霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 地上(ちじやう)天国(てんごく)〔一二七五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第49巻 真善美愛 子の巻 篇:第1篇 神示の社殿 よみ(新仮名遣い):しんじのしゃでん
章:第1章 地上天国 よみ(新仮名遣い):ちじょうてんごく 通し章番号:1275
口述日:1923(大正12)年01月16日(旧11月30日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年11月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
天地万有一切を愛の善と信の真に基づいて創造し給ひし皇大神を奉斎した宮殿の御舎を、地上の天国という。大神の仁慈と智慧の教えを宣べ伝える聖場を霊国という。ゆえに、神諭でも綾の聖地を地の高天原と名付けられたのである。
天国は、決して人間が想像するような宙空の世界ではない。日月星辰もみな地球を中心とし根拠として創造されている。われわれが住居する大地は、霊国であり天国なのである。
人間は肉体を地上で発育させ、その精神も馴化・薫陶し、発育させなければならない。天国も霊国もすべて地上に実在する。
ただ、形体を脱出した人の本体である精霊が住居する世界を霊界といい、物質的形体を有する人間が住むところを現界というにすぎない。
人間は一方に高天原を蔵すると共に、一方に地獄を包有しているのである。そして霊界・現界の間に介在して、その精霊は善でもなく悪でもない、いわゆる中有界に居を定めているものである。
すべての人間は、高天原に向上して霊的・天的天人となるために神が造り玉ひしものである。だから人間は、大神より来る善の徳を具有している。
天人とは、人間の至粋至純なる霊身であり、人間は天界・地獄界両方面に介在する一種の機関である。人間は、愛と信の徳にある限り、高天原の小天国なのである。しかし人間は、天人が有しない外分なるものを持っている。外分とは、世間的影像である。
人は、神の善徳に住する限り、外分を内分に隷属させている。そのとき、大神は御自身が高天原にいます如くに、その人間の内分に臨ませ玉ふ。大神は、人間の世間的生涯の中にも、現在し玉ふのである。
神的順序があるところには、必ず大神の御霊がまします。神はすべて、順序にましますからである。この神的順序に逆らう者は、決して生きながら天人となることができない。
教祖の神諭に「十里四方は宮の内」と示されているのは、神界における里数である。想念の世界における最奥第一天国たる神の御舎は、人間界の一百方里くらいに広い、という意味である。人間の目から見て小さな宮の内でも、神の愛と神の信に触れ、智慧証覚のまったき者には、想念の延長によって際限もなく聖く麗しく、広く高く見得るものである。
霊的事物の目から見れば、これは不思議でもなんでもない。自然界の法則に従い肉の目で見ては、決して霊界の消息は受け入れられいし思考もできない。
神界の密意は、霊主体従的の真人でなければ、容易に受け入れることはできない。己の体内に存在する内分によって自己が何者であるかをよく究めた者となり、自然界を離れなければ、霊界の消息を窺うことはできないのである。
太古の黄金時代の人間は何事も内的であり、自然界の諸事物はその結果によって現れたことを悟っていた。それゆえすぐさま大神の内流を受け、宇宙の真相をわきまえて一切を神に帰し、神のまにまに生涯を楽しく送ったのである。
今日は人の内分は外部に向かい、神に背いて地獄に臨んでいる。そこで天地の造主である皇大神は厳の御霊、瑞の御霊と顕現し玉ひ、人間を神の光明に向かわせようとして、予言者を通じて救いの道を宣べ伝え給うたのである。
このように、地獄に向かって内分が開けている人間を高天原に向かわせようとした状態を、天地が覆ると宣らせ玉ふたのである。高天原は、大神や天人の住所である霊界を指す。霊国は神の教えを伝える宣伝使が集まるところである。その教えを聞くところを天国または霊国という。
天国の天人は祭祀のみを事とし、霊国の天人は神の教えを伝えることを神聖な業務となす。最勝最貴の智慧証覚によって神教を伝えるところを第一天国といい、最高最妙の愛善と智慧証覚を得た者の集まる霊場を最高天国というのである。この点において、現幽は一致しているということである。
