霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一六章 大気津(おほげつ)(ひめ)(だん)(二)〔四八三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻 篇:第3篇 言霊解 よみ(新仮名遣い):ことたまかい
章:第16章 大気津姫の段(二) よみ(新仮名遣い):おおげつひめのだん(二) 通し章番号:483
口述日:1920(大正9)年01月16日(旧11月26日) 口述場所: 筆録者:松村仙造[#講演筆録] 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
生存競争の悪風が窮まると、近年の欧州大戦のような惨状を表して、万民が苦しむことになる。吾が皇国にもその世界の悪風が迫りつつある。
今の惨状は、生活上の貧苦が根底にあるのである。この生活問題を改善するためには、大気津姫の改心を待たなければならない。
素尊が大気津姫を殺したのは、食制改革のためにやむを得ずそうしたのである。肉食尊重を改めて、皇祖の御遺訓に沿った美風良俗に帰らなければならない。肉食を廃して社会改良の第一義をしなければならないのである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-06-11 18:19:50 OBC :rm1116
愛善世界社版:153頁 八幡書店版:第2輯 568頁 修補版: 校定版:154頁 普及版:66頁 初版: ページ備考:
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]神霊界 > 大正10年2月1日号(第134号)【出口王仁三郎執筆】 > 皇典と現代(五)
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎著作集 > 第二巻「変革と平和」 > 第三部 『霊界物語』の思想 > 大気津姫の段
001 『(とき)(はや)須佐之男(すさのをの)(みこと)002()(さま)立伺(たちうかが)ひて、003穢汚(きたなき)もの(たてまつ)るとおもほして、004(すなは)()大気津(おほげつ)比売(ひめの)(かみ)(ころ)したまひき』
005 (はな)006(くち)007(しり)なる衣食住(いしよくぢゆう)非理(ひり)非道(ひだう)(てき)進歩(しんぽ)発達(はつたつ)したる(ため)に、008生存(せいぞん)競争(きやうそう)悪風(あくふう)009天下(てんか)()(すさ)み、010その結果(けつくわ)は、011(つい)近来(きんらい)(ちよう)すれば、012欧洲(おうしう)大戦争(だいせんそう)(ごと)惨状(さんじやう)招来(せうらい)万民(ばんみん)(みな)塗炭(とたん)(くる)しむの現状(げんじやう)は、013所謂(いはゆる)穢汚(きたなき)もの奉進(たてまつ)る』の実例(じつれい)である。014(こころ)みに(かんが)へて()よ。015天地(てんち)(くづ)るる(ばか)りの大騒動(だいさうどう)016大戦乱(だいせんらん)砲声(はうせい)殷々(ゐんゐん)たる惨状(さんじやう)(やうや)鎮静(ちんせい)したかと(おも)へば、017(たちま)世界(せかい)()げて囂々(がうがう)たる社会(しやくわい)改造(かいざう)(こゑ)(くわ)し、018一瀉(いつしや)万里(ばんり)019(なん)国境(こくきやう)もなく、020雷電(らいでん)(とどろ)(ひらめ)くが(ごと)く、021(いま)(わが)皇国(くわうこく)にも(とどろ)(わた)つて()たのである。022最近(さいきん)(おこ)りつつある生活(せいくわつ)問題(もんだい)も、023労働(らうどう)問題(もんだい)も、024思想(しさう)問題(もんだい)も、025(えう)するに生活難(せいくわつなん)(ひび)きに起因(きいん)するのである。026(ただ)(たん)なる世界(せかい)思潮(してう)刺戟(しげき)せられた(いち)()(てき)現象(げんしやう)であるかと()ふに、027(けつ)してさうでない。028如何(いか)世界(せかい)(てき)思想(しさう)であらうが、029如何(いか)好事者(かうずしや)巧妙(かうめう)なる煽動(せんどう)030乃至(ないし)教唆(けうさ)であらうが、031国民(こくみん)要求(えうきう)(おい)痛切(つうせつ)(かん)ずる(ところ)()ければ、032(けつ)して共鳴(きようめい)するものではないのである。