霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第八章 スマート〔一二八二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第49巻 真善美愛 子の巻 篇:第2篇 立春薫香 よみ(新仮名遣い):りっしゅんくんこう
章:第8章 スマート よみ(新仮名遣い):すまーと 通し章番号:1282
口述日:1923(大正12)年01月18日(旧12月2日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年11月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
六と八が怖気づいてぶるぶる震えながら夜を過ごしていると、一本橋の向こうから提灯を下げて杢助がやってくるのが見えた。六と八は、恐ろしい剛胆なことを言って野宿に熟睡している初稚姫は、本物の姫ではなく、化け物が化けているのではないかと杢助に訴えた。
杢助と六と八のやり取りの中、初稚姫はやにわに旅支度を整えて起き上がり、斎苑館の総務として仕える父・杢助が、神務を忘れてわが子を気にかけて出てくるはずがないと言い残し、夜中にもかかわらずすたすたと進んで行ってしまった。
初稚姫は河鹿峠の坂口の岩に腰かけて休みながら、昨夜の杢助、六、八三人のことを不審に考えていた。そこへ三人がやってきて、杢助は言い残したことがあるから追いかけてきたのだ、と話しかけた。
初稚姫は、旅立ちにあたってわが子を気にかけて追いかけてくるような卑怯な父は持っていないときっぱり答えた。そして杢助に化けているのは、自分を邪道に導こうとする妖怪だろうと言い放った。
六と八はこれを聞いて、杢助を疑い始めた。杢助は初稚姫、六、八に対して怒ったが、初稚姫が天の数歌を歌いあげるとたちまち、唐獅子の正体を現した。
初稚姫は平然として天津祝詞を奏上し始めた。唐獅子が初稚姫にかみつこうとしたとき、後ろの方から山犬が現れ、疾風のように唐獅子に飛びついた。唐獅子は一目散に逃げて行き、山犬はその後を追跡して行った。
初稚姫は神様の試にあって及第したようだと喜び、驚いて倒れていた六と八に、館に帰って自分の無事を杢助に報告せよと告げ、足早に河鹿峠を登って行った。
初稚姫が峠を登って行くと、先ほどの猛犬が尾を振りながら駆けてきて後をついてきた。姫が坂の頂上で休息すると、猛犬も前にうずくまって尾を振っている。
初稚姫は犬の働きに感じ、スマートと名を与えて家来となし、ハルナの都までついてくるようにと告げた。初稚姫は犬を抱いていたわり、スマートはワンワンと鳴きながら尾を振り、感謝の意を表している。
初稚姫はスマートを得て心強くなり、宣伝歌を歌いながら河鹿峠の南坂を下って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-06-10 15:45:31 OBC :rm4908
愛善世界社版:111頁 八幡書店版:第9輯 72頁 修補版: 校定版:114頁 普及版:51頁 初版: ページ備考:
001夜風(よかぜ)(さむ)吹雪(ふぶき)さへ
002まじりて(さび)しき草枕(くさまくら)
003(つゆ)(しとね)をやすやすと
004初稚姫(はつわかひめ)(ねむ)(ども)
005臆病風(おくびやうかぜ)(さそ)はれし
006六公(ろくこう)八公(はちこう)両人(りやうにん)
007()()()はずガタガタと
008(ふる)(をのの)(いだ)()
009()()けゆくを一時(ひととき)
010(はや)かれかしと(いの)りつつ
011(ちう)()ばした(たましひ)
012()(どころ)なき(あは)れさよ
013(やみ)はますます(ふか)くして
014天津空(あまつそら)には(ほし)さへも
015()えぬ(ばか)りの黒雲(くろくも)
016(つつ)まれ(むね)はドキドキと
017(をのの)(をり)しも時置師(ときおかし)
018(かみ)(みこと)(いへ)(もん)
