霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第九章 正夢(まさゆめ)〔五〇五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻 篇:第2篇 天岩戸開(二) よみ(新仮名遣い):あまのいわとびらき(二)
章:第9章 正夢 よみ(新仮名遣い):まさゆめ 通し章番号:505
口述日:1922(大正11)年03月09日(旧02月11日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高光彦、玉光彦、国光彦の三兄弟は、イホの都にほどちかい森の祠で、三五教の酋長の夏山彦や春彦と、人民たちの争いを目にした。
そこに現れた蚊取別が、暴れる初公を帰順させ、一行は大蛇の滝へと進むうち、睡魔に襲われて寝込んでしまっていたのであった。
蚊取別は起き上がり、日の出神の諭しを受けて、大蛇の背から振り落とされそうになった恐ろしい夢を語り、自らの慢心を戒めた。不思議にも、三兄弟や初公も同じ夢を見ていた。
そこへ酋長の夏山彦の一隊がやってきて、宣伝使たちを認めると、丁重に館に迎え入れた。
初公は、自分の全身は聖地エルサレムの行成彦の従神・行平別命であると明かして、大音声で酋長の館に進み入る。
宣伝使一行も館に迎え入れられるが、そこへ一弦琴の音が響いてくる。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:徹公(鉄公) データ凡例: データ最終更新日:2020-11-12 00:33:45 OBC :rm1209
愛善世界社版:73頁 八幡書店版:第2輯 652頁 修補版: 校定版:76頁 普及版:31頁 初版: ページ備考:
001常夜(とこよ)ゆく(やみ)()らして皇神(すめかみ)
002(うづ)御子(みこ)たち(たす)けむと
003稜威(みいづ)(たか)高光彦(たかてるひこ)
004(かみ)より()けし伊都能売(いづのめ)
005玉光彦(たまてるひこ)(たま)()
006大海原(おほうなばら)(ただよ)ひて
007海月(くらげ)なす国光彦(くにてるひこ)
008みづの身魂(みたま)三柱(みはしら)
009イホの(みやこ)(まち)はづれ
010老樹(らうじゆ)(しげ)れる(もり)(した)
011(つゆ)(いと)ひて仮枕(かりまくら)
012国魂神(くにたまがみ)(まつ)りたる
013(ほこら)(うしろ)()(かく)
014まどろむ(をり)しも何処(どこ)よりか
015(あつ)まり(きた)(ひと)(かげ)
016神灯(みあかし)神酒(みき)(たてまつ)
017常夜(とこよ)(さま)(なげ)きたる
018イホの(みやこ)酋長(しうちやう)
019世人(よびと)(たす)くる手段(てだて)さへ
020夏山彦(なつやまひこ)神司(かむづかさ)
021(かみ)御前(みまへ)太祝詞(ふとのりと)
022(とな)ふる(こゑ)もいと(きよ)
023(こころ)(やみ)春公(はるこう)
024(くら)あけ(わた)食物(おしもの)
025(かみ)(ちか)ひて()れぞれに
026(まくば)(あた)饑渇(うゑかわ)
027(すく)ふはいとど(やす)けれど
028(みたま)(ゑば)()つるべき
029(をしへ)(ゑば)(くるし)みつ
030(かみ)御前(みまへ)諸人(もろびと)
031(あつ)めて(さと)(かみ)(のり)
032食物(をしもの)着物(きもの)()(いへ)
033(さけ)より(ほか)(こころ)なき
034(しこ)身魂(みたま)如何(いか)にして
035(かみ)(うやま)長上(ちやうじやう)
