霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第68巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 名花移植
01 貞操論
〔1725〕
02 恋盗詞
〔1726〕
03 山出女
〔1727〕
04 茶湯の艶
〔1728〕
第2篇 恋火狼火
05 変装太子
〔1729〕
06 信夫恋
〔1730〕
07 茶火酌
〔1731〕
08 帰鬼逸迫
〔1732〕
第3篇 民声魔声
09 衡平運動
〔1733〕
10 宗匠財
〔1734〕
11 宮山嵐
〔1735〕
12 妻狼の囁
〔1736〕
13 蛙の口
〔1737〕
第4篇 月光徹雲
14 会者浄離
〔1738〕
15 破粋者
〔1739〕
16 戦伝歌
〔1740〕
17 地の岩戸
〔1741〕
第5篇 神風駘蕩
18 救の網
〔1742〕
19 紅の川
〔1743〕
20 破滅
〔1744〕
21 祭政一致
〔1745〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。
実験用サイト
|
サブスク
霊界物語
>
第68巻
> 第2篇 恋火狼火 > 第6章 信夫恋
<<< 変装太子
(B)
(N)
茶火酌 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第六章
信夫恋
(
しのぶこひ
)
〔一七三〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第68巻 山河草木 未の巻
篇:
第2篇 恋火狼火
よみ(新仮名遣い):
れんかろうか
章:
第6章 信夫恋
よみ(新仮名遣い):
しのぶこい
通し章番号:
1730
口述日:
1925(大正14)年01月29日(旧01月6日)
口述場所:
月光閣
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1926(大正15)年9月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
そこへ、奥女中のシノブが、太子の話し相手になろうとやってくる。アリナは断るが、シノブは引き下がらない。
シノブは太子とアリナの話を聞いており、アリナの変装を見破っていた。シノブはアリナに思いを寄せていたのだが、秘密を知ったのを幸い、アリナに恋の強談判に来たのであった。
アリナはとっさに決心して、シノブを受け入れることにする。シノブはあろうことか、アリナが太子と成り代わり、シノブを王妃としてタラハン国を乗っ取ろうと持ちかける。アリナはシノブの大胆不敵さにかえって意気投合する。
シノブは一度女中部屋へ帰るが、深夜になって、アリナのところへ忍んでくる。アリナとシノブがいちゃついている最中、警鐘が乱打され、二人は左守の館方面に、大火災が起こっているのを認める。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2018-06-17 21:19:52
OBC :
rm6806
愛善世界社版:
84頁
八幡書店版:
第12輯 181頁
修補版:
校定版:
84頁
普及版:
69頁
初版:
ページ備考:
001
夕陽
(
せきやう
)
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
に
傾
(
かたむ
)
いて、
002
遠寺
(
ゑんじ
)
の
鐘
(
かね
)
ボーンボーンと
鳴
(
な
)
り
響
(
ひび
)
き、
003
諸行
(
しよぎやう
)
無常
(
むじやう
)
の
世
(
よ
)
の
有様
(
ありさま
)
を
警告
(
けいこく
)
してゐる。
004
間毎
(
まごと
)
々々
(
まごと
)
に
照
(
て
)
り
輝
(
かがや
)
く
銀燭
(
ぎんしよく
)
の
光
(
ひかり
)
に、
005
変装
(
へんさう
)
太子
(
たいし
)
の
面貌
(
めんばう
)
は
益々
(
ますます
)
清
(
きよ
)
く
麗
(
うるは
)
しく、
006
錦衣
(
きんい
)
を
着用
(
ちやくよう
)
したる
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
は、
007
スダルマン
太子
(
たいし
)
にも
一層
(
いつそう
)
優
(
まさ
)
りて
威風
(
ゐふう
)
備
(
そな
)
はり
見
(
み
)
えた。
008
アリナはどことはなしに
心
(
こころ
)
引
(
ひ
)
かれ、
009
咳払
(
せきばら
)
ひさへも
忍
(
しの
)
ぶ
様
(
やう
)
な
気
(
き
)
になつてゐた。
010
そこへ
衣摺
(
きぬずれ
)
の
音
(
おと
)
しとやかに
簾
(
みす
)
の
外
(
そと
)
に
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げ、
011
二拍手
(
にはくしゆ
)
し
乍
(
なが
)
ら、
012
女
(
をんな
)
『
恐
(
おそ
)
れ
乍
(
なが
)
ら
殿下
(
でんか
)
に
申
(
まをし
)
上
(
あ
)
げます。
013
今晩
(
こんばん
)
はお
伺
(
うかが
)
ひ
申
(
まを
)
す
所
(
ところ
)
、
0131
御
(
ご
)
寵臣
(
ちようしん
)
のアリナ
様
(
さま
)
はお
宅
(
たく
)
へ
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
り
遊
(
あそ
)
ばし、
014
殿下
(
でんか
)
御
(
お
)
一人
(
ひとり
)
、
015
御
(
お
)
淋
(
さび
)
しさうな
御
(
おん
)
面持
(
おももち
)
、
016
御
(
お
)
話
(
はなし
)
相手
(
あひて
)
にでもならして
頂
(
いただ
)
きませうと
存
(
ぞん
)
じ、
017
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
を
以
(
もつ
)
て、
018
恐
(
おそ
)
れ
気
(
げ
)
もなく、
019
私
(
ひそ
)
かに
忍
(
しの
)
んで
参
(
まゐ
)
りました』
020
此
(
この
)
奥女中
(
おくぢよちう
)
はタラハン
城市
(
じやうし
)
の
豪商
(
がうしやう
)
の
娘
(
むすめ
)
で、
021
行儀
(
ぎやうぎ
)
見習
(
みなら
)
ひとして、
022
殿中
(
でんちう
)
に
女中勤
(
