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第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
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第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
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第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第11巻(戌の巻)
言霊反
凡例
信天翁(二)
総説歌
第1篇 長駆進撃
01 クス野ケ原
〔468〕
02 一目お化
〔469〕
03 死生観
〔470〕
04 梅の花
〔471〕
05 大風呂敷
〔472〕
06 奇の都
〔473〕
07 露の宿
〔474〕
第2篇 意気揚々
08 明志丸
〔475〕
09 虎猫
〔476〕
10 立聞
〔477〕
11 表教
〔478〕
12 松と梅
〔479〕
13 転腹
〔480〕
14 鏡丸
〔481〕
第3篇 言霊解
15 大気津姫の段(一)
〔482〕
16 大気津姫の段(二)
〔483〕
17 大気津姫の段(三)
〔484〕
第4篇 満目荒寥
18 琵琶の湖
〔485〕
19 汐干丸
〔486〕
20 醜の窟
〔487〕
21 俄改心
〔488〕
22 征矢の雨
〔489〕
23 保食神
〔490〕
第5篇 乾坤清明
24 顕国宮
〔491〕
25 巫の舞
〔492〕
26 橘の舞
〔493〕
27 太玉松
〔494〕
28 二夫婦
〔495〕
29 千秋楽
〔496〕
余白歌
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第二一章
俄
(
にはか
)
改心
(
かいしん
)
〔四八八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻
篇:
第4篇 満目荒寥
よみ(新仮名遣い):
まんもくこうりょう
章:
第21章 俄改心
よみ(新仮名遣い):
にわかかいしん
通し章番号:
488
口述日:
1922(大正11)年03月03日(旧02月05日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年9月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
時公が問い詰めると、四人の大工たちは、ウラル教の目付けであったことを白状した。牛公は牛雲別であることを見破られ、大気津姫は実はウラル姫であることを明かした。
コーカス山は、アーメニヤが陥落したときの避難場所として建築しているのだという。また、於縢山津見、竹野姫のほかにも、北光宣伝使も岩窟に捕まえて監禁してしまったと白状した。
おりしも、岩窟の外に雪を踏んでざくざくと進んでくる足音が聞こえた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm1121
愛善世界社版:
205頁
八幡書店版:
第2輯 587頁
修補版:
校定版:
209頁
普及版:
90頁
初版:
ページ備考:
001
岩窟
(
がんくつ
)
の
外
(
そと
)
には
大勢
(
おほぜい
)
の
跫音
(
あしおと
)
、
002
雪
(
ゆき
)
をクウクウと
踏
(
ふ
)
み
鳴
(
な
)
らし
乍
(
なが
)
ら
風
(
かぜ
)
の
如
(
ごと
)
くに
通
(
とほ
)
り
越
(
こ
)
した。
003
油断
(
ゆだん
)
ならじと
時公
(
ときこう
)
は
中
(
なか
)
より
岩戸
(
いはと
)
をシツカと
閉
(
し
)
め、
004
牛公
(
うしこう
)
の
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
き
返
(
かへ
)
させ
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
前
(
まへ
)
に
据
(
す
)
ゑて、
005
時公
(
ときこう
)
『
愈
(
いよいよ
)
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
は
怪
(
あや
)
しい
奴
(
やつ
)
だ。
006
真実
(
ほんとう
)
に
猫
(
ねこ
)
を
被
(
かぶ
)
つて
居
(
を
)
るな。
007
我々
(
われわれ
)
を
計略
(
けいりやく
)
を
以
(
もつ
)
てコーカス
山
(
ざん
)
に
誘
(
いざな
)
ひ
岩窟
(
いはや
)
の
中
(
なか
)
へでも
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
む
積
(
つも
)
りだらうが、
008
さうは
往
(
ゆ
)
かぬぞ。
009
古手
(
ふるて
)
な
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
して
後悔
(
こうくわい
)
するな。
010
サア
有態
(
ありてい
)
に
白状
(
はくじやう
)
せよ。
011
貴様
(
きさま
)
は
牛公
(
うしこう
)
とは
詐
(
いつは
)
り、
012
牛雲別
(
うしくもわけ
)
と
謂
(
い
)
ふ
曲神
(
まがかみ
)
であらうがな。
013
その
他
(
た
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
者
(
もの
)
共
(
ども
)
、
014
何
(
いづ
)
れも
皆
(
みな
)
その
方
(
はう
)
の
手下
(
てした
)
の
者
(
もの
)
共
(
ども
)
だ。
015
汐干丸
(
しほひまる
)
の
船中
(
せんちう
)
に
於
(
おい
)
てワケも
無
(
な
)
い
喧嘩
(
けんくわ
)
を
致
(
いた
)
して
我
(
われ
)
等
(
ら
)
を
欺
(
あざむ
)
き、
016
この
岩窟
(
がんくつ
)
に
誘
(
いざな
)
ふ
工夫
(
たくみ
)
であらうがな。
017
そんな
事
(
こと
)
の
分
(
わか
)
らずして
天下
(
てんか
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
出来
(
でき
)
ると
思
(
おも
)
ふか。
018
サア
斯
(
こ
)
うなる
上
(
うへ
)
はもう
量見
(
りやうけん
)
はならぬ。
019
有態
(
ありてい
)
に
包
(
つつ
)
まず
隠
(
かく
)
さず
白状
(
はくじやう
)
せよ。
020
その
外
(
ほか
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
者
(
もの
)
共
(
ども
)
、
021
一々
(
いちいち
)
実状
(
じつじやう
)
を
述
(
の
)
べ
立
(
た
)
てよ』
022
牛公
(
うしこう
)
『アヽア、
023
仕方
(
しかた
)
がありませぬ。
024
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さるならば
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げませう。
025
当山
(
たうざん
)
の
大気津
(
おほげつ
)
姫
(
ひめ
)
と
言
(
い
)
ふのはその
実
(
じつ
)
はウラル
姫
(
ひめの
)
命
(
みこと
)
、
026
昔
(
むかし
)
は
常世姫
(
とこよひめの
)
命
(
みこと
)
と
謂
(
い
)
つた
神
(
かみ
)
であります。
027
夫
(
をつと
)
のウラル
彦
(
ひこ
)
は
今
(
いま
)
はアーメニヤに
居
(
を
)
りますが、
028
夫婦
(
ふうふ
)
手分
(
てわ
)
けをして
万々一
(
まんまんいち
)
、
029
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
とやらがやつて
来
(
き
)
てアーメニヤが
保
(
たも
)
てなくなつた
時
(
とき
)
は、
030
このコーカス
山
(
ざん
)
の
隠処
(
かくれが
)
へ
逃
(
のが
)
れる
積
(
つも
)
りで
数多
(
あまた
)
の
家来衆
(
けらいしう
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せ、
031
各自
(
めいめい
)
に
立派
(
りつぱ
)
な
屋敷
(
やしき
)
を
造
(
つく
)
り、
032
第二
(
だいに
)
のアーメニヤの
都
(
みやこ
)
を
開
(
ひら
)
かして
居
(
を
)
るのです。
033
それ
故
(
ゆゑ
)
この
山
(
やま
)
は
大
(
だい
)
秘密郷
(
ひみつきやう
)
であつてウラル
姫
(
ひめの
)
命
(
みこと
)
の
系統
(
けいとう
)
の
者
(
もの
)
でなければ、
034
一人
(
ひとり
)
も
登
(
のぼ
)
られないと
厳
(
きび
)
しく
見張
(
みは
)
つて
居
(
ゐ
)
る
山
(
やま
)
です』
035
時公
(
ときこう
)
『さうだらう、
036
さうすると
貴様
(
きさま
)
は
大工
(
だいく
)
に
化
(
ば
)
けて、
037
我々
(
われわれ
)
の
所在
(
ありか
)
を
探
(
さが
)
して
居
(
ゐ
)
たのだな』
038
牛公
(
うしこう
)
『マア、
039
そんなものです。
040
然
(
しか
)
し
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
を
夫
(
そ
)
れと
知
(
し
)
つたら、
041
ウツカリ
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
で
喋
(
しやべ
)
るのではなかつた。
042
何分
(
なにぶん
)
にも
酩酊
(
めいてい
)
して
居
(
ゐ
)
たものだから、
043
ツイ
喋
(
しやべ
)
り
過
(
す
)
ぎて
看破
(
かんぱ
)
されて
仕舞
(
しま
)
つたのです。
044
この
間
(
あひだ
)
も
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
と
言
(
い
)
ふ
強
(
つよ
)
相
(
さう
)
な
神
(
かみ
)
がやつて
来
(
き
)
て、
045
大気津
(
おほげつ
)
姫
(
ひめ
)
を
三五
(
あななひ
)
の
道
(
みち
)
に
帰順
(
きじゆん
)
させると
