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第66巻(巳の巻)
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第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
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第71巻(戌の巻)
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第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
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第68巻(未の巻)
序文
総説
第1篇 名花移植
01 貞操論
〔1725〕
02 恋盗詞
〔1726〕
03 山出女
〔1727〕
04 茶湯の艶
〔1728〕
第2篇 恋火狼火
05 変装太子
〔1729〕
06 信夫恋
〔1730〕
07 茶火酌
〔1731〕
08 帰鬼逸迫
〔1732〕
第3篇 民声魔声
09 衡平運動
〔1733〕
10 宗匠財
〔1734〕
11 宮山嵐
〔1735〕
12 妻狼の囁
〔1736〕
13 蛙の口
〔1737〕
第4篇 月光徹雲
14 会者浄離
〔1738〕
15 破粋者
〔1739〕
16 戦伝歌
〔1740〕
17 地の岩戸
〔1741〕
第5篇 神風駘蕩
18 救の網
〔1742〕
19 紅の川
〔1743〕
20 破滅
〔1744〕
21 祭政一致
〔1745〕
余白歌
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> 第5篇 神風駘蕩 > 第20章 破滅
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第二〇章
破滅
(
はめつ
)
〔一七四四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第68巻 山河草木 未の巻
篇:
第5篇 神風駘蕩
よみ(新仮名遣い):
しんぷうたいとう
章:
第20章 破滅
よみ(新仮名遣い):
はめつ
通し章番号:
1744
口述日:
1925(大正14)年01月30日(旧01月7日)
口述場所:
月光閣
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1926(大正15)年9月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一方右守のサクレンスは、太子・アリナを亡き者にしたと思い、妻のサクラン姫と酒盛りをやっていた。
ところが、自分たちの計画をシノブに聞かれてしまう。シノブは、悪事を公にされたくなければ自分を女帝にすえるよう、サクレンス夫妻を脅す。
そこへカーク・サーマンが、陰謀の露見を知らせに来る。太子・スバール姫は助け出され、右守の弟のエールがすでに成敗されたと3人に告げる。
三人は身の破滅を悟る。折りしも、捕り手が館を取り囲み、3人は縛り上げられてしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2018-07-15 09:07:02
OBC :
rm6820
愛善世界社版:
267頁
八幡書店版:
第12輯 251頁
修補版:
校定版:
272頁
普及版:
69頁
初版:
ページ備考:
001
蓄財
(
ちくざい
)
と
名望欲
(
めいばうよく
)
と
政治欲
(
せいぢよく
)
、
002
其
(
その
)
外
(
ほか
)
自己愛
(
じこあい
)
の
道
(
みち
)
にかけては
抜
(
ぬ
)
け
目
(
め
)
のない
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
サクレンスは、
003
日頃
(
ひごろ
)
の
願望
(
ぐわんまう
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
時
(
とき
)
到
(
いた
)
れりとなし、
004
妻
(
つま
)
のサクラン
姫
(
ひめ
)
と
共
(
とも
)
に、
005
都下
(
とか
)
大騒擾
(
だいさうぜう
)
の
跡仕末
(
あとしまつ
)
もつけず、
006
民衆
(
みんしう
)
怨嗟
(
ゑんさ
)
の
声
(
こゑ
)
も
空吹
(
そらふ
)
く
風
(
かぜ
)
と
聞
(
き
)
き
流
(
なが
)
し、
007
珍味
(
ちんみ
)
佳肴
(
かかう
)
に
酒
(
さけ
)
くみ
交
(
か
)
はし
得意
(
とくい
)
となつて
008
心
(
こころ
)
の
埃芥
(
ごもく
)
を
平気
(
へいき
)
の
平左
(
へいざ
)
で
吐
(
は
)
き
散
(
ち
)
らしてゐる。
009
得意
(
とくい
)
の
時
(
とき
)
、
010
図
(
づ
)
に
乗
(
の
)
るは
小人
(
せうじん
)
の
常
(
つね
)
とは
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
011
あまりに
智慧
(
ちゑ
)
の
足
(
た
)
らぬ
男
(
をとこ
)
である。
012
人心
(
じんしん
)
恟々
(
きようきよう
)
として
物騒
