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第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
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第75巻(寅の巻)
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第77巻(辰の巻)
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第11巻(戌の巻)
言霊反
凡例
信天翁(二)
総説歌
第1篇 長駆進撃
01 クス野ケ原
〔468〕
02 一目お化
〔469〕
03 死生観
〔470〕
04 梅の花
〔471〕
05 大風呂敷
〔472〕
06 奇の都
〔473〕
07 露の宿
〔474〕
第2篇 意気揚々
08 明志丸
〔475〕
09 虎猫
〔476〕
10 立聞
〔477〕
11 表教
〔478〕
12 松と梅
〔479〕
13 転腹
〔480〕
14 鏡丸
〔481〕
第3篇 言霊解
15 大気津姫の段(一)
〔482〕
16 大気津姫の段(二)
〔483〕
17 大気津姫の段(三)
〔484〕
第4篇 満目荒寥
18 琵琶の湖
〔485〕
19 汐干丸
〔486〕
20 醜の窟
〔487〕
21 俄改心
〔488〕
22 征矢の雨
〔489〕
23 保食神
〔490〕
第5篇 乾坤清明
24 顕国宮
〔491〕
25 巫の舞
〔492〕
26 橘の舞
〔493〕
27 太玉松
〔494〕
28 二夫婦
〔495〕
29 千秋楽
〔496〕
余白歌
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> 第4篇 満目荒寥 > 第18章 琵琶の湖
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第一八章
琵琶
(
びは
)
の
湖
(
うみ
)
〔四八五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻
篇:
第4篇 満目荒寥
よみ(新仮名遣い):
まんもくこうりょう
章:
第18章 琵琶の湖
よみ(新仮名遣い):
びわのうみ
通し章番号:
485
口述日:
1922(大正11)年03月03日(旧02月05日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年9月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
琵琶の湖には、かなり大きな松島、竹島、梅島という島があった。船は梅島に着いた。ここでまた嵐が起こり、船は島に三日三晩逗留することになった。船中の客はそのほとんどが、大工道具を持っている。
時公は船客にわけを聞くと、コーカス山の大気津姫が、ぜいたくをして、しきりに普請をしている。そのために各地から大工が駆り集められている、という。
また、大気津姫の部下たちは八王(ヤッコス)を名乗っているが、これは昔の八王ではなく、単に利己主義の財産持ちに過ぎない、という。
大工たちの話によれば、竹野姫という宣伝使が大気津姫に捕らえられ、岩屋に監禁されているという。また、竹野姫の姉妹の宣伝使を捕らえようと、各地に捕り手を派遣しているという。
松代姫は自ら、竹野姫の姉妹宣伝使であることを明かし、船中の大工たちに、自分たちを捕らえて大気津姫のところに引き出し、手柄にするように、と言った。時公は松代姫の大胆さに驚いて引き止めるが、梅ケ香姫も気にせず、逆に時公の臆病さを笑う。
そうこうするうちに船は島を出て、波の上を進んで行く。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-08-11 19:48:18
OBC :
rm1118
愛善世界社版:
171頁
八幡書店版:
第2輯 575頁
修補版:
校定版:
173頁
普及版:
75頁
初版:
ページ備考:
001
さしもに
寒
(
さむ
)
き
冬
(
ふゆ
)
の
日
(
ひ
)
も
002
何時
(
いつ
)
しか
暮
(
く
)
れて
春霞
(
はるがすみ
)
003
靉
(
たなび
)
く
時
(
とき
)
を
松代姫
(
まつよひめ
)
004
神徳
(
しんとく
)
薫
(
かを
)
る
梅ケ香
(
うめがか
)
の
005
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
006
三人
(
みたり
)
の
随伴
(
とも
)
を
引連
(
ひきつ
)
れて
007
魔神
(
まがみ
)
の
猛
(
たけ
)
ぶコーカスの
008
山
(
やま
)
の
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
悉
(
ことごと
)
く
009
神
(
かみ
)
の
御水火
(
みいき
)
に
言向
(
ことむ
)
けて
010
三五教
(
あななひけう
)
を
開
(
ひら
)
かむと
011
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
に
継
(
つ
)
いで
雪
(
ゆき
)
の
路
(
みち
)
012
ゆき
疲
(
つか
)
れたる