019()けた提灯(ちようちん)ブラブラと
020一本橋(いつぽんばし)向方(むかふ)より
021此方(こなた)(むか)つて足早(あしばや)
022(すす)(きた)るを両人(りやうにん)
023(なが)めてハツと(むね)()
024これぞ(まつた)時置師(ときおかし)
025(かみ)(みこと)のわれわれを
026(すく)はむ(ため)遥々(はるばる)
027イソの(やかた)立出(たちい)でて
028(きた)らせ(たま)ふものならむ
029卑怯(ひけふ)未練(みれん)有様(ありさま)
030()せまいものと両人(りやうにん)
031(にはか)にムツクと立上(たちあが)
032近寄(ちかよ)提灯(ちようちん)(うち)ながめ
033貴方(あなた)杢助(もくすけ)()主人(しゆじん)
034六公(ろくこう)八公(はちこう)(ござ)ります
035(あふ)せに(したが)(ひめ)(さま)
036度胸(どきよう)(うま)くためさむと
037(ここ)まで(すす)()()れば
038初稚姫(はつわかひめ)()たれ(ども)
039まだ十七(じふしち)初心娘(うぶむすめ)
040(がら)()はないことを()
041此奴(こいつ)ア、テツキリ妖怪(えうくわい)()
042初稚姫(はつわかひめ)(おん)()をば
043うまうま(くら)吾々(われわれ)
044(だま)さむ(ため)(ひめ)となり
045ここにグウスウ八兵衛(はちべゑ)
046大胆(だいたん)至極(しごく)()てゐます
047何卒(なにとぞ)々々(なにとぞ)()主人(しゆじん)
048()でありしを(さいはひ)
049(ひめ)(かたき)吾々(われわれ)
050(ちから)(あは)()つてたべ
051残念(ざんねん)至極(しごく)(ござ)います
052(わたし)もすでに妖怪(えうくわい)
053餌食(ゑじき)たらむとせし(ところ)
054ウブスナ(やま)神徳(しんとく)
055貴方(あなた)(ここ)(つか)はして
056(ひと)つは(ひめ)(あだ)()
057(ひと)つは家来(けらい)(たす)けむと
058()しなさつた有難(ありがた)
059(はや)()(しら)(くだ)さんせ
060それそれそこにあの(とほ)
061バツチヨ(かさ)をばひつかぶり
062グウグウ(いびき)をかいてゐる
063大胆(だいたん)不敵(ふてき)化物(ばけもの)
064いふ(こゑ)さへも(ふる)ひつつ
065(かた)れば杢助(もくすけ)打笑(うちわら)
066卑怯(ひけふ)未練(みれん)(ろく)(はち)
067そも()(なか)化物(ばけもの)
068(まこと)のあるべき(はず)がない
069貴様(きさま)余程(よほど)卑怯者(ひけふもの)
070(その)化物(ばけもの)はどこにゐる
071(はや)案内(あんない)(いた)せよと
072一声(ひとこゑ)呶鳴(どな)れば両人(りやうにん)
073ハイハイ只今(ただいま)それ其処(そこ)
074(いびき)をかいて()りまする
075貴方(あなた)(さき)()出張(しゆつちやう)
076(あそ)ばしませ(こし)(ほね)
077(なん)とはなしに(ふる)()
078(わたし)命令(めいれい)()きませぬ
079自由(じいう)身体(からだ)となつたなら
080どんなことでも()きませう
081()かる(をり)しもムクムクと
082(かさ)(かぶ)つて立上(たちあが)
083片方(かたへ)(なが)芒原(すすきばら)
084初稚姫(はつわかひめ)(やさ)しげに
085三人(みたり)(をとこ)打向(うちむか)
086(なんぢ)()三人(みたり)荒男(あらをとこ)
087何用(なによう)あつて真夜中(まよなか)
088(わらは)(あと)(した)()
089(ろく)(はち)二人(ふたり)()(かく)
090杢助(もくすけ)などと(いつは)つて
091ここに(きた)れる可笑(をか)しさよ
092そも杢助(もくすけ)はイソ(やかた)
093総務(そうむ)(やく)(つか)へたる
094(たふと)(つかさ)()(もつ)
095(わが)()のことが()にかかり
