霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一八章 琵琶(びは)(うみ)〔四八五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻 篇:第4篇 満目荒寥 よみ(新仮名遣い):まんもくこうりょう
章:第18章 琵琶の湖 よみ(新仮名遣い):びわのうみ 通し章番号:485
口述日:1922(大正11)年03月03日(旧02月05日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
琵琶の湖には、かなり大きな松島、竹島、梅島という島があった。船は梅島に着いた。ここでまた嵐が起こり、船は島に三日三晩逗留することになった。船中の客はそのほとんどが、大工道具を持っている。
時公は船客にわけを聞くと、コーカス山の大気津姫が、ぜいたくをして、しきりに普請をしている。そのために各地から大工が駆り集められている、という。
また、大気津姫の部下たちは八王(ヤッコス)を名乗っているが、これは昔の八王ではなく、単に利己主義の財産持ちに過ぎない、という。
大工たちの話によれば、竹野姫という宣伝使が大気津姫に捕らえられ、岩屋に監禁されているという。また、竹野姫の姉妹の宣伝使を捕らえようと、各地に捕り手を派遣しているという。
松代姫は自ら、竹野姫の姉妹宣伝使であることを明かし、船中の大工たちに、自分たちを捕らえて大気津姫のところに引き出し、手柄にするように、と言った。時公は松代姫の大胆さに驚いて引き止めるが、梅ケ香姫も気にせず、逆に時公の臆病さを笑う。
そうこうするうちに船は島を出て、波の上を進んで行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-08-11 19:48:18 OBC :rm1118
愛善世界社版:171頁 八幡書店版:第2輯 575頁 修補版: 校定版:173頁 普及版:75頁 初版: ページ備考:
001さしもに(さむ)(ふゆ)()
002何時(いつ)しか()れて春霞(はるがすみ)
003(たなび)(とき)松代姫(まつよひめ)
004神徳(しんとく)(かを)梅ケ香(うめがか)
005(ひめ)(みこと)宣伝使(せんでんし)
006三人(みたり)随伴(とも)引連(ひきつ)れて
007魔神(まがみ)(たけ)ぶコーカスの
008(やま)(かみ)(たち)(ことごと)
009(かみ)御水火(みいき)言向(ことむ)けて
010三五教(あななひけう)(ひら)かむと
011()()()いで(ゆき)(みち)
012ゆき(つか)れたる膝栗毛(ひざくりげ)
013(こころ)(こま)もはやりつつ
014(はや)くも琵琶(びは)(うみ)()
015(つき)()夜半(よは)()きにけり
016()くれば(ひろ)琵琶(びは)(うみ)
017(なみ)(ただよ)汐干丸(しほひまる)
018朝日(あさひ)()けてコーカスの
019御山(みやま)()して(はし)()
020コーカス(ざん)山颪(やまおろし)
021()(ゆき)さへも(まじ)はりて
022()()()はぬ寒空(さむぞら)
023(かみ)(めぐみ)(あたた)かき
024(すく)ひの(ふね)(よろこ)びつ
025言霊(ことたま)(きよ)琵琶(びは)(うみ)
026浪音(なみおと)()てて(すす)()く。
027 琵琶(びは)(うみ)には松島(まつしま)028竹島(たけしま)029梅島(うめしま)といふかなり(おほ)きな(しま)がある。030松島(まつしま)全島(ぜんたう)一面(いちめん)鬱蒼(うつさう)たる松樹(しようじゆ)繁茂(はんも)し、031竹島(たけじま)斑竹(はんちく)一面(いちめん)発生(はつせい)してゐる。032さうして梅島(うめしま)には草木(くさき)らしきものは(ひと)つもなく、033(ほとん)岩石(がんせき)のみ屹立(きつりつ)した(しま)である。
034 (ふね)(やうや)くにして梅島(うめしま)(ふもと)()いた。035断岸(だんがん)絶壁(ぜつぺき)036紺碧(こんぺき)湖中(こちう)突出(とつしゆつ)し、037()(もの)をして壮烈(さうれつ)快絶(くわいぜつ)(さけ)ばしむる絶景(ぜつけい)である。038この(しま)には天然(てんねん)(みなと)がある。039(をり)しも風波(ふうは)(はげ)しければ、040岩窟(がんくつ)(みなと)(ふね)(よこ)たへて、041(しばら)此処(ここ)天候(てんこう)静穏(せいをん)になる()()(こと)とした。
042 (これ)より三日(みつか)三夜(みよさ)颶風(ぐふう)(しき)りに(いた)り、043(なみ)(たか)く、044()むを()三日(みつか)三夜(みよさ)岩窟(がんくつ)(みなと)(すご)(こと)となつた。045船客(せんきやく)(ひやく)(にん)(ばか)りも()つて()る。046(ふね)無聊(ぶれう)(なぐさ)むる(ため)に、047彼方(あちら)にも此方(こちら)にも(うた)(うた)(もの)048雑談(ざつだん)(ふけ)(もの)(あら)はれた。049船中(せんちう)(きやく)七八分(しちはちぶ)まで(のみ)(かんな)(つち)などの大工(だいく)道具(だうぐ)()つて()る。050時公(ときこう)四五(しご)(にん)(をとこ)車座(くるまざ)となつて、051何事(なにごと)雑談(ざつだん)(ふけ)つて()(まへ)胡床(あぐら)をかき、
052時公(ときこう)一寸(ちよつと)(たづ)(いた)します。053この(ふね)のお(きやく)さんは大抵(たいてい)(みな)大工(だいく)さまと()えますが、054これ(ほど)多数(たくさん)大工(だいく)何処(どこ)()かれるのですか』
055(かふ)(馬公)(おれ)黒野(くろの)(はら)から()大工(だいく)だが、056これからコーカス(ざん)引越(ひつこ)すのだ』
057時公(ときこう)『コーカス(ざん)には、058それ(ほど)沢山(たくさん)大工(だいく)()つて(なに)をするのですか』
059(おつ)(牛公)『お(まへ)さんは、060あれ(ほど)名高(なだか)いコーカス(ざん)()普請(ふしん)()らぬのか。061ソレハソレハ立派(りつぱ)御殿(ごてん)が、062彼方(あちら)にも此方(こちら)にも()つて()る。063さうして今度(こんど)(あたら)しい(みや)さまが()つのだ。064それでコーカス(ざん)大気津(おほげつ)(ひめ)とかいふ(かみ)(さま)家来(けらい)をそこら(ぢう)配置(まくば)つて、065遠近(をちこち)大工(だいく)()引寄(ひきよ)せになるのだ。066ヤツコスやヒツコスやクスの(かみ)毎日(まいにち)日日(ひにち)067コーカス(ざん)(あつ)まつて(おほ)きな(みやこ)(ひら)けて()るのだよ』
068時公(ときこう)『ヤツコス、069ヒツコス、070クスの(かみ)とはソラ()ンだ。071(めう)(もの)だナ』
072(おつ)(牛公)『お(まへ)(なん)にも(わか)らぬ(をとこ)だな、073(おほ)きな図体(づうたい)をしやがつて、074それだから独活(うど)大木(たいぼく)075柄見倒(がらみたふ)しといふのだ、076大男(おほおとこ)総身(そうみ)智慧(ちゑ)(まは)()ねだ。077マアわしの()(こと)()いたが()かろう。078山椒(さんせう)小粒(こつぶ)でもヒリリと(から)いといふ(こと)がある、079(おれ)はお(まへ)(くら)ぶれば根付(ねつけ)(やう)(ちひ)さい(をとこ)だが、080世界(せかい)から、081あの牛公(うしこう)(うし)(けつ)(うし)(しり)だと()はれて()るお(かた)だぞ。082どんな(こと)でも()らぬ(こと)はやつぱり()らぬ、083()(こと)(みんな)()つとる。084()かして()しければ胡床(あぐら)をかいて傲然(がうぜん)(かま)へて()らずに、085チンと(すわ)つて、086()叮嚀(ていねい)にお辞儀(じぎ)せぬかい』
087時公(ときこう)『アヽ仕様(しやう)ないなア。088マア辛抱(しんばう)して()いてやらうかい』
089牛公(うしこう)()いた(くち)(ふさ)がらぬ、090(うし)(くそ)天下(てんか)()ると()(たとへ)()つとるか。091(なん)でも、092三五教(あななひけう)小便(せうべん)しいとか大便使(だいべんしい)とかいふ(やつ)が、093こないだ、094そんな(こと)()つてコーカス(ざん)()きやがつて、095(あたま)から(ばば)かけられて、096(いま)ではアババのバアぢや。097アツハヽヽヽ』
098時公(ときこう)随分(ずゐぶん)(まへ)()きが(なが)いなア』
099(かふ)(馬公)『モシモシ貴方(あなた)100そんな(やつ)(もの)()いたつて(なに)(わか)りますか。101此奴(こいつ)何時(いつ)(さる)人真似(ひとまね)で、102(えら)さうに威張(ゐば)るのが(げい)だ、103モウあれ(だけ)()つたら(あと)はないのです。104(わたし)(なん)でも()つてますから、105(わか)らぬ(こと)があれば()うて(くだ)さい。106三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)ぢやないが、107(だい)宇宙(うちう)真相(しんさう)から(せう)(しらみ)(はらわた)まで()御存(ごぞん)じの(うま)さまだ。108あなたも(うし)(うま)乗替(のりか)へて、109(もう)(しり)(もの)()らずの牛糞(うしくそ)()(こと)は、110テンから取上(とりあ)げぬが(よろ)しい。111(うま)さまがウマ説明(せつめい)して()げます』
112牛公(うしこう)『コラコラ、113モウ()めぬか、114馬鹿(ばか)(やつ)115コレコレ(おほ)きなお(かた)116彼奴(あいつ)ウマ(はなし)漫然(うつかり)()らうものなら、117牛々(ぎうぎう)いふ(やう)()()はされて馬鹿(ばか)()ますで……』
118馬公(うまこう)『コラ牛公(うしこう)119(なに)()かしやがるのだ。120他人(ひと)(こと)横槍(よこやり)()れやがつて……』
121(へい)(鹿公)『オイオイ、122貴様(きさま)(たち)牛飲(ぎういん)馬食(ばしよく)()つて、123(さけ)(ばか)(くら)つて(めし)五人前(ごにんまへ)十人前(じふにんまへ)平気(へいき)(たひら)げやがつて、124(あご)ばつかり達者(たつしや)法螺吹(ほらふ)きだ。125この鹿(しか)さまはその()(ごと)くシツカリとして御座(ござ)鹿(しか)さまだ』
126牛公(うしこう)鹿公(しかこう)127貴様(きさま)(はな)ばつかり(たか)くしやがつて、128(くだ)らん(こと)()(さへづ)るから、129彼奴(あいつ)ハナシカだと()うて()るぞ、130大工(だいく)のやうな(こと)職過(しよくす)ぎとる。131モシモシ(おほ)きな(をとこ)のお(かた)132此奴(こいつ)()(こと)(みんな)落話(おとしばなし)で、133聞落(ききおと)し、134()(おと)し、135見落(みおと)し、136(ひと)(おど)し、137(からす)(おど)しの(やう)なものです。138()かぬが(よろ)しいで』
139鹿公(しかこう)愚図(ぐづ)々々(ぐづ)()かすとシカられるぞ』
140牛公(うしこう)(うし)()()(いま)(かな)しき、141といふ(やう)()()はしたろか。142鹿(しか)シカみついてやつた。143ナンダ(かに)(やう)シカ見面(みづら)をしやがつて、144(うし)(けつ)もあつたものかい』
145時公(ときこう)『ヤ、146モウモウ(うし)さまの(はなし)馬鹿(ばか)()ましたワイ。147本当(ほんたう)(たび)をすると、148馬鹿(ばか)々々(ばか)しい()()うものだ。149この(しま)ぢやないが、150ウメ(はなし)はないかい』
151(てい)(虎公)『ありますともありますとも。152コーカス(ざん)にマア一寸(ちよつと)(のぼ)つて()なさい、153美味(うま)(さけ)(いづみ)(ごと)くに(たた)へられてある。154(にく)沢山(たくさん)吊下(つりさ)げてある。155それはそれは酒池(しゆち)肉林(にくりん)だ』
156馬公(うまこう)『コラ虎公(とらこう)157なんぼウメイ(もの)があつても、158(はなし)(だけ)では()つから()()かぬぢやないか、159其奴(そいつ)(みんな)八王(やつこす)(くす)(かみ)()ふのだ。160貴様(きさま)(たち)(ゆび)(くは)へて、161(あさ)から(ばん)までカンカンコンコンとカチワリ大工(だいく)をやつて、162(あせ)をかいて(あせ)(あぶら)(ねぶ)つとる(くらゐ)(せき)(やま)だ。163ヒツコスはヒツコスで引込(ひきこ)んどれ』
164時公(ときこう)『ヤ、165(その)ヤツコスとかヒツコスとか()ふのが()きたいのだ』
166虎公(とらこう)八王(やつこす)といふのは、167世界中(せかいぢう)贅沢(ぜいたく)(やつ)沢山(たくさん)(かね)()ちやがつて、168ウラル(ひめ)とか常世姫(とこよひめ)とか()(えら)贅沢(ぜいたく)(かみ)が、169(おほ)けな(けつ)()りやがつて大尻姫(おほげつひめ)などと()つてる。170その家来(けらい)(みんな)(いへ)()つて(いへ)()てて方々(はうばう)から移転()して()るのだ、171それをヤツコスと()ふのだ。172(むかし)十二(じふに)八王(やつわう)とか、173八王(やつこす)とか()つた(えら)(かみ)さんが、174天山(てんざん)にも、175青雲山(せいうんざん)にも、176鬼城山(きじやうざん)にも、177蛸間山(たこまやま)にも、178その(ほか)にも沢山(たくさん)あつたさうぢやが、179今度(こんど)八王(やつこす)はそんな()()いた八王(やつこす)ぢやない、180利己主義(われよし)の、181(ひと)()かせの、182財産家(ものもち)連中(れんちう)楽隠居(らくいんきよ)をするのを、183()れを(しよう)して(すなは)八王(やつこす)といふ。184ヘン』
185馬公(うまこう)『コラ虎公(とらこう)186(なに)をヘンなんて空嘯(うそぶ)きやがつて、187馬鹿(ばか)にするない。188ヒツコス()が』
189虎公(とらこう)貴様(きさま)もヒツコスぢやないか、190甲斐性(かひしやう)なし()が。191カチワリ大工(だいく)其処(そこ)(ぢう)(はぢ)(かき)のヘタ大工(だいく)()使用主(つかいて)がないものだから、192()()けた(のみ)一本(いつぽん)()ちよつて、193(あら)(けづ)りの下役(したやく)()くんぢやないか、194アラシコ大工(だいく)()が。195()()えても(この)(はう)さまは(じやう)シコだ。196せめて(ちう)シコ(くらゐ)にならねば(はば)()かぬぞ。197大工(だいく)(じやう)シコ(かんな)使(つか)(やう)になれば、198()めたものだ』
199馬公(うまこう)貴様(きさま)はシコはシコだが醜神(しこがみ)だ。200(わる)(こと)には一番(いちばん)四股(しこ)()れやがつて、201他人(ひと)(あぶら)をシコタマ(しぼ)りやがる醜女(しこめ)だ。202チツト(これ)から(おれ)天地(てんち)道理(だうり)()いて、203貴様(きさま)仕込(しこ)んでやらうか。204仕込杖(しこみづゑ)一本(いつぽん)二本(にほん)()つて()るから、205愚図(ぐづ)々々(ぐづ)()かすと、206貴様(きさま)のドテツ(ぱら)仕込(しこ)むでやるぞ』
207時公(ときこう)『オイオイ大工(だいく)同志(どうし)208喧嘩(けんくわ)ははづまんぢやないか、209(さけ)(のみ)ぢやとか、210カンナぢやとか、211冷酒(ひやざけ)だとか()はずに、212マアマア(こころ)落付(おちつ)けて、213カンナガラ(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)(とな)へたらどうぢや』
214馬公(うまこう)『ナントあんたは(うま)(こと)()ひますね。215そら(かん)した(さけ)(あぢ)(たま)りませぬ、216チツトち()つて()れと仰有(おつしや)るのか。217現代(いま)(やつ)利己主義(われよし)だから中々(なかなか)チワルのチハイマスのと()(やう)なお人善(ひとよし)はありませぬデ。218(さけ)(さけ)(くも)つた()(なか)だ。219……(さけ)(つい)(おも)()したが、220ナンでも(さけ)(ひめ)とか()小便使(せうべんしい)がコーカス(ざん)大尻姫(おほげつひめ)穴競(あなくら)べとか、221尻比(けつくら)べとかに()きよつたさうだ。222そした(ところ)がその小便使(せうべんしい)穴無(あなな)(けう)だとかで、223薩張(さつぱ)大気津(おほげつ)(かみ)()(つめ)られて、224岩窟(いはや)(なか)投込(ほりこ)まれたと()(はなし)だ。225三五教(あななひけう)だから(あな)(なか)()れて(もら)ひよつたのだらう』
226時公(ときこう)(さけ)(ひめ)227そりやあなたの()聞違(ききちがひ)ぢやありませぬか。228竹野姫(たけのひめ)()(をんな)(かた)ぢやあるまいかなア』
229馬公(うまこう)『ナンデも、230(あを)(やう)(なが)(やう)()だつた。231ウンさうさう、232この(うみ)には竹島(たけしま)という(しま)があるワイ。233琵琶(びは)(うみ)(しま)()()たまた二人(ふたり)姉妹(きやうだい)があると()(こと)だ。234(うめ)とか、235(まつ)とか()小便使(せうべんしい)が、236コーカス(ざん)小便(せうべん)()れに()ると()(こと)だから、237其奴(そいつ)(つかま)へたら、238それこそ(たい)したものだ』
239時公(ときこう)『それは(たれ)がそんな(こと)()つて()たのだ』
240馬公(うまこう)『イヤ(たれ)でもない、241その竹野姫(たけのひめ)岩室(いはむろ)打込(ぶちこ)まれる(とき)に、242アヽ松島(まつしま)243梅島(うめしま)(たす)けて(くだ)さいとほざけやがつたのだ。244それでまだ二人(ふたり)小便使(せうべんしい)があると()ふので、245それを大気津(おほげつ)(ひめ)()(くば)つて(さが)しに(まは)らして()るのだ。246そいつを(つかま)へたら最後(さいご)247我々(われわれ)()褒美(ほうび)頂戴(ちやうだい)して、248かち(わり)大工(だいく)()め、249引越(ひつこ)すから(すぐ)八王(やつこす)になるのだ』
250時公(ときこう)『コーカス(ざん)には大概(およそ)八王(やつこす)幾許(いくら)(ほど)()るのだ』
251馬公(うまこう)『サア、252大概(およそ)八百(はつぴやく)八十八(はちじふはち)(くらゐ)あるだらうなア』
253牛公(うしこう)『うそ八百(はつぴやく)()うな、254貴様(きさま)嘘馬(うそうま)()うて村中(むらぢう)評判(ひやうばん)だ』
255馬公(うまこう)耄碌(もうろく)大工(だいく)(もう)(けつ)(だま)れツ、256愚図(ぐづ)々々(ぐづ)()うと、257(ばけ)(あら)はれて(くそ)()るぞ。258牛糞(うしくそ)天下(てんか)()(そこ)ねるぞ』
259 松代姫(まつよひめ)260梅ケ香姫(うめがかひめ)被面布(ひめんぷ)()り、261牛公(うしこう)262馬公(うまこう)(まへ)(あら)はれ、
263松、梅(わらは)がお(はなし)松代姫(まつよひめ)264梅ケ香姫(うめがかひめ)御座(ござ)います。265竹野姫(たけのひめ)(あね)(いもうと)266何卒(どうぞ)(わらは)()れて大気津(おほげつ)(ひめ)とやらの(そば)案内(あんない)して(くだ)さらぬか。267あなた(がた)のお手柄(てがら)になりますから……』
268時公(ときこう)『これはしたり()両人(りやうにん)(さま)269大胆(だいたん)不敵(ふてき)(その)言葉(ことば)………オイオイ(うし)270(うま)271鹿(しか)272(とら)273(うそ)だぞ(うそ)だぞ。274この(かた)小便使(せうべんしい)でも(なん)でもない。275(まつ)でも、276(うめ)でもないのだ。277(まへ)(たち)があまりウメ(こと)()うて、278牛糞(うしくそ)天下(てんか)()()()つもんだから、279滑稽(こつけい)(まじ)りに(わらは)(まつ)だとか、280(うめ)だとか、281ウメ(こと)仰有(おつしや)るのだ。282(まつた)戯談(じやうだん)だ。283()んな(をんな)引張(ひつぱ)つて()かうものならそれこそ大騒動(おほさうどう)(おこ)つて仕末(しまつ)におえぬぞ』
284松代姫(まつよひめ)『オホヽヽヽ、285(とき)さま、286(うそ)()つてはいけませぬ、287()(なほ)しなさい』
288時公(ときこう)『こんな(ところ)()(なほ)して()まりますか、289この(ふね)(きやく)(のこ)らずヒツコスばつかりだ。290ウツカリした(こと)おつしやると大変(たいへん)ですデ』
291梅ケ香姫(うめがかひめ)『ホヽヽ、292(とき)さんの(よわ)いこと、293愚図(ぐづ)々々(ぐづ)()つたら、294ヒツコスの(くび)(のこ)らずヒツコ()(まで)のことですよ』
295時公(ときこう)『これはこれは、296あなたこそ()(なほ)しなさい』
297梅ケ香姫(うめがかひめ)『イエイエ、298(みな)さま(たち)体主霊従魂(からみたま)黄泉(よもつ)(くに)引越(ひつこ)して、299(かみ)(くに)身魂(みたま)(みな)さまの(はら)(なか)引越(ひつこ)すといふ(こと)です』
300時公(ときこう)『アハヽヽヽ、301梅ケ香(うめがか)さま、302ウメ(こと)仰有(おつしや)る』
303松代姫(まつよひめ)『ホヽヽヽ』
304 ()くする(うち)305三日(みつか)三夜(みよさ)颶風(ぐふう)はピタリと()ンだ。306(ふね)(ふたた)真帆(まほ)(かぜ)(はら)んで、307西北(せいほく)()して(たたみ)(やう)な、308()(わた)つたる(なみ)(うへ)をスルスルと(すべ)()く。
309大正一一・三・三 旧二・五 松村真澄録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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