036(たふと)(つか)真心(まごころ)
037本霊(もとつみたま)にことごとく
038立直(たてなほ)さしめ天地(あめつち)
039(かみ)御子(みこ)たる(つとめ)をば
040(おの)(おの)もに(つく)させて
041(かみ)(いかり)淡雪(あはゆき)
042()けて(うれ)しき(はる)()
043(はな)()(にほ)百鳥(ももどり)
044(うた)(うれ)しき(かみ)()
045日月(じつげつ)(そら)(かがや)きて
046(おに)探女(さぐめ)もナイル(がは)
047(たき)(あら)ひしその(ごと)
048(きよ)めむものと酋長(しうちやう)
049心筑紫(こころつくし)白瀬川(しらせがは)
050世人(よびと)(おも)真心(まごころ)
051(なみだ)(たき)(ごと)くなり
052(ゆめ)(うつつ)蚊取別(かとりわ)けて
053言霊(ことたま)(きよ)宣伝歌(せんでんか)
054(やみ)(すか)して()(わた)
055(とき)しもあれや初公(はつこう)
056(しこ)雄健(をたけ)(ふみ)たけび
057(くる)(をり)しも宣伝使(せんでんし)
058双手(もろて)()みし言霊(ことたま)
059(その)一声(ひとこゑ)(きも)()たれ
060(たま)(みが)かれて(おのおの)
061(めぐ)みも(ふか)皇神(すめかみ)
062(こころ)(さと)服従(まつろ)ひし
063その(うれ)しさに(むね)(をど)
064(こころ)(いさ)みて四柱(よはしら)
065(かみ)(みこと)宣伝使(せんでんし)
066(はじ)めて()ひし初公(はつこう)
067(ともな)(すす)(やみ)(みち)
068四方(よも)(ふさ)がる村雲(むらくも)
069(そら)(いよいよ)春公(はるこう)
070青葉(あをば)(しげ)夏山彦(なつやまひこ)
071(やかた)()して(いで)()
072途中(とちう)睡気(ねむけ)(もよほ)して
073ここに()(にん)一行(いつかう)
074(つゆ)をも()かぬ(くさ)(うへ)
075(こし)打掛(うちか)けて(いこ)ふうち
076何時(いつ)睡魔(すゐま)(おそ)はれて
077(もろ)くも此処(ここ)(よこた)はり
078()()()くも白瀬川(しらせがは)
079ナイルの(たき)森林(しんりん)
080黎明(よあけ)()ちて秋月(あきづき)
081(たき)魔神(まがみ)一々(いちいち)
082()つの(たき)まで(きよ)めむと
083(やみ)木下(こした)(いこ)(をり)
084(ひと)()(たちま)(あら)はれて
085一行(いつかう)()(にん)(こころ)をば
086(てら)させ(たま)(ゆめ)(あと)
087大蛇(をろち)(せな)より飛下(とびお)りて
088(こし)()かせし(つか)()
089つかつか(きた)夏山彦(なつやまひこ)
090(ひき)ゆる人数(にんず)足音(あしおと)
091いと高々(たかだか)(きこ)()る。
092蚊取別(かとりわけ)『ヤア、093エライ(おそ)ろしい(ゆめ)()たものだナア。094(あんま)()らず()らずの(あひだ)慢心(まんしん)して、095大蛇(をろち)背中(せなか)()せられ、096(くも)(うへ)まで引張(ひつぱ)()げられて(しま)つて()た。097(めくら)(へび)()ぢずと()(こと)があるが、098本当(ほんたう)目明(めあき)(つも)りで、099(われ)こそは天下(てんか)宣伝使(せんでんし)100世界(せかい)(めくら)(つんぼ)()をあけてやらうナンテ(えら)さうに()つて(ある)いて()つたが、101エライ(こは)(ゆめ)()たものだ。102コリヤきつと霊夢(れいむ)であらう、103アーア慢心(まんしん)はし(やす)いものだナア。