050エム、051もとから(おや)(かたき)でもなし、052怪我(けが)しちや(たがひ)によい損恥(そんはぢ)だ。053(くに)には妻子(さいし)もあるのだからな』
054ワク『うん、055そりや、056さうだ。057それならまあ、058一寸(ちよつと)休戦(きうせん)かな』
059エム『(おれ)中立国(ちうりつこく)となつて平和(へいわ)調停(てうてい)(つと)むる(こと)としよう』
060(たみ)『ホヽヽヽ、061まあ(みな)さま、062多少(たせう)負傷(ふしやう)をなさつた塩梅(あんばい)だから、063此処(ここ)赤十字(せきじふじ)病院(びやうゐん)として敵味方(てきみかた)区別(くべつ)なく(きず)()えるまで休戦(きうせん)しようかな』
064エム『至極(しごく)妙案(めうあん)だ。065そいつあ面白(おもしろ)い、066(いち)067()068(さん)
069()ひながら(さん)(にん)蠑螈別(いもりわけ)一間(いつけん)ばかり(へだ)たつた(ところ)に、070単縦陣(たんじうぢん)()つて(こし)(おろ)休息(きうそく)しながら(あせ)()いてゐる。
071(たみ)『もし、072蠑螈別(いもりわけ)さま、073貴方(あなた)あまり冷淡(れいたん)ぢやありませぬか。074女房(にようばう)がこれ(ほど)苦戦(くせん)してるのに、075高見(たかみ)から見物(けんぶつ)するとは不人情(ふにんじやう)(きは)まる、076(しか)大方(おほかた)077吃驚腰(びつくりごし)()けたのだらうね。078(てき)(なか)だから、079そんなに(あわ)ててはなりませぬよ』
080(みみ)(はた)(ささや)く。081コーは(はや)くも(この)(こゑ)()きとつた。
082コー『ハヽヽヽヽ、083(なん)だ、084(おれ)(たち)武勇(ぶゆう)恐縮(きようしゆく)して吃驚腰(びつくりごし)()かしよつたのだよ。085おい、086ワク、087エム、088最早(もはや)大丈夫(だいぢやうぶ)だ。089(おそ)るる(こと)(すこ)しもないぞ。090糞落着(くそおちつ)きに落着(おちつ)いて()やがると(おも)つたら、091アハヽヽヽ()かしよつたのだ』
092 ワク、093エム一度(いちど)に、
094ワク、エム『アツハヽヽヽ』
095蠑螈(いもり)吾々(われわれ)(かみ)(くに)軍人(ぐんじん)だ。096肉体(にくたい)人間(にんげん)(たい)しては門外漢(もんぐわいかん)だ。097これしきの(てき)(たい)して(こし)()かすやうな卑怯者(ひけふもの)何処(どこ)にあるか。098見違(みちが)ひするにも(ほど)があるぞ』
099コー『ヘン、100()れた(をんな)(まへ)だと(おも)つて痩我慢(やせがまん)()つたつて、101チヤンと見抜(みぬ)いてあるのだ。102それが()見違(みちが)つて()るのなら()つて御覧(ごらん)
103蠑螈(いもり)『いや(その)()なら、104たつてお(ことわ)(まを)す。105(こし)()たないが(はら)随分(ずゐぶん)()つてゐる』
106コー『(おれ)(なん)だかナイスの(かほ)()ると()つて()たやうだワイ。107()つて()つて()(むか)ふと()塩梅(あんばい)(しき)だ。108武士(もののふ)さちや(ばさ)()(むか)ひ、109いるまとかた()るにさやけし」と()つて、110まとかたと()つて気分(きぶん)のよい名所(めいしよ)だな』
111蠑螈(いもり)『こりやこりや(さん)(にん)(やつ)112こんな(ところ)まとかたがあるか。113そんな地名(ちめい)自凝島(おのころじま)名所(めいしよ)だ』
114エム『(なん)だか()らねえが、115吾々(われわれ)(ひと)つのまとかたがあつて活動(くわつどう)開始(かいし)してるのだ』
116蠑螈(いもり)『そのまと()ふのは一体(いつたい)(なん)だ』
117エム『()はいでも推量(すゐりやう)したが()からうぞ。118軍人(ぐんじん)(けん)泥棒(どろばう)さまだ。119おれさまの要求(えうきう)する(ところ)(けつ)して(いし)でも(かはら)でもない、120(また)(みづ)でも(ちや)でもないのだ』