人間が胸中に高天原を有するときは、その天界は人間の個々の行為にも現れる。人間が人間である根源は、自己に具有する愛そのものにある。そして、各人が主とする愛は、その想念や行為の微細なるところにも流れ入ってこれを按配し、いたるところに自分と相似したものを現すからである。
天界においては、大神に対する愛を第一の愛とする。高天原においては、大神を一切中の一切としてこれを愛し尊敬する。大神は全般の上にも個々の上にも流れ入り玉ひて、按配し導く。大神の行きますところには、ことごとく高天原が築かれる。
天人は極めて小さな一個の天界であり、その団体はより大きな形式の天界である。諸団体の一丸が、高天原の最大形式をなしている。綾の聖地の大本は大なる形式の高天原であり、各分所支部は聖地に次ぐ一個の天界であり、自己の内分に天国を開いた信徒は小なる形式の高天原である。
霊界におけるすべての団体は、愛善の徳と信真の光と、智慧証覚の度合いによって、同気相求める相応の理により、一個の天国団体が形成されている。また中有界、地獄界も同様である。
大神は、天界・中有界・地獄界をそれぞれ一個人とみなし、単元として統一し玉ふ。その神格は、各界すべてを統一する。ゆえに、各界のいかなる団体も、厳の御霊・瑞の御霊の神格の中から脱出することはできないし、これを無視して自由行動をとることは許されない。
綾の聖地をもって天地創造の大神が永久に鎮まります最奥天国の中心であると覚り得る者は、死後必ず天国の住民となり得る身魂である。かかる天的人間は、聖地の安危・盛否を吾が身体とみなしてよく神界のために愛と信を捧げるものである。
高天原の全体が一つの大神人であると悟った上は、すべての信者はその神人の個体または肢体の一部であることを理解する。霊的・天的事物もまた、全体が一個人であるかのような形式と影像にしたがって配列され、和合しているのである。
このことを知らない人は、人間の外分をなしている世間的・自然的な事物が人格であり、これがなければ人は人としての実を失うであろう、と考えてしまう。
本来、大神人の一部分であり神の信者であるべき者が、このような自愛心にとらわれて孤立的生涯を送ってしまうと、外面は神に従っているように見えたとしても、内分はまったく神を愛せず神に背き、自愛のために信仰して、虚偽と悪の捕虜になってしまっている。これでは決して神とも天界とも和合することはできない。
人間の人間たるところは、決して世間的物質的事物から成れる人格ではない。よく善を知り、よく善に志す力量にあるのである。そのことを知るべきである。だから、人格の上下はその人の智性と意志の如何によるのである。
せっかく神の救いの綱に引かれながら、偽善の度が深いために心の眼が開けず、光明赫灼がる大神人のいます方向もみえず、何事もすべて外部的観察をくだして神人の言説や行為を批判する者が多いのには、大神も非常に迷惑とされるところである。
この物語を拝聴する人々によっても、あるいは天来の福音と聞こえ、神の救いの言葉とも聞こえるが、あるいは寄席の落語や拙劣な浪花節とも感じるのである。中有界に迷える人には、不謹慎な物語、瑞月王仁の滑稽洒脱の映写、また放逸不羈な守護神の言葉、怪乱狂妄・醜言暴語として逃げ帰る者もある。
人は、各人が有する団体の位置から神を拝し、物語を聴く。ゆえにこの物語は上魂の人には救世の福音であるが、途中の鼻高や下劣なる人間の耳にはもっとも入り難いものである。また無垢な小児と社会の物質欲に超越した老人の耳にはよく沁みわたり理解されやすいものである。小児と老人は、その心が無垢の境涯にあって、最奥の霊国および天国と和合し相応しているからである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4901
愛善世界社版:7頁 八幡書店版:第9輯 33頁 修補版: 校定版:7頁 普及版:3頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎全集 > 第二巻 宗教・教育編 > 【宗教編】第四篇 神霊世界 > 第十四章 地上天国
