霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二四章 危母玉(きもだま)〔一六八〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻 篇:第5篇 讃歌応山 よみ(新仮名遣い):さんかおうさん
章:第24章 危母玉 よみ(新仮名遣い):きもだま 通し章番号:1680
口述日:1923(大正12)年07月18日(旧06月5日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年4月14日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:シヤーガラ竜王(サーガラ竜王) データ凡例: データ最終更新日:2019-05-05 10:58:36 OBC :rm6524
愛善世界社版:269頁 八幡書店版:第11輯 706頁 修補版: 校定版:281頁 普及版:122頁 初版: ページ備考:
001 玉国別(たまくにわけ)002真純彦(ますみひこ)二人(ふたり)はスーラヤの(みづうみ)西岸(せいがん)()いた(とき)003初稚姫(はつわかひめ)厳粛(げんしゆく)なる訓戒(くんかい)()りて、004(ともな)(きた)りし三千彦(みちひこ)005伊太彦(いたひこ)006治道(ちだう)居士(こじ)(その)()(わか)れて、007逸早(いちはや)聖地(せいち)(すす)まむと()()()いで(たび)(つか)れも()にせず、008(あし)(はや)めて(やうや)くエルサレムに程近(ほどちか)き、009サンカオの(さと)()いた。010此処(ここ)にはシオン(ざん)より(なが)(きた)る、011ヨルダン(がは)轟々(ぐわうぐわう)水音(みなおと)()てて(なが)れてゐる。012(その)北岸(ほくがん)細道(ほそみち)をスタスタとやつて()ると、013(にはか)一天(いつてん)(すみ)(なが)した(ごと)黒雲(くろくも)(ふさ)がり、014えも()はれぬ陰欝(いんうつ)空気(くうき)(ただよ)うて()た。015そしてあたりは森閑(しんかん)として微風(びふう)(ひと)()かず、016(なん)ともなしに()(あつ)身体(からだ)各部(かくぶ)からねばつた(あせ)(にじ)んで()る。017(どく)ガスにでもあてられた(やう)(いき)(くる)しくなり、018(かは)べりの木蔭(こかげ)二人(ふたり)(たふ)れる(やう)にして(こし)(おろ)し、019(くさ)()(かほ)()てて地中(ちちう)から()()づる生気(せいき)()ひ、020健康(けんかう)回復(くわいふく)(はか)つてゐる。021これは数十(すうじふ)()(へだ)てた東方(とうはう)虎熊山(とらくまやま)爆発(ばくはつ)し、022折柄(をりから)東風(とうふう)(あふ)られて、023(どく)(ふく)んだ灰煙(はひけぶり)谷間(たにあひ)低地(ていち)(むか)つて(あつ)まつて()たからである。
024 二人(ふたり)(いき)()()えになり、025小声(こごゑ)になつて(あま)数歌(かずうた)奏上(そうじやう)してゐる。
026真純(ますみ)『モシ先生(せんせい)027モウ一息(ひといき)聖地(せいち)エルサレムへ到着(たうちやく)するといふ間際(まぎは)になつて、028(にはか)天地(てんち)(くら)くなり、029斯様(かやう)(いき)(くる)しく最早(もはや)()()れない(やう)になつたのは、030(なに)(かみ)(さま)のお気障(きざは)りがあるのでは(ござ)いますまいか。031(ここ)(まで)()不幸(ふかう)にして(たふ)れる(やう)(こと)があれば、032千載(せんざい)(うらみ)(ござ)います。033()034あなたはお(かんが)へですか』
