霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第49巻(子の巻)
序文
総説
第1篇 神示の社殿
01 地上天国
〔1275〕
02 大神人
〔1276〕
03 地鎮祭
〔1277〕
04 人情
〔1278〕
05 復命
〔1279〕
第2篇 立春薫香
06 梅の初花
〔1280〕
07 剛胆娘
〔1281〕
08 スマート
〔1282〕
第3篇 暁山の妖雲
09 善幻非志
〔1283〕
10 添書
〔1284〕
11 水呑同志
〔1285〕
12 お客さん
〔1286〕
13 胸の轟
〔1287〕
14 大妨言
〔1288〕
15 彗星
〔1289〕
第4篇 鷹魅糞倒
16 魔法使
〔1290〕
17 五身玉
〔1291〕
18 毒酸
〔1292〕
19 神丹
〔1293〕
20 山彦
〔1294〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。
実験用サイト
|
サブスク
霊界物語
>
第49巻
> 第4篇 鷹魅糞倒 > 第20章 山彦
<<< 神丹
(B)
(N)
余白歌 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第二〇章
山彦
(
やまびこ
)
〔一二九四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第49巻 真善美愛 子の巻
篇:
第4篇 鷹魅糞倒
よみ(新仮名遣い):
ようみふんとう
章:
第20章 山彦
よみ(新仮名遣い):
やまびこ
通し章番号:
1294
口述日:
1923(大正12)年01月19日(旧12月3日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年11月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
初稚姫は河鹿峠を降ってくる途中にお寅、魔我彦、ヨルの一行に出会い、祠の森に父・杢助がいることを知った。斎苑館にいるはずの父が祠の森にいることにいぶかしさを感じながらも、三人に別れを告げて祠の森に向かった。
一方、高姫と杢助は、珍彦夫婦に盛った毒が効きはじめたと思いこみ、彼らの死後に変身の術を使って自分たちが入れ替わり成りすます相談をしていた。
そこへ受付のイルから、初稚姫がやってきて父・杢助に会いたいと言っているとの報せがあった。杢助は、自分が高姫を後妻に取ったばかりで娘に会うのは恥ずかしい、また宣伝使となった娘を甘やかしてはいけないと言い訳をして、森に隠れてしまった。
杢助に化けた唐獅子の化け物は、実はスマートが恐くて逃げ出したのであった。スマートはにわかに唸りだして森林に駆け出して行ってしまった。
初稚姫は不審に思いながらスマートが飛び込んだ森林を見ていると、スマートは前足に傷を受けて帰ってきた。
初稚姫は高姫が止めるのも聞かずに奥に進み入った。スマートも足を引きずりながら初稚姫の後に従う。高姫は初稚姫が来たことを知らせるために声を限りに杢助を呼ばわったが、聞こえてくるのは山彦だけであった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-07-06 13:33:38
OBC :
rm4920
愛善世界社版:
287頁
八幡書店版:
第9輯 138頁
修補版:
校定版:
296頁
普及版:
133頁
初版:
ページ備考:
001
初稚姫
(
はつわかひめ
)
はスマートを
伴
(
ともな
)
ひ、
002
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
を
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
降
(
くだ
)
つて
来
(
く
)
る。
003
途中
(
とちう
)
に
於
(
おい
)
てお
寅
(
とら
)
、
004
魔我彦
(
まがひこ
)
、
005
ヨルの
一行
(
いつかう
)
に
出会
(
であ
)
ひ
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
に
高姫
(
たかひめ
)
や
杢助
(
もくすけ
)
の
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
き、
006
訝
(
いぶ
)
かしさの
限
(
かぎ
)
りよと
心
(
こころ
)
に
思
(
おも
)
ひ
乍
(
なが
)
らも、
007
さあらぬ
態
(
てい
)
を
装
(
よそほ
)
ひ、
008
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げて、
009
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
をさして
急
(
いそ
)
ぎ