ぢよちうづと
)
めをしてゐる
者
(
もの
)
である。
023
そして
其
(
その
)
名
(
な
)
をシノブといふ。
024
アリナは
言葉
(
ことば
)
も
荘重
(
さうちよう
)
に、
025
『アイヤ、
026
其方
(
そなた
)
は
奥女中
(
おくぢよちう
)
のシノブではないか。
027
余
(
よ
)
は
女
(
をんな
)
に
用向
(
ようむき
)
はない。
028
すぐ
様
(
さま
)
罷
(
まか
)
りさがつたが
可
(
よ
)
からう』
029
シノブ『イエイエ、
030
どう
仰
(
おほ
)
せられましても、
031
今晩
(
こんばん
)
はアリナ
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
不在
(
ふざい
)
を
幸
(
さいは
)
ひ、
032
殿下
(
でんか
)
に
親
(
した
)
しくお
目
(
め
)
にかかつて、
033
申
(
まをし
)
上
(
あげ
)
たい
事
(
こと
)
が
厶
(
ござ
)
いますので、
034
何
(
なん
)
と
仰
(
おほ
)
せられましても、
035
一歩
(
いつぽ
)
もここは
引
(
ひき
)
下
(
さ
)
がりませぬ』
036
アリナ『
不届
(
ふとどき
)
千万
(
せんばん
)
な、
037
其方
(
そなた
)
は
余
(
よ
)
の
言葉
(
ことば
)
を
用
(
もち
)
ひないのか』
038
シ『ホヽヽ、
039
どうして
殿下
(
でんか
)
のお
言葉
(
ことば
)
が
用
(
もち
)
ひられませう。
040
妾
(
わらは
)
が
此
(
この
)
殿中
(
でんちう
)
へ
女中
(
ぢよちう
)
奉公
(
ぼうこう
)
に
参
(
まゐ
)
りましたのは
何
(
なん
)
の
為
(
ため
)
だと
思召
(
おぼしめ
)
しますか。
041
貴方
(
あなた
)
に
会
(
あ
)
ひたさ、
042
お
顔
(
かほ
)
が
見
(
み
)
たさに』
043
ア『これは
怪
(
け
)
しからぬ。
044
苟
(
いやし
)
くも
神聖
(
しんせい
)
なる
殿中
(
でんちう
)
に
於
(
おい
)
て、
045
なまめかしい
其
(
その
)
言葉
(
ことば
)
、
046
不貞腐
(
ふてくさ
)
れ
女
(
をんな
)
奴
(
め
)
、
047
淫奔者
(
いんぽんもの
)
奴
(
め
)
。
048
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
身分
(
みぶん
)
を
心得
(
こころえ
)
ぬか、
049
さがり
居
(
を
)
れツ』
050
シノブは、
051
『ホヽヽヽ』と
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
052
押
(
おし
)
強
(
づよ
)
くも
簾
(
みす
)
をポツとはね
上
(
あ
)
げ、
053
アリナの
膝
(
ひざ
)
近
(
ちか
)
く
進
(
すす
)
みより、
054
穴
(
あな
)
のあく
程
(
ほど
)
アリナの
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て、
055
ニタニタ
笑
(
わら
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
056
『オツホヽヽヽ、
057
何
(
なん
)
とマア、
058
能
(
よ
)
く
御
(
お
)
似合
(
にあひ
)
遊
(
あそ
)
ばすこと、
059
なア
変装
(
へんさう
)
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
。
060
私
(
わたし
)
本真者
(
ほんまもの
)
の
様
(
やう
)
に
思
(
おも
)
ひましたよ。
061
狐
(
きつね
)
の
七化
(
ななばけ
)
狸
(
たぬき
)
の
八化
(
やばけ
)
よりも
上手
(
じやうず
)
ですワ』
062
ア『コリヤ シノブ、
063
見違
(
みちが
)
ひを
致
(
いた
)
すな。
064
余
(
よ
)
は
決
(
けつ
)
して
偽者
(
にせもの
)
ではない。
065
正真
(
しやうしん
)
正銘
(
しやうめい
)
のスダルマン
太子
(
たいし
)
だ。
066
女
(
をんな
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
067
玉座
(
ぎよくざ
)
の
前
(
まへ
)
を
恐
(
おそ
)
れぬか』
068
シノブは
横目
(
よこめ
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
069
アリナの
膝
(
ひざ
)
をグツとつめり、
070
シ『モシ、
071
アリナさま、
072
駄目
(
だめ
)
ですよ。
073
サアどうか
私
(
わたし
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さいますか、
074
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さらな、
075
何
(
なに
)
もかも
大王
(
だいわう
)
様
(
さま
)
の
御前
(
ごぜん
)
で
素破
(
すつぱ
)
抜
(
ぬ
)
きますよ』
076
ア『アツハヽヽ、
077
たうとう
尻尾
(
しつぽ
)
をつかまれたか、
078
エー
仕方
(
しかた
)
がない。
079
之
(
これ
)
程
(
ほど
)
よく
化
(
ば
)
けてゐるのに、
080
なぜお
前
(
まへ
)
は
俺
(
おれ
)
の
変装
(
へんさう
)
太子
(
たいし
)
たる
事
(
こと
)
が
解
(
わか
)
つたのだ。
081
コリヤうつかり
油断
(
ゆだん
)
は
出来
(
でき
)
ぬワイ』
082
シ『
大王
(
だいわう
)
様
(
さま
)
が
御覧
(
ごらん
)
になつても、
083
現在
(
げんざい
)
のお
父上
(
ちちうへ
)
が
御覧
(
ごらん
)
になつても、
084
本当
(
ほんたう
)
の
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
とより
御
(
お
)
見
(
み
)
えにならないのですから、
085
誰
(
たれ
)
だつて
偽太子
(
にせたいし
)
と
思
(
おも
)
ふものはありませぬワ。
086
併
(
しか
)
し、
087
私
(
わたし
)
が
殿中
(
でんちう
)
へ
御
(
ご
)
奉公
(
ほうこう
)
に
参
(
まゐ
)
りましたのは
088
実
(
じつ
)
は
貴方
(
あなた
)
に
御
(
お
)
近
(
ちか
)
づき
申
(
まを
)
したい
許
(
ばか
)
りで
厶
(
ござ
)
います。
089
何時
(
いつ
)
ぞや
園遊会
(
ゑんいうくわい
)
の
時
(
とき
)
右守司
(
うもりのかみ
)
の
御
(
お
)
屋敷
(
やしき
)
でお
目
(
め
)
にかかつてから、
090
恋
(
こひ
)
とかいふ
曲者
(
くせもの
)
に
魂
(
たましひ
)
を
取
(
と
)
りひしがれ、
091
寝
(
ね
)
ても
醒
(
さ
)
めても
貴方
(
あなた
)
のお
姿
(
すがた
)
が
忘
(
わす
)
れられないので、
092
父母
(
ちちはは
)
にいろいろと
無理
(
むり
)
を
云
(
い
)
うてねだり、
093
右守
(
うもり
)
に
沢山
(
たくさん
)
の
賄賂
(
わいろ
)
を
贈
(
おく
)
り、
094
ヤツとの
事
(
こと
)
で
奥女中
(
おくぢよちう
)
になつたので
厶
(
ござ
)
います。
095
一度
(
いちど
)
親
(
した
)
しくお
目
(
め
)
にかかつて、
096
吾
(
わが
)
思
(
おも
)
ひの
丈
(
たけ
)
を
申上
(
まをしあ
)
げたいと、
097
間
(
ま
)
がな
隙
(
すき
)
がな
伺
(
うかが
)
つて
居
(
を
)
りましたが、
098
何時
(
いつ
)
も
貴方
(
あなた
)
は
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
のお
側付
(
そばづき
)
、
099
お
一人
(
ひとり
)
になられた
事
(
こと
)
がないので、
100
ここ
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
許
(
ばか
)
りはお
話
(
はなし
)
する
機会
(
きくわい
)
もなく、
101
煩悶
(
はんもん
)
苦悩
(
くなう
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
102
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
身体
(
からだ
)
がゲツソリと
痩
(
や
)
せました。
103
今日
(
けふ
)
は
貴方
(
あなた
)
のお
後
(
あと
)
を
慕
(
した
)
ひ、
104
一間
(
ひとま
)
に
忍
(
しの
)
んで
様子
(
やうす
)
を
考
(
かんが
)
へてゐれば
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
との
秘密話
(
ひみつばなし
)
、
105
正
(
まさ
)
しく
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
の
身代
(
みがは
)
りとなつて、
106
貴方
(
あなた
)
はゐられることと
堅
(
かた
)
く
信
(
しん
)
じ、
107
簾越
(
みすごし
)
によくよく
窺
(
うかが
)
へばまがふ
方
(
かた
)
なきアリナ
様
(
さま
)
、
108
サアもう
斯
(
か
)
うなつた
以上
(
いじやう
)
は
厭
(
いや
)
でも
応
(
おう
)
でも
妾
(
わらは
)
の
恋
(
こひ
)
を
遂
(
と
)
げさして
下
(
くだ
)
さいませ。
109
スバール
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
とかいふ
天成
(
てんせい
)
の
美人
(
びじん
)
を、
110
貴方
(
あなた
)
はお
迎
(
むか
)
へにゐらつしやつたやうですが、
111
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
美人
(
びじん
)
だつて、
112
体
(
からだ
)
が
金
(
きん
)
で
拵
(
こしら
)
へても
厶
(
ござ
)
いますまい。
113
妾
(
わらは
)
だつて、
114
まんざら
捨
(
す
)
てた
女
(
をんな
)
ぢやあるまいと
自信
(
じしん
)
して
居
(
を
)
ります。
115
アリナ
様
(
さま
)
、
116
何
(
ど
)
うで
厶
(
ござ
)
いますか、
117
手
(
て
)
つ
取
(
と
)
り
早
(
ばや
)
くお
返詞
(
へんじ
)
を
願
(
ねが
)
ひます』
118
アリナは
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
にて、
119
『ヤア
失敗
(
しま
)
つた。
120
コリヤ
一大事
(
いちだいじ
)
が
突発
(
とつぱつ
)
した。
121
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
122
のつ
引
(
ぴき
)
ならぬシノブの
強談判
(
こはだんぱん
)
、
123
ムゲに
排斥
(
はいせき
)
する
訳
(
わけ
)
にもゆこまい。
124
否
(
いな
)
之
(
これ
)
を
排斥
(
はいせき
)
せうものなら、
125
恋
(
こひ
)
の
仇
(
あだ
)
、
126
身
(
み
)
の
怨敵
(
をんてき
)
となつて
吾
(
わが
)
身
(
み
)
に
迫
(
せま
)
り
来
(
きた
)
り、
127
終
(
しま
)
ひには
身
(
み
)
の
破滅
(
はめつ
)
になるかも
知
(
し
)
れぬ。
128
そして
又
(
また
)
此
(
この
)
シノブはスバール
姫
(
ひめ
)
に
比
(
くら
)
べては、
129
容色
(
ようしよく
)
少
(
すこ
)
しく
劣
(
おと
)
つてゐるやうにもあるが、
130
縦
(
たて
)
から
見
(
み
)
ても
横
(
よこ
)
から
見
(
み
)
ても
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
並
(
なみ
)
以上
(
いじやう
)
の
女
(
をんな
)
だ。
131
一歩
(
いつぽ
)
進
(
すす
)
んで
此奴
(
こいつ
)
を
恋女
(
こひをんな
)
にした
所
(
ところ
)
で、
132
余
(
あま
)
りアリナの
沽券
(
こけん
)
が
下
(
さ
)
