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第2巻(丑の巻)
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第6巻(巳の巻)
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第13巻(子の巻)
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第61巻(子の巻)
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第64巻(卯の巻)上
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第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
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第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
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第49巻(子の巻)
序文
総説
第1篇 神示の社殿
01 地上天国
〔1275〕
02 大神人
〔1276〕
03 地鎮祭
〔1277〕
04 人情
〔1278〕
05 復命
〔1279〕
第2篇 立春薫香
06 梅の初花
〔1280〕
07 剛胆娘
〔1281〕
08 スマート
〔1282〕
第3篇 暁山の妖雲
09 善幻非志
〔1283〕
10 添書
〔1284〕
11 水呑同志
〔1285〕
12 お客さん
〔1286〕
13 胸の轟
〔1287〕
14 大妨言
〔1288〕
15 彗星
〔1289〕
第4篇 鷹魅糞倒
16 魔法使
〔1290〕
17 五身玉
〔1291〕
18 毒酸
〔1292〕
19 神丹
〔1293〕
20 山彦
〔1294〕
余白歌
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第一四章
大妨言
(
だいばうげん
)
〔一二八八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第49巻 真善美愛 子の巻
篇:
第3篇 暁山の妖雲
よみ(新仮名遣い):
ぎょうざんのよううん
章:
第14章 大妨言
よみ(新仮名遣い):
だいぼうげん
通し章番号:
1288
口述日:
1923(大正12)年01月18日(旧12月2日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年11月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高姫の居間に招かれたお寅と魔我彦は、三角形に座を占め、高姫の説教に耳を傾けている。高姫は魔我彦とお寅の師匠筋に当たることを盾にして、二人を祠の森に留めておこうとする。
しかし魔我彦は小北山でウラナイ教の守護神が悪狐であること知ってしまったため、高姫の言うことを聞こうとしない。お寅も、自分は治国別の弟子だからとイソ館参拝を譲らない。
高姫との押し問答の末、お寅は怒って魔我彦を伴い表に走り出して出て行ってしまった。高姫はイソ館へ行かれないようにと、ヨル、ハル、テルを呼ばわって二人を捕まえさせようとする。
しかしヨルも、信者を本山に参らせまいとする高姫のやり方を批判し始めた。そして、高姫が祠の森でやっていることをお寅・魔我彦と一緒にイソ館に注進に行くと言って走って行ってしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-06-27 09:05:51
OBC :
rm4914
愛善世界社版:
200頁
八幡書店版:
第9輯 105頁
修補版:
校定版:
206頁
普及版:
93頁
初版:
ページ備考:
001
高姫
(
たかひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
には
高姫
(
たかひめ
)
、
002
お
寅
(
とら
)
、
003
魔我彦
(
まがひこ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
三角形
(
さんかくけい
)
に
座
(
ざ
)
を
占
(
し
)
め、
004
高姫
(
たかひめ
)
の
説教
(
せつけう
)
を
耳
(
みみ
)
をかたげて
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
005
高姫
(
たかひめ
)
『
魔我彦
(
まがひこ
)
さま、
006
お
前
(
まへ
)
はイソの
館
(
やかた
)
へ
詣
(
まゐ
)
るのも
結構
(
けつこう
)
だ。
007
決
(
けつ
)
してとめは
致
(
いた
)
さぬが、
008
まだお
前
(
まへ
)
の
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
で
到底
(
たうてい
)
イソの
館
(
やかた
)
へ
行
(
い
)
つても
赤恥
(
あかはぢ
)
をかく
様
(
やう
)
なものだから、
009
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
が
此
(
これ
)
から
行
(
い
)
つても
差支
(
さしつかへ
)
ないと
云
(
い
)
ふ
処
(
ところ
)
迄
(
まで
)
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
御
(
お
)
説教
(
せつけう
)
を
聞
(
き
)
いて
其
(
その
)
上
(
うへ
)
にしなさい』
010
魔我
(
まが
)
『それは
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
りますが、
011
さうグヅグヅして
居
(
を
)
れませぬ。
012
何程
(
なにほど
)
貴女
(
あなた
)
が
偉
(
えら
)
くてもヤツパリ
元
(
もと
)
は
元
(
もと
)
ですからな。
013
私
(
わたし
)
は
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
へ
参拝
(
さんぱい
)
するつもりで
来
(
き
)
たのぢやありませぬ。
014
松姫
(
まつひめ
)
さまに
許
(
ゆる
)
されてイソの
館
(
やかた
)
に
直接
(
ちよくせつ
)
に
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
く
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
して
来
(
き
)
ましたから、
015
今夜
(
こんや
)
は
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
になるとしても
是非
(
ぜひ
)
明日
(
みやうにち
)
はイソの
館
(
やかた
)
へ
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
ばかり
修業
(
しうげふ
)
に
行
(
い
)
つて
参
(
まゐ
)
ります』
016
高姫
(
たかひめ
)
『これ
魔我彦
(
まがひこ
)
、
017
お
前
(
まへ
)
チツと
慢心
(
まんしん
)
してはゐないかな。
018
何程
(
なにほど
)
松姫
(
まつひめ
)
さまがイソの
館
(
やかた
)
へ
行
(
ゆ
)
けと
仰有
(
おつしや
)
つても
神力
(
しんりき
)
のない
者
(
もの
)
が
何
(
ど
)
うして
行
(
ゆ
)
けますかね。
019
お
前
(
まへ
)
は
元
(
もと
