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第二一章 立花島(たちばなじま)〔五一七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻 篇:第3篇 天岩戸開(三) よみ(新仮名遣い):あまのいわとびらき(三)
章:第21章 立花島 よみ(新仮名遣い):たちばなじま 通し章番号:517
口述日:1922(大正11)年03月10日(旧02月12日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
乗り合わせていた高光彦の宣伝使は、石凝姥宣伝使、時置師宣伝使に丁重に挨拶すると、宣伝歌を歌い始めた。
宣伝歌は橘姫の神徳を称え、四柱の牛、馬、鹿、虎に対して、神の道に誠を尽くすように諭していた。
舟は立花嶋に安着した。無事に上陸した牛、馬、鹿、虎ははしゃいで馬鹿話をしている。時置師は、ここは橘姫の鎮まる聖地なので、慎むようにと一同に注意した。
この島は、世界一切の草木が繁茂し、穀物や果物が自然になる楽園の島であった。邪神の邪気によって地上は涸れて生気を失っていたが、この島の植物だけは繁茂していた。
玉光彦、国光彦は島を賛美する宣伝歌を歌った。行平別は、世界が凶作にあえいでいるのに、この島だけは反映している、橘姫よこの恵みを一人占めせずに人々の悩みを癒せよ、と歌った。
橘姫は姿を表し、右手に稲穂、左手に橙を携え、天の数歌を歌い、稲穂を天空高く放り上げた。稲穂は四方に散乱して、豊葦原の瑞穂の国を実現した。
左手の木の実を高く投げ上げると、豊葦原の瑞穂の国は、食物果物よく実る神代となった。これは、天の岩戸開きのご神業の一部である。
橘姫は、国光彦と夫婦となってこの島に鎮まり、国土鎮護の神となった。天の真奈井における誓約の際に現れた三女神の多岐都比売命は、橘姫の後身である。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-11-12 00:58:43 OBC :rm1221
愛善世界社版:172頁 八幡書店版:第2輯 689頁 修補版: 校定版:182頁 普及版:75頁 初版: ページ備考:
001 高光彦(たかてるひこ)宣伝使(せんでんし)石凝姥(いしこりどめ)002時置師(ときおかし)二人(ふたり)(むか)慇懃(いんぎん)挨拶(あいさつ)()べ、003朝日(あさひ)(むか)つて宣伝歌(せんでんか)(うた)(はじ)めたり。
004高光彦朝日(あさひ)(ひか)(つき)()
005大海原(おほうなばら)(しほ)()
006潮満球(しほみつだま)潮干(しほひる)
007大御宝(おほみたから)(あら)はれて
008(なみ)()()けて(のぼ)()
009(ひかり)(きよ)赤玉(あかだま)
010()さへ(ひか)りて白玉(しろたま)
011(いづ)(みづ)との(その)神姿(すがた)
012(いよいよ)(たか)(うる)はしく
013豊栄(とよさか)(のぼ)(あま)(はら)
014コーカス(ざん)(ただ)ならず
015大海原(おほうなばら)(ただよ)へる
016四方(よも)国々(くにぐに)島々(しまじま)
017(みな)(あきら)けく()りにけり
018()出神(でのかみ)(ひと)()
019天津(あまつ)御空(みそら)国土(くにつち)
020()(わた)るなり(くま)もなく
021(きよ)神代(かみよ)守護神(まもりがみ)
022三五教(あななひけう)御教(みをしへ)
023千代(ちよ)八千代(やちよ)(たちばな)
024(しま)()します姫神(ひめがみ)
025(よはひ)(なが)竹生島(ちくぶしま)
026橘島(たちばなじま)()()へて
027(くれ)海原(うなばら)(てら)しつつ
028憂瀬(うきせ)()ちて(くる)しまむ