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
010
話
(
はなし
)
変
(
かは
)
つて、
011
高姫
(
たかひめ
)
、
012
杢助
(
もくすけ
)
両人
(
りやうにん
)
は
又
(
また
)
もやヒソビソ
話
(
ばなし
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
013
高姫
(
たかひめ
)
『
杢助
(
もくすけ
)
さま、
014
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
智慧
(
ちゑ
)
位
(
くらゐ
)
偉大
(
ゐだい
)
なものはありませぬな』
015
杢助
(
もくすけ
)
『うん、
016
さうだ。
017
何
(
なん
)
といつても
智慧
(
ちゑ
)
だな。
018
もう
斯
(
か
)
うなる
上
(
うへ
)
は
珍彦
(
うづひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
も、
019
やがて
倒死
(
くたばる
)
だらう。
020
さうすれば
彼
(
かれ
)
が
息
(
いき
)
をひきとると
共
(
とも
)
に、
021
変身
(
へんしん
)
の
術
(
じゆつ
)
を
以
(
もつ
)
て、
022
お
前
(
まへ
)
と
私
(
わたし
)
は
珍彦
(
うづひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
にならねばならぬ。
023
何時
(
いつ
)
知
(
し
)
れるか
分
(
わか
)
らぬから
今
(
いま
)
から、
024
用意
(
ようい
)
にかからねばなるまい』
025
高姫
(
たかひめ
)
『
其
(
その
)
用意
(
ようい
)
とは
如何
(
どう
)
すれば
宜
(
よ
)
いのですか』
026
杢助
(
もくすけ
)
『ア、
027
さうだ。
028
すこし
嫌
(
いや
)
の
事
(
こと
)
だけど、
029
私
(
わたし
)
は
珍彦
(
うづひこ
)
の
放
(
こ
)
いだ
糞
(
くそ
)
を
飯粒
(
めしつぶ
)
一
(
ひと
)
つ
位
(
くらゐ
)
舐
(
なめ
)
ねばならぬ。
030
お
前
(
まへ
)
は
静子
(
しづこ
)
の
糞
(
くそ
)
を
一掴
(
ひとつか
)
み
位
(
くらゐ
)
舐
(
なめ
)
るのだ。
031
さうすれば
直
(
すぐ
)
に
変身
(
へんしん
)
の
術
(
じゆつ
)
が
行
(
おこな
)
はれる』
032
高姫
(
たかひめ
)
『
何
(
なん
)
ぼ
何
(
なん
)
だつて
糞
(
くそ
)
が
舐
(
なめ
)
られますか。
033
外
(
ほか
)
に
何
(
なに
)
か
方法
(
はうはふ
)
がありさうなものですな』
034
杢助
(
もくすけ
)
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
此奴
(
こいつ
)
あやらなくては
駄目
(
だめ
)
だ。
035
やがて
毒
(
どく
)
がまはつて
倒
(
たふ
)
れるに
間
(
ま
)
もあるまいから、
036
早
(
はや
)
く
身代
(
みがは
)
りを
拵
(
こし
)
らへて
置
(
お
)
かなくてはならぬ。
037
高姫
(
たかひめ
)
、
038
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
は
此処
(
ここ
)
に
両人
(
りやうにん
)
の
糞
(
くそ
)
を
或
(
ある
)
方法
(
はうはふ
)
を
以
(
もつ
)
て
取寄
(
とりよ
)
せて
置
(
お
)
いたのだ』
039
と
竹
(
たけ
)
の
皮包
(
かはつつ
)
みを
懐
(
ふところ
)
から
取
(
と
)
り
出
(
だ
)
した。
040
高姫
(
たかひめ
)
『アーア、
041
嫌
(
いや
)
だわ。
042
まるで
犬
(
いぬ
)
見
(
み
)
た
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
をせなくてはならないのかな』
043
杢助
(
もくすけ
)
『
犬
(
いぬ
)
でさへも
糞
(
くそ
)
を
食
(
く
)
へば
目
(
め
)
が
見
(
み
)
えると
云
(
い
)
ふぢやないか。
044
糞
(
くそ
)
からはアンモニヤと
云
(
い
)
ふ
薬
(
くすり
)
をとり、
045
之
(
これ
)
等
(
ら
)
で
種々
(
いろいろ
)
の
薬
(
くすり
)
を
造
(
つく
)
り、
046
パンだつて
饅頭
(
まんじう
)
だつて
之
(
これ
)
で
膨
(
ふく
)
れるのだ。
047
変身
(
へんしん
)
には
之
(
これ
)
程
(
ほど
)
利
(
き
)
くものは
無
(
な
)
