第二一章 祭政一致〔一七四五〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第68巻 山河草木 未の巻
篇:第5篇 神風駘蕩
よみ(新仮名遣い):しんぷうたいとう
章:第21章 祭政一致
よみ(新仮名遣い):さいせいいっち
通し章番号:1745
口述日:1925(大正14)年01月30日(旧01月7日)
口述場所:月光閣
筆録者:松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:1926(大正15)年9月30日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:スダルマン太子は、父カラピン王に面会し、今までのことを謝し、心を改めて後を継ぐことを誓った。そして父王の死後、カラピン王2世となり、仁政を敷いた。アリナ、バランス、シャカンナはそれぞれ国政に就き、スダルマン太子を助けた。
大宮山の盤古神王の社は、梅公別の指揮で、社が三棟に造営された。
中央には大国常立尊と豊雲野尊、左の宮には神素盞嗚尊と大八洲彦尊、右側の宮には盤古神王と国魂の神を鎮祭した。
以下、神殿造営に関わる歌を抜き出します。
新王(スダルマン太子)「三五の神の教を今よりは あが国民に教へひろめむ」
妃(スバール姫)「天つ神国津御神を斎ひつつ 吾が神国の御民を治めむ」
アリナ「大神と吾が大君の御ために 心も身をも捧げまつらむ」
梅公別「皇神の貴の御光現はれて 世の基をば開く今日かな」
梅公別は新王をはじめ重臣たちに神の教えを説き諭し、再び白馬にまたがり、師、照国別の隊に合流すべく、駈けて行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:2018-07-15 10:24:08
OBC :rm6821
愛善世界社版:278頁
八幡書店版:第12輯 255頁
修補版:
校定版:283頁
普及版:69頁
初版:
ページ備考:
001 スダルマン太子は宣伝使に送られ、002一行と共に無事タラハン城内に立帰り、003父の大王に面会し、004今迄の不都合を謝し、005且つ今後は心を改めて、006父の後を継ぎ、007国家万機の政事を総攬せむ事を誓つた。008カラピン王は太子の姿を見るより、009喜びの余り気が緩み、010ガツカリとした其刹那、011忽ち人事不省に陥り、012四五日を経て八十一才を一期となし、013此世に暇を告げた。014太子は父王の位を継承しカラピン王第二世と称し、015天下に仁政を布き、016国民上下の区別を撤回し、017旧習を打破し、018国民の中より賢者を選んで、019夫れ夫れの政務に就かしめ、020下民悦服して皷腹撃壤の聖代を現出した。021アリナ及びバランスは国法の命ずる所に従ひ、022一時牢獄に投ぜられたが、023太子が王位に即くと共に大赦を行ひ、024両人は僅に一週間の形式許りの牢獄住居を遁れ、025アリナは天晴右守司となつて国民上下の輿望を担ひ、026輔弼の重任を尽し奉つた。027そして民衆救護団長たりし大女のバランスを妻に迎へ、028アリナの家は子孫代々繁栄した。029又バランスはスダルマン太子の即位と共に民衆救護団の必要なきを感じ、030部下一般に対して、031解散の命を下した。032左守司のガンヂーはカラピン王の後を逐うて、033之亦眠るが如く帰幽した。034浅倉山の山奥に隠れてゐた前左守司シャカンナは新王に召されて、035城中に入り元の如く左守の職に就き、036国政の改革に全力を傾注し、037国民一般の大に信任を得た。038太子の最も寵愛せしスバール姫は王妃の位に上り、039殿内の制度を自ら改革し、040従前の因習や情実的採用法を全廃し、041賢女を集めて殿内の革正に努めた。042又向日の森の辺に住む茶坊主のタルチンはスバール姫に終身仕ふる事となつた。043毒婦シノブの為にインデス河に投込まれた王女のバンナ姫は044バランスの部下に救はれ芽出度宮中に送り帰され、045トルマン国の太子に懇望されて其妃となつた。046大宮山の盤古神王の社は梅公別の宣伝使が指揮に従ひ、047以前よりも数倍宏大にして且つ立派なる社殿を造営し、048社を三棟となし、049中央には大国常立尊、050豊雲野尊を祭り、051左側の宮には神素盞嗚尊、052大八洲彦命を鎮祭し、053右側の宮には盤古神王及国魂の神を鎮祭し、054カラピン王家の産土神として永遠に王自ら斎主となり奉仕する事となつた。