001 天地(てんち)万有(ばんいう)一切(いつさい)(あい)(ぜん)(しん)(しん)(もとづ)いて、002創造(さうざう)(たま)ひし(すめ)大神(おほかみ)奉斎(ほうさい)したる宮殿(きうでん)御舎(みあらか)を、003地上(ちじやう)天国(てんごく)()ふ。004(さう)して大神(おほかみ)仁慈(じんじ)智慧(ちゑ)(をしへ)()(つた)ふる聖場(せいぢやう)霊国(れいごく)といふ。005(ゆゑ)大本(おほもと)神諭(しんゆ)にも、006(あや)聖地(せいち)()高天原(たかあまはら)名付(なづ)けられたのである。
007 天国(てんごく)とは(けつ)して人間(にんげん)想像(さうざう)する(ごと)き、008宙空(ちうくう)世界(せかい)ではない。009大空(たいくう)()(かがや)日月(じつげつ)星辰(せいしん)(みな)地球(ちきう)中心(ちうしん)とし、010根拠(こんきよ)として創造(さうざう)されたものである以上(いじやう)は、011所謂(いはゆる)吾人(ごじん)住居(ぢゆうきよ)する大地(だいち)霊国(れいごく)天国(てんごく)でなければならぬ。012人間(にんげん)(その)肉体(にくたい)地上(ちじやう)において発育(はついく)せしめ、013(かつ)(その)精霊(せいれい)をも馴化(じゆんくわ)し、014薫陶(くんたう)し、015発育(はついく)せしむべきものである。016(しか)して高天原(たかあまはら)(しん)密意(みつい)(きは)むるならば最奥(さいあう)第一(だいいち)天国(てんごく)(また)中間(ちうかん)天国(てんごく)017下層(かそう)天国(てんごく)も、018霊国(れいごく)もすべて地上(ちじやう)実在(じつざい)する(こと)勿論(もちろん)である。019(ただ)形体(けいたい)脱出(だつしゆつ)したる(ひと)本体(ほんたい)(すなは)精霊(せいれい)住居(ぢゆうきよ)する世界(せかい)霊界(れいかい)()ひ、020物質(ぶつしつ)(てき)形体(けいたい)(いう)する人間(にんげん)()(ところ)現界(げんかい)といふに()ぎない。021(ゆゑ)人間(にんげん)一方(いつぱう)高天原(たかあまはら)(ざう)すると(とも)一方(いつぱう)地獄(ぢごく)包有(はういう)してゐるのである。022(しか)して霊界(れいかい)023現界(げんかい)(すなは)自然界(しぜんかい)(あひだ)介在(かいざい)して、024(その)精霊(せいれい)(ぜん)にもあらず、025(あく)にもあらず、026所謂(いはゆる)中有界(ちううかい)(きよ)(さだ)めてゐるものである。
027 すべての人間(にんげん)は、028高天原(たかあまはら)向上(かうじやう)して霊的(れいてき)(また)天的(てんてき)天人(てんにん)とならむが(ため)に、029(かみ)(つく)(たま)ひしもので、030大神(おほかみ)よりする(ぜん)(とく)具有(ぐいう)する(もの)は、031(すなは)人間(にんげん)であつて、032(また)天人(てんにん)なるべきものである。033(えう)するに天人(てんにん)とは、034人間(にんげん)至粋(しすゐ)至純(しじゆん)なる霊身(れいしん)にして、035人間(にんげん)とは、036天界(てんかい)地獄(ぢごく)両方面(りやうはうめん)介在(かいざい)する一種(いつしゆ)機関(きくわん)である。037人間(にんげん)天人(てんにん)同様(どうやう)(いう)してゐるものは、038(その)内分(ないぶん)(ひと)しく天界(てんかい)影像(えいざう)なることと、039(あい)(しん)(とく)()(かぎ)り、040人間(にんげん)所謂(いはゆる)高天原(たかあまはら)小天国(せうてんごく)である。041(さう)して人間(にんげん)天人(てんにん)(いう)せざる外分(ぐわいぶん)なるものを()つてゐる。042(その)外分(ぐわいぶん)とは世間(せけん)(てき)影像(えいざう)である。043(ひと)(かみ)善徳(ぜんとく)(ぢゆう)する(かぎ)り、044世間(せけん)(すなは)自然(しぜん)(てき)外分(ぐわいぶん)をして、045天界(てんかい)内分(ないぶん)隷属(れいぞく)せしめ、046天界(てんかい)制役(せいやく)するままならしむる(とき)は、047大神(おほかみ)()自身(じしん)高天原(たかあまはら)にいます(ごと)くに(その)人間(にんげん)内分(ないぶん)(のぞ)ませ(たま)ふ。048(ゆゑ)大神(おほかみ)人間(にんげん)天界(てんかい)(てき)生涯(しやうがい)(うち)にも、049世間(せけん)(てき)生涯(しやうがい)(うち)にも、050現在(げんざい)(たま)ふのである。051(ゆゑ)神的(しんてき)順序(じゆんじよ)ある(ところ)には(かなら)大神(おほかみ)御霊(みたま)ましまさぬことはない。052(すべ)(かみ)順序(じゆんじよ)にましますからである。053(この)神的(しんてき)順序(じゆんじよ)(さか)らふ(もの)(けつ)して()(なが)天人(てんにん)たることを()ないのである。