035玉国(たまくに)『ウーン、036どうも(へん)だなア、037(わたし)にも合点(がつてん)がゆかぬ。038(しか)今日(けふ)(ひる)(ごろ)(はるか)(ひがし)(そら)(あた)つて、039不思議(ふしぎ)(ひびき)がしたと(おも)へば、040それから(てん)(くら)くなり、041()(うへ)(まで)がこんな空気(くうき)(つつ)まれて(しま)つたのだ。042大方(おほかた)どこかの火山(くわざん)爆発(ばくはつ)したのではあるまいか……とも(おも)はれる。043何分(なにぶん)(この)空気(くうき)は、044微細(びさい)(はひ)(やう)(もの)(まじ)つてゐる。045少時(しばし)ここでお(つち)(した)しみ(かみ)(さま)(いの)つて046(からだ)回復(くわいふく)()つより仕方(しかた)がない。047(わたし)(なん)だか(くる)しくて、048四肢(しし)五体(ごたい)がガタガタになつたやうだ。049あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
050合掌(がつしやう)してゐる。
051 ()かる(ところ)へ、052ワンワンワンワンと(かす)かに(とほ)(いぬ)鳴声(なきごゑ)(きこ)えて()た。053(この)(こゑ)()くと(とも)両人(りやうにん)(ゆめ)から()めたやうに、054(なん)となく心持(こころもち)がさえざえして()た。
055真純(ますみ)『あ、056あの(こゑ)はスマートぢや(ござ)いますまいか、057どうも(きき)(おぼ)えがある(やう)ですな。058そしてあの(こゑ)(みみ)()ると(とも)(わたし)(にはか)気分(きぶん)()えて(まゐ)り、059()循環(じゆんかん)がよくなつたやうで(ござ)いますワ』
060玉国(たまくに)『ウン成程(なるほど)061(わたし)もあの(こゑ)()くと(とも)元気(げんき)回復(くわいふく)して()たやうだ。062スマートに間違(まちが)ひない。063さうすれば初稚姫(はつわかひめ)さまも(ちか)くへお(いで)になつてるとみえる。064ハテ(うれ)しい(こと)だな。065(しか)吾々(われわれ)二人(ふたり)がかやうな(ところ)へこたれてゐる(ところ)(ひめ)(さま)()つけられたら、066大変(たいへん)(はぢ)だから、067(ひと)元気(げんき)()して宣伝歌(せんでんか)(うた)ひ、068ボツボツ(あゆ)(こと)にせうか』
069真純(ますみ)左様(さやう)なれば070()けるか()けぬか()りませぬが、071ソロソロ(ある)いてみませう』
072両人(りやうにん)(つゑ)(ちから)(たち)(あが)り、073(あゆ)まうとすれ(ども)074(ひざ)関節(くわんせつ)がだるく、075(かつ)(わら)(やう)で、076()うしても(あし)(はこ)(こと)出来(でき)なかつた。
077 ()かる(ところ)()()(ごと)く、078(ひがし)(はう)より(はし)つて()たのはスマートであつた。079スマートは(しきり)に、080(あたま)()()つて(うれ)(さう)表情(へうじやう)(しめ)し、081(ちから)一杯(いつぱい)(おほ)きな(こゑ)でワンワンと(ほえ)()てる。
082 玉国別(たまくにわけ)は、
083玉国(たまくに)『あゝあなたはスマートさま、084()()(くだ)さつた。085(さだ)めて初稚姫(はつわかひめ)(さま)()一所(いつしよ)(ござ)いませうなア』
086人間(にんげん)()(ごと)挨拶(あいさつ)すると、087スマートは玉国別(たまくにわけ)(すそ)()はへて、088(しき)りに引張(ひつぱ)る。
089玉国(たまくに)『ハテナ、090(なに)吾々(われわれ)()(わざはひ)がかからむとしてゐるのだらう。091スマートさまは(かみ)のお使(つかひ)だから、092サア真純彦(ますみひこ)093(あと)(したが)つてどこなつと()かうぢやないか』
094真純(ますみ)『ハイ095さう(いた)しませう』
096()へばスマートは()はへた(すそ)をはなし、097()()(なが)らヨルダン(がは)北岸(ほくがん)なるサンカオの小高(こだか)(みね)()して(のぼ)()く。098七八丁(しちはつちやう)(のぼ)つたと(おも)(ところ)に、099目立(めだ)つて巨大(きよだい)なる橄欖(かんらん)()(その)()雑木(ざつぼく)(やま)二合目(にがふめ)あたりに、100(ひと)つの(もり)をなしてゐる。101()つて()れば102(ちひ)さい(ふる)ぼけた(ほこら)()つてゐる。
103玉国(たまくに)『ハテなア、104スマートさまが(ここ)参拝(さんぱい)して()けといふ(こと)だらう。105これも(なに)(わけ)があるに(ちが)ひない』
106両人(りやうにん)自然(しぜん)(ひざまづ)き、107天津(あまつ)祝詞(のりと)(くる)しき(いき)(した)より、108千切(ちぎ)千切(ちぎ)れに奏上(そうじやう)した。109(ほこら)(はる)後方(こうはう)より(やさ)しき(をんな)(こゑ)
110初稚姫(はつわかひめ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
111初稚姫(はつわかひめ)(ここ)()
112スーラヤ湖辺(こへん)()(みこと)
113(その)()(かみ)御使(みつかひ)
114(たもと)(わか)ちスマートに
115(たす)けられつつ()()れば
116(てん)(ちう)する黒煙(くろけぶり)
117ハテ(いぶ)かしやと大空(おほぞら)
118(なが)()たりし(とき)もあれ
119(かす)かに(きこ)ゆる爆発(ばくはつ)
120(こゑ)諸共(もろとも)()(うへ)
121不快(ふくわい)邪気(じやき)(つつ)まれぬ
122これぞ(まつた)虎熊(とらくま)
123(やま)()()崩壊(ほうくわい)
124(かみ)御告(みつ)げに(さと)()
125(なれ)()()(うへ)(あん)じつつ
126(しば)様子(やうす)(うかが)へば
127天教山(てんけうざん)太柱(ふとばしら)
128木花姫(このはなひめ)()詫宣(たくせん)
129八大(はちだい)竜王(りうわう)(その)(ひと)
130いよいよ古巣(ふるす)(たち)()でて
131カンラン(ざん)(うば)はむと
132三千(さんぜん)(ねん)蟄伏(ちつぷく)
133(やぶ)りて(きた)(おそ)ろしさ
134意外(いぐわい)(をしへ)にスマートと
135此処(ここ)(なん)をば()(なが)
136(なれ)(きた)るを()ちゐたり
137三千彦(みちひこ)(つかさ) 治道(ちだう)居士(こじ)
138伊太彦(いたひこ) デビス、ブラヷーダ
139(その)()(かみ)御子(みこ)(たち)
140(いづ)れも無事(ぶじ)にましませど
141(なれ)()二人(ふたり)()(うへ)
142(かみ)御告(みつげ)(さと)()
143(あやふ)くなりしと()きしより
144スマートさまを(つか)はして
145ここにお(まね)(まを)したり
146やがて竜王(りうわう)ヨルダンの
147(かは)(さかのぼ)日向(ひむか)なる
148シオンの(やま)(きよ)(てん)
149(また)悪逆(あくぎやく)無道(むだう)なる
150行為(かうゐ)をなして神界(しんかい)
151大経綸(だいけいりん)妨害(ばうがい)
152(この)()悪魔(あくま)()となして
153跳梁(てうりやう)跋扈(ばつこ)なさむとす
154(しばら)くすればマナスイン
155ナーガラシヤーが()(きた)
156(なれ)()二人(ふたり)(いのち)をば
157(うば)ひて()らむは()のあたり
158九死(きうし)一生(いつしやう)危難(きなん)をば
159のがれし(なれ)こそ目出(めで)たけれ
160あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
161御霊(みたま)(さちは)ひましませよ』
162(うた)(をは)り、163二人(ふたり)(まへ)姿(すがた)(あら)はし(たま)ふた。164(この)(とき)初稚姫(はつわかひめ)(この)(やしろ)より二三丁(にさんちやう)(おく)(もり)(なか)165マナスイン竜王(りうわう)帰順(きじゆん)(いの)つてゐたが、166容易(ようい)効験(かうけん)(あら)はれ(がた)きを()り、167()(かく)二人(ふたり)(いのち)(すく)はむと、168神力(しんりき)をこめ、1681赤裸(まつぱだか)となつて、169サンカオの(たき)()たれてゐた。170そしてスマートの(こゑ)()いて、171二人(ふたり)無事(ぶじ)(この)(ほこら)(まで)()いた(こと)()り、172(たき)(ふもと)より衣服(いふく)着替(きか)へて、173(うた)をうたひ(なが)(ここ)(あら)はれたのである。
174 玉国別(たまくにわけ)(なん)となく自然(しぜん)におつる(なみだ)(ぬぐ)(なが)ら、175(こゑ)をかすめて、
176玉国(たまくに)初稚姫(はつわかひめ)(さま)177吾々(われわれ)両人(りやうにん)178神徳(しんとく)(いま)()らず、179(ほと)んど聖地(せいち)()もなき地点(ちてん)(まで)近付(ちかづ)きまして、180(この)(かは)べりを(とほ)(をり)しも(にはか)気分(きぶん)(あし)くなり、181手足(てあし)自由(じいう)(うしな)ひ、182腑甲斐(ふがひ)なくも(たふ)れて()りました。183(なに)(かみ)(さま)()無礼(ぶれい)をしたので、184(しか)りを(かうむ)つたのではあるまいかと、185両人(りやうにん)(ひそ)かに(あん)(わづら)ひ、186(わび)(いた)して()りますと、187あなたのお(つかは)(くだ)さいました(この)スマートさまの(こゑ)(きこ)えて、188(にはか)元気(げんき)回復(くわいふく)此処(ここ)(まで)(さそ)はれて(まゐ)りました。189貴女(あなた)のお姿(すがた)(はい)するにつけ、190(うれ)しさと、191(なつ)かしさとで、192自然(しぜん)(なみだ)がこぼれます。193(わたくし)(たち)をお(まね)(くだ)さつたのは、194(なに)(かは)つた御用(ごよう)では(ござ)いますまいか』
195初稚(はつわか)玉国別(たまくにわけ)さま、196真純彦(ますみひこ)さま、197よく無事(ぶじ)此処(ここ)まで()(くだ)さいました。198(いま)(わたし)(うた)つた(とほ)り、199マナスイン竜王(りうわう)がゲッセマネの(その)占領(せんりやう)し、200エデンの花園(はなぞの)黄金山(わうごんざん)蹂躙(じうりん)せむと(いた)します(ゆゑ)201スマートさまに(さき)()つて(もら)ひ、202竜王(りうわう)占領(せんりやう)せない(やう)にいろいろと守護(しゆご)(いた)し、203あなた(がた)(この)街道(かいだう)()(とほ)りと(さと)りました(ゆゑ)204危難(きなん)()(およ)ばぬ(こと)(おそれ)てお(たす)(まを)さむと、205ここに()つてゐたので(ござ)います。206やがてマナスイン竜王(りうわう)は、207虎熊山(とらくまやま)(たち)()で、208いよいよ時節(じせつ)到来(たうらい)とゲッセマネの(その)占領(せんりやう)すべく、209山河(さんか)草木(さうもく)震憾(しんかん)させ(なが)ら、210(すす)んで()るのですが、211ゲッセマネの(その)には、212到底(たうてい)()()(ところ)()いので、213(この)(かは)(さかのぼ)り、214シオン(ざん)(まゐ)るでせう。215さうすれば巨大(きよだい)竜体(りうたい)(ござ)いますから、216あなた(がた)姿(すがた)()れば()(さき)(けん)にて、217一打(ひとうち)(いた)しますは(わか)()つた(こと)と、218此処(ここ)(まで)()避難(ひなん)をなさるべく(とり)(はか)つたのです。219(いき)のつまるやうな空気(くうき)が、220低地(ていち)にさまようて()るのは、221やがて竜王(りうわう)(のぼ)つて()証拠(せうこ)(ござ)います。222竜王(りうわう)(かしら)(むか)(ところ)は、223(じふ)()(くらゐ)(さき)まで邪気(じやき)がただよひますから……()もなく(おほ)きな(おと)()て、2231竜体(りうたい)(のぼ)つて()るでせう』
224 玉国別(たまくにわけ)(うち)(おどろ)(なが)ら、
225(ひめ)(さま)()(めぐみ)到底(たうてい)(ことば)にも(つく)されませぬ。226(じつ)感謝(かんしや)(いた)りで(ござ)います。227()しも貴女(あなた)()られなかつたならば、228吾々(われわれ)()神業(しんげふ)完全(くわんぜん)(つと)める(こと)出来(でき)なかつたかも()れませぬ』
229(また)(なみだ)(ぬぐ)ふ。230真純彦(ますみひこ)(かん)(きは)まつて一言(ひとこと)(はつ)()ず、231(うつむ)いて(しの)()()いてゐる。
232 折柄(をりから)西方(せいはう)より囂々(がうがう)地響(ぢひび)きさせ(なが)ら、233中空(ちうくう)黒雲(くろくも)(はた)()てた(やう)にピカピカ(うろこ)(ひか)らせ、234(やま)(ごと)怪物(くわいぶつ)(ひがし)()して(のぼ)()る。235玉国別(たまくにわけ)236真純彦(ますみひこ)(この)姿(すがた)()て、237(にはか)(たい)すくみ(その)()跪坐(しやが)んで(しま)つた。
238初稚(はつわか)『お二人(ふたり)(さま)239モウ安心(あんしん)です。240竜王(りうわう)通過(つうくわ)(いた)しました。241やがて邪気(じやき)追々(おひおひ)()れるでせう』
242玉国(たまくに)『ハイ、243()うも(おそ)ろしい(こと)(ござ)いました。244斯様(かやう)(もの)(この)聖地(せいち)近辺(きんぺん)へやつて()るとすれば、245埴安彦(はにやすひこ)246埴安姫(はにやすひめ)(さま)()神業(しんげふ)も、247(なみ)大抵(たいてい)では(ござ)いますまいな』
248初稚(はつわか)中々(なかなか)(なみ)大抵(たいてい)()神業(しんげふ)ぢや(ござ)いませぬ。249それ(ゆゑ)ウバナンダ竜王(りうわう)(たま)や、250シヤーガラ竜王(りうわう)(たま)251(ならび)水晶(すいしやう)三個(さんこ)(たま)があなた(がた)のお弟子(でし)(かみ)(さま)から(わた)されてゐるのです。252これさへ聖地(せいち)(をさ)まらば、253いかにマナスイン竜王(りうわう)聖地(せいち)(うかが)へばとて、254()うする(こと)出来(でき)ませぬ。255(この)三個(さんこ)(たま)には、256不思議(ふしぎ)神力(しんりき)があります。257あなた(がた)のお()にあれば(べつ)不思議(ふしぎ)(あら)はれませぬが、258(これ)(かみ)(さま)のお()にお(わた)しになれば、259天地(てんち)自由(じいう)自在(じざい)(うご)かす(こと)出来(でき)ます。260それ(ゆゑ)261いかにマナスイン竜王(りうわう)暴威(ばうゐ)(ふる)ふとも、262如何(いかん)ともする(こと)出来(でき)ませぬ。263真純彦(ますみひこ)さまは(たま)()つてお()ででせうなア』
264真純(ますみ)『ハイ、265(ちから)(かぎ)保護(ほご)(いた)しまして、266一個(いつこ)(だけ)此処(ここ)(まで)(おく)つて(まゐ)りました』
267初稚(はつわか)『それは(まこと)結構(けつこう)(ござ)います。268(さだ)めて(かみ)さまも()(よろこ)(あそ)ばす(こと)(ござ)いませう。269マナスイン竜王(りうわう)があなたの姿(すがた)(みと)めずに(すぎ)()つたのは、270()神界(しんかい)(ため)(なに)(ほど)結構(けつこう)だか(わか)りませぬ』
271真純(ますみ)(おな)(たま)でも、272(かみ)さまがお()ちになるのと、273吾々(われわれ)()つのとは(はたら)きが(ちが)ふので(ござ)いますか』
274初稚(はつわか)『それは(ちが)ひます。275(みたま)相応(さうおう)(ちから)より()ぬもので(ござ)います。276何程(なにほど)宣伝使(せんでんし)神力(しんりき)があると()つても、277大神(おほかみ)(さま)()化身(けしん)には(およ)びませぬからなア』
278真純(ますみ)(わたし)(たま)()つてゐた(ため)に、279さうするとあの(かは)べりに(おい)て、280あんな(くる)しい、281(いき)のつまるやうな()()うたのですか。282つまり(たま)威徳(ゐとく)(まけ)たやうなものですな。283小人(せうじん)(たま)(いだ)いて(つみ)あり……とはこんな(とき)(こと)()つたのでせう』
284初稚(はつわか)(ねこ)小判(こばん)285(ぶた)真珠(しんじゆ)だとか()(たとへ)(ござ)いましたなア。286ホヽヽヽヽ』
287(わら)ふ。288真純彦(ますみひこ)(あたま)をかき(なが)ら、
289真純(ますみ)『さうすると、290三千彦(みちひこ)伊太彦(いたひこ)所持(しよぢ)してる(たま)も、291ヤツパリ(わたし)同様(どうやう)(ござ)いますかな』
292初稚(はつわか)伊太彦(いたひこ)さまだつて、293三千彦(みちひこ)さまだつて(おな)(こと)ですワ。294結構(けつこう)(たま)(ふところ)()つたと()(ほこ)りがありますので、295途中(とちう)(おい)ていろいろの(くる)しい()()つたり、296妨害(ばうがい)出会(であ)つたりしてゐられますが、297やがてゲッセマネの(その)まで(まゐ)(とき)には、298(みち)(かは)つてゐますが、299一度(いちど)()(こと)(かみ)(さま)仕組(しぐ)んでゐられますから、300ゲッセマネの(その)(まで)()けば、301スーラヤの湖辺(こへん)(わか)れた()連中(れんちう)無事(ぶじ)面会(めんくわい)出来(でき)るでせう』
302真純(ますみ)『そんなら(ひめ)(さま)303(わたし)(ふところ)(あづ)かつて()つて、304大切(たいせつ)宝玉(はうぎよく)(けが)してはすみませぬから、305何卒(どうぞ)ここで貴女(あなた)(あづ)かつて(いただ)(わけ)には(まゐ)りますまいかな』
306初稚(はつわか)『それは御免(ごめん)(かうむ)りたう(ござ)います。307あなたのお役目(やくめ)ですから、308役目(やくめ)以外(いぐわい)(こと)到底(たうてい)神界(しんかい)から(ゆる)されませぬ。309すべて(かみ)さまは順序(じゆんじよ)ですから、310順序(じゆんじよ)(あやま)つては天地(てんち)経綸(けいりん)(やぶ)れます。311そして(をんな)(たま)(いだ)けば、312玉照姫(たまてるひめ)さまのお(かあ)(さま)(やう)に、313(なか)がふくれますから(こま)りますよ。314()(なか)(わか)らぬ人間(にんげん)から、315初稚姫(はつわかひめ)堕落(だらく)したとみえて、316(をとこ)出来(でき)たなどと()はれては迷惑(めいわく)ですからなア、317ホヽヽヽ』
318真純(ますみ)『お(たま)さまだつて、319(をつと)なしに結構(けつこう)なお()さまをお()みになつた(ためし)(ござ)います。320あなたにお()さまが出来(でき)たつて、321(たれ)がそんな(こと)(おも)ひませうか。322あなたのお肉体(にくたい)吾々(われわれ)(ごと)粗製(そせい)濫造品(らんざうひん)とは(ちが)ひますから、323そんな(こと)仰有(おつしや)らずに()(あづ)かり(くだ)さいませな。324(なん)だか(おそ)ろしうなつて(まゐ)りました』
325初稚(はつわか)(その)(たま)()つて()りますと、326マナスイン竜王(りうわう)がつけ(ねら)ひますから、327(わたし)(おそ)ろしう(ござ)いますワ。328(たま)さへ()つてゐなければ329竜王(りうわう)だつて相手(あひて)にしませぬ。330(その)(たま)ある(ゆゑ)悪魔(あくま)()しがつて(うかが)ふのですからなア』
331真純(ますみ)『ハテ、332(こま)つた(こと)だなア。333結構(けつこう)御用(ごよう)をさして(いただ)いたと(おも)ひ、334得意(とくい)になつて(いま)(まで)やつて()たのに、335(この)(たま)がある(ため)最前(さいぜん)のやうな(くる)しい()()はねばならぬとは、336(なん)()因果(いんぐわ)(やく)(つと)めたのだらう』
337初稚(はつわか)『そこが(みたま)因縁(いんねん)ですから、338(これ)()うしても人間(にんげん)左右(さいう)する(こと)出来(でき)ないのです。339まだ聖地(せいち)までは余程(よほど)()(ござ)いますから、340余程(よほど)用心(ようじん)なさいませぬと、341あなたの(ふところ)(たま)(ひか)つてるのがマナスイン竜王(りうわう)()()らうものなら、342それこそ(ひき)(かへ)して(まゐ)りますよ。343()用心(ようじん)なさいませよ、344ホヽヽヽヽ』