がるでもあるまい』
133
と
咄嗟
(
とつさ
)
の
間
(
あひだ
)
に
決心
(
けつしん
)
を
定
(
さだ
)
め、
134
ワザと
言葉
(
ことば
)
やさしく、
135
ア『ヤア、
136
シノブ
殿
(
どの
)
、
137
人目
(
ひとめ
)
を
忍
(
しの
)
ぶ
二人
(
ふたり
)
の
仲
(
なか
)
、
138
あたりに
気
(
き
)
をつけめされ。
139
此
(
この
)
アリナも
木石
(
ぼくせき
)
ならぬ
身
(
み
)
の、
140
一目
(
ひとめ
)
其方
(
そなた
)
の
姿
(
すがた
)
を
見染
(
みそめ
)
てより、
141
煩悩
(
ぼんなう
)
の
犬
(
いぬ
)
に
取
(
と
)
りつかれ、
142
心猿
(
しんゑん
)
意馬
(
いば
)
は
狂
(
くる
)
ひ
出
(
だ
)
し、
143
矢
(
や
)
も
楯
(
たて
)
もたまらなくなつて、
144
今日
(
けふ
)
が
日
(
ひ
)
までも
堪
(
こら
)
え
堪
(
こら
)
えし
恋
(
こひ
)
の
淵
(
ふち
)
、
145
涙
(
なみだ
)
に
沈
(
しづ
)
むアリナが
胸
(
むね
)
、
146
何
(
なん
)
として
其方
(
そなた
)
に
言
(
い
)
ひよらうか、
147
女
(
をんな
)
にかけては
初心
(
うぶ
)
の
吾
(
われ
)
、
148
恋
(
こひ
)
てふものの
心
(
こころ
)
に
芽
(
め
)
を
出
(
いだ
)
してより、
149
其方
(
そなた
)
に
会
(
あ
)
ふも
心
(
うら
)
恥
(
はづ
)
かしく、
150
文
(
ふみ
)
の
便
(
たより
)
さへも、
151
躊躇
(
ちうちよ
)
してゐたのだ。
152
今日
(
けふ
)
始
(
はじ
)
めて
其方
(
そなた
)
のやさしい
心
(
こころ
)
を
聞
(
き
)
いて、
153
余
(
よ
)
も
満足
(
まんぞく
)
に
思
(
おも
)
ふぞや』
154
シ『ホヽヽヽ、
155
余
(
よ
)
も
満足
(
まんぞく
)
とはよく
出来
(
でき
)
ました。
156
そんなら
私
(
わたし
)
の
恋
(
こひ
)
はキツと
叶
(
かな
)
へて
下
(
くだ
)
さるでせうな』
157
ア『シノブどの、
158
余
(
よ
)
の
恋
(
こひ
)
を、
159
其方
(
そなた
)
も
叶
(
かな
)
へてくれるであらうなア』
160
シ『ハイ、
161
殿下
(
でんか
)
の
思召
(
おぼしめし
)
、
162
何
(
なに
)
しに
反
(
そむ
)
きは
致
(
いた
)
しませう。
163
どうかエターナルに
愛
(
あい
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
164
ア『
併
(
しか
)
しシノブどの、
165
かうなつた
以上
(
いじやう
)
は
太子
(
たいし
)
のお
身代
(
みがは
)
りになつて、
166
高麗犬
(
こまいぬ
)
然
(
ぜん
)
とこんな
窮屈
(
きうくつ
)
な
目
(
め
)
をしてゐる
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かない。
167
今
(
いま
)
頃
(
ごろ
)
は
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
もスバール
姫
(
ひめ
)
と
甘
(
あま
)
い
囁
(
ささや
)
きを
交換
(
かうくわん
)
してゐられるだらう。
168
アーア、
169
それを
思
(
おも
)
へば、
170
本当
(
ほんたう
)
に
馬鹿
(
ばか
)
らしくなつて
来
(
き
)
た。
171
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
、
172
お
前
(
まへ
)
と
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて
九
(
く
)
尺
(
しやく
)
二間
(
にけん
)
の
裏店
(
うらだな
)
住居
(
ずまゐ
)
、
173
世話
(
せわ
)
女房
(
にようばう
)
とお
前
(
まへ
)
はなつて、
174
簡易
(
かんい
)
な
平民
(
へいみん
)
生活
(
せいくわつ
)
を
送
(
おく
)
らうぢやないか。
175
お
前
(
まへ
)
の
為
(
ため
)
なら、
176
私
(
わし
)
は
乞食
(
こじき
)
をしても
満足
(
まんぞく
)
だから』
177
シ『ホヽヽヽ、
178
スダルマン
太子
(
たいし
)
と
同
(
おな
)
じやうな
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
いますな。
179
モシ、
180
アリナ
様
(
さま
)
、
181
物
(
もの
)
も
相談
(
さうだん
)
ですが、
182
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
は
平民
(
へいみん
)
生活
(
せいくわつ
)
が
好
(
す
)
きだと
云
(
い
)
つてゐらつしやつたぢやありませぬか。
183
之
(
これ
)
を
幸
(
さいは
)
ひに、
184
貴方
(
あなた
)
はどこ
迄
(
まで
)
も
太子
(
たいし
)
となりすまし、
185
タラハン
国
(
ごく
)
の
王者
(
わうじや
)
となり、
186
そして
妾
(
わらは
)
を
王妃
(
わうひ
)
にお
選
(
えら
)
び
下
(
くだ
)
さいませぬか、
187
こんな
嬉
(
うれ
)
しい
事
(
こと
)
はないぢやありませぬか』
188
ア『
何
(
なん
)
と
肝
(
きも
)
の
太
(
ふと
)
い
事
(
こと
)
をいふぢやないか。
189
流石
(
さすが
)
の
俺
(
おれ
)
も
肝
(
きも
)
をつぶしたよ』
190
シ『ホヽヽヽ、
191
能
(
よ
)
うそんな
事
(
こと
)
が
仰有
(
おつしや
)
られますワイ。
192
貴方
(
あなた
)
は
最前
(
さいぜん
)
から、
193
「
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
、
194
太子
(
たいし
)
になりすまして、
195
天一坊
(
てんいちばう
)
も
跣足
(
はだし
)
で
逃
(
にげ
)
るやうな
陰謀
(
いんぼう
)
