霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 大足彦(おほだるひこ)〔三九七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻 篇:第1篇 長途の旅 よみ(新仮名遣い):ちょうとのたび
章:第4章 大足彦 よみ(新仮名遣い):おおだるひこ 通し章番号:397
口述日:1922(大正11)年02月12日(旧01月16日) 口述場所: 筆録者:東尾吉雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
船客たちがまたもや四方山話にふける中、船中に乗り合わせていた足真彦(大足彦の後身)の宣伝使は、かすかな声で宣伝歌を歌い、松・竹・梅の三姉妹と照彦に、訓戒と予言を示した。
このとき、前方より白帆をあげて大船小船が幾十隻となく、こちらに向かって、艪の音も勇ましく進み来る。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-06-23 19:22:42 OBC :rm0904
愛善世界社版:28頁 八幡書店版:第2輯 285頁 修補版: 校定版:30頁 普及版:12頁 初版: ページ備考:
001 さしもに(ひろ)海原(うなばら)を、002(てん)(はばか)らず()()ぢず、003我物顔(わがものがほ)()きまくつた海風(うなかぜ)も、004(またた)(うち)にピタリと()みたれば、005(また)もや船客(せんきやく)(さへづ)()したり。
006(かふ)『ヤアヤア、007滅多(めつた)矢鱈(やたら)(おど)かしよつた。008(ひろ)(うみ)(ひら)たい(つら)を、009春風(はるかぜ)()()(まく)つて乙姫(おとひめ)さまの(すそ)まで(まく)りあげて、010(たま)のみ(ふね)三笠丸(みかさまる)011()体裁(ていさい)だつたワ』
012(おつ)『またはしやぎよる。013貴様(きさま)(かぜ)()くと、014(ふね)(そこ)(かぢ)()いて(ふる)うて()よるが、015(かぜ)()むと、016蟆子(ぶと)()のやうに、017(ぢき)()(あが)りよる、018(しづ)かにせぬと、019また最前(さいぜん)のやうな(なみ)()つぞよ』
020()たいでかい、021(ふね)()たら(かぢ)()つのは(あた)(まへ)だい。022()つて()つて()ちぬきよつてカンカンだ。023カンカンカラツク、024カーンカンぢや。025カンカン篦棒(べらぼう)026ボンボラ坊主(ばうず)のオツトコドツコイ、027坊主頭(ばうずあたま)捻鉢巻(ねぢはちまき)で、028クーイクーイだ』
029『ソラ(なん)だい』
030(ふね)(おと)だい、031(ふね)()(かぢ)(おと)だい。032さうクイ()んで(たづ)ねて()れな、033九分(くぶ)九厘(くりん)でまたへかる(こま)るからなあ』
034へかるつて(なん)だい』
035へかる()へば大概(たいがい)(わか)つたものだい。036縁起(えんぎ)(わる)いからな、037(かへ)して()うたのだよ』
038(かへ)すなんて、039(なほ)(わる)いぢやないか。040(かへる)行列(ぎやうれつ)041(むか)不見転(みずてん)土左衛門(どさゑもん)()が』
042土左衛門(どざゑもん)さ……この(はう)は○○○クイクイ()ふなと()ふが、043()(なか)はクイとノミと○○だ』
044(へい)『アイタヽヽ、045(たれ)だい、046(おれ)(はな)(つま)みよつて、047ハナハナ(もつ)不都合(ふつがふ)千万(せんばん)な』
048(てい)『さなきだに、049(くら)けき(うみ)(ふね)(うへ)050(はな)つままれて、051つまらないとは』
052(へい)(なん)だ、053(まつ)廊下(らうか)ぢやあるまいし、054馬鹿(ばか)にしよるな。055(おれ)(もら)()てにしてはハナハナ(もつ)(つま)らないから、056オハナでも(いは)うて()げませうかい』
057 猿臂(えんぴ)()ばし、058(くら)がりに(まぎ)れて見当(けんたう)(さだ)め、059此処(ここ)らに(こゑ)がしたと()ひながら、060いやと()ふほど鼻柱(はなばしら)つまみグイと()ぢる。
061(てい)『イイ(いた)い、062はなさぬか はなさぬか』
063(へい)(はな)して(たま)らうか、064このハナはな、065万劫(まんごふ)末代(まつだい)ミロクの()までもはなしやせぬ。066ナアナアおはな067(まへ)(わし)との(その)(なか)は、068昨日(きのふ)けふかたびら(こと)かいな』
069(かふ)『エエイ、070縁起(えんぎ)(わる)い、071けふ帷子(かたびら)あす帷子(かたびら)もあつたものかい。072(ふね)(うへ)縁起(えんぎ)(いは)ふものだ、073京帷子(きやうかたびら)とは(なん)(こと)だい』
074(へい)昨日(きのふ)今日(けふ)飛鳥川(あすかがは)075かはいかはいと()(からす)076(くろ)(からす)婿(むこ)にとる、077とる(かぢ)なみも面黒(おもくろ)く、078黒白(あやめ)()かぬ(しん)(やみ)079此奴(こいつ)(かほ)(すみ)炭団(たどん)か、080まつ(くろ)けのけ まつ(くろ)けのけ まつ(くろ)けのけ……。081(ひと)(はな)(つま)みよつて、082あまり馬鹿(ばか)にするな。083(おれ)(かほ)蓮華台(れんげだい)(じやう)だ。084ツウンと(たか)(ひい)でてこのはな(ひめ)がお(しづ)まりだ。085このはなさまを(なん)心得(こころえ)()るか。086(おれ)はかう()えても、087テヽヽ天狗(てんぐ)さまでないよ、088天教山(てんけうざん)生神(いきがみ)さまだ。089どんなお(かた)()ちてござるか(わか)らぬぞよ、090三五教(あななひけう)()つて()らうがな』
091(てい)途中(とちう)鼻高(はなだか)092(はな)ばかり(たか)うて()邪魔(じやま)をして、093(うへ)(はう)()えず、094(むか)ふは(なほ)()えず、095足許(あしもと)はまつくろけ、096深溜(ふかだま)りに(はま)つて(どろ)まぶれになつて、097アフンと(いた)さな()()めぬぞよ』
098『そんな(こと)099(たれ)()(かぢ)りよつた。100馬鹿(ばか)(やつ)だなア。101それは貴様(きさま)(こと)だい。102貴様(きさま)(みみ)ばかり極楽(ごくらく)()きよつて、103百舌鳥(もず)のやうに(さへづ)るから、104キツト貴様(きさま)()んだら、105木耳(きくらげ)(かず)()高天原(たかあまはら)()つて不具者(かたわ)になり、106()(くに)()()くのが(おち)だよ』
107木耳(きくらげ)(かず)()天国(てんごく)()つたつて、108それが(なん)だい』
109馬鹿(ばか)だなあ。110貴様(きさま)(みみ)はいい(こと)ばかり()くらげの(みみ)だ。111それがカンピンタンになつて木耳(きくらげ)になるのだ。112さうして(おこな)ひもせずに、113(した)ばかり使(つか)ふから、114(した)乾物(ひもの)になつて(かず)()になるのだ。115貴様(きさま)()(くに)()つてなあ、116アヽ(わたくし)三五教(あななひけう)結構(けつこう)(をしへ)ばかりきくらげだつたが、117()いただけで(おこな)ひをせなかつたので、118こんな(とこ)()たのか。119アヽアヽ()(かへ)しのならぬ(こと)を、120したあしたあと(ぬか)して、121()(づら)かわく代物(しろもの)だらうよ』
122 何人(なんびと)とも()れず、123(かす)かなる(うた)(こゑ)(きこ)(きた)る。
124(足真彦)()しき憂世(うきよ)大足彦(おほだるひこ)
125(かみ)(みこと)天使長(てんしちやう)
126千々(ちぢ)(こころ)(つく)したる
127月照彦(つきてるひこ)諸共(もろとも)
128この()(つく)(かた)めむと
129(ひがし)西(にし)(きた)(みなみ)
130(あめ)(した)をば(くま)もなく
131いゆき(めぐ)りし足真彦(だるまひこ)
132九山八海(はちす)(やま)()れませる
133()花姫(はなひめ)(いろ)()
134めでたき(のり)(こと)()
135(のこ)(くま)なく足真彦(だるまひこ)
136根底(ねそこ)(くに)()(たま)
137(おに)大蛇(をろち)醜探女(しこさぐめ)
138(もも)枉津(まがつ)言向(ことむ)けて
139ここに(あら)はれ三笠丸(みかさまる)
140松竹梅(まつたけうめ)()()ひし
141桃上彦(ももがみひこ)(のこ)したる
142うづのみ()をば(すく)はむと
143月照彦(つきてるひこ)(みこと)もて
144浪路(なみぢ)かすかに(まも)りゆく
145()(くれなゐ)(よる)(うみ)
146からき潮路(しほぢ)掻分(かきわ)けて
147いよいよ(ちち)(めぐ)()
148ウヅの(みやこ)にうづの(ちち)
149(かみ)水火(いき)より()れませる
150貴三柱(うづみはしら)姫御子(ひめみこ)
151黄泉(よもつ)(さか)(もも)()
152()(あらは)れて現身(うつそみ)
153(この)()(すく)伊邪那岐(いざなぎ)
154(かみ)(みこと)杖柱(つゑはしら)
155意富加牟豆美(おほかむづみ)となりなりて
156千代(ちよ)八千代(やちよ)永久(とこしへ)
157(かみ)(はしら)となりわたれ
158この帆柱(ほばしら)弥高(いやたか)
159目無(めなし)堅間(かたま)樟船(くすぶね)
160かたきが(ごと)村肝(むらきも)
161(こころ)()れよ松代姫(まつよひめ)
162(こころ)すぐなる竹野姫(たけのひめ)
163一度(いちど)(ひら)梅ケ香姫(うめがかひめ)
164(にほ)常磐(ときは)(まつ)()
165まつも目出度(めでた)高砂(たかさご)
166(よる)なき秘露(ひる)都路(みやこぢ)
167(わた)りて月日(つきひ)智利(てる)(くに)
168はるばる()えて巴留(はる)(くに)
169巴留(はる)(みやこ)三柱(みはしら)
170(すく)ひの(かみ)()れませよ
171(こころ)(きよ)照彦(てるひこ)
172随伴(みとも)(かみ)諸共(もろとも)
173智利(てる)(みやこ)秘露(ひる)(ごと)
174(かがや)きわたせヱルサレム
175(うづ)(みやこ)をあとにして
176ウヅの(みやこ)(すす)()
177()()(すく)四柱(よはしら)
178今日(けふ)首途(かどで)雄々(をを)しけれ
179今日(けふ)首途(かどで)目出度(めでた)けれ』
180(かふ)『ヤア、181あんな(こと)()(やつ)(たれ)だい。182(おい)らが(はな)つま()ひして喧嘩(けんくわ)をして()るのに、183陽気(やうき)(こゑ)()しよつて、184はな(みやこ)てる(みやこ)もあつたものか。185何処(どこ)(やつ)だい。186そんな(こと)()ひよると、187この拳固(げんこ)貴様(きさま)(あたま)をポカンとハルの(くに)だぞ。188テルの(くも)るの、189ヒルのヨルのと(なに)(ほざ)きよるのだ。190(いま)はヨルだぞ、191よる(なぎさ)(ひろ)小舟(をぶね)だ』
192(おつ)『コラコラ、193(ひろ)小舟(をぶね)()ふことがあるか』
194『ヤアヤア()てとけ、195ほつとけだ。196これも(おれ)捨台詞(すてぜりふ)だ。197スツテの(こと)であの荒波(あらなみ)生命(いのち)までも()てるとこだつた。198本当(ほんたう)にあの(かぜ)(いま)までつづきよつたら、199貴様(きさま)()生命(いのち)はさつぱりステテコテンノテンだ。200テントウさまも(きこ)えませぬ。201ブクブクブクと(あわ)()きよつて、202今頃(いまごろ)にや()(くに)203(そこ)(くに)()成敗(せいばい)だよ』
204 ()はほのぼのと()(わた)る。205さしもに(ひろ)海原(うなばら)を、206あちらこちらと(かもめ)信天翁(あはうどり)()びまはりゐる。
207(かふ)『オーイ、208貴様(きさま)らのお友達(ともだち)沢山(たくさん)においでだぞ、209あはうどりが』
210 この(とき)前方(ぜんぱう)より、211白帆(しらほ)をあげた大船(おほぶね)小船(こぶね)212幾十隻(いくじつせき)となく此方(こなた)(むか)つて、213()(おと)(いさ)ましく(かぜ)(はら)(すす)(きた)るあり。
214大正一一・二・一二 旧一・一六 東尾吉雄録)
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