いのだ』
048
高姫
(
たかひめ
)
『アー、
049
仕方
(
しかた
)
がありませぬわ。
050
之
(
これ
)
もヤツパリ
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
のためだと
思
(
おも
)
へば、
051
辛抱
(
しんばう
)
して
頂
(
いただ
)
きませうかな』
052
杢助
(
もくすけ
)
『
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
嘘
(
うそ
)
だよ。
053
お
前
(
まへ
)
の
気
(
き
)
を
引
(
ひ
)
いてみたのだ。
054
もつと
外
(
ほか
)
にいい
薬
(
くすり
)
があるのだよ』
055
高姫
(
たかひめ
)
『アーア、
056
やつと
安心
(
あんしん
)
しました。
057
本当
(
ほんたう
)
に
腹
(
はら
)
の
悪
(
わる
)
い
人
(
ひと
)
だな。
058
腹
(
はら
)
の
虫
(
むし
)
が
食
(
く
)
はぬ
前
(
さき
)
から、
059
厭
(
いや
)
がつてグレングレンしてゐましたよ』
060
杢助
(
もくすけ
)
『これが……さア
妙薬
(
めうやく
)
だ……
之
(
これ
)
さへ
飲
(
の
)
めば、
061
変身
(
へんしん
)
の
術
(
じゆつ
)
は
即座
(
そくざ
)
に
行
(
おこな
)
はれるのだ』
062
と
懐
(
ふところ
)
から
又
(
また
)
もや
皮包
(
かはつつみ
)
を
出
(
だ
)
す。
063
高姫
(
たかひめ
)
『
杢助
(
もくすけ
)
さま、
064
そりや
何
(
なん
)
ですかい』
065
杢助
(
もくすけ
)
『
之
(
これ
)
は
猿
(
さる
)
の
肝
(
きも
)
だ。
066
猿胆
(
ゑんたん
)
と
云
(
い
)
ふものだ。
067
チツとは
苦
(
にが
)
いけど、
068
之
(
これ
)
を
飲
(
の
)
めば
直
(
すぐ
)
に
変身術
(
へんしんじゆつ
)
が
出来
(
でき
)
る』
069
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
さまは、
070
さうして
何
(
なに
)
を
飲
(
の
)
むの』
071
杢助
(
もくすけ
)
『
此
(
この
)
杢助
(
もくすけ
)
は
懐
(
ふところ
)
に
持
(
も
)
つてゐるが、
072
此
(
この
)
秘密
(
ひみつ
)
を
女
(
をんな
)
に
覚
(
さと
)
られたら、
073
出来
(
でき
)
ぬのだから
暫
(
しばら
)
く
発表
(
はつぺう
)
を
見合
(
みあは
)
して
置
(
お
)
かう。
074
さア
早
(
はや
)
く
之
(
これ
)
を
飲
(
の
)
みなさい。
075
いざと
云
(
い
)
ふ
時
(
とき
)
に
私
(
わたし
)
が
文言
(
もんごん
)
を
唱
(
とな
)
へるから、
076
之
(
これ
)
を
合図
(
あひづ
)
にパツと
化身
(
けしん
)
するのだ』
077
高姫
(
たかひめ
)
『
如何
(
どう
)
も
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
ります。
078
そんなら
頂
(
いただ
)
きませうか』
079
杢助
(
もくすけ
)
『さあ
早
(
はや
)
う
飲
(
の
)
んだり
飲
(
の
)
んだり』
080
高姫
(
たかひめ
)
は
目
(
め
)
を
塞
(
ふさ
)
ぎ
苦
(
にが
)
さを
耐
(
こら
)
へて
猿胆
(
ゑんたん
)
をグツと
飲
(
の
)
んで
了
(
しま
)
つた。
081
その
六
(
むつ
)
かしい
苦
(
にが
)
相
(
さう
)
な
顔
(
かほ
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
形容
(
けいよう
)
が
出来
(
でき
)
ぬ
様
(
やう
)
だつた。
082
杢助
(
もくすけ
)
『ハヽヽヽ
如何
(
どう
)
も
六
(
むつ
)
かしい
顔
(
かほ
)
だつた。
083
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
の
恋
(
こひ
)
も、
084
あれを
見
(
み
)
ちや
一度
(
いちど
)
に
冷
(
さ
)
める
様
(
やう
)
だ。
085
まるつきり
猿
(
さる
)
の
様
(
やう
)
な
顔
(
かほ
)
をしたよ』
086
高姫
(
たかひめ
)
『そら、
087
さうでせうとも、
088
猿
(
さる
)
の
肝
(
きも
)
を
飲
(
の
)
んだのだもの。
089
然
(
しか
)
しお
前
(
まへ
)
さま、
090
三
(
さん
)
年
(
ねん
)
の
恋
