霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一八章 毒酸(どくさん)〔一二九二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第49巻 真善美愛 子の巻 篇:第4篇 鷹魅糞倒 よみ(新仮名遣い):ようみふんとう
章:第18章 毒酸 よみ(新仮名遣い):どくさん 通し章番号:1292
口述日:1923(大正12)年01月19日(旧12月3日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年11月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高姫と杢助は酒を酌み交わしながらひそびそ話にふけっている。高姫は、結局お寅たちを引き戻すことができなかったこと、イルたち五人が団結して交渉しに来たことなどを気に病んでいる。
杢助は、珍彦夫婦はこの祠の森館の正式な主人なのだから、珍彦の権限をもってイルたち五人を追い出せばよいと言い出した。そのためには、彼らを毒で殺し、魔術で二人の死体を自分たちの体に変じ、自分たちは珍彦と静子に変化して入れ替わればよいと画策した。
ためらう高姫に、杢助は悪をやるなら徹底的にやるのだと説き、高姫は珍彦と静子に毒酸を入れた御馳走をふるまうことに同意してしまった。
杢助と高姫が祠の森乗っ取り計画を相談していたところ、ふすまの前の廊下に小さい足音がして表の方へ消えてしまった。高姫は誰かに聞かれたかと心配したが、杢助は山猫や山狆だろうと取り合わなかった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-06-30 09:13:08 OBC :rm4918
愛善世界社版:273頁 八幡書店版:第9輯 132頁 修補版: 校定版:281頁 普及版:126頁 初版: ページ備考:
001 高姫(たかひめ)杢助(もくすけ)二人(ふたり)002(さけ)()(かは)しながら、003ひそびそ(ばなし)(ふけ)つて()る。
004高姫(たかひめ)杢助(もくすけ)さま大変(たいへん)(こと)出来(でき)たのよ。005(わたし)心配(しんぱい)でならないわ』
006杢助(もくすけ)『ハヽヽヽ、007ヨルやお(とら)008魔我彦(まがひこ)本当(ほんたう)(うづ)(やかた)()つたのが()になるのであらう、009そんな(こと)心配(しんぱい)はいらないぢやないか。010幾何(いくら)でも方法(はうはふ)手段(しゆだん)はあるのぢや』
011高姫(たかひめ)『それだと()つて杢助(もくすけ)さまの魔術(まじゆつ)一寸(ちよつと)(あて)にならぬぢやありませぬか。012(さん)(にん)(やつ)(うま)(かへ)つて()たと(おも)へば、013何奴(どいつ)此奴(こいつ)も、014(さる)(くま)古狸(ふるだぬき)のやうなものだし、015テルやハル(こう)魔法使(まはふつかひ)もサツパリ幻影(げんえい)だつたし、016(この)(まま)()たなら、017(この)義理(ぎり)天上(てんじやう)もここ五日(いつか)()れぬぢやありませぬか。018彼奴(あいつ)()(さん)(にん)がイソの(やかた)()きよつたら、019きつと、020一伍(いちぶ)一什(しじふ)()ふに(ちが)ひない。021さうすればキツト立退(たちの)命令(めいれい)()はされる(こと)()れた(こと)022()うかして、023此処(ここ)居坐(ゐすわ)りたいがお(まへ)さまどうかして、024とつときの智慧(ちゑ)()して(かんが)へて(くだ)さるまいかな』
025杢助(もくすけ)『アハヽヽヽ、026()出神(でのかみ)(さま)(かんが)へでも()きませぬかな。027矢張(やつぱ)何程(なにほど)神力(しんりき)のある(かみ)でも(わる)(こと)駄目(だめ)だと()えるのう』
028高姫(たかひめ)善悪(ぜんあく)不二(ふじ)029正邪(せいじや)一如(いちによ)だから義理(ぎり)天上(てんじやう)(あく)()せて(ぜん)(はたら)くのだから、030キツト(かみ)(さま)(ゆる)して(くだ)さるだらう。031イル、032イク、033サール、034ハル、035テルの()(にん)(やつ)()ふのには、036吾々(われわれ)()(にん)(いづ)御霊(みたま)だ。037玉国別(たまくにわけ)さまに命令(めいれい)()けた(ほこら)(もり)常置品(じやうちひん)だから、038(まへ)(たち)左右(さいう)される(もの)ぢやない。039グヅグヅ()ふのなら()()つて()れ」などと、040最前(さいぜん)(さけ)(くら)()つて()めて()るのだから(こま)つたものだ。041(わたし)はこの(さき)どうなるかと(おも)ふて、042心配(しんぱい)でなりませぬわ』
043杢助(もくすけ)(この)(やかた)珍彦(うづひこ)夫婦(ふうふ)全権(ぜんけん)をもつて()るのだから、044珍彦(うづひこ)命令(めいれい)なら、045彼奴(きやつ)()()(にん)放逐(はうちく)するのは(なん)でもない(こと)だ』
046高姫(たかひめ)『それはよい(ところ)へお()()きました。047()(ほど)珍彦(うづひこ)さまが全権(ぜんけん)(にぎ)つて(ござ)るのだから、048珍彦(うづひこ)さへ此方(こちら)薬籠中(やくろうちう)のものとして()けば大丈夫(だいぢやうぶ)ですな。049(しか)珍彦(うづひこ)此方(こちら)()(こと)()かなかつたらどうしませうかなア』
050杢助(もくすけ)『そんな心配(しんぱい)()るか。051変身(へんしん)(じゆつ)使(つか)つて杢助(もくすけ)珍彦(うづひこ)()け、052(まへ)静子(しづこ)()けたらよいのだ』
053高姫(たかひめ)(それ)だと()つて、054顔形(かほかたち)(まで)がさう(うま)()きませうかなア』
055杢助(もくすけ)『いかいでか、056チツトも(ちが)はないやうに()けて()せる。057(まへ)()けさせてやる』
058高姫(たかひめ)(おな)(やかた)二人(ふたり)珍彦(うづひこ)059静子姫(しづこひめ)があつては露顕(ろけん)のもとぢや(ござ)いませぬか』
060杢助(もくすけ)(なに)さ、061(うま)両人(りやうにん)をたらし()んで(さけ)(めし)(なか)(どく)()れ、062そつと○○して(しま)ひ、063さうして高姫(たかひめ)杢助(もくすけ)(たい)二人(ふたり)(へん)じ、064(うま)葬式(さうしき)(いとな)み、065(あと)吾々(われわれ)両人(りやうにん)が、066珍彦(うづひこ)静子(しづこ)()(かは)るのだ、067さうすれば安心(あんしん)だらう』
068高姫(たかひめ)杢助(もくすけ)さま、069(まへ)正直(しやうぢき)(かた)だと(おも)つて()たが、070随分(ずいぶん)(わる)智慧(ちゑ)()ますなア』
071杢助(もくすけ)(きま)つた(こと)だよ。072(いま)()(なか)(ぜん)仮面(かめん)(かぶ)つて悪事(あくじ)をするもの(ほど)073立派(りつぱ)人間(にんげん)()はれるのだ。074(まへ)杢助(もくすけ)女房(にようばう)となつた以上(いじやう)は、075一段(いちだん)改悪(かいあく)せなくては駄目(だめ)だよ。076(おに)(をつと)(じや)女房(にようばう)()ふぢやないか』
077高姫(たかひめ)『それだと()つて(あま)非道(ひど)いぢやありませぬか。078(まへ)はまるで悪魔(あくま)のやうな(こと)()ひますな』
079杢助(もくすけ)『アハヽヽヽ、080(あく)をやるならばお(まへ)のやうな中途半(ちうとはん)駄目(だめ)だ。081徹底(てつてい)(てき)(あく)をやるのだ。082中途半(ちうとはん)善悪(ぜんあく)混交(こんかう)(てき)(あく)なら、083()めた(はう)余程(よほど)()()いて()るよ。084(この)杢助(もくすけ)到底(たうてい)(まへ)のやうな善人(ぜんにん)とは意志(うま)()はないから、085(いま)(うち)(わか)れようぢやないか。086(まへ)では到底(たうてい)(わし)について()(こと)出来(でき)ない。087改悪(かいあく)()らぬからなア』
088高姫(たかひめ)杢助(もくすけ)さま、089もう()うなつた以上(いじやう)はどこ(まで)もついて()きます。090どうぞ(わたし)末長(すゑなが)可愛(かあい)がつて(くだ)さいませ』
091杢助(もくすけ)『ヨシヨシそんなら(わし)()(とほ)りにするなア』
092高姫(たかひめ)『ハイ、093どんな(こと)でも(いや)とは()ひませぬ』
094杢助(もくすけ)『それなら(いま)(これ)をお(まへ)にやるから、095(さけ)(なか)御飯(ごはん)(なか)へこの()()()くのだ。096これは毒酸(どくさん)()つて印度(いんど)群魔山(ぐんまさん)出来(でき)果物(くだもの)()をもつて製造(せいざう)した(どく)だから、097サア(これ)をお(まへ)(あた)へて()く、098うまく両人(りやうにん)此処(ここ)()()()し、099()馳走(ちそう)して○○するのだなア』
100高姫(たかひめ)『ハイ承知(しようち)(いた)しました。101きつとやつて()せませう、102(しか)二人(ふたり)は○○した(ところ)であの(かへで)はどうしたらよいのでせう』