345真純(ますみ)『モシ先生(せんせい)346()(いた)しませう。347あなた(しばら)()(あづ)かり(くだ)さいますまいか。348玉国別(たまくにわけ)さまと()(まで)ついてるのですもの。349ここ(まで)(わたし)奉持(ほうぢ)して()たのですから、350此処(ここ)から(あづ)かつて(くだ)さつても()いでせう』
351玉国(たまくに)『ハヽア、352さうするとお(まへ)矢張(やつぱり)自己愛(じこあい)におちてゐるのだなア、353おれに(たま)()たして、354竜王(りうわう)犠牲(ぎせい)となし、355自分(じぶん)(たす)かるといふ狡猾(ずる)(かんが)へだらう。356イヤそれでお(まへ)(こころ)(わか)つた。357ヨシ、358犠牲(ぎせい)になつてやらう』
359真純(ますみ)『メヽ滅相(めつさう)な、360どうしてそんな薄情(はくじやう)(こと)(おも)ひませう。361あなたに()つて(いただ)きたいと(まを)したのは、362(みたま)相応(さうおう)だと(おも)つたからです。363あなたは(わたし)から(くら)ぶれば、364幾層倍(いくそうばい)()神徳(しんとく)のあるお(かた)365それ(ゆゑ)(たま)(ひかり)一層(いつそう)(かがや)きませうし、366あなたがお()ちになれば、367竜王(りうわう)(けつ)して(ねら)はないと(おも)つたからです。368あなたは初稚姫(はつわかひめ)(さま)()いでの生神(いきがみ)(さま)(ござ)いますからなア』
369玉国(たまくに)(たま)()たぬ(わたし)が、370(まへ)(そば)()つてさへ、371あれ(だけ)竜王(りうわう)毒気(どくき)()てられたぢやないか。372到底(たうてい)(わたし)(やう)神力(しんりき)()らぬ(もの)は、373(たま)(あづ)かる資格(しかく)がないのだ。374それだからお(まへ)()つて(もら)うたぢやないか』
375真純(ますみ)本当(ほんたう)結構(けつこう)(たま)(ひかり)(くらゐ)(まけ)して、376有難(ありがた)迷惑(めいわく)だ。377(しか)(なが)(これ)()神業(しんげふ)だと(おも)へば結構(けつこう)です。378それぢや仮令(たとへ)竜王(りうわう)(わたし)()まうと(かま)ひませぬ。379身命(しんめい)()して(たま)保護(ほご)(いた)し、380聖地(せいち)(まで)(まゐ)(こと)(いた)しませう』
381初稚(はつわか)『サア、382()うやら邪気(じやき)()つた(やう)です。383あの(とほ)日輪(にちりん)(さま)(をが)()しました。384ソロソロ(まゐ)りませう』
385玉国(たまくに)真純空(ますみぞら)(にはか)(くも)四方(よも)八方(やも)
386(くろ)真墨(ますみ)のさまとなりぬる』
387真純(ますみ)()すみとは(きよ)きたたえにあらずして
388(くろ)身魂(みたま)真墨(ますみ)なりけり。
389(いま)(まで)(ちから)(たの)(きた)りしを
390(おそ)ろしくなりぬこれの真玉(またま)は』
391初稚(はつわか)『いざさらば(うず)聖地(せいち)(すす)むべし
392玉国別(たまくにわけ)玉守彦(たまもりひこ)よ』
393 かく(うた)(をは)り、394(さん)(にん)はスマートに(まも)られて、395道々(みちみち)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)ら、396ヨルダン(がは)河辺(かはべ)(つた)うて、397西(にし)西(にし)へと(すす)()く。
398大正一二・七・一八 旧六・五 於祥雲閣 松村真澄録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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