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第61巻(子の巻)
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第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第54巻(巳の巻)
序文
総説
第1篇 神授の継嗣
01 子宝
〔1387〕
02 日出前
〔1388〕
03 懸引
〔1389〕
04 理妻
〔1390〕
05 万違
〔1391〕
06 執念
〔1392〕
第2篇 恋愛無涯
07 婚談
〔1393〕
08 祝莚
〔1394〕
09 花祝
〔1395〕
10 万亀柱
〔1396〕
第3篇 猪倉城寨
11 道晴別
〔1397〕
12 妖瞑酒
〔1398〕
13 岩情
〔1399〕
14 暗窟
〔1400〕
第4篇 関所の玉石
15 愚恋
〔1401〕
16 百円
〔1402〕
17 火救団
〔1403〕
第5篇 神光増進
18 真信
〔1404〕
19 流調
〔1405〕
20 建替
〔1406〕
21 鼻向
〔1407〕
22 凱旋
〔1408〕
附録 神文
余白歌
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第八章
祝莚
(
しゆくえん
)
〔一三九四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第54巻 真善美愛 巳の巻
篇:
第2篇 恋愛無涯
よみ(新仮名遣い):
れんあいむがい
章:
第8章 祝莚
よみ(新仮名遣い):
しゅくえん
通し章番号:
1394
口述日:
1923(大正12)年02月21日(旧01月6日)
口述場所:
竜宮館
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年3月26日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ビクトリヤ城の客殿には、刹帝利、ヒルナ姫をはじめ治国別一行、タルマン、左守、右守、ハルナ、カルナ姫ならびに数多の役員が列席し、アールとハンナの結婚式が行われた。このことはだれともなく城下に広まった。そして政治大改革の象徴だと国民一同に期待された。
治国別の媒介で結婚式はつつがなく行われた。祝宴の席で、治国別は祝歌を歌った。今までの道にたがえる形式差別を撤回し、上下心を一つにして神に仕え、ビク国の繁栄に尽くすことを祈った。
左守、右守、タルマンも、金扇を開き、アールとハンナの結婚を祝う祝歌を歌った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
御統瓊(美須麻琉)
データ凡例:
データ最終更新日:
2024-04-05 15:33:33
OBC :
rm5408
愛善世界社版:
99頁
八幡書店版:
第9輯 656頁
修補版:
校定版:
97頁
普及版:
47頁
初版:
ページ備考:
001
ビクトリヤ
城
(
じやう
)
の
客殿
(
きやくでん
)
には
刹帝利
(
せつていり
)
、
002
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
を
始
(
はじ
)
め
治国別
(
はるくにわけ
)
の
一行
(
いつかう
)
、
003
及
(
およ
)
び
内事司
(
ないじつかさ
)
のタルマン、
004
左守
(
さもり
)
、
005
右守
(
うもり
)
を
始
(
はじ
)
めハルナ、
006
カルナ
姫
(
ひめ
)
、
007
並
(
なら
)
びに
数多
(
あまた
)
の
役員
(
やくゐん
)
が
列
(
れつ
)
を
正
(
ただ
)
し、
008
結婚式
(
けつこんしき
)
が
行
(
おこな
)
はれた。
009
此
(
この
)
事
(
こと
)
誰
(
たれ
)
云
(
い
)
ふとなく
城下
(
じやうか
)
に
拡
(
ひろ
)
がり、
010
寄
(
よ
)
ると
触
(
さは
)
るとレコード
破
(
やぶ
)
りの
結婚
(
けつこん
)
だと
云
(
い
)
つて、
011
話
(
はなし
)
の
花
(
はな
)
が
長屋
(
ながや
)
の
裏
(
うら
)
迄
(
まで
)
咲
(
さ
)
いてゐた。
012
さうして
政治
(
せいぢ
)
大改革
(
だいかいかく
)
の
象徴
(
しやうちやう
)
だと
国民
(
こくみん
)
一同
(
いちどう
)
に
期待
(
きたい
)
されたのである。
013
ここに
治国別
(
はるくにわけ
)
の
媒介
(
なかうど
)
にて
神前
(
しんぜん
)
結婚
(
けつこん
)
の
式
(
しき
)
も
恙
(
つつが
)
なく
相済
(
あひす
)
んだ。
014
それから
刹帝利
(
せつていり
)
、
015
ヒルナ
姫
(
ひめ
)
は
治国別
(
はるくにわけ
)
に
厚
(
あつ
)
く
礼
(
れい
)
を
述
(
の
)
べ
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
に
帰
(
かへ
)
つた。
016
後
(
あと
)
に
新夫婦
(
しんふうふ
)
を
始
(
はじ
)
め
一同
(
いちどう
)
の
祝宴
(
しゆくえん
)
が
開
(
ひら
)
かれた。
017