121蠑螈(いもり)『アハヽヽヽ、122貴様(きさま)(かね)さへ()れば()むのだな。123(かね)()むのなら(やす)(こと)だ。124此処(ここ)にちつとだけれど九千(きうせん)()つてゐる。125如何(どう)だ、126(これ)をちつとばかり貴様(きさま)にやらうか』
127コー『そんな目腐(めくさ)(がね)()をかける泥棒(どろばう)があると(おも)つて()るか』
128蠑螈(いもり)一千(いつせん)ばかり()らうか』
129エム『(さん)(にん)(なか)一銭(いつせん)(くらゐ)(もら)つても三厘(さんりん)三毛(さんまう)よりならぬぢやないか。130馬鹿(ばか)にしやがるない。131まだ此処(ここ)弱虫(よわむし)二人(ふたり)(ふる)つて()るのだから、132頭割(あたまわ)りにすれば二厘(にりん)にしかならない。133饅頭(まんぢう)半分(はんぶん)()へない(やう)目腐(めくさ)(がね)()ちやがつて、134(かね)だなんて、135あまり(ひと)馬鹿(ばか)にするない』
136蠑螈(いもり)『ハヽヽヽヽ感違(かんちが)へしやがつたのだな。137(おれ)九千(きうせん)()ふのは九千(きうせん)(ゑん)(こと)だ。138それだからお(まへ)(たち)一千(いつせん)(ゑん)やらうと()ふのだ』
139コー『ヤア、140そいつは結構(けつこう)だ。141頂戴(ちやうだい)する(こと)にしようかな。142強奪(がうだつ)すれば純然(じゆんぜん)たる泥棒(どろばう)だが、143(むか)ふから()らうと()ふのに(もら)ふのは当然(あたりまへ)だ』
144蠑螈(いもり)(もら)つても()つても(おな)(こと)ぢやないか。145名分(めいぶん)のみ(もら)つたにした(ところ)で、146実際(じつさい)脅迫(けうはく)されて()るのだから()られたやうなものだ。147オイ泥棒(どろばう)148それなら(せん)(ゑん)此処(ここ)にあるから受取(うけと)れ』
149エム『オイ、150ワク、151コー、152(もら)つても泥棒(どろばう)同様(どうやう)だと()ふぢやないか。153泥棒(どろばう)()はれちや馬鹿(ばか)らしい。154一千(いつせん)(ゑん)(ぐらゐ)(もら)つても、155つまらぬぢやないか。156九千(きうせん)(ゑん)全部(ぜんぶ)強奪(がうだつ)してやらうかい。157(おな)泥棒(どろばう)()はれるのなら(ふと)(はう)(とく)だからな』
158蠑螈(いもり)(じつ)(ところ)は、159(おれ)もお寅婆(とらばあ)さまが(たくは)へて()つたのを泥棒(どろばう)して()たのだ。160(この)(たみ)だつて共謀(きようぼう)(うへ)だ。161さうすりや(おれ)もお(たみ)(その)一部分(いちぶぶん)(くは)はるだけの資格(しかく)具備(ぐび)してるのだから、162貴様(きさま)()(さん)(にん)三千(さんぜん)(ゑん)やらう。163さうして、164そこに()人足(にんそく)には二人(ふたり)(せん)(ゑん)やる(こと)にしよう。165(のこ)五千(ごせん)(ゑん)はまあ(おれ)所得(しよとく)にして()かうかい。166(おれ)(これ)からまだまだ遠国(ゑんごく)()かなくちやならないからな』
167コー『(なん)比較(ひかく)(てき)(よく)のない腰抜(こしぬ)けだな』
168蠑螈(いもり)『ウン、169腰抜(こしぬ)けだ。170(こし)さへ()てば一文(いちもん)だつてやる気遣(きづか)ひはないのだが、171(いづ)貴様(きさま)()()られて(しま)可能性(かのうせい)があるのだから、172(おれ)(はう)から、173くだけて()たのだ。174一人(ひとり)(せん)(ゑん)()銭儲(ぜにまう)けは、175貴様(きさま)一生(いつしやう)(はたら)いたつて出来(でき)やしないぞ。176オイ、177(さん)(にん)(やつ)178按摩賃(あんまちん)だと(おも)つて(おれ)(こし)()んで()れ。179さうすりや。180(また)(さん)(ゑん)ばかり(あらた)めて(めぐ)んでやらぬ(こと)もないから』
181ワク『イヤ、182(うま)れてから()(こと)もない(せん)(ゑん)(かね)(もら)つて、183(また)(その)(うへ)(いただ)くやうな(こと)をしちや冥加(みやうが)につきます。184もう一厘(いちりん)()りませぬから(こし)()まして(くだ)さいな』