033(ゆゑ)(これ)(いち)()(てき)現象(げんしやう)(くらゐ)(おも)つて、034冷然(れいぜん)として袖手(しうしゆ)傍観(ばうくわん)し、035為政者(ゐせいしや)学者(がくしや)たるものが、036(なん)()反省(はんせい)もせず(かつ)(また)()(おこ)るべき根本(こんぽん)原因(げんいん)(きは)めずして、037狼狽(らうばい)(あま)り、038急速(きふそく)(これ)防止(ばうし)しようとして(いたづら)圧迫(あつぱく)(くは)へたりすると、039ますます紛糾(ふんきう)して、040(つひ)には(すく)()からざる一大(いちだい)禍乱(くわらん)激発(げきはつ)せないとも(かぎ)らない。041これ(じつ)指導(しだう)(にん)(あた)れる政治家(せいぢか)042宗教家(しうけうか)043教育家(けういくか)044および有志家(いうしか)考慮(かうりよ)し、045奮起(ふんき)し、046(もつ)てその大原因(だいげんいん)たる大気津(おほげつ)(ひめ)から根絶(こんぜつ)改良(かいりやう)せねばならぬのである。047大気津(おほげつ)(ひめ)(ころ)さむとする、048現代(げんだい)所謂(いはゆる)改造(かいざう)(さけ)びは、049(なに)大原因(だいげんいん)となつて、050天下(てんか)人民(じんみん)多数者(たすうしや)が、051(かく)(ごと)猛烈(まうれつ)共鳴(きようめい)心随(しんずゐ)するかと()へば、052(ひと)つに(はな)053(くち)および(しり)なる衣食住(いしよくぢゆう)生活(せいくわつ)問題(もんだい)()するのである。054人間(にんげん)(くる)しみの最大(さいだい)なりとするものは貧窮(ひんきう)である。055(すなは)衣食住(いしよくぢゆう)三類(さんるゐ)大欠乏(だいけつぼう)である。056日々(にちにち)新聞(しんぶん)()ると、057貧苦(ひんく)(ため)()淵川(ふちかは)()げたり、058(くび)()つたり、059鉄道(てつだう)往生(わうじやう)毒薬(どくやく)自殺(じさつ)をしたり、060発狂(はつきやう)したり(など)悲惨事(ひさんじ)()(つき)増加(ぞうか)して()るのである。061(これ)()ても、062貧苦(ひんく)()ふものは、063()するよりも(つら)(くる)しいといふことが(あきら)かである。064()ぬよりつらい(ところ)貧苦(ひんく)(まぬが)れんが(ため)に、065ここに激烈(げきれつ)なる生存(せいぞん)競争(きやうそう)(おこ)つて()る。066()結果(けつくわ)優勝(いうしよう)劣敗(れつぱい)弱肉(じやくにく)強食(きやうしよく)()ふ、067人生(じんせい)()ける惨澹(さんたん)たる餓鬼道(がきだう)(ちまた)となつて()たのである。068体主(たいしゆ)霊従(れいじう)069利己(りこ)主義(しゆぎ)結果(けつくわ)は、070徳義(とくぎ)もなければ、071信仰(しんかう)()く、072節操(せつさう)()く、073勝者(しようしや)たる大気津(おほげつ)(ひめの)(かみ)(つね)意気(いき)傲然(がうぜん)として、074()つては大廈(たいか)高楼(かうろう)起伏(きふく)し、075(いで)ては(すなは)酒池(しゆち)肉林(にくりん)076千金(せんきん)春宵(しゆんせう)(さん)じて、077遊惰(いうだ)078安逸(あんいつ)079放縦(はうじう)()(こと)として、080天下(てんか)(はばか)らない。081一方(いつぱう)には劣者(れつしや)たる貧者(ひんじや)は、082営々(えいえい)として(あへ)ぎ、083()()粗雑(そざつ)なる(しよく)(あま)んじ、084(もつ)(やうや)くその()ゑたる口腹(こうふく)()たすに()らず、085疲憊(ひはい)困倒(こんたう)して()(しやく)二間(にけん)陋屋(ろうをく)廃残(はいざん)体躯(たいく)(よこた)へ、086(むな)しく愛妻(あいさい)愛児(あいじ)饑餓(きが)()くを()いて()る。087その心情(しんじやう)富者(ふうしや)勝者(しようしや)到底(たうてい)夢裡(むり)にだも窺知(きち)すべからざるの惨状(さんじやう)である。088古諺(こげん)(いは)く、089小人(せうじん)(きう)して(らん)()す』と、090(つひ)(あるひ)非常識(ひじやうしき)となり、091軌道(きだう)(いつ)し、092身投(みな)げ、093(くび)()り、094または監獄(かんごく)()きを希望(きばう)するに(いた)るのである。095(また)これが群衆(ぐんしう)(てき)行動(かうどう)となる(とき)は、096大正(たいしやう)(しち)(ねん)米騒動(こめさうだう)や、097(すす)むでは焼打(やきうち)暴動(ばうどう)ともなり、098同盟(どうめい)罷工(ひこう)や、099怠業(たいげふ)(てき)行動(かうどう)ともなり、100日比谷(ひびや)運動(うんどう)や、101革新(かくしん)(てき)気分(きぶん)ともなるのである。102(ゆゑ)(おそ)るべきは、103この結果(けつくわ)醸成(じやうせい)する(ところ)生活(せいくわつ)問題(もんだい)である。104(これ)閑却(かんきやく)して、105思想(しさう)悪化(あくくわ)労資(らうし)衝突(しようとつ)防止(ばうし)せむとして、106如何(いか)政治家(せいぢか)や、107教育家(けういくか)や、108宗教家(しうけうか)力説(りきせつ)怒号(どがう)して()(ところ)生命(せいめい)()政治家(せいぢか)や、109宗教家(しうけうか)110教育家(けういくか)(ちから)では、111容易(ようい)にその効果(かうくわ)(あら)はるるものではない。112(ゆゑ)大本(おほもと)は、113神示(しんじ)()りて明治(めいぢ)二十五(にじふご)(ねん)以来(いらい)114(これ)救済(きうさい)神法(しんぱふ)を、115天下(てんか)(むか)つて指導(しだう)しつつあるのである。116古来(こらい)名君(めいくん)(あふ)がれ、117賢相(けんしやう)(うた)はれた人々(ひとびと)国民(こくみん)生活(せいくわつ)安定(あんてい)(もつ)て、118先決(せんけつ)問題(もんだい)としたのである。119(しか)して一方(いつぱう)(おい)ては、120宗教(しうけう)教育(けういく)権威(けんゐ)発揮(はつき)して(もつ)てその無限(むげん)(よく)(ふさ)ぎ、121その奢侈(しやし)()め、122公共心(こうきようしん)涵養(かんやう)(つと)め、123貧富(ひんぷ)平均(へいきん)(たも)つて()たのである。124(すで)生活(せいくわつ)安定(あんてい)さへ()れば、125(たみ)(これ)(したが)ふや(やす)しで、126(よろこ)びて(よき)(むか)ふものである。127(えう)するに、128現代(げんだい)生活(せいくわつ)問題(もんだい)を、129根本(こんぽん)(てき)改善(かいぜん)せむとするには、130どうしても、131大気津(おほげつ)(ひめ)改心(かいしん)()たなければならぬのであります。
132 『種々(くさぐさ)』と()(こと)は、133臭々(くさぐさ)意味(いみ)であつて、134現代(げんだい)(ごと)く、135(いち)()()く、136上下(しやうか)一般(いつぱん)四足(よつあし)動物(どうぶつ)屠殺(とさつ)しては舌鼓(したつづみ)()ち、137肉食(にくしよく)汚穢(をゑ)()み、138正食(せいしよく)のみを()つて、139心身(しんしん)清浄(せいじやう)(たも)つてゐる我々(われわれ)大本人(おほもとじん)野蛮(やばん)人民(じんみん)嘲笑(てうせう)するに立到(たちいた)つたのは、140心身(しんしん)(じやう)(およ)ぼす影響(えいきやう)(じつ)(おそ)るべきものがあるのである。141肉食(にくしよく)のみを滋養物(じやうぶつ)として、142神国(しんこく)固有(こいう)穀菜(こくさい)度外(どぐわい)する人間(にんげん)性情(せいじやう)は、143()(つき)惨酷性(ざんこくせい)()(きた)り、144(つひ)には生物(せいぶつ)一般(いつぱん)(たい)する愛情(あいじやう)(うしな)ひ、145利己(りこ)主義(しゆぎ)となり、146かつ獣欲(じうよく)益々(ますます)旺盛(わうせい)となり、147不倫(ふりん)不道徳(ふだうとく)人非人(にんぴにん)となつて(しま)ふのである。148(とら)(おほかみ)や、149獅子(しし)なぞの獰猛(だうまう)なるは(つね)動物(どうぶつ)常食(じやうしよく)とするからである。150牛馬(ぎうば)(ざう)(ごと)くに、151体躯(たいく)巨大(きよだい)なりと(いへど)も、152(きは)めて温順(をんじゆん)なるは、153生物(いきもの)()はず、154草食(さうしよく)または穀食(こくしよく)影響(えいきやう)である。