霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二二章 均霑(きんてん)〔一六七八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻 篇:第4篇 神仙魔境 よみ(新仮名遣い):しんせんまきょう
章:第22章 均霑 よみ(新仮名遣い):きんてん 通し章番号:1678
口述日:1923(大正12)年07月17日(旧06月4日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年4月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6522
愛善世界社版:243頁 八幡書店版:第11輯 697頁 修補版: 校定版:255頁 普及版:110頁 初版: ページ備考:
001 虎熊山(とらくまやま)(にはか)爆発(ばくはつ)に、002仙聖山(せんせいざん)()ふも(さら)なり、003(この)郷土(きやうど)山川(さんせん)草木(さうもく)激烈(げきれつ)震動(しんどう)し、004三千彦(みちひこ)(のぞ)(ほか)005(いづ)れも顔色(がんしよく)蒼白(まつさを)となり、006(ふる)(をのの)いてゐた。007熔岩(ようがん)七八(しちはち)()(へだ)てた(この)地点(ちてん)まで遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)もなく()りくるその(すさま)じさ。008されど(この)(おほ)きな(いへ)にも(かか)はらず、009(ただ)一個(いつこ)(あた)らなかつたのは(かみ)(さま)()守護(しゆご)と、010(いづ)れも感謝(かんしや)(ねん)(もよほ)すのであつた。011流石(さすが)猛悪(まうあく)なるテーラも、012キングレスも、013部下(ぶか)小盗人(こぬすびと)も、014(にはか)(おぢ)けつき、015(おも)はず()らず両手(りやうて)(あは)せ、016一生(いつしやう)懸命(けんめい)祈願(きぐわん)(はじ)めた。017その(こゑ)(いち)()018裏山(うらやま)谷々(たにだに)木精(こだま)(ひび)かした。
019スマナー(ひめ)(みな)さま、020(おそ)ろしい(こと)(ござ)いましたな。021あの(やう)な……(いち)()巨大(きよだい)熔岩(ようがん)(あめ)(ごと)くに()つて(まゐ)りましたが、022神徳(かげ)によりまして、023(わが)()には(ただ)(ひと)つも(あた)らず、024(また)あの地響(ぢひびき)(いへ)(たふ)れず、025(みな)さまも無事(ぶじ)(いのち)(ひろ)はれしは、026(まつた)(たふと)(かみ)(さま)()守護(しゆご)(ござ)いませう』
027()(なが)(まど)(ひら)いて、028村落(そんらく)家々(いへいへ)(なが)めて()た。029(しか)(なが)黒煙(こくえん)(てん)(みなぎ)つて黒白(あやめ)(わか)らぬ(しん)(やみ)となつて()た。030実際(じつさい)今日(けふ)(あさ)(はや)くより何処(どこ)ともなく薄暗(うすくら)く、031(いづ)れも夜分(やぶん)(おも)つてゐたがその(じつ)032まだ(ひる)最中(もなか)であつたのである。033(べつ)(むら)家々(いへいへ)にも火災(くわさい)(おこ)らず、034阿鼻(あび)叫喚(けうくわん)(こゑ)もなきに安心(あんしん)(むね)()でおろし、
035スマナー『(みな)さま、036(わたし)(いへ)村中(むらぢう)一度(いちど)見下(みお)ろせる(ところ)(ござ)いますが、037村方(むらがた)はあの騒動(さうだう)火災(くわさい)(おこ)らず、038(さけ)びの(こゑ)(きこ)えませぬから、039一軒(いつけん)(のこ)らず(かみ)(さま)のお神徳(かげ)(いただ)いたのでせう。040サア(これ)から(かみ)(さま)感謝(かんしや)(まつり)(いた)しまして、041(みな)さまに直会(なほらひ)(いただ)いて(もら)ひませう』
042三千(みち)『いや、043それは結構(けつこう)です。044(この)(やう)大爆発(だいばくはつ)045(あめ)(ごと)()(きた)熔岩(ようがん)が、046(この)(ひろ)(いへ)一箇(いつこ)(あた)らず、047村中(むらぢう)安全(あんぜん)()ふのは(まつた)不思議(ふしぎ)です。048()れも(かみ)(さま)()神徳(かげ)でせう。049サア青年隊(せいねんたい)方々(かたがた)050()苦労(くらう)(なが)らお(まつり)用意(ようい)(ねが)ひます』