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
弟子
(
でし
)
だつた
事
(
こと
)
は
誰
(
たれ
)
知
(
し
)
らぬ
者
(
もの
)
はありませぬよ。
020
お
前
(
まへ
)
の
様
(
やう
)
に
修業
(
しうげふ
)
の
足
(
た
)
らぬ
人
(
ひと
)
がイソの
館
(
やかた
)
に
行
(
い
)
つて
御覧
(
ごらん
)
、
021
高姫
(
たかひめ
)
もあんな
分
(
わか
)
らぬものを
弟子
(
でし
)
にして
居
(
を
)
つたかと
思
(
おも
)
はれちやお
前
(
まへ
)
ばかりの
恥
(
はぢ
)
ぢやありませぬぞえ。
022
忽
(
たちま
)
ちこの
高姫
(
たかひめ
)
の
恥
(
はぢ
)
になります。
023
それで
此処
(
ここ
)
で
充分
(
じゆうぶん
)
修業
(
しうげふ
)
して
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
からお
許
(
ゆる
)
しを
受
(
う
)
けたらイソの
館
(
やかた
)
へ
行
(
い
)
つても
宜
(
よろ
)
しい』
024
魔我
(
まが
)
『それなら、
025
何日
(
なんにち
)
ばかり
此処
(
ここ
)
にお
世話
(
せわ
)
になつたら
宜
(
よろ
)
しいでせうかな』
026
高姫
(
たかひめ
)
『さうだな、
027
まア
早
(
はや
)
くて
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
、
028
おそくて
二百
(
にひやく
)
日
(
にち
)
だらうかいな』
029
魔我
(
まが
)
『さう
長
(
なが
)
らく
居
(
ゐ
)
る
訳
(
わけ
)
にや
行
(
ゆ
)
きませぬ。
030
往復
(
わうふく
)
の
日数
(
につすう
)
を
加
(
くは
)
へて
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
の
間
(
あひだ
)
お
暇
(
ひま
)
を
戴
(
いただ
)
いて
来
(
き
)
たのですから、
031
こんな
所
(
ところ
)
に
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
も
居
(
を
)
らうものならイソ
館
(
やかた
)
へ
詣
(
まゐ
)
る
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ぬぢやありませぬか。
032
それでは
松姫
(
まつひめ
)
さまに
嘘
(
うそ
)
をついた
事
(
こと
)
になりますから、
033
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
明日
(
あす
)
はお
寅
(
とら
)
さまと
参拝
(
さんぱい
)
して
来
(
き
)
ます』
034
高姫
(
たかひめ
)
『
仮令
(
たとへ
)
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
かからうと
二百
(
にひやく
)
日
(
にち
)
かからうと
聖地
(
せいち
)
に
上
(
のぼ
)
る
丈
(
だけ
)
の
徳
(
とく
)
がつかねば
如何
(
どう
)
して
行
(
ゆ
)
けるものか。
035
私
(
わし
)
もお
前
(
まへ
)
を
大切
(
たいせつ
)
に
思
(
おも
)
へばこそ
斯
(
か
)
うして
気
(
き
)
をつけるのだよ。
036
よう
考
(
かんが
)
へて
御覧
(
ごらん
)
なさい。
037
中有界
(
ちううかい
)
に
迷
(
まよ
)
ふてゐる
八衢
(
やちまた
)
人足
(
にんそく
)
の
身魂
(
みたま
)
が
何程
(
なにほど
)
天国
(
てんごく
)
を
覗
(
のぞ
)
かうと
思
(
おも
)
つてもまばゆいばつかりで
却
(
かへつ
)
て
苦
(
くる
)
しいものだ、
038
面
(
つら
)
曝
(
さら
)
されて
逃
(
に
)
げて
帰
(
かへ
)
つて
来
(
こ
)
ねばなりませぬぞや。
039
チツと
此処
(
ここ
)
で
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
筆先
(
ふでさき
)
を
戴
(
いただ
)
いて
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
をよく
調
(
しら
)
べて
詣
(
まゐ
)
れる
資格
(
しかく
)
があればお
詣
(
まゐ
)
りなさい。
040
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ
身魂研
(
みたまみが
)
きが
肝腎
(
かんじん
)
だからな』
041
魔我
(
まが
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
042
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
は
私
(
わたし
)
ぢやなかつたのですか』
043
高姫
(
たかひめ
)
『さうぢや、
044
暫
(
しばら
)
くお
前
(
まへ
)
に
表向
(
おもてむ
)
き、
045
さう
云
(
い
)
はしてあつたのだが、
046
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
世
(
よ
)
は
持
(
も
)
ちきりには
致
(
いた
)
させませぬぞや。
047
誠
(
まこと
)
の
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
は
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
ですよ。
048
ヘン……
済
(
す
)
みませぬな』
049
魔我
(
まが
)
『
身魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
だとか、
050
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
だとか、
051
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
だとか、
052
私
(
わたし
)
はもうこりこりしました。
053
小北山
(
こぎたやま
)
で
松彦
(
まつひこ
)
さまが
見
(
み
)
えて、
054
何
(
なに
)
もかもサツパリ
化
(
ば
)
けが
露
(
あら
)
はれて
了
(
しま
)
つただもの、
055
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
と
云
(
い
)
つてるのは
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
家来
(
けらい
)
の
大
(
おほ
)
きな
黒狐
(
くろぎつね
)
ですよ。
056
お
前
(
まへ
)
もヤツパリ
其
(
その
)
黒狐
(
くろぎつね
)
を
喜
(
よろこ
)
んで
奉
(
たてまつ
)
つてゐるのですか』
057
高姫
(
たかひめ
)
『これ
魔我
(
まが
)
、
058
そりや
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
大
(
だい
)
それた
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふのだい。
059
勿体
(
もつたい
)
なくも
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
狐
(
きつね
)
だ
等
(
など
)
と
馬鹿
(
ばか
)