治国別
(
はるくにわけ
)
は
祝歌
(
しゆくか
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
018
治国別
(
はるくにわけ
)
『
神代
(
かみよ
)
の
昔
(
むかし
)
伊邪那岐
(
いざなぎ
)
の
019
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
は
伊邪那美
(
いざなみ
)
の
020
神
(
かみ
)
と
諸共
(
もろとも
)
高天原
(
たかま
)
にて
021
天
(
あめ
)
の
御柱
(
みはしら
)
巡
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひ
022
妹背
(
いもせ
)
の
道
(
みち
)
を
結
(
むす
)
びまし
023
山川
(
やまかは
)
草木
(
くさき
)
の
神
(
かみ
)
までも
024
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
生
(
う
)
み
玉
(
たま
)
ひ
025
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
安
(
やす
)
く
美
(
うる
)
はしく
026
造
(
つく
)
り
給
(
たま
)
ひし
雄々
(
をを
)
しさよ
027
その
神術
(
かむわざ
)
に
習
(
なら
)
ひまし
028
ビクトリヤ
城
(
じやう
)
の
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
で
029
時代
(
じだい
)
に
目覚
(
めざ
)
めたアールさま
030
上下
(
じやうげ
)
の
障壁
(
しやうへき
)
撤回
(
てつくわい
)
し
031
耕奴
(
かうど
)
の
家
(
いへ
)
に
生
(
うま
)
れます
032
ハンナの
姫
(
ひめ
)
と
合衾
(
がふきん
)
の
033
式
(
しき
)
を
挙
(
あ
)
げさせ
玉
(
たま
)
ひしは
034
之
(
これ
)
ぞ
全
(
まつた
)
く
天地
(
あめつち
)
の
035
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御心
(
みこころ
)
に
036
かなひ
奉
(
まつ
)
りし
吉例
(
きちれい
)
ぞ
037
尊
(
たふと
)
き
卑
(
いや
)
しき
差別
(
けじめ
)
をば
038
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
たる
人草
(
ひとぐさ
)
に
039
つけて
待遇
(
たいぐう
)
に
差別
(
さべつ
)
をば
040
作
(
つく
)
ると
云
(
い
)
ふは
皇神
(
すめかみ
)
の
041
心
(
こころ
)
を
知
(
し
)
らぬ
曲業
(
まがわざ
)
ぞ
042
一陽
(
いちやう
)
来復
(
らいふく
)
時
(
とき
)
臻
(
いた
)
り
043
至仁
(
しじん
)
至愛
(
しあい
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
044
大御心
(
おほみこころ
)
のそのままに
045
妹背
(
いもせ
)
の
道
(
みち
)
を
開
(
ひら
)
きまし
046
国人
(
くにびと
)
等
(
たち
)
に
其
(
その
)
範
(
はん
)
を
047
示
(
しめ
)
させ
玉
(
たま
)
ふ
尊
(
たふと
)
さよ
048
かくなる
上
(
うへ
)
は
国民
(
くにたみ
)
は
049
王
(
わう
)
をば
誠
(
まこと
)
の
親
(
おや
)
となし
050
主
(
あるじ
)
と
崇
(
あが
)
め
師
(
し
)
となして
051
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
真心
(
まごころ
)
を
052
捧
(
ささ
)
げて
仕
(
つか
)
へまつるべし
053
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
054
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
055
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
056
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
057
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
058
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
059
世
(
よ
)
の
過
(
あやま
)
ちは
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
060
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
061
今
(
いま
)
まで
道
(
みち
)
に
違
(
たが
)
ひたる
062
形式
(
けいしき
)
差別
(
さべつ
)
を
撤回
(
てつくわい
)
し
063
上下
(
じやうげ
)
心
(
こころ
)
を
一
(
ひとつ
)
にし
064
御国
(
みくに
)
のために
国民
(
くにたみ
)
が
065
力
(
ちから
)
を
協
(
あは
)
せ
心
(
こころ
)
をば
066
一
(
ひとつ
)
になして
君
(
きみ
)
の
辺
(
べ
)
を
067
弥永久
(
いやとこしへ
)
に
楽
(
たの
)
しみて
068
守
(
まも
)
り
仕
(
つか
)
へむ
惟神
(
かむながら
)
069
神
(
かみ
)
は
嘸々
(
さぞさぞ
)
此
(
この
)
式
(
しき
)
を
070
諾
(
うべな
)
ひまして
永久
(
とこしへ
)
に
071
妹背
(
いもせ
)
の
道
(
みち
)
を
守
(
まも
)
りまし
072
ビクの
国
(
くに
)
をば
弥栄
(
いやさか
)
に
073
栄
(
さか
)
え
賑
(
にぎは
)
せ
玉
(
たま
)
ふべし
074
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
075
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
誠心
(
まごころ
)
を
076
捧
(
ささ
)
げて
祝
(
いは
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る』
077
左守司
(
さもりのかみ
)
は
金扇
(
きんせん
)
を
開
(
ひら
)
き
自
(
みづか
)
ら
踊
(
をど
)
り
自
(
みづか
)
ら
謡
(
うた
)
ふ。
078
左守
(
さもり
)
(
謡曲
(
えうきよく
)
)『ああ
有難
(
ありがた
)
や
尊
(
たふと
)
やな、
079
掛巻
(
かけまく
)
も
綾
(
あや
)
に
畏
(
かしこ
)
き
天地
(
あめつち
)
の、
080
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
神勅
(
みこと
)
もて、
081
ビクの
国
(
くに
)
に
鎮
(
しづ
)
まり
居
(
ゐ
)
ます、
082
刹帝利
(
せつていり
)
、
083
ビクトリヤ
王
(
わう
)
の、
084
初
(
はじ
)
めての
御子
(
みこ
)
と
在
(
あ
)
れませる、
085
王子
(
わうじ
)
アールの
君
(
きみ
)
に、
086
耕奴
(
かうど
)
の
家
(
いへ
)
に
生
(
うま
)
れ
玉
(
たま
)
ひし、
087
心
(
こころ
)
雄々
(
をを
)
しき
才女
(
くわしめ
)
と、
088
鴛鵞
(
をし
)
の
衾
(
ふすま
)
の
永久
(
とこしへ
)
に、
089
睦
(
むつ
)
み
親
(
した
)
しみ
妹
(
いも
)
と
背
(
せ
)
の、
090
道
(
みち
)
を
開
(
ひら
)
き
玉
(
たま
)
ひたる、
091
これの
御式
(
みのり
)
の
尊
(
たふと
)
さよ。
092
仮令
(
たとへ
)
首陀
(
しゆだ
)
の
家
(
いへ
)
に
生
(
うま
)
れたりとも、
093
誠
(
まこと
)
に
明
(
あ
)
かき
賢女
(
さかしめ
)
を、
094
娶
(
めと
)
らせ
玉
(
たま
)
ふ
若君
(
わかぎみ
)
は、
095
天地
(
あめつち
)
開
(
ひら
)
けし
其
(
その
)
時
(
とき
)
より、
096
例
(
ためし
)
もあらぬ
珍
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
、
097
賢
(
さか
)
しき
御子
(
みこ
)
に
在
(
ま
)
しまして、
098
上
(
かみ
)
と
下
(
しも
)
との
隔
(
へだて
)
を
絶
(
た
)
ち、
099
下
(
しも
)
国民
(
くにたみ
)
を
憐
(
あはれ
)
みまし、
100
美
(
うる
)
はしき
政
(
まつりごと
)
を
開
(
ひら
)
かせ
玉
(
たま
)
ふ、
101
端緒
(
いとぐち
)
ぞと
左守
(
さもり
)
の
司
(
かみ
)
を
始
(
はじ
)
めとし、
102
右守司
(
うもりのかみ
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
、
103
百
(
もも
)
の
司
(
つかさ
)
に
至
(
いた
)
るまで、
104
今日
(
けふ
)
の
芽出度
(
めでた
)
き
御式
(
みのり
)
をば、
105
仰
(
あふ
)
ぎ
喜
(
よろこ
)
び
拍手
(
かしはで
)
の
声
(
こゑ
)
も
賑
(
にぎは
)
しく、
106
その
喜
(
よろこ
)
びは
天地
(
あめつち
)
に、
107
響
(
ひび
)
き
渡
(
わた
)
りて
大空
(
おほぞら
)
の、
108
雲
(
くも
)
をつきぬき
和田
(
わだ
)
の
原
(
はら
)
、
109
水底
(
みなそこ
)
深
(
ふか
)
く
響
(
ひび
)
き
渡
(
わた
)
り、
110
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
の
国
(
くに
)
の
内外
(
うちと
)
隈
(
くま
)
もなく、
111
此
(
この
)
新
(
あたら
)
しき
妹
(
いも
)
と
背
(
せ
)
の
御
(
おん
)
契
(
ちぎり
)
を、
112
仰
(
あふ
)
がぬものぞなかるべし。
113
実
(
げ
)
にも
芽出度
(
めでた
)
き
君
(
きみ
)
が
代
(
よ
)
の、
114
千代
(
ちよ
)
万代
(
よろづよ
)
も
極
(
きは
)
みなく、
115
鶴
(
つる
)
は
御空
(
みそら
)
に
舞
(
ま
)
ひ
遊
(
あそ
)
び、
116
亀
(
かめ
)
は
御
(
お
)
池
(
いけ
)
に
浮
(
うか
)
びつつ、
117
君
(
きみ
)
が
幾代
(
いくよ
)
を
祝
(
ことほ
)
ぎて、
118
仕
(
つか
)
へまつるぞ
芽出度
(
めでた
)
けれ。
119
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも、
120
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも、
121
天
(
てん
)
は
地
(
ち
)
となり
地
(
ち
)
は
天
(
てん
)
となるとも、
122
君
(
きみ
)
が
誠
(
まこと
)
は
幾千代
(
いくちよ
)
も、
123
変
(
かは
)
らせ
玉
(
たま
)
ふ
事
(
こと
)
ぞあるべき。
124
実
(
げ
)
にも
尊
(
たふと
)
き
三五
(
あななひ
)
の、
125
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
仕
(
つか
)
へます、
126
御空
(
みそら
)
も
清
(
きよ
)
く
治国別
(
はるくにわけ
)
の、
127
珍
(
うづ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
128
二人
(
ふたり
)
の
仲
(
なか
)
に
立
(
た
)
たせ
玉
(
たま
)
ひ、
129
神代
(
かみよ
)
の
例
(
ためし
)
そのままに、
130
婚嫁
(
とつぎ
)
の
道
(
みち
)
を
新
(
あたら
)
しく、
131
始
(
はじ
)
め
玉
(
たま
)
ひし
尊
(
たふと
)
さよ、
132
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
も
高砂
(
たかさご
)
の、
133
尾上
(
をのへ
)
の
松
(
まつ
)
の
友白髪
(
ともしらが
)
、
134
積
(
つ
)
もる
深雪
(
みゆき
)
の
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も、
135
溶
(
と
)
けずにあれや
妹
(
いも
)
と
背
(
せ
)
の
道
(
みち
)
、
136
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
、
137
恩頼
(
みたまのふゆ
)
を
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
み
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る』
138
と
謡
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つて
座
(
ざ
)
についた。
139
右守司
(
うもりのかみ
)
は
又
(
また
)
謡
(
うた
)
ふ。
140
右守
(
うもり
)
(
謡曲
(
えうきよく
)
)『
天
(
あめ
)
なるや
乙棚機
(
をとたなばた
)
のうながせる、
141
玉
(
たま
)
の
御統瓊
(
みすまる
)
御統瓊
(
みすまる
)
に、
142
あな
玉
(
たま
)
はや、
143
みたにふたわたらす、
144
あぢしき
高彦根
(
たかひこね
)
の
神
(
かみ
)
の、
145
その
御神姿
(
みすがた
)
にも
比
(
くら
)
ぶべき、
146
珍
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
なるアールの
君
(
きみ
)
、
147
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みに
抱
(
いだ
)
かれて、
148
ここに
理想
(
りさう
)
の
妻
(
つま
)
と
在
(
あ
)
れませる、
149
ハンナの
姫
(
ひめ
)
を
娶
(
めと
)
らせ
玉
(
たま
)
ひ、
150
今宵
(
こよひ
)
芽出度
(
めでた
)
く
合衾
(
がふきん
)
を、
151
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
挙
(
あ
)
げさせ
玉
(
たま
)
ひ、
152
四海
(
しかい
)
波風
(
なみかぜ
)
静
(
しづか
)
にて、
153
枝
(
えだ
)
も
鳴
(
な
)
らさぬ
君
(
きみ
)
の
代
(
よ
)
の、
154
その
礎
(
いしずゑ
)
と
畏
(
かしこ
)
くも、
155
婚嫁
(
とつぎ
)
の
道
(
みち
)
を
行
(
おこな
)
はせ
玉
(
たま
)
ひ、
156
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
に
代
(
かは
)
らせ
玉
(
たま
)
ひて、
157
吾
(
わが
)
国民
(
くにたみ
)
を
心安
(
うらやす
)
く、
158
治
(
をさ
)
め
玉
(
たま
)
はむ
天
(
あめ
)
の
御柱
(
みはしら
)
、
159
国
(
くに
)
の
御柱
(
みはしら
)
とこれの
館
(
やかた
)
に
並
(
なら
)
ばして、
160
すみきり
玉
(
たま
)
ふぞ
尊
(
たふと
)
けれ。
161
吾
(
われ
)
は
右守
(
うもり
)
の
神司
(
かむづかさ
)
、
162
まだ
新参
(
しんざん
)
の
身
(
み
)
なれども、
163
君
(
きみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
国
(
くに
)
の
為
(
ため
)
、
164
誠
(
まこと
)
の
事
(
こと
)
と
知
(
し
)
るなれば、
165
仮令
(
たとへ
)
生命
(
いのち
)
は
捨
(
す
)
つるとも、
166
仕
(
つか
)
へまつらむ
若君
(
わかぎみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
、
167
ハンナの
姫
(
ひめ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に、
168
ああ
二柱
(
ふたはしら
)
の
妹
(
いも
)
と
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
よ、
169
左守司
(
さもりのかみ
)
を
始
(
はじ
)
めとし、
170
その
外
(
ほか
)
百
(
もも
)
の
司
(
つかさ
)
等
(
ら
)
を、
171
誠
(
まこと
)
の
家
(
いへ
)
の
奴
(
やつこ
)
と
思召
(
おぼしめ
)
され、
172
如何
(
いか
)
なる
事
(
こと
)
も
打明
(
うちあ
)
けて、
173
吩
(
い
)
ひ
咐
(
つ
)
け
玉
(
たま
)
へ
宣
(
の
)
らせ
給
(
たま
)
へ、
174
上下
(
うへした
)
睦
(
むつ
)
ぶ
君
(
きみ
)
が
代
(
よ
)
の、
175
瑞祥
(
ずゐしやう
)
示
(
しめ
)
す
今宵
(
こよひ
)
の
空
(
そら
)
、
176
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
もさやかにて、
177
星
(
ほし
)
さへ
今日
(
けふ
)
は
何時
(
いつ
)
もより、
178
光
(
ひか
)
りも
強
(
つよ
)
くきらめき
渡
(
わた
)
り、
179
世継
(
よつぎ
)
の
君
(
きみ
)
の
行末
(
ゆくすゑ
)
を、
180
祝
(
ことほ
)
ぎ
守
(
まも
)
らせ
玉
(
たま
)
ふなり、
181
荒
(
あら
)
き
風
(
かぜ
)
もなく
悪
(
あし
)
き
雨
(
あめ
)
もなく、
182
五穀
(
ごこく
)
は
豊
(
ゆたか
)
に
実
(
み
)
のり、
183
天下
(
てんか
)
太平
(
たいへい
)
国土
(
こくど
)
成就
(
じやうじゆ
)
、
184
天神
(
てんしん
)
地祇
(
ちぎ
)
を
崇
(
あが
)
め
祀
(
まつ
)
り、
185
父
(
ちち
)
と
母
(
はは
)
との
君
(
きみ
)
によく
仕
(
つか
)
へまし、
186
下
(
しも
)
国民
(
くにたみ
)
を
憐
(
あは
)
れみて、
187
美
(
うる
)
はしき
清
(
きよ
)
き
政
(
まつりごと
)
を、
188
布
(
し
)
かせ
玉
(
たま
)
へ
聖
(
ひじり
)
の
君
(
きみ
)
と
謡
(
うた
)
はれて、
189
神
(
かみ
)
の
賜
(
たま
)
ひしビクの
国
(
くに
)
を、
190
弥永久
(
いやとこしへ
)
に
守
(
まも
)
らせ
玉
(
たま
)
へ、
191
神
(
かみ
)
に
誓
(
ちか
)
ひて
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
、
192
若君
(
わかぎみ
)
二柱
(
ふたはしら
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に、
193
慎
(
つつし
)
み
敬
(
うやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る。
194
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも、
195
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも、
196
星
(
ほし
)
は
空
(
そら
)
より
墜
(
お
)
つるとも、
197
地
(
ち
)
は
震
(
ふる
)
ひ
山
(
やま
)
は
裂
(
さ
)
け、
198
海
(
うみ
)
はあせなむ
世
(
よ
)
ありとも、
199
君
(
きみ
)
に
対
(
たい
)
して
二心
(
ふたごころ
)
、
200
吾
(
われ
)
あらめやも、
201
心
(
こころ
)
の
限
(
かぎ
)
り
身
(
み
)
の
限
(
かぎ
)
り、
202
身
(
み
)
を
犠牲
(
いけにへ
)
に
奉
(
たてまつ
)
り、
203
君
(
きみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に、
204
清
(
きよ
)
き
尊
(
たふと
)
き
三五
(
あななひ
)
の、
205
神
(
かみ
)
を
拝
(
をろが
)
み
仕
(
つか
)
へまつり、
206
君
(
きみ
)
の
御言
(
みこと
)
を
畏
(
かしこ
)
みて、
207
下
(
しも
)
万民
(
ばんみん
)
に
臨
(
のぞ
)
みまつらむ、
208
二柱
(
ふたはしら
)
の
若君
(
わかぎみ
)
心安
(
うらやす
)
くましませよ。
209
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
が
天地
(
あめつち
)
の、
210
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に、
211
誠心
(
まごころ
)
捧
(
ささ
)
げ
今日
(
けふ
)
の
慶事
(
けいじ
)
を、
212
寿
(
ことほ
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る、
213
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
、
214
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
215
タルマンは
又
(
また
)
謡
(
うた
)
ふ。
216
タルマン
『ビクトル
山
(
ざん
)
の
山麓
(
さんろく
)
に
217
大宮柱
(
おほみやばしら
)
太知
(
ふとし
)
りて
218
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
を
奉
(
まつ
)
りつつ
219
国
(
くに
)
の
王
(
こきし
)
と
在
(
あ
)
れませる
220
ビクの
御国
(
みくに
)
の
刹帝利
(
せつていり
)
221
仁慈
(
じんじ
)
の
君
(
きみ
)
に
仕
(
つか
)
へたる
222
内事司
(
ないじつかさ
)
のタルマンが
223
今日
(
けふ
)
の
慶事
(
けいじ
)
を
心
(
こころ
)
より
224
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
み
祝
(
ほ
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る
225
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
226
治国別
(
はるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
227
松彦
(
まつひこ
)
竜彦
(
たつひこ
)
万公
(
まんこう
)
の
228
珍
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
をば
伴
(
ともな
)
ひて
229
天降
(
あも
)
りましたるその
時
(
とき
)
ゆ
230
此
(
この
)
城内
(
じやうない
)
に
塞
(
ふさ
)
がれる
231
醜
(
しこ
)
の
雲霧
(
くもきり
)
あともなく
232
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
はれて
千万
(
ちよろづ
)
の
233
艱
(
なや
)
みは
科戸
(
しなど
)
の
春風
(
はるかぜ
)
に
234
散
(
ち
)
り
行
(
ゆ
)
くあとは
青々
(
あをあを
)
と
235
野辺
(
のべ
)
の
草木
(
くさき
)
は
茂
(
しげ
)
り
合
(
あ
)
ひ
236
四方
(
よも
)
の
山辺
(
やまべ
)
はニコニコと
237
笑
(
わら
)
ひ
初
(
そ
)
めたる
芽出度
(
めでた
)
さよ
238
かかる
時
(
とき
)
しも
刹帝利
(
せつていり
)
239
世継
(
よつぎ
)
の
君
(
きみ
)
と
在
(
あ
)
れませる
240
アールの
御子
(
みこ
)
を
始
(
はじ
)
めとし
241
その
外
(
ほか
)
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
御子
(
みこ
)
等
(
たち
)
は
242
恙
(
つつが
)
もあらず
大神
(
おほかみ
)
の
243
恵
(
めぐ
)
みに
安
(
やす
)
く
帰
(
かへ
)
りまし
244
吾
(
わが
)
君
(
きみ
)
始
(
はじ
)
め
司
(
つかさ
)
等
(
たち
)
245
喜
(
よろこ
)
び
歓
(
ゑら
)
ぐ
間
(
ま
)
もあらず
246
又
(
また
)
もや
今日
(
けふ
)
は
合衾
(
がふきん
)
の
247
芽出度
(
めでた
)
き
式
(
しき
)
を
挙
(
あ
)
げられて
248
千代
(
ちよ
)
の
礎
(
かため
)
を
築
(
きづ
)
きます
249
その
瑞祥
(
ずゐしやう
)
ぞ
有難
(
ありがた
)
き
250
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
251
一度
(
いちど
)
に
来
(
きた
)
る
常磐木
(
ときはぎ
)
の
252
松
(
まつ
)
の
緑
(
みどり
)
もシンシンと
253
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ふ
君
(
きみ
)
が
御代
(
みよ
)
254
枝
(
えだ
)
も
茂
(
しげ
)
りて
鬱蒼
(
こんもり
)
と
255
巣
(
す
)
ぐへる
鶴
(
つる
)
の
声
(
こゑ
)
さへも
256
いと
勇
(
いさ
)
ましく
千代
(
ちよ
)
と
呼
(
よ
)
ぶ
257
雀
(
すずめ
)
雲雀
(
ひばり
)
も
諸共
(
もろとも
)
に
258
今度
(
こんど
)
の
慶事
(
けいじ
)
を
祝
(
いは
)
ふ
如
(
ごと
)
259
声
(
こゑ
)
勇
(
いさ
)
ましく
歌
(
うた
)
ひけり
260
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
261
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
は
目
(
ま
)
のあたり
262
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
悩
(
なや
)
ませ
玉
(
たま
)
ひたる
263
君
(
きみ
)
の
心
(
こころ
)
は
春
(
はる
)
の
日
(
ひ
)
の
264
氷
(
こほり
)
と
解
(
と
)
けて
桜花
(
さくらばな
)
265
一度
(
いちど
)
に
咲
(
さ
)
き
出
(
だ
)
す
如
(
ごと
)
くなり
266
花
(
はな
)
と
蝶
(
てふ
)
とに
譬
(
たと
)
ふべき
267
妹背
(
いもせ
)
の
君
(
きみ
)
の
御
(
おん
)
姿
(
すがた
)
268
仰
(
あふ
)
ぐも
畏
(
かしこ
)
し
大空
(
おほぞら
)
の
269
八重
(
やへ
)
の
雲路
(
くもぢ
)
を
掻
(
か
)
き
別
(
わ
)
けて
270
下
(
くだ
)
り
玉
(
たま
)
ひし
天人
(
てんにん
)
か
271
天津
(
あまつ
)
乙女
(
をとめ
)
の
降臨
(
かうりん
)
か
272
見
(
み
)
るも
芽出度
(
めでた
)
き
御
(
おん
)
姿
(
すがた
)
273
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
み
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
274
真心
(
まごころ
)
こめて
祝
(
ほ
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る
275
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
276
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
277
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
278
誠
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
279
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つを
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
し
280
ビクの
御国
(
みくに
)
を
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も
281
上下
(
しやうか
)
心
(
こころ
)
を
協
(
あは
)
せつつ
282
守
(
まも
)
らせ
玉
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
283
若君
(
わかぎみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
284
慎
(
つつし
)
み
敬
(
うやま
)
ひ
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る
285
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
286
御霊
(
みたま
)
幸
(
さちは
)
ひましませよ』
287
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つて
座
(
ざ
)
に
着
(
つ
)
きにける。
288
(
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旧一・六
於竜宮館
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