第三一章 七人の女〔四二四〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第9巻 霊主体従 申の巻
篇:第5篇 百花爛漫
よみ(新仮名遣い):ひゃっからんまん
章:第31章 七人の女
よみ(新仮名遣い):しちにんのおんな
通し章番号:424
口述日:1922(大正11)年02月17日(旧01月21日)
口述場所:
筆録者:加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1922(大正11)年7月5日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:鬼武彦は、日の出神の命により、八岐大蛇に憑依された大自在天大国彦(常世神王)の動静をさぐるべく、常世神王の臣下・鷹取別の部下となって潜入し、今では常世神王からも信頼を受けるに至った経緯を一同に語った。
語り終えると、鬼武彦の竹山彦は、いずこともなく姿を消してしまった。一同はこの不思議に茫然としていたが、三五教の神のご守護を知らされて感謝に堪えず、宣伝歌を歌って神徳をたたえた。また、松代姫は春山彦夫婦への感謝と神への感謝の歌を歌った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:2020-06-23 23:34:05
OBC :rm0931
愛善世界社版:241頁
八幡書店版:第2輯 361頁
修補版:
校定版:251頁
普及版:103頁
初版:
ページ備考:
001海の内外の分ちなく 002神の御稜威は照り渡る
003常世の浪を隔てたる 004北と南の大陸の
005荒ぶる浪も高砂や 006間の国の神の森
007花咲き匂ふ春山の 008郷の司の春山彦
010梅か桜か桃の花
011野山も笑ふ春姫の
014暗も晴れ行く夏姫の
015心の空に照る月は 016光眩く澄み渡り
018紅葉の錦織る如く
019東の海を分け昇る 020月の姿も西の空
024冷酷無惨の世の中に
025春の花咲き夏山の 026緑滴る夫婦が情
028非時薫る橘姫
029親子五人の真心は 030いづの身魂の世を救ふ
033常世の空を晴らさむと
035凌ぐ心の竹笹や
038霜の剣や雪の衣
040心の色の永久に
042咲も匂へる梅ケ香姫の
045神の守りの顕著く
047鬼武彦の御従神 048神の御稜威も高倉や
049空照り渡る白狐の旭 050月日も共に変身の
052 鬼武彦は立ち上り、053座敷の中央にどつかと坐し、
054鬼武彦『さしもに清き癸の、055亥の月今日の十六夜の月は早西山に傾きたれば、056四更を告ぐる鶏鳴に、057東の空は陽気立ち、058光もつよき旭狐の空高倉と昇るらむ。059月日の駒の関もなく、060大江山を出でしより、061東や西や北南、062世界隈なく世を照らす、063日出神の御指揮、064常世の国に渡り来て、065千変万化に身を窶し、066神の経綸に仕へたる、067吾は卑しき白狐神、068数多の眷属引き連れて、069神の大道を守る折、070心驕れる鷹取別の、071曲の企みを覆へさむと、072朝な夕なに心を砕き、073旭、074高倉、075月日と共に、076三五教を守護せし、077鬼をも摧ぐ鬼武彦が、078心を察したまはれかし。079八岐の大蛇に呪はれし、080大国彦の曲業は、081比類まれなる悪逆無道、082鷹取別や遠山別、083中依別の三柱神は、084姫の命を捕へむと、085四方八方に眼を配り、086醜女探女を数限りもなく配り備ふるその危さ、087手段をもつて鷹取別が臣下となり、088竹山彦と佯はつて甘く執り入り、089常世神王の覚も目出度く、090今日の務を仰せつけられしは、091天の恵の普き兆、092善を助け悪を亡す、093誠の神の経綸、094ハヽア嬉しやうれしや勿体なや。095さはさりながら御一同の方々、096必ず共に御油断あるな、097一つ叶へばまた一つ、098欲に限りなき、099体主霊従の邪神の魂胆、100隙行く駒のいつかまた、101隙を狙つて、102三人の月雪花の御娘御を、103奪ひ帰るもはかられず、104只何事も神直日、105大直日の神の御恵みによつて、106降り来る大難を、107尊き神の神言にはらひ退け、108朝な夕な神に心を任せたまへ、109暁告ぐる鶏の声、110時後れては一大事、111吾はこれよりこの場を立去り、112鷹取別の館に参らむ。113いづれもさらば』
114と云ふかと見れば姿は消えて、115何処へ行きしか白煙、116夢幻となりにけり。
117 合点の行かぬこの場の有様、118春山彦を始めとし、119花にも擬ふ七人は、120茫然として暫し言葉もなかりしが、121春山彦は立ち上り、122天を拝し地を拝し、
123春山彦『あゝ有難や尊やな、124親子夫婦が真心を、125神も照覧ましませしか』
126と、127涙と共に宣伝歌、128いと淑やかに歌ひ始むる。129七人の女も口を揃へて、
130一同『神が表に現はれて 131善と悪とを立別る
132この世を造りし神直日 133心も広き大直日
134ただ何事も人の世は 135直日に見直せ聞き直せ
136世の曲事は宣り直せ 137朝日は照るとも曇るとも
140誠の神は世を救ふ 141誠の神は世を救ふ』
142と歌ひながら拍手する声は天地も揺ぐばかりなり。143松代姫は立ち上り、
144松代姫『天と地とは睦び合ひ 145四方の民草神風に
146靡き伏す世を松代姫
148親子五人のいつ御魂
150三五の月も空高く 151輝き渡る麻柱の
153高砂島を後に見て
154常世の国の空寒く
156神の使の宣伝使
159雨か涙か松の露
160露のこの身を神国に 161捧げて間の国境
162来る折しも鷹取別の 163猛き力に小雀の
165尾羽打枯らす手弱女を
167空を焦して降り来る
168唐紅の火柱に 169打たれて逃ぐる曲津見の
170消え行く後に唯一人 171疲れしこの身を横たへて
172心私かに宣伝歌 173歌ふ折しも春山彦の
175堅磐常磐の巌窟に
178笑顔に迎へし嬉しさよ 179世人の心冷え渡る
180中にも目出度き夏姫の 181日に夜に厚き御仁慈
183神の御稜威はいや高く
184輝く月雪花の御子
188嗚呼有難や麻柱の 189教を立てし皇神の
190御稜威は千代に栄ゆべし 191功は四方に開くべし』
192と感謝の歌を詠みて、193元の座に復しける。
194 屋外には、195天空を轟き渡る天の磐船、196鳥船の音、197天地を圧し、198木枯の風は唸りを立てて雨戸を叩くぞ淋しけれ。
199(大正一一・二・一七 旧一・二一 加藤明子録)