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
013
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
もはやりつつ
014
早
(
はや
)
くも
琵琶
(
びは
)
の
湖
(
うみ
)
の
辺
(
へ
)
に
015
月
(
つき
)
照
(
て
)
る
夜半
(
よは
)
に
着
(
つ
)
きにけり
016
明
(
あ
)
くれば
広
(
ひろ
)
き
琵琶
(
びは
)
の
湖
(
うみ
)
017
浪
(
なみ
)
に
漂
(
ただよ
)
ふ
汐干丸
(
しほひまる
)
018
朝日
(
あさひ
)
を
受
(
う
)
けてコーカスの
019
御山
(
みやま
)
を
指
(
さ
)
して
走
(
はし
)
り
行
(
ゆ
)
く
020
コーカス
山
(
ざん
)
の
山颪
(
やまおろし
)
021
降
(
ふ
)
る
雪
(
ゆき
)
さへも
交
(
まじ
)
はりて
022
歯
(
は
)
の
根
(
ね
)
も
合
(
あ
)
はぬ
寒空
(
さむぞら
)
に
023
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
暖
(
あたた
)
かき
024
救
(
すく
)
ひの
船
(
ふね
)
と
喜
(
よろこ
)
びつ
025
言霊
(
ことたま
)
清
(
きよ
)
く
琵琶
(
びは
)
の
湖
(
うみ
)
026
浪音
(
なみおと
)
立
(
た
)
てて
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
027
琵琶
(
びは
)
の
湖
(
うみ
)
には
松島
(
まつしま
)
、
028
竹島
(
たけしま
)
、
029
梅島
(
うめしま
)
といふかなり
大
(
おほ
)
きな
島
(
しま
)
がある。
030
松島
(
まつしま
)
は
全島
(
ぜんたう
)
一面
(
いちめん
)
に
鬱蒼
(
うつさう
)
たる
松樹
(
しようじゆ
)
繁茂
(
はんも
)
し、
031
竹島
(
たけじま
)
は
斑竹
(
はんちく
)
一面
(
いちめん
)
に
発生
(
はつせい
)
してゐる。
032
さうして
梅島
(
うめしま
)
には
草木
(
くさき
)
らしきものは
一
(
ひと
)
つもなく、
033
殆
(
ほとん
)
ど
岩石
(
がんせき
)
のみ
屹立
(
きつりつ
)
した
島
(
しま
)
である。
034
船
(
ふね
)
は
漸
(
やうや
)
くにして
梅島
(
うめしま
)
の
麓
(
ふもと
)
に
着
(
つ
)
いた。
035
断岸
(
だんがん
)
絶壁
(
ぜつぺき
)
、
036
紺碧
(
こんぺき
)
の
湖中
(
こちう
)
に
突出
(
とつしゆつ
)
し、
037
見
(
み
)
る
者
(
もの
)
をして
壮烈
(
さうれつ
)
快絶
(
くわいぜつ
)
を
叫
(
さけ
)
ばしむる
絶景
(
ぜつけい
)
である。
038
この
島
(
しま
)
には
天然
(
てんねん
)
の
港
(
みなと
)
がある。
039
折
(
をり
)
しも
風波
(
ふうは
)
激
(
はげ
)
しければ、
040
岩窟
(
がんくつ
)
の
港
(
みなと
)
に
船
(
ふね
)
を
横
(
よこ
)
たへて、
041
暫
(
しばら
)
く
此処
(
ここ
)
に
天候
(
てんこう
)
の
静穏
(
せいをん
)
になる
日
(
ひ
)
を
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
とした。
042
是
(
これ
)
より
三日
(
みつか
)
三夜
(
みよさ
)
颶風
(
ぐふう
)
荐
(
しき
)
りに
至
(
いた
)
り、
043
波
(
なみ
)
高
(
たか
)
く、
044
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
三日
(
みつか
)
三夜
(
みよさ
)
を
岩窟
(
がんくつ
)
の
港
(
みなと
)
に
過
(
すご
)
す
事
(
こと
)
となつた。
045
船客
(
せんきやく
)
は
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
許
(
ばか
)
りも
乗
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
046
船
(
ふね
)
の
無聊
(
ぶれう
)
を
慰
(
なぐさ
)
むる
為
(
ため
)
に、
047
彼方
(
あちら
)
にも
此方
(
こちら
)
にも
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ふ
者
(
もの
)
、
048
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
る
者
(
もの
)
が
現
(
あら
)
はれた。
049
船中
(
せんちう
)
の
客
(
きやく
)
は
七八分
(
しちはちぶ
)
まで
鑿
(
のみ
)
や
鉋
(
かんな
)
や
槌
(
つち
)
などの
大工
(
だいく
)
道具
(
だうぐ
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
る。
050