にしなさるな。
060
お
前
(
まへ
)
の
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
に
曲津
(
まがつ
)
が
棲
(
す
)
んでゐるのだらう。
061
それがそんな
事
(
こと
)
見
(
み
)
せたのだ。
062
それでマガ
彦
(
ひこ
)
と
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
名
(
な
)
をおつけ
遊
(
あそ
)
ばしたのだよ。
063
左様
(
さやう
)
の
事
(
こと
)
申
(
まを
)
すなら
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つてもイソの
館
(
やかた
)
へはやりませぬぞや』
064
魔我
(
まが
)
『お
寅
(
とら
)
さま、
065
如何
(
どう
)
しませうかな。
066
高姫
(
たかひめ
)
さまがあんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
ひますがなア』
067
お
寅
(
とら
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さまが
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つても
私
(
わたし
)
は
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
から
手紙
(
てがみ
)
を
戴
(
いただ
)
いて
来
(
き
)
たのだから
非
(
ひ
)
が
邪
(
じや
)
でもイソ
館
(
やかた
)
へ
参
(
まゐ
)
り
八島主
(
やしまぬし
)
様
(
さま
)
に
此
(
この
)
手紙
(
てがみ
)
を
手渡
(
てわた
)
しし
嫌
(
いや
)
でも
応
(
おう
)
でも
立派
(
りつぱ
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
となつて
帰
(
かへ
)
らねばなりませぬ。
068
お
前
(
まへ
)
は
此処
(
ここ
)
に
修行
(
しうぎやう
)
に
来
(
き
)
たのではない。
069
此
(
この
)
お
寅
(
とら
)
の
付添
(
つきそひ
)
だから
如何
(
どう
)
しても
来
(
き
)
て
貰
(
もら
)
はねばなりませぬ。
070
高姫
(
たかひめ
)
さま、
071
私
(
わたし
)
が
魔我彦
(
まがひこ
)
を
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
きますから
又
(
また
)
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
になります。
072
今度
(
こんど
)
は
如何
(
どう
)
しても
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
かねばなりませぬ』
073
高姫
(
たかひめ
)
『これお
寅
(
とら
)
さまとやら、
074
お
前
(
まへ
)
さまは
治国別
(
はるくにわけ
)
とやらに
添書
(
てんしよ
)
を
貰
(
もら
)
つてイソの
館
(
やかた
)
へおいでるのかい。
075
そりや
措
(
お
)
いたが
宜
(
よろ
)
しからうぞや。
076
云
(
い
)
ふとすまぬがお
前
(
まへ
)
はまだそれ
丈
(
だ
)
けの
資格
(
しかく
)
が
備
(
そな
)
はつて
居
(
を
)
らぬ。
077
治国別
(
はるくにわけ
)
なんて
偉相
(
えらさう
)
に
云
(
い
)
つてるが、
078
彼奴
(
あいつ
)
は
元
(
もと
)
はウラル
教
(
けう
)
の
亀公
(
かめこう
)
ぢやないか。
079
そんな
奴
(
やつ
)
が
手紙
(
てがみ
)
を
書
(
か
)
いた
処
(
ところ
)
が……ヘン
何
(
なに
)
、
080
八島主
(
やしまぬし
)
様
(
さま
)
がお
受取
(
うけと
)
り
遊
(
あそ
)
ばすものか。
081
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
は
決
(
けつ
)
して
申
(
まを
)
しませぬ、
082
此
(
この
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
申
(
まを
)
す
様
(
やう
)
になさつたが
宜
(
よろ
)
しからうぞや』
083
お
寅
(
とら
)
『
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
は
立派
(
りつぱ
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
ぢや
厶
(
ござ
)
りませぬか。
084
さうして
第一
(
だいいち
)
天国
(
てんごく
)
迄
(
まで
)
お
調
(
しら
)
べになつた
結構
(
けつこう
)
なお
方
(
かた
)
ですよ。
085
其
(
その
)
お
方
(
かた
)
から
手紙
(
てがみ
)
を
下
(
くだ
)
さつたのだから
八島主
(
やしまぬし
)
様
(
さま
)
がお
受取
(
うけと
)
りなさらぬ
道理
(
だうり
)
がありますか。
086
私
(
わたし
)
は
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つても
参
(
まゐ
)
ります』
087
高姫
(
たかひめ
)
『ヘン、
088
偉相
(
えらさう
)
に、
089
亀
(
かめ
)
の
野郎
(
やらう
)
、
090
第一
(
だいいち
)
天国
(
てんごく
)
に
行
(
い
)
つて
来
(
き
)
た
等
(
など
)
と、
091
そんな
事
(
こと
)
が
如何
(
どう
)
してあるものか。
092
彼奴
(
あいつ
)
は
醜
(
しこ
)
の
岩窟
(
いはや
)
の
井戸
(
ゐど
)
に
這入
(
はい
)
つてドン
亀
(
がめ
)
の
様
(
やう
)
に
苦
(
くる
)
しんでゐた
男
(
をとこ
)
だ。
093
そして
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
に
渡
(
わた
)
り
英子姫
(
ひでこひめ
)
、
094
悦子姫
(
よしこひめ
)
等
(
など
)
の
女
(
をんな
)
達
(
たち
)
の
家来
(
けらい
)
になつた
男
(
をとこ
)
ですよ。
095
お
寅
(
とら
)
さま、
096
そんな
男
(
をとこ
)
の
手紙
(
てがみ
)
を
貰
(
もら
)
つて
何
(
なに
)
になりますか。
097
それよりも
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
教
(
をしへ
)
を
受
(
う
)
けて
其
(
その
)
上
(
うへ
)
でイソの
館
(
やかた
)
へおいでなさい。
098
さうしたら
屹度
(
きつと
)
八島主
(
やしまぬし
)
が
面会
(
めんくわい
)
してくれるでせう』
099
お
寅
(
とら
)
『はい、
100
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
は
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
りますが
何
(
なん
)
と
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さつても、
101
私
(
わたし
)
は
思
(
おも
)
ひ
立
(
た
)
つたのだから
参
(
まゐ
)
ります。
102
そして