155(ゆゑ)肉食(にくしよく)する人間(にんげん)心情(しんじやう)は、156無慈悲(むじひ)にして、157世人(せじん)()なうが、158(たふ)れやうが、159(こごえ)()らうが、160そんな(こと)には毫末(がうまつ)介意(かいい)せない。161只々(ただただ)自分(じぶん)のみの都合(つがふ)をはかり、162食色(しよくしき)(よく)(ほか)天理(てんり)も、163人道(じんだう)も、164忠孝(ちうかう)大義(たいぎ)弁知(べんち)せない(やう)()つて(しま)ふのである。165()()人間(にんげん)が、166()(つき)()ゑれば()ゑる(ほど)167世界(せかい)一方(いつぱう)に、168不平(ふへい)不満(ふまん)(いだ)くものが出来(でき)て、169(つひ)には種々(しゆじゆ)(やかま)しき問題(もんだい)一度(いちど)()いて()るのである。170為政者(ゐせいしや)たるものは、171(よろ)しく下情(かじやう)(つう)ずるを(もつ)て、172急務(きふむ)とし、173百般(ひやくぱん)施設(しせつ)は、174(これ)骨子(こつし)として具体化(ぐたいくわ)して(すす)まねばならぬのである。175素盞嗚(すさのをの)(みこと)()むを()ずして、176天下(てんか)(ため)大気津(おほげつ)(ひめの)(みこと)(ころ)(たま)ひ、177食制(しよくせい)改良(かいりやう)(もつ)第一義(だいいちぎ)()(たま)うたのである。178西郷(さいがう)南洲(なんしう)(をう)は、179(まつりごと)とは、180(じやう)一字(いちじ)()すると(だん)(また)孟子(まうし)は、181(ひと)(しの)びざる(こころ)あれば(ここ)(ひと)(しの)びざる(まつりごと)ありと()つて()る。182(しか)るに為政者(ゐせいしや)は、183(はた)してこの(こころ)(もつ)て、184(これ)立脚(りつきやく)して社会(しやくわい)改良(かいりやう)企画(きくわく)しつつあるであらう()185政治家(せいぢか)なるものを()れば、186徹頭(てつとう)徹尾(てつび)187党閥(たうばつ)本位(ほんゐ)であり、188権力(けんりよく)闘争(とうさう)であり、189利権(りけん)争奪(そうだつ)である。190(かく)(ごと)勢利(せいり)のみに没頭(ぼつとう)せる人間(にんげん)()つて組織(そしき)され、191運用(うんよう)される政治(せいぢ)なるものは、192(もと)より国利(こくり)民福(みんぷく)没交渉(ぼつかうせふ)なるべきは、193(むし)当然(たうぜん)であらうと(おも)ふ。194(かく)(ごと)世界(せかい)政治(せいぢ)支配(しはい)されつつある国民(こくみん)が、195不安(ふあん)終極(しうきよく)は、196改造(かいざう)(さけ)びと()つて()るのは(これ)当然(たうぜん)かも()れぬ。197(しか)(なが)(かく)(ごと)肉食(にくしよく)尊重(そんちよう)198利己(りこ)主義(しゆぎ)一遍(いつぺん)政治家(せいぢか)推選(すゐせん)したる国民(こくみん)(まつた)自業(じごう)自得(じとく)にして、199神界(しんかい)(いまし)めである。200(みづか)()()つてその()()いた(やう)なものである。201アヽ(いち)(にち)(はや)皇祖(くわうそ)()遺訓(ゐくん)()事跡(じせき)(かんが)み、202上下(しやうか)(こぞ)つて日本(にほん)固有(こいう)美風(びふう)良俗(りやうぞく)(かへ)らねば、203到底(たうてい)現代(げんだい)不安(ふあん)204暗黒(あんこく)社会(しやくわい)改良(かいりやう)し、205(もつ)神国(しんこく)一大(いちだい)使命(しめい)遂行(すゐかう)する(こと)出来(でき)ないのである。206()(なに)よりも、207大本(おほもと)神諭(しんゆ)(しめ)させ(たま)へるが(ごと)く、208第一(だいいち)肉食(にくしよく)(はい)身魂(みたま)(きよ)めて、209(かみ)(せつ)するの(みち)(ひら)くを(もつ)て、210社会(しやくわい)改良(かいりやう)第一義(だいいちぎ)とせねばならぬのであります。
211大正九・一・一六 講演筆録 松村仙造
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