104慢心(まんしん)大怪我(おほけが)(もと)だと、105何時(いつ)口癖(くちぐせ)(やう)()ひながら、106箕売(みう)(かさ)でひると()うたとへは自分(じぶん)()(こと)だ。107(ひと)(わる)いとか馬鹿(ばか)だとか(おも)うてゐると(みんな)自分(じぶん)のことだ、108これから(ひと)(たましひ)焼直(やきなほ)しをして(かか)らねばならぬワイ。109(あゝ)(かみ)(さま)有難(ありがた)御座(ござ)います。110()()をつけて(くだ)さいました』
111高光彦(たかてるひこ)蚊取別(かとりわけ)さま、112どんな(ゆめ)御覧(ごらん)になりました。113我々(われわれ)(おそ)ろしい(ゆめ)()ました。114四方(しはう)八方(はつぱう)真暗(まつくら)がりで、115秋月(あきづき)(たき)(まへ)だと(おも)へば、116大蛇(をろち)()()せられて、117エライ(とこ)鰻上(うなぎのぼ)りではなうて蛇上(へびのぼ)りに(のぼ)つてきつい(いまし)めに()ひ、118中天(ちうてん)から()びおりて、119(こし)をぬかし本当(ほんたう)(めう)(ゆめ)()ましたよ』
120蚊取別(かとりわけ)『ハア、121我々(われわれ)(ゆめ)同一(どういつ)ですワ』
122(こゑ)をかすませ、123(くび)(ひね)る。124玉光彦(たまてるひこ)125国光彦(くにてるひこ)126初公(はつこう)異口(いく)同音(どうおん)に、
127玉光彦、国光彦、初公(わたし)(その)(とほ)りそのとおり』
128(むね)(とどろ)かせ(なが)ら、129小声(こごゑ)になつて(くび)(しき)りに(かたむ)けて()る。130折柄(をりから)物音(ものおと)前方(ぜんぱう)()れば、131提灯(ちやうちん)(ひかり)(またた)き、132数十(すうじふ)(にん)人声(ひとごゑ)此方(こなた)(むか)つて(すす)(きた)る。
133初公(はつこう)『あの提灯(ちやうちん)(しるし)(まる)(じふ)134たしかに夏山彦(なつやまひこ)酋長(しうちやう)手下(てした)者共(ものども)135(いよいよ)初公(はつこう)さまを召捕(めしとり)()よつたな。136ヨーシ、137今迄(いままで)初公(はつこう)さまと(おも)つて()るか、138あまり(われ)は、139(えら)(えら)いと(おも)うて()るとスコタン()うぞよ。140足許(あしもと)真暗(まつくら)がり、141(やみ)(からす)のまつ黒々助(くろくろすけ)142夏山彦(なつやまひこ)家来(けらい)(やつ)(ども)143(かた)(ぱし)から「ウウーン、144ウーン」と阿吽(あうん)言霊(ことたま)145(ひら)くや(いな)四方(しはう)八方(はつぱう)に、146蜘蛛(くも)()()らすが(ごと)く、147チリチリバツト、148(はな)(あらし)(その)(ごと)く、149(みな)()()りに()げて()く………』
150蚊取別(かとりわけ)『コラコラ、151(なに)()(とぼ)けてるのだ。152あまりウーンに慢心(まんしん)をすると、153(いま)(やう)(こは)(ゆめ)()せられて、154警告(いましめ)()けるのだぞ。155ウーンも()加減(かげん)使(つか)つて………乱用(らんよう)するとまた(ゆめ)()せられるぞ』
156初公『モシ蚊取別(かとりわけ)さま、157あれは(ゆめ)だが、158(いま)そこへ()るのは現実(げんじつ)ですよ』
159蚊取別(かとりわけ)幻術(げんじゆつ)でも、160妖術(えうじゆつ)でも、161神術(しんじゆつ)でも無暗(むやみ)使(つか)ふものぢやないよ』