103杢助(もくすけ)『あの(かへで)か、104あれや(はふ)つて()いたらよいのだ。105珍彦(うづひこ)杢助(もくすけ)肉体(にくたい)変形(へんけい)して()に、106静子(しづこ)はお(まへ)肉体(にくたい)変形(へんけい)し、107さうして死体(したい)土中(どちう)(うづ)めて(しま)へば、108(あと)立派(りつぱ)珍彦(うづひこ)109静子(しづこ)となつて(をさ)まり(かへ)つて()られると()ふものだ。110さうすれば斎苑(いそ)(やかた)から何程(なにほど)立退(たちのき)命令(めいれい)()ても大丈夫(だいぢやうぶ)ぢやないか』
111高姫(たかひめ)()(ほど)112これは妙案(めうあん)奇策(きさく)113()出神(でのかみ)義理(ぎり)天上(てんじやう)生宮(いきみや)感心(かんしん)(いた)しましたよ。114オホヽヽヽヽヽ、115(なん)魔法(まはふ)()ふものは都合(つがふ)のよいものですなア』
116杢助(もくすけ)『サア(はや)()馳走(ちそう)用意(ようい)にかかつて()れ。117グヅグヅして()ると露顕(ろけん)(おそ)れがある。118(はかりごと)(はや)いがよいからなア』
119高姫(たかひめ)『アヽ(いそが)しい(こと)だ。120御飯(ごはん)もたかねばならず、121煮〆(にしめ)もせなならず、122杢助(もくすけ)さま、123(まへ)さまお(さけ)(かん)だけ手伝(てつだ)つて(くだ)さいな。124(これ)珍彦(うづひこ)125静子(しづこ)両人(りやうにん)(うま)片付(かたづ)けて仕舞(しま)へば天下(てんか)泰平(たいへい)だ。126(まへ)(わたし)(ほこら)(みや)永久(とこしへ)(しづ)まつて、127三五教(あななひけう)(むか)ふを()り、128表向(おもてむき)三五教(あななひけう)とし、129(じつ)はウラナイ(けう)(ひら)かうではありませぬか』
130杢助(もくすけ)『アハヽヽヽ、131(まへ)(おれ)大分(だいぶん)感化(かんくわ)されたと()えて、132余程(よほど)改心(かいしん)出来(でき)たわい』
133高姫(たかひめ)(たれ)かに珍彦(うづひこ)夫婦(ふうふ)()びにやらせませうかなア』
134杢助(もくすけ)珍彦(うづひこ)夫婦(ふうふ)(なん)()つても此処(ここ)主人(しゆじん)だ。135(まへ)準備(じゆんび)をちやんと(ととの)へたら、136()(ひく)うし、137ちやんと叮嚀(ていねい)にお(まへ)(むか)へに()()ねば、138もしも(いや)だなんて()はれては大変(たいへん)だよ』
139高姫(たかひめ)『アヽそれやさうです。140そんなら(はや)御飯(ごはん)準備(こしら)へをして()いて(わたし)(まゐ)りませうかなア、141願望(ぐわんまう)成就(じやうじゆ)時節(じせつ)到来(たうらい)これが(うま)()けば大丈夫(だいぢやうぶ)です。142惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)143義理(ぎり)天上(てんじやう)()()(かみ)(さま)144何卒(なにとぞ)この計略(けいりやく)(うま)()きますやうに』
145とポンポンポンポンと四拍手(しはくしゆ)して、146暗祈(あんき)黙祷(もくたう)(はじ)めた。
147杢助(もくすけ)『アハヽヽヽ、148よく()いて(くだ)さるだらうよ』
149高姫(たかひめ)『さうです。150(あく)(こと)悪神(あくがみ)(たの)めばいいぢやありませぬか』
151杢助(もくすけ)『それやさうだ。152(もち)餅屋(もちや)だからな、153(うま)(さと)られない(やう)にやつて()れよ』
154 (この)(とき)(ふすま)(まへ)廊下(らうか)(ちひ)さい足音(あしおと)がして(おもて)(はう)()えて仕舞(しま)つた。155高姫(たかひめ)(その)足音(あしおと)(みみ)(はさ)み、
156高姫(たかひめ)『アヽ杢助(もくすけ)さま、157足音(あしおと)がしたぢやありませぬか。158(この)秘密(ひみつ)(たれ)かに()かれたのでは(ござ)いますまいかなア』
159杢助(もくすけ)()あに、160あれは(ねこ)(ちん)足音(あしおと)だよ』
161高姫(たかひめ)(ちん)(ねこ)此処(ここ)には()ないぢやありませぬか』
162杢助(もくすけ)山中(さんちう)(こと)だから山猫(やまねこ)山狆(やまちん)沢山(たくさん)()るから、163(あま)()馳走(ちそう)()がするので()ぎつけて()よつたのだ。164そんな(こと)心配(しんぱい)するに(およ)ばない』
165高姫(たかひめ)『それでもねえ、166(なん)だか気掛(きがか)りですわ』
167大正一二・一・一九 旧一一・一二・三 加藤明子録)
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