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
の
弟子
(
でし
)
ぢやあ
厶
(
ござ
)
いませぬ。
103
治国別
(
はるくにわけ
)
の
直々
(
ぢきぢき
)
のお
弟子
(
でし
)
になつたので
厶
(
ござ
)
ります。
104
おとめ
下
(
くだ
)
さるのは
嬉
(
うれ
)
しう
厶
(
ござ
)
りますが、
105
仮令
(
たとへ
)
イソの
館
(
やかた
)
で
赤恥
(
あかはぢ
)
をかいても
是非
(
ぜひ
)
行
(
い
)
つて
参
(
まゐ
)
ります。
106
いかいお
世話
(
せわ
)
になりました。
107
さア
魔我彦
(
まがひこ
)
、
108
行
(
ゆ
)
きませうぞや』
109
魔我
(
まが
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
110
折角
(
せつかく
)
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
に
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さいましたけど、
111
今度
(
こんど
)
はお
寅
(
とら
)
さまの
付添
(
つきそひ
)
ですから
是非
(
ぜひ
)
参
(
まゐ
)
つて
来
(
き
)
ます』
112
高姫
(
たかひめ
)
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つてもやらさぬと
云
(
い
)
つたら、
113
やらしやせぬぞや。
114
此
(
この
)
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
にお
宮
(
みや
)
さまを
建
(
た
)
てて
高姫
(
たかひめ
)
に
番
(
ばん
)
をさして
厶
(
ござ
)
るのは
何
(
なん
)
とお
考
(
かんが
)
へで
厶
(
ござ
)
る。
115
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
が
高姫
(
たかひめ
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
を
御
(
ご
)
信認
(
しんにん
)
遊
(
あそ
)
ばし、
116
お
前
(
まへ
)
は
一方口
(
いつぱうくち
)
の
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
に
居
(
を
)
つてよく
身魂
(
みたま
)
を
調
(
しら
)
べ、
117
よく
研
(
みが
)
けぬ
者
(
もの
)
は
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
でも
聖地
(
せいち
)
へよこすでないぞよ。
118
汚
(
けが
)
れた
者
(
もの
)
が
聖地
(
せいち
)
に
参
(
まゐ
)
つたら
天変
(
てんぺん
)
地異
(
ちい
)
が
勃発
(
ぼつぱつ
)
し
聖地
(
せいち
)
が
汚
(
けが
)
れるから、
119
よく
調
(
しら
)
べよと
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
、
120
それで
遥々
(
はるばる
)
此処
(
ここ
)
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
つて
身魂調
(
みたましら
)
べをしてをるのだ。
121
何程
(
なにほど
)
お
寅
(
とら
)
さまが
治国別
(
はるくにわけ
)
の
手紙
(
てがみ
)
を
持
(
も
)
つて
行
(
い
)
つても
此
(
この
)
関所
(
せきしよ
)
の
認
(
みと
)
めがなくては、
122
駄目
(
だめ
)
ですよ。
123
お
前
(
まへ
)
一人
(
ひとり
)
の
為
(
た
)
めに
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
大難儀
(
だいなんぎ
)
になつたら
如何
(
どう
)
しますか。
124
よい
年
(
とし
)
をして
居
(
を
)
つてチツとは
考
(
かんが
)
へてもよさそうなものぢやありませぬかい。
125
魔我彦
(
まがひこ
)
だつてそれ
位
(
くらゐ
)
の
道理
(
だうり
)
は
分
(
わか
)
つてゐさうなものぢやないか。
126
之
(
これ
)
が
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
な
低脳児
(
ていなうじ
)
なら、
127
体
(
てい
)
よう
目
(
め
)
なつと
噛
(
か
)
んで
死
(
し
)
んだがよいぞや。
128
もう
高姫
(
たかひめ
)
も、
129
如何
(
どう
)
しても
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
聞
(
き
)
かぬなら
魔我彦
(
まがひこ
)
と
師弟
(
してい
)
の
縁
(
えん
)
をきるが
如何
(
どう
)
だい』
130
魔我
(
まが
)
『お
前
(
まへ
)
さまに、
131
師弟
(
してい
)
の
縁
(
えん
)
をきられたつてチツとも
痛痒
(
つうよう
)
は
感
(
かん
)
じませぬ。
132
私
(
わたし
)
は
松彦
(
まつひこ
)
さまの
弟子
(
でし
)
にして
貰
(
もら
)
つたのだから
忠臣
(
ちうしん
)
二君
(
にくん
)
に
仕
(
つか
)
へずと
云
(
い
)
つてお
前
(
まへ
)
さまにお
世話
(
せわ
)
にならうとは
思
(
おも
)
ひませぬ。
133
何卒
(
どうぞ
)
放
(
ほ
)
つといて
下
(
くだ
)
さい』
134
高姫
(
たかひめ
)
『エーエ、
135
相変
(
あひかは
)
らずの
没分暁漢
(
わからずや
)
だな。
136
お
前
(
まへ
)
もここ
迄
(
まで
)
になつたのは
誰
(
たれ
)
のお
蔭
(
かげ
)
だと
思
(
おも
)
つてるのだい。
137
皆
(
みな
)
この
高姫
(
たかひめ
)
のウラナイ
教
(
けう
)
で
鍛
(
きた
)
へ
上
(
あ
)
げられたのぢやないか。
138
諺
(
ことわざ
)
にも
師
(
し
)
の
影
(
かげ
)
は
三尺
(
さんじやく
)
隔
(
へだ
)
てて
踏
(
ふ
)
まずと
云
(
い
)
ふぢやないか。
139
たとへ
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
でも
教
(
をしへ
)
をうけたら
師匠
(
ししやう
)
に
違
(
ちが
)
ひない。
140
師匠
(
ししやう
)
の
恩
(
おん
)
を
忘
(
わす
)
れるのは
畜生
(
ちくしやう
)
同然
(
どうぜん
)
だぞえ』
141
魔我
(
まが
)
『
畜生
(
ちくしやう
)
と
云
(
い
)
はれてもチツとも
構
(
かま
)
ひませぬわ。
142
貴方
(
あなた
)
だつて
偉相
(
えらさう
)
に
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
とすまし
込
(
こ
)
んで
厶
(
ござ
)
るが、
143
ヤツパリ
守護神
(
しゆごじん
)
は
劫
(
ごふ
)
経
(
へ
)
た
黒狐
(
くろぎつね
)
ぢやありませぬか。
144
何程
(
なにほど
)
偉相
(
えらさう
)
に
云
(
い
)
つても
小北山
(
こぎたやま
)
の
御
(
ご
)
神殿
(
しんでん
)
でチヤンと
審神
(
さには
)
がしてあるから……お
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さまだ……そんな
事
(
こと
)
仰有
