霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一九章 猩々舟(しやうじやうぶね)〔一五一九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第59巻 真善美愛 戌の巻 篇:第4篇 六根猩々 よみ(新仮名遣い):ろっこんしょうじょう
章:第19章 猩々舟 よみ(新仮名遣い):しょうじょうぶね 通し章番号:1519
口述日:1923(大正12)年04月02日(旧02月17日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年7月8日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
サーベル姫は、舟を出して猩々ヶ島の眷属たちを引き取り、同時に島に残してきたバラモン軍の三人も助け出すことを玉国別に提案した。玉国別が賛同すると、サーベル姫に憑いた猩々姫も喜びの声を上げた。
船出の役は伊太彦が名乗り出て許された。伊太彦は、アンチー、アキス、カールを同行者として選び出した。
伊太彦はアンチー、アキス、カールを指揮してキヨの港近辺からニ十艘の小舟と船乗りを用意し、おのおの酒樽を満載して、猩々の眷属たちを迎えに行く準備を整えた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5919
愛善世界社版:252頁 八幡書店版:第10輯 574頁 修補版: 校定版:267頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)晩餐(ばんさん)(あた)へられ、002(ふたた)(かみ)拝礼(はいれい)し、003(しん)()かむとする(とき)しも、004サーベル(ひめ)言葉(ことば)(しづ)かに玉国別(たまくにわけ)(みみ)(くち)()せ、
005サーベル『モシ先生(せんせい)(さま)006猩々島(しやうじやうじま)(のこ)しおかれた(さん)(にん)(をとこ)(たす)ける(ため)007(ふね)()して(いただ)けませぬでせうか、008どうか(かみ)(さま)()(ねが)(くだ)さいまして、009()差支(さしつかへ)なくば(かれ)()(さん)(にん)(たす)けてやりたう(ござ)います。010そしてモ(ひと)つの()(ねが)ひは、011天王(てんわう)(もり)(いち)(にち)(はや)二棟(ふたむね)宮様(みやさま)建築(けんちく)し、012一方(いつぱう)三五(あななひ)大神(おほかみ)(さま)013一方(いつぱう)はバラモンの大神(おほかみ)(さま)鎮祭(ちんさい)して(いただ)(こと)出来(でき)ませぬか』
014玉国(たまくに)成程(なるほど)015()れは()いお(かんが)へで(ござ)います。016(しか)しあの猩々(しやうじやう)(しま)沢山(たくさん)眷族(けんぞく)は、017(もと)はアヅモス(さん)のお(みや)(つか)へてゐたもののやうに直覚(ちよくかく)(いた)しましたが、018差支(さしつかへ)なくば、019沢山(たくさん)(ふね)用意(ようい)し、020一匹(いつぴき)(のこ)らず天王(てんわう)(もり)()れて(かへ)つてやりたいと(おも)ひますが、021如何(いかが)(ござ)いませうかな』
022 サーベル(ひめ)(にはか)(この)言葉(ことば)()くより、023(うれ)(さう)()(あが)り、024『キヤツ キヤツ』と(あや)しき(こゑ)()(なが)両手(りやうて)(あは)せ、
025サーベル『(わらは)猩々姫(しやうじやうひめ)(ござ)います。026沢山(たくさん)()(まご)(のこ)して(ござ)いますから、027それ(ばか)りが()になつて、028(よる)もロクに()られませぬ。029()うまア()うて(くだ)さいました。030何卒(どうぞ)(かみ)(さま)のお(ゆる)しがあれば、031一匹(いつぴき)(のこ)らず此方(こちら)(むか)へさして(いただ)きたう(ござ)います』
032玉国(たまくに)『ヤアそれは尚々(なほなほ)結構(けつこう)です。033左様(さやう)ならば明日(みやうにち)(はや)(ふね)用意(ようい)(いた)しまして、034村人(むらびと)(めい)(むか)()りにやりませう』
035サーベル『どうか貴師(あなた)御弟子(みでし)一人(ひとり)二人(ふたり)036()つて(いただ)(こと)出来(でき)ませぬか』
037 伊太彦(いたひこ)(そば)()つて、038小耳(こみみ)(はさ)み、
039伊太(いた)先生(せんせい)040(その)御用(ごよう)伊太彦(いたひこ)(うけたま)はります。041三千彦(みちひこ)さま夫婦(ふうふ)はどうかお(やかた)(しばら)逗留(とうりう)して、042(みや)普請(ふしん)設計図(せつけいづ)でも()いて(もら)いませう。043そして先生(せんせい)(しばら)村人(むらびと)布教(ふけう)をして(いただ)きまして、044真純彦(ますみひこ)さまが(その)(あひだ)(おぎな)ふといふ都合(つがふ)(ねが)ひますれば(まこと)結構(けつこう)ですがなア』
045玉国(たまくに)『イヤ、046(まへ)のやうな慌者(あわてもの)絶対(ぜつたい)(ゆる)(こと)出来(でき)ませぬ。047三千彦(みちひこ)夫婦(ふうふ)(ねが)ひませう』
048伊太(いた)『オイ、049三千彦(みちひこ)夫婦(ふうふ)050あんな、051()()れる(うみ)(うへ)052女房(にようばう)のある(もの)()くものぢやないよ。053(わし)のやうな独身者(どくしんもの)なら仮令(たとへ)()んでも女房(にようばう)(くや)心配(しんぱい)もいらず、054大変(たいへん)都合(つがふ)()い。055そこは(おれ)にお(かぶ)(ゆづ)つて(もら)いたいものだなア』
056三千(みち)先生(せんせい)のお(ゆる)しさへあれば、057どうでもしてやる』
058伊太(いた)先生(せんせい)059是非(ぜひ)(わたし)()下命(かめい)(ねが)ひます』
060玉国(たまくに)『ウン、0601ヨシ、061それならお(まへ)一任(いちにん)せう。062相当(さうたう)人物(じんぶつ)をお(まへ)から(えら)むで()れて()つたがよからう』
063伊太(いた)『イヤ、064有難(ありがた)い、065抃舞(べんぶ)雀躍(じやくやく)だ、066エヘヽヽヽ。067サア、068(これ)から北極(ほくきよく)探険隊(たんけんたい)だ。069オイ、070アンチーさま、071(まへ)副艦長(ふくかんちやう)だ。072アキス、073カールの両人(りやうにん)分隊長(ぶんたいちやう)だ。074テクの番頭(ばんとう)さまは家事(かじ)万端(ばんたん)管掌(くわんしやう)せなくてはならないから、075出陣(しゆつぢん)(ゆる)されない。076サア、077アキス、078カール、079両人(りやうにん)さま、080屈強(くつきやう)人間(にんげん)選抜(せんばつ)して(もら)ひませう。081猩々(しやうじやう)先生(せんせい)(むか)へに()くのだから、082猩々(しやうじやう)潔白(けつぱく)(みたま)をよりぬいて()れて()くやうにして(もら)ひませう。083それから(つぶ)れかけたボロ(ふね)があれば一艘(いつそう)つもりをして(もら)ひたい。084此奴(こいつ)ア、085ヤッコス、086ハール、087サボールの人一(にんいち)化九(ばけきう)()せる(ふね)だ。088アハヽヽヽ』
089アキス『そんなボロ(ふね)一隻(いつせき)(ござ)いませぬよ』
090伊太(いた)『アヽ仕方(しかた)がない。091人間(にんげん)姿(すがた)をしてゐるのだから、092(なか)でも堅牢(けんらう)(ふね)(えら)むで()つて()(やう)にしてくれ、093一体(いつたい)猩々(しやうじやう)(かず)何人(なんにん)さま(ほど)ゐられるのだらうな』
094サーベル『ハイ、095三百(さんびやく)三十三(さんじふさん)(びき)だと(おも)つて()ります』