162初公(はつこう)『それでも、163短兵(たんぺい)(きふ)()しよせて()た、164この(てき)にムザムザと(とりこ)にしられようものなら、165それこそ最早(もはや)ウーンの(つき)だ。166(うん)()きる(まで)(ひと)つ、167ウンウンを()つて()つて()(たふ)し、168(うん)(いち)()(けつ)せむだ。169サア()勝負(しようぶ)………』
170高光彦(たかてるひこ)『アハヽヽヽ』
171初公(はつこう)(わら)(どころ)大変(たいへん)ですぜ。172あの提灯(ちやうちん)御覧(ごらん)173(まる)(じふ)だ』
174高光彦(たかてるひこ)(まる)(じふ)なら結構(けつこう)ぢやありませぬか、175三五教(あななひけう)裏紋(うらもん)だからな』
176初公(はつこう)裏紋教(うらもんけう)でも、177表教(おもてけう)でも、178大本(おほもと)でも、179かうなつては最早(もはや)百年目(ひやくねんめ)180自由(じいう)行動(かうどう)()ますから、181あなた(がた)()(にん)()(かた)はジツトして、182この初公(はつこう)のハツ人芸(にんげい)御覧(ごらん)なさい。183一人(ひとり)でハツ(にん)ぢや、184初夢(はつゆめ)初功名(はつこうみやう)185神力(しんりき)ハツ(てん)初舞台(はつぶたい)だ』
186蚊取別(かとりわけ)『コラコラ、187さうハツやぐものぢや()い、188ハツかしい(こと)(あと)になりて()()るぞよ。189(かみ)(まを)(うち)()かぬと、190()(いた)したら失敗(しくじ)るぞよ』
191 ()かる(ところ)(はや)くも夏山彦(なつやまひこ)一隊(いつたい)徐々(しづしづ)(あら)はれ()たる。
192初公(はつこう)『ヤア、193()せたり()せやがつたりな。194()れこそはイホの(みやこ)(かく)れなき初公(はつこう)さまだ。195召捕(めしと)るなら美事(みごと)召捕(めしと)つて()よ。196小癪(こしやく)(かま)(なんぢ)()振舞(ふるまひ)197(まま)になるなら、198麦飯(むぎめし)199稗飯(ひえめし)200粟飯(あはめし)201()もく(めし)202(こめ)(めし)203サア勝手(かつて)にメシ()つて()よ』
204蚊取別(かとりわけ)『アハヽヽヽ』
205(さん)(にん)『ワツハヽヽヽ』
206 群衆中(ぐんしうちう)より立派(りつぱ)姿(すがた)をした二人(ふたり)(をとこ)207蚊取別(かとりわけ)(まへ)悠々(いういう)(あら)はれ、
208夏山彦、春彦『ヤ、209あなたは蚊取別(かとりわけ)宣伝使(せんでんし)(さま)210………()一同(いちどう)(さま)211(わたし)()夏山彦(なつやまひこ)212春彦(はるひこ)でございます。213どうか(この)駕籠(かご)()()(くだ)さいまして我々(われわれ)矮屋(わいをく)一夜(いちや)()逗留(とうりう)()(ねがひ)(まを)したく、214態々(わざわざ)()(むか)へに(まゐ)りました』
215初公(はつこう)『ヤア、216ナーンだ、217(てん)()となり、218()(てん)となる、219(かは)れば(かは)()(なか)だ。220オイオイ(その)駕籠(かご)大蛇(をろち)背中(せなか)とは(ちが)ふか』
221夏山彦(なつやまひこ)『ヤア、222(まへ)初公(はつこう)か、223我々(われわれ)蚊取別(かとりわけ)その()(さん)(にん)宣伝使(せんでんし)(さま)()挨拶(あいさつ)申上(まをしあ)げて()るのだ。224横間(よこあひ)から(やかま)しう(まを)さずに、225(しばら)()つて()()れ』