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
ましたが、
046
その
時
(
とき
)
此処
(
ここ
)
に
居
(
を
)
る
馬公
(
うまこう
)
、
047
鹿公
(
しかこう
)
、
048
虎公
(
とらこう
)
が
今日
(
けふ
)
の
様
(
やう
)
に
巧
(
うま
)
く
計略
(
けいりやく
)
を
以
(
もつ
)
て
岩屋
(
いはや
)
へ
引
(
ひ
)
つ
張
(
ぱり
)
込
(
こ
)
み、
049
逸早
(
いちはや
)
く
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
抜
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
して
外
(
そと
)
から
岩戸
(
いはと
)
をピシヤリと
閉
(
し
)
め、
050
鉄
(
てつ
)
の
錠
(
ぢやう
)
を
卸
(
おろ
)
して
置
(
お
)
きました。
051
その
隣
(
となり
)
の
穴
(
あな
)
には
竹野姫
(
たけのひめ
)
さんがお
這入
(
はい
)
りになつて
居
(
ゐ
)
らつしやいます。
052
ヘイ』
053
馬公
(
うまこう
)
『コレコレ
牛公
(
うしこう
)
、
054
自分
(
じぶん
)
の
事
(
こと
)
を
棚
(
たな
)
へ
上
(
あ
)
げて、
055
何
(
なん
)
だ、
056
馬鹿
(
ばか
)
々々
(
ばか
)
しい。
057
それや
貴様
(
きさま
)
がしたのぢやないか』
058
牛公
(
うしこう
)
『ウン、
059
貴様
(
きさま
)
だつたかいの』
060
馬公
(
うまこう
)
『
定
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
だ、
061
貴様
(
きさま
)
だ。
062
貴様
(
きさま
)
は
真実
(
ほんとう
)
に
仕方
(
しかた
)
の
無
(
な
)
い
奴
(
やつ
)
だ』
063
時公
(
ときこう
)
『その
淤縢山津見
(
おどやまづみ
)
は
其
(
その
)
後
(
ご
)
如何
(
どう
)
なつたのだ。
064
サア
牛公
(
うしこう
)
、
065
白状
(
はくじやう
)
せい』
066
牛公
(
うしこう
)
『
如何
(
どう
)
なつたか、
067
斯
(
か
)
うなつたか、
068
岩
(
いは
)
の
戸
(
と
)
を
閉
(
し
)
めたぎり、
069
覗
(
のぞ
)
いた
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
いものだから、
070
開
(
あ
)
けて
見
(
み
)
な
分
(
わか
)
つたものぢやない。
071
然
(
しか
)
し
外
(
そと
)
を
通
(
とほ
)
る
度
(
たび
)
に
岩
(
いは
)
に
耳
(
みみ
)
あてて
聞
(
き
)
いてみると
中
(
なか
)
でコツンコツンと
音
(
おと
)
がして
居
(
ゐ
)
る』
072
時公
(
ときこう
)
『もう、
073
穴
(
あな
)
へ
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
まれたと
言
(
い
)
ふのは
二人
(
ふたり
)
丈
(
だ
)
けか、
074
まだ
外
(
ほか
)
にあるだらう』
075
馬公
(
うまこう
)
『ありますとも、
076
ツイこの
間
(
あひだ
)
、
077
独眼
(
めかんち
)
の
北光
(
きたてる
)
とか、
078
曇
(
くも
)
りとか
言
(
い
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
が
其
(
その
)
次
(
つぎ
)
の
穴
(
あな
)
に、
079
あな
恐
(
おそ
)
ろしや、
080
放
(
ほ
)
り
込
(
こ
)
まれよつた』
081
時公
(
ときこう
)
『それは
誰
(
たれ
)
が
押
(
お
)
し
込
(
こ
)
むだのだ』
082
馬公
(
うまこう
)
『ヘイ、
083
それは、
084
マアマアマア、
085
ヘイ……
何
(
なん
)
でも
夫
(
そ
)
れは………』
086
時公
(
ときこう
)
『
何
(
なん
)
だ、
087
頭
(
あたま
)
計
(
ばか
)
り
掻
(
か
)
きやがつて、
088
貴様
(
きさま
)
が
計略
(
けいりやく
)
で
押
(
お
)
し
込
(
こ
)
んだのだらう』
089
虎公
(
とらこう
)
『お
察
(
さつ
)
しの
通
(
とほ
)
り
馬公
(
うまこう
)
の
仕事
(
しごと
)
です』
090
時公
(
ときこう
)
『
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
同
(
おな
)
じ
穴
(
あな
)
の
狐
(
きつね
)
だ。
091
サア
之
(
これ
)
から
俺
(
おれ
)
が
行
(
い
)
つて
岩戸
(
いはと
)
を
叩
(
たた
)
き
割
(
わ
)
つて、
092
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
し、
093
その
後釜
(
あとがま
)
に
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
を
一
(
ひと
)
つ
穴
(
あな
)
に
一
(
ひと
)
つ
宛
(
づつ
)
、
094
祭
(
まつ
)
り
込
(
こ
)
んでやらう。
095
マア、
096
楽
(
たの
)
しんで
夜
(
よ
)
を
明
(
あ
)
かすが
宜
(
よ
)
からう』
097
牛公
(
うしこう
)
『
今日
(
けふ
)
は
何
(
なん
)
とした
運
(
うん
)
の
悪
(
わる
)
い
日
(
ひ
)
だらう。
098
オイオイ
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
099
改心
(
かいしん
)
すると
言
(
い
)
はんかい。
100
モシモシ
時
(
とき
)
さん、
101
私
(
わたくし
)
は
第一番
(
だいいちばん
)
に
只今
(
ただいま
)
限
(
かぎ
)
り、
102
実
(
じつ
)
に、
103
誠
(
まこと
)
に、
104
真
(
しん
)
から
改心
(
かいしん
)
を
致
(
いた
)
します。
105
何卒
(
どうぞ
)
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
して
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さい』
106
時公
(
ときこう
)
『
赦
(
ゆる
)
し
難
(
がた
)
い
奴
(
やつ
)
なれど、
107
今迄
(
いままで
)
の
悪
(
あく
)
を
改
(
あらた
)
めて
真実
(
ほんとう
)
に
善
(
ぜん
)
に
復帰
(
たちかへ
)
るならば
赦
(
ゆる
)
してやらう。
108
その
代
(
かは
)
りにお
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
の
仲間
(
なかま
)
で
岩窟
(
いはや
)
の
外
(
そと
)
まで
案内
(
あんない
)
するのだ』
109
馬公
(
うまこう
)
『
案内
(
あんない
)
は
致
(
いた
)
しますが、
110
其
(
その
)
お
代
(
かは
)
りは
困
(
こま
)
ります』
111
八公
(
やつこう
)
『ハヽヽヽ、
112
到頭
(
たうとう
)
尻尾
(
しつぽ
)
を
出
(
だ
)
しよつたな。
113
只
(
ただ
)
の
狸
(
たぬき
)
ぢやないと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
つた。
114
田納喜助
(
たのき
すけ
)
、
115
乃木常介
(
のぎつね
すけ
)
などの
矢張
(
やつぱ
)
り
連中
(
れんぢう
)
だ』
116
鴨公
(
かもこう
)
『それだから
悪
(
あく
)
は
出来
(
でけ
)
ぬと
言
(
い
)
ふのだ。
117
オイオイ
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
連中
(
れんちう
)
、
118
三五教
(
あななひけう
)
はウラル
教
(
けう
)
の
様
(
やう
)
に
惨酷
(
ざんこく
)
な
事
(
こと
)
はせぬ
教
(
をしへ
)
だ。
119
みんな
言向
(
ことむけ
)
和
(
やは
)
すのだから、
120
改心
(
かいしん
)
すればその
時
(
とき
)
から
善
(
ぜん
)
と
認
(
みと
)
めて
待遇
(
あしら
)
ふのだから、
121
安心
(
あんしん
)
して
休
(
やす
)
むが
良
(
よ
)
からう』
122
時公
(
ときこう
)
『ヤア、
123
マア、
124
これで
一
(
ひ
)
と
切
(
き
)
りにして
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
125
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つて
休
(
やす
)
まして
貰
(
もら
)
はう。
126
サア
松代姫
(
まつよひめ
)
様
(
さま
)
、
127
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
様
(
さま
)
、
128
貴女
(
あなた
)
から
導師
(
だうし
)
をやつて
下
(
くだ
)
さい』
129
松代姫
(
まつよひめ
)
、
130
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
は
岩窟
(
がんくつ
)
の
中央
(
ちうあう
)
に
端坐
(
たんざ
)
して
神言
(
かみごと
)
を
宣
(
の
)
り
始
(
はじ
)
めた。
131
折
(
をり
)
しも
岩窟
(
がんくつ
)
の
外
(
そと
)
に
雪
(
ゆき
)
をザクザクと
踏
(
ふ
)
み
分
(
わ
)
け
来
(
きた
)
る
跫音
(
あしおと
)
がして
岩窟
(
がんくつ
)
の
前
(
まへ
)
にピタリと
止
(
と
)
まりける。
132
(
大正一一・三・三
旧二・五
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録)
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