185蠑螈(いもり)『ウン、186差許(さしゆる)す。187さあ、188しつかり()め』
189(たみ)(せん)(ゑん)がとこ、190親切(しんせつ)()むのですよ。191(しか)(こし)から(した)()んじやなりませぬよ』
192エム『アハヽヽヽ、193()心配(しんぱい)なさいますな。194仮令(たとへ)()んだ(ところ)吾々(われわれ)(をんな)ぢやありませぬから、195何卒(どうぞ)()心配(しんぱい)はなさいますな』
196 ()(にん)蠑螈別(いもりわけ)より四千(よんせん)(りやう)小判(こばん)受取(うけと)りホクホクものである。197そこへやつて()たのは一人(ひとり)大目附(おほめつけ)であつた。
198大目附(エキス)『こりやこりや、199コー、200ワク、201エム、202(なに)(いた)して()るか』
203ワク『やあ、204これはこれは大目附(おほめつけ)のエキスさまですか。205(いま)吾々(われわれ)この(あや)しの(もり)辻番(つじばん)(いた)して()ります(ところ)へ、206(むか)ふの(はう)より「スタスタスタ」と(いきほ)(すさま)じくやつて()たのは(この)(をんな)207なかなかの強者(したたかもの)(この)関門(くわんもん)(とほ)らうとするので、208(この)(をんな)(えり)()無理(むり)(たた)いてゐました(ところ)へ、209(また)もや(この)(をんな)(をつと)()えて、210()()(ごと)()んで()るものがある。211()ればウラナイ(けう)神力(しんりき)無双(むさう)蠑螈別(いもりわけ)212エム、213コー(ほか)二人(ふたり)倉皇(さうくわう)ワクワクとして(ちぢ)(あが)つてゐるにも(かかは)らず、214(この)ワクは襟髪(えりがみ)(にぎ)りスツテンドウと()げやれば……流石(さすが)蠑螈別(いもりわけ)も、215()くの(ごと)くクタばつて身動(みうご)きもならぬ(この)浅間(あさま)しさ、216何卒(どうぞ)()(くだ)さいませ』
217エキス『アハヽヽヽ、218うまく芝居(しばゐ)(いた)すのう。219内職(ないしよく)如何(どう)であつたか、220随分(ずゐぶん)(ふところ)(ふく)れただらうな』
221エム『エー、222大切(たいせつ)軍人(ぐんじん)(しよく)にありながら、223内職(ないしよく)(など)とは(おも)ひもよりませぬ。224軍律(ぐんりつ)(きび)しい(この)陣中(ぢんちう)225如何(どう)して左様(さやう)内職(ないしよく)なんか出来(でき)ませう』
226エキス『それでも役徳(やくとく)()ふものがあるだらう。227オイ、228コー、229ワク、230(その)(はう)役徳(やくとく)収入(しうにふ)があつた(はず)だ。231(かく)二分(にぶん)(いち)づつ(この)(はう)(をさ)めたらよからう』
232コー『折角(せつかく)(せん)(ゑん)(かね)()()れたと(おも)へば、233二分(にぶん)(いち)()せなんて、234あまりだ、235五百(ごひやく)(ゑん)になつて(しま)ふわ』
236エキス『コーが五百(ごひやく)(ゑん)237ワクが五百(ごひやく)(ゑん)238エムが五百(ごひやく)(ゑん)239両人(りやうにん)()もなき供人(ともびと)どもは二百(にひやく)五十(ごじふ)(ゑん)づつ(この)大目附(おほめつけ)(たてまつ)るのだ』
240エム『もし、241エキスさま、242貴方(あなた)泥棒(どろばう)上前(うはまへ)をはねる大泥棒(おほどろばう)ですな。243吾々(われわれ)折角(せつかく)244骨折(ほねを)つて五百(ごひやく)(ゑん)収入(しうにふ)245貴方(あなた)()()らさずに、246しめて二千(にせん)(ゑん)収入(しうにふ)があるぢやありませぬか。247せめて十分(じふぶん)(いち)(ぐらゐ)にして(もら)ひたいものですな』
248エキス『それが(かみ)()つものの役徳(やくとく)だ。249人間(にんげん)一段(いちだん)でも(うへ)役人(やくにん)になるに(かぎ)る。250大臣(だいじん)なんかになつて()よ。251()らぬ()何十万(なんじふまん)(ゑん)252何百万(なんびやくまん)(ゑん)株券(かぶけん)一文(いちもん)もかけないのに()つて()る。253山林(さんりん)田畑(でんぱた)何時(いつ)()にかチヤンと登記済(とうきずみ)になつてる(やう)なものだ。254それだから大目附役(おほめつけやく)地位(ちゐ)()てられないのだ』
