第一四章 山川動乱〔一六七〇〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻
篇:第3篇 虎熊惨状
よみ(新仮名遣い):とらくまさんじょう
章:第14章 山川動乱
よみ(新仮名遣い):さんせんどうらん
通し章番号:1670
口述日:1923(大正12)年07月16日(旧06月3日)
口述場所:祥雲閣
筆録者:加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1926(大正15)年4月14日
概要:
舞台:
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備考:
タグ:スーラヤの湖(スダルマ湖の別名)
データ凡例:
データ最終更新日:2018-07-07 22:28:45
OBC :rm6514
愛善世界社版:164頁
八幡書店版:第11輯 669頁
修補版:
校定版:171頁
普及版:77頁
初版:
ページ備考:
001デビス姫『三五教の神司 002厳の教の三千彦が
006蒙り茲に三千彦と
007互に袂を別ちつつ 008山川渡り野路を越え
009深霧包む谷道を 010潜りて漸く虎熊の
011山の麓の密林に
013巣を構へたる泥棒の 014手下の奴に囚へられ
016牢獄の中に投げ込まれ
020風吹き払ふことの如
022尽して曲を逐除けつ
025姫の命も隣室に 026悪魔の擒となり果てて
028以心伝心歌をもて
029互に心を通はせつ
031神に祈りて待つ内に 032又もや入り来る治道居士
034聞くより心勇み立ち
036二人を密に使とし
037作戦計画打ち合せ
039漸く牢獄を逃れ出て
041改心させむと思ふ折
043響き来れる宣伝歌 044夜光の玉を携へし
045珍の司の伊太彦が
047蚊竜忽ち時を得て 048天に上りし其如く
049互に力を協せあひ 050セール其他を言向けて
051醜の岩窟に火を放ち 052又もや此処に治道居士
055神の教を相守り
057妾は女のただ一人 058神を力に進み来る
060神は吾等と共にあり
064仮令百千万億の
065虎狼や曲津神 066醜の大蛇の現はれて
068何かは恐れむ敷島の
069大和御霊の神の御子 070朝日は照るとも曇るとも
072仮令大地は沈むとも
073誠の力は世を救ふ 074誠は此世の御宝
075夜光の玉や如意宝珠 076黄金の玉の其光
078直日の霊の御光に
080此世を造りし神直日
081心も広き大直日 082直日の御霊を経となし
083厳の御霊を緯として 084瑞の御霊の大神の
085珍の教を伝へ行く 086吾等は清き宣伝使
087三千彦司の妻なれば 088如何でか道に迷ふべき
089正義に刃向ふ刃なし 090仁慈の太刀を抜きかざし
091信仰の楯を身に帯て 092生言霊を打ち出し
093寄せ来る曲を言向けつ
098守らせ玉へ一人旅
099恵ませ給へ吾が魂 100偏に願ひ奉る』
101 斯く謡ひ、102とある山の裾を進む折しも、103轟然たる大音響と共に、104背後にあたる虎熊山は俄に爆発し、105熔岩を降らし、106山野の樹木、107禽獣を傷つけた。108デビス姫は此爆音に思はず知らず立ち止まり、109後ふり返り眺むれば、110満天墨を流したる如く、111空翔つ鳥はバタリバタリと地上に落ちて来た。112デビス姫は一生懸命に神言を奏上し、113一時も早く熔岩の雨の止まらむ事を祈願し始めた。114そこへ何者かの悲しげな声が聞えて来た。115よく見れば傍の叢に、116尾の半分許り白い野狐が、117熔岩の断片に臀部を打たれて、118もだえ苦しんで居る。119デビス姫は見るより野狐の前に走り寄り、120両眼に涙を浮べながら、121天津祝詞を奏上し、122且つ親切に四辺の土を掘起し、123唾をつけ、124臀部の岩片をえぐり出し、125傷痕を埋て、1251労はつた。126野狐は頻りに頭をさげ、127尾を幽かにふつて感謝の意を表はしてゐる。128暫くすると野狐はむつくと起き上り、129足をチガチガさせ乍ら、130後ふりかへり ふりかへり、131身の丈にも余る茅草の中に隠れて行く。
132デビス姫『虎熊の山は俄に破裂して
133艱ましにけり野狐の身までも。
134草も木も鳥も獣も虎熊の
135猛き唸りに恐れ戦く。
136獅子よりも虎熊よりも恐ろしき
137彼の爆音に天地ふるひぬ。
138皇神の教へ給ひし現世の
140野も山も熔けたる岩や火山灰
141被りてふるふ今日ぞ淋しき。
142人は皆皇大神の生宮と
143ほこれど今は顔色もなし。
144虎熊の山の荒びにあらし野の
145虎熊獅子もふるひ戦く。
146三千彦の珍の司を禍に
147合はせたまひそ是の艱みに。
148玉国別教司の身の上を
149偲びけるかな此爆発に。
150ブラヷーダ姫の命は幼ければ
152治道居士この爆音を聞きまさば
153勇みたまはむ法螺を吹きつつ。
154法螺の音はいとも大きく聞ゆとも
155虎熊山に及ばざるらむ。
156初稚姫伴ひたまふスマートの
157吠猛る声偲ばるるかな。
158虎熊の此爆音を耳にして
160野も山も怪しき霧に包まれぬ
161虎熊山の伊吹なるらむ。
162古のエトナの山の噴火より
163いと恐ろしき虎熊の山。
164言霊別神の命のあひましし
165百の艱みを偲ばるるかな。
166エトナ山震ひ出して地の上は
167大水あふれ風吹きまくる。
168救ひをば叫び悲しむ民の声も
169この爆音に聞えずなりぬ。
170東の山の御空を眺むれば
171日は落ち月は後に輝く。
172盗人のたて籠もりたる高山を
173破らせにけむ神は怒りて。
174虎熊の生血を絞る岩窟も
175火の洗礼を受けて清まる。
176噴火のみか山の尾上に山潮の
178熔岩を数多噴き出四方八方の
180爆発の後の山地ひきならし
181太しく立てむ神の宮居を。
182日も月も皆みあらかに納まりて
183常夜の暗を照したまはむ』
184(大正一二・七・一六 旧六・三 於祥雲閣 加藤明子録)