を
遂行
(
すゐかう
)
してやらうか」と、
196
独語
(
どくご
)
して
厶
(
ござ
)
つたぢやありませぬか。
197
其
(
その
)
お
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
いて、
198
益々
(
ますます
)
貴方
(
あなた
)
の
偉大
(
ゐだい
)
な
人物
(
じんぶつ
)
たる
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
り、
199
恋慕
(
れんぼ
)
の
念
(
ねん
)
が
一層
(
いつそう
)
高
(
たか
)
まつて
来
(
き
)
たのですよ。
200
どうか
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
打
(
うち
)
とけて
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
仰有
(
おつしや
)
つて
下
(
くだ
)
さいませ。
201
妾
(
わらは
)
は
町人
(
ちやうにん
)
の
娘
(
むすめ
)
だつて
天下
(
てんか
)
を
覗
(
ねら
)
うてゐる
大化物
(
おほばけもの
)
ですよ。
202
女子
(
ぢよし
)
大学
(
だいがく
)
を
卒業
(
そつげふ
)
して、
203
才媛
(
さいえん
)
の
誉
(
ほまれ
)
を
取
(
と
)
つたシノブ
姫
(
ひめ
)
ですもの。
204
唯
(
ただ
)
単
(
たん
)
なる
恋愛
(
れんあい
)
のみに
魂
(
たましひ
)
を
奪
(
うば
)
はれませうか。
205
現在
(
げんざい
)
のタラハン
国
(
ごく
)
を
根本
(
こんぽん
)
的
(
てき
)
に
救済
(
きうさい
)
せむとする
大人物
(
だいじんぶつ
)
はなきやと、
206
平常
(
いつ
)
も
気
(
き
)
の
利
(
き
)
いたらしい
男
(
をとこ
)
の
性行
(
せいかう
)
を
調査
(
てうさ
)
して
居
(
を
)
りましたが、
207
其
(
その
)
適当
(
てきたう
)
な
人物
(
じんぶつ
)
は
貴方
(
あなた
)
を
措
(
お
)
いて
外
(
ほか
)
にない
事
(
こと
)
を
悟
(
さと
)
りました。
208
初
(
はじ
)
めは
貴方
(
あなた
)
を
大人物
(
だいじんぶつ
)
と
知
(
し
)
り、
209
将来
(
しやうらい
)
大事
(
だいじ
)
を
成
(
な
)
すべき
大
(
だい
)
人格者
(
じんかくしや
)
と
信
(
しん
)
じ、
210
接近
(
せつきん
)
の
機会
(
きくわい
)
を
得
(
え
)
むと、
211
種々
(
いろいろ
)
と
手
(
て
)
だてを
以
(
もつ
)
て、
212
此
(
この
)
殿中
(
でんちう
)
の
女中勤
(
ぢよちうづと
)
めと
迄
(
まで
)
成
(
な
)
りおうせ、
213
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
や
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
行動
(
かうどう
)
を
監視
(
かんし
)
して
居
(
を
)
りましたが、
214
余
(
あま
)
り
立派
(
りつぱ
)
な
御
(
お
)
心掛
(
こころがけ
)
を
悟
(
さと
)
り、
215
貴方
(
あなた
)
に
対
(
たい
)
する
真
(
しん
)
の
恋愛心
(
れんあいしん
)
が
燃
(
もえ
)
立
(
た
)
つて
来
(
き
)
たのですよ、
216
ホヽヽヽ。
217
どうか
永久
(
えいきう
)
に
可愛
(
かあい
)
がつて
下
(
くだ
)
さいませ。
218
そして
妾
(
わらは
)
と
共
(
とも
)
に
国家
(
こくか
)
改造
(
かいざう
)
に
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
して
下
(
くだ
)
さいますでせうね』
219
ア『
足許
(
あしもと
)
から
鳥
(
とり
)
が
立
(
た
)
つとは
此
(
この
)
事
(
こと
)
だ。
220
此
(
この
)
殿中
(
でんちう
)
に
奉仕
(
ほうし
)
してゐる
老若
(
らうにやく
)
男女
(
だんぢよ
)
は、
221
何奴
(
どいつ
)
も
此奴
(
こいつ
)
も
虫
(
むし
)
の
喰
(
く
)
つた
古
(
ふる
)
い
頭
(
あたま
)
のガラクタ
許
(
ばか
)
りだと
思
(
おも
)
つてゐたのに、
222
お
前
(
まへ
)
のやうな
新知識
(
しんちしき
)
に
生
(
い
)
きた
天才
(
てんさい
)
が
潜
(
ひそ
)
んでゐるとは、
223
流石
(
さすが
)
の
俺
(
おれ
)
も、
224
今
(
いま
)
の
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
気
(
き
)
がつかなんだ。
225
ヤ
頼
(
たの
)
もしい、
226
願
(
ねが
)
つてもない
事
(
こと
)
だ。
227
では
余
(
よ
)
は
飽
(
あ
)
く
迄
(
まで
)
もスダルマン
太子
(
たいし
)
となりすまし、
228
お
前
(
まへ
)
はここ
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
奥女中
(
おくぢよちう
)
となつて、
229
時々
(
ときどき
)
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
せて
呉
(
く
)
れ。
230
そして
看破
(
かんぱ
)
されないやう、
231
影
(
かげ
)
になり
日向
(
ひなた
)
になり、
232
余
(
よ
)
の
身辺
(
しんぺん
)
を
保護
(
ほご
)
するのだよ』
233
シ『
冥加
(
みやうが
)
に
余
(
あま
)
る
太子
(
たいし
)
殿下
(
でんか
)
のお
言葉
(
ことば
)
、
234
謹
(
つつし
)
んでお
受
(
うけ
)
仕
(
つかまつ
)
ります。
235
必
(
かなら
)
ず
必
(
かなら
)
ず
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
遊
(
あそ
)
ばしますな』
236
ア『ヤ、
237
出
(
で
)