(
こひ
)
が
一度
(
いちど
)
に
冷
(
さ
)
めるなんて、
091
そんな
薄情
(
はくじやう
)
な
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ふてゐなさるのかい』
092
杢助
(
もくすけ
)
『ハヽヽヽヽ
如何
(
どう
)
も
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りました。
093
山
(
やま
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
逆鱗
(
ぎやくりん
)
には
智勇
(
ちゆう
)
兼備
(
けんび
)
の
杢助
(
もくすけ
)
も
降服
(
かうふく
)
仕
(
つかまつ
)
る。
094
南無
(
なむ
)
山
(
やま
)
の
神
(
かみ
)
大明神
(
だいみやうじん
)
、
095
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
許
(
ゆる
)
させ
玉
(
たま
)
へ、
096
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
097
高姫
(
たかひめ
)
『これ、
098
杢助
(
もくすけ
)
さま、
099
私
(
わたし
)
が
斯
(
こ
)
んな
苦
(
にが
)
い
目
(
め
)
をして
苦
(
くる
)
しんでゐるのに、
100
陽気
(
やうき
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つてゐらつしやるのだな。
101
女房
(
にようばう
)
の
意思
(
いし
)
は
夫
(
をつと
)
の
意思
(
いし
)
、
102
夫
(
をつと
)
の
智性
(
ちせい
)
は
女房
(
にようばう
)
の
智性
(
ちせい
)
、
103
双方
(
さうはう
)
相
(
あひ
)
和合
(
わがふ
)
してこそ、
104
夫婦
(
ふうふ
)
の
和合
(
わがふ
)
ぢやありませぬか。
105
それ
程
(
ほど
)
私
(
わたし
)
が
苦
(
くる
)
しんでるのが
面白
(
おもしろ
)
いのですか』
106
杢助
(
もくすけ
)
『ハヽヽヽ
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
何一
(
なにひと
)
つ
恐
(
こは
)
い
事
(
こと
)
のない
此
(
この
)
杢助
(
もくすけ
)
も
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
さまには
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りますわい。
107
南無
(
なむ
)
お
嬶
(
かか
)
大明神
(
だいみやうじん
)
、
108
許
(
ゆる
)
させ
玉
(
たま
)
へ、
109
見直
(
みなほ
)
し
玉
(
たま
)
へ、
110
アツハヽヽヽヽヽ』
111
高姫
(
たかひめ
)
『
杢助
(
もくすけ
)
さま、
112
よい
加減
(
かげん
)
にチヨクツて
置
(
お
)
きなさい。
113
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
の
場合
(
ばあひ
)
ぢやありませぬか。
114
貴方
(
あなた
)
は
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
怖
(
こは
)
いものはないけど、
115
私
(
わたし
)
が
怖
(
こは
)
いと
云
(
い
)
ひましたね。
116
それ
程
(
ほど
)
怖
(
こは
)
い
顔
(
かほ
)
なら
何故
(
なぜ
)
女房
(
にようばう
)
になさつたのですか』
117
杢助
(
もくすけ
)
『ハヽヽヽさう
短兵急
(
たんぺいきふ
)
に
攻
(
せ
)
めかけられては
聊
(
いささ
)
か
迷惑
(
めいわく
)
だ。
118
拙者
(
せつしや
)
の
怖
(
こは
)
いものは
犬
(
いぬ
)
位
(
くらゐ
)
なものだよ』
119
高姫
(
たかひめ
)
『エー、
120
お
前
(
まへ
)
さまは
耳
(
みみ
)
が
動
(
うご
)
くと
思
(
おも
)
へばヤツパリ
犬
(
いぬ
)
が
怖
(
こは
)
いのかな、
121
ハテナー』
122
杢助
(
もくすけ
)
『アツハヽヽヽ
犬
(
いぬ
)
と
云
(
い
)
ふのはスパイの
事
(
こと
)
だ。
123
も
一
(
ひと
)
つ
怖
(
こは
)
い
犬
(
いぬ
)
はワンワンワンと
囀
(
さへづ
)
りまはす
タ
の
字
(
じ
)
と
カ
の
字
(
じ
)
のつく
犬
(
いぬ
)
だ、
124
ハツハヽヽヽヽ』
125
高姫
(
たかひめ