051 タークは三千彦(みちひこ)言葉(ことば)(したが)ひ、052青年隊(せいねんたい)(ひき)ゐ、053いろいろ供物(くもつ)用意(ようい)をなし、054祭典(さいてん)準備(じゆんび)()りかかつた。055(やうや)祭典(さいてん)用意(ようい)出来(でき)た。056ここに三千彦(みちひこ)057スマナー(ひめ)(あたら)しき祭服(さいふく)をつけ、058(うやうや)しく神前(しんぜん)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、059祭典(さいてん)無事(ぶじ)終了(しうれう)した。060それより村中(むらぢう)老若(ろうにやく)男女(なんによ)(この)(ひろ)(いへ)(あつ)まり(きた)り、061キングレスの部下(ぶか)斎場(さいぢやう)(れつ)し、062直会(なほらひ)(いただ)(こと)となつた。
063 スマナー(ひめ)(うれ)しげに宴席(えんせき)中央(ちうあう)()つて、064(みづ)から(うた)(みづか)()ふ。
065スマナー(ひめ)此処(ここ)()()秘密郷(ひみつきやう)
066(きた)仙聖山(せんせいざん)(ひか)
067(ひがし)虎熊(とらくま)(やま)(そび)()
068(しろ)(あを)黄色(きいろ)(むらさき)
069(はな)芳香(はうかう)(くん)じつつ
070胡蝶(こてふ)(たか)()(あそ)
071迦陵(かりよう)嚬伽(びんが)(すず)しき(こゑ)(はな)ちて
072神世(かみよ)(うた)
073()にも(たふと)仙聖郷(せんせいきやう)
074青人草(あをひとぐさ)(よろこ)びは
075(ほか)(くに)には(ためし)なき
076中国一(ちうごくいち)瑞祥(ずゐしやう)
077(しこ)曲津(まがつ)(とき)()
078一度(いちど)(すさ)(くる)ひしが
079(たふと)(かみ)御使人(みつかひびと)
080三千彦(みちひこ)(つかさ)があれまして
081(わが)()(はじ)(この)(さと)
082(しこ)(わざはひ)(のぞ)かせ(たま)
083(いま)(まつた)(いにしへ)
084神代(かみよ)(かへ)りし(うれ)しさよ
085仙聖山(せんせいざん)(みね)(たか)
086五色(ごしき)(くも)被衣(かづき)して
087(くも)をば(おこ)(あめ)()らし
088五日(いつか)(かぜ)十日(じふじつ)
089(あめ)(とき)をば(たが)へずに
090()りしく(あつ)御恵(みめぐみ)
091仙聖郷(せんせいきやう)()()ひし
092(わが)()(さと)(よろこ)びぞ
093(いさ)めよ(いさ)里人(さとびと)
094(をど)れよ(をど)(みな)(ひと)
095今日(けふ)生日(いくひ)(よろこ)びは
096(ほか)へはやらじ幾千代(いくちよ)
097つづかせませと大前(おほまへ)
098(いの)(われ)()真心(まごころ)
099(かみ)(かなら)ずみそなはし
100(きよ)(うべ)なひ(たま)ふべし
101あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
102()にも(うれ)しき(ひと)()
103(まこと)(みち)()みしめて
104(かみ)(をしへ)()るならば
105(この)()(まが)(おそ)れなし
106(わらは)(たふと)足乳根(たらちね)
107(おや)兄弟(きやうだい)()(きみ)
108(かな)しき(わか)れをなせしより
109(こころ)(くも)(むね)(いた)
110()()もあらぬ(おも)ひにて
111一度(いちど)(この)()()らむかと
112(せま)(をんな)(こころ)より
113(おも)(さだ)めて仙聖(せんせい)
114(やま)()ちたる白骨堂(はくこつだう)
115それの御前(みまへ)平伏(ひれふ)して
116(いま)()てむとする(とき)しもあれや
117()さへ目出度(めでた)三千彦(みちひこ)
118(かみ)(つかさ)御恵(みめぐ)みに
119果敢(はか)なき(いのち)(すく)はれて
120(わが)()(かへ)(うかが)へば
121(はや)くも()()内外(うちそと)
122(ひろ)げられたる(おそ)ろしさ
123(やみ)(さいは)裏口(うらぐち)
124()ちて様子(やうす)(うかが)へば