かした
出
(
で
)
かした、
238
汝
(
なんぢ
)
の
一言
(
いちごん
)
、
239
余
(
よ
)
は
満足
(
まんぞく
)
に
思
(
おも
)
ふぞよ』
240
と
早
(
はや
)
くも
太子
(
たいし
)
になつた
心持
(
こころもち
)
で、
241
言葉使
(
ことばつかひ
)
迄
(
まで
)
改
(
あらた
)
めて
了
(
しま
)
つた。
242
シ『モシ、
243
殿下
(
でんか
)
様
(
さま
)
、
244
余
(
あま
)
り
永
(
なが
)
らくなりますと、
245
疑
(
うたが
)
はれる
虞
(
おそれ
)
が
厶
(
ござ
)
いますから、
246
今晩
(
こんばん
)
は
之
(
これ
)
にて
罷
(
まか
)
り
下
(
さ
)
がりませう。
247
何分
(
なにぶん
)
宜
(
よろ
)
しく
願
(
ねが
)
ひます』
248
ア『ヤ、
249
満足
(
まんぞく
)
々々
(
まんぞく
)
、
250
汝
(
なんぢ
)
が
居間
(
ゐま
)
に
帰
(
かへ
)
つて
安眠
(
あんみん
)
したが
可
(
よ
)
からう』
251
シ『
左様
(
さやう
)
ならば、
252
殿下
(
でんか
)
にもお
寝
(
やす
)
み
遊
(
あそ
)
ばしませ。
253
妾
(
わらは
)
は
女中
(
ぢよちう
)
部屋
(
べや
)
へまかり
下
(
さが
)
りませう』
254
とソロリソロリと
心
(
こころ
)
を
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
して、
255
ニタツと
微笑
(
ほほゑみ
)
乍
(
なが
)
ら
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
さして
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
256
アリナはシノブが
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く
姿
(
すがた
)
を
見送
(
みおく
)
り、
257
ア『アヽ、
258
何
(
なん
)
と
良
(
い
)
いスタイルだらう。
259
ああして
裾
(
すそ
)
を
引
(
ひ
)
きずり、
260
シヨナリ シヨナリと
歩
(
ある
)
いて
行
(
ゆ
)
く
姿
(
すがた
)
は
俺
(
おれ
)
の
欲目
(
よくめ
)
か
知
(
し
)
らね
共
(
ども
)
、
261
スバール
姫
(
ひめ
)
以上
(
いじやう
)
だ。
262
ヤツパリ
俺
(
おれ
)
も
色男
(
いろをとこ
)
だなア。
263
今晩
(
こんばん
)
は
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
があの
若々
(
わかわか
)
しい、
264
淡雪
(
あはゆき
)
のやうなスバール
姫
(
ひめ
)
の
胸
(
むね
)
を
抱
(
いだ
)
いてお
寝
(
やす
)
みになるのに、
265
自分
(
じぶん
)
は
独
(
ひと
)
り
膝坊主
(
ひざばうず
)
を
抱
(
だ
)
いて、
266
けなり
相
(
さう
)
に
夜
(
よ
)
の
目
(
め
)
もロクに
眠
(
ねむ
)
られず、
267
こがれ
明
(
あか
)
すかと
思
(
おも
)
つたに
不思議
(
ふしぎ
)
なものだ。
268
ヤツパリ
一
(
ひと
)
つある
事
(
こと
)
は
二
(
ふた
)
つある。
269
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
も
満足
(
まんぞく
)
なら、
270
俺
(
おれ
)
も
満足
(
まんぞく
)
だ。
271
併
(
しか
)
しあのシノブ、
272
気
(
き
)
が
利
(
き
)
かない。
273
人目
(
ひとめ
)
を
恐
(
おそ
)
れて
女中
(
ぢよちう
)
部屋
(
べや
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
了
(
しま
)
ひよつた。
274
俺
(
おれ
)
の
方
(
はう
)
から
私
(
ひそ
)
かに
通
(
かよ
)
ふ
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
275
さうすれば
太子
(
たいし
)
の
権威
(
けんゐ
)
はゼロになる。
276
もし
彼奴
(
あいつ
)
にして
俺
(
おれ
)
をどこ
迄
(
まで
)
も
熱愛
(
ねつあい
)
してゐるならば、
277
今夜
(
こんや
)
は
一睡
(
いつすゐ
)
もようしまい。
278
キツと
恋愛
(
れんあい
)
といふ
曲者
(
くせもの
)
に
引
(
ひき
)
つけられて、
279
のそりのそりと
吾
(
わが
)
居間
(
ゐま
)
へ
忍
(
しの
)
んで
来
(
く
)
るかも
知
(
し
)
れない。
280
もえさかる
胸
(
むね
)
の
焔
(
ほのほ
)
を
打
(
うち
)
消
(
け
)
して
281
しばし
忍
(
しの
)
ばむしのぶ
恋路
(
こひぢ
)
を。
282
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
をしのぶ
二人
(
ふたり
)
の
仲
(
なか
)
ならば
283
しばし
忍
(
しの
)
ばむ
恋
(
こひ
)
の
暗路
(
やみぢ
)
を。
284
あーあ、
285
何
(
なん
)
だか
妙
(
めう
)
な
気分
(
きぶん
)
になつて
来
(
き
)
たワイ。
286
モ、
287
夜
(
よ
)
も
更
(
ふ
)
けた
様
(
やう
)
だし、
288
夜分
(
やぶん
)
に
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
伺
(
うかが
)
ひもあるまい。
289
サアゆつくりと
今日
(
けふ
)
は
此
(
この
)
太子
(
たいし
)
も
寝
(
やす
)
んでやらうかい』
290
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
291
寝所
(
しんしよ
)
に
入
(
い
)
り、
292
ソファーの
上
(
うへ
)
に
横
(
よこ
)
たはり、
293
疲労
(
くたび
)
れ
果
(
は
)
てて、
294
鼾声
(
かんせい
)
雷
(
らい
)
の
如
(
ごと
)
く