055 カラピン大王や左守ガンヂーの葬祭式には上下挙つて会葬し、056開闢以来の盛儀と称せられた。057次いで大宮山の遷宮式並に太子の即位式や結婚式等にて、058タラハン城市に全国より祝意を表して集まり来る者引も切らず、059期せずして大火災に会ひしタラハン市は一年ならずして復興し、060以前に優る事数倍の繁栄を来たした。061何れも新王が民意を容れ、062平等博愛の政治を布き給ひし恩恵として063子供の端に至る迄其徳を慕ひ、064不平を洩らす者は只一人もなかつたといふ。065即位式の状況に付いては茲に省略し、066祝歌のみを紹介する。
067新王『久方の天津御神の御心を
068麻柱まつり国を治めむ。
069国民の日々の暮しの安かれと
070朝な夕なに神に祈らむ。
071親々の開き給ひし神の国を
072謹み畏み守りまつらむ。
073新しき国の政を開きつつ
074野に在る聖広く求めむ。
075大宮の下つ岩根に千木高く
076鎮まりゐます神ぞ尊き。
077三五の神の教を今よりは
078あが国民に教へひろめむ』
079妃『吾君の勅のままに服ひて
080御国の母と仕へまつらむ。
081天つ神国津御神を斎ひつつ
082吾神国の御民を治めむ。
083諸々の珍の司を率ゐつつ
084吾大君の道を助けむ。
085有難き神の恵の露に会ひて
086今日九重にわれは輝く。
087世の中の御民よ永遠に安かれと
089アリナ『大君は遠く御国に昇りまし
090天にゐまして御代をしらさむ。
091吾父は吾大君に従ひて
092神の御国に昇りますらむ。
093足曳の山の名画と謳はれし
094后の宮のうまし御姿。
095吾は今右守司と任られて
096あが大君の御前に侍る。
097天はさけ地ゆり海はかかる共
098君の恵は忘れざらまし。
099大神と吾大君の御為に
100心も身をも捧げまつらむ』
101シャカンナ『神去りしあが大君に仕へてし
102われは再び世に出でにけり。
103新たなるあが大君の恵にて
104吾まな娘人となりぬる。
105山奥に匂ひ初めたる梅の花
106今日は高天に実を結ぶなり。
107親と子の称へはあれど大君の
108后とゐます君に従ふ。
109十年振珍の都に立帰り
110君に仕ふる事の嬉しさ。
111今よりは心の駒を立直し
112御民の心なごめまつらむ』
113バランス『バランスは鄙に育ちし身ながらも
114今日九重の空にすむ哉。
115背の君と手を携へて政
116輔けまつらむ事の嬉しさ。
117タルチンの館に三年忍びつつ
118仇に返せし事の苦しさ。
119ブルジョアや資本階級悉く
121都路に火を放ちたる曲業も
122御代を救はむ心なりけり』
123タルチン『力なき小さき吾身も御恵の
125有難し后の宮の手を取りて
126茶道教ゆる身こそ嬉しき』
127梅公別『皇神の貴の御光現はれて
128世の基をば開く今日哉。
129大宮山の聖場に
132御前を畏み願ぎまつる
134遠つ神代の昔より
136国の司は天地の
138上下の隔てを取去りて
139中取り臣と現はれて 140国の国王となり給ひ
141四方の民草平けく
143畏き御代も中つ世に 144押よせ来れる曲道に
145皆汚されて神国は 146悪魔の荒ぶる世となりぬ
147上に仕ふる司等は 148名利の欲に心をば
149晦ませ鬼と成変り
151利己主義一途に相流れ 152世は日に月に弱りはて
153怨嗟の声は野に山に
158太子の君は逸早く
159能く民情に通じたる
161股肱の臣と愛給ひ
164苦難を救ひ助けむと
165心を砕かせ給ひしが 166曇り切つたる九重の
167御空の雲は深くして 168晴らす由なき常暗の
169曲の健びは手を下す
171館を出でて山に野に 172彷徨ひ給ひ千万の
174一陽来復時来り
175今や王位に登りまし 176諸政の改革断行し
178慈母の赤子に於ける如
179万の民を撫で給ふ
182五六七の御代の魁か
183仰げば高し久方の 184尊き神の御恵みか
185称へ尽せぬ御稜威
187上は国王を初とし
189神を敬ひ大君を
191心を改め惟神
194神に代りて梅公が
195名残に一言述べておく
198旭は照る共曇る共
199月は盈つ共虧くる共 200仮令大地は沈む共
201誠一つは世を救ふ
204此世を造りし神直日
205心も広き大直日 206只何事も人の世は
207直日に見直し聞直し 208世の過ちは宣り直し
209珍の祭を永久に 210執らせ給へよ大君よ
211三五教の宣伝使
213神の御旨を宣べ伝ふ』
214 梅公別の宣伝使は215新王を始め並ゐる重臣共に神の教を諄々と説き諭し、216再び白馬に跨り、217タラハン城を後に眺めて、218照国別の隊に合すべく、219蹄の音も勇ましく、220矢を射る如く帰り行く。221あゝ惟神霊幸倍坐世。
222(大正一四・一・七 新一・三〇 於月光閣 松村真澄録)