226初公(はつこう)『ヨーシ承知(しようち)した。227(しか)駕籠(かご)四台(よんだい)よりないぢやないか、228初公(はつこう)さまの駕籠(かご)(あと)から()るのかい』
229春彦(はるひこ)生憎(あひにく)四台(しだい)よりありませぬので一台(いちだい)………』
230初公(はつこう)『オイオイ、231四台(しだい)よりない?………(なん)(なさけ)なきシダイなりけりだ。232(いち)だいのテレ(くさ)(はぢ)(さら)しだワイウフヽヽヽ』
233蚊取別(かとりわけ)折角(せつかく)思召(おぼしめし)()にするも(なん)となく心許(こころもと)なく(おも)ひますが、234我々(われわれ)はさ(やう)贅沢(ぜいたく)駕籠(かご)などに()ることは出来(でき)ませぬ』
235初公(はつこう)『ヤア(いま)あまり調子(てうし)()つて、236ウンウン気張(きば)ると()つて、237ウンが増長(ぞうちよう)して(たか)(たか)いコクウンの(なか)までおつぽり()げられ、238スツテンドウと地上(ちじやう)真逆(まつさか)(さま)()ちて、239(こし)()つた(ゆめ)()よつたものだから………そんな(にはか)殊勝(しゆしよう)らしい(こと)(あふ)せられるのだ。240恰度(ちやうど)それならそれで都合(つがふ)()いわ。241(さん)(にん)宣伝使(せんでんし)(さま)(この)初公(はつこう)さまと四人(よつたり)()せて(もら)はう』
242玉光彦(たまてるひこ)(わたし)駕籠(かご)(ひら)御免(ごめん)(かうむ)ります』
243国光彦(くにてるひこ)我々(われわれ)もその(とほ)り』
244初公(はつこう)拙者(せつしや)同様(どうやう)245駕籠(かご)(ひら)にお(ことわ)(まを)す』
246 群衆(ぐんしう)(なか)より、
247群衆の一人『コラ初公(はつこう)248貴様(きさま)がお(ことわ)(どころ)か、249(たの)んだつてコチラからお(ことわ)りだよ』
250夏山彦(なつやまひこ)折角(せつかく)(こころざし)251どうぞお()(くだ)さいませ』
252蚊取別(かとりわけ)『イヤ(また)()(さき)から振落(ふりお)ちねばならぬと(こま)るから、253乗物(のりもの)(ひら)にお(ことわ)(まを)します』
254初公(はつこう)『モシモシ蚊取別(かとりわけ)さま、255どうやら此処(ここ)大蛇(をろち)(せな)ぢやあるまいか、256足許(あしもと)がツルツルするぢやないか。257夏山彦(なつやまひこ)(うち)()馳走(ちそう)(いただ)いたと(おも)へば、258牛糞(うしぐそ)馬糞(うまぐそ)か、259(わけ)(わか)らぬ(もの)()はされて、260舌鼓(したづつみ)()つた(ゆめ)()連中(れんちう)だから、261この夏山彦(なつやまひこ)(ゆめ)(なか)ぢやあるまいかナア』
262蚊取別(かとりわけ)(ゆめ)でも(なん)でもよいぢやないか。263(てん)(くら)(つき)(ひかり)()く、264(いづ)悪魔(あくま)跋扈(ばつこ)跳梁(てうりやう)する()(なか)だ。265()暗黒(くらがり)になつて()ると、266(まこと)(もの)(ひと)つもないと(おも)つたら落度(おちど)はない。267マア(ゆめ)でも化物(ばけもの)でも(なん)でも(かま)はぬ。268刹那心(せつなしん)だ、269()(とこ)(まで)()かうかい』
270一行(いつかう)()(にん)夏山彦(なつやまひこ)以下(いか)群衆(ぐんしう)(むか)へられて、271今度(こんど)(いよいよ)(ゆめ)でもない、272(まぼろし)でもない、273曲神(まがかみ)(やかた)でもない、274正真(しやうしん)正銘(しやうめい)夏山彦(なつやまひこ)(やかた)()いたのである。