眠
(
ねむり
)
についた。
295
夜
(
よ
)
は
森々
(
しんしん
)
と
更
(
ふ
)
けわたり、
296
水
(
みづ
)
さへ
眠
(
ねむ
)
る
丑満
(
うしみつ
)
の
刻限
(
こくげん
)
となつた。
297
満天
(
まんてん
)
の
雨雲
(
あまぐも
)
の
堤
(
つつみ
)
を
切
(
き
)
つて、
298
土砂
(
どしや
)
ぶりの
雨
(
あめ
)
は
館
(
やかた
)
の
棟
(
むね
)
を
音
(
おと
)
高
(
たか
)
く
叩
(
たた
)
き
初
(
はじ
)
めた。
299
恋
(
こひ
)
の
曲者
(
くせもの
)
に
捉
(
とら
)
はれて、
300
まどろみ
得
(
え
)
ざりし
女中頭
(
ぢよちうがしら
)
のシノブは
301
雨
(
あめ
)
の
音
(
おと
)
を
幸
(
さいは
)
ひに
他
(
た
)
の
女中
(
ぢよちう
)
の
寝息
(
ねいき
)
を
考
(
かんが
)
へ、
302
足音
(
あしおと
)
を
忍
(
しの
)
ばせ
乍
(
なが
)
ら、
303
ソロリソロリとアリナが
寝所
(
しんしよ
)
に
忍
(
しの
)
び
入
(
い
)
つた。
304
アリナは
何事
(
なにごと
)
も
白河
(
しらかは
)
の
夜舟
(
よぶね
)
、
305
荒波
(
あらなみ
)
のほえたけるやうな
鼾
(
いびき
)
を
立
(
た
)
てて
熟睡
(
じゆくすゐ
)
に
入
(
い
)
つてゐる。
306
シノブはソファーの
傍
(
そば
)
に
寄
(
よ
)
り、
307
ソツとアリナが
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
を
当
(
あ
)
て、
308
小声
(
こごゑ
)
になつて……
309
シ『モシ……モシ、
310
アリナさま アリナさま』
311
とゆすり
起
(
おこ
)
した。
312
アリナは
驚
(
おどろ
)
いて、
313
アツとはね
起
(
お
)
き、
314
目
(
め
)
をこすり
乍
(
なが
)
ら、
315
ア『ナヽ
何
(
なん
)
だ、
316
何事
(
なにごと
)
が
起
(
おこ
)
つたのだ』
317
と
早
(
はや
)
くも
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
さうとするのを、
318
シノブは
袖
(
そで
)
をひき
止
(
と
)
め
乍
(
なが
)
ら、
319
シ『
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づおちつき
遊
(
あそ
)
ばしませ、
320
別
(
べつ
)
に
怪
(
あや
)
しい
者
(
もの
)
では
厶
(
ござ
)
いませぬ。
321
妾
(
わらは
)
は
貴方
(
あなた
)
のお
嫌
(
きら
)
ひなシノブで
厶
(
ござ
)
います。
322
妾
(
わらは
)
の
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いて、
323
倉皇
(
さうくわう
)
として
逃
(
にげ
)
出
(
だ
)
さうとは
余
(
あま
)
りぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
324
貴方
(
あなた
)
夕
(
ゆふべ
)
325
私
(
わたし
)
に
詐
(
いつは
)
つたので
厶
(
ござ
)
いますか。
326
エー
悔
(
くや
)
しい、
327
残念
(
ざんねん
)
で
厶
(
ござ
)
います。
328
モウ
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
打
(
う
)
ちあけて
了
(
しま
)
ひますから、
329
其
(
その
)
お
覚悟
(
かくご
)
なさいませ』
330
と
早
(
はや
)
くも
泣声
(
なきごゑ
)
になる。
331
アリナは
吃驚
(
びつくり
)
して、
332
ア『ヤア、
333
お
前
(
まへ
)
はシノブだつたか、
334
ヤ、
335
それで
安心
(
あんしん
)
だ。
336
決
(
けつ
)
してお
前
(
まへ
)
を
嫌
(
きら
)
ふ
所
(
どころ
)
か、
337
お
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
許
(
ばか
)
り
思
(
おも
)
つて
寝
(
やす
)
んでゐた
所
(
ところ
)
、
338
父
(
ちち
)
の
左守
(
さもり
)
がやつて
来
(
き
)
て、
339
俺
(
おれ
)
の
化
(
ばけ
)
の
皮
(
かは
)
を
現
(
あら
)
はし、
340
ふん
縛
(
じば
)
らうとした
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
て
吃驚
(
びつくり
)
したのだ。
341
どうしてお
前
(
まへ
)
を
嫌
(
きら
)
ふものか、
342
そして
殿中
(
でんちう
)
は
何事
(
なにごと
)
もないのか』
343
此
(
この
)
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
いてシノブも
稍
(
やや
)
安心
(
あんしん
)
せしものの
如
(
ごと
)
く、
344
シ『あゝそれ
聞
(
き
)
いて、
345
貴方
(
あなた
)
のお
心
(
こころ
)
が
解
(
わか
)
りました。
346
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なされませ。
347
殿中
(
でんちう
)
は
極
(
きは
)
めて
平穏
(
へいおん
)
無事
(
ぶじ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
348
妾
(
わらは
)
は
寝所
(
しんしよ
)
へ
這入
(
はい
)
りましても、
349
貴方
(
あなた
)
のお
姿
(
すがた
)
が
目
(
め
)
にちらつき、
350
一目
(
ひとめ
)
も
眠
(
ねむ
)
られず、
351
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
けるのを
待
(
ま
)
ちかね、
352
お
顔
(
かほ
)
見
(
み
)
たさに
人目
(
ひとめ
)
を
忍
(
しの
)
んでここ
迄
(
まで
)
伺
(
うかが
)