時公
(
ときこう
)
は
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
の
車座
(
くるまざ
)
となつて、
051
何事
(
なにごと
)
か
雑談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
前
(
まへ
)
に
胡床
(
あぐら
)
をかき、
052
時公
(
ときこう
)
『
一寸
(
ちよつと
)
お
尋
(
たづ
)
ね
致
(
いた
)
します。
053
この
船
(
ふね
)
のお
客
(
きやく
)
さんは
大抵
(
たいてい
)
皆
(
みな
)
大工
(
だいく
)
さまと
見
(
み
)
えますが、
054
これ
程
(
ほど
)
多数
(
たくさん
)
の
大工
(
だいく
)
が
何処
(
どこ
)
へ
行
(
ゆ
)
かれるのですか』
055
甲
(
かふ
)
(馬公)
『
俺
(
おれ
)
は
黒野
(
くろの
)
ケ
原
(
はら
)
から
来
(
き
)
た
大工
(
だいく
)
だが、
056
これからコーカス
山
(
ざん
)
に
引越
(
ひつこ
)
すのだ』
057
時公
(
ときこう
)
『コーカス
山
(
ざん
)
には、
058
それ
程
(
ほど
)
沢山
(
たくさん
)
の
大工
(
だいく
)
が
行
(
い
)
つて
何
(
なに
)
をするのですか』
059
乙
(
おつ
)
(牛公)
『お
前
(
まへ
)
さんは、
060
あれ
程
(
ほど
)
名高
(
なだか
)
いコーカス
山
(
ざん
)
の
御
(
ご
)
普請
(
ふしん
)
を
知
(
し
)
らぬのか。
061
ソレハソレハ
立派
(
りつぱ
)
な
御殿
(
ごてん
)
が、
062
彼方
(
あちら
)
にも
此方
(
こちら
)
にも
建
(
た
)
つて
居
(
を
)
る。
063
さうして
今度
(
こんど
)
新
(
あたら
)
しい
宮
(
みや
)
さまが
建
(
た
)
つのだ。
064
それでコーカス
山
(
ざん
)
の
大気津
(
おほげつ
)
姫
(
ひめ
)
とかいふ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
家来
(
けらい
)
をそこら
中
(
ぢう
)
に
配置
(
まくば
)
つて、
065
遠近
(
をちこち
)
の
大工
(
だいく
)
を
御
(
お
)
引寄
(
ひきよ
)
せになるのだ。
066
ヤツコスやヒツコスやクスの
神
(
かみ
)
が
毎日
(
まいにち
)
日日
(
ひにち
)
、
067
コーカス
山
(
ざん
)
に
集
(
あつ
)
まつて
大
(
おほ
)
きな
都
(
みやこ
)
が
開
(
ひら
)
けて
居
(
を
)
るのだよ』
068
時公
(
ときこう
)
『ヤツコス、
069
ヒツコス、
070
クスの
神
(
かみ
)
とはソラ
何
(
な
)
ンだ。
071
妙
(
めう
)
な
者
(
もの
)
だナ』
072
乙
(
おつ
)
(牛公)
『お
前
(
まへ
)
何
(
なん
)
にも
分
(
わか
)
らぬ
男
(
をとこ
)
だな、
073
大
(
おほ
)
きな
図体
(
づうたい
)
をしやがつて、
074
それだから
独活
(
うど
)
の
大木
(
たいぼく
)
、
075
柄見倒
(
がらみたふ
)
しといふのだ、
076
大男
(
おほおとこ
)
総身
(
そうみ
)
に
智慧
(
ちゑ
)
が
廻
(
まは
)
り
兼
(
か
)
ねだ。
077
マアわしの
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いたが
宜
(
よ
)
かろう。
078
山椒
(
さんせう
)
は
小粒
(
こつぶ
)
でもヒリリと
辛
(
から
)
いといふ
事
(
こと
)
がある、
079
俺
(
おれ
)
はお
前
(
まへ
)
に
比
(
くら
)
ぶれば
根付
(
ねつけ
)
の
様
(
やう
)
な
小
(
ちひ
)
さい
男
(
をとこ
)
だが、
080
世界
(
せかい
)
から、
081
あの
牛公
(
うしこう
)
は
牛
(
うし
)
の
尻
(
けつ
)
だ
牛
(
うし
)
の
尻
(
しり
)
だと
言
(
い
)
はれて
居
(
を
)
るお
方
(
かた
)
だぞ。
082
どんな
事
(
こと
)
でも
知
(
し
)
らぬ
事
(
こと
)
はやつぱり
知
(
し
)
らぬ、
083
知
(
し
)
る
事
(
こと
)
は
皆
(
みんな
)
知
(
し
)
つとる。
084
聴
(
き
)
かして
欲
(
ほ
)
しければ
胡床
(
あぐら
)
をかいて
傲然
(
がうぜん
)
と
構
(
かま
)
へて
居
(
を
)
らずに、
085
チンと
坐
(
すわ
)
つて、
086
御
(
ご
)
叮嚀
(
ていねい
)
にお
辞儀
(
じぎ
)
せぬかい』
087
時公
(
ときこう
)
『アヽ
仕様
(
しやう
)
ないなア。
088
マア
辛抱
(
しんばう
)
して
聞
(
き
)
いてやらうかい』
089
牛公
(
うしこう
)
『
開
(
あ
)
いた
口
(
くち
)
が
塞
(
ふさ
)
がらぬ、
090
牛
(
うし
)
の
糞
(
くそ
)
が
天下
(
てんか
)
を
取
(
と
)
ると
云
(
い
)
ふ
譬
(
たとへ
)
を
知
(
し
)