096神務(しんむ)(わす)れてはるばると
097(した)ふて()()(むか)()
098左様(さやう)(わけ)(わか)らない
099(わらは)(おや)()ちませぬ
100(まさ)しく悪魔(あくま)変化(へんげ)して
101(われ)()行手(ゆくて)妨害(ばうがい)
102神務(しんむ)遂行(すゐかう)させまいと
103(たく)みしものと(おぼ)えたり
104早々(さうさう)(この)()立去(たちさ)れよ
105(わらは)初稚姫(はつわかひめの)(かみ)
106(なんぢ)(かま)つてゐる(ひま)
107なければ(これ)より()でて()
108(なんぢ)()(さん)(にん)トツクリと
109()からぬ相談(さうだん)するがよい
110(さき)御免(ごめん)()ひながら
111(みの)(かぶ)つて(つゑ)をつき
112スタスタ(すす)()でて()
113杢助(もくすけ)(あと)より(こゑ)をかけ
114オーイオーイと()(なが)
115(ろく)(はち)二人(ふたり)(したが)へて
116(ひめ)(あと)をば()(きた)
117初稚姫(はつわかひめ)はトントンと
118天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)
119神歌(しんか)(うた)(すす)()
120()はホノボノと()けそめて
121あたりも(あか)くなりぬれば
122(みち)片方(かたへ)岩石(がんせき)
123(こし)うちかけて(いき)(やす)
124少時(しばし)思案(しあん)()れにける。
125 初稚姫(はつわかひめ)河鹿(かじか)(たうげ)坂口(さかぐち)(いは)(うへ)(こし)うちかけ、
126初稚姫昨夜(さくや)(あら)はれし怪物(くわいぶつ)合点(がつてん)のゆかぬ代物(しろもの)だナア。127(ろく)128(はち)両人(りやうにん)()ひ、129(ちち)杢助(もくすけ)()ひ、130合点(がつてん)のゆかぬことだなア。131(わらは)首途(かどで)(とき)132あの(やう)素気(すげ)なく()つた(わが)(ちち)が、133(わらは)(した)つて()つかける(くらゐ)ならば、134モウ(すこ)(やさ)しい言葉(ことば)をかけさうな(はず)135大神(おほかみ)(さま)の、136(わたし)(こころ)(ため)さむ(ため)()(はか)らひだらうか、137(なに)につけても合点(がつてん)のゆかぬことだなア』
138差俯(さしうつむ)いて思案(しあん)()れてゐる。139そこへ突然(とつぜん)(あら)はれたのは杢助(もくすけ)140(ろく)141(はち)(さん)(にん)であつた。
142杢助(もくすけ)『オイ其方(そなた)初稚姫(はつわかひめ)だないか、143なぜ(ちち)があれ(ほど)()()めるのに()つてくれないのだ。144一言(いちごん)(まへ)旅立(たびだち)について()つておきたいことがあつた。145それを(わす)れたに()つて、146(あと)()つかけ、147()ひきかしに()たのだ』
148初稚(はつわか)(わらは)はお(まへ)さまの(やう)卑怯(ひけふ)未練(みれん)(おや)()ちませぬ。149()(かんが)へて御覧(ごらん)なさい。150貴方(あなた)(はた)して杢助(もくすけ)とやら()ふお(かた)ならば、151なぜイソの(やかた)専心(せんしん)(つか)へなされませぬか。152何事(なにごと)一身(いつしん)一家(いつか)(ささ)げて(かみ)(つか)へるとお(ちか)ひなさつた杢助(もくすけ)ぢやありませぬか。153ヤツパリ貴方(あなた)(とし)()つたとみえて耄碌(まうろく)しましたねえ。154(わらは)はイソの(やかた)大神(おほかみ)(さま)より直接(ちよくせつ)使命(しめい)()けた、155(とし)(わか)うても、156立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)(ござ)います。