霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 衡平(かうへい)運動(うんどう)〔一七三三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第68巻 山河草木 未の巻 篇:第3篇 民声魔声 よみ(新仮名遣い):みんせいませい
章:第9章 衡平運動 よみ(新仮名遣い):こうへいうんどう 通し章番号:1733
口述日:1925(大正14)年01月29日(旧01月6日) 口述場所:月光閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
上に王はあっても、時代を解し、王を助けて政治を行うべき臣なく、結果として虚偽、罪悪、権謀術数を事とし、重税を課して民の血を絞っていた。
一方ブルジョワ階級は贅を尽くし、文明、教育、病院等の公共の施設は上流階級のみに供され、貧民はそれらの益に預かることなく、飢えと寒さに凍え、生存難の声は日に日に大きくなり、自殺するものは後を絶たない惨状となっていた。
各地に大名、小名撲滅の声があがり、決起大会、争闘が絶え間なく起こり、タラハン国は修羅の巷となっているのが現状であった。
このような世情を背景に、不逞団、過激団その他の団体が都大路に集まり、タラハン国創立記念日の五月五日を期して一斉に放火し、蜂起したのが先の騒ぎであった。
騒ぎが収まった後、有志各団体が罹災民救護のため走り回っていたが、到底すべてを満たすに至らず、流言飛語が盛んに起こり、人心恟々としていた。
そこへ、大兵肥満の女が一人現れ、札ビラを路上に撒き散らし、声高々と歌いながら街中を駆け巡っていた。その歌に曰く、
今は、優勝劣敗の世の中と成り果てている。
この世は神様が万民平等、天国浄土の神政を敷こうとの思し召しにも関わらず、富裕・長者連は国民を苦しめている。
その報いは忽ちにして現れた。今こそ正しき神が神軍を引率し、悪を滅ぼす時が来た。
民衆よ、勇んで悪人を踏みにじり、血潮を持って世を洗え。
自分は、富裕連に出入りする茶湯の宗匠の後妻と化け入り、富裕連の事情を調べていたが、もはや時節が満ちたのを知った。そこで部下に命令してこの大火を起こさせたのだ。
自分こそは民衆団の頭目、バランスである。世界の改造を命の綱と神事、今こそ振るい立ち上がれ。
数百の目付隊は、有無を言わせずバランスを縛り付け、取締所へ連行した。バランスの部下は頭を取り戻そうと目付隊と闘争を始めたが、二千人の侍が押し寄せ、民衆団は退却せざるをえなくなった。
バランスは目付け頭の前に引き出され、尋問を受ける。
バランスは、あまり平等を欠いた世の中なので、平衡をもたらそうと、バランス(balance=均衡、平衡)と命名したと答える。自分の部下は国内に数十万おり、万が一自分を処刑したならば、彼らが一斉に蜂起するだろう、と嘯く。また、太子とスバール姫の情事をすっぱ抜き、王家を非難する。
バランスが明かす王家のスキャンダルに、目付け頭も目付けも色を失い、互いに顔を見合すのみであった。外からは、またしても民衆と目付隊の戦う声が聞こえてくる。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-06-26 13:18:17 OBC :rm6809
愛善世界社版:125頁 八幡書店版:第12輯 197頁 修補版: 校定版:125頁 普及版:69頁 初版: ページ備考:
001 (かみ)大名(だいみやう)あれ(ども)002時代(じだい)(かい)国家(こくか)永遠(えいゑん)神策(しんさく)(わきま)へたる輔弼(ほひつ)棟梁(とうりやう)たるべき小名(せうみやう)なく、003所在(あらゆる)虚偽(きよぎ)罪悪(ざいあく)権謀(けんぼう)術数(じゆつすう)(もつ)施政(しせい)大本(たいほん)となし、004重税(ぢうぜい)(くわ)して膏血(こうけつ)(しぼ)り、005(うへ)()てるブルジョア階級(かいきふ)なる(もの)は、006肥馬(ひば)軽裘(けいきう)007()らむ(かぎ)りの(ぜい)(つく)し、008行人(かうじん)迷惑(めいわく)(かへり)みずブウブウと自動車(じどうしや)()ばして、009臭気(しうき)紛々(ふんぷん)たる()土埃(つちぼこり)()びせて平気(へいき)()く。010貧民(ひんみん)()自動車(じどうしや)()(ころ)されても、011(これ)(うつた)()づる(すべ)()く、012強者(きやうしや)白昼(はくちう)強盗(がうとう)(ひと)しき(おこな)ひを()して、013公々然(こうこうぜん)縦横(じうわう)濶歩(くわつぽ)し、014弱者(じやくしや)往来(わうらい)車馬(しやば)()(にじ)られ悲鳴(ひめい)()げ、015九死(きうし)(さかひ)呻吟(しんぎん)す。016文明(ぶんめい)利器(りき)交通(かうつう)機関(きくわん)()なりに進歩(しんぽ)完備(くわんび)すれども、017貧者(ひんじや)(これ)利用(りよう)する(こと)()ず。018教育(けういく)機関(きくわん)立派(りつぱ)(まう)けられたりと(いへど)も、019貧者(ひんじや)(これ)入学(にふがく)するを()ず。020寄席(よせ)劇場(げきぢやう)などは(まち)四方(しはう)建設(けんせつ)され地上(ちじやう)楽園(らくゑん)現出(げんしゆつ)すれども、021貧者(ひんじや)(また)(これ)一回(いつくわい)慰安(ゐあん)(もと)むる(こと)()ず。022病院(びやうゐん)各所(かくしよ)(いらか)(つら)ねて樹立(じゆりつ)すれども、023貧者(ひんじや)(これ)()つて治療(ちりやう)()くる(こと)()ず。024美味(びみ)佳肴(かかう)料理屋(れうりや)店頭(てんとう)(なら)べられたりと(いへど)も、025貧者(ひんじや)(また)(この)恩恵(おんけい)(よく)するを()ず。026錦繍(きんしう)綾羅(りようら)店頭(てんとう)陳列(ちんれつ)せる(だい)呉服店(ごふくてん)市中(しちう)目抜(めぬき)場処(ばしよ)櫛比(しつぴ)すれども貧者(ひんじや)一片(いつぺん)(ぬの)購求(こうきう)する(こと)()ず。027日夜(にちや)(うゑ)()(さむ)さに(こご)え、028空虚腹(すきはら)(かか)えて半病人(はんびやうにん)(ごと)(みち)(かたはら)悄々(しほしほ)(あえ)()くのみ。029富者(ふうしや)大小名(だいせうみやう)結托(けつたく)して暴利(ばうり)(むさぼ)り、030物価(ぶつか)()()うて暴騰(ばうとう)し、031生存難(せいぞんなん)(こゑ)()()うて(かまび)すしく、032淵川(ふちかは)()()ぐるもの、033鉄砲腹(てつぱうばら)()すもの、034ブランコ往生(わうじやう)(えん)ずるもの、035線路(せんろ)(まくら)(いのち)()つるもの、036()()(かず)(かぎ)りも()く、037暗黒(あんこく)(まく)下層(かそう)社会(しやくわい)()()濃厚(のうこう)(くだ)されて()た。038民衆(みんしう)憤怒(ふんど)怨嗟(ゑんさ)(こゑ)039号泣(がうきふ)(さけ)び、040(あたか)阿鼻(あび)叫喚(けうかん)041地獄(ぢごく)状態(じやうたい)()つて()た。042大小名(だいせうみやう)撲滅(ぼくめつ)(こゑ)国内(こくない)各処(かくしよ)(おこ)り、043市民(しみん)大会(たいくわい)044民衆(みんしう)大会(たいくわい)(その)()所有(あらゆる)民衆(みんしう)会合(くわいがふ)は、045各処(かくしよ)(ひら)かれ、046目付役(めつけやく)民衆(みんしう)争闘(さうとう)0461絶間(たへま)なく血腥(ちなまぐさ)(かぜ)四方(しはう)()(すさ)び、047流石(さすが)安逸(あんいつ)なりしタラハン(ごく)も、048(いま)(やうや)修羅(しゆら)(ちまた)()つて(しま)つた。049不逞団(ふていだん)歌劇団(かげきだん)(その)()各種(かくしゆ)団体(だんたい)()せずして都大路(みやこおほぢ)(あつま)り、050タラハン(ごく)創立(さうりつ)記念日(きねんび)なる五月(ごぐわつ)五日(いつか)()して、051城下(じやうか)場所(ばしよ)一斉(いつせい)放火(はうくわ)(はじ)め、052(その)(きよ)(じやう)じて()()ゑたる民衆(みんしう)所有(あらゆる)悪業(あくげふ)(ほしいまま)にし、053(いち)()(ほと)んど無取締(むとりしまり)状態(じやうたい)になりしが、054(やうや)くにして(さむらひ)(れん)(ちから)()つて稀有(けう)騒乱(さうらん)鎮圧(ちんあつ)する(こと)()たので()る。055(この)騒擾(さうぜう)勃発(ぼつぱつ)(ため)に、056富有(ふいう)(れん)傍杖(そばづゑ)()つて(わづ)かの財産(ざいさん)焼失(せうしつ)したるもの、057(おや)(うしな)ひ、058(つま)(うしな)ひ、059(をつと)(わか)れ、060(あるひ)一家(いつか)全滅(ぜんめつ)したる(もの)数限(かずかぎ)りもなく、0601都大路(みやこおほぢ)流血(りうけつ)(ちまた)(くわ)し、061死屍(しし)累々(るゐるゐ)として()()てられぬ惨状(さんじやう)()つた。062()(はは)()にあつて(うゑ)()き、063老人(らうじん)(こし)()かして路傍(ろばう)(たふ)れ、064(あるひ)半死(はんし)半生(はんしやう)065重傷(ぢうしやう)()うて(くるし)(もの)幾千(いくせん)(にん)とも(かぞ)()れぬ(ほど)であつた。066有志(いうし)各団体(かくだんたい)罹災民(りさいみん)救護(きうご)(ため)067東西(とうざい)南北(なんぼく)(かけ)まはり、068(こめ)(むぎ)野菜(やさい)などをあさつて、069(いち)()(きふ)(すく)はむとすれ(ども)070到底(たうてい)(その)一部(いちぶ)要求(えうきう)(みた)すにも()らなかつた。071流言(りうげん)蜚語(ひご)(さか)ンに(おこ)り、072人心(じんしん)恟々(きようきよう)として(やす)からず、073(いま)にタラハン(ごく)滅亡(めつぼう)悲運(ひうん)(むか)ふべしなどと人々(ひとびと)(くち)()つて喧伝(けんでん)された。074()かる(ところ)肉体美(にくたいび)()ぎた大兵(だいひやう)肥満(ひまん)(をんな)一人(ひとり)(あら)はれ(きた)り、075(さつ)ビラを路上(ろじやう)()()らし(なが)(こゑ)高々(たかだか)何事(なにごと)(うた)(なが)ら、076碁盤(ごばん)()(まち)彼方(かなた)此方(こなた)()けめぐつてゐる。
077(をんな)(かみ)(おもて)(あら)はれて
078(ひと)(おに)とを立別(たてわ)ける
079(てん)には黒雲(くろくも)(ふさ)がりて
080月日(つきひ)(かげ)()()らず
081(あめ)(した)なる人草(ひとぐさ)
082優勝(いうしよう)劣敗(れつぱい)()をかさね
083(つよ)きは(たか)(のぼ)りつめ
084栄耀(えいえう)栄華(えいぐわ)(あり)(たけ)
085(つく)して(しも)難儀(なんぎ)をば
086(そら)()(かぜ)()(なが)
087(まづ)しき(たみ)(しひた)げて
088生血(いきち)(しぼ)(あぶら)をば
089(ちから)(かぎ)りに(すひ)()れば
090()(おとろ)へて餓鬼(がき)(ごと)
091(ほね)(かは)とに()()てぬ
092(かみ)(この)()()(うへ)
093何時(いつ)(まで)(ゆる)(たま)はむや
094(この)()(なか)(かみ)(さま)
095(よろづ)(たみ)平等(べうどう)
096(たのし)(うれ)しく(くら)させて
097天国(てんごく)浄土(じやうど)神政(しんせい)
098()かむが(ため)思召(おぼしめし)
099(しか)るに(なん)(はか)らむや
100(かみ)左守(さもり)(はじ)めとし
101富有(ふいう)(れん)長者(ちやうじや)()
102勝手(かつて)気儘(きまま)()()ひて
103(しも)国民(くにたみ)(くる)しめし
104(むく)いは(たちま)()(あた)
105(おも)()つたか左守司(さもりかみ)
106(その)(ほか)(もも)(つかさ)(たち)
107(いま)(こころ)(なほ)さねば
108()てや()らせと民衆(みんしう)
109(とき)(つく)つて(せめ)()せる
110(その)凶兆(きようてう)はありありと
111(いま)より(うかが)()られたり
112あゝ民衆(みんしう)民衆(みんしう)
113(かなら)(うれ)ふる(こと)なかれ
114至仁(しじん)至愛(しあい)(かみ)さまは
115(かなら)(なれ)窮状(きうじやう)
116何時(いつ)まで見捨(みす)(たま)はむや
117(かなら)一陽(いちやう)来復(らいふく)
118(はる)(むか)へて永久(とこしへ)
119(やす)(たのし)(かみ)(くに)
120(この)()(なか)()(たま)
121(いま)(まで)(しも)(くる)しみし
122(きよ)(ただ)しき(なんぢ)()
123(たか)きに(すく)(たま)ふべし
124(てん)(くだ)つて(つち)()
125(つち)(のぼ)つて(てん)()
126有為(うゐ)天変(てんぺん)()(なか)
127何時(いつ)まで大名(だいみやう)小名(せうみやう)
128自由(じいう)振舞(ふるまひ)(ゆる)さむや
129あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
130(かみ)(なんぢ)(とも)にあり
131(われ)()(かみ)()(かみ)(みや)
132愈々(いよいよ)時節(じせつ)(まゐ)りなば
133(いま)(まで)(この)()()()たる
134(もも)(ただ)しき(かみ)さまは
135数多(あまた)神軍(しんぐん)引率(いんそつ)
136(あく)(ほろぼ)しよこしまを
137(たひ)らげ(つく)(たま)ふべし
138(いさ)めよ(いさ)民衆(みんしう)
139(とき)(きた)れり(とき)(いま)
140神政(しんせい)復古(ふくこ)(あかつき)
141不意(ふい)(おこ)つた大火災(だいくわさい)
142(これ)(まつた)人間(にんげん)
143(ちから)(およ)(すべ)でない
144(いづ)れも(たふと)(かみ)(さま)
145(あく)(たい)する警戒(けいかい)
146如何(いか)大名(だいみやう)小名(せうみやう)
147富有(ふいう)(れん)覇張(はば)るとも
148(かれ)()覇張(はば)()(なか)
149最早(もはや)末期(まつご)()りにけり
150(いさ)めよ(いさ)(みな)(いさ)
151民衆(みんしう)(くる)しむ悪人(あくにん)
152(かた)(ぱし)から()(にじ)
153()めず(おく)せず堂々(だうだう)
154()洗礼(せんれい)(ほどこ)せよ
155血汐(ちしほ)(もつ)()(あら)
156向日(むかひ)(もり)茶坊主(ちやばうず)
157(やかた)後妻(ごさい)()けすまし
158(さん)(ねん)以来(このかた)()(ひそ)
159富有(ふいう)(れん)出入(でいり)する
160(かれ)()()富有(ふいう)(れん)
161事情(じじやう)(しら)()たりしが
162最早(もはや)時節(じせつ)()ちぬれば
163数多(あまた)部下(ぶか)命令(めいれい)
164()洗礼(せんれい)()せたのは
165大兵(だいひやう)肥満(ひまん)(この)(をんな)
166富有(ふいう)連中(れんちう)(なに)(こは)
167大名(だいみやう)小名(せうみやう)糞喰(くそくら)
168取締役(とりしまりやく)目付役(めつけやく)
169(こは)くて(この)()()られうか
170(いさ)めよ(いさ)民衆(みんしう)
171(をんな)(なが)らも(わが)部下(ぶか)
172タラハン(ごく)(やま)()
173幾十万(いくじふまん)生身魂(いくみたま)
174(かひな)()して()つて()
175愈々(いよいよ)命令(めいれい)一下(いつか)すりや
176四方(しはう)八方(はつぱう)隅々(すみずみ)
177ドンドン狼火(のろし)(あが)るだろ
178(いま)好機(かうき)(いつ)せずに
179(なんぢ)()世界(せかい)改造(かいざう)
180(いのち)(つな)(しん)じつつ
181(ふる)へよ()てよ立上(たちあが)
182民衆団(みんしうだん)頭目(とうもく)
183()(きこ)えたるバランスは
184(すなは)(わが)()(こと)なるぞ
185あゝ(いさ)ましや(いさ)ましや
186(この)惨状(さんじやう)()るに()
187(しも)人民(じんみん)傍杖(そばづゑ)
188(じつ)(なみだ)(たね)なれど
189大小名(だいせうみやう)狼狽(らうばい)
190(その)状態(ありさま)(なが)めては
191(すこ)しは(むし)(をさ)まらむ
192更生院(かうせいゐん)(なに)()
193(これ)()()富有(ふいう)()
194(なんぢ)()民衆(みんしう)一般(いつぱん)
195生血(いきち)(しぼ)手品(てじな)ぞや
196(かなら)(まよ)ふな(まよ)はされな
197(おも)へば(おも)へば村肝(むらきも)
198(こころ)(かみ)(をど)()
199あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
200御霊(みたま)(さちは)へましませよ
201奸侫(かんねい)邪智(じやち)(ともがら)
202目玉(めだま)飛出(とびだ)しましませよ』
203 十字(じふじ)街道(がいだう)()(かま)へて()数百(すうひやく)目付隊(めつけたい)204有無(うむ)()はせずバラバラと()()つて()()(あし)()り、205取縄(とりなは)(もつ)雁字搦(がんじがら)みに(しば)()け、206バランスを荷車(にぐるま)()せて横大路(よこおほぢ)取締所(とりしまりしよ)へと(はこ)()むで(しま)つた。207民衆(みんしう)()けて()(かれ)子分(こぶん)はバランスを取返(とりかへ)さむと(うしほ)(ごと)押寄(おしよ)せ、208目付(めつけ)団員(だんいん)との闘争(とうさう)演出(えんしゆつ)された。209目付隊(めつけたい)(すで)(あやふ)()えた(とき)210喇叭(らつぱ)(こゑ)(いさ)ましく二千(にせん)(にん)(さむらひ)押寄(おしよ)(きた)211(じう)()して威喝(ゐかつ)(こころ)みたり。212(もと)より完全(くわんぜん)武器(ぶき)()つて()ない民衆(みんしう)()がみを()(なが)213()()大棟梁(だいとうりやう)(うば)はれしまま、214退却(たいきやく)するの()むを()ざるに立至(たちいた)りける。
215 バランスは目付頭(めつけがしら)(まへ)引出(ひきだ)され、216厳重(げんぢう)なる訊問(じんもん)()けた。217バランスは(すこ)しも(ひる)(いろ)()滔々(たうたう)として目付頭(めつけがしら)()つて()かつた。
218目付頭(めつけがしら)(その)(はう)姓名(せいめい)(なん)といふか』
219バランス『(おれ)()はバランスと()(もの)だ。220民衆(みんしう)救護団(きうごだん)大頭目(だいとうもく)だ。221有名(いうめい)なバランスの(つら)(いま)(まで)()らぬようなウツソリした(こと)で、222()うして大目付頭(おほめつけがしら)(つと)まると(おも)ふか、223(あま)平等(べうどう)()いだ強食(きやうしやく)弱肉(じやくにく)現代(げんだい)だから、224バランスを()(ため)にバランスと命名(めいめい)したのだ』
225目付頭(めつけがしら)()(はう)民衆(みんしう)(おだ)()げ、226不逞(ふてい)()鳩集(きうしふ)し、227市街(しがい)()(はな)ち、228(あまつ)さへ所在(あらゆる)悪業(あくげふ)(あへ)てし、229(なほ)()()らず民衆(みんしう)煽動(せんどう)するとは(なん)(こと)だ。230(なんぢ)(ごと)(ごく)重悪人(ぢうあくにん)裁判(さいばん)必要(ひつえう)()い、231国家(こくか)(ため)不愍(ふびん)ながら銃殺(じうさつ)(けい)(しよ)するに()つて、232(この)()名残(なごり)念仏(ねんぶつ)でも(とな)へて()くが()からうぞ』
233 バランスは(をんな)似合(にあ)はぬ大胆(だいたん)不敵(ふてき)英雄(えいゆう)()る。234身動(みうご)きも()らぬ(ところ)(まで)(しば)られ(なが)ら、235(すこ)しも(おそ)るる(いろ)なく大口(おほぐち)()けて高笑(たかわら)ひ、
236バランス『アハヽヽヽ、237(むか)ふの()えぬ(めくら)ども、238銃殺(じうさつ)なつと絞殺(かうさつ)なつと、239出来(でき)るなら()つて()よ。240(この)バランスの(いのち)はタラハン(ごく)全体(ぜんたい)とつり(かへ)(いのち)だ。241数十万(すうじふまん)(わが)部下(ぶか)国内(こくない)各所(かくしよ)242バランスが(ころ)されたと()くならば、2421(いち)()蜂起(ほうき)するだらう。243(なんぢ)()(ごと)悪目付(あくめつけ)(ども)()後前(あとさき)成行(なりゆき)(かんが)へて()(くだ)したが()からうぞ。244第一(だいいち)国民(こくみん)模範(もはん)たるべきものの行状(ぎやうじやう)(なん)だ。245向日(むかひ)(もり)(ほとり)()茶坊主(ちやばうず)タルチンの茅屋(ばうをく)(とし)(わか)(をんな)(しの)ばせ、246()()労働者(らうどうしや)(ふく)()けて(かよ)ひつめ、247(こひ)(やつこ)()つて脂下(やにさが)つて()るで()いか、248斯様(かやう)(こと)で、249如何(どう)して世話(せわ)完全(くわんぜん)出来(でき)るか、250(その)(はう)(ども)呑舟(どんしう)(うを)には(おそ)れて近寄(ちかよ)らず、251(ふな)やモロコの(ごと)きウロクヅを(あさ)つて目付力(めつけりよく)()うの、252政治(せいぢ)如何(どう)のと、253()()()つて(くに)滅亡(めつぼう)()らない馬鹿者(ばかもの)だ』
254目付頭(めつけがしら)『バランス、255(なん)()(おそ)(おほ)(こと)()ふのか、256人民(じんみん)分際(ぶんざい)として、257その行動(かうどう)云々(うんぬん)すると()不敵(ふてき)(こと)()るか』
258バランス『ハツハヽヽ、259それほどお邪魔(じやま)()りますかな。260(しか)らば(この)問題(もんだい)()推量(すゐりやう)(ねが)つて()きませう。261()茶坊主(ちやばうず)呼出(よびだ)してお(しら)べなさい。262(それ)(つい)ても(ゆる)(がた)きは左守(さもり)ガンヂーが(せがれ)アリナと()(やつ)263不届(ふとどき)至極(しごく)にも茶坊主(ちやばうず)取込(とりこ)み、264山出(やまだ)(をんな)との媒介(ばいかい)(いた)して()るのみならず、265自分(じぶん)殿中(でんちう)錦衣(きんい)()け、266(にせ)太将(たいしやう)()(かは)り、267左守(さもり)右守(うもり)()(くら)まして()るでは()いか。268大王(だいわう)殿下(でんか)()重病(ぢうびやう)にて上下(しやうか)憂鬱(いううつ)(しづ)折柄(をりから)269(せがれ)たるものは(をんな)(くる)ひ、270(また)左守(さもり)(せがれ)王位(わうゐ)(うば)はむとして()大胆(だいたん)不敵(ふてき)曲者(くせもの)271(その)()大名(だいみやう)(ども)(これ)()ても()して()るべしで()る。272(この)バランスはタラハン(ごく)民衆(みんしう)全部(ぜんぶ)代表者(だいへうしや)だ、273(けつ)して(うそ)()はないぞ、274早速(さつそく)調(しら)べて()るが()からう』
275 (この)言葉(ことば)目付頭(めつけがしら)()()目付(めつき)()(いろ)(うしな)ひ、276(ふと)(いき)()らして(たがひ)(かほ)見合(みあは)すのみで()つた。277(また)もや民衆(みんしう)目付役(めつけやく)(たたか)(こゑ)278(には)近辺(きんぺん)(やかま)しく(ひび)いて()た。
279大正一四・一・六 新一・二九 於月光閣 松村真澄録)
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