(
ぶつさう
)
至極
(
しごく
)
の
今日
(
けふ
)
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
、
013
而
(
しか
)
も
玄関口
(
げんくわんぐち
)
に
現
(
あら
)
はれ
訪問客
(
はうもんきやく
)
を
相手
(
あひて
)
にし
乍
(
なが
)
ら、
014
已
(
すで
)
に
国務
(
こくむ
)
総監
(
そうかん
)
になりすましたやうな
気
(
き
)
で
盛
(
さかん
)
にメートルを
上
(
あ
)
げ、
015
いきりきつて
居
(
ゐ
)
る。
016
右守
(
うもり
)
は
女房
(
にようばう
)
の
酌
(
しやく
)
でヘトヘトになり、
017
凹
(
へこ
)
んだ
目
(
め
)
をボツとさせ
乍
(
なが
)
ら
018
眼鏡
(
めがね
)
越
(
ご
)
しに
女房
(
にようばう
)
の
蜥蜴面
(
とかげづら
)
を
打
(
うち
)
眺
(
なが
)
め、
019
出来損
(
できそこ
)
ねた
今戸焼
(
いまどやき
)
の
狸
(
たぬき
)
の
人形
(
にんぎやう
)
のやうな
不可解
(
ふかかい
)
千万
(
せんばん
)
の
面
(
つら
)
をさらし
020
舌皷
(
したつづみ
)
を
打
(
う
)
ち
乍
(
なが
)
ら、
021
右守
(
うもり
)
『オイ、
022
奥
(
おく
)
さま
否
(
いな
)
、
023
女房
(
にようばう
)
、
024
嬶
(
かか
)
んつ
殿
(
どの
)
、
025
何
(
なん
)
と
俺
(
おれ
)
の
劃策
(
くわくさく
)
は
水
(
みづ
)
も
洩
(
も
)
らさぬ
注意
(
ちうい
)
の
届
(
とど
)
いたものだらう、
026
エーン』
027
サク
(サクラン)
『
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
028
何
(
なん
)
ですか、
029
車夫
(
しやふ
)
か
馬丁
(
ばてい
)
か
何
(
なん
)
ぞのやうに
嬶
(
かかあ
)
だの、
030
嬶
(
かか
)
んつだの
嬶村屋
(
かかむらや
)
だのと、
031
こんな
玄関口
(
げんくわんぐち
)
で
見
(
み
)
つともないぢやありませぬか。
032
警固
(
けいご
)
の
兵士
(
へいし
)
が
若
(
も
)
しもこんな
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
きましたらキツト
馬鹿
(
ばか
)
にしますよ。
033
何卒
(
どうぞ
)
之
(
これ
)
から
妾
(
わらは
)
を
呼
(
よ
)
ぶには
奥
(
おく
)
とか、
034
後室
(
こうしつ
)
とか
云
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
035
お
願
(
ねがひ
)
ですから』
036
右
(
う
)
(右守サクレンス)
『イヤ、
037
之
(
これ
)
は
失敬
(
しつけい
)
千万
(
せんばん
)
、
038
恐
(
おそ
)
れ
入谷
(
いりや
)
の
鬼子
(
きし
)
母神
(
ぼしん
)
殿
(
どの
)
、
039
釜
(
かま
)
の
下
(
した
)
の
燃杭
(
もえくひ
)
左衛門
(
ざゑもん
)
、
040
閻魔
(
えんま
)
大王
(
だいわう
)
之
(
の
)
介
(
すけ
)
、
041
嬶左衛門
(
かかざゑもんの
)
尉
(
じやう
)
挽臼
(
ひきうす
)
殿
(
どの
)
、
042
サクレンスが
酒
(
さけ
)
の
上
(
うへ
)
の
暴言
(
ばうげん
)
、
043
真平
(
まつぴら
)
々々
(
まつぴら
)
御免
(
ごめん
)
候
(
さふら
)
へ、
044
何分
(
なにぶん
)
奥
(
おく
)
さまのお
名前
(
なまへ
)
がサクラン
姫
(
ひめ
)
だから、
045
チツト
許
(
ばか
)
り
此
(
この
)
右守
(
うもり
)
も
精神
(
せいしん
)
がサクラン
致
(
いた
)
し、
046
何
(
なん
)
となくボツと
致
(
いた
)
したやうだ。
047
サクラン……ではない、
048
サフランでも
煎
(
せん
)
じて
一服
(
いつぷく
)
飲
(
の
)
まして
貰
(
もら
)
ひたいものだな。
049
サフランが
無
(
な
)
ければ
朝鮮
(
てうせん
)
人参
(
にんじん
)
でも
結構
(
けつこう
)
だ。
050
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
諺
(
ことわざ
)
にも
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り……
人参
(
にんじん
)
買
(
か
)
うて
首
(
くび
)
を
吊
(
つ
)
る……と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
もある。
051
右守
(
うもり
)
の
貧乏
(
びんばふ
)
世帯
(
じよたい
)
では
到底
(
たうてい
)
左様
(
さやう
)
な
高価
(
かうか
)
な
医薬品
(
いやくひん
)
は
挺
(
てこ
)
には
合
(
あ
)
ひ
申
(
まを
)
さぬ。
052
それよりも
奥方殿
(
おくがたどの
)
の
御
(
お
)
麗
(
うるは
)
しきおん
顔
(
かんばせ
)
を
拝
(
はい
)
し
奉
(
たてまつ
)
り、
053
恐悦
(
きようえつ
)
至極
(
しごく
)
に
存
(
ぞん
)
じ
奉
(
たてまつ
)
つておいた
方
(
はう
)
が、
054
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
愉快
(
ゆくわい
)
だか
知
(
し
)
れないわ、
055
アツハヽヽヽ』
056
サク
(サクラン)
『
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
057
いい
加減
(
かげん
)
に
妻
(
つま
)
を
嘲弄
(
てうろう
)
しておきなさいませ。
058
口
(
くち
)
に
関所
(
せきしよ
)
がないと
云
(
い
)
つても、
059
あまりぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか。
060
時
(
とき
)
に
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
061
太子
(
たいし
)
殿下
(
でんか
)
やスバール
姫
(
ひめ
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
で
厶
(
ござ
)
いませうかな』
062
サクレ
(右守サクレンス)
『ウンウン、
063
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
、
064
不要緊
(
プヤオチン
)
不要緊
(
プヤオチン
)
。
065
あゝしておけば
自然
(
しぜん
)
に
餓死
(
がし
)
を
為
(
す
)
るだらう、
066
さうすりやこつちの
幸福
(
しあはせ
)
だ。
067
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
辛抱
(
しんばう
)
が
可
(
よ
)
いと
云
(
い
)
つても、
068
十日
(
とをか
)
も
二十日
(
はつか
)
も
飲食
(
おんじき
)
を
絶
(
た
)
たれたならば、
069
到底
(
たうてい
)
生命
(
いのち
)
は
保
(
たも
)
て
無
(
な
)
い、
070
寂滅
(
じやくめつ
)
為楽
(
ゐらく
)
とおいで
遊
(
あそ
)
ばすは、
071
決
(
き
)
まりきつたる
天地
(
てんち
)
の
道理
(
だうり
)
だ。
072
エー、
073
俺
(
おれ
)
に
子供
(
こども
)
があればバンナ
姫
(
ひめ
)
に
娶
(
めあわ
)
して、
074
うまく
国政
(
こくせい
)
を
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
操
(
あやつ
)
るのだが、
075
惜
(
をし
)
い
事
(
こと
)
にはお
前
(
まへ
)
が
石女
(
うまずめ
)
だから、
076
惜
(
をし
)
い
乍
(
なが
)
らも
他人
(
たにん
)
にやるより
マシ
だと
思
(
おも
)
つて、
077
父違
(
ててちが
)
ひの
弟
(
おとうと
)
に
顕要
(
けんえう
)
の
地位
(
ちゐ
)
を
譲
(
ゆづ
)
り、
078
弟
(
おとうと
)
はやがて
大王
(
だいわう
)
殿下
(
でんか
)
となり、
079
肝心
(
かんじん
)
の
兄貴
(
あにき
)
は
臣下
(
しんか
)
となつて、
080
アタ
阿呆
(
あはう
)
らしい、
081
神妙
(
しんめう
)
に
仕
(
つか
)
へねばならぬのだ。
082
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
弟
(
おとうと
)
は
只
(
ただ
)
単
(
たん
)
に
看板
(
かんばん
)
に
立
(
た
)
てておくのみだ。
083
その
実権
(
じつけん
)
はヤツパリ
此
(
この
)
サクレンスの
手
(
て
)
に
握
(
にぎ
)
つておくのだから、
084
先
(
ま
)
づ
芝居
(
しばゐ
)
だと
思
(
おも
)
へば
辛抱
(
しんばう
)
も
出来
(
でき
)
やうかい、
085
エツヘヽヽヽ。
086
ても
扨
(
さて
)
も
愉快
(
ゆくわい
)
な
事
(
こと
)
だわい』
087
サクラ
(サクラン)
『
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
088
そしてあのアリナはシノブの
云
(
い
)
つた
通
(
とほ
)
り
大宮山
(
おほみややま
)
の
神殿
(
しんでん
)
に
居
(
を
)
つたでせうか』
089
サクレ
(右守サクレンス)
『イヤ、
090
彼奴
(
あいつ
)
は
到頭
(
たうとう
)
風
(
かぜ
)
を
喰
(
くら
)
つて
逃
(
にげ
)
失
(
う
)
せ、
091
比丘
(
びく
)
の
姿
(
すがた
)
となつて
法螺貝
(
ほらがひ
)
を
吹
(
ふ
)
き、
092
そこら
中
(
ぢう
)
を
深網笠
(
ふかあみがさ
)
で
廻
(
めぐ
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
報告
(
はうこく
)
が
来
(
き
)
たので
093
千
(
せん
)
円
(
ゑん
)
の
懸賞付
(
けんしやうづき
)
で
今
(
いま
)
捜索
(
そうさく
)
してる
処
(
ところ
)
だ。
094
彼奴
(
あいつ
)
を
捉
(
つかま
)
へたら、
095
否応
(
いやおう
)
云
(
い
)
はさず
秋野
(
あきの
)
ケ
原
(
はら
)
の
水車
(
すいしや
)
小屋
(
ごや
)
の
地底
(
ちてい
)
の
牢獄
(
らうごく
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
み、
096
人知
(
ひとし
)
れず
干
(
ほ
)
し
殺
(
ころ
)
してやる
計画
(
けいくわく
)
がチヤンと
整
(
ととの
)
つてゐるのだ。
097
あんな
奴
(
やつ
)
の
事
(
こと
)
は、
098
さう
意
(
い
)
に
介
(
かい
)
するに
足
(
た
)
らないよ。
099
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
肝腎要
(
かんじんかなめ
)
の
太子
(
たいし
)
を、
100
あゝ
仕
(
し
)
て
置
(
お
)
いて○○して
了
(
しま
)
へば
最早
(
もはや
)
俺
(
おれ
)
の
天下
(
てんか
)
だ。
101
エツヘヽヽヽ、
102
何
(
なん
)
と
妙案
(
めうあん
)
奇策
(
きさく
)
だらう』
103
サクラ
(サクラン)
『そりや
本当
(
ほんたう
)
に
心地
(
ここち
)
のよい
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いますな。
104
流石
(
さすが
)
は
右守
(
うもり
)
様
(
さま
)
、
105
いや
大名
(
だいみやう
)
総監
(
そうかん
)
様
(
さま
)
、
106
天晴
(
あつぱれ
)
々々
(
あつぱれ
)
。
107
貴方
(
あなた
)
が
御
(
ご
)
出世
(
しゆつせ
)
なされたならば、
108
麻
(
あさ
)
につれる
蓬
(
よもぎ
)
も
同然
(
どうぜん
)
、
109
妾
(
わらは
)
の
地位
(
ちゐ
)
も
高
(
たか
)
まる
道理
(
だうり
)
。
110
然
(
しか
)
し
女中頭
(
ぢよちうがしら
)
のシノブが
聞
(
き
)
いたら、
111
さぞ
失望
(
しつばう
)
落胆
(
らくたん
)
する
事
(
こと
)
でせうね』
112
サクレ
(右守サクレンス)
『どうで
彼奴
(
あいつ
)
は、
113
ドテンバの
淫乱
(
いんらん
)
の
両屏風
(
りやうびやうぶ
)
と
来
(
き
)
てゐるのだからいい
気味
(
きみ
)
だ。
114
いつもいつも
大王
(
だいわう
)
様
(
さま
)
のお
側
(
そば
)
近
(
ちか
)
く
侍
(
はべ
)
りよつて
115
耳嗅
(
みみか
)
ぎ
許
(
ばか
)
り
得意
(
とくい
)
にしてゐる
曲者
(
くせもの
)
だから、
116
あんな
奴
(
やつ
)
ア
臍
(
へそ
)
でも
噛
(
か
)
んで
死
(
し
)
んだ
方
(
はう
)
が、
117
何
(
なに
)
程
(
ほど
)
国家
(
こくか
)
の
為
(
ため
)
になるか
知
(
し
)
れないわ、
118
エツヘヽヽヽ』
119
サクラ
(サクラン)
『
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
120
謀
(
はかりごと
)
は
密
(
みつ
)
なるを
要
(
えう
)
すとか
申
(
まを
)
しまして、
121
どこ
迄
(
まで
)
も
注意
(
ちうい
)
に
注意
(
ちうい
)
を
加
(
くは
)
へねばなりませぬ。
122
ヒヨツとすればあの
女
(
をんな
)
は
右守家
(
うもりけ
)
にとつて
爆裂弾
(
ばくれつだん
)
かも
知
(
し
)
れませぬから、
123
そこは、
124
うまく
云
(
い
)
つて、
125
操
(
あやつ
)
つておいて
下
(
くだ
)
されや』
126
サクレ
(右守サクレンス)
『エー、
127
そんな
事
(
こと
)
に
抜目
(
ぬけめ
)
のあるサクレンスと
思
(
おも
)
つてゐるか、
128
云
(
い
)
ふ
丈
(
だ
)
け
野暮
(
やぼ
)
だよ。
129
サア
一杯
(
いつぱい
)
ゆかう。
130
今日
(
けふ
)
は
土堤
(
どて
)
を
切
(
き
)
らして
充分
(
じゆうぶん
)
酔
(
よ
)
うて
呉
(
く
)
れ。
131
目的
(
もくてき
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
前祝
(
まへいはひ
)
だからのう』
132
斯
(
か
)
かる
処
(
ところ
)
へ
玄関
(
げんくわん
)
の
障子
(
しやうじ
)
の
外
(
そと
)
からかん
走
(
ばし
)
つた
女
(
をんな
)
の
声
(
こゑ
)
、
133
シノブ
『
右守
(
うもり
)
様
(
さま
)
、
134
妾
(
わらは
)
はシノブで
厶
(
ござ
)
います。
135
這入
(
はい
)
りましてもお
差支
(
さしつかへ
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬかな』
136
右守
(
うもり
)
はギヨツとし
乍
(
なが
)
ら
顔色
(
かほいろ
)