096伊太(いた)成程(なるほど)097猩々(しやうじやう)潔白(けつぱく)身魂(みたま)三百(さんびやく)三十三(さんじふさん)(にん)098バラモン、099ヤッコスのなまくら(もの)のサボール()(ひと)(あたま)をよくハールといふ人一(にんいち)化九(ばけきう)三匹(さんびき)100アキス、101カールさま、102抜目(ぬけめ)なく、103至急(しきふ)用意(ようい)して(もら)ひませう。104サアいよいよ伊太彦(いたひこ)三百(さんびやく)三十三(さんじふさん)(にん)(ならび)三匹(さんびき)(そう)司令官(しれいくわん)となつたのだ、105アハヽヽヽ。106イヤ先生(せんせい)107どうも有難(ありがた)(ござ)います。108(これ)(わたし)登竜門(とうりようもん)109出世(しゆつせ)門口(かどぐち)110移民(いみん)会社(ぐわいしや)社長(しやちやう)となつて、111大活動(だいくわつどう)(いた)します。112何卒(どうぞ)(うま)凱旋(がいせん)(いた)しましたら113花火(はなび)(うち)()げ、114里人(さとびと)一同(いちどう)浜辺(はまべ)整列(せいれつ)させ、115伊太彦(いたひこ)万歳(ばんざい)(とな)へて(くだ)さいませ。116(これ)(なに)より吾々(われわれ)(たのし)みで(ござ)いますから』
117サーベル(ひめ)伊太彦(いたひこ)(をしへ)(きみ)一時(ひととき)
118(はや)(いで)ませ(わが)()(むか)ひに』
119伊太彦(いたひこ)『これは(また)不思議(ふしぎ)(こと)()くものだ
120猩々(しやうじやう)(むれ)(わが)()なりとは』
121サーベル(ひめ)『からたまはよし猩々(しやうじやう)(うま)るとも
122(みたま)(ひと)(かは)らざりけり。
123(いま)()(ひと)(けもの)容器(いれもの)
124(けもの)(なか)(ひと)(たま)あり』
125玉国別(たまくにわけ)面白(おもしろ)しサーベル(ひめ)(おん)言葉(ことば)
126()くにつけてもうら()づかしきかな』
127真純彦(ますみひこ)(ひと)(みな)(けもの)()みかとなりはてて
128(まこと)(ひと)(かげ)だにもなし。
129(われ)とても(つみ)(けが)れし(けだもの)
130(たま)棲家(すみか)(はづか)しき(かな)
131三千彦(みちひこ)(おそ)ろしき八十(やそ)曲津(まがつ)(たけ)()
132(ひと)()として()(すべ)もなき。
133それ(ゆゑ)(ひと)(こころ)(おに)となり
134大蛇(おろち)となりて()(わた)るなり』
135伊太彦(いたひこ)『これはしたり三千彦(みちひこ)(つかさ)世迷言(よまいごと)
136(かみ)宮居(みやゐ)(けだもの)()らすか』
137デビス(ひめ)()(きみ)()らせ(たま)ひし言霊(ことたま)
138(ひと)(かは)()(けだもの)(こと)よ。
139伊太彦(いたひこ)(うづ)(つかさ)(かみ)(さま)
140(ひと)(なか)なる(ひと)(かみ)なり』
141伊太彦(いたひこ)『いざさらばアキス、カールよアンチーよ
142用意(ようい)()されよ猩々(しやうじやう)(ふね)
143 これより伊太彦(いたひこ)(よる)(ろく)(ねむ)らず、144アキス、145カール、146アンチーを指揮(しき)し、147(ふね)熟練(なれ)たる荒男(あらをとこ)選抜(せんばつ)し、148(ふね)をキヨの(みなと)(その)(ほか)附近(ふきん)磯辺(いそべ)より(あつ)(きた)り、149(やうや)二十艘(にじつそう)小舟(こぶね)をしつらへ、150(おのおの)酒樽(さかだる)満載(まんさい)し、151猩々(しやうじやう)眷族(けんぞく)(むか)ふべく夜明(よあ)くる(ころ)(まで)にすべての準備(じゆんび)(ととの)へた。
152大正一二・四・二 旧二・一七 於皆生温泉浜屋 松村真澄録)
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