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霊界物語
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第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
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第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
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第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
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第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
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第49巻(子の巻)
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第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
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第58巻(酉の巻)
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第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
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第65巻(辰の巻)
序文
総説
第1篇 盗風賊雨
01 感謝組
〔1657〕
02 古峽の山
〔1658〕
03 岩侠
〔1659〕
04 不聞銃
〔1660〕
05 独許貧
〔1661〕
06 噴火口
〔1662〕
07 反鱗
〔1663〕
第2篇 地異転変
08 異心泥信
〔1664〕
09 劇流
〔1665〕
10 赤酒の声
〔1666〕
11 大笑裡
〔1667〕
12 天恵
〔1668〕
第3篇 虎熊惨状
13 隔世談
〔1669〕
14 山川動乱
〔1670〕
15 饅頭塚
〔1671〕
16 泥足坊
〔1672〕
17 山颪
〔1673〕
第4篇 神仙魔境
18 白骨堂
〔1674〕
19 谿の途
〔1675〕
20 熊鷹
〔1676〕
21 仙聖郷
〔1677〕
22 均霑
〔1678〕
23 義侠
〔1679〕
第5篇 讃歌応山
24 危母玉
〔1680〕
25 道歌
〔1681〕
26 七福神
〔1682〕
余白歌
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総説
(
そうせつ
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻
篇:
前付
よみ(新仮名遣い):
章:
総説
よみ(新仮名遣い):
そうせつ
通し章番号:
口述日:
1923(大正12)年07月15日(旧06月2日)
口述場所:
祥雲閣
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1926(大正15)年4月14日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm650002
愛善世界社版:
3頁
八幡書店版:
第11輯 609頁
修補版:
校定版:
3頁
普及版:
1頁
初版:
ページ備考:
派生
[?]
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:
出口王仁三郎全集 > 第二巻 宗教・教育編 > 【宗教編】第二篇 新興宗教 > 第十一章 芸術と宗教
出口王仁三郎著作集 > 第三巻「愛と美といのち」 > [3] 美 > [3-1] 造化の芸術 > [3-1-2] 芸術と宗教
001
芸術
(
げいじゆつ
)
と
宗教
(
しうけう
)
とは、
002
兄弟
(
けいてい
)
姉妹
(
しまい
)
の
如
(
ごと
)
く、
003
親子
(
おやこ
)
の
如
(
ごと
)
く、
004
夫婦
(
ふうふ
)
の
如
(
ごと
)
きもので、
005
二
(
ふた
)
つ
乍
(
なが
)
ら
人心
(
じんしん
)
の
至情
(
しじやう
)
に
根底
(
こんてい
)
を
固
(
かた
)
め、
006
共
(
とも
)
に
霊最深
(
れいさいしん
)
の
要求
(
えうきう
)
を
充
(
みた
)
しつつ、
007
人
(
ひと
)
をして
神
(
かみ
)
の
温懐
(
をんくわい
)
に
立
(
た
)
ち
遷
(
うつ
)
らしむる、
008
人生
(
じんせい
)
の
大導師
(
だいだうし
)
である。
009
地獄
(
ぢごく
)
的
(
てき
)
苦悶
(
くもん
)
の
生活
(
せいくわつ
)
より、
010
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
生活
(
せいくわつ
)
に
旅立
(
たびた
)
たしむる
嚮導者
(
けうだうしや
)
である。
011
故
(
ゆゑ
)
に
吾々
(
われわれ
)
は
左手
(
ゆんで
)
を
芸術
(
げいじゆつ
)
に
曳
(
ひ
)
かせ、
012
右手
(
めて
)
を
宗教
(
しうけう
)
に
委
(
ゆだ
)
ねて、
013
人生
(
じんせい
)
の
逆旅
(
げきりよ
)
を
楽
(
たの
)
しく
幸
(
さち
)
多
(
おほ
)
く、
014
辿
(
たど
)
り
行
(
ゆ
)
かしめむと
欲
(
ほつ
)
するのである。
015
矛盾
(
むじゆん
)
多
(
おほ
)
く
憂患
(
いうくわん
)
繁
(
しげ
)
き
人生
(
じんせい
)
の
旅路
(
たびぢ
)
をして、
016
宛
(
さなが
)
ら
鳥
(
とり
)
謳
(
うた
)
ひ
花
(
はな
)
笑
(
わら
)
ふ
楽園
(
らくゑん
)
の
観
(
くわん
)
あらしむるものは、
017
実
(
じつ
)
に
此
(
こ
)
の
美
(
うる
)
はしき
姉妹
(
しまい
)
、
018
即
(
すなは
)
ち
芸術
(
げいじゆつ
)
と
宗教
(
しうけう
)
の
好伴侶
(
かうはんりよ
)
を
有
(
いう
)
するが
故
(
ゆゑ
)
である。
019
若
(
も
)
しも
此
(
こ
)
の
二
(
ふた
)
つのものが
無
(
な
)
かつたならば、
020
如何
(
いか
)
に
淋
(
さび
)
しく
味気
(
あぢき
)
なき
憂世
(
うきよ
)
なるか、
021
想像
(
さうざう
)
出来
(
でき
)
がたきものであらうと
思
(
おも
)
ふ。
022
人生
(
じんせい
)
に
離
(
はな
)
れ
難
(
がた
)
き
趣味
(
しゆみ
)
を
抱
(
いだ
)
かしむるものは、
023
唯
(
ただ
)
此
(
こ
)
の
二
(
ふた
)
つの
姉妹
(
しまい
)
の
存在
(
そんざい
)
するが
故
(
ゆゑ
)
である。
024
抑
(
そもそ
)
も
此
(
こ
)
の
二
(
ふた
)
つのものは、
025
共
(
とも
)
に
人生
(
じんせい
)
の
導師
(
だうし
)
たる
点
(
てん
)
に
於
(
おい
)
ては、
026
相一致
(
あひいつち
)
して
居
(
ゐ
)
る。
027
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
芸術
(
げいじゆつ
)
は
一向
(
ひたすら
)
に
美
(
び
)
の
門
(
もん
)
より、
028
人間
(
にんげん
)
を
天国
(
てんごく
)
に
導
(
みちび
)
かむとするもの、
029
宗教
(
しうけう
)
は
真
(
しん
)
と
善
(
ぜん
)
との
門
(
もん
)
より、
030
人間
(
にんげん
)
を
神
(
かみ
)
の
御許
(
みもと
)
に
到
(
いた
)
らしめむとする
点
(
てん
)
に
於
(
おい
)
て、
031
少
(
すこ
)
しく
其
(
その
)
立場
(
たちば
)
に
相異
(
さうい
)
があるのである。
032
形
(
かたち
)
、
033
色
(
いろ
)
、
034
声
(
こゑ
)
、
035
香
(
にほひ
)
など
云
(
い
)
ふ
自然美
(
しぜんび
)
の
媒介
(
ばいかい
)
を
用
(
もち
)
ゐて、
036
吾人
(
ごじん
)
をして
天国
(
てんごく
)
の
得
(
え
)
ならぬ
風光
(
ふうくわう
)
を
偲
(
しの
)
ばしむるものは
芸術
(
げいじゆつ
)
である。
037
宗教
(
しうけう
)
は
即
(
すなは
)
ち
然
(
しか
)
らず、
038
霊性
(
れいせい
)
内観
(
ないくわん
)
の
一種
(
いつしゆ
)
神秘
(
しんぴ
)
的
(
てき
)
なる
洞察力
(
どうさつりよく
)
に
由
(
よ
)
りて、
039
直
(
ただ
)
ちに
人
(
ひと
)
をして
神
(
かみ
)
の
生命
(
せいめい
)
に
接触
(
せつしよく
)
せしむるものである。
040
故
(
ゆゑ
)
に
必
(
かなら
)
ずしも
顕象界
(
けんしやうかい
)
の
事相
(
じさう
)
を
媒介
(
ばいかい
)
と
為
(
な
)
さず、
041
所謂
(
いはゆる
)
神智
(
しんち
)
、
042
霊覚
(
れいかく
)
、
043
交感
(
かうかん
)
、
044
孚応
(
ふおう
)
の
一境
(
いつきやう
)
に
在
(
あ
)
つて、
045
目
(
め
)
未
(
いま
)
だ
見
(
み
)
ず
耳
(
みみ
)
未
(
いま
)
だ
聞
(
き
)
かず、
046
人
(
ひと
)
の
心
(
こころ
)
未
(
いま
)
だ
想
(
おも
)
はざる、
047
霊界
(
れいかい
)
の
真相
(
しんさう
)
を
捕捉
(
ほそく
)
せしめむとするのは、
048
宗教
(
しうけう
)
本来
(
ほんらい
)
の
面目
(
めんぼく
)
である。
049
芸術
(
げいじゆつ
)
の
対象
(
たいしやう
)
は
美
(
び
)
そのものであり、
050
而
(
しか
)
も
美
(
び
)
は
神
(
かみ
)
の
姿
(
すがた
)
にして、
051
其
(
その
)
心
(
こころ
)
では
無
(
な
)
い。
052
其
(
その
)
衣
(
きぬ
)
であつて、
053
其
(
その
)
身体
(
からだ
)
では
無
(
な
)
い。
054
『
神
(
かみ
)
は
霊
(
れい
)
なれば
之
(
これ
)
を
拝
(
はい
)
するものも
亦
(
また
)
、
055
霊
(
れい
)
と
真
(
しん
)
とを
以
(
もつ
)
て
之
(
これ
)
を
拝
(
はい
)
すべし』と
云
(
い
)
つたキリストの
言葉
(
ことば
)
は
万古
(
ばんこ
)
不易
(
ふえき
)
の
断案
(
だんあん
)
である。
056
美
(
び
)
を
対象
(
たいしやう
)
とする
芸術
(
げいじゆつ
)
は、
057
能
(
よ
)
く
人
(
ひと
)
をして
神
(
かみ
)
の
御姿
(
みすがた
)
を
打
(
う
)
ち
眺
(
なが
)
めしむる
事
(
こと
)
を
得
(
う
)
るも、
058
未
(
いま
)
だ
以
(
もつ
)
て
其
(
その
)
心
(
こころ
)
を
知
(
し
)
り、
059
其
(
その
)
霊
(
れい
)
と
交
(
まじ
)
はり、
060
神
(
かみ
)
と
共
(
とも
)
にあり、
061
神
(
かみ
)
と
共
(
とも
)
に
動
(
うご
)
き、
062
神
(
かみ
)
と
共
(
とも
)
に
活
(
いき
)
る、
063
の
妙境
(
めうきやう
)
に
達
(
たつ
)
せしむることは
出来
(
でき
)
得
(
え
)
ない。
064
譬
(
たとへ
)
ば
僅
(
わづ
)
かに
神
(
かみ
)
の
裳裾
(
もすそ
)
に
触
(
さは
)
らしめる
事
(
こと
)
は
出来得
(
できう
)
るも、
065
其
(
その
)
温
(
あたたか
)
き
胸
(
むね
)
に
抱
(
いだ
)
かれ、
066
其
(
その
)
生命
(
せいめい
)
の
動悸
(
どうき
)
に
触
(
ふ
)
れしむる
事
(
こと
)
は、
067
到底
(
たうてい
)
望
(
のぞ
)
まれない。
068
芸術
(
げいじゆつ
)
の
極致
(
きよくち
)
は、
069
自然美
(
しぜんび
)
の
賞翫
(
しやうぐわん
)
悦楽
(
えつらく
)
により、
070
現実界
(
げんじつかい
)
の
制縛
(
せいばく
)
を
脱離
(
だつり
)
して、
071
恍
(
くわう
)
として
吾
(
われ
)
を
忘
(
わす
)
るるの
一境
(
いつきやう
)
にあるのである。
072
それ
故
(
ゆゑ
)
、
073
その
悦楽
(
えつらく
)
はホンの
一
(
いち
)
時
(
じ
)
的
(
てき
)
で、
074
永久
(
えいきう
)
的
(
てき
)
のものでは
無
(
な
)
いのである。
075
其
(
その
)
悠遊
(
いういう
)
の
世界
(
せかい
)
は、
076
想像
(
さうざう
)
の
世界
(
せかい
)
に
止
(
とど
)
まつて、
077
現実
(
げんじつ
)
の
活動
(
くわつどう
)
世界
(
せかい
)
でなく、
078
一切
(
いつさい
)
の
労力
(
らうりよく
)
と
奮闘
(
ふんとう
)
とを
放
(
はな
)
れたる
夢幻界
(
むげんかい
)
の
悦楽
(
えつらく
)
に
没入
(
ぼつにふ
)
して、
079
陶然
(
たうぜん
)
として
酔
(
よ
)
へるが
如
(
ごと
)
きは、
080
即
(
すなは
)
ち
是
(
こ
)
れ
審美
(
しんび
)
的
(
てき
)
状態
(
じやうたい
)
の
真相
(
しんさう
)
である。
081
若
(
も
)
しそれ
宗教
(
しうけう
)
の
極致
(
きよくち
)
に
至
(
いた
)
つては、
082
遥
(
はるか
)
に
之
(
こ
)
れとは
超越
(
てうゑつ
)
せるものがある。
083
宗教
(
しうけう
)
的
(
てき
)
生活
(
せいくわつ
)
の
渇仰
(
かつかう
)
憧憬
(
どうけい
)
して
已
(
や
)
まざる
所
(
ところ
)
のものは、
084
自然美
(
しぜんび
)
の
悦楽
(
えつらく
)
では
無
(
な
)
く、
085
精神美
(
せいしんび
)
の
実現
(
じつげん
)
である。
086
その
憧憬
(
どうけい
)
の
対象
(
たいしやう
)
は
形体美
(
けいたいび
)
ではなくて
人格美
(
じんかくび
)
である。
087
神
(
かみ
)
の
衷
(
うち
)
に
存
(
そん
)
する
真
(
しん
)
と
善
(
ぜん
)
とを
吾
(
わが
)
身
(
み
)
に
体現
(
たいげん
)
して、
088
永遠
(
ゑいゑん
)
無窮
(
むきう
)
に
神
(
かみ
)
と
共
(
とも
)
に
活
(
い
)
き、
089
神
(
かみ
)
と
共
(
とも
)
に
動
(
うご
)
かむと
欲
(
ほつ
)
する、
090
霊的
(
れいてき
)
活動
(
くわつどう
)
の
向上
(
かうじやう
)
発展
(
はつてん
)
は、
091
即
(
すなは
)
ち
是
(
こ
)
れ
宗教
(
しうけう
)
的
(
てき
)
生活
(
せいくわつ
)
の
真相
(
しんさう
)
であらうと
思
(
おも
)
ふ。
092
芸術家
(
げいじゆつか
)
が、
093
美
(
び
)
の
賞翫
(
しやうぐわん
)
もしくは
創造
(
さうざう
)
に
依
(
よ
)
つて、
094
一
(
いち
)
時
(
じ
)
人生
(
じんせい
)
の
憂苦
(
いうく
)
を
忘
(
わす
)
るるが
如
(
ごと
)
き、
095
軽薄
(
けいはく
)
なものでは
無
(
な
)
い。
096
飽迄
(
あくまで
)
も
現実
(
げんじつ
)
世界
(
せかい
)
を
聖化
(
せいくわ
)
し、
097
自我
(
じが
)
の
霊能
(
れいのう
)
を
発揮
(
はつき
)
して、
098
清
(
きよ
)
く
気高
(
けだか
)
き
人格
(
じんかく
)
優美
(
いうび
)
を、
099
吾
(
われ
)
と
吾
(
わが
)
身
(
み
)
に
活現
(
くわつげん
)
せなくては
止
(
や
)
まないのが
即
(
すなは
)
ち
宗教家
(
しうけうか
)
の
日夜
(
にちや
)
不断
(
ふだん
)
の
努力
(
どりよく
)
奮闘
(
ふんとう
)
であり、
100
向上
(
かうじやう
)
精進
(
しやうじん
)
である。
101
宗教家
(
しうけうか
)
の
悦楽
(
えつらく
)
は、
102
単
(
たん
)
に
神
(
かみ
)
の
美
(
うる
)
はしき
御姿
(
みすがた
)
を
拝
(
はい
)
する
而已
(
のみ
)
でなく、
103
其
(
その
)
聖善
(
せいぜん
)
の
美
(
び
)
と
合体
(
がつたい
)
し、
104
契合
(
けいがふ
)
し、
105
融化
(
ゆうくわ
)
せむと
欲
(
ほつ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
途上
(
とじやう
)
の、
106
向上
(
かうじやう
)
的
(
てき
)
努力
(
どりよく
)
にあるのである。
107
死
(
し
)
せるカンバスや
冷
(
つめ
)
たき
大理石
(
だいりせき
)
を
材料
(
ざいれう
)
とせず、
108
活
(
い
)
ける
温
(
あたた
)
かき
自己
(
じこ
)
の
霊性
(
れいせい
)
を
材料
(
ざいれう
)
として、
109
神
(
かみ
)
の
御姿
(
みすがた
)
を
吾
(
わ
)
が
霊魂中
(
れいこんちう
)
に
認
(
みと
)
めむとする、
110
偉大
(
ゐだい
)
なる
真
(
しん
)
の
芸術家
(
げいじゆつか
)
である。
111
故
(
ゆゑ
)
に
宗教家
(
しうけうか
)
の
悦楽
(
えつらく
)
は、
112
時々
(
じじ
)
刻々
(
こくこく
)
一歩
(
いつぽ
)
々々
(
いつぽ
)
神
(
かみ
)
の
栄光
(
えいくわう
)
に
近
(
ちか
)
づきつつ
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く、
113
永久
(
えいきう
)
の
活動
(
くわつどう
)
その
物
(
もの
)
である。
114
故
(
ゆゑ
)
にその
生命
(
いのち
)
のあらむ
限
(
かぎ
)
りは、
115
その
悦楽
(
えつらく
)
は
常住
(
じやうぢう
)
不変
(
ふへん
)
のもので、
116
其
(
その
)
慰安
(
ゐあん
)
も
亦
(
また
)
空想
(
くうさう
)
の
世界
(
せかい
)
より
来
(
きた
)
るに
非
(
あら
)
ず。
117
最
(
もつと
)
も
真実
(
しんじつ
)
なる
神
(
かみ
)
の
実在
(
じつざい
)
の
世界
(
せかい
)
より
来
(
きた
)
るものである。
118
『
我
(
わが
)
与
(
あた
)
ふる
平安
(
へいあん
)
は、
119
世
(
よ
)
の
与
(
あた
)
ふる
所
(
ところ
)
の
如
(
ごと
)
きに
非
(
あら
)
ず。
120
爾曹
(
なんぢら
)
心
(
こころ
)
に
憂
(
うれ
)
ふる
勿
(
なか
)
れ、
121
又
(
また
)
懼
(
おそ
)
るる
勿
(
なか
)
れ』とは
正
(
まさ
)
しく
這般
(
しやはん
)
の
消息
(
せうそく
)
を
伝
(
つた
)
ふるものである。
122
美
(
び
)
の
理想
(
りさう
)
を
実現
(
じつげん
)
するには、
123
先
(
ま
)
づ
美
(
び
)
の
源泉
(
げんせん
)
を
探
(
さぐ
)
らねばならぬ。
124
其
(
その
)
源泉
(
げんせん
)
に
到着
(
たうちやく
)
し、
125
之
(
これ
)
と
共
(
とも
)
に
活
(
い
)
き、
126
之
(
これ
)
と
共
(
とも
)
に
動
(
うご
)
くのでなければ
実現
(
じつげん
)
するものでは
無
(
な
)
い。
127
而
(
しか
)
して
其
(
その
)
実現
(
じつげん
)
たるや、
128
現代人
(
げんだいじん
)
の
所謂
(
いはゆる
)
芸術
(
げいじゆつ
)
の
如
(
ごと
)
く、
129
形体
(
けいたい
)
の
上
(
うへ
)
に
現
(
あら
)
はるる
一
(
いち
)
時
(
じ
)
的
(
てき
)
の
悦楽
(
えつらく
)
に
非
(
あら
)
ず、
130
内面
(
ないめん
)
的
(
てき
)
にその
人格
(
じんかく
)
の
上
(
うへ
)
に、
131
その
生活
(
せいくわつ
)
の
上
(
うへ
)
に
活現
(
くわつげん
)
せなくてはならないのである。
132
真
(
しん
)
の
芸術
(
げいじゆつ
)
なるものは
生命
(
せいめい
)
あり、
133
活力
(
くわつりよく
)
あり、
134
永遠
(
ゑいゑん
)
無窮
(
むきう
)
の
悦楽
(
えつらく
)
あるものでなくてはならぬ。
135
瑞月
(
ずゐげつ
)
はかつて
芸術
(
げいじゆつ
)
は
宗教
(
しうけう
)
の
母
(
はは
)
なりと
謂
(
ゐ
)
つた
事
(
こと
)
がある。
136
併
(
しか
)
し
其
(
その
)
芸術
(
げいじゆつ
)
とは、
137
今日
(
こんにち
)
の
社会
(
しやくわい
)
に
行
(
おこな
)
はるる
如
(
ごと
)
きものを
謂
(
ゐ
)
つたのでは
無
(
な
)
い。
138
造化
(
ざうくわ
)
の
偉大
(
ゐだい
)
なる
力
(
ちから
)
に
依
(
よ
)
りて
造
(
つく
)
られたる、
139
天地間
(
てんちかん
)
の
森羅
(
しんら
)
万象
(
ばんしやう
)
は、
140
何
(
いづ
)
れも
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
の
芸術
(
げいじゆつ
)
的
(
てき
)
産物
(
さんぶつ
)
である。
141
此
(
こ
)
の
大
(
だい
)
芸術者
(
げいじゆつしや
)
、
142
即
(
すなは
)
ち
造物主
(
ざうぶつしゆ
)
の
内面
(
ないめん
)
的
(
てき
)
真態
(
しんたい
)
に
触
(
ふ
)
れ、
143
神
(
かみ
)
と
共
(
とも
)
に
悦楽
(
えつらく
)
し、
144
神
(
かみ
)
と
共
(
とも
)
に
生
(
い
)
き、
145
神
(
かみ
)
と
共
(
とも
)
に
動
(
うご
)
かむとするのが、
146
真
(
しん
)
の
宗教
(
しうけう
)
でなければならぬ。
147
瑞月
(
ずゐげつ
)
が
霊界
(
れいかい
)
物語
(
ものがたり
)
を
口述
(
こうじゆつ
)
したのも、
148
真
(
しん
)
の
芸術
(
げいじゆつ
)
と
宗教
(
しうけう
)
とを
一致
(
いつち
)
せしめ、
149
以
(
もつ
)
て
両者
(
りやうしや
)
共
(
とも
)
に
完全
(
くわんぜん
)
なる
生命
(
せいめい
)
を
与
(
あた
)
へて、
150
以
(
もつ
)
て
天下
(
てんか
)
の
同胞
(
どうはう
)
をして、
151
真
(
しん
)
の
天国
(
てんごく
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
楽
(
たの
)
しく
遊
(
あそ
)
ばしめむとするの
微意
(
びい
)
より
出
(
いで
)
たものである。
152
そして
宗教
(
しうけう
)
と
芸術
(
げいじゆつ
)
とは、
153
双方
(
さうはう
)
一致
(
いつち
)
すべき
運命
(
うんめい
)
の
途
(
と
)
にある
事
(
こと
)
を
覚
(
さと
)
り、
154
本書
(
ほんしよ
)
を
出版
(
しゆつぱん
)
するに
至
(
いた
)
つたのである。
155
大正十二年七月十七日
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