(
おつしや
)
るとお
前
(
まへ
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
はこれこれだと
今
(
いま
)
ここでスツパぬきませうか』
145
高姫
(
たかひめ
)
『エーエ
分
(
わか
)
らぬ
男
(
をとこ
)
だな。
146
どうなつと
勝手
(
かつて
)
にしたがよい。
147
あとで
吠面
(
ほえづら
)
かはかぬ
様
(
やう
)
にしたがよいわ。
148
後
(
あと
)
になつて
高姫
(
たかひめ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いておいたらよかつたのに……と
云
(
い
)
つてヂリヂリ
舞
(
ま
)
ひしても
後
(
あと
)
の
後悔
(
こうくわい
)
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
はぬぞや。
149
神
(
かみ
)
が
気
(
き
)
をつける
間
(
あひだ
)
に
気
(
き
)
づかぬと
何事
(
なにごと
)
があるや
知
(
し
)
らぬぞよ。
150
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
に
不足
(
ふそく
)
申
(
まを
)
して
下
(
くだ
)
さるな。
151
大橋
(
おほはし
)
越
(
こ
)
えてまだ
先
(
さき
)
へ
行衛
(
ゆくゑ
)
分
(
わか
)
らぬ
後戻
(
あともど
)
り、
152
慢心
(
まんしん
)
すると
其
(
その
)
通
(
とほ
)
りと
変性
(
へんじやう
)
男子
(
なんし
)
のお
筆
(
ふで
)
に
出
(
で
)
てゐませうがな。
153
此
(
この
)
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
は
世界
(
せかい
)
の
大門
(
おほもん
)
とも
大橋
(
おほはし
)
とも
云
(
い
)
ふべき
処
(
ところ
)
だ。
154
大門開
(
おほもんびら
)
きも
出来
(
でき
)
ぬ
身魂
(
みたま
)
を
以
(
もつ
)
て
十里
(
じふり
)
四方
(
しはう
)
の
宮
(
みや
)
の
内
(
うち
)
、
155
イソの
館
(
やかた
)
へ
行
(
ゆ
)
かうとは……オホヽヽヽヽ
向
(
むか
)
ふ
見
(
み
)
ずにも
程
(
ほど
)
がある。
156
盲
(
めくら
)
蛇
(
へび
)
に
怖
(
おぢ
)
ずとは、
157
よくも
云
(
い
)
つたものだ。
158
魔我彦
(
まがひこ
)
さま、
159
之
(
これ
)
でも
行
(
ゆ
)
くなら
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
よれ。
160
目
(
め
)
まひが
来
(
く
)
るぞや。
161
神罰
(
しんばつ
)
が
当
(
あた
)
つて
大地
(
だいち
)
に
蛙
(
かはづ
)
をぶつつけた
様
(
やう
)
にフン
伸
(
の
)
びん
様
(
やう
)
にしなさいや。
162
是
(
これ
)
丈
(
だ
)
け
高姫
(
たかひめ
)
が
気
(
き
)
をつけるのに、
163
如何
(
どう
)
しても
意地
(
いぢ
)
の
悪
(
わる
)
い
東助
(
とうすけ
)
の
居
(
ゐ
)
る……ウヽヽウンとドツコイ……
意地
(
いぢ
)
の
悪
(
わる
)
い、
164
……どうしても
行
(
ゆ
)
くのかい。
165
後
(
あと
)
は
知
(
し
)
りませぬぞや。
166
アーア
高姫
(
たかひめ
)
さまが
親切
(
しんせつ
)
に
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さつたのに、
167
あの
時
(
とき
)
、
168
我
(
が
)
を
張
(
は
)
らなけれや、
169
こんな
事
(
こと
)
はなかつたらうにと
豆
(
まめ
)
の
様
(
やう
)
な
涙
(
なみだ
)
を
零
(
こぼ
)
して
嘆
(
なげ
)
いても
後
(
あと
)
の
祭
(
まつり
)
、
170
波
(
なみ
)
に
取
(
と
)
られた
沖
(
おき
)
の
舟
(
ふね
)
、
171
とりつく
島
(
しま
)
が
無
(
な
)
くなつてから、
172
「
高姫
(
たかひめ
)
さま、
173
何卒
(
どうぞ
)
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さい」と
縋
(
すが
)
りて
来
(
き
)
ても
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
聞
(
き
)
き
済
(
ず
)
みはありませぬぞや。
174
行
(
ゆ
)
くなら
行
(
ゆ
)
くでよいからトツクリと
心
(
こころ
)
に
相談
(
さうだん
)
をして、
175
うせるがよからう、
176
エツヘヽヽヽヽ』
177
魔我彦
(
まがひこ
)
『
何
(
なん
)
とマア
相変
(
あひかは
)
らず
達者
(
たつしや
)
な
口
(
くち
)
ですこと。
178
そんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
はれると
何
(
なん
)
だか
幸先
(
さいさき
)
を
折
(
を
)
られた
様
(
やう
)
で、
179
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
くなつて
来
(
き
)
た。
180
なアお
寅
(
とら
)
さま、
181
どうしませう』
182
お
寅
(
とら
)
『
御
(
ご
)
勝手
(
かつて
)
になさいませ。
183
此
(
この
)
お
寅
(
とら
)
は
一旦
(
いつたん
)
云
(
い
)
ひかけたら
後
(
あと
)
へは
引
(
ひ
)
かぬ
女丈夫
(
ぢよぢやうぶ
)
だ。
184
初
(
はじ
)
めから
一人
(
ひとり
)
詣
(
まゐ
)
る
積
(
つも
)
りだつたが、
185
お
前
(
まへ
)
がお
伴
(
とも
)
さして
呉
(
く
)
れえと
云
(
い
)
つたから、
186
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
たのだよ。
187
高姫
(
たかひめ
)
さまの
舌
(
した
)
にちよろまかされてお
神徳
(
かげ
)
を
落
(
おと
)
さうと
勝手
(
かつて
)
になさいませ。
188
私
(
わたし
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
行
(
ゆ
)
くと
云
(
い
)
つたら
行
(
ゆ
)
きますぞや。
189
女
(
をんな
)
の
一心
(
いつしん
)
岩
(
いは
)
でも
突
(
つ
)
き
貫
(
ぬ
)
くと
云
(
い
)
つて、
190
つき
貫
(
ぬ
)
いて
見
(
み
)
せてやりますぞや』
191
高姫
(
たかひめ
)
『これお
寅
(
とら
)
さま、
192
決
(
けつ
)
して
高姫
(
たかひめ
)
は
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
は
申
(
まを
)
しませぬ。
193
何卒
(
どうぞ
)
マアお
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
ちませうが、
194
トツクリと
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
をあてて
考
(
かんが
)
へて
御覧
(
ごらん
)
なさいませ。
195
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