255蠑螈(いもり)『エキスさまとやら、256(わたし)蠑螈別(いもりわけ)()ふウラナイ(けう)教祖(けうそ)ですが、257此処(ここ)五千(ごせん)(ゑん)ばかり(かね)()つて()ます。258(この)(うち)(せん)(ゑん)ばかり献上(けんじやう)(いた)しませうかな。259あまり沢山(たくさん)胴巻(どうまき)()いて()ると、260(おも)くて(こま)つて()ます。261ちと(たす)けて(もら)ひたいものですな』
262エキス『(なに)263(たす)けてほしいと(まを)すか、264よし五千(ごせん)(ゑん)全部(ぜんぶ)でも(たす)けてやらう』
265(たみ)『オホヽヽヽ、266あの蠑螈別(いもりわけ)さまの綺麗(きれい)(こと)267あたい、268それが()きで()れたのよ』
269蠑螈(いもり)『それならエキスさま、270(まへ)エキス((えき)()ふ)と()()だから、271綺麗(きれい)薩張(さつぱり)()つて()んで(くだ)さい。272(その)(かは)(ひと)つお(たの)みがある。273()いて(もら)へるだらうかな』
274エキス『(たの)みとは(なん)(ござ)るか』
275蠑螈(いもり)(ほか)でも(ござ)らぬ。276(じつ)はランチ将軍(しやうぐん)家来(けらい)にして()しいのだ』
277エキス『そりや大変(たいへん)都合(つがふ)()(こと)だ。278(じつ)(ところ)279吾々(われわれ)軍隊(ぐんたい)三五教(あななひけう)言霊戦(ことたません)に、280もちあぐんで()(ところ)だ。281(まへ)さまはウラナイ(けう)教祖(けうそ)だと()いて()る。282ウラナイ(けう)(ひと)(すく)なくても大変(たいへん)神徳(しんとく)があるさうだ。283素盞嗚(すさのをの)(みこと)さまさへも如何(いかん)ともする(こと)出来(でき)ないと()いた(うへ)(すゑ)(たの)もしい。284屹度(きつと)ランチ将軍(しやうぐん)(ふた)返事(へんじ)でお()()げになるのは請合(うけあ)つて()きます。285さあ蠑螈別(いもりわけ)さま、286陣中(ぢんちう)へは最早(もはや)何程(いくら)もありませぬ。287(しか)らば賓客(ひんきやく)としてバラモン(ぐん)参謀(さんぼう)として()採用(さいよう)になるやうに(わたし)(つと)めます』
288蠑螈(いもり)(しか)()(ごし)()けて(うご)けないのだ。289あまり(にはか)(はし)つたものだから、290(こし)蝶番(てふつがひ)如何(どう)かなつたと()える。291何分(なにぶん)(あさ)から(ばん)まで(すわ)(どほ)しで、292(みち)(ある)いた(こと)がないのだから』
293エキス『()心配(しんぱい)なさいますな。294(いま)駕籠(かご)()んで()て、295従卒(じゆうそつ)(かつ)がせて()夫婦(ふうふ)ともランチ将軍(しやうぐん)陣営(ぢんえい)鄭重(ていちよう)(おく)(とど)けます。296そして(この)エキスも(およ)ばずながらお(とも)(いた)し、297将軍(しやうぐん)(さま)(もと)()りもち(いた)(かんが)へなれば()安心(あんしん)なさい』
298蠑螈(いもり)『ハイ、299有難(ありがた)(ござ)ります。300(たみ)301もう安心(あんしん)せい。302これだけの軍隊(ぐんたい)(なか)(はい)つて()以上(いじやう)は、303(まへ)最早(もはや)大丈夫(だいぢやうぶ)だ』
304(たみ)仮令(たとへ)()んな(ところ)へでも(わたし)をお見捨(みす)てなく()れて()つてさへ(くだ)さいますれば、305()んな(ところ)へでもお(とも)(いた)します』エキス・蠑螈別・お民が浮木の森に到着するシーンは第47巻第5章
306大正一一・一二・一六 旧一〇・二八 北村隆光録)
文芸社文庫『あらすじで読む霊界物語』絶賛発売中!
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki