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第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
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第71巻(戌の巻)
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第75巻(寅の巻)
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第54巻(巳の巻)
序文
総説
第1篇 神授の継嗣
01 子宝
〔1387〕
02 日出前
〔1388〕
03 懸引
〔1389〕
04 理妻
〔1390〕
05 万違
〔1391〕
06 執念
〔1392〕
第2篇 恋愛無涯
07 婚談
〔1393〕
08 祝莚
〔1394〕
09 花祝
〔1395〕
10 万亀柱
〔1396〕
第3篇 猪倉城寨
11 道晴別
〔1397〕
12 妖瞑酒
〔1398〕
13 岩情
〔1399〕
14 暗窟
〔1400〕
第4篇 関所の玉石
15 愚恋
〔1401〕
16 百円
〔1402〕
17 火救団
〔1403〕
第5篇 神光増進
18 真信
〔1404〕
19 流調
〔1405〕
20 建替
〔1406〕
21 鼻向
〔1407〕
22 凱旋
〔1408〕
附録 神文
余白歌
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第五章
万違
(
まちがひ
)
〔一三九一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第54巻 真善美愛 巳の巻
篇:
第1篇 神授の継嗣
よみ(新仮名遣い):
しんじゅのけいし
章:
第5章 万違
よみ(新仮名遣い):
まちがい
通し章番号:
1391
口述日:
1923(大正12)年02月21日(旧01月6日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月26日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
治国別は松彦、竜彦を連れて神殿建設の監督に出かけており、留守であった。留守を預かっていた万公は、左守が突然の無理な結婚話を相談にやってきたと聞いて、てっきりダイヤ姫が自分と結婚したいと言い出したのかと勘違いした。
万公は、治国別が留守の間は自分の意見が治国別の意見だと調子のいいことを言って、左守が身分違いの結婚に異議を唱えるのを反論し始めた。万公は、ダイヤ姫が身分の違いを撤廃したいと言っていた、などと自分に都合のよい説を、左守に得々と聞かせている。
左守は、万公がダイヤ姫との結婚話で相談に来たと勘違いしていることに気づき、ダイヤ姫の件で伺ったわけではないと万公に伝えた。
万公は当てがあずれながらも、左守に湯を出しがてら、ありもしないダイヤ姫とのロマンスを作って聞かせた。左守は呆れて笑い、ダイヤ姫が夫に望んだのは竜彦だったが、治国別の許しがまだ出ていないのだ、と万公に明かした。
万公は機嫌を損ねて左守に食って掛かるが、体よくからかわれてしまう。そこへ治国別が松彦・竜彦と共に帰ってきた。治国別は左守に詫びを入れ、左守に失礼な対応をしないよう万公に注意した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-01-10 14:05:02
OBC :
rm5405
愛善世界社版:
59頁
八幡書店版:
第9輯 641頁
修補版:
校定版:
58頁
普及版:
28頁
初版:
ページ備考:
001
左守
(
さもり
)
は
青
(
あを
)
い
面
(
かほ
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
002
切
(
しき
)
りに
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
け、
003
治国別
(
はるくにわけ
)
の
館
(
やかた
)
を
訪
(
おとづ
)
れた。
004
治国別
(
はるくにわけ
)
は
竜彦
(
たつひこ
)
、
005
松彦
(
まつひこ
)
を
伴
(
ともな
)
ひ、
006
ビクトル
山
(
さん
)
の
神殿
(
しんでん
)
建築
(
けんちく
)
の
模様
(
もやう
)
を
見
(
み
)
むとて、
007
監督
(
かんとく
)
がてら
出
(
で
)
て
行
(
い
)
つた
後
(
あと
)
である。
008
万公
(
まんこう
)
は
入口
(
いりぐち
)
の
間
(
ま
)
に
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
机
(
つくゑ
)
に
凭
(
もた
)
れて
居眠
(
ゐねむ
)
つてゐると、
009
『
御免
(
ごめん
)
なされませ』と
入
(
い
)
つて
来
(
き
)
たのは
左守
(
さもり
)
のキユービツトであつた。
010
万公
(
まんこう
)
は
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
いて、
011
万公
(
まんこう
)
『あ、
012
左守殿
(
さもりどの
)
、
013
よくお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいました。
014
何
(
なん
)
の
御用
(
ごよう
)
で
厶
(
ござ
)
いますか、
015
大方
(
おほかた
)
縁談
(
えんだん
)
でお
越
(
こ
)
しになつたのでせう、
016
エヘヘヘヘ』
017
左守
(
さもり
)
『お
察
(
さつ
)
しの
通
(
とほ
)
り、
018
縁談
(
えんだん
)
に
付
(
つ
)
いて
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
に
上
(
あが
)
りました。
019
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
は
御
(
お
)
宅
(
たく
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
020
万公
(
まんこう
)
『ハイ、
021
今
(
いま
)
一寸
(
ちよつと
)
ビクトル
山
(
ざん
)
の
御
(
ご
)
普請
(
ふしん
)
監督
(
かんとく
)
がてら、
022
お
越
(
こ
)
しになりました、
023
やがてお
帰
(
かへ
)
りになりませうから、
024
待
(
ま
)
つてゐて
下
(
くだ
)
さい。
025
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
御
(
ご
)
不在中
(
ふざいちう