つたので
厶
(
ござ
)
います』
353
ア『ウン、
354
さうか、
355
それで
俺
(
おれ
)
もヤツと
安心
(
あんしん
)
した。
356
能
(
よ
)
う
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつた。
357
俺
(
おれ
)
も
碌
(
ろく
)
に
夜
(
よ
)
の
目
(
め
)
が
眠
(
ねむ
)
られなかつたよ。
358
お
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
が
気
(
き
)
になつて………』
359
シ『ホヽヽヽ、
360
何
(
なん
)
とマア
調法
(
てうはふ
)
なお
口
(
くち
)
だ
事
(
こと
)
。
361
妾
(
わらは
)
が
忍
(
しの
)
んで
来
(
く
)
るのも
知
(
し
)
らずに、
362
夜中
(
よなか
)
の
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
てゐらしたくせに
363
どこを
押
(
おさ
)
へたらそんな
上手
(
じやうず
)
な
事
(
こと
)
が
言
(
い
)
へますか。
364
本当
(
ほんたう
)
に
憎
(
にく
)
らしい
殿御
(
とのご
)
だワ』
365
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
366
膝
(
ひざ
)
のあたりを
力
(
ちから
)
を
入
(
い
)
れて、
367
継子
(
ままこ
)
抓
(
つめ
)
りに
抓
(
つめ
)
つた。
368
ア『アイタヽヽヽ、
369
ひどい
事
(
こと
)
するぢやないか、
370
さう
男
(
をとこ
)
を
虐待
(
ぎやくたい
)
するものぢやないワ。
371
ヤツパリお
前
(
まへ
)
は
私
(
わたし
)
を
苦
(
くる
)
しめるのだな。
372
人
(
ひと
)
を
痛
(
いた
)
い
目
(
め
)
にあはして、
373
お
前
(
まへ
)
は
心持
(
こころもち
)
が
可
(
よ
)
いのか』
374
シ『そらさうです
共
(
とも
)
。
375
憎
(
にく
)
らしい
程
(
ほど
)
可愛
(
かあい
)
いですもの……
可愛
(
かあい
)
けりやこそ
一
(
ひと
)
つも
叩
(
たた
)
く、
376
憎
(
にく
)
うて
一
(
ひと
)
つも
抓
(
つめ
)
られうか……といふ
俗謡
(
ぞくえう
)
があるでせう。
377
モツトモツト
抓
(
つめ
)
つて
上
(
あ
)
げませうか』
378
と
今度
(
こんど
)
は
二
(
に
)
の
腕
(
うで
)
を
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
継子
(
ままこ
)
抓
(
つめ
)
りで
捻
(
ねぢ
)
た。
379
ア『アイタヽヽヽ、
380
コラコラひどい
事
(
こと
)
するな。
381
可愛
(
かあい
)
がつて
貰
(
もら
)
ふのも
結構
(
けつこう
)
だが、
382
痛
(
いた
)
いのは
御免
(
ごめん
)
だ』
383
シ『
女
(
をんな
)
に
抓
(
つめ
)
られて
閉口
(
へいこう
)
するやうな
腰
(
こし
)
の
弱
(
よわ
)
い
男子
(
だんし
)
は、
384
恋
(
こひ
)
を
語
(
かた
)
るの
資格
(
しかく
)
はありませぬよ。
385
本当
(
ほんたう
)
の
恋
(
こひ
)
と
恋
(
こひ
)
とがピツタリ
合
(
あ
)
つた
男女
(
だんぢよ
)
は、
386
何時
(
いつ
)
も
生疵
(
なまきず
)
の
絶
(
た
)
え
間
(
ま
)
のないのが
親密
(
しんみつ
)
な
証拠
(
しようこ
)
ですよ』
387
といひ
乍
(
なが
)
ら、
388
頬
(
ほほ
)
べたをガシリとかいた。
389
ア『チヨツ、
390
痛
(
いた
)
いワイ。
391
何程
(
なにほど
)
惚
(
ほれ
)
たというても、
392
そんな
毒性
(
どくしやう
)
な
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はされちや やり
切
(
き
)
れないワ。
393
面
(
つら
)
に
蚯蚓
(
みみづ
)
腫
(
ば
)
れが
出来
(
でき
)
るぢやないか』
394
シ『ホヽヽヽ
蚯蚓腫
(
みみづばれ
)
位
(
ぐらゐ
)
が
何
(
なん
)
ですか、
395
男
(
をとこ
)
と
云
(
い
)
ふものは
大事
(
だいじ
)
な
宝
(
たから
)
まで、
396
突
(
つき
)
破
(
やぶ
)
るだありませぬか、
397
その
方
(
はう
)
が
何程
(
なにほど
)
痛
(
いた
)
いか
知
(
し
)
れませぬよ』
398
ア『エー、
399
何
(
なん
)
とマア、
400
可
(
い
)
いお
転婆
(
てんば
)
だなア。
401
今時
(
いまどき
)
の
女子
(
ぢよし
)
は
之
(
これ
)
だから
嫌
(
きら
)
はれるのだ……イヤ
好
(
す
)
かれるのだ、
402
エヘヽヽヽ』
403
斯
(
か
)
くいちやついてゐる
折
(
をり
)
しも、
404
ヂヤンヂヤンヂヤンヂヤンと
警鐘
(
けいしよう
)
乱打
(
らんだ
)
の
声
(
こゑ
)
。
405
ハツと
驚
(
おどろ
)
き
窓
(
まど
)
を
開
(
ひら
)
いて
見
(
み
)
れば、
406
左守
(
さもり
)
の
館
(
やかた
)
の
方面
(
はうめん
)
に
当
(
あた
)
つて、
407
炎
(
ほのほ
)
天
(
てん
)
をこがし
大火災
(
だいくわさい
)
が
起
(
おこ
)
つてゐる。
408
(
大正一四・一・六
新一・二九
於月光閣
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 変装太子
(B)
(N)
茶火酌 >>>
霊界物語
>
第68巻
> 第2篇 恋火狼火 > 第6章 信夫恋
Tweet
ロシアのプーチン大統領が霊界物語に予言されていた!?<絶賛発売中>
逆リンク(このページにリンクが張られているページ)
「エターナルに愛して」とは? | 飯塚弘明.com
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【06 信夫恋|第68巻(未の巻)|霊界物語/rm6806】
合言葉「みろく」を入力して下さい→