をサツと
変
(
か
)
へ、
137
女房
(
にようばう
)
と
狸
(
たぬき
)
と
蜥蜴
(
とかげ
)
の
面合
(
つらあは
)
せをし
乍
(
なが
)
ら、
138
唇
(
くちびる
)
で
舌
(
した
)
を
噛
(
か
)
み
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つ
腮
(
あご
)
をしやくり、
139
二人
(
ふたり
)
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に、
140
右守サクレンス、妻サクラン
『ハイ、
141
差支
(
さしつかへ
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ。
142
サアサアお
這入
(
はい
)
り
下
(
くだ
)
さい』
143
シノブ『
左様
(
さやう
)
なれば
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
ります。
144
臍
(
へそ
)
でも
噛
(
か
)
んで
死
(
し
)
ねばいいのに、
145
憎
(
にく
)
まれ
子
(
ご
)
世
(
よ
)
に
覇張
(
はば
)
ると
申
(
まを
)
しまして、
146
此
(
この
)
通
(
とほ
)
りピンピンしてゐます。
147
決
(
けつ
)
して
爆裂弾
(
ばくれつだん
)
ではありませぬから
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なさいませ。
148
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
を
水車
(
すいしや
)
小屋
(
ごや
)
の
地底
(
ちてい
)
の
岩窟
(
いはや
)
に
入
(
い
)
れて、
149
干
(
ほし
)
殺
(
ころ
)
さうと
為
(
な
)
さる
凄
(
すご
)
い
御
(
お
)
腕前
(
うでまへ
)
、
150
実
(
じつ
)
に
感心
(
かんしん
)
致
(
いた
)
しましたよ。
151
もしもし
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
様
(
さま
)
、
152
別
(
べつ
)
に
青
(
あを
)
い
顔
(
かほ
)
して、
153
お
慄
(
ふる
)
ひ
遊
(
あそ
)
ばすには、
154
当
(
あた
)
らぬぢやありませぬか。
155
アリナさま
迄
(
まで
)
引捕
(
ひつと
)
らまへて
地底
(
ちてい
)
の
牢獄
(
らうごく
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
み、
156
干
(
ほし
)
殺
(
ころ
)
さうとして
厶
(
ござ
)
るのですもの、
157
本当
(
ほんたう
)
に
呆
(
あき
)
れて
了
(
しま
)
ひますわ。
158
如何
(
いかが
)
で
厶
(
ござ
)
います。
159
梟
(
ふくろ
)
の
宵企
(
よひだく
)
み、
160
うまく
計劃
(
けいくわく
)
が
成就
(
じやうじゆ
)
致
(
いた
)
す
見込
(
みこみ
)
が
厶
(
ござ
)
いますかな』
161
右
(
う
)
(右守サクレンス)
『これはこれは
思
(
おも
)
ひがけなきシノブ
殿
(
どの
)
のお
言葉
(
ことば
)
、
162
どうして、
163
さやうな
無道
(
ぶだう
)
な
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
るものですか。
164
人間
(
にんげん
)
として、
1641
恐
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
くも
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
を
干
(
ほし
)
殺
(
ころ
)
さうなんて、
165
人間
(
にんげん
)
の
面
(
つら
)
を
被
(
かぶ
)
つたものがする
事
(
こと
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬ。
166
実
(
じつ
)
は
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
うたまぎれに、
167
嬶左ヱ門
(
かかざえもん
)
に
向
(
むか
)
つて
揶揄
(
からか
)
つてゐたのですよ。
168
もとより
根
(
ね
)
なし
草
(
ぐさ
)
の
戯
(
たはむ
)
れ
言
(
ごと
)
、
169
気
(
き
)
にかけて
下
(
くだ
)
さつては
困
(
こま
)
ります』
170
シ
(シノブ)
『
人間
(
にんげん
)
として
出来
(
でき
)
ないやうな、
171
大
(
だい
)
それた
畏
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
い
事
(
こと
)
を
平気
(
へいき
)
でおやり
遊
(
あそ
)
ばす
右守
(
うもり
)
様
(
さま
)
だもの、
172
到底
(
たうてい
)
妾
(
わらは
)
の
如
(
ごと
)
き
耳嗅
(
みみかぎ
)
のお
転婆
(
てんば
)
女
(
をんな
)
では
側
(
そば
)
へも
寄
(
よ
)
れませぬわ。
173
どうか
爪
(
つめ
)
の
垢
(
あか
)
でも
頂
(
いただ
)
いて
煎
(
せん
)
じて
飲
(
の
)
みたいもので
厶
(
ござ
)
いますわ』
174
右
(
う
)
(右守サクレンス)
『こりや
怪
(
け
)
しからぬ、
175
さう
疑
(
うたが
)
つて
貰
(
もら
)
つちや、
176
右守
(
うもり
)
も
一切
(
いつさい
)
事情
(
じじやう
)
を
逐一
(
ちくいち
)
弁明
(
べんめい
)
せなくちやなりますまい。
177
マアゆつくりと
気
(
き
)
を
落付
(
おちつ
)
けて、
178
忠臣
(
ちうしん
)
義士
(
ぎし
)
たる
拙者
(
せつしや
)
の
言葉
(
ことば
)
をお
聞
(
き
)
き
下
(
くだ
)
さい』
179
シ
(シノブ)
『
貴方
(
あなた
)
はもうお
忘
(
わす
)
れになりましたか。
180
先日
(
せんじつ
)
妾
(
わらは
)
がお
直使
(
ちよくし
)
に
化
(
ば
)
けて
参
(
まゐ
)
りました
時
(
とき
)
、
181
太子
(
たいし
)
様
(
さま
)
を○○せうとお
約束
(
やくそく
)
なさつたぢや
厶
(
ござ
)
りませぬか。
182
そしてアリナさまを
王位
(
わうゐ
)
に
上
(
のぼ
)
らせ、
183
妾
(
わらは
)
を
王妃
(
わうひ
)
にしてやらうと、
184
うまく
誤魔化
(
ごまくわ
)
しましたね。
185
貴方
(
あなた
)
の
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
はエールさまを
王位
(
わうゐ
)
に
上
(
のぼ
)
らせ、
186
王女
(
わうぢよ
)
のバンナさまを
王妃
(
わうひ
)
とし、
187
勝手
(
かつて
)
気儘
(
きまま
)
に
国政
(
こくせい
)
を
料理
(
れうり
)
せうと
云
(
い
)
ふ、
188
大
(
たい
)
した
陰謀
(
いんぼう
)
を
劃策
(
くわくさく
)
してゐらしたのでせう。
189
何
(
なに
)
もかも
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
、
190
只今
(
ただいま
)
、
1901
玄関先
(
げんくわんさき
)
にて
承
(
うけたま
)
はりました。
191
然
(
しか
)
し
妾
(
わたし
)
が、
192
かう
云
(
い
)
つたと
申
(
まを
)
して
驚
(
おどろ
)
きには
及
(
およ
)
びませぬ。
193
物
(
もの
)
も
相談
(
さうだん
)
ですが
194
どうです。
195
一層
(
いつさう
)
の
事
(
こと
)
妾
(
わらは
)
を
女帝
(
によてい
)
にして
下
(
くだ
)
さつては。
196
若
(
も
)
しゴテゴテ
仰有
(
おつしや
)
るなら
何
(
なに
)
もかも
上
(
かみ
)
は
大王
(
だいわう
)
様
(
さま
)
へ、
197
下
(
しも
)
は
国民
(
こくみん
)
一般
(
いつぱん
)
へ、
198
貴方
(
あなた
)
の
陰謀
(
いんぼう
)
の
次第
(
しだい
)
を
吹聴
(
ふいちやう
)
致
(
いた
)
しますが、
199
それでも
貴方
(
あなた
)
にとつてお
差支
(
さしつかへ
)
は
厶
(
ござ
)
いますまいか。
200
若
(
も
)
しそんな
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ないと
仰有
(
おつしや
)
るなら、
201
サア
此
(
この
)
場
(
ば
)
でキツパリと
言明
(
げんめい
)
して
下
(
くだ
)
さい。
202
一寸
(
いつすん
)
の
虫
(
むし
)
も
五分
(
ごぶ
)
の
魂
(
たましひ
)
とやら、
203
妾
(
わらは
)
にも
考
(
かんが
)
へが
厶
(
ござ
)
いますからな』
204
夫婦
(
ふうふ
)
はシノブの
言葉
(
ことば
)
に
一
(
ひと
)
つ
一
(
ひと
)
つ
錐
(
きり
)
で
胸先
(
むなさき
)
を、
205
揉
(
も
)
まるる
如
(
ごと
)
き
苦
(
くるし
)
みを
感
(
かん
)
じ
乍
(
なが
)
ら、
206
右
(
う
)
(右守サクレンス)
『イヤ、
207
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りました。
208
明日
(
あす
)
とも
言
(
い
)
はず
今日
(
けふ
)
只今
(
ただいま
)
より
貴女
(
あなた
)
を
主君
(
しゆくん
)
と
崇
(
あが
)
め
奉
(
まつ
)
り
209
女帝
(
によてい
)
様
(
さま
)
と
申
(
まをし
)
上
(
あ
)
げますから、
210
何卒
(
なにとぞ
)
さう
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
てず
落付
(
おちつ
)
いて
下
(
くだ
)
さいませ』
211
サクラ
(サクラン)
『
夫
(
をつと
)
の
申
(
まをし
)
上
(
あ
)
げました
通
(
とほ
)
り
妾
(
わたくし
)
も
女帝
(
によてい
)
殿下
(
でんか
)
と
尊敬
(
そんけい
)
し、
212
今日
(
けふ
)
只
(
ただ
)
今
(
いま
)
より
臣下
(
しんか
)
の
礼
(
れい
)
を
以
(
もつ
)
て
仕
(
つか
)
へませう』
213
シノブ『ホヽヽヽヽうまい
事
(
こと
)
仰有
(
おつしや
)
いますな。
214
そんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
妾
(
わらは
)
を
安心
(
あんしん
)
させ、
215
暗打
(
やみうち
)
でも
遊
(
あそ
)
ばす
御
(
ご
)
計画
(
けいくわく
)
でせう。
216
今日
(
こんにち
)
迄
(
まで
)
の
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
のやり
方
(
かた
)
から
推定
(
すいてい
)
しても、
217
その
位
(
くらゐ
)
の
事
(
こと
)
は、
218
貴方
(
あなた
)
にとつては
宵
(
よひ
)
の
口
(
くち
)
ですからね』
219
かかる
処
(
ところ
)
へカーク、
220
サーマンの
二人
(
ふたり
)
は
慌
(
あわただ
)
しく
帰
(
かへ
)
り
来
(
き
)
て、
221
カーク、サーマン
『
右守
(
うもり
)
様
(
さま
)
に
申
(
まをし
)
上
(
あ
)
げます。
222
タヽヽ
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
が
突発
(
とつぱつ
)
致
(
いた
)
しました』
223
右守
(
うもり
)
は
此
(
この
)
言葉
(
ことば
)
に
二度
(
にど
)
ビツクリし
乍
(
なが
)
ら、
224
俄
(
にはか
)
に
酒
(
さけ
)
の
酔
(
よひ
)
も
醒
(
さ
)
め、
225
片膝
(
かたひざ
)
を
立直
(
たてなほ
)
して、
226
右守サクレンス
『
何
(
なに
)
、
227
大変
(
たいへん
)
が
起
(
おこ
)
つたとは、
228
何処
(
どこ
)
にだ。
229
サア
早
(
はや
)
く
言
(
い
)
はないか』
230
カ
(カーク)
『ハイ
申
(
まをし
)
上
(
あ
)
げるつもりで
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
がスタスタと
慌
(
あわ
)
てて
帰
(
かへ
)
つて
参
(
まゐ
)
つたのです。
231
申
(
まをし
)
上
(
あ
)
げなくて
何
(
なん
)
と
致
(
いた
)
しませう。
232
太子
(
たいし
)
殿下
(
でんか
)
を
初
(
はじ
)
めスバール
姫
(
ひめ
)
は、
233
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
助
(
たす
)
けられ、
234
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
つて
堂々
(
だうだう
)
と
城内
(
じやうない
)
にお
帰
(
かへ
)
り
遊
(
あそ
)
ばす
事
(
こと
)
になりました。
235
そしてエールの
君様
(
きみさま
)
は
岩山
(
いはやま
)
の
神
(
かみ
)
の
森
(
もり
)
に
於
(
おい
)
て、
236
大女
(
おほをんな
)
のバランスに、
237
首筋
(
くびすぢ
)
をつまんでインデス
川
(
がは
)
へ
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
まれ、
238
川中
(
かはなか
)
の
岩石
(
がんせき
)
に
頭
(
あたま
)
を
打
(
うち
)
割
(
わ
)
られ、
239
川水
(
かはみづ
)
を
紅
(
あけ
)
に
染
(
そ
)
めて、
240
ブカンブカンと
流
(
なが
)
れて
了
(
しま
)
はれました。
241
グヅグヅしとる
時
(
とき
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いますまい。
242
右守
(
うもり
)
様
(
さま
)
、
243
貴方
(
あなた
)
のお
首
(
くび
)
が
危
(
あやふ
)
う
厶
(
ござ
)
いますよ』
244
サクレ
(右守サクレンス)
『
嘘
(
うそ
)
ぢやないか、
245
そんな
事
(
こと
)
のあらう
筈
(
はず
)
がない』
246
サ
(サーマン)
『
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して、
247
誰
(
たれ
)
が
嘘
(
うそ
)
なんか
申
(
まを
)
しませうぞ。
248
正真
(
しやうしん
)
正銘
(
しやうめい
)
、
249
ありのままの
事実
(
じじつ
)
の
注進
(
ちうしん
)
で
厶
(
ござ
)
います』
250
サクラ
(サクラン)
『それだから、
251
いつも
貴方
(
あなた
)
に
気
(
き
)
をつけなさいませと
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
を
申
(
まを
)
したではありませぬか。
252
一体
(
いつたい
)
貴方
(
あなた
)
の
頭脳
(
づなう
)
は、
253
余
(
あま
)
り
粗末
(
そまつ
)
過
(
す
)
ぎますから、
254
こんな
失敗
(
しつぱい
)
が
出来
(
でき
)
るのですよ、
255
エー
口惜
(
くやし
)
い、
256
どうしたら
宜
(
よろ
)
しいのかな』
257
シ
(シノブ)
『イツヒヽヽヽヽ
右守
(
うもり
)
さま、
258
もう
斯
(
か
)
うなりや
妾
(
わらは
)
の
女帝
(
によてい
)
も、
259
貴方
(
あなた
)
の
大名
(
だいみやう
)
総監
(
そうかん
)
もサツパリ
駄目
(
だめ
)
です。
260
男
(
をとこ
)
らしく
覚悟
(
かくご
)
なさいませ。
261
否
(
いな
)
自決
(
じけつ
)
遊
(
あそ
)
ばせ。
262
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
王女
(
わうぢよ
)
のバンナ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
も
妾
(
わたし
)
が、
263
うまくちよろまかして、
264
城内
(
じやうない
)
からおびき
出
(
だ
)
し、
265
インデス
川
(
がは
)
の
辺
(
ほとり
)
で
首
(
くび
)
を
締
(
し
)
め、
266
川中
(
かはなか
)
へ
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んでおきましたから、
267
エールさまと
一緒
(
いつしよ
)
に
同
(
おな
)
じインデス
川
(
かは
)
で
水盃
(
みづさかづき
)
でもしてゐらつしやるでせうよ。
268
もう
斯
(
か
)
うなつた
以上
(
いじやう
)
は
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
乍
(
なが
)
ら、
269
貴方
(
あなた
)
のお
家
(
いへ
)
は
断絶
(
だんぜつ
)
、
270
罪
(
つみ
)
が
軽
(
かる
)
うて
切腹
(
せつぷく
)
、
271
まさか
違
(
ちが
)
へば
逆磔刑
(
さかはりつけ
)
ですよ。
272
妾
(
わらは
)
だつて、
273
最早
(
もはや
)
安閑
(
あんかん
)
としては
居
(
を
)
られませぬ。
274
サア
右守
(
うもり
)
さま、
275
介錯
(
かいしやく
)
をして
上
(
あ
)
げますから
腹
(
はら
)
をお
切
(
き
)
りなさいませ。
276
そして
奥様
(
おくさま
)
は
首
(
くび
)
でも
吊
(
つ
)
るか、
277
溜池
(
ためいけ
)
にでも
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げて、
278
早
(
はや
)
くその
製糞器
(
せいふんき
)
を
片付
(
かたづ
)
けなさいませ。
279
グヅグヅしてゐると
死後
(
しご
)
迄
(
まで
)
も
恥
(
はぢ
)
をさらされますよ。
280
私
(
わたくし
)
も
冥土
(
めいど
)
のお
伴
(
とも
)
を
致
(
いた
)
します。
281
已
(
すで
)
に
既
(
すで
)
に
懐剣
(
くわいけん
)
は
用意
(
ようい
)
して
参
(
まゐ
)
りました。
282
この
鋭利
(
えいり
)
な
短刀
(
たんたう
)
で
喉笛
(
のどぶえ
)
を
切
(
き
)
るが
最後
(
さいご
)
、
283
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
な
天国
(
てんごく
)
へ
国替
(
くにがへ
)
と
云
(
い
)
ふ
段取
(
だんどり
)
ですわ』
284
かく
互
(
たがひ
)
に
身
(
み
)
の
終
(
をは
)
りの
相談
(
さうだん
)
をやつてゐる
所
(
ところ
)
へ
門前
(
もんぜん
)
俄
(
にはか
)
に
騒
(
さわ
)
がしく、
285
目付頭
(
めつけがしら
)
は
数百
(
すうひやく
)
の
部下
(
ぶか
)
を
従
(
したが
)
へ、
286
右守
(
うもり
)
の
館
(
やかた
)
を
十重
(
とへ
)
二十重
(
はたへ
)
に
取巻
(
とりま
)
き、
2861
頭役
(
かしらやく
)
自
(
みづか
)
ら
数名
(
すうめい
)
の
目付
(
めつけ
)
と
共
(
とも
)
に
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
287
目付頭
『サクレンス、
288
サクラン、
289
シノブ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
とも
御用
(
ごよう
)
だ。
290
神妙
(
しんめう
)
に
手
(
て
)
を
廻
(
まは
)
せ』
291
と
呶鳴
(
どな
)
り
乍
(
なが
)
ら
292
懐
(
ふところ
)
より
捕縄
(
とりなは
)
を
出
(
だ
)
し
無雑作
(
むざふさ
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
厳
(
きび
)
しく
固
(
かた
)
く
縛
(
しば
)
り
上
(
あ
)
げてしまつた。
293
(
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新一・三〇
於月光閣
北村隆光
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