275 正門(せいもん)左右(さいう)開放(あけはな)され、276門内(もんない)薄暗(うすぐら)けれど、277(ちり)一本(いつぽん)なき(まで)(きよ)箒目(はうきめ)(ただ)しく、278掃除(さうぢ)行届(ゆきとど)いて()様子(やうす)である。279表門(おもてもん)入口(いりぐち)より一間巾(いつけんはば)(ほど)(うるは)しき真砂(まさご)敷詰(しきつ)められ、280一行(いつかう)歓迎(くわんげい)した酋長(しうちやう)真心(まごころ)(この)砂路(すなみち)にも(あら)はれ()たりける。
281初公(はつこう)『ヤア(これ)一遍(いつぺん)(とほ)つた。282(もん)()門番(もんばん)貫公(くわんこう)283徹公(てつこう)第5章では「鉄公」(おぼろ)ながらも(かほ)()ひ、284玄関(げんくわん)様子(やうす)285一分(いちぶ)一厘(いちりん)間違(まちが)ひのない仕組(しぐみ)だ。286コラ(また)(ゆめ)だらう、287………オイオイ蚊取別(かとりわけ)さま、288一寸(ちよつと)(わし)(ほほ)べた(ひね)つて()()れぬか、289自分(じぶん)がひねつたのでは、290(ゆめ)(ゆめ)ぢやないか明瞭(はつきり)せない………アイタヽヽヽあまり(ひど)(こと)すな、291(はな)捻上(ねぢあ)げよつて………』
292蚊取別(かとりわけ)(ひね)つて()れと()ふから、293註文(ちゆうもん)(どほ)(ひね)つてやつたのだ。294貴様(きさま)(はな)はあまり(ひく)いのと(よこ)つチヨに()いとるものだから、295頬辺(ほほべた)だと(おも)つて(ひね)つたのだ。296はなはなもつて見当(けんたう)()れぬ面付(つらつき)だなア』
297初公(はつこう)本当(ほんたう)にさうだ、298ケントウがとれぬワイ。299提灯(ちやうちん)()れても、300軒灯(けんとう)(たか)(とこ)()つてあるから、301(おれ)(やう)(せい)(ひく)(もの)では、302一寸(ちよつと)()(にく)いなア』
303蚊取別(かとりわけ)今度(こんど)(ゆめ)ぢやない、304本当(ほんたう)だ』
305初公(はつこう)本当(ほんたう)(うそ)か、306蚊取別(かとりわけ)さまのお言葉(ことば)もあまり(あて)にはなりませぬワイ。307(ひと)此処(ここ)(いち)(ばち)かぢや、308真偽(しんぎ)(たしか)めて()よう』
309()(なが)ら、310初公(はつこう)(うで)()り、311ドシドシと(おく)()(すす)()り、
312初公『ヤア、313拙者(それがし)今日(こんにち)(まで)イホ(むら)侠客(けふかく)権太郎(ごんたらう)初公(はつこう)()つたは()(しの)(かり)()314(もと)(ただ)せば聖地(せいち)エルサレムに(おい)て、315行成彦(ゆきなりひこ)従神(じうしん)たりし行平別(ゆきひらわけの)(みこと)316(なんぢ)夏山彦(なつやまひこ)八岐(やまた)大蛇(をろち)片腕(かたうで)となり、317白瀬川(しらせがは)大蛇(をろち)となり、318(この)イホの(みやこ)尻尾(しつぽ)(あら)はし、319我々(われわれ)立派(りつぱ)(やかた)()せかけ、320牛糞(うしぐそ)馬糞(うまぐそ)馳走(ちそう)()せかけて()はさうと(いた)(その)計略(けいりやく)は、321(まへ)(もつ)承知(しようち)拙者(それがし)322サア尋常(じんじやう)白状(はくじやう)(いた)せばよし、323白状(はくじやう)(いた)さぬに(おい)ては、324十握(とつか)宝剣(ほうけん)(もつ)寸断(すんだん)にするぞ』