つとるか。
091
何
(
なん
)
でも、
092
三五教
(
あななひけう
)
の
小便
(
せうべん
)
しいとか
大便使
(
だいべんしい
)
とかいふ
奴
(
やつ
)
が、
093
こないだ、
094
そんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
つてコーカス
山
(
ざん
)
へ
行
(
ゆ
)
きやがつて、
095
頭
(
あたま
)
から
糞
(
ばば
)
かけられて、
096
今
(
いま
)
ではアババのバアぢや。
097
アツハヽヽヽ』
098
時公
(
ときこう
)
『
随分
(
ずゐぶん
)
前
(
まへ
)
置
(
お
)
きが
長
(
なが
)
いなア』
099
甲
(
かふ
)
(馬公)
『モシモシ
貴方
(
あなた
)
、
100
そんな
奴
(
やつ
)
に
物
(
もの
)
を
聞
(
き
)
いたつて
何
(
なに
)
が
分
(
わか
)
りますか。
101
此奴
(
こいつ
)
は
何時
(
いつ
)
も
猿
(
さる
)
の
人真似
(
ひとまね
)
で、
102
偉
(
えら
)
さうに
威張
(
ゐば
)
るのが
芸
(
げい
)
だ、
103
モウあれ
丈
(
だけ
)
云
(
い
)
つたら
後
(
あと
)
はないのです。
104
私
(
わたし
)
が
何
(
なん
)
でも
知
(
し
)
つてますから、
105
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
があれば
問
(
と
)
うて
下
(
くだ
)
さい。
106
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
ぢやないが、
107
大
(
だい
)
は
宇宙
(
うちう
)
の
真相
(
しんさう
)
から
小
(
せう
)
は
虱
(
しらみ
)
の
腸
(
はらわた
)
まで
能
(
よ
)
く
御存
(
ごぞん
)
じの
馬
(
うま
)
さまだ。
108
あなたも
牛
(
うし
)
を
馬
(
うま
)
に
乗替
(
のりか
)
へて、
109
牛
(
もう
)
の
尻
(
しり
)
の
物
(
もの
)
知
(
し
)
らずの
牛糞
(
うしくそ
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
110
テンから
取上
(
とりあ
)
げぬが
宜
(
よろ
)
しい。
111
馬
(
うま
)
さまが
ウマ
く
説明
(
せつめい
)
して
上
(
あ
)
げます』
112
牛公
(
うしこう
)
『コラコラ、
113
モウ
止
(
や
)
めぬか、
114
馬鹿
(
ばか
)
な
奴
(
やつ
)
、
115
コレコレ
大
(
おほ
)
きなお
方
(
かた
)
、
116
彼奴
(
あいつ
)
の
ウマ
い
話
(
はなし
)
に
漫然
(
うつかり
)
乗
(
の
)
らうものなら、
117
牛々
(
ぎうぎう
)
いふ
様
(
やう
)
な
目
(
め
)
に
遭
(
あ
)
はされて
馬鹿
(
ばか
)
を
見
(
み
)
ますで……』
118
馬公
(
うまこう
)
『コラ
牛公
(
うしこう
)
、
119
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬ
)
かしやがるのだ。
120
他人
(
ひと
)
の
事
(
こと
)
に
横槍
(
よこやり
)
を
入
(
い
)
れやがつて……』
121
丙
(
へい
)
(鹿公)
『オイオイ、
122
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
は
牛飲
(
ぎういん
)
馬食
(
ばしよく
)
と
云
(
い
)
つて、
123
酒
(
さけ
)
計
(
ばか
)
り
喰
(
くら
)
つて
飯
(
めし
)
は
五人前
(
ごにんまへ
)
も
十人前
(
じふにんまへ
)
も
平気
(
へいき
)
で
平
(
たひら
)
げやがつて、
124
腮
(
あご
)
ばつかり
達者
(
たつしや
)
な
法螺吹
(
ほらふ
)
きだ。
125
この
鹿
(
しか
)
さまはその
名
(
な
)
の
如
(
ごと
)
くシツカリとして
御座
(
ござ
)
る
鹿
(
しか
)
さまだ』
126
牛公
(
うしこう
)
『
鹿公
(
しかこう
)
、
127
貴様
(
きさま
)
は
鼻
(
はな
)
ばつかり
高
(
たか
)
くしやがつて、
128
下
(
くだ
)
らん
事
(
こと
)
を
能
(
よ
)
う
囀
(
さへづ
)
るから、
129
彼奴
(
あいつ
)
は
ハナシカ
だと
云
(
い
)
うて
居
(
を
)
るぞ、
130
大工
(
だいく
)
のやうな
事
(
こと
)
は
職過
(
しよくす
)
ぎとる。
131
モシモシ
大
(
おほ
)
きな
男
(
をとこ
)
のお
方
(
かた
)
、
132
此奴
(
こいつ
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
皆
(
みんな
)
落話
(
おとしばなし
)
で、
133
聞落
(
ききおと
)
し、
134
言
(
い
)
ひ
落
(
おと
)
し、
135
見落
(
みおと
)
し、
136
人
(
ひと
)
嚇
(
おど
)
し、
137
烏
(
からす
)
嚇
(
おど
)
しの
様
(
やう
)
なものです。
138
聞
(
き
)
かぬが
宜
(
よろ
)
しいで』
139
鹿公
(
しかこう
)
『
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
吐
(
ぬ
)
かすと
シカ
られるぞ』
140
牛公
(
うしこう
)
『
牛
(
うし
)
と
見
(
み
)
し
世
(
よ
)
ぞ
今
(
いま
)
は
悲
(
かな
)
しき、
141
といふ
様
(
やう
)
な
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はしたろか。
142
鹿
(
しか
)
が
シカ
みついてやつた。
143
ナンダ
蟹
(
かに
)
の
様
(
やう
)
な
シカ
見面
(
みづら
)
をしやがつて、
144
牛
(
うし
)
の
尻
(
けつ
)
もあつたものかい』
145
時公
(
ときこう
)
『ヤ、
146
モウモウ
牛
(
うし
)
さまの
話
(
はなし
)
で
馬鹿
(
ばか
)
を
見
(
み
)
ましたワイ。
147
本当
(
ほんたう
)
に
旅
(
たび
)
をすると、
148
馬鹿
(
ばか
)
々々
(
ばか
)
しい
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
うものだ。
149
この
島
(
しま
)
ぢやないが、
150
ウメ
イ
話
(
はなし
)
はないかい』
151
丁
(
てい
)
(虎公)
『ありますともありますとも。
152
コーカス
山
(
ざん
)
にマア
一寸
(
ちよつと
)
登
(
のぼ
)
つて
見
(
み
)
なさい、
153
美味
(
うま
)
い
酒
(
さけ
)
は
泉
(
いづみ
)
の
如
(
ごと
)
くに
湛
(
たた
)
へられてある。
154
肉
(
にく
)
は
沢山
(
たくさん
)
に
吊下
(
つりさ
)
げてある。
155
それはそれは
酒池
(
しゆち
)
肉林
(
にくりん
)
だ』
156
馬公
(
うまこう
)
『コラ
虎公
(
とらこう
)
、
157
なんぼウメイ
物
(
もの
)
があつても、
158
話
(
はなし
)
丈
(
だけ
)
では
根
(
ね
)
つから
気
(
き
)
が
行
(
い
)
かぬぢやないか、
159
其奴
(
そいつ
)
は
皆
(
みんな
)
八王
(
やつこす
)
や
奇
(
くす
)
の
神
(
かみ
)
が
食
(
く
)
ふのだ。
160
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
は
指
(
ゆび
)
を
銜
(
くは
)
へて、
161
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
までカンカンコンコンとカチワリ
大工
(
だいく
)
をやつて、
162
汗
(
あせ
)
をかいて
汗
(
あせ
)
の
脂
(
あぶら
)
を
舐
(
ねぶ
)
つとる
位
(
くらゐ
)
が
関
(
せき
)
の
山
(
やま
)
だ。
163
ヒツコスはヒツコスで
引込
(
ひきこ
)
んどれ』
164
時公
(
ときこう
)
『ヤ、
165
其
(
その
)
ヤツコスとかヒツコスとか
云
(
い
)
ふのが
聞
(
き
)
きたいのだ』
166
虎公
(
とらこう
)
『
八王
(
やつこす
)
といふのは、
167
世界中
(
せかいぢう
)
の
贅沢
(
ぜいたく
)
な
奴
(
やつ
)
が
沢山
(
たくさん
)
な
金
(
かね
)
を
持
(
も
)
ちやがつて、
168
ウラル
姫
(
ひめ
)
とか
常世姫
(
とこよひめ
)
とか
云
(
い
)
ふ
偉
(
えら
)
い
贅沢
(
ぜいたく
)
な
神
(
かみ
)
が、
169
大
(
おほ
)
けな
尻
(
けつ
)
を
振
(
ふ
)
りやがつて
大尻姫
(
おほげつひめ
)
などと
言
(
い
)
つてる。
170
その
家来
(
けらい
)
が
皆
(
みんな
)
家
(
いへ
)
を
持
(
も
)
つて
家
(
いへ
)
を
建
(
た
)
てて
方々
(
はうばう
)
から
移転
(
こ
)
して
来
(
く
)
るのだ、
171
それをヤツコスと
云
(
い
)
ふのだ。
172
昔
(
むかし
)
は
十二
(
じふに
)
も
八王
(
やつわう
)
とか、
173
八王
(
やつこす
)
とか
云
(
い
)
つた
偉
(
えら
)
い
神
(
かみ
)
さんが、
174
天山
(
てんざん
)
にも、
175
青雲山
(
せいうんざん
)
にも、
176
鬼城山
(
きじやうざん
)
にも、
177
蛸間山
(
たこまやま
)
にも、
178
その
外
(
ほか
)
にも
沢山
(
たくさん
)
あつたさうぢやが、
179
今度
(
こんど
)
の
八王
(
やつこす
)
はそんな
気
(
き
)
の
利
(
き
)
いた
八王
(
やつこす
)
ぢやない、
180
利己主義
(
われよし
)
の、
181
人
(
ひと
)
泣
(
な
)
かせの、
182
財産家
(
ものもち
)
連中
(
れんちう
)
の
楽隠居
(
らくいんきよ
)
をするのを、
183
是
(
こ
)
れを
称
(
しよう
)
して
即
(
すなは
)
ち
八王
(
やつこす
)
といふ。
184
ヘン』
185
馬公
(
うまこう
)
『コラ
虎公
(
とらこう
)
、
186
何
(
なに
)
をヘンなんて
空嘯
(
うそぶ
)
きやがつて、
187
馬鹿
(
ばか
)
にするない。
188
ヒツコス
奴
(
め
)
が』
189
虎公
(
とらこう
)
『
貴様
(
きさま
)
もヒツコスぢやないか、
190
甲斐性
(
かひしやう
)
なし
奴
(
め
)
が。
191
カチワリ
大工
(
だいく
)
の
其処
(
そこ
)
ら
中
(
ぢう
)
で
恥
(
はぢ
)
を
柿
(
かき
)
のヘタ
大工
(
だいく
)
奴
(
め
)
が
使用主
(
つかいて
)
がないものだから、
192
刃
(
は
)
の
欠
(
か
)
けた
鑿
(
のみ
)
を
一本
(
いつぽん
)
持
(
も
)
ちよつて、
193
荒
(
あら
)
削
(
けづ
)
りの
下役
(
したやく
)
に
行
(
ゆ
)
くんぢやないか、
194
アラシコ
大工
(
だいく
)
奴
(
め
)
が。
195
斯
(
こ
)
う
見
(
み
)
えても
此
(
この
)
方
(
はう
)
さまは
上
(
じやう
)
シコだ。
196
せめて
中
(
ちう
)
シコ
位
(
くらゐ
)
にならねば
巾
(
はば
)
は
利
(
き
)
かぬぞ。
197
大工
(
だいく
)
も
上
(
じやう
)
シコ
鉋
(
かんな
)
を
使
(
つか
)
ふ
様
(
やう
)
になれば、
198
占
(
し
)
めたものだ』
199
馬公
(
うまこう
)
『
貴様
(
きさま
)
はシコはシコだが
醜神
(
しこがみ
)
だ。
200
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
には
一番
(
いちばん
)
に
四股
(
しこ
)
を
入
(
い
)
れやがつて、
201
他人
(
ひと
)
の
膏
(
あぶら
)
をシコタマ
搾
(
しぼ
)
りやがる
醜女
(
しこめ
)
だ。
202
チツト
是
(
これ
)
から
俺
(
おれ
)
が
天地
(
てんち
)
の
道理
(
だうり
)
を
説
(
と
)
いて、
203
貴様
(
きさま
)
を
仕込
(
しこ
)
んでやらうか。
204
仕込杖
(
しこみづゑ
)
も
一本
(
いつぽん
)
や
二本
(
にほん
)
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
るから、
205
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
吐
(
ぬ
)
かすと、
206
貴様
(
きさま
)
のドテツ
腹
(
ぱら
)
へ
仕込
(
しこ
)
むでやるぞ』
207
時公
(
ときこう
)
『オイオイ
大工
(
だいく
)
同志
(
どうし
)
、
208
喧嘩
(
けんくわ
)
ははづまんぢやないか、
209
酒
(
さけ
)
を
鑿
(
のみ
)
ぢやとか、
210
カンナぢやとか、
211
冷酒
(
ひやざけ
)
だとか
言
(
い
)
はずに、
212
マアマア
心
(
こころ
)
を
落付
(
おちつ
)
けて、
213
カンナガラ
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
を
唱
(
とな
)
へたらどうぢや』
214
馬公
(
うまこう
)
『ナントあんたは
馬
(
うま
)
い
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひますね。
215
そら
燗
(
かん
)
した
酒
(
さけ
)
の
味
(
あぢ
)
は
耐
(
たま
)
りませぬ、
216
チツトち
割
(
わ
)
つて
呉
(
く
)
れと
仰有
(
おつしや
)
るのか。
217
現代
(
いま
)
の
奴
(
やつ
)
は
利己主義
(
われよし
)
だから
中々
(
なかなか
)
チワルのチハイマスのと
云
(
い
)
ふ
様
(
やう
)
なお
人善
(
ひとよし
)
はありませぬデ。
218
酒
(
さけ
)
も
酒
(
さけ
)
も
曇
(
くも
)
つた
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だ。
219
……
酒
(
さけ
)
に
就
(
つい
)
て
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
したが、
220
ナンでも
酒
(
さけ
)
の
姫
(
ひめ
)
とか
云
(
い
)
ふ
小便使
(
せうべんしい
)
がコーカス
山
(
ざん
)
へ
大尻姫
(
おほげつひめ
)
と
穴競
(
あなくら
)
べとか、
221
尻比
(
けつくら
)
べとかに
行
(
い
)
きよつたさうだ。
222
そした
所
(
ところ
)
がその
小便使
(
せうべんしい
)
は
穴無
(
あなな
)
い
教
(
けう
)
だとかで、
223
薩張
(
さつぱ
)
り
大気津
(
おほげつ
)
の
神
(
かみ
)
に
取
(
と
)
つ
詰
(
つめ
)
られて、
224
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
へ
投込
(
ほりこ
)
まれたと
云
(
い
)
ふ
話
(
はなし
)
だ。
225
三五教
(
あななひけう
)
だから
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
へ
入
(
い
)
れて
貰
(
もら
)
ひよつたのだらう』
226
時公
(
ときこう
)
『
酒
(
さけ
)
の
姫
(
ひめ
)
、
227
そりやあなたの
御
(
お
)
聞違
(
ききちがひ
)
ぢやありませぬか。
228
竹野姫
(
たけのひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
女
(
をんな
)
の
方
(
かた
)
ぢやあるまいかなア』
229
馬公
(
うまこう
)
『ナンデも、
230
青
(
あを
)
い
様
(
やう
)
な
長
(
なが
)
い
様
(
やう
)
な
名
(
な
)
だつた。
231
ウンさうさう、
232
この
湖
(
うみ
)
には
竹島
(
たけしま
)
という
島
(
しま
)
があるワイ。
233
琵琶
(
びは
)
の
湖
(
うみ
)
の
島
(
しま
)
に
能
(
よ
)
く
似
(
に
)
たまた
二人
(
ふたり
)
の
姉妹
(
きやうだい
)
があると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ。
234
梅
(
うめ
)
とか、
235
松
(
まつ
)
とか
云
(
い
)
ふ
小便使
(
せうべんしい
)
が、
236
コーカス
山
(
ざん
)
へ
小便
(
せうべん
)
垂
(
た
)
れに
来
(
く
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だから、
237
其奴
(
そいつ
)
を
捉
(
つかま
)
へたら、
238
それこそ
大
(
たい
)
したものだ』
239
時公
(
ときこう
)
『それは
誰
(
たれ
)
がそんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
たのだ』
240
馬公
(
うまこう
)
『イヤ
誰
(
たれ
)
でもない、
241
その
竹野姫
(
たけのひめ
)
が
岩室
(
いはむろ
)
へ
打込
(
ぶちこ
)
まれる
時
(
とき
)
に、
242
アヽ
松島
(
まつしま
)
、
243
梅島
(
うめしま
)
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいとほざけやがつたのだ。
244
それでまだ
二人
(
ふたり
)
の
小便使
(
せうべんしい
)
があると
云
(
い
)
ふので、
245
それを
大気津
(
おほげつ
)
姫
(
ひめ
)
が
手
(
て
)
を
配
(
くば
)
つて
探
(
さが
)
しに
廻
(
まは
)
らして
居
(
を
)
るのだ。
246
そいつを
捕
(
つかま
)
へたら
最後
(
さいご
)
、
247
我々
(
われわれ
)
も
御
(
ご
)
褒美
(
ほうび
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
して、
248
かち
割
(
わり
)
大工
(
だいく
)
を
廃
(
や
)
め、
249
引越
(
ひつこ
)
すから
直
(
すぐ
)
に
八王
(
やつこす
)
になるのだ』
250
時公
(
ときこう
)
『コーカス
山
(
ざん
)
には
大概
(
およそ
)
八王
(
やつこす
)
が
幾許
(
いくら
)
程
(
ほど
)
居
(
を
)
るのだ』
251
馬公
(
うまこう
)
『サア、
252
大概
(
およそ
)
八百
(
はつぴやく
)
八十八
(
はちじふはち
)
位
(
くらゐ
)
あるだらうなア』
253
牛公
(
うしこう
)
『うそ
八百
(
はつぴやく
)
云
(
い
)
うな、
254
貴様
(
きさま
)
は
嘘馬
(
うそうま
)
と
云
(
い
)
うて
村中
(
むらぢう
)
の
評判
(
ひやうばん
)
だ』
255
馬公
(
うまこう
)
『
耄碌
(
もうろく
)
大工
(
だいく
)
牛
(
もう
)
の
尻
(
けつ
)
黙
(
だま
)
れツ、
256
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
云
(
い
)
うと、
257
化
(
ばけ
)
が
露
(
あら
)
はれて
糞
(
くそ
)
が
出
(
で
)
るぞ。
258
牛糞
(
うしくそ
)
が
天下
(
てんか
)
を
取
(
と
)
り
損
(
そこ
)
ねるぞ』
259
松代姫
(
まつよひめ
)
、
260
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
は
被面布
(
ひめんぷ
)
を
除
(
と
)
り、
261
牛公
(
うしこう
)
、
262
馬公
(
うまこう
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ、
263
松、梅
『
妾
(
わらは
)
がお
話
(
はなし
)
の
松代姫
(
まつよひめ
)
、
264
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
265
竹野姫
(
たけのひめ
)
の
姉
(
あね
)
と
妹
(
いもうと
)
、
266
何卒
(
どうぞ
)
妾
(
わらは
)
を
連
(
つ
)
れて
大気津
(
おほげつ
)
姫
(
ひめ
)
とやらの
側
(
そば
)
へ
案内
(
あんない
)
して
下
(
くだ
)
さらぬか。
267
あなた
方
(
がた
)
のお
手柄
(
てがら
)
になりますから……』
268
時公
(
ときこう
)
『これはしたり
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
様
(
さま
)
、
269
大胆
(
だいたん
)
不敵
(
ふてき
)
な
其
(
その
)
お
言葉
(
ことば
)
………オイオイ
牛
(
うし
)
、
270
馬
(
うま
)
、
271
鹿
(
しか
)
、
272
虎
(
とら
)
、
273
嘘
(
うそ
)
だぞ
嘘
(
うそ
)
だぞ。
274
この
方
(
かた
)
は
小便使
(
せうべんしい
)
でも
何
(
なん
)
でもない。
275
松
(
まつ
)
でも、
276
梅
(
うめ
)
でもないのだ。
277
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
があまり
ウメ
イ
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
うて、
278
牛糞
(
うしくそ
)
が
天下
(
てんか
)
を
取
(
と
)
る
世
(
よ
)
を
待
(
ま
)
つもんだから、
279
滑稽
(
こつけい
)
交
(
まじ
)
りに
妾
(
わらは
)
が
松
(
まつ
)
だとか、
280
梅
(
うめ
)
だとか、
281
ウメ
イ
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
るのだ。
282
全
(
まつた
)
く
戯談
(
じやうだん
)
だ。
283
斯
(
こ
)
んな
女
(
をんな
)
を
引張
(
ひつぱ
)
つて
行
(
ゆ
)
かうものならそれこそ
大騒動
(
おほさうどう
)
が
起
(
おこ
)
つて
仕末
(
しまつ
)
におえぬぞ』
284
松代姫
(
まつよひめ
)
『オホヽヽヽ、
285
時
(
とき
)
さま、
286
嘘
(
うそ
)
言
(
い
)
つてはいけませぬ、
287
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しなさい』
288
時公
(
ときこう
)
『こんな
所
(
ところ
)
で
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
して
堪
(
た
)
まりますか、
289
この
船
(
ふね
)
の
客
(
きやく
)
は
残
(
のこ
)
らずヒツコスばつかりだ。
290
ウツカリした
事
(
こと
)
おつしやると
大変
(
たいへん
)
ですデ』
291
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
『ホヽヽ、
292
時
(
とき
)
さんの
弱
(
よわ
)
いこと、
293
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
云
(
い
)
つたら、
294
ヒツコスの
首
(
くび
)
を
残
(
のこ
)
らずヒツコ
抜
(
ぬ
)
く
迄
(
まで
)
のことですよ』
295
時公
(
ときこう
)
『これはこれは、
296
あなたこそ
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しなさい』
297
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
『イエイエ、
298
皆
(
みな
)
さま
達
(
たち
)
の
体主霊従魂
(
からみたま
)
が
黄泉
(
よもつ
)
の
国
(
くに
)
に
引越
(
ひつこ
)
して、
299
神
(
かみ
)
の
国
(
くに
)
の
身魂
(
みたま
)
が
皆
(
みな
)
さまの
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
へ
引越
(
ひつこ
)
すといふ
事
(
こと
)
です』
300
時公
(
ときこう
)
『アハヽヽヽ、
301
梅ケ香
(
うめがか
)
さま、
302
ウメ
イ
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
る』
303
松代姫
(
まつよひめ
)
『ホヽヽヽ』
304
斯
(
か
)
くする
間
(
うち
)
、
305
三日
(
みつか
)
三夜
(
みよさ
)
の
颶風
(
ぐふう
)
はピタリと
歇
(
や
)
ンだ。
306
船
(
ふね
)
は
再
(
ふたた
)
び
真帆
(
まほ
)
に
風
(
かぜ
)
を
孕
(
はら
)
んで、
307
西北
(
せいほく
)
指
(
さ
)
して
畳
(
たたみ
)
の
様
(
やう
)
な、
308
凪
(
な
)
ぎ
渡
(
わた
)
つたる
浪
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
をスルスルと
辷
(
すべ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
309
(
大正一一・三・三
旧二・五
松村真澄
録)
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