)
『
私
(
わたし
)
を
犬
(
いぬ
)
と
云
(
い
)
ひましたな』
126
杢助
(
もくすけ
)
『さうだ。
127
二
(
ふた
)
つ
目
(
め
)
には
悋気
(
りんき
)
してイヌイヌと
云
(
い
)
ふのだから
仕方
(
しかた
)
がないわ。
128
イヌの、
129
走
(
はし
)
るの、
130
暇
(
ひま
)
くれのと、
131
高
(
たか
)
ちやんの
常套語
(
じやうたうご
)
だからな』
132
高姫
(
たかひめ
)
『
何
(
なん
)
なと
仰有
(
おつしや
)
いませ。
133
ヘン、
134
又
(
また
)
晩
(
ばん
)
に
敵討
(
かたきうち
)
をして
上
(
あ
)
げますわ』
135
杢助
(
もくすけ
)
『アツハヽヽヽヽ』
136
斯
(
か
)
く
笑
(
わら
)
ふ
所
(
ところ
)
へ
慌
(
あわ
)
ただしくやつて
来
(
き
)
たのは
受付
(
うけつ
)
けのイルであつた。
137
イル『もし、
138
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
様
(
さま
)
、
139
只今
(
ただいま
)
イソの
館
(
やかた
)
から
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
がスマートとか
云
(
い
)
ふ
犬
(
いぬ
)
を
連
(
つ
)
れてお
立寄
(
たちよ
)
りになり「
吾
(
わが
)
父
(
ちち
)
の
杢助
(
もくすけ
)
がゐるさうだから
一目
(
ひとめ
)
会
(
あ
)
はして
呉
(
く
)
れえ」と
仰有
(
おつしや
)
いますが
如何
(
いかが
)
致
(
いた
)
しませうかな』
140
杢助
(
もくすけ
)
『ヤー、
141
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
奴
(
やつ
)
、
142
親
(
おや
)
の
斯
(
こ
)
んな
処
(
ところ
)
に
居
(
ゐ
)
るのを
悟
(
さと
)
りよつたのかな。
143
おい、
144
高姫
(
たかひめ
)
、
145
何
(
なん
)
ぼ
俺
(
おれ
)
だつて
年
(
とし
)
が
寄
(
よ
)
つてから
親
(
おや
)
だてら
夫婦然
(
ふうふぜん
)
として
居
(
ゐ
)
るのは
子
(
こ
)
に
対
(
たい
)
し
恥
(
はづか
)
しい
様
(
やう
)
だ。
146
俺
(
おれ
)
は
暫
(
しばら
)
く
森
(
もり
)
へ
姿
(
すがた
)
をかくすからお
前
(
まへ
)
行
(
い
)
つて、
147
うまく
初稚姫
(
はつわかひめ
)
を
帰
(
い
)
なしてくれないか。
148
おい、
149
イル、
150
初稚姫
(
はつわかひめ
)
に
杢助
(
もくすけ
)
さまはお
留守
(
るす
)
だと
云
(
い
)
つてくれ』
151
イル『ハイ、
152
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました。
153
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
折角
(
せつかく
)
娘
(
むすめ
)
さまがお
訪
(
たづ
)
ねなさつたのだから、
154
会
(
あ
)
つてやつて
下
(
くだ
)
さつたら
如何
(
どう
)
ですかな』
155
杢助
(
もくすけ
)
『いや、
156
却
(
かへ
)
つて
甘
(
あま
)
やかしちや
娘
(
むすめ
)
のためにならぬから、
157
此処
(
ここ
)
は
会
(
あ
)
ふてやらぬ
方
(
はう
)
がよいだらう。
158
それが
親
(
おや
)
の
情
(
なさけ
)
だ。
159
高姫
(
たかひめ
)
、
160
オイお
前
(
まへ
)
も
表
(
おもて
)
に
出
(
で
)
て
初稚姫
(
はつわかひめ
)
に
得心
(
とくしん
)
さしてくれ』
161
高姫
(
たかひめ
)
『はい、
162
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました』
163
と
大
(
おほ
)
きな
尻
(
しり
)
をプリンプリン
振
(
ふ
)
り
乍
(
なが
)
らイルを
伴
(
ともな
)
ひ、
164
玄関口
(
げんくわんぐち
)
へ
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
した。
165
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
に
杢助
(
もくすけ
)
は
化物
(
ばけもの
)
の
正体
(
しやうたい
)
を
現
(
あら
)
はし、
166
スマートが
怖
(
こは
)
さに
巨大
(
きよだい
)
なる
唐獅子
(
からしし
)
となつて
裏
(
うら
)
の
森林
(
しんりん
)
へ
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し、
167
山越
(
やまごし
)
に
何処
(
どこ
)
ともなく
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
しける。
168
初稚姫
(
はつわかひめ
)
が
伴
(
ともな
)
ひ
来
(
きた
)
れるスマートは、
169
俄
(
にはか
)
に『ウーウー』と
呻
(
うな
)
り
出
(
だ
)
し、
170
足掻
(
あが
)
きをし
乍
(
なが
)
ら
一目散
(
いちもくさん
)
に
森林
(
しんりん
)
をさして
駆
(
か
)
け
入
(
い
)
りぬ。
171
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
不審
(
ふしん
)
の
眉
(
まゆ
)
をひそめてスマートの
行衛
(
ゆくゑ
)
は
如何
(
いかん
)
と
案
(
あん
)
じ
煩
(
わづら
)
ふ
折
(
をり
)
もあれ、
172
スマートは
前足
(
まへあし
)
に
少
(
すこ
)
しく
傷
(
きず
)
を
受
(
う
)
け
乍
(
なが
)
ら
足
(
あし
)
をチガチガさせ
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
帰
(
かへ
)
り
来
(
き
)
たり、
173
「キヤーキヤー」と
二声
(
ふたこゑ
)
三声
(
みこゑ
)
泣
(
な
)
き
乍
(
なが
)
ら、
174
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
足
(
あし
)
の
傷
(
きず
)
を
舐
(
なめ
)
て
居
(
ゐ
)
る。
175
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
高姫
(
たかひめ
)
のとどむるも
聞
(
き
)
かず、
176
無理
(
むり
)
に
奥
(
おく
)
へ
進
(
すす
)
み
行
(
い
)
つた。
177
スマートは
足
(
あし
)
をチガチガさせ
乍
(
なが
)
ら、
178
廊下
(
らうか
)
を
伝
(
つた
)
ふて
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ
行
(
ゆ
)
く。
179
高姫
(
たかひめ
)
は
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
に
帰
(
かへ
)
つて
見
(
み
)
れば
杢助
(
もくすけ
)
の
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えないので
声
(
こゑ
)
を
限
(
かぎ
)
りに『
杢助
(
もくすけ
)
サーン
杢助
(
もくすけ
)
サーン
初稚姫
(
はつわかひめ
)
さまが
見
(
み
)
えましたぞや』と
怒鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
ててゐる。
180
向
(
むか
)
ふの
谷間
(
たにま
)
から
木魂
(
こだま
)
の
反響
(
はんきやう
)
で、
181
山彦
(
やまびこ
)
が『
杢助
(
もくすけ
)
サーン
杢助
(
もくすけ
)
サーン
初稚姫
(
はつわかひめ
)
さまが
見
(
み
)
えましたぞや』と
答
(
こた
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
182
雪
(
ゆき
)
の
混
(
まじ
)
つた
初春
(
はつはる
)
の
寒
(
さむ
)
い
風
(
かぜ
)
が
遠慮
(
ゑんりよ
)
会釈
(
ゑしやく
)
もなく
屋外
(
をくぐわい
)
を
渡
(
わた
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
183
(
大正一二・一・一九
旧一一・一二・三
北村隆光
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 神丹
(B)
(N)
余白歌 >>>
霊界物語
>
第49巻
> 第4篇 鷹魅糞倒 > 第20章 山彦
Tweet
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
逆リンク(このページにリンクが張られているページ)
兇党界の悪くてひょうきんな兇霊・妖幻坊 | 飯塚弘明.com
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【20 山彦|第49巻(子の巻)|霊界物語/rm4920】
合言葉「みろく」を入力して下さい→