054 教祖(けうそ)神諭(しんゆ)に……(じふ)()四方(しはう)(みや)(うち)……と(しめ)されてあるのは、055神界(しんかい)()ける里数(りすう)にして、056至善(しぜん)至美(しび)至信(ししん)至愛(しあい)大神(おほかみ)のまします、057最奥(さいあう)第一(だいいち)天国(てんごく)たる(かみ)御舎(みあらか)(ほとん)想念(さうねん)世界(せかい)よりは、058人間界(にんげんかい)一百(いつぴやく)方里(はうり)(くらゐ)(ひろ)いといふ意味(いみ)である。059吾々(われわれ)人間(にんげん)()にて(わづ)かに(ひと)(つぼ)(ふた)(つぼ)(くらゐ)神社(じんじや)内陣(ないぢん)外陣(ぐわいぢん)も、060神界(しんかい)(すなは)想念界(さうねんかい)(とく)延長(えんちやう)()つて、061(じふ)()四方(しはう)(あるひ)数百(すうひやく)()数千(すうせん)()天国(てんごく)となるのである。062福知(ふくち)舞鶴(まひづる)外囲(そとがこ)ひと()うてあるのは、063所謂(いはゆる)(あや)聖地(せいち)接近(せつきん)せる地名(ちめい)()つて、064現界人(げんかいじん)(わか)(やす)(しめ)されたものであつて、065(けつ)して現界(げんかい)(てき)地名(ちめい)特別(とくべつ)関係(くわんけい)がある(わけ)ではない。066(ただ)(ちひ)さき宮殿(きうでん)人間(にんげん)()より()て)の(うち)でも……(すなは)(みや)(うち)でも(かみ)(あい)(かみ)(しん)()れ、067智慧(ちゑ)証覚(しようかく)(まつた)(もの)は、068(みぎ)(ごと)想念(さうねん)延長(えんちやう)()つて、069際限(さいげん)もなく、070(きよ)(うるは)しく、071(かつ)(ひろ)(たか)見得(みう)るものである。072すべて自然界(しぜんかい)事物(じぶつ)基礎(きそ)として(かんが)ふる(とき)(かく)(ごと)(せつ)(じつ)空想(くうさう)(ひと)しきものの(ごと)()ゆるは当然(たうぜん)である。073(しか)(なが)霊的(れいてき)事物(じぶつ)()より(かんが)ふれば、074(けつ)して不思議(ふしぎ)でも、075不合理(ふがふり)でもない。076霊的(れいてき)事象(じしやう)如何(いか)なるものなるかを、077()(きは)()るならば、078(つひ)(その)真相(しんさう)(つか)むことが出来(でき)るのである。079(しか)自然界(しぜんかい)法則(はふそく)(したが)つて肉体(にくたい)(たも)ち、080(かつ)(にく)()(もつ)()ることを()ざる霊界(れいかい)消息(せうそく)到底(たうてい)大神(おほかみ)直接(ちよくせつ)内流(ないりう)受入(うけい)るるに(あら)ざれば、081容易(ようい)思考(しかう)()(べか)らざるは、082()むを()ない次第(しだい)である。
083 (ゆゑ)に、084神界(しんかい)密意(みつい)霊主(れいしゆ)体従(たいじう)(てき)真人(しんじん)にあらざれば、085中魂(ちうこん)下魂(げこん)人間(にんげん)(たい)し、086いかに(これ)説明(せつめい)するも、087容易(ようい)()()るる(あた)はざるは当然(たうぜん)である。088(ただ)人間(にんげん)(おの)体内(たいない)(そん)する内分(ないぶん)()つて、089自己(じこ)何者(なにもの)たるかを()(きは)めたる(もの)(あら)ざれば、090如何(いか)なる書籍(しよせき)をあさる(とも)091如何(いか)なる智者(ちしや)(げん)()(とも)092如何(いか)徹底(てつてい)したる微細(びさい)なる学理(がくり)()(とも)093自然界(しぜんかい)(はな)()ざる以上(いじやう)は、094容易(ようい)霊界(れいかい)消息(せうそく)(うかが)ふことは出来(でき)ないものである。095太古(たいこ)黄金(わうごん)時代(じだい)人間(にんげん)何事(なにごと)も、096(みな)内的(ないてき)にして、097自然界(しぜんかい)諸事物(しよじぶつ)(その)結果(けつくわ)()つて(あら)はれし(こと)(さと)つてゐた。