157最早(もはや)悪魔(あくま)征途(せいと)(のぼ)つた(うへ)は、158立派(りつぱ)使命(しめい)(はた)(まで)159杢助(もくすけ)さま(なん)かに(よう)(ござ)いませぬ。160(はや)()(かへ)りなさいませ。161(しか)しお(まへ)本当(ほんたう)杢助(もくすけ)さまぢやありますまい。162(その)(みみ)(なん)ですか、163(けもの)(やう)にペラペラと(うご)いているぢやありませぬか。164初稚姫(はつわかひめ)がハルナの(みやこ)(まゐ)ると()き、165()をまはして出発(しゆつぱつ)間際(まぎわ)(わらは)邪道(じやだう)引入(ひきい)れ、166目的(もくてき)(さまた)げを(いた)さうとするのだらう。167いかなる魔術(まじゆつ)初稚姫(はつわかひめ)(たい)しては一切(いつさい)駄目(だめ)ですよ。168ホヽヽヽヽ、169マアマア()くも(たくみ)()けましたねえ』
170杢助(もくすけ)其方(そなた)(ちち)(むか)つて(なん)といふ無礼(ぶれい)なことを()ふのだ。171これ()よ、172何程(なにほど)(みみ)(うご)いても、173これは(かぜ)()いてゐるからだ。174(かぜ)()けば(みみ)(ばか)りか、175()()でさへも、176大木(たいぼく)でも(うご)くだないか、177流石(さすが)子供(こども)だなア。178(おや)(こころ)()()らずとはお(まへ)のことだ。179(この)杢助(もくすけ)何程(なにほど)冷淡(れいたん)()せて()つても、180(こころ)(うち)には(あい)熱涙(ねつるゐ)()()つてゐるのだ。181左様(さやう)なことをいはずに人間(にんげん)老少(らうせう)不定(ふぢやう)だ。182不惜(ふじやく)身命(しんめい)(てき)神業(しんげふ)参加(さんか)するお(まへ)183これが(わか)れにならうも()れぬと(おも)ひ、184態々(わざわざ)ここ(まで)185()()()ずに、186御用(ごよう)(すき)(かんが)へて()つかけて()たのだ。187(おや)(こころ)もチツとは推量(すゐりやう)してくれ、188初稚姫(はつわかひめ)殿(どの)
189初稚(はつわか)『ホツホヽヽヽ、190うまい(こと)()けなさいますなア。191(わらは)二人(ふたり)(ちち)()ちませぬ、192いい加減(かげん)にお(かへ)りなさい。193(なん)()つても駄目(だめ)ですよ』
194(ろく)『もし(ひめ)(さま)195(この)杢助(もくすけ)(さま)はさうすると本真物(ほんまもの)ぢや(ござ)いませぬか』
196初稚(はつわか)本真物(ほんまもの)贋物(にせもの)か、197(あたま)(うへ)から(あし)爪先(つまさき)(まで)198()()御覧(ごらん)
199(はち)『オイ(ろく)200(ひめ)(さま)仰有(おつしや)(とほ)り、201様子(やうす)(へん)だぞ。202()主人(しゆじん)本当(ほんたう)()()てゐるが、203(なん)となしに()におちぬ(ところ)があるぢやないか』
204(ろく)『コヽコラ、205モヽ杢助(もくすけ)のバヽ化物(ばけもの)206ドヽ()うぢや、207(ひめ)(さま)眼力(がんりき)には往生(わうじやう)(いた)したか』
208杢助(もくすけ)『コラ(ろく)209主人(しゆじん)(むか)つて不都合(ふつがふ)千万(せんばん)な、210化物扱(ばけものあつか)ひに(いた)すことがあるか、211(はち)212貴様(きさま)(ろく)(おな)じやうな(やつ)だ。213今日(けふ)(かぎ)(ひま)(つか)はすから、214モウ、215イソ(やかた)(かへ)るには(およ)ばぬツ』
216(ろく)貴様(きさま)(やう)化物(ばけもの)乾児(こぶん)になつてたまるかい。217のう八公(はちこう)218さうではないか』
219(はち)『さう(とも)さう(とも)220本当(ほんたう)杢助(もくすけ)(さま)()家来(けらい)だ。221こんな(みみ)(うご)(やつ)家来(けらい)になつてたまるかい。222コラ化州(ばけしう)223何時(なんどき)だと(かんが)へてる、224モウ夜明(よあ)けだないか。225()いかげんスツ()まぬかい』