の
許
(
ゆる
)
しがなくちや
折角
(
せつかく
)
遥々
(
はるばる
)
遠方
(
ゑんぱう
)
へ
行
(
い
)
つても、
196
恥
(
はぢ
)
をかかねばならぬから
私
(
わたし
)
が
親切
(
しんせつ
)
に
忠告
(
ちうこく
)
するのですよ』
197
お
寅
(
とら
)
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さつても
私
(
わたし
)
は
参
(
まゐ
)
ります。
198
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
から
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
の
高姫
(
たかひめ
)
さまに
許
(
ゆる
)
しを
得
(
え
)
て
行
(
ゆ
)
けとは
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
りませぬ。
199
もしもイソの
館
(
やかた
)
へ
行
(
い
)
つて
高姫
(
たかひめ
)
さまの
許
(
ゆる
)
しがないから
受付
(
うけつ
)
けぬと
云
(
い
)
はれたら、
200
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
ます。
201
其
(
その
)
時
(
とき
)
は
又
(
また
)
宜
(
よろ
)
しうお
願
(
ねが
)
ひします』
202
高姫
(
たかひめ
)
『
神
(
かみ
)
の
申
(
まを
)
す
時
(
とき
)
に
聞
(
き
)
かねば
神
(
かみ
)
は
後
(
あと
)
になりてから、
203
何程
(
なにほど
)
ジタバタ
致
(
いた
)
してもお
詫
(
わび
)
申
(
まを
)
しても、
204
そんな
事
(
こと
)
、
205
取上
(
とりあ
)
げて
居
(
を
)
りたら
きり
がないからあかぬぞよ……とお
筆
(
ふで
)
に
出
(
で
)
て
居
(
を
)
りますぞや。
206
高姫
(
たかひめ
)
の
承諾
(
しようだく
)
なしに
行
(
い
)
くなら
行
(
い
)
つて
御覧
(
ごらん
)
、
207
夜食
(
やしよく
)
に
外
(
はづ
)
れた
梟鳥
(
ふくろどり
)
、
208
アフンと
致
(
いた
)
して
六
(
む
)
つかしいお
顔
(
かほ
)
をなさるのが
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なから
気
(
き
)
をつけますのだ。
209
ヘン、
210
どうなつとお
前
(
まへ
)
さまの
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
は……えらいものだからなさいませ。
211
此
(
この
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
帳
(
ちやう
)
を
切
(
き
)
りますぞや。
212
帳
(
ちやう
)
を
切
(
き
)
られたら
何程
(
なにほど
)
地団太
(
ぢだんだ
)
踏
(
ふ
)
んでも
助
(
たす
)
かりませぬぞや』
213
お
寅
(
とら
)
『お
前
(
まへ
)
さまに
帳
(
ちやう
)
を
切
(
き
)
られたつて、
214
私
(
わたし
)
は
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
から
帳
(
ちやう
)
を
切
(
き
)
られなければ
一寸
(
ちよつと
)
も
構
(
かま
)
ひませぬワ』
215
高姫
(
たかひめ
)
『
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も
分
(
わか
)
らぬ
人
(
ひと
)
だな。
216
アーア
一人
(
ひとり
)
の
人民
(
じんみん
)
を
改心
(
かいしん
)
させようと
思
(
おも
)
へば
神
(
かみ
)
も
骨
(
ほね
)
が
折
(
を
)
れる
事
(
こと
)
だわい。
217
大国常立
(
おほくにとこたちの
)
尊
(
みこと
)
の
片腕
(
かたうで
)
とおなり
遊
(
あそ
)
ばす
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
かずに
如何
(
どう
)
して
思惑
(
おもわく
)
が
立
(
た
)
ちませうぞ。
218
阿呆
(
あはう
)
につける
薬
(
くすり
)
がないとはよく
云
(
い
)
つたものだ。
219
縁
(
えん
)
なき
衆生
(
しゆじやう
)
は
度
(
ど
)
し
難
(
がた
)
しかな。
220
本当
(
ほんたう
)
に
度
(
ど
)
し
難
(
がた
)
い
代物
(
しろもの
)
ばつかりだ』
221
お
寅
(
とら
)
はムツとして
高姫
(
たかひめ
)
をグツと
睨
(
にら
)
みつけ
少
(
すこ
)
しく
声
(
こゑ
)
を
尖
(
とが
)
らして、
222
お
寅
(
とら
)
『これ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
223
度
(
ど
)
し
難
(
がた
)
き
人物
(
じんぶつ
)
だとは
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
口巾
(
くちはば
)
の
平
(
ひら
)
たい
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
る、
224
此
(
この
)
お
寅
(
とら
)
は
斯
(
か
)
う
見
(
み
)
えても
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
から
浮木
(
うきき
)
の
里
(
さと
)
の
女侠客
(
をんなけふかく
)
丑寅
(
うしとら
)
婆
(
ばば
)
と
云
(
い
)
ふ
女
(
をんな
)
ですよ。
225
鬼
(
おに
)
でも
取挫
(
とりひし
)
ぐ
婆
(
ばば
)
だ。
226
それが
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御意
(
ぎよい
)
に
叶
(
かな
)
ふて
今
(
いま
)
や
宣伝使
(
せんでんし
)
の
修行
(
しうぎやう
)
に
参
(
まゐ
)
る
途中
(
とちう
)
、
227
お
前
(
まへ
)
は
私
(
わたし
)
の
修業
(
しうげふ
)
の
妨害
(
ばうがい
)
を
致
(
いた
)
す
考
(
かんが
)
へだな、
228
お
前
(
まへ
)
は
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
と
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
られるが、
229
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
がそんな
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
いますか。
230
何程
(
なにほど
)
お
前
(
まへ
)
が
偉
(
えら
)
くともイソの
館
(
やかた
)
の
八島主
(
やしまぬし
)
さまには
叶
(
かな
)
ひますまい。
231
私
(
わたし
)
は
仮令
(
たとへ
)
神罰
(
しんばつ
)
が
当
(
あた
)
つても
貴方
(
あなた
)
の
様
(
やう
)
な
無理
(
むり
)
云
(
い
)
ふ
方
(
かた
)
には
教
(
をしへ
)
は
受
(
う
)
けませぬ。
232
放
(
ほ
)
つといて
下
(
くだ
)
さい。
233
さア
魔我
(
まが
)
ヤン、
234
行
(
ゆ
)
きませう、
235
こんな
気違
(
きちがひ
)
じみた
方
(
かた
)
に
構
(
かま
)
ふて
居
(
を
)
つちや
堪
(
たま
)
りませぬわ』
236
高姫
(
たかひめ
)
『これお
寅
(
とら
)
さま、
237
強
(
た
)
つてお
止
(
と
)
めはしませぬが、
238
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
順序
(
じゆんじよ
)
ですよ。
239
順序
(
じゆんじよ
)
を
乱
(
みだ
)
したら
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
が
潰
(
つぶ
)
れますから、
240
それを
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
ならおいでなさい。
241
何事
(
なにごと
)
も
順序
(
じゆんじよ
)
と
手続
(
てつづ
)
きが
必要
(
ひつえう
)
で
厶
(
ござ
)
りますから……』
242
お
寅
(
とら
)
『ハイ、
243
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
に
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
ります。
244
私
(
わたし
)
は
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
に
手続
(
てつづ
)
きをして
頂
(
いただ
)
き
順序
(
じゆんじよ
)
を
踏
(
ふ
)
んでイソの
館
(
やかた
)
へ
参
(
まゐ
)
るのです。
245
お
前
(
まへ
)
さまはイソの
館
(
やかた
)
から
命令
(
めいれい
)
を
受
(
う
)
けて
来
(
き
)
たのぢやありますまいがな。
246
珍彦
(
うづひこ
)
様
(
さま
)
が
此処
(
ここ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
となつて
治
(
をさ
)
めなさらなならぬ
処
(
ところ
)
だのに、
247
お
前
(
まへ
)
さまから
順序
(
じゆんじよ
)
を
破
(
やぶ
)
つて
勝手
(
かつて
)
に
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
だと
仰有
(
おつしや
)
つて
此
(
この
)
新
(
あたら
)
しいお
館
(
やかた
)
を
占領
(
せんりやう
)
して
厶
(
ござ
)
るのだらう。
248
今
(
いま
)
私
(
わたし
)
の
耳許
(
みみもと
)
に
守護神
(
しゆごじん
)
が
囁
(
ささや
)
きましたよ。
249
お
前
(
まへ
)
さまは
此
(
この
)
お
寅
(
とら
)
がイソの
館
(
やかた
)
へ
参
(
まゐ
)
ると
化
(
ば
)
けが
露
(
あら
)
はれるものだから、
250
何
(
なん
)
とか
云
(
い
)
つてお
止
(
と
)
めなさるのだらうが、
251
私
(
わたし
)
も
苦労人
(
くらうにん
)
だから、
252
人
(
ひと
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
は
申
(
まを
)
しませぬから
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ。
253
守護神
(
しゆごじん
)
の
囁
(
ささや
)
く
処
(
ところ
)
を
聞
(
き
)
くと、
254
お
前
(
まへ
)
さまは
大山子
(
おほやまこ
)
を
張
(
は
)
つてイソの
館
(
やかた
)
に
参
(
まゐ
)
る
宣伝使
(
せんでんし
)
や
信者
(
しんじや
)
を
皆
(
みな
)
お
前
(
まへ
)
さまのものにする
考
(
かんが
)
へだ。
255
云
(
い
)
はば
天
(
てん
)
の
賊
(
ぞく
)
も
同様
(
どうやう
)
だ。
256
チツと
改心
(
かいしん
)
なされ。
257
悪
(
あく
)
は
長
(
なが
)
く
続
(
つづ
)
きませぬぞや。
258
さあさあ
魔我
(
まが
)
ヤン、
259
こんな
処
(
ところ
)
に
長
(
なが
)
く
居
(
を
)
つても
駄目
(
だめ
)
ですよ。
260
さあさあ
早
(
はや
)
く
行
(
ゆ
)
きませう』
261
高姫
(
たかひめ
)
『こんな
処
(
ところ
)
とは、
262
……
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひなさる。
263
勿体
(
もつたい
)
なくも
国治立
(
くにはるたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
264
日
(
ひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
265
月
(
つき
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
266
大自在天
(
だいじざいてん
)
大国彦
(
おほくにひこの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
のある
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
祀
(
まつ
)
つてある
此
(
この
)
聖場
(
せいぢやう
)
をこんな
処
(
ところ
)
とは……
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ひなさる。
267
滅多
(
めつた
)
に
許
(
ゆる
)
しませぬぞや』
268
お
寅
(
とら
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
269
私
(
わたし
)
は
此
(
この
)
森
(
もり
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
決
(
けつ
)
して
悪
(
わる
)
くは
申
(
まを
)
しませぬ。
270
こんな
処
(
ところ
)
と
云
(
い
)
つたのは
貴方
(
あなた
)
の
様
(
やう
)
な
没分暁漢
(
わからずや
)
の
厶
(
ござ
)
る
居間
(
ゐま
)
をさして
云
(
い
)
つたのですよ。
271
エーエ
耳
(
みみ
)
が
汚
(
けが
)
れる、
272
さあ
魔我彦
(
まがひこ
)
さま、
273
行
(
ゆ
)
かう
行
(
ゆ
)
かう』
274
と
早
(
はや
)
くも
立
(
た
)
つて
表
(
おもて
)
へ
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く。
275
高姫
(
たかひめ
)
はイソの
館
(
やかた
)
へ
行
(
ゆ
)
かれちや
大変
(
たいへん
)
だと
気
(
き
)
を
苛
(
いら
)
ち『ヨル……ハル……テル』と
呼
(
よ
)
ばはつてゐる。
276
ヨル、
277
ハル、
278
テルの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は『ハイ』と
答
(
こた
)
へて
此処
(
ここ
)
に
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
り、
279
ヨル『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
280
イヤ
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
、
281
お
呼
(
よ
)
びになつたのは
何
(
なん
)
の
御用
(
ごよう
)
で
厶
(
ござ
)
りますか』
282
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
、
283
何
(
なに
)
をグヅグヅしてゐるのだい。
284
あの
二人
(
ふたり
)
の
連中
(
れんちう
)
をトツ
掴
(
つか
)
まへて
来
(
き
)
なさい』
285
ヨル『
何
(
なん
)
ぞあの
人
(
ひと
)
は
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
しましたかな。
286
別
(
べつ
)
に
罪
(
つみ
)
のない
者
(
もの
)
をトツ
掴
(
つか
)
まへる
必要
(
ひつえう
)
はないぢやありませぬか。
287
イソの
館
(
やかた
)
へ
参
(
まゐ
)
らうと
仰有
(
おつしや
)
るのを
止
(
と
)
めると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
がありますか。
288
お
一人
(
ひとり
)
でも
本山
(
ほんざん
)
へお
詣
(
まゐ
)
りする
様
(
やう
)
にお
奨
(
すす
)
めするのが
道
(
みち
)
でせう。
289
それにお
前
(
まへ
)
さまは
何
(
なん
)
とか、
290
かんとか
云
(
い
)
つて
参
(
まゐ
)
らせぬ
様
(
やう
)
にするのが
不思議
(
ふしぎ
)
ですな。
291
私
(
わたし
)
だつて
一度
(
いちど
)
詣
(
まゐ
)
りたいと
云
(
い
)
へば
何
(
なん
)
とか、
292
かとか
云
(
い
)
つて、
293
お
止
(
と
)
めになる。
294
どうも
貴方
(
あなた
)
の
仰有
(
おつしや
)
る
事
(
こと
)
は
腑
(
ふ
)
におちませぬわい』
295
高姫
(
たかひめ
)
『
勝手
(
かつて
)
にしなさい。
296
もう
此処
(
ここ
)
には
居
(
を
)
つて
貰
(
もら
)
へませぬ。
297
さあトツトと
去
(
い
)
んで
下
(
くだ
)
さい。
298
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
に
一々
(
いちいち
)
反対
(
はんたい
)
する
人
(
ひと
)
は
受付
(
うけつけ
)
に
居
(
ゐ
)
ても
邪魔
(
じやま
)
になるからな』
299
ヨル『
大
(
おほ
)
きに
憚
(
はばか
)
り
様
(
さま
)
、
300
私
(
わたし
)
は
玉国別
(
たまくにわけ
)
様
(
さま
)
と
五十子
(
いそこ
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
とのお
許
(
ゆる
)
しを
受
(
う
)
けて
此処
(
ここ
)
の
受付
(
うけつけ
)
をしてゐるのですよ。
301
決
(
けつ
)
して
貴方
(
あなた
)
から
任命
(
にんめい
)
されたのぢやありませぬ。
302
此処
(
ここ
)
の
館
(
やかた
)
は
珍彦
(
うづひこ
)
さまの
御
(
ご
)
監督
(
かんとく
)
、
303
お
前
(
まへ
)
さまのグヅグヅ
云
(
い
)
ふ
処
(
ところ
)
ではありませぬ。
304
そんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
ふとお
寅
(
とら
)
さまと
魔我彦
(
まがひこ
)
さまに
随
(
つ
)
いてイソの
館
(
やかた
)
の
八島主
(
やしまぬし
)
さまの
処
(
ところ
)
へ
行
(
い
)
つて
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
を
報告
(
はうこく
)
しますよ。
305
おいテル、
306
ハル、
307
イク、
308
サール、
309
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
気
(
き
)
をつけて
珍彦
(
うづひこ
)
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
さまや
楓姫
(
かへでひめ
)
さまをよく
気
(
き
)
をつけてお
宮
(
みや
)
さまを
注意
(
ちゆうい
)
して
下
(
くだ
)
さい。
310
私
(
わたし
)
は
是
(
これ
)
から
一足
(
ひとあし
)
本山
(
ほんざん
)
に
行
(
い
)
つて
来
(
き
)
ますから……』
311
と
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
かうとするを、
312
高姫
(
たかひめ
)
は
飛
(
と
)
びかかつて
首筋
(
くびすぢ
)
をグツと
捕
(
と
)
らへ、
313
高姫
(
たかひめ
)
『こりやヨル、
314
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
許
(
ゆる
)
しもなく
何処
(
どこ
)
へ
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
くのだ』
315
ヨル『ヘー、
316
放
(
ほ
)
つといて
下
(
くだ
)
さい。
317
お
尋
(
たづ
)
ね
迄
(
まで
)
もなくイソの
館
(
やかた
)
へ
注進
(
ちゆうしん
)
に
参
(
まゐ
)
りますわ。
318
さアお
寅
(
とら
)
さま、
319
魔我彦
(
まがひこ
)
さま、
320
参
(
まゐ
)
りませう』
321
高姫
(
たかひめ
)
は
仁王立
(
にわうだ
)
ちになり
真赤
(
まつか
)
な
顔
(
かほ
)
を
膨
(
ふく
)
らして、
322
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
で
乳
(
ちち
)
の
辺
(
あた
)
りを、
323
反身
(
そりみ
)
になつて
交
(
かは
)
る
交
(
がは
)
る
打
(
う
)
ち
乍
(
なが
)
ら、
324
ヤツコスが
六方
(
ろくぱう
)
を
踏
(
ふ
)
む
様
(
やう
)
なスタイルで
玄関
(
げんくわん
)
に
立
(
た
)
ちはだかり、
325
ドンドン
云
(
い
)
はせ
乍
(
なが
)
ら、
326
高姫
(
たかひめ
)
『ヤアヤアヤア
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
四足
(
よつあし
)
共
(
ども
)
、
327
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
命令
(
めいれい
)
を
聞
(
き
)
かずに
行
(
ゆ
)
くなら、
328
サア
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
よ。
329
あとで
吠面
(
ほえづら
)
かはくなよ。
330
気
(
け
)
もない
中
(
うち
)
から
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
が
噛
(
か
)
んでくくめる
様
(
やう
)
に
気
(
き
)
をつけておくぞや』
331
お
寅
(
とら
)
、
332
魔我彦
(
まがひこ
)
、
333
ヨルは
少
(
すこ
)
しも
頓着
(
とんちやく
)
なく
尻
(
しり
)
に
帆
(
ほ
)
かけて
急坂
(
きふはん
)
を
上
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
334
(
大正一二・一・一八
旧一一・一二・二
北村隆光
録)
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