098()(ゆゑ)直様(すぐさま)大神(おほかみ)内流(ないりう)()け、099()宇宙(うちう)真相(しんさう)(わきま)へ、100一切(いつさい)(かみ)()し、101(かみ)のまにまに生涯(しやうがい)(たのし)(おく)つたのである。102(しか)るに今日(こんにち)最早(もはや)白銀(はくぎん)103赤銅(しやくどう)104黒鉄(こくてつ)時代(じだい)通過(つうくわ)して、105()益々(ますます)外的(ぐわいてき)となり、106(いま)(ぜん)もなく(しん)もなき暗黒(あんこく)無明(むみやう)泥海(どろうみ)世界(せかい)となり、107(かみ)(そむ)くこと(もつとも)(とほ)く、108(いづ)れも(ひと)内分(ないぶん)外部(ぐわいぶ)(むか)ひ、109(かみ)(そむ)いて、110地獄(ぢごく)(のぞ)んでゐる。111それ(ゆゑ)足許(あしもと)暗黒(あんこく)なる地獄(ぢごく)(ただち)()()くが、112(そら)(かがや)光明(くわうみやう)(これ)(せな)()ふてゐるから、113到底(たうてい)(かみ)(をしへ)(しん)ずることは出来(でき)ないのである。114(ここ)天地(てんち)造主(つくりぬし)なる(すめ)大神(おほかみ)は、115(いづ)御霊(みたま)116(みづ)御霊(みたま)顕現(けんげん)(たま)ひ、117地下(ちか)のみに(まなこ)(そそ)ぎ、118(すこ)しも頭上(づじやう)光明(くわうみやう)(さと)()ざりし、119人間(にんげん)(まなこ)(てん)じて、120(かみ)光明(くわうみやう)(むか)はしめむとして、121予言者(よげんしや)(つう)じ、122(すく)ひの(みち)()(つた)へたまうたのである。
123 (かく)(ごと)地獄(ぢごく)(むか)つて内分(ないぶん)(ひら)けてゐる人間(にんげん)高天原(たかあまはら)(むか)はしめたる状態(じやうたい)を、124天地(てんち)(かへ)ると()らせ(たま)ふたのである。
125 (えう)するに忌憚(きたん)なく()へば、126高天原(たかあまはら)とは大神(おほかみ)天人(てんにん)(ども)住所(ぢゆうしよ)なる霊界(れいかい)()し、127霊国(れいごく)とは(かみ)(をしへ)(つた)ふる宣伝使(せんでんし)(あつ)まる(ところ)()ひ、128(また)(その)(をしへ)()(ところ)天国(てんごく)(また)霊国(れいごく)といふのである。129(しか)して天国(てんごく)天人(てんにん)団体(だんたい)()りし(もの)は、130祭祀(さいし)をのみ(こと)とし、131霊国(れいごく)天人(てんにん)(かみ)(をしへ)(つた)ふるを(もつ)神聖(しんせい)なる業務(げふむ)となすのである。132(ゆゑ)最勝(さいしよう)最貴(さいき)智慧(ちゑ)証覚(しようかく)()つて、133神教(しんけう)(つた)ふる(ところ)第一(だいいち)霊国(れいごく)()ひ、134(また)最高(さいかう)最妙(さいめう)愛善(あいぜん)智慧(ちゑ)証覚(しようかく)()たる(もの)(あつ)まる霊場(れいぢやう)最高(さいかう)天国(てんごく)といふのである。135(ゆゑ)現幽(げんいう)一致(いつち)(とな)へるのである。
136 人間(にんげん)胸中(きようちう)高天原(たかあまはら)(いう)する(とき)は、137(その)天界(てんかい)人間(にんげん)行為(かうゐ)至大(しだい)なるもの、138(すなは)全般(ぜんぱん)(てき)なるものに(あら)はれるのみならず、139(その)(せう)なるもの(すなは)個々(ここ)行為(かうゐ)にも(あら)はるべきものなるを記憶(きおく)すべきである。140(ゆゑ)に『(みち)大原(たいげん)』にも、141大精神(だいせいしん)(たい)たるや至大(しだい)無外(むぐわい)至小(しせう)無内(むない)とある所以(ゆゑん)である。142(そもそ)人間(にんげん)人間(にんげん)たる所以(ゆゑん)は、143自己(じこ)具有(ぐいう)する(あい)(その)(もの)にある。144自然(しぜん)(しゆ)とする(ところ)(あい)(すなは)(その)人格(じんかく)なりといふ(こと)基因(きいん)するものである。145何故(なにゆゑ)なれば、146各人(かくじん)(しゆ)とする(ところ)(あい)は、147(その)想念(さうねん)(および)行為(かうゐ)(もつと)微細(びさい)なる(ところ)にも(なが)()つて(これ)按配(あんばい)し、148(いた)(ところ)(おい)て、149自分(じぶん)相似(さうじ)せるものを誘出(いうしゆつ)するからである。150(しか)して諸々(もろもろ)天界(てんかい)(おい)ては、151大神(おほかみ)(たい)する(あい)(もつ)第一(だいいち)(あい)とするのである。152高天原(たかあまはら)にては如何(いか)なる(もの)大神(おほかみ)(ごと)(あい)せらるるものなき(ゆゑ)である。153(ゆゑ)高天原(たかあまはら)にては、154大神(おほかみ)(もつ)一切中(いつさいちう)一切(いつさい)として(これ)(あい)(これ)尊敬(そんけい)するのである。
155 大神(おほかみ)全般(ぜんぱん)(うへ)にも、156個々(ここ)(うへ)にも(なが)()(たま)ひて、157(これ)按配(あんばい)(これ)(みちび)いて、158大神(おほかみ)自身(じしん)影像(えいざう)(その)(うへ)()めさせ(たま)ふを(もつ)て、159大神(おほかみ)()きます(ところ)には(ことごと)高天原(たかあまはら)(きづ)かれるのである。160(ゆゑ)天人(てんにん)(きは)めて(ちひ)さき形式(けいしき)()ける一個(いつこ)天界(てんかい)であつて、161(その)団体(だんたい)(これ)よりも(だい)なる形式(けいしき)(いう)する天界(てんかい)である。162(しか)して諸団体(しよだんたい)()つて一丸(いちぐわん)となせるものは高天原(たかあまはら)最大形式(さいだいけいしき)をなすものである。
163 (あや)聖地(せいち)()ける(かみ)大本(おおもと)(だい)なる形式(けいしき)(いう)する高天原(たかあまはら)であつて、164(その)(をしへ)宣伝(せんでん)する(きよ)(ただ)しき愛信(あいしん)徹底(てつてい)したる(かく)分所(ぶんしよ)支部(しぶ)は、165聖地(せいち)()一個(いつこ)天界(てんかい)団体(だんたい)であり(また)166自己(じこ)内分(ないぶん)天国(てんごく)(ひら)きたる信徒(まめひと)は、167(せう)なる形式(けいしき)高天原(たかあまはら)であることは勿論(もちろん)である。168(ゆゑ)霊界(れいかい)()けるすべての団体(だんたい)は、169愛善(あいぜん)(とく)信真(しんしん)(ひかり)と、170智慧(ちゑ)証覚(しようかく)()如何(いかん)によつて、171同気(どうき)相求(あひもと)むる相応(さうおう)()()り、172各宗教(かくしうけう)()ける一個(いつこ)天国(てんごく)団体(だんたい)形成(けいせい)され、173(また)中有界(ちううかい)地獄界(ぢごくかい)形成(けいせい)されてゐるのも、174天界(てんかい)同様(どうやう)175(けつ)して一定(いつてい)のものではない。176され(ども)大神(おほかみ)天界(てんかい)中有界(ちううかい)地獄界(ぢごくかい)をして一個人(いつこじん)見做(みな)し、177(これ)単元(たんげん)として統一(とういつ)(たま)(ゆゑ)如何(いか)なる団体(だんたい)(いへど)も、178(いづ)御霊(みたま)(みづ)御霊(みたま)神格(しんかく)(うち)より脱出(だつしゆつ)することは出来(でき)ない、179(また)(これ)他所(ほか)にして自由(じいう)行動(かうどう)()ることは(ゆる)されないのである。
180 高天原(たかあまはら)全体(ぜんたい)統一(とういつ)して()(とき)は、181一個人(いちこじん)(るゐ)するものである。182(ゆゑ)諸々(もろもろ)天人(てんにん)(その)一切(いつさい)()げて、183一個(いつこ)(ひと)(るゐ)する(こと)()るが(ゆゑ)(かれ)()高天原(たかあまはら)()んで、184大神人(だいしんじん)といふのである。185(あや)聖地(せいち)(もつ)天地(てんち)創造(さうざう)大神(おほかみ)永久(とこしへ)(しづ)まります最奥(さいあう)天国(てんごく)中心(ちうしん)(さと)()(もの)は、186死後(しご)(かなら)天国(てんごく)住民(ぢゆうみん)となり()身魂(みたま)である。187(ゆゑ)()かる天的(てんてき)人間(にんげん)聖地(せいち)安危(あんき)盛否(せいひ)(もつ)て、188(わが)身体(しんたい)見做(みな)し、189()神界(しんかい)(ため)に、190(あい)(しん)とを(ささ)ぐるものである。
191 高天原(たかあまはら)全体(ぜんたい)(ひとつ)大神人(だいしんじん)なる単元(たんげん)(さと)りし(うへ)は、192すべての信者(しんじや)(その)神人(しんじん)個体(こたい)(また)肢体(したい)一部(いちぶ)なることを()るが(ゆゑ)である。193霊的(れいてき)(および)天的(てんてき)事物(じぶつ)(くわん)して、194(みぎ)(ごと)正当(せいたう)なる観念(くわんねん)(いう)せざる(もの)は、195(みぎ)事物(じぶつ)一個人(いちこじん)形式(けいしき)影像(えいざう)とに(したが)つて配列(はいれつ)せられ和合(わがふ)せらるることを()らない。196(ゆゑ)(かれ)()(おも)ふやう、197人間(にんげん)外分(ぐわいぶん)をなせる世間(せけん)(てき)198自然(しぜん)(てき)事物(じぶつ)(すなは)(これ)人格(じんかく)にして、199(ひと)(これ)なくんば(ひと)(ひと)たる(じつ)(うしな)ふであらうと。200(ゆゑ)大神人(だいしんじん)一部分(いちぶぶん)たる(かみ)信者(しんじや)たる(もの)(かく)(ごと)自愛心(じあいしん)(とら)はれて、201孤立(こりつ)(てき)生涯(しやうがい)(おく)るに(いた)らば、202外面(ぐわいめん)(かみ)(したが)(ごと)()ゆると(いへど)も、203(その)内分(ないぶん)(まつた)(かみ)(あい)せず、204(かみ)(そむ)き、205自愛(じあい)(ため)信仰(しんかう)にして、206所謂(いはゆる)虚偽(きよぎ)(あく)との捕虜(ほりよ)となつたものである。207(かく)(ごと)信仰(しんかう)情態(じやうたい)()(もの)(けつ)して(かみ)和合(わがふ)し、208天界(てんかい)和合(わがふ)することは出来(でき)ない。209(あだか)中有界(ちううかい)人間(にんげん)が、210第一(だいいち)天国(てんごく)(のぼ)つて、211(その)方向(はうかう)(まよ)ひ、212一個(いつこ)天人(てんにん)をも()ることを()ず、213(むね)(くるし)め、214()(まは)して(よろこ)んで地獄界(ぢごくかい)逃行(にげゆ)(やう)なものである。
215 人間(にんげん)人間(にんげん)たるは(けつ)して世間(せけん)(てき)物質(ぶつしつ)(てき)事物(じぶつ)より()れる人格(じんかく)にあらずして、216(その)()(しん)()り、217()(ぜん)(こころざ)力量(りきりやう)あるに()ることを()るべきである。218(これ)()霊的(れいてき)(およ)天的(てんてき)事物(じぶつ)(すなは)人格(じんかく)をなす所以(ゆゑん)のものである。219(しか)して人格(じんかく)上下(じやうげ)は、220(その)(ひと)智性(ちせい)意思(いし)との如何(いかん)()るものである。
221 大本(おほもと)神諭(しんゆ)に……灯台下(とうだいもと)真暗(まつくら)がり、222結構(けつこう)()高天原(たかあまはら)引寄(ひきよ)せられ(なが)ら、223肉体(にくたい)(よく)(みたま)(くも)らせ、224折角(せつかく)(たから)(やま)()(なが)ら、225(はだか)跣足(はだし)怪我(けが)(いた)して(かへ)(もの)出来(でき)るぞよ。226これは(こころ)(よく)慢心(まんしん)とがあるからであるぞよ。227云々(うんぬん)……と(しめ)されあるを(かんが)ふる(とき)は、228折角(せつかく)(かみ)(すく)ひの(つな)()かれ(なが)ら、229(その)偽善(ぎぜん)()(あま)(ふか)きため、230(こころ)(まなこ)(ひら)けず、231光明(くわうみやう)赫灼(くわくしやく)たる大神人(だいしんじん)のゐます方向(はうかう)さへも、232霊的(れいてき)()ることを()ず、233何事(なにごと)もすべて外部(ぐわいぶ)(てき)観察(くわんさつ)(くだ)し、234おのが邪悪(じやあく)()ちたる(こころ)より神人(しんじん)言説(げんせつ)行為(かうゐ)批判(ひはん)せむとする偽善者(きぜんしや)(めくら)(つんぼ)(おほ)いのには大神(おほかみ)非常(ひじやう)迷惑(めいわく)さるる(ところ)である。