226杢助(もくすけ)『アツハヽヽヽ(ろく)227(はち)両人(りやうにん)228(もし)(この)(はう)本当(ほんたう)杢助(もくすけ)であつたら(なん)(いた)す』
229(ろく)『ナアニ、230本当(ほんたう)杢助(もくすけ)であつた(ところ)(かま)ふものかい。231(ひま)(もら)つたら(ひめ)(さま)(あと)()いて、232何処(どこ)(まで)でもお(とも)するのだ。233のう八公(はちこう)
234初稚(はつわか)(ろく)235(はち)両人(りやうにん)236一時(いつとき)(はや)()(かへ)りなさい、237(わらは)飽迄(あくまで)一人旅(ひとりたび)でゆかねばならぬ。238(いま)(この)化物(ばけもの)正体(しやうたい)(あら)はし往生(わうじやう)さして()せるから、239(まへ)さまは(はや)()(かへ)りなさい』
240()(なが)ら、241(あま)数歌(かずうた)(とな)()げた。242杢助(もくすけ)(たちま)ち、243(うし)(ごと)怪物(くわいぶつ)となり、
244(杢助)『ウー』
245(うな)りを()て、246()(いか)らし、247(きば)()()し、248初稚姫(はつわかひめ)()がけて()びかからむとし、249前足(まへあし)(つめ)逆立(さかだ)て、250大地(だいち)(つち)をかいて、251(つめ)(とが)らしてゐる。252初稚姫(はつわかひめ)平然(へいぜん)として天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)(はじ)めた。253(ろく)254(はち)両人(りやうにん)(この)姿(すがた)をみて、255顔色(がんしよく)(つち)(ごと)くに(かは)り、256(その)()打倒(うちたふ)れ、257チウの(こゑ)得上(えあ)げず(ふる)ふてゐる。258怪獣(くわいじう)(かほ)をよくよくみれば、259巨大(きよだい)なる唐獅子(からしし)である。260唐獅子(からしし)初稚姫(はつわかひめ)をグツと()めつけ、261猛然(まうぜん)として()みつかむとする一刹那(いちせつな)262(うしろ)(かた)より『ウー』と(また)(うな)(ごゑ)263何者(なにもの)ならむと、264(あと)ふり(かへ)れば、265(たくま)しい(おほ)きい山犬(やまいぬ)である。266山犬(やまいぬ)大獅子(おほしし)(むか)つて、267疾風(しつぷう)(ごと)()()いた。268獅子(しし)一目散(いちもくさん)(ほそ)くなつて、269()げてゆく、270山犬(やまいぬ)獅子(しし)(あと)追跡(つゐせき)する。271初稚姫(はつわかひめ)(あと)見送(みおく)つて打笑(うちわら)ひ、
272初稚姫『ホツホヽヽ、273(はじ)めての(かみ)(さま)(ため)しに()うて、274(かげ)及第(きふだい)した(やう)だ。275ヤア(ろく)276(はち)277最早(もはや)心配(しんぱい)()らぬ、278一時(いつとき)(はや)(わが)()立帰(たちかへ)り、279(ちち)杢助(もくすけ)に、280初稚姫(はつわかひめ)大丈夫(だいぢやうぶ)だから()安心(あんしん)(あそ)ばせと(つた)へてくれ、281左様(さやう)ならば』
282といふより(はや)く、283足早(あしばや)河鹿(かじか)(たうげ)(のぼ)()く。284(ろく)285(はち)両人(りやうにん)はヤツと(むね)()でおろし、286神言(かみごと)(とな)(なが)ら、287杢助館(もくすけやかた)()して、288(また)()()れては一大事(いちだいじ)(いそ)(かへ)()く。289初稚姫(はつわかひめ)(ただ)一人(ひとり)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)ら、290河鹿(かじか)(たうげ)(のぼ)()く。291以前(いぜん)猛犬(まうけん)(あわ)ただしく駆来(かけきた)り、292初稚姫(はつわかひめ)(まへ)になり、293(あと)になり()()つて、294(うれ)しさうにワンワンとなき(なが)ら、295()けめぐる。296初稚姫(はつわかひめ)(やうや)(さか)頂上(ちやうじやう)(たつ)し、297四方(よも)景色(けしき)(なが)(なが)ら、298少時(しばし)(こし)(おろ)して休息(きうそく)した。299以前(いぜん)猛犬(まうけん)初稚姫(はつわかひめ)(まへ)(うづく)まり、300(みみ)()()(ほそ)くし、301()()つてゐる。