125従兄(いとこ)名乗(なの)るテーラさま
126捕手(とりて)名乗(なの)人々(ひとびと)
127青年隊(せいねんたい)のタークさま
128インターさまと何事(なにごと)
129争論(あげつらひ)つつ(わらは)(いのち)
130()せしとや(おも)(たま)ひけむ
131百千万(ひやくせんまん)(こころ)(くば)
132感謝(かんしや)(なみだ)にほだされて
133三千彦(みちひこ)(つかさ)諸共(もろとも)
134(おく)(ふすま)(ひき)()けて
135(その)()(たち)()言霊(ことたま)
136かすかに()れば人々(ひとびと)
137(こころ)(やみ)()(わた)
138(きよ)(たふと)惟神(かむながら)
139(うづ)身魂(みたま)(かへ)りたる
140その(よろこ)びや如何(いか)(ばか)
141感謝(かんしや)言葉(ことば)もなきまでに
142(わらは)(よろこ)()()りぬ
143あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
144(かみ)(めぐ)みを何処(どこ)までも
145(いただ)きまして直会(なほらひ)
146(この)酒宴(さかもり)(こころ)よく
147(きこ)()されと()(まつ)
148朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
149(つき)()(ほし)()するとも
150虎熊山(とらくまやま)()るるとも
151(かみ)(まか)せし(ひと)()
152いかで(おそ)れむ(いま)()(あた)
153(かみ)(めぐみ)(かうむ)りて
154()(さか)えたる(うれ)しさよ
155あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
156(かみ)御前(みまへ)(つつし)みて
157(かしこ)感謝(かんしや)(たてまつ)る』
158三千彦(みちひこ)諸々(もろもろ)(つみ)(けがれ)(はら)はむと
159爆発(ばくはつ)しけむ虎熊(とらくま)(やま)
160虎熊(とらくま)(みね)(ひそ)みし枉神(まがかみ)
161(いま)(まつた)()()せにけむ。
162仙聖(せんせい)(きよ)けき(さと)()()れば
163(おも)ひがけなき(こと)のみぞ()く。
164スマナーの(ひめ)(みこと)真心(まごころ)
165(めで)(たま)ひなむ天地(あめつち)(かみ)は。
166インターやタークの(きみ)真心(まごころ)
167バータラの(いへ)(さか)()かなむ』
168ターク『(おも)ひきや魔神(まがみ)(たけ)(この)(さと)
169(かみ)使(つかひ)(きた)りますとは。
170(かたむ)きし(いへ)(はしら)立直(たてなほ)
171(きみ)(まこと)三千彦(みちひこ)(つかさ)よ』
172インター『村肝(むらきも)(こころ)(やみ)()れにけり
173バータラの(いへ)(くも)(はら)ひて。
174(ひる)さへも(くら)くなりぬる今日(けふ)(そら)
175()かさむ(ため)爆発(ばくはつ)(こゑ)
176(わが)(むね)(ひそ)枉津(まがつ)()()せぬ
177かの爆発(ばくはつ)(つよ)(ひびき)に。
178獅子(しし)(くま)(とら)(おほかみ)(をのの)きて
179(しづ)まりにけむ爆発(ばくはつ)(こゑ)に』
180三千彦(みちひこ)何事(なにごと)(みな)皇神(すめかみ)御心(みこころ)
181(あふ)(ゐやま)(かみ)御子(みこ)(たち)
182産土(うぶすな)(やま)()(いで)()(きみ)
183(おん)()如何(いか)にと(おも)(わづら)ふ。
184さり(なが)(わが)()(きみ)神人(しんじん)
185いと(たひ)らけく(やす)くましまさむ』
186 スマナーは三千彦(みちひこ)(さかづき)をさし(なが)ら、
187スマナー『もし宣伝使(せんでんし)(さま)188(わたし)今後(こんご)()()(かた)()いては、189如何(いかが)(いた)したら(よろ)しう(ござ)いませうか。190何卒(どうぞ)(しめ)しを(ねが)ひたう(ござ)います』
191三千(みち)(わたし)()うなさいませ……とお指図(さしづ)(いた)しませぬが、192貴女(あなた)のお(こころ)にお(かん)じなされた最善(さいぜん)方法(はうはふ)(もつ)ておやりなされたら如何(どう)でせう』