235(すべ)人間(にんげん)は、236暗冥(あんめい)無智(むち)なる(もの)なることを(さと)り、237至善(しぜん)至美(しび)至仁(しじん)至愛(しあい)至智(しち)至正(しせい)なる(かみ)(ちから)信従(しんじゆう)し、238()(めい)()(したが)ふの善徳(ぜんとく)()むに(あら)ざれば、239到底(たうてい)(わが)心内(しんない)天界(てんかい)(ひら)き、240(かみ)光明(くわうみやう)(みと)むることは不可能(ふかのう)である。241(わが)身内(しんない)天国(てんごく)(ひら)()ざる(もの)到底(たうてい)顕界(けんかい)幽界(いうかい)(とも)安楽(あんらく)なる生涯(しやうがい)(おく)ることは出来(でき)ないのは当然(たうぜん)である。242(ゆゑ)現界(げんかい)にて(おな)殿堂(でんだう)(あつ)まり、243(かみ)讃美(さんび)し、244(かみ)拝礼(はいれい)し、245(かみ)(をしへ)聴聞(ちやうもん)する、246(その)状態(じやうたい)()れば、247(おな)五六七(みろく)殿(でん)(うち)行儀(ぎやうぎ)よく整列(せいれつ)して()(やう)()えてゐる、248(また)物質界(ぶつしつかい)より()れば確実(かくじつ)整列(せいれつ)してゐるのは、249事実(じじつ)である。250(しか)(その)想念界(さうねんかい)()つて()観察(くわんさつ)する(とき)は、251(その)霊身(れいしん)霊国(れいごく)にあるもあり、252(また)天国(てんごく)団体(だんたい)にあつて聴聞(ちやうもん)せるもあり拝礼(はいれい)せるもあり、253(あるひ)中有界(ちううかい)()()めて()()るもあり、254(また)(まつた)(かみ)()にし地獄(ぢごく)(むか)つてゐるのもある。255(ゆゑ)(この)物語(ものがたり)拝聴(はいちやう)する人々(ひとびと)()つて、256(あるひ)天来(てんらい)福音(ふくいん)とも(きこ)え、257(かみ)(すく)ひの言葉(ことば)とも(きこ)え、258(あるひ)寄席(よせ)落語(らくご)とも(きこ)え、259(あるひ)拙劣(せつれつ)浪花節(なにはぶし)とも(かん)じ、260(また)中有界(ちううかい)彷徨(さまよ)ひたる偽善者(きぜんしや)(みみ)には不謹慎(ふきんしん)なる物語(ものがたり)にして、261(けつ)して(かみ)言葉(ことば)にあらず、262瑞月(ずゐげつ)王仁(おに)滑稽(こつけい)洒脱(しやだつ)思想(しさう)映写(えいしや)して、263物語(ものがたり)となりしものの(ごと)(かん)じ、264冷笑(れいせう)侮蔑(ぶべつ)(ねん)(おこ)し、265(これ)(たい)する(もの)もあり、266(あるひ)筆録者(ひつろくしや)放逸(はういつ)不覊(ふき)守護神(しゆごじん)(かん)じて、267口述者(こうじゆつしや)(れい)(かみ)言葉(ことば)(みづか)(しん)じ、268編纂(へんさん)せしものの(ごと)(かん)ずる(もの)もあり、269(あるひ)(その)(げん)怪乱(くわいらん)狂妄(きやうまう)悉皆(しつかい)汚穢(をゑ)()ちたる醜言(しうげん)暴語(ばうご)となして(みみ)(ふさ)逸早(いちはや)()(かへ)るものもある。270(これ)霊界(れいかい)()をおいて、271各人(かくじん)(いう)する団体(だんたい)位地(ゐち)より(かみ)(はい)し、272(かつ)物語(ものがたり)()(ひと)状態(じやうたい)である。273(ゆゑ)(この)物語(ものがたり)上魂(じやうこん)(ひと)には(じつ)救世(きうせい)福音(ふくいん)なれ(ども)274途中(とちう)鼻高(はなだか)下劣(げれつ)なる人間(にんげん)(みみ)には(もつと)()(がた)きものである。275(また)無垢(むく)なる小児(せうに)社会(しやくわい)物質欲(ぶつしつよく)超越(てうゑつ)したる老人(らうじん)(みみ)には()()(わた)り、276(かつ)理解(りかい)され(やす)きものである。277こは小児(せうに)老人(らうじん)(その)(こころ)無垢(むく)境涯(きやうがい)()つて、278最奥(さいあう)霊国(れいごく)(および)天国(てんごく)和合(わがふ)相応(さうおう)()るが(ゆゑ)である。
279大正一二・一・一六 旧一一・一一・三〇 松村真澄録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
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