霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二二章 凱旋(がいせん)〔一四〇八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第54巻 真善美愛 巳の巻 篇:第5篇 神光増進 よみ(新仮名遣い):しんこうぞうしん
章:第22章 凱旋 よみ(新仮名遣い):がいせん 通し章番号:1408
口述日:1923(大正12)年02月23日(旧01月8日) 口述場所:竜宮館 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月26日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
テームス家の門番はバラモン軍が来たのではないかと警戒して門を開けないので、治国別はやむを得ず大音声で歌いだした。門番は主人に治国別と名乗る宣伝使が門前にやってきたことを伝えた。
テームスは門までやってきて治国別と言葉を交わし、本物だと確信した。門を開いて治国別一行を奥の間に招き入れた。テームスは、道晴別と名乗る宣伝使が番頭のシーナと共に、娘たちを救出に猪倉山に向かったが、未だに帰ってこないことを伝えた。
治国別はその件で立ち寄ったことをテームス夫婦に伝え、一行を救い出してくることを約束して日が暮れるころに猪倉山の山頂目指して出立した。
夜陰にまぎれて治国別一行が岩窟に紛れ込むと、鬼春別と久米彦が言い争っている。久米彦は、落とし穴に4人を落とすときに体に鉄板をめぐらしておき生かしておいたことを明かし、妹のスガールを自分の妻とするよう鬼春別と争っている。
先にスガールを助け出そうと隧道に飛び出した久米彦は、治国別一行と鉢合わせた。何者かと問うた久米彦に、治国別は堂々と名乗り出て、四人が落とし込まれている落とし穴の場所は、すでに霊眼で確認済みであることを明かした。
竜彦はたちまち四人を救い上げて鎮魂を施したので、みな息を吹き返した。鬼春別と久米彦は恐れをなして土下座し、震え慄きながら罪を謝した。
治国別は二人の将軍をはじめバラモン軍の将校たちにいろいろと誠の教えを説き諭し、かつ鬼春別、久米彦、スパール、エミシに一人ずつ怪我人を背負わせ、凱歌を奏しながら玉木村のテームスの家を目指して帰って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-04-21 22:16:35 OBC :rm5422
愛善世界社版:276頁 八幡書店版:第9輯 718頁 修補版: 校定版:282頁 普及版:123頁 初版: ページ備考:
001 (しき)りに門戸(もんこ)(たた)(こゑ)にテームスの(しもべ)二人(ふたり)(また)バラモンの雑兵(ざふひやう)が、002(なに)徴発(ちようはつ)()よつたに(ちが)ひない、003うつかり()けてはならぬと、004()()見合(みあは)せ、005何程(なにほど)(たた)いてもウンともスンとも()はずに、006(かんぬき)のした大門(おほもん)()叮嚀(ていねい)(なか)から(ささ)へて()る。007治国別(はるくにわけ)()むを()邸内(ていない)(きこ)ゆる大音声(だいおんじやう)にて宣伝歌(せんでんか)(うた)()した。
008治国別(はるくにわけ)高天原(たかあまはら)()れませる
009(すめ)大神(おほかみ)御心(みこころ)
010千々(ちぢ)(なや)ませたまひつつ
011天地(てんち)(つく)りたまひしが
012天足(あだる)(ひこ)胞場姫(えばひめ)
013(かみ)(をしへ)(そむ)きしゆ
014(その)罪咎(つみとが)邪気(じやき)となり
015()(かた)まりて(おに)となり
016八岐(やまた)大蛇(をろち)醜狐(しこぎつね)
017(もも)魔物(まもの)となり()てて
018地上(ちじやう)()める人々(ひとびと)
019(みたま)(くも)らせ(けが)しつつ
020(かみ)(おん)()(うま)れたる
021(たふと)(ひと)(からだ)をば
022曲津(まがつ)住処(すみか)となしにけり
023バラモン(けう)神柱(かむばしら)
024大黒主(おほくろぬし)曲神(まがかみ)
025頤使(いし)(したが)産土(うぶすな)
026(うづ)聖地(せいち)()(きた)
027バラモン(けう)大軍(たいぐん)
028河鹿(かじか)(たうげ)要害(えうがい)
029三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
030治国別(はるくにわけ)言霊(ことたま)
031()ちやぶられて遁走(とんそう)
032浮木(うきき)(もり)やビクトルの
033(やま)(ふもと)(ぢん)をはり
034悪虐(あくぎやく)無道(ぶだう)のありだけを
035(つく)しゐたりし(をり)もあれ
036(かみ)使(つかひ)宣伝使(せんでんし)
037治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)
038(また)もや此処(ここ)(あら)はれて
039(しこ)(いくさ)()()らし
040ビクの国家(こくか)(すく)ひたり
041鬼春別(おにはるわけ)久米彦(くめひこ)
042三千(さんぜん)()()(したが)へて
043(くも)(かすみ)()()りて
044猪倉山(ゐのくらやま)岩窟(がんくつ)
045住所(すみか)(かま)遠近(をちこち)
046人家(じんか)(かす)(ひと)()
047悪虐(あくぎやく)無道(ぶだう)振舞(ふるまひ)
048()せしと()くより吾々(われわれ)
049世人(よびと)(がい)(のぞ)かむと
050木花姫(このはなひめ)神勅(みこと)もて
051(この)()(むすめ)両人(りやうにん)
052道晴別(みちはるわけ)(すく)はむと
053此処(ここ)(まで)(いそ)()つれども
054間抜(まぬけ)きつたる門番(もんばん)
055(われ)()(てき)とあやまりて
056(ちから)(かぎ)りに(こば)みつつ
057開門(かいもん)せざるぞうたてけれ
058(この)()(あるじ)テームスよ
059三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
060治国別(はるくにわけ)相違(さうゐ)ない
061(ただ)一息(ひといき)(すみや)かに
062この(もん)(ひら)(たま)へかし
063ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
064(かみ)(ちか)ひて(いつは)りの
065なき言霊(ことたま)()(つた)ふ』
066 この(うた)二人(ふたり)門番(もんばん)(かほ)見合(みあは)せ、067半信(はんしん)半疑(はんぎ)(くも)(つつ)まれ(なが)ら、068一人(ひとり)(もん)(まも)らせ()き、069一人(ひとり)はテームスの居間(ゐま)をさして(すす)()く。
070 テームス、071ベリシナ夫婦(ふうふ)三五教(あななひけう)道晴別(みちはるわけ)が、072番頭(ばんとう)のシーナと(とも)二人(ふたり)(むすめ)(すく)()さむと勢込(いきほひこ)んで()つてから今日(けふ)三日目(みつかめ)になるのに、073(なん)音沙汰(おとさた)もないので(しき)りに(かみ)(ねん)じたり、074神籤(みくじ)()いたりして心配(しんぱい)して()た。075其処(そこ)(あわ)ただしく門番(もんばん)のビクが(はし)(きた)り、
076ビク『旦那(だんな)(さま)申上(まをしあげ)ます。077表門(をもてもん)(あた)つて(てき)味方(みかた)(ぞん)じませぬが、078三五教(あななひけう)だとか治国別(はるくにわけ)だとか、079此処(ここ)(むすめ)(たす)けに()たとか()つて(おほ)きな(こゑ)(うた)つて()ますが、080如何(いかが)(いた)しませうか。081うつかり()けて(また)もやバラモンの(やつ)だと大変(たいへん)だと(おも)ひ、082(こば)むだけ(こば)むで()ましたが、083(わたし)ではとんと善悪(ぜんあく)(わか)りませぬ。084どうぞ旦那(だんな)(さま)085貴方(あなた)()苦労(くらう)(さま)ながらお調(しら)(くだ)さいますまいか』
086テームス『(なに)087三五教(あななひけう)治国別(はるくにわけ)(さま)()えたと仰有(おつしや)るか、088それは間違(まちが)ひはあるまい。089(なに)()もあれ門口(かどぐち)(まで)()つて(かんが)へて()よう』
090とビクを(さき)()て、091大刀(だいたう)(こし)(はさ)み、092すたすたと(あら)はれ(きた)大音声(だいおんじやう)にて、
093テームス『唯今(ただいま)(わが)門前(もんぜん)(たたず)(うた)はせたまふ御仁(ごじん)はいづくの何人(なにびと)(ござ)いますか。094御名(みな)()かせて(くだ)さらば、095(この)(もん)()けるで(ござ)りませう』
096 万公(まんこう)(この)(こゑ)()きつけ大声(おほごゑ)にて、
097万公(まんこう)(われ)こそは三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)治国別(はるくにわけ)家来(けらい)万公(まんこう)(ござ)る。098(いち)()(はや)(この)(もん)をお()けなされ』
099治国(はるくに)拙者(せつしや)治国別(はるくにわけ)(まを)(もの)100(けつ)して(あや)しき(もの)では(ござ)らぬ。101木花姫(このはなひめ)(さま)()神勅(しんちよく)()り、102拙者(せつしや)徒弟(とてい)道晴別(みちはるわけ)が、103当家(たうけ)二人(ふたり)娘御(むすめご)をバラモン(ぐん)(さら)はれ(たま)うたのを()(かへ)さむため猪倉山(ゐのくらやま)(むか)ひし様子(やうす)104拙者(せつしや)一同(いちどう)(いのち)(すく)はむ(ため)105()るものも()(あへ)此処(ここ)(まで)(まゐ)つたもので(ござ)る。106(いち)()(はや)(この)(もん)をお()けなされ』
107 テームスは門内(もんない)より治国別(はるくにわけ)(こゑ)()いて、108どこともなしに威厳(ゐげん)のある言葉(ことば)109さうしてどうしても(いつは)りとは(おも)へないので、110(しづか)(かんぬき)をはづし、111門扉(もんぴ)をパツと(ひら)き、112怖々(こはごは)(のぞ)けば()(にん)宣伝使(せんでんし)()つてゐる。113テームスは()(よろこ)叮嚀(ていねい)辞儀(じぎ)をしながら、
114テームス『()れは()れはお(した)(まをし)()りました治国別(はるくにわけ)(さま)(ござ)いますか、115(まこと)失礼(しつれい)(いた)しました。116サア何卒(どうぞ)(はい)(くだ)さいませ』
117治国(はるくに)『ハイ有難(ありがた)う、118(しか)らば御免(ごめん)(かうむ)りませう』
119一行(いつかう)()(にん)大門(おほもん)(くぐ)()る。
120テームス『これビク、121何時(なんどき)バラモンの(やつ)()るかも()れぬから(この)(もん)(しつか)()ぢて()くのだ。122さうしてお(まへ)はここを(まも)つて()るのだ』
123()ひつけ一行(いつかう)(さき)()(おく)(みちび)()く。124治国別(はるくにわけ)夫婦(ふうふ)居間(ゐま)(しやう)ぜられ、125(ちや)(すす)められながら挨拶(あいさつ)もそこそこにして、
126治国(はるくに)(うけたま)はれば当家(たうけ)のお嬢様(ぢやうさま)はお二人(ふたり)(まで)猪倉山(ゐのくらやま)のバラモンの巣窟(さうくつ)(かどわか)されてお(いで)になつたさうですな』
127テームス『ハイ有難(ありがた)(ござ)います。128(じつ)(ところ)三日前(みつかまへ)治国別(はるくにわけ)徒弟(とてい)だと仰有(おつしや)つて、129道晴別(みちはるわけ)()立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)がお()(くだ)さつて、130番頭(ばんとう)のシーナと(とも)軍服姿(ぐんぷくすがた)()(やつ)し、131二人(ふたり)()(かへ)して()ると()つてお(いで)なさつたきり、132(いま)(なん)便(たよ)りも(ござ)いませぬので、133夫婦(ふうふ)(もの)心配(しんぱい)(いた)して()ります。134何卒(どうぞ)貴方(あなた)()神力(しんりき)によつて(たす)けて(くだ)さるわけには(まゐ)りますまいかな』
135治国(はるくに)『アア(その)(こと)について(いそ)(まゐ)つたので(ござ)います。136(あま)愚図(ぐづ)々々(ぐづ)(いた)して()れば、137(なん)だか(ふか)陥穽(おとしあな)()()まれて()るさうですから、138(いのち)(あやふ)(ござ)いませう。139拙者(せつしや)はこれより(とき)(うつ)さず猪倉山(ゐのくらやま)()(むか)ひ、140千騎(せんき)一騎(いつき)言霊(ことたま)発射(はつしや)(てき)帰順(きじゆん)させ、141()(にん)立派(りつぱ)(すく)()して(かへ)心算(つもり)です。142(わたし)確信(かくしん)(ござ)いますれば(かなら)(かなら)()心配(しんぱい)なされますな』
143 テームス、144ベリシナの両人(りやうにん)は、
145テームス、ベリシナ『ハイ有難(ありがた)(ござ)います』
146両手(りやうて)(あは)(なみだ)(こゑ)()あげず()()して()る。
147 これより治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)はテームスの(もん)()(あし)にまかせて、148()西山(せいざん)(うすづ)(たま)(ころ)149(あし)(はや)めて(すす)()く。
150 (たに)()()岩間(いはま)(つた)ひ、151(やうや)くにして、152(ひる)()(くら)森林(しんりん)(かみ)(めぐみ)(まも)られて黒白(あやめ)(わか)(やみ)(みち)153(かへつ)てこれ(さいはひ)(いき)()らしながら(やうや)くにして岩窟(がんくつ)(まへ)辿(たど)りついた。154夜分(やぶん)(こと)とて、155数多(あまた)兵士(へいし)(いづ)れも武装(ぶさう)()きテントの(なか)仮小屋(かりごや)(なか)(ころ)がつて()た。156(うま)彼方(あちら)此方(こちら)()(つな)がれ(さかん)(いなな)いて()る。157治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)其処辺(そこら)()()てある軍服(ぐんぷく)手早(てばや)(やみ)(さいは)()につけ、158素知(そし)らぬ(かほ)をしながら、159足音(あしおと)(しの)ばせ、160四辺(あたり)()をつけ、161(なが)隧道(すいだう)辿(たど)つて()く。162不思議(ふしぎ)にもこの(とき)(ばか)(かみ)()(まも)りで暗夜(あんや)(みち)がよく()についたのである。
163 (かたはら)岩窟(がんくつ)(なか)(なん)だか人声(ひとごゑ)がするので、164岩壁(がんぺき)(みみ)()(かんが)へて()ると、165鬼春別(おにはるわけ)久米彦(くめひこ)(その)(ほか)幕僚(ばくれう)(あつ)めて、166ひそびそ相談会(さうだんくわい)(ひら)いて()る。
167鬼春(おにはる)久米彦(くめひこ)殿(どの)168折角(せつかく)美人(びじん)無雑作(むざふさ)にあのやうな(ところ)()()むと()(こと)があるか、169(なん)とかして(たす)けやうが()いものかなア』
170久米(くめ)到底(たうてい)駄目(だめ)でせう。171今日(けふ)二日目(ふつかめ)ですから屹度(きつと)()んでゐるでせう』
172鬼春(おにはる)貴殿(きでん)にも似合(にあは)残酷(ざんこく)(こと)(いた)すぢやないか。173貴殿(きでん)は、174カルナ(ひめ)()()てられ未来(みらい)(おそ)ろしいと()うて、175ビクトリヤ(わう)(まで)(すく)うて、176()いた()でありながら、177(ひと)(いのち)()るやうな、178なぜ残酷(ざんこく)(こと)(いた)さるるのか』
179久米(くめ)(じつ)(ところ)()(にん)(からだ)周囲(ぐるり)鉄板(てつぱん)(まは)して()()みましたから、180怪我(けが)(いた)して()りますまい。181さうしてその鉄板(てつぱん)(をけ)のやうになつて()り、182(ふと)(つな)(とほ)してあります。183何程(なにほど)(ふか)井戸(ゐど)(そこ)でも(つな)さへ手操(たぐ)れば容易(ようい)(すく)()げる(こと)出来(でき)ます。184(さいは)此処(ここ)には(いは)より()()起死(きし)回生(くわいせい)(くすり)がありますから、185これを(ふく)ますれば二日(ふつか)三日(みつか)(いき)()へて()ても回復(くわいふく)大丈夫(だいぢやうぶ)でせう』
186鬼春(おにはる)(なん)貴殿(きでん)(はら)(わる)いぢやないか。187よもや貴殿(きでん)左様(さやう)殺伐(さつばつ)(こと)(いた)すまいと(にら)んで()いたのだ。188サア一時(いつとき)(はや)()(にん)(もの)(すく)()此処(ここ)()れて(ござ)れ』
189久米(くめ)『それに(さき)だつて将軍(しやうぐん)(ひと)相談(さうだん)(ござ)ります。190(ほか)でも(ござ)らぬが、191きつとスガールを拙者(せつしや)にお(わた)(くだ)さるでせうなア』
192鬼春(おにはる)『アハハハハ(また)しても左様(さやう)我慢(がまん)(こと)()ふものではありませぬぞ。193久米彦(くめひこ)殿(どの)はスミエルで(しばら)()辛抱(しんばう)なされ、194スガールは拙者(せつしや)世話(せわ)(いた)すで(ござ)らう。195オイ、196スパール(その)(はう)(はや)く、197(をとこ)()(かく)(をんな)二人(ふたり)(すく)()し、198スミエルは久米彦(くめひこ)殿(どの)居間(ゐま)(おく)()き、199スガールの(はう)此方(こなた)()れて()い。200鬼春別(おにはるわけ)()づから気付(きつけ)(つか)はし()()けてやらう』
201 スパールは、
202スパール『ハイ承知(しようち)(いた)しました』
203とドアを()()()さうとするのを久米彦(くめひこ)はグツと(えり)(つか)み、
204久米(くめ)『アハハハハ拙者(せつしや)(かく)して()いたる以上(いじやう)は、205これだけ沢山(たくさん)陥穽(おとしあな)貴殿(きでん)何程(なにほど)気張(きば)つた(ところ)で、206見当(みあた)ることは(ござ)らぬ。207やつぱり拙者(せつしや)()()んだのだから拙者(せつしや)()かねば駄目(だめ)だ。208まづ()落付(おちつ)けなされ、209そのかはり()づスガールは屹度(きつと)拙者(せつしや)がお(あづか)(まを)す』
210 鬼春別(おにはるわけ)()(いら)ち、
211鬼春(おにはる)『オイ、212スパール、213久米彦(くめひこ)言葉(ことば)()くに(およ)ばぬ。214サア(はや)(すく)()して()い。215久米彦(くめひこ)殿(どの)スパールの(えり)(はな)しておやりなさい。216上官(じやうくわん)命令(めいれい)をお(きき)なさらぬか』
217久米(くめ)(しか)らば拙者(せつしや)(すく)()げて(まゐ)りませう。218オイ、219エミシ(それがし)(つづ)け』
220()(なが)ら、221ドアを()()()()した。222隧道(すいだう)所々(しよしよ)には肥松(こえまつ)()(なが)(あかり)をとつてある。223パツと(うつ)つた()(にん)(かほ)224久米彦(くめひこ)(こゑ)(とが)らし、
225久米(くめ)『ヤア(その)(はう)番兵(ばんへい)ではないか、226最前(さいぜん)から吾々(われわれ)(はなし)()()(いた)して()つたのだな。227不都合(ふつがふ)千万(せんばん)(やつ)だ。228サア(いち)()(はや)彼方(あちら)立去(たちさ)れ』
229治国(はるくに)拙者(せつしや)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)治国別(はるくにわけ)一行(いつかう)(ござ)る。230拙者(せつしや)徒弟(とてい)道晴別(みちはるわけ)(はじ)めシーナ、231(および)スミエル、232スガールが大変(たいへん)なお世話(せわ)になつたさうだ。233一言(ひとこと)(れい)(まを)さなくてはならないと(おも)ひ、234態々(わざわざ)(たづ)(まを)しましたのだ。235アハハハハハ』
236久米(くめ)『イヤ、237これはこれは治国別(はるくにわけ)(さま)(ござ)いましたか。238何卒(どうぞ)言霊(ことたま)一寸(ちよつと)(しばら)くお見合(みあは)せを(ねが)ひます。239唯今(ただいま)(すぐ)にお(わた)(まを)しますから、240一寸(ちよつと)此処(ここ)()つて()(くだ)さいませ』
241治国(はるくに)『イヤイヤ(けつ)して(けつ)して左様(さやう)()心配(しんぱい)()(まを)さぬ。242拙者(せつしや)(みづか)(すく)()さねばならぬ義務(ぎむ)(ござ)る。243貴方(あなた)(がた)はマア(ゆつく)りと()休息(きうそく)をなされませ。244()(にん)所在(ありか)はビクトル(さん)から(すで)霊眼(れいがん)()()きました』
245久米(くめ)『イヤどうも治国別(はるくにわけ)(さま)慧眼(けいがん)には(おそ)()りました。246今日(けふ)(かぎ)りバラモンの将軍職(しやうぐんしよく)をやめますから、247どうぞ(いのち)(ばか)りは()救助(きうじよ)(ねが)ひます』
248万公(まんこう)先生(せんせい)249こんな(こと)()つて(また)計略(けいりやく)にかけるのですよ。250()(にん)()()みやがつた(あな)鬼春別(おにはるわけ)久米彦(くめひこ)何奴(どいつ)此奴(こいつ)()()んでやりませうか、251アハハハハ、252面白(おもしろ)面白(おもしろ)い、253エヘン。254どんなものだ、255鬼春別(おにはるわけ)256久米彦(くめひこ)両将軍(りやうしやうぐん)257この万公(まんこう)(あら)はれた以上(いじやう)到底(たうてい)駄目(だめ)だぞ』
258松彦(まつひこ)万公(まんこう)259(なに)()ふのだ。260(まへ)篏口令(かんこうれい)()かれて()るぢやないか』
261万公(まんこう)万公(まんこう)末代(まつだい)()はない心算(つもり)だつたが、262あまりむかづくのでつい(くち)(すべ)りました。263それよりも(はや)()(にん)(すく)()さうぢやありませぬか……これや久米彦(くめひこ)264貴様(きさま)()()んだのだから貴様(きさま)(すく)()して()い。265万一(まんいち)一人(ひとり)でも(いのち)がなくなつて()たら、266先生(せんせい)(なん)仰有(おつしや)つても、267この万公(まんこう)承知(しようち)せぬぞ。268ヘン馬鹿(ばか)にして()やがる、269将軍(しやうぐん)(なに)もあつたものか。270先生(せんせい)(まへ)()たら(ねこ)出会(であ)うた(ねづみ)のやうな塩梅(あんばい)(しき)ぢやないか。271醜態(ざま)()やがれ、272イヒヒヒヒ』
273松彦(まつひこ)万公(まんこう)さま(また)(わす)れたのか、274エエ久米彦(くめひこ)殿(どの)(はや)案内(あんない)なされ』
275万公(まんこう)『これや(はや)案内(あんない)(いた)さぬか、276(なに)愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して()るのか、277そして鬼春別(おにはるわけ)はどこに()るのか』
278(とら)()をかる糞喰(くそくら)(ぎつね)のやうに無暗(むやみ)矢鱈(やたら)(はしや)いで()る。279竜彦(たつひこ)()()天眼通(てんがんつう)により()(にん)所在(ありか)()り、280手早(てばや)一人(ひとり)々々(ひとり)(あな)(そこ)から()()げ、281鎮魂(ちんこん)(ほどこ)し、282(やうや)()(にん)(とも)(いき)()きかへさせた。
283 (ここ)鬼春別(おにはるわけ)284久米彦(くめひこ)両将軍(りやうしやうぐん)土下座(どげざ)をしながら、285(ふる)(ふる)治国別(はるくにわけ)(つみ)(しや)した。286治国別(はるくにわけ)はいろいろと(まこと)(をしへ)()(さと)し、287()鬼春別(おにはるわけ)288久米彦(くめひこ)289スパール、290エミシの高級(かうきふ)武官(ぶくわん)一人(ひとり)づつ(わざ)背負(せお)はしめ、291凱歌(がいか)(そう)しつつ一先(ひとま)玉木村(たまきむら)のテームスの(いへ)をさして神恩(しんおん)感謝(かんしや)しながら(かへ)()く。
292大正一二・二・二三 旧一・八 於竜宮館 加藤明子録)
293(昭和一〇・六・一三 王仁校正)
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