193スマナー『はい、194有難(ありがた)(ござ)います。195左様(さやう)ならば貴方(あなた)のお(かげ)(いのち)のない(ところ)(すく)はれ、196(また)こうして沢山(たくさん)(かた)(まこと)(みち)(たち)(かへ)つて(くだ)さつたので(ござ)いますから、197(わたし)はこれに()した(よろこ)びは(ござ)いませぬ。198山林(さんりん)田畑(たはた)(たから)(なに)()りませぬ。199(わたし)(この)(いへ)三五教(あななひけう)(かみ)(さま)やウラルの(かみ)(さま)をお(まつ)(いた)し、200祖先(そせん)や、201(をつと)菩提(ぼだい)(とむら)ひ、202比丘尼(びくに)となつて、203一生(いつしやう)(おく)りたう(ござ)いますが、204如何(いかが)(ござ)いませうな』
205三千(みち)成程(なるほど)206それは(まこと)殊勝(しゆしよう)なお(かんが)へです。207三千彦(みちひこ)208双手(そうしゆ)()げて賛成(さんせい)(いた)します』
209スマナー『早速(さつそく)()承知(しようち)210有難(ありがた)(ぞん)じます。211()きましては(わたし)(いへ)先祖(せんぞ)代々(だいだい)の……(この)界隈(かいわい)での富豪(ふがう)(ござ)いまするが、212もはや比丘尼(びくに)となつて(かみ)(さま)にお(つか)へする以上(いじやう)は、213財産(ざいさん)なんか、214必要(ひつえう)(みと)めませぬ。215何卒(どうぞ)バータラ()財産(ざいさん)全部(ぜんぶ)を、216社会(しやくわい)公共(こうきよう)(ため)(ささ)()いと(ぞん)じますが、217如何(いかが)(ござ)いませうか』
218三千(みち)『それは至極(しごく)結構(けつこう)です。219(さだ)めて村人(むらびと)もお(よろこ)びになるでせう』
220スマナー『全財産(ぜんざいさん)(よつ)つに()け、221その一部(いちぶ)をエルサレムの(みや)(けん)じ、222一部(いちぶ)神館(かむやかた)維持費(ゐぢひ)()て、223(のこ)りの二部(にぶ)村人(むらびと)寄贈(きぞう)(いた)しましたら如何(いかが)(ござ)いませうかな』
224三千(みち)『それは至極(しごく)よいお(かんが)へです。225さうなさいませ。226(しか)(なが)(いま)ここに改心(かいしん)をせられたキングレス、227(ほか)十数(じふすう)(にん)方々(かたがた)は、228いま泥棒(どろばう)をお()めになつた(ところ)で、229百姓(ひやくしやう)するにも田畑(たはた)はなし、230商売(しやうばい)をするにも資本(しほん)もないと()場合(ばあひ)ですから、231(この)方々(かたがた)にも(すこ)しなりと山林(さんりん)なり田畑(たはた)なりお(あた)へになり、232農業(のうげふ)をおさせになつたら如何(いかが)(ござ)いませうか』
233スマナー『はい、234どうも有難(ありがた)(ござ)います。235キングレス(さま)(その)(ほか)方々(かたがた)()承知(しようち)さへ(くだ)されば236(この)(むら)()つて(もら)つて正業(せいげふ)()いて(もら)ひませう』
237三千(みち)『キングレス(さま)238(その)()方々(かたがた)239(いま)スマナー(さま)貴方(あなた)(がた)相当(さうたう)財産(ざいさん)分配(ぶんぱい)したいと仰有(おつしや)るがどうで(ござ)いませう。240改心(かいしん)なさつた以上(いじやう)は、241(この)仙聖郷(せんせいきやう)(おい)農業(のうげふ)(いとな)み、242安全(あんぜん)なる生活(せいくわつ)(おく)られたら()からうと(おも)ひますが、243貴方(あなた)のお(かんが)へは如何(いかが)(ござ)いますか』
244 キングレスは落涙(らくるい)(なが)両手(りやうて)をつき、
245キング『ハイ、246重々(ぢうぢう)(つみ)(ゆる)された(うへ)247(ゆめ)だにも()(こと)出来(でき)ないやうな(おん)(めぐ)み、248あまりの(こと)で、249勿体(もつたい)なうて(かへ)言葉(ことば)(ござ)いませぬ。250何分(なにぶん)にも(よろ)しく()(ねがひ)(まを)します』
251三千(みち)『あ、252それは結構(けつこう)々々(けつこう)253これ、254スマナー(さま)255これで財産(ざいさん)処分(しよぶん)(ほぼ)落着(らくちやく)しました。256貴女(あなた)もこれから重荷(おもに)()りたやうなものだから、257(この)(いへ)修繕(しうぜん)して(かみ)(さま)御舎(みあらか)となして258里人(さとびと)(ぜん)(みちび)善根(ぜんこん)をお()みなさいませ。259(わたくし)貴女(あなた)()つて(おも)はぬ御用(ごよう)をさして(いただ)きました。260あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
261(てん)(むか)つて合掌(がつしやう)(うれ)(なみだ)にくれてゐる。
262三千(みち)()(なか)(しこ)枉津(まがつ)はなけれども
263(ただ)(こころ)より()()づるかな。
264()(うち)(まが)さへなくば獅子(しし)(くま)
265(とら)(おほかみ)(もの)(かず)かは。
266(まこと)ほど()(おそ)るべき(もの)はなし
267(おに)大蛇(をろち)()()せて()く。
268バラモンの(かみ)(をしへ)(ふり)()てて
269今日(けふ)(まこと)三千彦(みちひこ)となる』
270スマナー(ひめ)(たま)()(いのち)(あやふ)折節(をりふし)
271()てよとかかる(たま)(おん)(こゑ)
272三千彦(みちひこ)(きみ)(あら)はれ()まさずば
273(われ)霊界(あのよ)(ひと)なりしならむ。
274テーラの(しこ)言葉(ことば)()(おそ)
275()なむとせしぞ(おろか)なりけり。
276さり(なが)らテーラの(きみ)のあらばこそ
277(この)(よろこ)びの(きた)りしならむ。
278()(なか)(あし)きものとて()かるべし
279(ただ)(わが)(こころ)(くら)(ゆゑ)なり。
280村肝(むらきも)(こころ)(そら)(くも)なくば
281月日(つきひ)(きよ)()()らすらむ』
282ターク『仙聖(せんせい)(さと)今日(けふ)より(いにしへ)
283(はな)()(にほ)(その)となるらむ。
284三千彦(みちひこ)(かみ)(つかさ)御恵(みめぐ)みに
285(わが)里人(さとびと)(よみがへ)りつつ。
286スマナーの比丘尼(びくに)(きみ)によく(つか)
287(あさ)(ゆふ)なに(みち)(まも)らむ』
288インター『(われ)とても比丘尼(びくに)(きみ)真心(まごころ)
289(あめ)にぬれつつ(しの)()()きぬ。
290(うれ)しさの(なみだ)(むね)()(あふ)
291()()(ばか)(いさ)()つかな』
292キングレス『枉事(まがこと)のあらむ(かぎ)りを(つく)したる
293(われ)にも(かみ)(めぐ)(たま)ひぬ。
294虎熊(とらくま)(やま)悪事(あくじ)(たく)らみつ
295(いま)もありせば(ほろ)びしならむ。
296(この)(さと)(あら)はれ(きた)爆発(ばくはつ)
297なやみ(のが)れし(こと)(うれ)しき』
298 テーラはノソリノソリと(あし)(いた)めて(この)()()(きた)り、299(には)土間(どま)犬突這(いぬつくばひ)となつて、
300テーラ『枉神(まがかみ)(しこ)(かぎ)りを(つく)したる
301(われ)(いま)よりは()(あらた)めなむ。
302百人(ももびと)(わが)罪科(つみとが)(ゆる)せかし
303(むら)(しもべ)となりて(つか)へむ』
304 (いよいよ)ここにバータラ()遺産(ゐさん)は、305スマナーの意志(いし)(したが)ひそれぞれ分配(ぶんぱい)されて、306上下(じやうげ)貧富(ひんぷ)区別(くべつ)なく、307郷民(きやうみん)(たがひ)(げふ)(たの)しみ近隣(きんりん)相和(あひわ)し、308和気(わき)靄々(あいあい)として()(おく)(こと)となつた。309三千彦(みちひこ)宣伝(せんでん)(たび)()くので、310(なが)(とど)まる(わけ)にも()かず、311二三(にさん)(にち)逗留(とうりう)して里人(さとびと)(かみ)(をしへ)(つた)へ、312タークを(やかた)留守居(るすゐ)(たの)()き、313スマナーはエルサレムへ参拝(さんぱい)せむと、314三千彦(みちひこ)(ゆる)しなければ、315()(かく)れに(あと)(した)ふて(すす)()(こと)となつた。
316大正一二・七・一七 旧六・四 於祥雲閣 北村隆光録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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