)
は
此
(
この
)
万公
(
まんこう
)
が
全権
(
ぜんけん
)
を
行使
(
かうし
)
することになつて
居
(
を
)
りますから、
026
つまり
拙者
(
せつしや
)
の
意見
(
いけん
)
は
先生
(
せんせい
)
の
意見
(
いけん
)
で
厶
(
ござ
)
います。
027
何卒
(
どうぞ
)
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ、
028
随分
(
ずいぶん
)
青
(
あを
)
いお
顔
(
かほ
)
ですな』
029
左守
(
さもり
)
『イヤもう
地異
(
ちい
)
天変
(
てんぺん
)
、
030
話
(
はなし
)
にも
杭
(
くひ
)
にもかからない
結婚
(
けつこん
)
沙汰
(
ざた
)
が
持上
(
もちあが
)
りまして、
031
私
(
わたくし
)
には
判断
(
はんだん
)
がつき
兼
(
か
)
ね、
032
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
判断
(
はんだん
)
を
願
(
ねが
)
はうと
思
(
おも
)
ひ、
033
御
(
お
)
邪魔
(
じやま
)
を
致
(
いた
)
しました』
034
万公
(
まんこう
)
は
早
(
はや
)
くも……ダイヤ
姫
(
ひめ
)
と
自分
(
じぶん
)
は
炊事
(
すゐじ
)
や
膳部係
(
ぜんぶがかり
)
をやつた
時
(
とき
)
、
035
チヨイチヨイ
視線
(
しせん
)
を
通
(
かよ
)
はしておいたから、
036
姫
(
ひめ
)
さまが
駄々
(
だだ
)
をこね
出
(
だ
)
し、
037
頑固
(
ぐわんこ
)
な
左守
(
さもり
)
が
其
(
その
)
事
(
こと
)
でもて
余
(
あま
)
し、
038
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
相談
(
さうだん
)
に
来
(
き
)
よつたのだな、
039
ヨシヨシ、
040
不在
(
ふざい
)
を
幸
(
さいは
)
ひ、
041
此
(
この
)
際
(
さい
)
に
頑固爺
(
ぐわんこおやぢ
)
の
頭脳
(
づなう
)
を
改造
(
かいざう
)
しておかねば、
042
折角
(
せつかく
)
の
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
思召
(
おぼしめ
)
しも
画餅
(
ぐわへい
)
になつて
了
(
しま
)
ふ……と
自分
(
じぶん
)
の
事
(
こと
)
に
取
(
と
)
り、
043
ワザとすました
顔
(
かほ
)
で、
044
万公
(
まんこう
)
『
地異
(
ちい
)
天変
(
てんぺん
)
的
(
てき
)
縁談
(
えんだん
)
とは、
045
ソレヤ
又
(
また
)
何
(
なん
)
で
厶
(
ござ
)
いますか、
046
相思
(
さうし
)
の
男女
(
だんぢよ
)
が
結婚
(
けつこん
)
をするについては、
047
別
(
べつ
)
に
地位
(
ちゐ
)
も
門閥
(
もんばつ
)
もヘツタクレもあつたものぢやありますまい』
048
左守
(
さもり
)
『イヤ、
049
理窟
(
りくつ
)
を
云
(
い
)
へばさうかも
知
(
し
)
れませぬが、
050
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つても
一方
(
いつぱう
)
は
刹帝利
(
せつていり
)
家
(
け
)
の
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いますから、
051
余程
(
よほど
)
考
(
かんが
)
へなくてはなりますまい。
052
未
(
ま
)
だ
王
(
わう
)
様
(
さま
)
にも
申上
(
まをしあ
)
げず、
053
先
(
ま
)
づ
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
を
伺
(
うかが
)
つた
上
(
うへ
)
と、
054
忍
(
しの
)
んで
参
(
まゐ
)
りました』
055
万公
(
まんこう
)
『
成程
(
なるほど
)
、
056
夫
(
そ
)
れは
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
さまで
厶
(
ござ
)
います。
057
刹帝利
(
せつていり
)
家
(
け
)
に
関
(
くわん
)
する
事
(
こと
)
とあれば、
058
ハア、
059
殆
(
ほとん
)
ど
分
(
わか
)
りました。
060
男女
(
だんぢよ
)
の
地位
(
ちゐ
)
に
付
(
つ
)
いて
非常
(
ひじやう
)
な
懸隔
(
けんかく
)
があるから、
061
それで
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
をして
厶
(
ござ
)
るのでせう。
062
抑
(
そもそ
)
も
恋愛
(
れんあい
)
と
云
(
い
)
ふものは
古
(
ふる
)
い
頭
(
あたま
)
の
昔人間
(
むかしにんげん
)
が
考
(
かんが
)
へた
如
(
ごと
)
き、
063
決
(
けつ
)
して
劣情
(
れつじやう
)
なものではありませぬよ』
064
左守
(
さもり
)
『ソレヤよく
知
(
し
)
つて
居
(
を
)
りまする。
065
恋愛
(
れんあい
)
なくては
結婚
(
けつこん
)
問題
(
もんだい
)
は
持上
(
もちあが
)
らぬ
位
(
くらゐ
)
は、
066
左守
(
さもり
)
だつて
心得
(
こころえ
)
てゐます。
067
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
恋愛
(
れんあい
)
は
結婚
(
けつこん
)
の
要素
(
えうそ
)
だと
言
(
い
)
つても、
068
さう
無暗
(
むやみ
)
に
地位
(
ちゐ
)
も
考
(
かんが
)
へず、
069
決行
(
けつかう
)
することは
出来
(
でき
)
ませぬ。
070
恋愛
(
れんあい
)
がなかつても
結婚
(
けつこん
)
は
立派
(
りつぱ
)
に
成立
(
せいりつ
)
するものです。
071
毘舎
(
びしや
)
首陀
(
しゆだ
)
の
身分
(
みぶん
)
なれば、
072
恋愛
(
れんあい
)
至聖論
(
しせいろん
)
を
振廻
(
ふりまは
)
しても
通
(
とほ
)
りませうが、
073
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つても
一国
(
いつこく
)
の
城主
(
じやうしゆ
)
の
体面
(
たいめん
)
に
拘
(
かか
)
はる
一大事
(
いちだいじ
)
ですから、
074
下々
(
しもじも
)
のやうな
平易
(
へいい
)
な
簡単
(
かんたん
)
な
訳
(
わけ
)
には
参
(
まゐ
)
りませぬからなア』
075
万公
(
まんこう
)
『ソレヤ、
076
チと、
077
僻論
(
へきろん
)
だありませぬか、
078
よく
考
(
かんが
)
へて
御覧
(
ごらん
)
なさい。
079
貴方
(
あなた
)
は
結婚
(
けつこん
)
問題
(
もんだい
)
と
恋愛
(
れんあい
)
問題
(
もんだい
)
と
放
(
はな
)
してゐられるやうですが、
080
左様
(
さやう
)
な
無理解
(
むりかい
)
な
事
(
こと
)
は、
081
今日
(
こんにち
)
の
教育
(
けういく
)
を
受
(
う
)
けた
人間
(
にんげん
)
には
思考
(
しかう
)
する
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ。
082
例
(
たと
)
へば
頭脳
(
づなう
)
はなくても
人間
(
にんげん
)
は
人間
(
にんげん
)
でせう。
083
頭脳
(
づなう
)
以外
(
いぐわい
)
の
要素
(
えうそ
)
が
備
(
そな
)
はつておれば、
084
いかにも
人間
(
にんげん
)
に
相違
(
さうゐ
)
ありますまい。
085
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らそれを
何
(
ど
)
うしても
立派
(
りつぱ
)
な
人間
(
にんげん
)
らしい
人間
(
にんげん
)
だとは
言
(
い
)
はれますまい。
086
それと
同様
(
どうやう
)
に
恋愛
(
れんあい
)
がなくても
法律
(
はふりつ
)
上
(
じやう
)
の
婚姻
(
こんいん
)
は、
087
形式
(
けいしき
)
として
立派
(
りつぱ
)
に
成立
(
せいりつ
)
することはするでせう。
088
併
(
しか
)
しそれは
真
(
しん
)
に
男子
(
だんし
)
たり、
089
女子
(
ぢよし
)
たる
者
(
もの
)
の
人格
(
じんかく
)
と
自由
(
じいう
)
を
尊重
(
そんちよう
)
した
精神
(
せいしん
)
的
(
てき
)
意義
(
いぎ
)
ある
完全
(
くわんぜん
)
な
結婚
(
けつこん
)
だとは、
090
吾々
(
われわれ
)
は
断
(
だん
)
じて
信
(
しん
)
ずる
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬからな』
091
左守
(
さもり
)
『さう
承
(
うけたま
)
はれば、
092
さうに
違
(
ちが
)
ひありませぬが、
093
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
思
(
おも
)
ふ
様
(
やう
)
にいかぬもので、
094
理論
(
りろん
)
と
実地
(
じつち
)
とは
違
(
ちが
)
ふものですからなア』
095
万公
(
まんこう
)
『
今
(
いま
)
は
旧道徳
(
きうだうとく
)
廃
(
すた
)
れ、
096
新道徳
(
しんだうとく
)
起
(
おこ
)
らずと
云
(
い
)
ふ
混沌
(
こんとん
)
時代
(
じだい
)
ですから、
097
非常
(
ひじやう
)
に
青年
(
せいねん
)
男女
(
だんぢよ
)
が
頭
(
あたま
)
を
悩
(
なや
)
ましてをりますが、
098
時勢
(
じせい
)
に
目
(
め
)
の
醒
(
さ
)
めた
女
(
をんな
)
ならば、
099
キツと
恋愛
(
れんあい
)
結婚
(
けつこん
)
を
以
(
もつ
)
て
最上
(
さいじやう
)
の
方法
(
はうはふ
)
とするでせう。
100
私
(
わたくし
)
は
現代
(
げんだい
)
の
婦人
(
ふじん
)
に
同情
(
どうじやう
)
致
(
いた
)
します。
101
特
(
とく
)
にダイヤ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
などは、
102
時代
(
じだい
)
に
目
(
め
)
の
醒
(
さ
)
めた
方
(
かた
)
ですよ。
103
私
(
わたし
)
とホン
少時
(
しばらく
)
で
厶
(
ござ
)
いましたが、
104
炊事場
(
すゐじば
)
の
立話
(
たちばなし
)
に、
105
かやうな
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
いましたよ。
106
……』
107
左守
(
さもり
)
『エ、
108
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
が、
109
どんな
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
いましたか、
110
参考
(
さんかう
)
の
為
(
ため
)
に
一
(
ひと
)
つ
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひたいものですなア』
111
万公
(
まんこう
)
『サア、
112
聞
(
き
)
かして
上
(
あ
)
げない
事
(
こと
)
もありませぬが、
113
イ……
此
(
この
)
話
(
はなし
)
が
落着
(
らくちやく
)
する
迄
(
まで
)
暫
(
しばら
)
く
保留
(
ほりう
)
しておきたいものです。
114
互
(
たがひ
)
の
迷惑
(
めいわく
)
になると
困
(
こま
)
ります』
115
と
早
(
はや
)
くも
左守
(
さもり
)
が
自分
(
じぶん
)
とダイヤ
姫
(
ひめ
)
の
結婚
(
けつこん
)
問題
(
もんだい
)
に
就
(
つ
)
いて
来
(
き
)
たものと
信
(
しん
)
じてゐる。
116
左守
(
さもり
)
『どうか、
117
私
(
わたし
)
も
左守
(
さもり
)
として
御
(
ご
)
教育
(
けういく
)
申上
(
まをしあ
)
げる
関係
(
くわんけい
)
上
(
じやう
)
、
118
一
(
ひと
)
つ
聞
(
き
)
きたいものですな。
119
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つてゐられましたか』
120
万公
(
まんこう
)
『
私
(
わたくし
)
と
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
との
談話
(
だんわ
)
の
中
(
うち
)
に、
121
かふいふお
言葉
(
ことば
)
がありました。
122
実
(
じつ
)
に
賢明
(
けんめい
)
なお
姫
(
ひめ
)
さまですよ。
123
今時
(
いまどき
)
の
婦人
(
ふじん
)
はああなくては
叶
(
かな
)
ひませぬワイ。
124
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
に
依
(
よ
)
れば、
125
人間
(
にんげん
)
と
生活
(
せいくわつ
)
とを
先
(
ま
)
づ
本質
(
ほんしつ
)
的
(
てき
)
に、
126
根本
(
こんぽん
)
的
(
てき
)
に、
127
第一義
(
だいいちぎ
)
的
(
てき
)
に
考
(
かんが
)
へてみなくてはならぬ。
128
何
(
なん
)
等
(
ら
)
の
偏見
(
へんけん
)
もなく、
129
捉
(
とら
)
はるる
所
(
ところ
)
もなしに、
130
人生
(
じんせい
)
の
真味
(
しんみ
)
を
正
(
ただ
)
しく
悟
(
さと
)
つてみなくてはならぬ。
131
互
(
たがひ
)
に
理解
(
りかい
)
なき
結婚
(
けつこん
)
といふものは
実
(
じつ
)
に
人生
(
じんせい
)
に
於
(
お
)
ける
罪悪
(
ざいあく
)
の
源泉
(
げんせん
)
となるものだ……との
結論
(
けつろん
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
132
本当
(
ほんたう
)
に、
133
左守
(
さもり
)
さま、
134
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
の
通
(
とほ
)
りだありませぬか、
135
私
(
わたくし
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
其
(
その
)
お
説
(
せつ
)
に
共鳴
(
きようめい
)
したのですよ』
136
と
姫
(
ひめ
)
の
一口
(
ひとくち
)
も
云
(
い
)
はない
言葉
(
ことば
)
を
甘
(
うま
)
く、
137
左守
(
さもり
)
に、
138
聞
(
き
)
いた
様
(
やう
)
な
顔
(
かほ
)
して
話
(
はなし
)
してゐる
其
(
その
)
狡猾
(
ずる
)
さ。
139
左守
(
さもり
)
は……ダイヤ
姫
(
ひめ
)
さまの
事
(
こと
)
なら、
140
定
(
さだ
)
めてすれつからしだから、
141
年
(
とし
)
はゆかいでも、
142
其
(
その
)
位
(
くらゐ
)
な
事
(
こと
)
は
仰有
(
おつしや
)
るだらう……と
少
(
すこ
)
しも
疑
(
うたが
)
はず、
143
膝
(
ひざ
)
を
乗
(
の
)
り
出
(
だ
)
し、
144
首
(
くび
)
を
前
(
まへ
)
へ
突出
(
つきだ
)
して、
145
『ハイハイ』と
熱心
(
ねつしん
)
に
聞
(
き
)
きかけた。
146
万公
(
まんこう
)
はここぞと
言
(
い
)
はぬ
許
(
ばか
)
りに、
147
万公
(
まんこう
)
『そこでダイヤ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
が
仰有
(
おつしや
)
るには、
148
……
人間
(
にんげん
)
としての
婦人
(
ふじん
)
ならば、
149
すべての
欠陥
(
けつかん
)
と
不備
(
ふび
)
とを
見
(
み
)
て、
150
避
(
さ
)
け
得
(
え
)
らるる
丈
(
だけ
)
の
害悪
(
がいあく
)
は
之
(
これ
)
を
排除
(
はいじよ
)
しようと
努
(
つと
)
めねばならない。
151
此
(
この
)
努力
(
どりよく
)
を
惜
(
をし
)
むやうな
婦人
(
ふじん
)
は
卑怯者
(
ひけふもの
)
だ。
152
卑怯者
(
ひけふもの
)
でなければ
怠惰者
(
なまけもの
)
だ、
153
怠惰者
(
なまけもの
)
でなければ
馬鹿者
(
ばかもの
)
だ……と
云
(
い
)
つてゐられましたよ。
154
……かふ
云
(
い
)
ふ
卑怯者
(
ひけふもの
)
や
馬鹿者
(
ばかもの
)
、
155
怠惰者
(
なまけもの
)
の
絶
(
た
)
えない
内
(
うち
)
は
世間
(
せけん
)
は
一歩
(
いつぽ
)
たり
共
(
とも
)
進
(
すす
)
む
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ない、
156
何事
(
なにごと
)
も
改造
(
かいざう
)
されて
行
(
ゆ
)
く
時機
(
じき
)
だから、
157
吾々
(
われわれ
)
は
何事
(
なにごと
)
も
率先
(
そつせん
)
して
上下
(
じやうげ
)
階級
(
かいきふ
)
の
差別
(
さべつ
)
を
撤廃
(
てつぱい
)
したい……と、
158
年
(
とし
)
にも
似合
(
にあは
)
ず、
159
それはそれは
舌端
(
ぜつたん
)
火
(
ひ
)
を
吹
(
ふ
)
いてまくしたてられましたよ。
160
私
(
わたくし
)
も
其
(
その
)
お
説
(
せつ
)
と
弁舌
(
べんぜつ
)
にスツカリ
共鳴
(
きようめい
)
致
(
いた
)
しました、
161
実
(
じつ
)
に
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
には
千釣
(
せんきん
)
の
重
(
おも
)
みがあるだありませぬか。
162
改造
(
かいざう
)
のない
所
(
ところ
)
には
向上
(
かうじやう
)
も
進歩
(
しんぽ
)
もあるものではない。
163
そんな
事
(
こと
)
では
何時
(
いつ
)
まで
経
(
た
)
つても、
164
天国
(
てんごく
)
の
門戸
(
もんこ
)
はエターナルに
開
(
ひら
)
けるものだありませぬ。
165
そして
真善美
(
しんぜんび
)
の
光明
(
くわうみやう
)
は
遂
(
つひ
)
に
地上
(
ちじやう
)
に
輝
(
かがや
)
く
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ないでせう』
166
左守
(
さもり
)
『
成程
(
なるほど
)
、
167
一応
(
いちおう
)
御尤
(
ごもつと
)
もですが、
168
貴方
(
あなた
)
は
何程
(
なにほど
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
説
(
せつ
)
を
共鳴
(
きようめい
)
なさつたと
云
(
い
)
つても、
169
宗教家
(
しうけうか
)
だから、
170
心底
(
しんてい
)
からそんな
事
(
こと
)
に
耳
(
みみ
)
を
傾
(
かたむ
)
けらるる
方
(
かた
)
でないと、
171
私
(
わたくし
)
は
信
(
しん
)
じますが、
172
どうですかな』
173
万公
(
まんこう
)
『
宗教家
(
しうけうか
)
だと
云
(
い
)
つて、
174
どうして
宇宙
(
うちう
)
の
真理
(
しんり
)
を
曲
(
ま
)
げる
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ませうか。
175
抑
(
そもそ
)
も
愛
(
あい
)
は
人間
(
にんげん
)
生活
(
せいくわつ
)
の
根本
(
こつぽん
)
要件
(
えうけん
)
であり、
176
そして
一切
(
いつさい
)
宗教
(
しうけう
)
の
源泉
(
げんせん
)
も
亦
(
また
)
愛
(
あい
)
から
出
(
で
)
てゐるのです。
177
さうだから
人心
(
じんしん
)
を
支配
(
しはい
)
して
正
(
ただ
)
しく
之
(
これ
)
を
導
(
みちび
)
き
得
(
う
)
る
所
(
ところ
)
のものは
勿論
(
もちろん
)
禁欲
(
きんよく
)
主義
(
しゆぎ
)
のバラモン
教
(
けう
)
や、
178
ウラナイ
教
(
けう
)
の
様
(
やう
)
なものではありませぬ。
179
三五教
(
あななひけう
)
は
其
(
その
)
様
(
やう
)
な
古
(
ふる
)
い
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
ひませぬぞ。
180
三五教
(
あななひけう
)
は
自己
(
じこ
)
否定
(
ひてい
)
的
(
てき
)
な
古
(
ふる
)
い
道徳
(
だうとく
)
でもなく
形式
(
けいしき
)
でもなく、
181
本当
(
ほんたう
)
に
時代
(
じだい
)
に
適応
(
てきおう
)
した
明
(
あきら
)
かな
教
(
をしへ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
182
人間
(
にんげん
)
らしき
欲求
(
よくきう
)
を
否定
(
ひてい
)
し
去
(
さ
)
る
事
(
こと
)
に
仍
(
よ
)
つて、
183
地上
(
ちじやう
)
に
天国
(
てんごく
)
楽園
(
らくゑん
)
を
建設
(
けんせつ
)
し
得
(
う
)
るとは、
184
どうしても
考
(
かんが
)
へる
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬからな。
185
寧
(
むし
)
ろ
人間
(
にんげん
)
の
欲求
(
よくきう
)
を
肯定
(
こうてい
)
し
強調
(
きやうてう
)
して、
186
而
(
しか
)
もそれが
又
(
また
)
同時
(
どうじ
)
に
自己
(
じこ
)
否定
(
ひてい
)
、
187
自己
(
じこ
)
犠牲
(
ぎせい
)
の
精神
(
せいしん
)
と
全然
(
ぜんぜん
)
合一
(
がふいつ
)
して、
188
吾
(
われ
)
と
非我
(
ひが
)
との
間
(
あひだ
)
に
不調和
(
ふてうわ
)
なきものであらしめねばならぬものだと
思
(
おも
)
ひます。
189
かくの
如
(
ごと
)
き
心境
(
しんきやう
)
はどうしても
之
(
これ
)
を
愛
(
あい
)
の
世界
(
せかい
)
に
見出
(
みいだ
)
すより
外
(
ほか
)
ないだありませぬか、
190
愛
(
あい
)
には
上下
(
じやうげ
)
の
隔
(
へだ
)
てもなければ、
191
階級
(
かいきふ
)
だの、
192
形式
(
けいしき
)
だの、
193
財産
(
ざいさん
)
だの、
194
法律
(
はふりつ
)
などの
仮定
(
かてい
)
的
(
てき
)
なものの
容喙
(
ようかい
)
を
許
(
ゆる
)
さない
神聖
(
しんせい
)
不可犯
(
ふかはん
)
なものですからな。
195
貴方
(
あなた
)
は、
196
私
(
わたくし
)
と
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
との
恋愛観
(
れんあいくわん
)
を、
197
要
(
えう
)
するに
先生
(
せんせい
)
に
願
(
ねが
)
つて、
198
不調
(
ふてう
)
ならしめむとする
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へでせう。
199
何程
(
なにほど
)
本人
(
ほんにん
)
以外
(
いぐわい
)
の
者
(
もの
)
が
垣
(
かき
)
をしたつて、
200
堰
(
せ
)
けば
溢
(
あふ
)
るる
堰
(
せき
)
の
水
(
みづ
)
、
201
どつかへ
破裂
(
はれつ
)
致
(
いた
)
しますから、
202
そこはよく
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へなさるが
宜
(
よろ
)
しいでせう』
203
左守
(
さもり
)
『アハハハハ、
204
イヤ、
205
それや
話
(
はなし
)
が
違
(
ちが
)
ひますよ。
206
ダイヤ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
と
貴方
(
あなた
)
の
事
(
こと
)
に
就
(
つ
)
いては、
207
まだ
一回
(
いつくわい
)
も
話頭
(
わとう
)
に
上
(
のぼ
)
つた
事
(
こと
)
はありませぬ。
208
随分
(
ずいぶん
)
貴方
(
あなた
)
も
自惚心
(
うぬぼれごころ
)
がお
強
(
つよ
)
いお
方
(
かた
)
ですな、
209
アハハハハ』
210
万公
(
まんこう
)
は
拍子
(
ひやうし
)
の
抜
(
ぬ
)
けたやうな
顔
(
かほ
)
をして
頭
(
あたま
)
を
掻
(
か
)
き、
211
万公
(
まんこう
)
『ヘーン、
212
そんな
筈
(
はず
)
はないのだがなア。
213
あれ
程
(
ほど
)
固
(
かた
)
う
約束
(
やくそく
)
をしておいたのだもの、
214
ハハア
大方
(
おほかた
)
恥
(
はづか
)
しいので
隠
(
かく
)
してゐらつしやるのだな。
215
治国別
(
はるくにわけ
)
さまにラブしたやうな
顔
(
かほ
)
をして、
216
お
前
(
まへ
)
さまに
談判
(
だんぱん
)
に
来
(
き
)
さしたのかな、
217
治国別
(
はるくにわけ
)
さまは
立派
(
りつぱ
)
な
奥
(
おく
)
さまがありますよ、
218
松彦
(
まつひこ
)
だつて
其
(
その
)
通
(
とほ
)
り、
219
竜彦
(
たつひこ
)
だつてどつかにありませう、
220
さうすれば
拙者
(
せつしや
)
にきまつて
居
(
を
)
りませうがな』
221
左守
(
さもり
)
『アハハハハ、
222
ヤアもう
万公
(
まんこう
)
さまの
自惚
(
うぬぼれ
)
には
感心
(
かんしん
)
致
(
いた
)
しました。
223
それ
丈
(
だけ
)
の
馬力
(
ばりき
)
がなくては
到底
(
たうてい
)
宣伝使
(
せんでんし
)
に
伴
(
つ
)
いて
歩
(
ある
)
く
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きますまい。
224
問題
(
もんだい
)
がスツカリ
間違
(
まちが
)
つてるのですからな』
225
万公
(
まんこう
)
『
問題
(
もんだい
)
が
間違
(
まちが
)
うと
云
(
い
)
つても、
226
ここへお
出
(
い
)
でになつた
以上
(
いじやう
)
は
吾々
(
われわれ
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
中
(
うち
)
でせう。
227
あの
荊
(
いばら
)
だらけの
山阪
(
やまさか
)
を
越
(
こ
)
えて、
228
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
御
(
ご
)
兄妹
(
きやうだい
)
をお
伴
(
つ
)
れ
申
(
まを
)
して
帰
(
かへ
)
つたのだから、
229
人情
(
にんじやう
)
の
上
(
うへ
)
から
云
(
い
)
つても、
230
メツタに
外
(
そと
)
へ
嫁入
(
よめいり
)
をなさる
筈
(
はず
)
がありますまい』
231
左守
(
さもり
)
『とても
見当
(
けんたう
)
が
取
(
と
)
れませぬから、
232
先
(
ま
)
づ
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
が
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
りまで、
233
ここで
一服
(
いつぷく
)
さして
貰
(
もら
)
ひませう。
234
お
茶
(
ちや
)
を
一
(
ひと
)
つ
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
したいものですな』
235
万公
(
まんこう
)
『
常
(
つね
)
なればお
茶
(
ちや
)
を
差上
(
さしあ
)
げますが、
236
結構
(
けつこう
)
な
縁談
(
えんだん
)
に
茶々
(
ちやちや
)
が
入
(
い
)
つては
約
(
つま
)
りませぬから、
237
今日
(
こんにち
)
は
白湯
(
さゆ
)
でこらへて
貰
(
もら
)
ひませう、
238
折角
(
せつかく
)
の
良縁
(
りやうえん
)
が
フイ
になつては、
239
互
(
たがひ
)
の
不利益
(
ふりえき
)
ですからなア』
240
左守
(
さもり
)
『ヤア、
241
どうも
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りました。
242
何
(
なん
)
でも
結構
(
けつこう
)
で
厶
(
ござ
)
います』
243
万公
(
まんこう
)
は
白湯
(
さゆ
)
を
汲
(
く
)
んで
手
(
て
)
を
震
(
ふる
)
はせ
乍
(
なが
)
ら、
244
左守
(
さもり
)
の
前
(
まへ
)
に
恭
(
うやうや
)
しくつき
出
(
だ
)
した。
245
左守
(
さもり
)
『ヤ、
246
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います、
247
えらうお
手
(
て
)
が
震
(
ふる
)
うてるぢやありませぬか』
248
万公
(
まんこう
)
『イヤもう
震
(
ふる
)
うといふ
訳
(
わけ
)
ではありませぬが、
249
ダイヤ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
が
私
(
わたし
)
の
手
(
て
)
をグツと
握
(
にぎ
)
つて
細
(
ほそ
)
い
目
(
め
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
250
お
歌
(
うた
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばした
事
(
こと
)
を
今
(
いま
)
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
し、
251
ハートに
波
(
なみ
)
が
打
(
う
)
つて、
252
少
(
すこ
)
し
許
(
ばか
)
り
全身
(
ぜんしん
)
に
動揺
(
どうえう
)
を
感
(
かん
)
じたのですよ、
253
エヘヘヘヘ』
254
左守
(
さもり
)
『あんな
若
(
わか
)
い
娘
(
むすめ
)
がどんな
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
はれました、
255
一寸
(
ちよつと
)
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひたいものです』
256
万公
(
まんこう
)
『
天機
(
てんき
)
洩
(
も
)
らす
可
(
べか
)
らず、
257
どこ
迄
(
まで
)
も「
之
(
こ
)
れは
万公
(
まんこう
)
さま、
258
内証
(
ないしよう
)
だよ」と
仰有
(
おつしや
)
つた
言葉
(
ことば
)
を
無
(
む
)
にする
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きませぬから、
259
発表
(
はつぺう
)
するのは
先
(
ま
)
づやめておきませう。
260
併
(
しか
)
し
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
と
私
(
わたし
)
との
間柄
(
あひだがら
)
を
汲
(
く
)
み
取
(
と
)
つて
下
(
くだ
)
さるならば、
261
申上
(
まをしあ
)
げない
事
(
こと
)
もありませぬ』
262
左守
(
さもり
)
『お
歌
(
うた
)
の
様子
(
やうす
)
に
仍
(
よ
)
つては、
263
左守
(
さもり
)
にも
考
(
かんが
)
へがありますから、
264
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひたいものです』
265
万公
(
まんこう
)
『エー、
266
キツと
笑
(
わら
)
ひませぬか、
267
……
否
(
いな
)
立腹
(
りつぷく
)
しちやなりませぬよ。
268
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
情
(
じやう
)
のこもつた
歌
(
うた
)
ですからな。
269
貴方
(
あなた
)
のやうなお
年
(
とし
)
よりにはチツと
解
(
かい
)
しにくいかも
知
(
し
)
れませぬが、
270
此
(
この
)
万公
(
まんこう
)
の
鋭敏
(
えいびん
)
な
頭脳
(
づなう
)
には
電気
(
でんき
)
に
打
(
う
)
たれやうに
感
(
かん
)
じましたよ。
271
マア
沢山
(
たくさん
)
の
歌
(
うた
)
の
中
(
なか
)
で
一二
(
いちに
)
を
申
(
まを
)
しますれば、
272
ザツと
左
(
さ
)
の
通
(
とほ
)
りです』
273
とダイヤ
姫
(
ひめ
)
が
歌
(
うた
)
つた
事
(
こと
)
もない
歌
(
うた
)
を
急造
(
きふざう
)
して
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めた。
274
万公
(
まんこう
)
『
恋着
(
れんちやく
)
の
南風
(
なんぷう
)
に
275
いとかむばしき
帆
(
ほ
)
を
上
(
あ
)
げて
276
漂渺
(
へうべう
)
たる
大海原
(
おほうなばら
)
を
277
遠
(
とほ
)
く
遠
(
とほ
)
く
278
恋
(
こひ
)
しき
君
(
きみ
)
を
乗
(
の
)
せ
行
(
ゆ
)
く
279
ヘヘヘヘヘ
280
果
(
は
)
てしも
知
(
し
)
らぬ
恋
(
こひ
)
の
海
(
うみ
)
281
愛
(
あい
)
の
船路
(
ふなぢ
)
のいや
永
(
なが
)
く
282
いと
遠
(
とほ
)
く
283
うら
紫
(
むらさき
)
の
284
潮
(
うしほ
)
の
歌
(
うた
)
のゆらぎにとけてゆく
285
恋
(
こひ
)
に
縺
(
もつ
)
れし
吾
(
わが
)
思
(
おも
)
ひ
286
花
(
はな
)
爛漫
(
らんまん
)
と
咲匂
(
さきにほ
)
ふ
287
恋
(
こひ
)
の
泉
(
いづみ
)
のそのほとり
288
うつす
姿
(
すがた
)
は
万公
(
まんこう
)
さま
289
花
(
はな
)
を
争
(
あらそ
)
ふダイヤ
姫
(
ひめ
)
290
晴
(
は
)
れて
添
(
そ
)
ふ
日
(
ひ
)
を
松
(
まつ
)
の
下
(
した
)
。
291
ヘヘヘヘヘ、
292
てな
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
りましたよ。
293
どうです、
294
これでも
両人
(
りやうにん
)
の
心
(
こころ
)
が
汲取
(
くみと
)
られませぬかな』
295
左守
(
さもり
)
『ハハハハハ、
296
大分
(
だいぶ
)
に
陽気
(
やうき
)
がポカポカするので
春情
(
しゆんじやう
)
があふれて
来
(
き
)
たとみえますな……ヘン
馬鹿
(
ばか
)
にして
下
(
くだ
)
さるな。
297
黙
(
だま
)
つて
聞
(
き
)
いてをれば、
298
ようマア、
299
モンクの
身
(
み
)
として
左様
(
さやう
)
なウソが
言
(
い
)
はれますな、
300
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
に
何
(
なに
)
もかも
聞
(
き
)
いてありますよ。
301
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
夫
(
をつと
)
に
持
(
も
)
ちたいと
仰有
(
おつしや
)
るのは
竜彦
(
たつひこ
)
さまです。
302
併
(
しか
)
しこれも
治国別
(
はるくにわけ
)
様
(
さま
)
に
先日
(
せんじつ
)
お
尋
(
たづ
)
ねした
所
(
ところ
)
が、
303
お
許
(
ゆる
)
しにならなかつたので、
304
これは
駄目
(
だめ
)
でした。
305
お
前
(
まへ
)
さまはてんで
問題
(
もんだい
)
になつて
居
(
を
)
りませぬがな。
306
性欲
(
せいよく
)
を
抑制
(
よくせい
)
する
為
(
ため
)
に
臭
(
しう
)
ボツ
でもお
呑
(
の
)
みになつたらどうですか、
307
それで
足
(
た
)
らねばルタ・グレベオレンスク
草
(
さう
)
か、
308
但
(
ただし
)
は
芥子
(
からし
)
か
唐辛
(
たうがらし
)
をおあがりなさい。
309
春駒
(
はるこま
)
があばれ
出
(
だ
)
しては、
310
治国別
(
はるくにわけ
)
さまも
大変
(
たいへん
)
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
だらうから、
311
それが
厭
(
いや
)
なら、
312
淡泊
(
たんぱく
)
な
食物
(
しよくもつ
)
か、
313
多量
(
たりやう
)
なアルコールでも
飲
(
の
)
めばキツと
抑制
(
よくせい
)
出来
(
でき
)
ますよ。
314
アハハハハ』
315
万公
(
まんこう
)
はクワツと
怒
(
いか
)
り、
316
万公
(
まんこう
)
『コレヤ
爺
(
おやぢ
)
、
317
何程
(
なにほど
)
左守
(
さもり
)
だとて
偉相
(
えらさう
)
に
言
(
い
)
ふな、
318
ドタマの
古
(
ふる
)
い
男
(
をとこ
)
だなア、
319
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
が
今日
(
こんにち
)
斯
(
か
)
うして
安全
(
あんぜん
)
に
暮
(
くら
)
してるのは、
320
皆
(
みな
)
俺
(
おれ
)
の
先生
(
せんせい
)
のお
蔭
(
かげ
)
だぞ。
321
先生
(
せんせい
)
の
御恩
(
ごおん
)
を
覚
(
おぼ
)
えてるのなら、
322
なぜ
最愛
(
さいあい
)
の
弟子
(
でし
)
を
嘲弄
(
てうろう
)
するのだ。
323
男
(
をとこ
)
の
鼻
(
はな
)
を
折
(
を
)
らうと
致
(
いた
)
しても、
324
いつかな いつかな
折
(
を
)
られるやうな
万公
(
まんこう
)
ぢやないぞ』
325
左守
(
さもり
)
『イヤ
実
(
じつ
)
に
失礼
(
しつれい
)
な
事
(
こと
)
を
申
(
まを
)
しました。
326
何分
(
なにぶん
)
老耄
(
おいぼ
)
れて
居
(
を
)
りますので、
327
お
気
(
き
)
に
障
(
さわ
)
ることが
厶
(
ござ
)
いませうなれど、
328
何卒
(
どうぞ
)
御
(
お
)
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
329
万公
(
まんこう
)
『お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
の
様
(
やう
)
な
老耄
(
おいぼれ
)
は
恋愛
(
れんあい
)
や
情欲
(
じやうよく
)
の
如何
(
いか
)
なるものかと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
分
(
わか
)
るまい。
330
それだからそんな
残酷
(
ざんこく
)
な
無味
(
むみ
)
乾燥
(
かんさう
)
的
(
てき
)
な
挨拶
(
あいさつ
)
をするのだ。
331
チとお
前
(
まへ
)
も
性欲
(
せいよく
)
を
増進
(
ぞうしん
)
させて、
332
恋愛
(
れんあい
)
の
真味
(
しんみ
)
を
味
(
あぢ
)
はひなさい。
333
玉葱
(
たまねぎ
)
に
薤
(
にら
)
、
334
牛蒡
(
ごぼう
)
に
人参
(
にんじん
)
、
335
オランダ
三
(
み
)
つ
葉
(
ば
)
に
魚肉
(
ぎよにく
)
、
336
牡蠣
(
かき
)
に
牛肉
(
ぎうにく
)
、
337
アヒルの
焼肉
(
やきにく
)
を
精
(
せい
)
だして
食
(
く
)
つて
御覧
(
ごらん
)
、
338
そすれば
青春
(
せいしゆん
)
の
血
(
ち
)
に
燃
(
も
)
ゆる
青年
(
せいねん
)
男女
(
だんぢよ
)
の
心裡
(
しんり
)
状態
(
じやうたい
)
もチト
分
(
わか
)
るだらう。
339
それ
丈
(
だけ
)
食
(
く
)
つても
効能
(
かうのう
)
がなければ、
340
カンタリヂンを
呑
(
の
)
むかストリキニーネか、
341
或
(
あるひ
)
はセンソ、
342
ヨヒンビン、
343
或
(
あるひ
)
は
臭化金
(
しうくわきん
)
か
鉛製
(
えんせい
)
の
白粉
(
おしろい
)
の
匂
(
にほ
)
ひを
嗅
(
か
)
ぐとキツと
性欲
(
せいよく
)
が
増進
(
ぞうしん
)
して
来
(
く
)
る。
344
そして
少量
(
せうりやう
)
のアルコールを
興奮剤
(
こうふんざい
)
として
呑
(
の
)
むのだ』
345
としつぺ
返
(
かへ
)
しに
性欲
(
せいよく
)
増進剤
(
ぞうしんざい
)
を
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て、
346
揶揄
(
からか
)
つてみた。
347
左守
(
さもり
)
『ハハハハハそれではチツと
鉛製
(
えんせい
)
の
白粉
(
おしろい
)
の
臭
(
にほひ
)
でもかいで
若
(
わか
)
やがうかなア』
348
と
話
(
はなし
)
してゐる
所
(
ところ
)
へ
治国別
(
はるくにわけ
)
は
松彦
(
まつひこ
)
、
349
竜彦
(
たつひこ
)
を
伴
(
ともな
)
い、
350
門口
(
かどぐち
)
から
突然
(
とつぜん
)
這入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
た。
351
治国
(
はるくに
)
『ヤア、
352
左守殿
(
さもりどの
)
、
353
よく
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいました。
354
不在
(
ふざい
)
でさぞ
不都合
(
ふつがふ
)
で
厶
(
ござ
)
いましたらう』
355
左守
(
さもり
)
『イエイエ
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して、
356
エライ
御
(
ご
)
厄介
(
やくかい
)
に
預
(
あづ
)
かつて
居
(
を
)
ります』
357
治国
(
はるくに
)
『どうも
万公
(
まんこう
)
が
失礼
(
しつれい
)
な
事
(
こと
)
を
申上
(
まをしあ
)
げましてすみませぬ。
358
此
(
この
)
男
(
をとこ
)
は
一寸
(
ちよつと
)
発情期
(
はつじやうき
)
に
向
(
むか
)
つて
居
(
を
)
りますから、
359
あの
通
(
とほ
)
り
目
(
め
)
が
血走
(
ちばし
)
つて
居
(
を
)
ります。
360
どうかお
気
(
き
)
にさへられないやうに
願
(
ねが
)
ひます。
361
アハハハハ』
362
万公
(
まんこう
)
『
先生
(
せんせい
)
、
363
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
りイ、
364
大変
(
たいへん
)
お
早
(
はや
)
う
厶
(
ござ
)
いましたな』
365
治国
(
はるくに
)
『ウン、
366
せうもないことを
言
(
い
)
つてはなりませぬぞ』
367
万公
(
まんこう
)
『
妾
(
せふ
)
もない
所
(
どころ
)
か、
368
至
(
いた
)
つて
微妻
(
びさい
)
に
渡
(
わた
)
り
婦人論
(
ふじんろん
)
を
妾妻
(
せふさい
)
にまくし
立
(
た
)
てて
居
(
を
)
つた
所
(
ところ
)
です。
369
此
(
この
)
爺
(
ぢい
)
さまは
丸
(
まる
)
で
枯木
(
こぼく
)
寒巌
(
かんがん
)
的
(
てき
)
の
方
(
かた
)
ですから、
370
どうしても
若
(
わか
)
い
者
(
もの
)
とはバツが
合
(
あ
)
ひませぬ』
371
竜彦
(
たつひこ
)
『ハハハハ
万公
(
まんこう
)
、
372
又
(
また
)
自惚
(
うぬぼれ
)
をしよつたな、
373
いいかげんに
夢
(
ゆめ
)
をさまさぬか』
374
万公
(
まんこう
)
『ヘン、
375
自分
(
じぶん
)
のラブを
先生
(
せんせい
)
に
茶々
(
ちやちや
)
入
(
い
)
れられただないか、
376
チヤンとそんなこた、
377
此
(
この
)
万公
(
まんこう
)
がダイヤ
姫
(
ひめ
)
さまから
聞
(
き
)
いてるのだ。
378
ヘン、
379
済
(
す
)
みませぬな』
380
竜彦
(
たつひこ
)
『ハハハハ、
381
サ、
382
松彦
(
まつひこ
)
さま、
383
ここは
万公
(
まんこう
)
に
任
(
まか
)
しておいて、
384
左守
(
さもり
)
の
司
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
接待
(
せつたい
)
に
奥
(
おく
)
へ
参
(
まゐ
)
りませう』
385
松彦
(
まつひこ
)
は『ハイ』と
答
(
こた
)
へて
治国別
(
はるくにわけ
)
の
居間
(
ゐま
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
386
(
大正一二・二・二一
旧一・六
於竜宮館
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録)
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