029(もも)罪人(つみびと)(たす)()
030(かみ)(たふと)試錬(こころみ)
031()ひし(うし)(うま)鹿(しか)(とら)
032ウラルの(かみ)目付役(めつけやく)
033(こころ)(あらし)(なみ)()
034(いま)(やうや)(しづ)(うみ)
035波風(なみかぜ)()たぬ歓喜(よろこび)
036(まが)身魂(みたま)()(はら)
037旭日(あさひ)(そら)高光彦(たかてるひこ)
038(うづ)(みこと)宣伝使(せんでんし)
039天津(あまつ)(かみ)より(たま)ひてし
040玉光彦(たまてるひこ)神身魂(かむみたま)
041直日(なほひ)()りて顕国(うつしくに)
042()らむ(かぎ)りは光彦(てるひこ)
043この三柱(みはしら)宣伝使(せんでんし)
044国武丸(くにたけまる)()()ひて
045名乗(なの)()ひたる十柱(とはしら)
046(うづ)御子(みこ)こそ(たふと)けれ
047(かしこ)(かみ)御恵(みめぐみ)
048一日(ひとひ)片時(かたとき)(わす)れなよ
049(かみ)(めぐみ)(わす)れたる
050(とき)こそ(まが)(おそ)(とき)
051()(あやま)ちの(いづ)(とき)
052()(わざはひ)(きた)(とき)
053(あめ)(つち)との神々(かみがみ)
054(ふか)(めぐみ)(わす)るるな
055(かみ)()いでは父母(ちちはは)
056(やま)より(たか)(うみ)よりも
057(ふか)(めぐみ)片時(かたとき)
058(わす)れてならぬ四柱(よはしら)
059(うし)(うま)鹿(しか)(とら)(かみ)御子(みこ)
060朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
061(つき)()つとも()くるとも
062仮令(たとへ)曲津(まがつ)(すさ)ぶとも
063大地(だいち)(どろ)(ひた)るとも
064(まこと)(ちから)()(すく)
065現界(うつしよ)幽界(かくりよ)神界(かみのよ)
066(とほ)して我身(わがみ)常久(とことは)
067(すく)ふは(まこと)(みち)のみぞ
068(まこと)(つく)何時迄(いつまで)
069身魂(みたま)(みが)常久(とことは)
070(あさ)(ゆふ)なに(かへり)みて
071(こころ)(くば)(うづ)御子(みこ)
072アヽ惟神(かむながら)々々(かむながら)
073御霊(みたま)(さちは)ひましませよ
074御霊(みたま)(さちは)ひましませよ』
075(うた)(をは)つて(もと)(せき)(かへ)合掌(がつしやう)する。
076 (ふね)(やうや)くにして(たちばな)(しま)安着(あんちやく)した。077(ろく)(にん)宣伝使(せんでんし)(はじ)船中(せんちう)人々(ひとびと)一人(ひとり)(のこ)らず(しま)上陸(じやうりく)した。
078牛公(うしこう)『ヤア有難(ありがた)有難(ありがた)い、079この橘島丸(たちばなじままる)()つて()れば、080どんな(かぜ)()いた(ところ)最早(もはや)沈没(ちんぼつ)する(おそれ)()いわ。081仮令(たとへ)(てん)()となり()(てん)となり、082如何(いか)なる暴風(ばうふう)()(きた)るとも、083(いは)より(かた)(この)(ふね)牛公(うしこう)(うで)(やう)なものだ。084オイ馬鹿虎(ばかとら)085(なん)青黒(あをぐろ)(つら)をしよつて(はな)()かぬか、086(みつともな)い』
087馬公(うまこう)『チツト(かぜ)()いたものだからナア』
088牛公(うしこう)(かぜ)()かなくても貴様(きさま)(はな)年中(ねんぢう)だ、089恰度(てうど)下水鼻(げすゐばな)だ』
090時置師(ときおかし)『コラコラ、091また(はしや)ぎよるか。092(この)(しま)無駄口(むだぐち)()(ところ)()いぞ。093(おそ)(おほ)くも須佐之男(すさのをの)大神(おほかみ)(さま)(うづ)三柱(みはしら)御子(みこ)094(つるぎ)威徳(ゐとく)(あら)はれ(たま)うた橘姫(たちばなひめ)さまのお(しづ)まり(あそ)ばす神島(かみじま)だ。095チツト言霊(ことたま)(つつし)むだが()からう。096心得(こころえ)(わる)いと(また)(かへ)りがけに(うみ)()れるぞ』
097 (うし)098鹿(しか)099(うま)100(とら)()(にん)はハイハイと(かしこ)まり、101(ちから)()げに俯向(うつむ)いて()る。
102 (この)(しま)世界(せかい)一切(いつさい)所有(あらゆる)草木(さうもく)繁茂(はんも)し、103(いね)(むぎ)(まめ)(あは)(きび)(たぐひ)104果物(くだもの)105蔓物(つるもの)(すべ)自然(しぜん)出来(でき)()蓬莱(ほうらい)(しま)である。106地上(ちじやう)山川(さんせん)草木(さうもく)()()し、107(しを)れて生気(せいき)(うしな)ひたるにも(かか)はらず、108(この)(しま)のみは水々(みづみづ)しき草木(さうもく)(つや)109殊更(ことさら)(うる)はしく(あぢ)()果物(くだもの)(えだ)()れむ(ばか)りに(みの)りつつあるのである。110何処(どこ)とも()糸竹(しちく)管絃(くわんげん)(ひびき)(かす)かに(きこ)え、111百花(ももばな)千花(ちばな)馥郁(ふくいく)たる香気(かうき)(ひと)心魂(しんこん)をして清鮮(せいせん)ならしめ、112(はらわた)をも(あら)()らるる(ごと)爽快(さうくわい)(ねん)(みた)さる。
113 玉光彦(たまてるひこ)潮水(しほみづ)()(あら)(くち)(すす)(こゑ)(さわや)かに(うた)ふ。
114玉光彦天津(あまつ)御神(みかみ)国津(くにつ)(かみ)
115(えら)びに(えら)びし(この)(しま)
116(はな)非時(ときじく)(かを)るなり
117(かを)りゆかしき樹々(きぎ)()
118(あぢ)殊更(ことさら)(うる)はしく
119(いろ)(あざや)かに(ひか)るなり
120(かみ)(つく)りしパラダイス
121永久(とは)(をしへ)(はな)()きて
122()(うる)はしき(うづ)(しま)
123高天(たかま)(はら)(ひら)けしか
124(すさ)()てたる荒野原(あれのはら)
125山川(やまかは)()えて(いま)此処(ここ)
126(なみ)(わた)りて()()れば
127(おも)ひも()らぬ(スガ)(しま)
128大御恵(おほみめぐみ)()のあたり
129四辺(あたり)(かがや)島山(しまやま)
130橘姫(たちばなひめ)(おん)神姿(すがた)
131(かがみ)(うつ)(ごと)くなり
132高天原(たかあまはら)(かみ)(くに)
133高天原(たかあまはら)のパラダイス
134千代(ちよ)八千代(やちよ)(この)(さか)
135(かは)らざらまし橘姫(たちばなひめ)
136(かみ)(みこと)御舎(みあらか)
137常磐(ときは)(まつ)永久(とこしへ)
138(いろ)()せざれ()()るな
139(かみ)守護(まもり)永久(とこしへ)
140(かみ)恩恵(めぐみ)常久(とことは)に』
141(うた)つて(かみ)御徳(みとく)讃美(さんび)したりき。
142 国光彦(くにてるひこ)(また)もや(すず)しき(こゑ)()()げて、
143国光彦雲井(くもゐ)(そら)(かぎ)りなく
144(うみ)(そこ)ひの(きは)みなく
145()()らひたる(かみ)(とく)
146(かみ)水火(いき)より(うま)れたる
147(この)神島(かみしま)()()れば
148(もも)草木(くさき)生茂(おひしげ)
149青人草(あをひとぐさ)非時(ときじく)
150()ひて()くべき食物(たなつもの)
151(もも)()()(ゆた)やかに
152(えだ)(たわ)わに(みの)るなり
153天津(あまつ)日影(ひかげ)はいと(きよ)
154(なみ)また(きよ)(くれ)(うみ)
155(かみ)御子(みこ)たる民草(たみぐさ)
156(こころ)(いろ)(きよ)ければ
157(この)(しま)のみか四方(よも)(くに)
158何処(いづく)()ても天地(あめつち)
159(かみ)(めぐみ)(うるほ)ひて
160(たのし)()きぬパラダイス
161(かみ)(こころ)(つつし)みて
162(ふか)(さと)りて三五(あななひ)
163(まこと)(をしへ)(まつろ)へば
164御空(みそら)(きよ)(つち)(きよ)
165(なみ)(たひら)けく(やま)()
166何時(いつ)青々(あをあを)(まつ)(みどり)
167(まつ)神世(かみよ)常久(とことは)
168(さか)えしものを現身(うつそみ)
169ねぢけ(まが)れる人心(ひとごころ)
170()()天地(てんち)(けが)したる
171醜言霊(しこことたま)(しこ)呼吸(いき)
172草木(くさき)()らし山河(やまかは)
173(みづ)まで()らす(おろか)さよ
174嗚呼(ああ)この(しま)(かがみ)とし
175(こころ)(きよ)()(きよ)
176四方(よも)国々(くにぐに)皇神(すめかみ)
177(まこと)(みち)(つた)ふべし
178()常久(とことは)(たちばな)
179(ひめ)(みこと)知食(しろしめ)
180橘島(たちばなじま)のいと(きよ)
181(なみ)(しづ)まれ()つの(うみ)
182魔神(まがみ)(たけ)葦原(あしはら)
183(しこ)醜草(しこぐさ)薙払(なぎはら)
184(あま)岩戸(いはと)()(ひら)
185天地(あめつち)四方(よも)国々(くにぐに)
186()出国(でのくに)(ひら)くべし
187嗚呼(ああ)(たふと)しや有難(ありがた)
188(かみ)(めぐ)みの(かぎ)りなく
189(きみ)(めぐ)みの(きは)みなく
190親子(おやこ)夫婦(ふうふ)(むつ)()
191(ひと)(ひと)とは(したし)みて
192(ゑら)ぎて(くら)(かみ)(くに)
193一度(いちど)(ひら)白梅(しらうめ)
194(はな)(かをり)松竹(まつたけ)
195(きよ)(みさを)(かは)らざれ
196(きよ)神世(かみよ)(かは)らざれ
197堅磐(かきは)常盤(ときは)(まつ)(みどり)
198ミロクの(かみ)(あら)はれて
199天津教(あまつをしへ)経緯(たてよこ)
200(あや)(にしき)(はた)()らす
201アヽ惟神(かむながら)々々(かむながら)
202御霊(みたま)(さち)(ねが)ふなり
203千代(ちよ)八千代(やちよ)常久(とことは)
204千代(ちよ)八千代(やちよ)常久(とことは)に』
205 行平別(ゆきひらわけ)大口(おほぐち)()けて(また)もや(うた)(はじ)めた。
206行平別山川(やまかは)どよみ国土(くぬち)()
207青垣山(あをがきやま)()()てて
208何処(どこ)彼処(かしこ)()(とぼ)
209野辺(のべ)百草(ももくさ)(つゆ)()
210(しを)(かへ)りて()るる()
211(かみ)(まも)つて(くれ)(うみ)
212唐紅(からくれなゐ)(ごと)くなる
213枯野(かれの)(はら)(つち)(うへ)
214(つゆ)()びたる緑葉(みどりば)
215(ひと)つも()しと(おも)ふたに
216これやマア(なん)とした(こと)
217この(しま)だけは青々(あをあを)
218五穀(ごこく)(みの)()(さか)
219果物(くだもの)(じゆく)して(うま)さうな
220自然(しぜん)(つばき)(ほとばし)
221一視(いつし)同仁(どうじん)(かみ)(さま)
222(こころ)似合(にあ)はぬ(なん)として
223(この)(しま)だけは(さち)(おほ)
224(おも)ひまはせば(まは)(ほど)
225(はら)たちばな(しま)(やま)
226()ひたい理窟(りくつ)山々(やまやま)あれど
227(こころ)(きたな)人間(にんげん)
228()分際(ぶんざい)(かへり)みて
229理窟(りくつ)()ふのは()めにしよう
230(ひと)さへ()まぬ(この)(しま)
231(こめ)(みの)つて(なん)になる
232果物(くだもの)(じゆく)して(なん)とする
233(あま)りに(かみ)()()かぬ
234サアこれからは(この)(はう)
235生言霊(いくことたま)(ちから)にて
236四方(よも)国々(くにぐに)島々(しまじま)
237(みどり)木草(きくさ)(うづ)(いね)
238(とよ)果物(くだもの)一々(いちいち)
239(うつ)して世人(よびと)(すく)ふべし
240橘島(たちばなじま)姫神(ひめがみ)
241行平別(ゆきひらわけ)言霊(ことたま)
242𪫧怜(うまら)委曲(つばら)()こしめせ
243()しも()かれなそれでよい
244行平別(ゆきひらわけ)にも(はら)がある
245()いた(しるし)にや一時(いつとき)
246(はや)姿(すがた)()へられよ
247(この)島山(しまやま)()()てて
248()()(ごと)くなつたなら
249豊葦原(とよあしはら)国々(くにぐに)
250(みな)生々(いきいき)とするであらう
251橘姫(たちばなひめ)(ただ)一人(ひとり)
252(さか)えの(くに)安々(やすやす)
253(その)()(くら)四方国(よもくに)
254青人草(あをひとぐさ)(なや)みをば
255他所(よそ)()るのか逸早(いちはや)
256(しるし)()せよ片時(かたとき)
257()(すみ)やけく(わが)(まへ)に』
258大音声(だいおんじやう)(よばは)つた。259(この)(とき)何処(いづこ)ともなく忽然(こつぜん)として(あら)はれたる高尚(かうしやう)優美(いうび)橘姫(たちばなひめ)は、260(みぎ)()稲穂(いなほ)()ち、261(ひだり)()(だいだい)木実(このみ)(たづさ)へて(きた)り、262(あま)数歌(かずうた)(しとや)かに(うた)(をは)つて(みぎ)()(いね)天空(てんくう)(たか)()()(たま)うた。263稲穂(いなほ)(かぜ)のまにまに四方(よも)散乱(さんらん)豊葦原(とよあしはら)瑞穂(みづほ)(くに)実現(じつげん)する(こと)とはなりぬ。264(ひだり)()()たせ(たま)木実(このみ)(また)もや中天(ちうてん)()()(たま)へば、265億兆(おくてう)無数(むすう)果物(くだもの)となつて四方(よも)散乱(さんらん)しければ、266豊葦原(とよあしはら)瑞穂国(みづほくに)食物(をしもの)果物(くだもの)はこれより()(みの)り、267万民(ばんみん)安堵(あんど)する神世(かみよ)端緒(たんしよ)(ひら)かれにける。268これ(あま)岩戸(いはと)(びら)きの一部(いちぶ)()神業(しんげふ)なり。
269(ちなみ)()ふ』橘姫(たちばなひめ)三光(さんくわう)一人(ひとり)なる国光彦(くにてるひこ)宣伝使(せんでんし)(とも)夫婦(ふうふ)となり、270この(しま)永遠(ゑいゑん)(しづ)まりて国土(こくど)鎮護(ちんご)(かみ)となつた。271(あめ)真奈井(まなゐ)()ける日神(ひのかみ)との誓約(うけひ)(だん)(あら)はれたる三女神(さんによしん)(なか)多岐都(たきつ)比売(ひめの)(みこと)橘姫(たちばなひめの)(みこと)後身(こうしん)なりと()るべし。
272大正一一・三・一〇 旧二・一二 北村隆光録)
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