302初稚姫其方(そなた)はどこの山犬(やまいぬ)()らぬが、303随分(ずいぶん)敏活(びんくわつ)(はたら)きをする(もの)だ。304これから(わらは)家来(けらい)として()げよう。305ハルナの(みやこ)まで()いて()るのだよ。306(さう)してお(まへ)には「スマート」といふ()()げませう』
307()(なが)ら、308猛犬(まうけん)(かか)へ、309首筋(くびすぢ)()でなどして(いた)はつてゐる。310スマートは(しき)りに()()り、311ワンワンと(さけ)(なが)ら、312感謝(かんしや)()(へう)してゐる。313初稚姫(はつわかひめ)(この)(いぬ)()非常(ひじやう)心強(こころづよ)くなり、314宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)ら、315河鹿(かじか)(たうげ)南坂(みなみざか)(くだ)りつつ(うた)ふ。
316初稚姫(かみ)(おもて)(あら)はれて
317(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
318悪魔(あくま)征途(せいと)(のぼ)()
319初稚姫(はつわかひめ)(たましひ)
320(しら)べむ(ため)(ちち)となり
321(あるひ)巨大(きよだい)獅子(しし)となり
322(わらは)首途(かどで)(さへぎ)りて
323所存(しよぞん)(ほど)調(しら)べしか
324(ただ)しは(まこと)曲神(まがかみ)
325(こころ)()せぬ(こと)あれど
326(ただ)何事(なにごと)一身(いつしん)
327(かみ)(まか)せし(うへ)からは
328仮令(たとへ)如何(いか)なる(こと)あるも
329初心(しよしん)()げずドシドシと
330(ひと)にたよらず皇神(すめかみ)
331神言(みこと)のままに真心(まごころ)
332(つく)して()かむ(わが)(こころ)
333仮令(たとへ)曲津(まがつ)行先(ゆくさき)
334さやりて(あだ)をなすとても
335(われ)には(かみ)(まも)りあり
336(いま)(また)(かみ)はスマートを
337(わが)行先(ゆくさき)(とも)となし
338(あた)(たま)ひし(たふと)さよ
339(かみ)(われ)()(とも)にあり
340(われ)()(かみ)()(かみ)(みや)
341いかでか(おそ)れむ敷島(しきしま)
342大和心(やまとごころ)をふり(おこ)
343ハルナの(みやこ)(わだか)まる
344八岐(やまた)大蛇(をろち)言向(ことむ)けて
345(かむ)素盞嗚(すさのを)大神(おほかみ)
346(まこと)をあらはし(たてまつ)
347五六七(みろく)御代(みよ)詳細(まつぶさ)
348(あまね)地上(ちじやう)建設(けんせつ)
349三五教(あななひけう)神力(しんりき)
350(あら)はし(まつ)(かみ)(みち)
351(すす)みゆくこそ(うれ)しけれ
352あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
353御霊(みたま)(さちは)ひましませよ』
354(うた)(なが)(すす)()く。
355大正一二・一・一八 旧一一・一二・二 松村真澄録)
ロシアのプーチン大統領が霊界物語に予言されていた!?<絶賛発売中>
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki