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第59巻(戌の巻)
序
総説歌
第1篇 毀誉の雲翳
01 逆艪
〔1501〕
02 歌垣
〔1502〕
03 蜜議
〔1503〕
04 陰使
〔1504〕
05 有升
〔1505〕
第2篇 厄気悋々
06 雲隠
〔1506〕
07 焚付
〔1507〕
08 暗傷
〔1508〕
09 暗内
〔1509〕
10 変金
〔1510〕
11 黒白
〔1511〕
12 狐穴
〔1512〕
第3篇 地底の歓声
13 案知
〔1513〕
14 舗照
〔1514〕
15 和歌意
〔1515〕
16 開窟
〔1516〕
17 倉明
〔1517〕
第4篇 六根猩々
18 手苦番
〔1518〕
19 猩々舟
〔1519〕
20 海竜王
〔1520〕
21 客々舟
〔1521〕
22 五葉松
〔1522〕
23 鳩首
〔1523〕
24 隆光
〔1524〕
25 歓呼
〔1525〕
余白歌
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第59巻
> 第1篇 毀誉の雲翳 > 第4章 陰使
<<< 蜜議
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有升 >>>
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第四章
陰使
(
いんし
)
〔一五〇四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第59巻 真善美愛 戌の巻
篇:
第1篇 毀誉の雲翳
よみ(新仮名遣い):
きよのうんえい
章:
第4章 陰使
よみ(新仮名遣い):
いんし
通し章番号:
1504
口述日:
1923(大正12)年04月01日(旧02月16日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年7月8日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
チルテル自身は、酒と女にかけては目も鼻もない厄介者であった。バーチルの館に潜むという三五教宣伝使たちを召し捕りにまかり出たはずが、酒を突き付けられてたちまち自分の使命を忘れ、群衆に交じって酒をがぶ飲みしている。
テクは番頭頭気分でチルテルに話しかけた。チルテルは、自分の屋敷の離れに隠している美人に酌をしてほしいと、テクに呼びにやらせることになった。テクは、リュウチナントへの昇進と引き換えに、女を密かに呼んでくることを引き受けた。
テクが離れに近づくと、中に男の気配がする。カンナとヘールが、チルテルの留守に美人に近づこうと部屋を訪ねていると見てとったテクは、窓の外から黙って退散すればチルテルに報告することは見逃してやる、と脅した。
カンナとヘールは、初稚姫のところに来たことがチルテルに知られることを恐れたが、初稚姫は構わず、テクを招き入れた。テクは、キャプテン・チルテルの命令で初稚姫に用があると言って、カンナとヘールの離席を申し出た。
カンナとヘールはすごすごと部屋を出たが、闇にまぎれて二人の話を聞いている。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
リューチナント(リュウチナント)
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-22 17:30:02
OBC :
rm5904
愛善世界社版:
55頁
八幡書店版:
第10輯 504頁
修補版:
校定版:
58頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
遠
(
とほ
)
き
神代
(
かみよ
)
の
昔
(
むかし
)
より
002
アヅモス
山
(
さん
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に
003
梵天
(
ぼんてん
)
帝釈
(
たいしやく
)
自在天
(
じざいてん
)
004
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
神霊
(
しんれい
)
を
005
斎
(
いつ
)
きまつりて
天王
(
てんのう
)
の
006
森
(
もり
)
と
称
(
とな
)
へて
朝夕
(
あさゆふ
)
に
007
謹
(
つつし
)
み
敬
(
うやま
)
ひ
仕
(
つか
)
へたる
008
イヅミの
国
(
くに
)
のスマの
里
(
さと
)
009
里庄
(
りしやう
)
の
役
(
やく
)
と
選
(
えら
)
まれし
010
館
(
やかた
)
の
主
(
あるじ
)
バーチルは
011
アンチーと
共
(
とも
)
に
湖原
(
うなばら
)
に
012
漁
(
すなど
)
りせむと
出
(
い
)
でしより
013
如何
(
いかが
)
なりしか
白浪
(
しらなみ
)
の
014
面
(
おも
)
を
眺
(
なが
)
めて
里人
(
さとびと
)
が
015
悲歎
(
ひたん
)
の
涙
(
なみだ
)
にくれ
乍
(
なが
)
ら
016
野辺
(
のべ
)
の
送
(
おく
)
りを
相済
(
あひす
)
まし
017
諦
(
あきら
)
め
切
(
き
)
つた
夏
(
なつ
)
の
宵
(
よひ
)
018
憂
(
う
)
きを
三年
(
みとせ
)
のあともなく
019
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へて
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
る
020
主従
(
しゆじゆう
)
二人
(
ふたり
)
の
影
(
かげ
)
を
見
(
み
)
て
021
枯木
(
かれき
)
に
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
きし
如
(
ごと
)
022
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
が
寄
(
よ
)
り
集
(
つど
)
ひ
023
目出度
(
めでた
)
い
目出度
(
めでた
)
いお
目出度
(
めでた
)
い
024
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
が
開
(
ひら
)
けしと
025
二十
(
にじつ
)
戸前
(
とまへ
)
の
倉
(
くら
)
をあけ
026
蓄
(
たくは
)
へおきし
般若湯
(
はんにやたう
)
027
各自
(
てんで
)
に
庭
(
には
)
に
持出
(
もちだ
)
して
028
渇
(
かわ
)
きし
餓鬼
(
がき
)
が
川水
(
かはみづ
)
に
029
浸
(
ひた
)
りし
如
(
ごと
)
くガブガブと
030
うつつを
抜
(
ぬ
)
かし
酔
(
よ
)
ひ
狂
(
くる
)
ふ
031
かかる
所
(
ところ
)
へバラモンの
032
キヨの
関守
(
せきもり
)
チルテルは
033
数多
(
あまた
)
の
兵士
(
へいし
)
を
引率
(
ひきつ
)
れて
034
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
035
此
(
この
)
家
(
や
)
に
深
(
ふか
)
く
忍
(
しの
)
びしと
036
聞
(
き
)
くより
駒
(
こま
)
に
鞭
(
むちう
)
ちて
037
実否
(
じつぴ
)
を
探
(
さぐ
)
り
査
(
しら
)
ぶべく
038
威儀
(
ゐぎ
)
を
正
(
ただ
)
して
入来
(
いりきた
)
り
039
表
(
おもて
)
の
門
(
もん
)
を
潜
(
くぐ
)
り
抜
(
ぬ
)
け
040
目
(
め
)
も
届
(
とど
)
かない
広庭
(
ひろには
)
を
041
眼
(
まなこ
)
を
光
(
ひか
)
らし
眺
(
なが
)
むれば
042
所
(
ところ
)
狭
(
せ
)
き
迄
(
まで
)
里人
(
さとびと
)
が
043
うごなはりゐて
嬉
(
うれ
)
しげに
044
酒
(
さけ
)
汲
(
く
)
みかはし
歌
(
うた
)
唄
(
うた
)
ひ
045
狂
(
くる
)
へるさまを
見
(
み
)
るよりも
046
喉
(
のど
)
の
虫
(
むし
)
奴
(
め
)
が
承知
(
しようち
)
せず
047
つきつけられし
杓
(
しやく
)
の
香
(
か
)
に
048
相好
(
さうがう
)
くづし
馬上
(
ばじやう
)
より
049
ヒラリと
庭
(
には
)
に
飛
(
とび
)
おりて
050
数多
(
あまた
)
の
従者
(
じうしや
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
051
舌
(
した
)
打
(
う
)
ちならしかぶりつく
052
実
(
げ
)
にも
卑
(
いや
)
しき
酒
(
さけ
)
喰
(
くら
)
ひ
053
見
(
み
)
るも
憐
(
あは
)
れな
次第
(
しだい
)
なり。
054
チルテルは
酒
(
さけ
)
と
女
(
をんな
)
にかけては
目
(
め
)
も
鼻
(
はな
)
もない
厄介者
(
やつかいもの
)
である。
055
テク、
056
アキス、
057
アール
[
※
アールではなく、カールの誤記だと思われる。
]
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
に
長柄
(
ながえ
)
の
杓
(
しやく
)
で
鼻先
(
はなさき
)
へ
般若湯
(
はんにやとう
)
を
突付
(
つきつ
)
けられ、
058
忽
(
たちま
)
ち
自分
(
じぶん
)
の
使命
(
しめい
)
をケロリと
忘
(
わす
)
れたものの
如
(
ごと
)
く、
059
口汚
(
くちぎたな
)
く
群衆
(
ぐんしう
)
の
中
(
うち
)
へ
交
(
まじ
)
つてガブリガブリと
呑
(
の
)
み
始
(
はじ
)
めた。
060
テクは
夢中
(
むちう
)
になつて、
061
巻舌
(
まきじた
)
を
使
(
つか
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
062
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
とゴロつき
始
(
はじ
)
めたり。
063
テク『これはこれは、
064
チルテルのキャプテン
様
(
さま
)
、
065
よくマア
御
(
ご
)
入来
(
じゆらい
)
下
(
くだ
)
さいました。
066
今日
(
けふ
)
は
新主人
(
しんしゆじん
)
バーチルが
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
帰国
(
きこく
)
を
致
(
いた
)
しまして、
067
其
(
その
)
祝宴
(
しゆくえん
)
を
開
(
ひら
)
いて
居
(
を
)
る
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
068
第一番
(
だいいちばん
)
にお
役所
(
やくしよ
)
の
方
(
はう
)
へ
招待状
(
せうたいじやう
)
を
出
(
だ
)
すのが
本意
(
ほんい
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
069
何
(
なん
)
と
申
(
まを
)
しても、
070
清廉
(
せいれん
)
潔白
(
けつぱく
)
なお
役人
(
やくにん
)
様
(
さま
)
、
071
お
身分
(
みぶん
)
が
違
(
ちが
)
ひますから、
072
此
(
この
)
テクのやうなスパイとは
同
(
おな
)
じやうには
参
(
まゐ
)
りませず
073
つい
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
も
申
(
まをし
)
かね
遠慮
(
ゑんりよ
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りましたが、
074
キャプテン
様
(
さま
)
の
方
(
はう
)
から
御
(
ご
)
出張
(
しゆつちやう
)
下
(
くだ
)
さいますとは、
075
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
光栄
(
くわうえい
)
で
厶
(
ござ
)
いませう。
076
サア
何卒
(
どうぞ
)
酒
(
さけ
)
の
泉
(
いづみ
)
は
渾々
(
こんこん
)
と
湧
(
わ
)
き
出
(
い
)
でて
尽
(
つ
)
きませぬ。
077
何卒
(
どうぞ
)
思
(
おも
)
ふ
存分
(
ぞんぶん
)
おあがり
下
(
くだ
)
さいまして、
078
底抜
(
そこぬ
)
け
騒
(
さわ
)
ぎをやつて
頂
(
いただ
)
きたう
厶
(
ござ
)
います。
079
此
(
この
)
座敷
(
ざしき
)
は
露天
(
ろてん
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
080
奈落
(
ならく
)
の
底
(
そこ
)
から
搗
(
つ
)
き
固
(
かた
)
めておきましたから、
081
メツタに
床
(
ゆか
)
の
落
(
おち
)
る
気遣
(
きづかひ
)
も
厶
(
ござ
)
いませぬ。
082
何卒
(
どうぞ
)
心
(
こころ
)
おきなく
御
(
お
)
召
(
めし
)
上
(
あが
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
083
主人
(
しゆじん
)
のバーチルに
代
(
かは
)
つて、
084
新番頭
(
しんばんとう
)
のテクが、
085
及
(
およ
)
ばず
乍
(
なが
)
ら
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
を
申上
(
まをしあ
)
げます』
086
と
右
(
みぎ
)
の
掌
(
てのひら
)
で
無雑作
(
むざふさ
)
に
鼻
(
はな
)
つ
柱
(
ぱしら
)
をプイと
左
(
ひだり
)
の
方
(
はう
)
へ
押
(
お
)
し、
087
肱
(
ひぢ
)
で
顔
(
かほ
)
の
汗
(
あせ
)
を
拭
(
ぬぐ
)
ふ。
088
チルテル『お
前
(
まへ
)
はテクぢやないか。
089
何
(
なん
)
とマア
気
(
き
)
の
早
(
はや
)
い、
090
辞職
(
じしよく
)
の
許可
(
きよか
)
も
得
(
え
)
ずに、
091
勝手
(
かつて
)
に
番頭
(
ばんとう
)
になるといふことがあるものか。
092
バラモンの
御
(
ご
)
威勢
(
ゐせい
)
を
恐
(
おそ
)
れぬか、
093
不届者
(
ふとどきもの
)
だなア』
094
テク『モシ、
095
キャプテン
様
(
さま
)
、
096
さう
酒
(
さけ
)
の
座
(
ざ
)
で
小難
(
こむつか
)
しい
面
(
かほ
)
をなさいますと、
097
折角
(
せつかく
)
甘
(
う
)
めい
酒
(
さけ
)
が
不味
(
まづ
)
くなつて
了
(
しま
)
ひますワ。
098
マア、
099
お
小言
(
こごと
)
は
改
(
あらた
)
めて
後
(
のち
)
に
承
(
うけたま
)
はりませう。
100
此
(
この
)
酒
(
さけ
)
の
面
(
つら
)
みて
笑
(
わら
)
はない
者
(
もの
)
が
何処
(
どこ
)
にありますか。
101
サア
一
(
ひと
)
つお
酌
(
しやく
)
を
致
(
いた
)
しませう。
102
裏
(
うら
)
の
別室
(
はなれ
)
におかかへ
遊
(
あそ
)
ばした、
103
あのナイスのお
酌
(
しやく
)
ならば、
104
一入
(
ひとしほ
)
お
酒
(
さけ
)
が
甘
(
うま
)
いでせうが、
105
どうもそれ
丈
(
だけ
)
は
不便
(
ふべん
)
で
厶
(
ござ
)
いますなア、
106
エヘヽヽヽ』
107
チルテル『どうかして、
108
お
前
(
まへ
)
、
109
一
(
ひと
)
つあの
女
(
をんな
)
をチルナに
内証
(
ないしよう
)
でソツと
招
(
よ
)
んで
来
(
き
)
てくれまいかな、
110
褒美
(
はうび
)
は
幾
(
いく
)
らでもやるからな』
111
テク『ヘ、
1111
畏
(
かしこ
)
まりました。
112
其
(
その
)
代
(
かは
)
りに
褒美
(
はうび
)
として、
113
お
金
(
かね
)
は
要
(
い
)
りませぬ、
114
又
(
また
)
お
酒
(
さけ
)
はここで
沢山
(
たくさん
)
に
頂
(
いただ
)
かうと
儘
(
まま
)
ですから、
115
夫
(
そ
)
れ
以外
(
いぐわい
)
のものを
戴
(
いただ
)
きたいもので
厶
(
ござ
)
います』
116
チルテル『
何
(
なに
)
が
頂
(
いただ
)
きたいと
云
(
い
)
ふのだ』
117
テク『ヘー、
118
カンが
頂
(
いただ
)
きたいので
厶
(
ござ
)
います』
119
チルテル『カンなればすぐに
出来
(
でき
)
るでないか、
120
かう
冷酒
(
ひやざけ
)
許
(
ばか
)
りガブガブやつてゐては
面白
(
おもしろ
)
くないからのう』
121
テク『ハテまあ、
122
カンの
悪
(
わる
)
い、
123
カンと
云
(
い
)
つたらカンですがな。
124
酒
(
さけ
)
のカン
何
(
なん
)
かとは
違
(
ちが
)
ひますよ。
125
ポンポン カンカンと
人民
(
じんみん
)
を
捉
(
つか
)
まへて
威張
(
ゐば
)
り
散
(
ち
)
らす
官
(
くわん
)
ですよ』
126
チルテル『
成程
(
なるほど
)
、
127
それなら
成功
(
せいこう
)
の
上
(
うへ
)
、
128
目付頭
(
めつけがしら
)
にしてやらう』
129
テク『
滅相
(
めつさう
)
もない、
130
そんな
卑
(
いや
)
しい
職掌
(
しよくしやう
)
は
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
りたう
厶
(
ござ
)
います。
131
せめてリューチナントに
抜擢
(
ばつてき
)
して
欲
(
ほ
)
しいものですな』
132
チルテル『うまく、
133
チルナに
分
(
わか
)
らぬやうに、
134
此処
(
ここ
)
へあのナイスを
引
(
ひつ
)
ぱつて
来
(
き
)
よつたら、
135
リューチナントにしてやらう。
136
一
(
ひと
)
つ
骨
(
ほね
)
を
折
(
を
)
つてみてくれ』
137
テク『
滅相
(
めつさう
)
な、
138
此頃
(
このごろ
)
は
何事
(
なにごと
)
も
先金
(
さきぎん
)
とか
手附
(
てつけ
)
とかがなければ、
139
一切
(
いつさい
)
の
取引
(
とりひき
)
を
致
(
いた
)
しませぬから、
140
若
(
も
)
し
不成功
(
ふせいこう
)
に
了
(
をは
)
つたら
御
(
お
)
返
(
かへ
)
しするといふことにして、
141
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
リューチナントに
命
(
めい
)
じて
下
(
くだ
)
さいませ。
142
さうでないと、
143
カンナの
奴
(
やつ
)
、
144
リューチナントだと
云
(
い
)
つて
威張
(
ゐば
)
り
散
(
ち
)
らしますから、
145
裏口
(
うらぐち
)
から
忍
(
しの
)
び
込
(
こ
)
むだ
矢
(
や
)
さきに、
146
カンナの
奴
(
やつ
)
に「コラツ」と
一喝
(
いつかつ
)
くはされたが
最後
(
さいご
)
、
147
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
出
(
で
)
ませぬ。
148
私
(
わたし
)
がリューチナントならば
同役
(
どうやく
)
ですからな』
149
チルテル『アヽ
仕方
(
しかた
)
がない、
150
臨事
(
りんじ
)
憲兵
(
けんぺい
)
中尉
(
ちうゐ
)
にしてやらう。
151
併
(
しか
)
し
余
(
あま
)
りケンペーらしく
云
(
い
)
ふと
剥奪
(
はくだつ
)
するから、
152
さう
思
(
おも
)
へ』
153
テク『ヤア
有難
(
ありがた
)
う。
154
之
(
これ
)
からテクのテクダで、
155
巧
(
うま
)
く
引張
(
ひつぱ
)
つて
来
(
き
)
やせう、
156
マア
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
つてゐて
下
(
くだ
)
さい。
157
そしてテクの
腕前
(
うでまへ
)
を
見
(
み
)
て
頂
(
いただ
)
けば、
158
光栄
(
くわうえい
)
です。
159
……あゝあ
忙
(
いそが
)
しいことだ。
160
バーチル
家
(
け
)
の
大番頭
(
おほばんとう
)
兼
(
けん
)
リューチナントと、
161
俄
(
にはか
)
に
出世
(
しゆつせ
)
をしたものだから、
162
俄
(
にはか
)
に
事務
(
じむ
)
が
煩雑
(
はんざつ
)
になつて
来
(
き
)
た。
163
矢張
(
やつぱり
)
無官
(
むくわん
)
の
太夫
(
たゆう
)
の
方
(
はう
)
が
可
(
い
)
いかなア』
164
チルテル『
無官
(
むくわん
)
の
太夫
(
たゆう
)
がよければ、
165
今
(
いま
)
の
言葉
(
ことば
)
は
取消
(
とりけ
)
す』
166
テク『
滅相
(
めつさう
)
な、
167
一旦
(
いつたん
)
武士
(
ぶし
)
の
口
(
くち
)
から
出
(
で
)
たお
言葉
(
ことば
)
、
168
不調法
(
ぶてうはふ
)
もないに、
169
取消
(
とりけし
)
は
許
(
ゆる
)
しませぬぞ。
170
上官
(
じやうくわん
)
の
一言
(
いちごん
)
は
金石
(
きんせき
)
よりも
重
(
おも
)
いぢやありませぬか。
171
仮
(
か
)
りにも
朝令
(
てうれい
)
暮改
(
ぼかい
)
的
(
てき
)
の
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
いますと、
172
忽
(
たちま
)
ち
信用
(
しんよう
)
が
地
(
ち
)
におちますぞ』
173
チルテル『エー
仕方
(
しかた
)
がない。
174
それならバラモンの
中尉
(
ちうゐ
)
として
能
(
よ
)
く
注意
(
ちうい
)
して、
175
女房
(
にようばう
)
のチルナ
姫
(
ひめ
)
に
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
、
176
日
(
ひ
)
の
暮
(
く
)
れたのを
幸
(
さいはひ
)
、
177
うまくそこは
弁舌
(
べんぜつ
)
を
使
(
つか
)
つて、
178
ナイスを
此処
(
ここ
)
へ
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
てくれ。
179
さうして
酌
(
しやく
)
をさせて
大勢
(
おほぜい
)
の
奴
(
やつ
)
にアツと
云
(
い
)
はせ、
180
俺
(
おれ
)
の
腕前
(
うでまへ
)
を
遺憾
(
ゐかん
)
なく
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
等
(
ら
)
に
見
(
み
)
せびらかしてやるのも
愉快
(
ゆくわい
)
だ。
181
サア
早
(
はや
)
く
行
(
い
)
つた
行
(
い
)
つた』
182
テク『エヘヽヽヽ、
183
こんなことに
抜目
(
ぬけめ
)
のあるテクぢやありませぬワイ。
184
サア
之
(
これ
)
から
一走
(
ひとはし
)
り
行
(
い
)
つて
参
(
まゐ
)
ります。
185
マア
悠
(
ゆつく
)
り
御酒
(
ごしゆ
)
でも
召
(
め
)
し
上
(
あが
)
りませ……ヤア、
186
コレワイサの、
1861
シテコイナ』
187
と
妙
(
めう
)
な
身振
(
みぶり
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
188
頬被
(
ほほかぶ
)
りをクツスリと
締
(
し
)
め、
189
群衆
(
ぐんしう
)
の
中
(
なか
)
を
潜
(
くぐ
)
つて、
190
足
(
あし
)
もヒヨロ ヒヨロ、
191
チルテルが
駐屯所
(
ちうとんじよ
)
の
別室
(
はなれ
)
を
指
(
さ
)
して
忍
(
しの
)
び
行
(
ゆ
)
く。
192
空
(
そら
)
は
黒雲
(
くろくも
)
に
包
(
つつ
)
まれて、
193
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つ
雲
(
くも
)
の
綻
(
ほころ
)
びから、
194
微
(
かすか
)
な
星
(
ほし
)
が
瞬
(
またた
)
いてゐる。
195
忍
(
しの
)
びよつたる
五月暗
(
さつきやみ
)
、
196
障子
(
しやうじ
)
の
明
(
あか
)
りをあてに、
197
足音
(
あしおと
)
を
忍
(
しの
)
ばせ
窺
(
うかが
)
ひみれば、
198
影法師
(
かげぼふし
)
が
三
(
みつ
)
つ
映
(
うつ
)
つてゐる。
199
そして
一人
(
ひとり
)
は
女
(
をんな
)
、
200
二人
(
ふたり
)
はどうも
男
(
をとこ
)
らしい。
201
テクは『ハハア、
202
あの
影法師
(
かげぼふし
)
から
考
(
かんが
)
へてみると、
203
カンナ、
204
ヘールの
両人
(
りやうにん
)
とみえる。
205
抜目
(
ぬけめ
)
のない
奴
(
やつ
)
だな。
206
キャプテンさまの
不在
(
ふざい
)
を
伺
(
うかが
)
ひ、
207
うまく
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れやうと
野心
(
やしん
)
を
起
(
おこ
)
して
襲撃
(
しふげき
)
してゐやがるのだナ。
208
併
(
しか
)
し
彼奴
(
きやつ
)
も
気
(
き
)
が
利
(
き
)
かないワイ。
209
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
を
口説
(
くど
)
くに
連
(
つ
)
れを
誘
(
さそ
)
うて
行
(
ゆ
)
くといふ
奴
(
やつ
)
がどこにあるか。
210
併
(
しか
)
し
困
(
こま
)
つたことには、
211
あんな
奴
(
やつ
)
が
二人
(
ふたり
)
も
側
(
そば
)
にひつついてゐやがると、
212
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
俺
(
おれ
)
の
使命
(
しめい
)
が
果
(
はた
)
せない。
213
ここは
一
(
ひと
)
つ
肝玉
(
きもだま
)
をおつぽり
出
(
だ
)
して、
214
憲兵
(
けんぺい
)
中尉
(
ちうゐ
)
で
脅
(
おど
)
かしてやらう。
215
そして「
不義者
(
ふぎもの
)
見付
(
みつ
)
けた……」と
大喝
(
だいかつ
)
一声
(
いつせい
)
、
216
散
(
ち
)
り
散
(
ち
)
りバラバラと
小
(
ちひ
)
さくなつて
逃失
(
にげう
)
せる
様
(
やう
)
にやるのだな、
217
エツヘヽヽヽ。
218
斯
(
か
)
うなると、
219
リューチナントも
有難
(
ありがた
)
いものだ』と
独言
(
ひとりご
)
ちつつ
故意
(
わざ
)
とに
足音
(
あしおと
)
高
(
たか
)
く
窓
(
まど
)
の
外面
(
そとも
)
にすりよつて、
220
テク『やアやア、
221
某
(
それがし
)
は
今日
(
こんにち
)
チルテルのキャプテン
殿
(
どの
)
より
改
(
あらた
)
めて
憲兵
(
けんぺい
)
中尉
(
ちうゐ
)
の
要職
(
えうしよく
)
を
授
(
さづ
)
けられたるテクで
厶
(
ござ
)
るぞよ。
222
女
(
をんな
)
一人
(
ひとり
)
の
居間
(
ゐま
)
へ
入来
(
いりきた
)
り、
223
密々
(
ひそびそ
)
と
囁
(
ささや
)
いてゐる
奴
(
やつ
)
は
何者
(
なにもの
)
だ。
224
大抵
(
たいてい
)
障子
(
しやうじ
)
の
影
(
かげ
)
に
仍
(
よ
)
つて、
225
其
(
その
)
誰人
(
たれ
)
なるかは
分
(
わか
)
つてゐるが
226
今日
(
けふ
)
は
新任
(
しんにん
)
の
祝
(
いはひ
)
としてみて
見
(
み
)
ぬ
振
(
ふり
)
を
致
(
いた
)
す。
227
サア
早
(
はや
)
くトツトと
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
し、
228
元
(
もと
)
の
職
(
しよく
)
に
忠実
(
ちうじつ
)
についたがよからう。
229
グヅグヅ
致
(
いた
)
して
此
(
この
)
方
(
はう
)
に
面
(
つら
)
を
見
(
み
)
られたが
最後
(
さいご
)
、
230
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
忽
(
たちま
)
ちリューチナントもユゥンケルも
棒
(
ぼう
)
にふらねばならぬぞや、
231
エエン。
232
鼻
(
はな
)
の
下
(
した
)
の
長
(
なが
)
い
代物
(
しろもの
)
だなア』
233
カンナ、
234
ヘールの
両人
(
りやうにん
)
はテクの
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
いて、
235
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
ア
大変
(
たいへん
)
だ。
236
こんなことをキャプテンに
報告
(
はうこく
)
されようものなら、
237
サツパリ
駄目
(
だめ
)
だ。
238
エー
仕方
(
しかた
)
がない、
239
こちらに
弱点
(
じやくてん
)
があるのだから、
240
ここはマア
辛抱
(
しんばう
)
して
退却
(
たいきやく
)
することにせうかい』
241
と
小声
(
こごゑ
)
に
囁
(
ささや
)
き、
242
此
(
この
)
場
(
ば
)
をつつと
立
(
た
)
つて
暗
(
やみ
)
に
隠
(
かく
)
れようとする。
243
初稚姫
(
はつわかひめ
)
は
故意
(
わざ
)
と
平気
(
へいき
)
な
顔
(
かほ
)
で、
244
初稚
(
はつわか
)
『あのカンナ
様
(
さま
)
、
245
ヘール
様
(
さま
)
、
246
マアいいぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
247
種々
(
いろいろ
)
と
珍
(
めづら
)
しいお
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さいまして、
248
妾
(
わらは
)
も
大変
(
たいへん
)
得
(
う
)
る
所
(
ところ
)
が
厶
(
ござ
)
いました。
249
モウ
暫
(
しばら
)
く
御悠
(
ごゆつく
)
りなさいませ。
250
これからクラブィコードでも
弾
(
だん
)
じて
御
(
お
)
慰
(
なぐさ
)
めに
供
(
きよう
)
しませう。
251
そしてお
茶
(
ちや
)
でも
悠
(
ゆつく
)
りあがつて
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
252
偶々
(
たまたま
)
お
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
253
何
(
なん
)
の
御
(
お
)
愛想
(
あいさう
)
も
厶
(
ござ
)
いませぬから』
254
カンナ『ヘ、
255
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
256
今
(
いま
)
御
(
お
)
聞
(
きき
)
の
通
(
とほ
)
り、
257
窓
(
まど
)
の
外
(
そと
)
に
誰
(
たれ
)
かが
来
(
き
)
て
居
(
を
)
りますから、
258
貴女
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
になつても
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
で
厶
(
ござ
)
います。
259
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
一度
(
いちど
)
退却
(
たいきやく
)
致
(
いた
)
しませう』
260
初稚
(
はつわか
)
『
何
(
なに
)
を
仰有
(
おつしや
)
います、
261
妾
(
わらは
)
は
決
(
けつ
)
して
迷惑
(
めいわく
)
とは
感
(
かん
)
じて
居
(
を
)
りませぬ。
262
天下
(
てんか
)
晴
(
は
)
れて
文学
(
ぶんがく
)
のお
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
かして
頂
(
いただ
)
いて
居
(
を
)
るので
厶
(
ござ
)
いますもの。
263
貴方
(
あなた
)
と
私
(
わたし
)
の
中
(
なか
)
に
怪
(
あや
)
しい
関係
(
くわんけい
)
があるのでなし、
264
誰
(
たれ
)
がお
出
(
いで
)
になつても
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
要
(
い
)
りますまい。
265
却
(
かへつ
)
て
左様
(
さやう
)
なことをなされますと、
266
痛
(
いた
)
くない
肚
(
はら
)
を
探
(
さぐ
)
られ、
267
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
の
御
(
ご
)
迷惑
(
めいわく
)
になるかも
知
(
し
)
れませぬよ。
268
貴方
(
あなた
)
も
立派
(
りつぱ
)
な
軍人
(
ぐんじん
)
様
(
さま
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか、
269
酔
(
よひ
)
どれさまの
一人
(
ひとり
)
や
二人
(
ふたり
)
が
恐
(
おそ
)
ろしいので
厶
(
ござ
)
いますか』
270
カンナ『ヘ、
271
別
(
べつ
)
に
恐
(
おそ
)
ろしいことも
厶
(
ござ
)
いませぬ、
272
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
後
(
あと
)
がうるさう
厶
(
ござ
)
いますからなア』
273
初稚
(
はつわか
)
『うるさい
心
(
こころ
)
さへ
持
(
も
)
つてゐなければ
構
(
かま
)
はぬぢやありませぬか。
274
人
(
ひと
)
の
口
(
くち
)
には
戸
(
と
)
が
立
(
た
)
てられぬと
申
(
まを
)
しまして、
275
世間
(
せけん
)
の
噂
(
うはさ
)
を
気
(
き
)
にしてるやうなことでは、
276
到底
(
たうてい
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
立
(
た
)
つて
目
(
め
)
ざましい
働
(
はたら
)
きは
出来
(
でき
)
ませぬよ』
277
カンナ『
成程
(
なるほど
)
、
278
お
説
(
せつ
)
御尤
(
ごもつと
)
も、
279
然
(
しか
)
らばモウ
暫
(
しばら
)
く
御
(
ご
)
同席
(
どうせき
)
を
願
(
ねが
)
ひませう。
280
オイ、
281
ヘール、
282
かう
二人
(
ふたり
)
も
居
(
ゐ
)
るとカサが
高
(
たか
)
いから、
283
お
前
(
まへ
)
暫
(
しばら
)
く
退席
(
たいせき
)
してくれまいか、
284
関所
(
せきしよ
)
の
方
(
はう
)
も
何時
(
いつ
)
用
(
よう
)
が
出来
(
でき
)
るか
分
(
わか
)
らぬからのう』
285
ヘール『ヘツヘヽヽヽ、
286
仰有
(
おつしや
)
いますワイ。
287
其
(
その
)
手
(
て
)
に
乗
(
の
)
るやうなヘールぢやありませぬぞ』
288
初稚
(
はつわか
)
『
何卒
(
どうぞ
)
お
二人
(
ふたり
)
様
(
さま
)
、
289
御悠
(
ごゆつくり
)
なさいませ。
290
何
(
なに
)
も
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
は
要
(
い
)
りませぬ。
291
……コレコレ テク
様
(
さま
)
とやら、
292
そこでは
蚊
(
か
)
がたべます。
293
何卒
(
どうぞ
)
お
這入
(
はい
)
りなさいませ』
294
テク『イヤア、
295
お
出
(
いで
)
たな、
296
矢張
(
やつぱ
)
り、
297
リュウチナントといふ
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いて、
298
幾分
(
いくぶん
)
か
心
(
こころ
)
が
動
(
うご
)
いたとみえるワイ、
299
イヒヽヽヽ』
300
と
幽
(
かす
)
かに
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
301
『オホン』と
一
(
ひと
)
つ
咳払
(
せきばらひ
)
、
302
表戸
(
おもてど
)
をソツとあけ、
303
故意
(
わざ
)
とすました
面
(
かほ
)
をして、
304
直立
(
ちよくりつ
)
不動
(
ふどう
)
の
態度
(
たいど
)
を
示
(
しめ
)
し、
305
テク『これはこれは、
306
古今
(
ここん
)
無双
(
むさう
)
のナイス
様
(
さま
)
、
307
私
(
わたくし
)
は
新
(
しん
)
中尉
(
ちうゐ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
308
一寸
(
ちよつと
)
キャプテン
様
(
さま
)
の
命令
(
めいれい
)
に
仍
(
よ
)
つて、
309
貴方
(
あなた
)
に
折入
(
をりい
)
つての
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
がありますので、
310
使者
(
ししや
)
に
罷
(
まか
)
り
越
(
こ
)
しました。
311
何卒
(
どうぞ
)
此
(
これ
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
を
少時
(
しばらく
)
遠
(
とほ
)
ざけて
戴
(
いただ
)
きたう
厶
(
ござ
)
います』
312
初稚
(
はつわか
)
『お
二人
(
ふたり
)
様
(
さま
)
、
313
何
(
なん
)
だか
御用
(
ごよう
)
があるさうで
厶
(
ござ
)
いますから、
314
失礼
(
しつれい
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
315
一寸
(
ちよつと
)
少時
(
しばらく
)
席
(
せき
)
をお
外
(
はづ
)
し
下
(
くだ
)
さいませぬか』
316
カンナ『ヘー、
317
長
(
なが
)
いことですか、
318
……
長
(
なが
)
ければ
永
(
なが
)
いで、
319
此方
(
こちら
)
にも
事務
(
じむ
)
上
(
じやう
)
の
都合
(
つがふ
)
が
厶
(
ござ
)
いますから、
320
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
忙
(
いそ
)
がしい
中
(
なか
)
を
繰合
(
くりあは
)
せて、
321
奥様
(
おくさま
)
の
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
……ウン
否々
(
いやいや
)
、
322
奥様
(
おくさま
)
の
目
(
め
)
を
忍
(
しの
)
んで
一寸
(
ちよつと
)
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
伺
(
うかが
)
ひに
参
(
まゐ
)
つたので
厶
(
ござ
)
いますからなア』
323
初稚
(
はつわか
)
『
奥様
(
おくさま
)
は
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
が
宜
(
よろ
)
しう
厶
(
ござ
)
いますかな、
324
何
(
ど
)
うしたものか、
325
私
(
わたし
)
が
御
(
ご
)
面会
(
めんくわい
)
を
申込
(
まをしこ
)
んでもお
忙
(
いそが
)
しいと
見
(
み
)
えて、
326
まだ
会
(
あ
)
つて
頂
(
いただ
)
けませぬ』
327
ヘール『そらさうでせう。
328
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
329
悋
(
や
)
けて
仕方
(
しかた
)
がないのですからなア、
330
ヘツヘヽヽヽ。
331
オイ、
332
カンナ、
333
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
請求
(
せいきう
)
に
仍
(
よ
)
つて、
334
暫時
(
ざんじ
)
離席
(
りせき
)
することにせうかい』
335
とスゴスゴと
立出
(
たちい
)
で
336
暗
(
やみ
)
に
忍
(
しの
)
んで
二人
(
ふたり
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いてゐる。
337
(
大正一二・四・一
旧二・一六
於皆生温泉浜屋
松村真澄
録)
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