325大音声(だいおんじやう)(よば)はつて()る。326夏山彦(なつやまひこ)(この)(こゑ)(おどろ)きて(この)()(はし)(きた)り、
327夏山彦『ヤア、328(たれ)かと(おも)へば初公(はつこう)ぢやないか、329(なん)(おほ)きな(こゑ)()して………』
330初公(はつこう)(おほ)きな(こゑ)(おれ)地声(ぢごゑ)だ。331大蛇(をろち)化物(ばけもの)ツ』
332夏山彦(なつやまひこ)『モシモシ宣伝使(せんでんし)(さま)333この(をとこ)はどうかして()るのでせうな』
334蚊取別(かとりわけ)『イヤどうもして()りませぬ。335一寸(ちよつと)(ふく)守護神(しゆごじん)()(うつ)つて、336(わけ)もない(こと)()ざくのですよ』
337初公(はつこう)『ナニ、338(ふく)守護神(しゆごじん)だ!馬鹿(ばか)にするない。339フクはフクだが世界(せかい)(ふく)守護(しゆご)する七福(しちふく)守護神(しゆごじん)だぞ』
340蚊取別(かとりわけ)雑巾(ざふきん)()たしたらそこらをフク守護神(しゆごじん)341雪隠(せんち)()つても、342(ろく)(しり)(だけ)()かぬ守護神(しゆごじん)343法螺(ほら)ばつかり()守護神(しゆごじん)だ。344(かに)(やう)(あわ)()守護神(しゆごじん)345(ねつ)()守護神(しゆごじん)だ。346アハヽヽ』
347夏山彦(なつやまひこ)()一同(いちどう)(さま)348疲労(くたびれ)御座(ござ)いませう。349どうぞ(ゆつく)り、350()()(ころ)まで()()御座(ござ)います。351(この)(ごろ)()()()つても、352日輪(にちりん)(さま)のお姿(すがた)(くも)(つつ)まれて(をが)めませぬが、353ここに(ひと)()(とも)して()きますから、354ゆつくり御飯(ごはん)でも召上(めしあが)つて、355今晩(こんばん)はお(やす)(くだ)さいませ。356明日(あす)ゆつくりお()にかかりませう』
357初公(はつこう)『それ()蚊取別(かとりわけ)さま、358初公(はつこう)()(くろ)いものだ、359やつぱり大蛇(をろち)(せなか)だ。360()出神(でのかみ)だとか()()だとか、361(ひと)()とか()うたぢやないか』
362蚊取別(かとりわけ)此奴(こいつ)まだ(ゆめ)()てゐる、363(こま)つた(やつ)だナア』
364とまた(はな)(ちから)(かぎ)りに()()げる。
365初公(はつこう)『イヽヽヽイツタイ、366蚊取別(かとりわけ)367フニヤ フニヤ フニヤ、368ヘタイ ヘタイ ヘタイ ヘタイ、369ハヤセ ハヤセ ハヤセ ハヤセ』
370蚊取別(かとりわけ)『アハヽヽヽ』
371初公(はつこう)『あまり(ひと)馬鹿(ばか)にすな。372(この)()(をとこ)(ぷり)(はな)引延(ひきの)ばしよつて……天狗(てんぐ)(やう)になつたぢやないか』
373蚊取別(かとりわけ)『ヤ、374(これ)へつこむだ(はな)()びて調和(てうわ)()れた。375ハナの(みやこ)初花姫(はつはなひめ)(やう)な、376立派(りつぱ)(かほ)になつたよ』
377 この(とき)(おく)()より、378嚠喨(りうりやう)たる一絃琴(いちげんきん)(おと)(かす)かに(きこ)え、379女神(めがみ)(うた)(こゑ)380蚊取別(かとりわけ)(みみ)(とく)()()(やう)であつた。381蚊取別(かとりわけ)(くび)(かたむ)(なが)()()み、
382蚊取別(かとりわけ)『ハテなア』
383大正一一・三・九 旧二・一一 松村真澄録)
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki