霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三章 三笠丸(みかさまる)〔三九六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻 篇:第1篇 長途の旅 よみ(新仮名遣い):ちょうとのたび
章:第3章 三笠丸 よみ(新仮名遣い):みかさまる 通し章番号:396
口述日:1922(大正11)年02月12日(旧01月16日) 口述場所: 筆録者:池沢原次郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
エデンの河を渡り、山を越え野を越え、一行はアフリカにやってきた。アフリカのヨルの港から、三笠丸という船に乗り、高砂洲へと向かった。
地中海を渡る間、姉妹は身の上を読み込んだ宣伝歌を歌っていた。その歌声は船内に響き、船客たちはそれを聞いて噂話に花を咲かせたり、そのはずみに喧嘩をしたりしている。
このとき、またもや船内から男の声で宣伝歌が聞こえてきた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:(池沢原次郎、池沢原治郎、池沢原二郎) データ凡例: データ最終更新日:2020-10-16 17:32:22 OBC :rm0903
愛善世界社版:21頁 八幡書店版:第2輯 283頁 修補版: 校定版:23頁 普及版:9頁 初版: ページ備考:
001主人(あるじ)(おも)真心(まごころ)
002(あか)(こころ)紅葉(もみぢば)
003(いろ)にも(まさ)照彦(てるひこ)
004(ちち)()()松代姫(まつよひめ)
005(こころ)竹野(たけの)ある(かぎ)
006(やま)()みてし(くる)しさや
007(たに)()()けて(うぐひす)
008()()(さび)しき梅ケ香姫(うめがかひめ)
009(うづ)(みこと)諸共(もろとも)
010エデンの(かは)打渡(うちわた)
011()九分(くぶ)九厘(くりん)足曳(あしびき)
012(やま)打越(うちこ)()(わた)
013(こころ)(いさ)四人(よにん)(づれ)
014(こころ)つくしのアフリカの
015ヨルの(みなと)()きにけり。
016 (いま)(ふね)()(かぜ)(はら)んで智利(てる)(くに)(むか)はむとしてゐる。017船人(ふなびと)(こゑ)(かぎ)りに出船(でぶね)(とき)(せま)れるを(さけ)んでゐる。018数十(すうじふ)乗客(じやうきやく)(さき)(あらそ)うて乗込(のりこ)んだ。019松代姫(まつよひめ)一行(いつかう)(やうや)くにして(ふね)()りたるか、020三笠丸(みかさまる)青葉(あをば)(したた)(きし)(はな)れて西(にし)西(にし)へと(なみ)(こと)(だん)じながら、021海面(かいめん)(しづ)かに(すべ)つて()く。
022 ()(やうや)(ななめ)に、023さしもに(ひろ)大海原(おほうなばら)金波(きんぱ)銀波(ぎんぱ)(にしき)(むしろ)024なみなみならぬ(なが)めなりけり。025船頭(せんどう)(こゑ)()()げ、
026船頭筑紫(つくし)(くに)をあとに()
027ウヅの(みやこ)へはせて()
028(みち)三千(さんぜん)三百(さんびやく)()
029(かよ)ふも(とほ)(なみ)(うへ)
030暢気(のんき)さうに(うた)ふ。031一行(いつかう)はあと振返(ふりかへ)(なが)()(くも)(なが)めて望郷(ばうきやう)(ねん)()らるる(をり)しも、032()(やうや)水平線(すゐへいせん)()姿(すがた)(ぼつ)し、033(よる)(とばり)はおろされて、034黒白(あやめ)もわかぬ(なみ)(うへ)035(すべ)()海面(かいめん)(わづか)(ふね)(かすか)(おと)(きこ)ゆるのみ。036この(とき)(ふね)一隅(いちぐう)より、
037朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
038(つき)()つとも()くるとも
039筑紫(つくし)(うみ)(ふか)くとも
040天津(あまつ)御空(みそら)(たか)くとも
041(かみ)(めぐ)みに()かざらめ
042(かみ)いきより()まれたる
043わが垂乳根(たらちね)(いま)いづこ
044(はは)黄泉(よみぢ)()でまして
045(なん)便(たよ)りもなみの(うへ)
046あとに(のこ)りし桃上彦(ももがみひこ)
047(ちち)(みこと)在処(ありか)をば
048(たづ)ねむための(たび)(そら)
049(かみ)(おもて)(あら)はれて
050(ぜん)(あく)とを()()ける
051この()(つく)りし神直日(かむなほひ)
052罪科(つみとが)(ふか)きわが(ちち)
053(けが)れをここに荒磯(あらいそ)
054(たふと)(ゆめ)三笠丸(みかさまる)
055ウヅの(みやこ)立出(たちい)でて
056うづまきわたる和田(わだ)(はら)
057親島(おやしま)子島(こしま)のここかしこ
058数多(あまた)(うか)べる()(なか)
059一人(ひとり)(おや)生別(いきわか)
060雲霧(くもきり)わけて(すす)()
061みづの身魂(みたま)ぞあはれなり
062あゝ皇神(すめかみ)皇神(すめかみ)
063(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
064見直(みなほ)しまして片時(かたとき)
065いと(すむや)けく父上(ちちうへ)
066()はせ(たま)へよわだつ(かみ)
067(かぜ)()(わた)海原(うなばら)
068(なみ)(しづ)かにをさまれど
069(おや)(した)へる雛鳥(ひなどり)
070(こころ)(なみ)(さわ)ぐなり
071(こころ)(なみ)(さわ)ぐなり
072ただ何事(なにごと)(ひと)()
073直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)
074()(くる)しみは()(なほ)
075(かみ)(をしへ)()きつれど
076(やま)より(たか)(うみ)よりも
077(ふか)(めぐ)みの(かみ)(すゑ)
078桃上彦(ももがみひこ)のわが(ちち)
079いつか相生(あひおひ)淡路島(あはぢしま)
080(かよ)千鳥(ちどり)(こゑ)(たか)
081(うた)(こころ)(たひら)けく
082いと(やす)らけく(きこ)しめせ』
083とやさしき(をんな)(こゑ)(きこ)(きた)る。084()(わた)(はる)()大空(おほぞら)は、085何処(どこ)ともなくドンヨリとして、086(ほし)(まば)らに、087あちらに(ひと)つ、088こちらに()つ、089(いつ)つ、090(とを)と、091(くも)(とばり)をあけて(のぞ)くのみなり。
092 船客(せんきやく)はそろそろ白河(しらかは)夜船(よぶね)()()(しん)()く。093折柄(をりから)東風(こち)ぴたりとやみて、094()えた()()せしぼみ(きは)めて静寂(せいじやく)なり。095船客(せんきやく)四五(しご)(にん)(ねむ)りもやらず雑談(ざつだん)(はじ)めて()る。
096(かふ)『オイ、097(いま)のやさしい(こゑ)はあら(なん)だ。098(つき)()るとも(くも)るとも、099ナンテ()つてるやうだが、100(この)(ごろ)(しん)(やみ)だ。101()るも(くも)るもあつたものか、102(わけ)のわからぬ(こと)()(やつ)だね』
103(おつ)貴様(きさま)104わからぬ(やつ)だな。105ありや宣伝歌(せんでんか)だよ。106今晩(こんばん)(こと)()つてるのではないよ。107ありや三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(うた)神歌(しんか)だ。108よく()いて()よ、109なかなか(あぢ)があるよ』
110(かふ)『それでも貴様(きさま)111(うみ)(うへ)だと()つたよ。112現在(げんざい)(いま)(こと)()つてゐよるのだ。113貴様(きさま)(をんな)宣伝使(せんでんし)だと(おも)つて弁護(べんご)をするのか。114本当(ほんたう)抜目(ぬけめ)のない(やつ)だ。115(ふね)()りながら(また)(かさ)ねて(ふね)()らうなんて、116ソンナ野心(やしん)(おこ)したつて九分(くぶ)九厘(くりん)()つたところで、117クレン(かへ)されるのだ。118この(あひだ)朝日丸(あさひまる)()つた(とき)に、119三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)が、120改心(かいしん)せぬと何時(いつ)(ふね)(かへ)るやら()れぬと()つてゐたよ』
121(へい)(ふね)(なか)かへるのかへらぬのと縁起(えんぎ)(わる)(こと)()ふない』
122(かふ)『ナンボ(ふね)だつて、123()()りにはなりはしない。124いづれ一篇(いつぺん)(かへ)つて()るのだ。125かへらいで(たま)らうかい。126今朝(けさ)出掛(でがけ)(おれ)(ところ)乙姫(おとひめ)が、127(よう)がすみたら(いち)()(はや)(かへ)つて頂戴(ちやうだい)128三笠丸(みかさまる)()つて智利(てる)(くに)()つて、129(めう)(ふね)()つてみかさでもかかぬやうにして、130(はや)(かへ)つて(くだ)さいねえ、131ナンテ()かしよつて、132こなさまの(かた)をトントンと(たた)きよつた。133そしてな、134(はや)(かへ)つて(わたし)(ふね)に、135とよ』
136(へい)莫迦(ばか)にするな。137(なん)だい乙姫(おとひめ)ナンテ、138どてかぼちやひちおたふくみたやうな(かか)大事(だいじ)さうに、139乙姫(おとひめ)()いて(あき)れるワ。140貴様(きさま)智利(てる)(くに)かさでも(かぶ)つて(もど)つて()てな、141(めう)(こと)をやつて貴様(きさま)(かか)(はな)おと(ひめ)にするのだろ、142其処(そこ)らが()ちだよ』
143(おつ)『オイオイ、144(さん)(にん)別嬪(べつぴん)()つてゐるぢやないか。145そんな仕様(しやう)もない(はなし)をすると愛想(あいそ)()かされるよ』
146(へい)愛想(あいそ)()かされたつて(かま)ふものか。147(おい)()自由(じいう)になるのではなし、148貴様(きさま)149矢張(やつぱ)色気(いろけ)があるね』
150(おつ)『あらいでかい、151この()(なか)色気(いろけ)自惚(うぬぼれ)(よく)のない(やつ)があるものか。152貴様(きさま)(よく)はない、153よくない(やつ)所謂(いはゆる)悪人(あくにん)だよ』
154(なに)()かしよる』
155(こゑ)目当(めあて)(あたま)をポカンとやつつける。
156『アイタタ、157こら喧嘩(けんくわ)をするのか。158地中海(ちちうかい)汐風(しほかぜ)(さら)したこの(うで)だぞ。159サア()い』
160暗闇(くらやみ)(まぎ)れに拳骨(げんこつ)(かた)めて、161見当(けんたう)(さだ)めてブン(なぐ)れば、
162『キヤーア』
163(をんな)(こゑ)
164『やあ、165これは失敬(しつけい)166(たぬき)(やつ)167替玉(かへだま)使(つか)ひよつたな。168(こゑ)()げぬか、169卑怯(ひけふ)ぢやないか』
170 くらがりから、
171(へい)(おれ)もこんなひけふに(おちい)つては(あたま)(あが)らぬワイ。172チウ(こゑ)()(こと)はない(こと)はない』
173(てい)『まるで(ねずみ)(やう)(やつ)だなア』
174(ささや)きゐる。175(たちま)(おき)のあなたより荒浪(あらなみ)(くる)(おと)(せま)(きた)り、176咫尺(しせき)(べん)ぜぬ(やみ)(なか)に、177(なみ)(たてがみ)()つて(ふなばた)()みつき(きた)りしが、178(この)(とき)(また)もや(をとこ)(こゑ)として、179(すず)しき宣伝歌(せんでんか)(ふね)一隅(いちぐう)より(きこ)(きた)りぬ。
180大正一一・二・一二 旧一・一六 池沢原次郎録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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