霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二二章 征矢(そや)(あめ)〔四八九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻 篇:第4篇 満目荒寥 よみ(新仮名遣い):まんもくこうりょう
章:第22章 征矢の雨 よみ(新仮名遣い):そやのあめ 通し章番号:489
口述日:1922(大正11)年03月03日(旧02月05日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
時公が岩窟の扉をがらりを開けると、それは石凝姥宣伝使・東彦であった。東彦は、岩窟から漏れ聞こえる三五教の歌を聞きつけて、やってきたのであった。
一同が再開を懐かしんでいると、またもや岩窟の外から、ウラル教の捕り手たちの足音が聞こえてきた。時公と東彦が矢面に立って、迎え撃つ。
捕り手の中から大男が現れて、熊と名乗り、宣伝使たちに降伏を促した。東彦は朗々と改心を促す宣伝歌を歌うと、矢はぴたりと止み、捕り手たちは雪の中にうずくまってしまった。
松代姫、梅ケ香姫は、おのおの三五教の教理と説き諭して回った。そのためいずれも改心して、宣伝使たちに従うこととなった。
神の誠を知って四魂の活用がまったくなった神人の言霊には、いかなる悪鬼邪神といえども帰順せざるものはない。故に宣伝使たるものはまず己の身魂を磨き、すべての神人に対して我が身と同様の心で対さなければならない。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-08-11 19:51:30 OBC :rm1122
愛善世界社版:210頁 八幡書店版:第2輯 589頁 修補版: 校定版:214頁 普及版:92頁 初版: ページ備考:
001 岩窟(がんくつ)(なか)には二人(ふたり)宣伝使(せんでんし)(はじ)め、002時公(ときこう)(ほか)(ろく)(にん)は、003足音(あしおと)岩戸(いはと)(まへ)にピタリと(とま)りしより、004(あたま)(かたむ)思案(しあん)()()たり。005(しばら)くありて時公(ときこう)は、
006時公(いま)(そと)()(とま)つて(なか)様子(やうす)(うかが)つて()(やつ)は、007ウラル(けう)間者(まはしもの)か。008よもや三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)ではあるまい。009松代姫(まつよひめ)(さま)どうでせう、010いつその(こと)011()をガラリと(ひら)いて、012ウラル(けう)であれば言向(ことむ)(やは)してはどンなものでせうなア』
013松代姫(まつよひめ)心配(しんぱい)()りませぬ、014()けて(くだ)さいませ』
015時公(ときこう)承知(しようち)(いた)しました』
016と、017ガラリと岩室(いはむろ)()引張(ひつぱ)()けた。018()(もた)れて()(をとこ)()()くと(とも)岩窟(がんくつ)(なか)にゴロリと(ころ)()んだ。019()れば石凝姥(いしこりどめ)宣伝使(せんでんし)である。
020時公(ときこう)『ヤア、021貴方(あなた)東彦(あづまひこ)(さま)022エライ失礼(しつれい)をしました。023これは(また)不思議(ふしぎ)(ところ)でお()にかかつたものです』
024 石凝姥(いしこりどめ)()(あが)り、025(ちり)(はら)ひながら、
026東彦(あづまひこ)『ヤア、027貴方(あなた)(とき)さま、028ヨウ梅ケ香(うめがか)さま、029これはこれは不思議(ふしぎ)()対面(たいめん)(まを)すもの、030一人(ひとり)(をんな)(かた)誰人(どなた)御座(ござ)いますか』
031梅ケ香姫(うめがかひめ)『ヤア東彦(あづまひこ)さま、032よう()(くだ)さいました。033(わらは)(あね)松代姫(まつよひめ)宣伝使(せんでんし)でございます。034(ねえ)さまの竹野姫(たけのひめ)がコーカス(ざん)岩窟(がんくつ)に、035悪魔(あくま)のために()()められて()ると()きまして(いま)(すく)()しに()かうとする途中(とちう)です』
036東彦(あづまひこ)『それは(まこと)都合(つがふ)のよい(こと)037我々(われわれ)もこの(やま)にはウラル(ひこ)一派(いつぱ)立籠(たてこも)ると()き、038その魔神(まがみ)言向(ことむ)(やは)さむと、039(ゆき)()()けて(ただ)一人(ひとり)やつて()ましたところです。040斯様(かやう)(ところ)にお()にかかるも(かみ)のお引合(ひきあは)せ、041明日(あす)花々(はなばな)しく(はたら)きませう。042我々(われわれ)もこの岩戸(いはと)(まへ)(まで)二人(ふたり)(をとこ)案内(あんない)さして()()ましたが、043(そと)()つて()()(こゑ)(みみ)()ませて()けば、044三五教(あななひけう)宣伝歌(せんでんか)045これは不思議(ふしぎ)だと()(もた)れて(うかが)つて()ますと、046二人(ふたり)(やつ)は、047ウラル(けう)間者(まはしもの)()えて(くも)(かすみ)引返(ひきかへ)して仕舞(しま)ひました。048いづれ(かれ)()我々(われわれ)此処(ここ)()(こと)大気津(おほげつ)(ひめ)報告(はうこく)にいつたのでせう。049油断(ゆだん)大敵(たいてき)050サア、051これから(みな)さま()一緒(いつしよ)前進(ぜんしん)する(こと)(いた)しませう。052(さき)んずれば(ひと)(せい)すと()(こと)がある』
053松代姫(まつよひめ)(はじ)めてお()にかかりました。054貴方(あなた)名高(なだか)石凝姥(いしこりどめ)宣伝使(せんでんし)(さま)ですか。055梅ケ香姫(うめがかひめ)がお心安(こころやす)(ねが)つたさうです。056どうぞ(わたくし)もお心安(こころやす)(ねが)ひます』
057八公(やつこう)058鴨公(かもこう)『ヤア、059石凝姥(いしこりどめ)(さま)とやら、060(わたくし)(やつ)061(かも)()(にはか)信者(しんじや)御座(ござ)います、062何卒(どうぞ)心安(こころやす)(ねが)ひます』
063牛公(うしこう)(わたくし)三五教(あななひけう)(ふる)(ふる)信者(しんじや)御座(ござ)います、064何卒(どうぞ)心安(こころやす)う』
065八公(やつこう)『ハヽヽ、066(ふる)いは(ふる)いだが(いま)(さき)まで悪事(あくじ)(あら)はれて、067菎蒻(こんにやく)のやうにピリピリとフルイ(ふる)信者(しんじや)さまです。068こンなお(かた)仰有(おつしや)(こと)()つから(あて)になりませぬ』
069時公(ときこう)『ヤア、070(やかま)しい(やつ)だな。071小供(こども)小供(こども)らしう()るのだよ』
072鴨公(かもこう)『これがどうして()られませうか。073竹野姫(たけのひめ)さまを(すく)()すまで』
074時公(ときこう)『それもさうだ。075(しか)心配(しんぱい)して(こころ)(いた)めて(からだ)(よわ)らすより、076刹那心(せつなしん)だ。077()(とき)(ゆつく)りと()て、078(はたら)(とき)にや(はたら)けばよいのだ』
079 かく()ふうち、080岩窟(がんくつ)(そと)には、081ワイワイと数多(あまた)人声(ひとごゑ)(きこ)えて()た。
082時公(ときこう)『ヤア、083()()た。084ヤア、085一緒(いつしよ)にこんな岩窟(がんくつ)()()まれては(はたら)(こと)出来(でき)はしない。086(みな)さま()(くだ)さい。087オイ(うし)088(うま)089鹿(しか)090(とら)091貴様(きさま)()()(こと)ならぬ、092何時(いつ)裏返(うらがへ)るか()れぬ』
093()ひながら時公(ときこう)()()した。
094 白壁(しらかべ)沢山(たくさん)(はへ)()まつたやうな(くろ)(かげ)095ワイワイと刻々(こくこく)岩窟(がんくつ)目蒐(めが)けて押寄(おしよ)せて()る。
096松代姫(まつよひめ)『ヤア(みな)さま、097たとへ幾万(いくまん)(てき)()ても、098我々(われわれ)には(まこと)(かみ)(さま)がついてゐらつしやいますから(おどろ)くに(およ)びませぬ。099(みな)さん此処(ここ)(ゆつ)くり神言(かみごと)奏上(そうじやう)しませうか』
100東彦(あづまひこ)『ヤア、101松代姫(まつよひめ)さま、102梅ケ香姫(うめがかひめ)さま、103貴女(あなた)(がた)此処(ここ)(ゆつく)りと神言(かみごと)をもつて応援(おうゑん)して(くだ)さい。104(わたくし)時公(ときこう)さまと二人(ふたり)活動(くわつどう)いたします』
105()ひながら、106東彦(あづまひこ)岩戸(いはと)()けて(そと)(あら)はれ、107泰然(たいぜん)自若(じじやく)として()()群衆(ぐんしう)(なが)めて()る。
108 ()(あめ)(ごと)東彦(あづまひこ)109時公(ときこう)(むか)つて、110ヒウヒウと(あつ)まつて()る。111時公(ときこう)()()両手(りやうて)(つか)んでは(おと)しながら大音声(だいおんぜう)
112時公(ときこう)『ヤアヤア、113(この)(はう)古今(ここん)無双(むさう)英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)天地(てんち)(あひだ)()(とどろ)いた時雷(ときいかづち)大神(おほかみ)だ。114(さん)(にん)()(にん)面倒(めんだう)だ。115(ひやく)(にん)(せん)(にん)億万(おくまん)(にん)116(たば)()うて一度(いちど)にかかれツ、117(しらみ)(つぶ)しにしてやるぞ』
118 群衆(ぐんしう)(なか)より一人(ひとり)大男(おほをとこ)119ヌツと(まへ)(あら)はれ(きた)り、120(みぎ)(かた)無理(むり)(そびや)かし、121(ひだり)(かた)をトタンと(おと)し、122(からだ)(しや)(かま)へ、123()くしやくしやさせながら、
124(をとこ)『ヤアヤア、125(この)(はう)はヒツコス(がみ)棟梁(とうりやう)のビツコの(くま)さまだ。126三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(やつ)127(さん)(にん)までは(この)(はう)指揮(しき)によつて生擒(いけどり)にいたした(がう)(もの)128時雷(ときいかづち)()浪人(らうにん)129(いま)一泡(ひとあわ)()かせて()れん。130覚悟(かくご)(いた)せよ』
131 東彦(あづまひこ)(うた)ふ。
132東彦朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
133(つき)()つとも()くるとも
134(ゆき)()むとも()けるとも
135コーカス(ざん)立籠(たてこも)
136大気津(おほげつ)比売(ひめ)曲業(まがわざ)
137言向(ことむ)(やは)しておくづきの
138(てき)幾万(いくまん)(きた)るとも
139(かみ)御霊(みたま)増鏡(ますかがみ)
140()らして雲霧(くもきり)()(はら)
141ビツコの(くま)諸共(もろとも)
142(たか)(はな)をば()(くだ)
143()んで(くだ)いて(かみ)(みち)
144(はら)()()(あら)てやる
145八王神(やつこすがみ)やヒツコスや
146クスの(かみ)まで()(そろ)
147(あま)岩戸(いはと)(すみや)かに
148(ひら)(とき)こそ(きた)りけり
149(かみ)(おもて)(あら)はれて
150(ぜん)(あく)とを()てわける
151(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
152(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
153直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)
154(まが)言霊(ことたま)()(なほ)
155コーカス(ざん)(みね)(くも)
156伊吹(いぶ)(はら)ふは(かみ)(いき)
157(いきほひ)(たけ)曲津見(まがつみ)
158(まが)(とりで)言霊(ことたま)
159(たま)(いさを)()(くだ)
160(こころ)(くだ)宣伝使(せんでんし)
161大気津(おほげつ)比売(ひめ)改心(かいしん)
162(かみ)(いの)りて松代姫(まつよひめ)
163(こころ)(かた)石凝(いしこり)
164(どめ)(みこと)宣伝使(せんでんし)
165(はる)()()ねし梅ケ香(うめがか)
166(ひめ)(みこと)(あね)(きみ)
167竹野(たけの)(ひめ)(いま)此処(ここ)
168(おく)(きた)りて天地(あめつち)
169(かみ)(つみ)をば(あがな)へよ
170北光彦(きたてるひこ)淤縢山(おどやま)
171(かみ)(みこと)宣伝使(せんでんし)
172()つの御霊(みたま)(そろ)へたて
173(はや)(かへ)せよ(かへ)さねば
174(かみ)(おもて)(あら)はれて
175コーカス(ざん)立替(たてか)へる
176(ぜん)(あく)との真釣合(まつりあ)
177(まつ)神代(かみよ)宣伝使(せんでんし)
178(こころ)()ぐなる竹野姫(たけのひめ)
179朝日(あさひ)(のぼ)東彦(あづまひこ)
180(ひかり)()める梅ケ香(うめがか)
181(めぐみ)(つゆ)のかかる(とき)
182かかる(ためし)烏羽玉(うばたま)
183闇世(やみよ)(ひら)(とき)さまの
184(かみ)化身(けしん)宣伝使(せんでんし)
185三十三(さんじふさん)(そう)(その)(ひと)
186(ひかり)(あら)はれ北光(きたてる)
187(ひこ)(みこと)諸共(もろとも)
188コーカス(ざん)()らすなり
189()()(ひか)(つき)()
190三五(さんご)(つき)御教(みをしへ)
191(こころ)(くも)()()けて
192(かみ)御霊(みたま)()(かへ)
193本津(もとつ)御霊(みたま)立直(たてなほ)
194一度(いちど)(ひら)(うめ)(はな)
195一度(いちど)(ひら)(うめ)(はな)
196一度(いちど)(ひら)(うめ)(はな)
197(うた)(をは)つた。198(あめ)()()()(おと)は、199この言霊(ことたま)(とも)にピタリとやみて、200数多(あまた)捕手(とりて)はいづれも(ゆき)谷道(たにみち)(うづく)まり、201(なか)には感涙(かんるい)(むせ)び、202(こゑ)(はな)ちて()くものさへもありけり。
203 松代姫(まつよひめ)204梅ケ香姫(うめがかひめ)(この)()(あら)はれ、205一同(いちどう)(むか)つて三五教(あななひけう)教理(けうり)(ねんごろ)()(さと)しけり。206数多(あまた)捕手(とりて)(かみ)(きよ)言霊(ことたま)()たれて、207いづれも(こころ)(あらた)め、208(つい)には大気津(おほげつ)(ひめ)部下(ぶか)八王神(やつこすがみ)帰順(きじゆん)全力(ぜんりよく)(つく)(こと)となりぬ。
209 (かみ)(まこと)(こころ)()り、210言霊(ことたま)(きよ)め、211()(たましひ)(かみ)(ひと)しく、212(ゆう)()(あい)(しん)四魂(しこん)活用(くわつよう)(まつた)()りし神人(しんじん)宣伝(せんでん)は、213如何(いか)なる悪鬼(あくき)邪神(じやしん)(いへど)も、214(その)言霊(ことたま)帰順(きじゆん)せざるものは()いのである。215(ゆゑ)宣伝使(せんでんし)たるものは(おのれ)()身魂(みたま)(みが)き、216(すべ)ての神人(しんじん)(たい)し、217(わが)()(たい)すると同様(どうやう)心懸(こころがけ)()たねばならぬ。218(この)心懸(こころがけ)なき宣伝使(せんでんし)は、219如何(いか)()(ふる)(べん)(つく)すとも、220(かみ)御国(みくに)(すく)(こと)出来(でき)ないものたるを()るべきなり。
221大正一一・三・三 旧二・五 加藤明子録)
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