霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 饅頭塚(まんぢゆうづか)〔一六七一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻 篇:第3篇 虎熊惨状 よみ(新仮名遣い):とらくまさんじょう
章:第15章 饅頭塚 よみ(新仮名遣い):まんじゅうづか 通し章番号:1671
口述日:1923(大正12)年07月16日(旧06月3日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年4月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6515
愛善世界社版:173頁 八幡書店版:第11輯 672頁 修補版: 校定版:181頁 普及版:80頁 初版: ページ備考:
001ブラヷーダ(ひめ)(わが)()(きみ)(したが)ひて
002(ちち)(はは)とに(いき)(わか)
003スーラヤ湖水(こすい)()(わた)
004エルの(みなと)安着(あんちやく)
005初稚姫(はつわかひめ)神人(しんじん)
006(いまし)められて(ただ)一人(ひとり)
007(こひ)しき(をつと)(いき)(わか)
008(あゆ)みもなれぬ(たび)(そら)
009草鞋(わらぢ)(あし)()はれつつ
010()()についで(やま)()
011幾多(いくた)(たに)をうち(わた)
012ハルセイ(うみ)(ほとり)まで
013()かかる(をり)しも盗人(ぬすびと)
014(むれ)になんなく(とら)へられ
015()もおそろしき虎熊(とらくま)
016(まが)岩窟(いはや)()()かれ
017(ひる)()(くら)岩窟(がんくつ)
018牢獄(ひとや)(うち)(とら)はれて
019(わが)()不運(ふうん)をかこつ(をり)
020(となり)牢獄(ひとや)にデビス(ひめ)
021(とら)はれ()ますと(さと)りしゆ
022()(どく)なりと(おも)へども
023(なん)とはなしに()(いさ)
024地獄(ぢごく)(ほとけ)にあひしごと
025(こころ)(にはか)(かがや)きぬ
026かかる(ところ)治道(ちだう)居士(こじ)
027夢寐(むび)にも(わす)れぬ伊太彦(いたひこ)
028(わが)()(きみ)(あら)はれて
029(しこ)身魂(みたま)をことごとく
030生言霊(いくことたま)にまつろはし
031(わらは)二人(ふたり)(いのち)をば
032(すく)ひたまひて一言(ひとこと)
033(なさけ)言葉(ことば)もかけずして
034(ふたた)(かみ)大道(おほみち)
035(すす)ませたまひし雄々(をを)しさよ
036(また)もや(わらは)(ただ)一人(ひとり)
037(かみ)(をしへ)白雲(しらくも)
038(くに)のあなたに(つた)へむと
039炎熱(えんねつ)はげしき大野原(おほのはら)
040(あぶ)には()され土蜂(つちばち)
041(おびや)かされて(やうや)うに
042セルの山辺(やまべ)()()れば
043(にはか)四辺(あたり)暗澹(あんたん)
044不快(ふくわい)空気(くうき)(つつ)まれぬ
045唯事(ただごと)ならじと(かみ)御名(みな)
046ただ一心(いつしん)(とな)へつつ
047千花(ちばな)(かほ)山路(やまみち)
048(すす)(きた)れる折柄(をりから)
049大地(だいち)(にはか)震動(しんどう)
050(うしろ)(きこ)ゆる爆音(ばくおん)
051獅子(しし)(おほかみ)虎熊(とらくま)
052(ただ)しは大蛇(をろち)襲来(しふらい)
053百千万(ひやくせんまん)(いかづち)
054一度(いちど)()ちし(ごと)くなる
055(その)音響(おんきやう)()りかへり
056(そら)(あふ)いで(なが)むれば
057豈計(あにはか)らむや昨日(きのふ)まで
058(しこ)曲津(まがつ)(とら)はれて
059(くる)しみ()たる思出(おもひで)
060印象(いんしやう)(ふか)(くも)(やま)
061虎熊岳(とらくまだけ)爆発(ばくはつ)
062(さと)りし(とき)(おそ)ろしさ
063()()はよだち(あし)はなへ
064(すす)()ねたる女気(をんなぎ)
065(なん)詮方(せんかた)()(なみだ)
066(とど)めかねたる(ばか)りなり
067(やうや)(こころ)(やす)らぎて
068(むね)動悸(どうき)鎮静(ちんせい)
069(あし)(やうや)くすこやかに
070なりし(わが)()(うれ)しさよ
071(この)()(かみ)()まさずば
072(この)(おそ)ろしき爆音(ばくおん)
073(わらは)(きよ)(たま)()
074(いのち)()えて()せましを
075(たふと)(かみ)(おん)(めぐみ)
076(あふ)ぐも(かしこ)次第(しだい)なり
077あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
078御霊(みたま)(さち)(はへ)ましませよ
079朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
080(つき)()つとも()くるとも
081仮令(たとへ)(をつと)(はな)るとも
082(まこと)(かみ)御教(みをしへ)
083幾千代(いくちよ)(まで)(はな)れまじ
084さはさりながら皇神(すめかみ)
085(わが)()(きみ)行末(ゆくすゑ)
086やすく(まも)らせたまひつつ
087ハルナの(みやこ)(そら)(たか)
088(つき)(かんばせ)(はな)(いろ)
089夫婦(めをと)再会(さいくわい)(つつが)なく
090(ゆる)させたまへ大御神(おほみかみ)
091一重(ひとへ)(ねが)(たてまつ)
092あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
093(かみ)(をし)へぞ(たふと)けれ
094(かみ)(めぐみ)有難(ありがた)き』
095 ()かる(ところ)(あし)をチガチガさせた一匹(いつぴき)野狐(のぎつね)(あら)はれ(きた)り、096ブラヷーダの(すそ)()はへて無理(むり)無体(むたい)草野(くさの)(なか)引張(ひつぱ)らうとする。097ブラヷーダは(おどろ)いて()げむとすれど、098野狐(のぎつね)執念(しふねん)(ぶか)(すそ)(くは)如何(いか)藻掻(もが)いても(はな)さないので、099ブラヷーダは()むを()ず、100野狐(のぎつね)()かるるまま、101()(たけ)(ぼつ)する草野(くさの)(なか)()いて()く。102野狐(のぎつね)原野(げんや)(なか)饅頭形(まんぢゆうがた)になつて()(をか)(かたはら)の、103()なり(おほ)きな(あな)引張(ひつぱ)()んで(しま)つた。104(しばら)くすると山岳(さんがく)(くづ)るる(ばか)りの大音響(だいおんきやう)(きこ)えた。105これは、106虎熊山(とらくまやま)爆発(ばくはつ)によつて、107(やま)(かみ)として(ふる)くより()(ひそ)めて、108世界(せかい)邪気(じやき)(おく)りつつあつた八大(はちだい)竜王(りうわう)(ひとつ)109マナスインナーガラシヤーであつた。110(この)竜王(りうわう)()(なが)五百万(ごひやくまん)(ぢやう)(あま)り、111(その)(ふと)さもそれに適当(てきたう)し、112三百万(さんびやくまん)(ぢやう)(おそ)ろしき竜神(りうじん)である。113身体(しんたい)長大(ちやうだい)にして、114九天(きうてん)(うへ)(のぼ)り、115(あるひ)須弥仙(しゆみせん)(まは)ること七廻(ななまは)りと(しよう)せられ、116よく大海(だいかい)(みづ)()めて、117海中(かいちう)(やま)湧出(ゆうしゆつ)させ、118(あるひ)(しま)沈没(ちんぼつ)させると()(おそ)ろしき悪竜(あくりう)である。119(いま)竜神(りうじん)は、120ブラヷーダが(かく)れて()野狐(のぎつね)(あな)(うへ)を、121身体(しんたい)一部(いちぶ)(とほ)つて()るのである。122(にはか)(あな)(なか)がパツと(くら)くなつたと(おも)へば、123(なん)とも()へぬ腥臭(なまくさ)(いき)(はな)(おそ)ふて()た。124野狐(のぎつね)(あな)(くち)にうづくまつて(ひめ)安全(あんぜん)(まも)つて()た。125(にはか)(ふたた)(あな)(なか)(あか)くなつたと(おも)へば、126野狐(のぎつね)(たちま)(また)ブラヷーダの(すそ)(くは)へて(そと)()()さうとした。127ブラヷーダは()かるるままに(そと)()()れば、128四辺(あたり)草木(さうもく)(みな)(たふ)()(とど)かぬ(ばか)りの(ひろ)(くさ)(みぞ)穿(うが)たれたやうになつて()る。129ブラヷーダは野狐(のぎつね)(むか)感謝(かんしや)()(へう)して、
130ブラヷ『(わが)(いのち)(たす)けたまひし()(みこと)
131(その)御恵(みめぐみ)をいつか(わす)れむ。
132(なんぢ)なくば(われ)はあへなく身失(みう)せなむ
133(いのち)(おや)野狐(のぎつね)生神(いきがみ)
134(うた)ふや、135野狐(のぎつね)()()り、136(くび)()り、137(よろこ)びの(いろ)(あら)はし、138(ふたた)(もと)山道(やまみち)へと(おく)つて()た。
139ブラヷーダ(ひめ)『いざさらば(こひ)しき(きみ)(わか)れなむ
140やすくましませ千代(ちよ)八千代(やちよ)に』
141 野狐(のぎつね)(ふたた)草原(くさはら)姿(すがた)(かく)した。142ブラヷーダは(あと)()りかへり、143(てん)(ちう)する虎熊山(とらくまやま)噴煙(ふんえん)(なが)めて、
144ブラヷ『(あふ)()れば虎熊山(とらくまやま)(そら)(たか)
145おほひけるかな(しこ)黒雲(くろくも)
146天津(あまつ)()もかくれて()えぬ()(なか)
147(しこ)のまがみの(ひと)(すさ)べる。
148()(ひと)生血(いきち)(しぼ)(まが)こそは
149虎熊山(とらくまやま)()みしなるらむ。
150皇神(すめかみ)(いか)りに()れて高山(たかやま)
151爆発(ばくはつ)しけむさても(おそ)ろし。
152人々(ひとびと)(うらみ)(あつ)めて噴火口(ふんくわこう)
153()()(けぶり)(そら)(おほ)へる。
154西(にし)(ひがし)(みなみ)(きた)黒雲(くろくも)
155(つつ)まれてけり今日(けふ)大空(おほぞら)
156いづみたま(みづ)御霊(みたま)のなかりせば
157(この)黒雲(くろくも)如何(いか)(はら)はむ。
158荒鉄(あらがね)(つち)洪水(こうずい)氾濫(はんらん)
159(そら)黒雲(くろくも)()ちふさぎける。
160黒雲(くろくも)伊吹(いぶき)(はら)ひて(くれなゐ)
161(ひかり)をみする(いづ)大神(おほかみ)
162濁流(だくりう)をながし(きよ)めて神国(かみくに)
163(むかし)にかへす(みづ)大神(おほかみ)
164()(みづ)(めぐみ)によりて(つち)()
165いと(やす)らけく(ひら)けゆくらむ。
166()はかくれ(つき)山辺(やまべ)(をのの)きて
167(ほし)さへ()えぬ御世(みよ)ぞうたてき。
168大空(おほぞら)(たに)(そこ)ひもおしなべて
169雲霧(くもきり)ふさぐ(いま)()(なか)
170厳御霊(いづみたま)(みづ)御霊(みたま)のなかりせば
171(くだ)けたる()如何(いか)(かた)めむ。
172ブラヷーダ(われ)はかよわき()なれども
173(みづ)御霊(みたま)(したが)ひゆかむ。
174高山(たかやま)()ふる諸木(もろき)荒風(あらかぜ)
175()まれて(はしら)になるものはなし。
176足曳(あしびき)深山(みやま)(おく)谷底(たにぞこ)
177()ふる大木(おほき)()(はしら)なる。
178皇神(すめかみ)(つく)りたまひし()(なか)
179(かみ)より(ほか)(たよ)るべきなし。
180よしやよし(ひと)(たか)きに(のぼ)るとも
181いつかはおちむ(さる)木登(きのぼ)り。
182千丈(せんぢやう)(たき)よりおつる水音(みなおと)
183ただ轟々(ぐわうぐわう)(そこ)にとどろく。
184()(とり)虎熊山(とらくまやま)(ふる)ひてゆ
185征矢(そや)(ごと)くに()におちにけり』
186 かく(うた)ひてブラヷーダ(ひめ)187(また)もや小声(こごゑ)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)ら、188(つゑ)(ちから)に、189トボトボと雑草(ざつさう)(しげ)小径(こみち)をわけて、190西(にし)西(にし)へと(すす)()く。
191
192(かすみ)(おく)(くも)のあなたに皇神(すめかみ)
193黄金(こがね)(みや)()ゆる(うれ)しさ。
194大正一二・七・一六 旧六・三 於祥雲閣 加藤明子録)
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