霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二九章 子生(こうみ)(ちかひ)〔五二五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻 篇:第4篇 古事記略解 よみ(新仮名遣い):こじきりゃっかい
章:第29章 子生の誓 よみ(新仮名遣い):こうみのちかい 通し章番号:525
口述日: 口述場所: 筆録者:谷村真友[#講演筆録] 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
須佐之男命は根の堅洲国に行く前に、姉神である天照大御神にいとまごいを告げに高天原にやってきた。これは大事件であるというので、国内が大騒ぎになった。
天照大御神はこの騒ぎを聞いて、弟神に何か悪い心があって高天原にやってくるのではないか、と疑いの心を持った。そこで、戦闘の準備をして荒々しく弟神を迎えた。ちょうど、今日の新聞が、大本を疑ってかかるような状態である。
そこで須佐之男命は姉神に弁解をされたが、姉神は証拠を見せろと仰せになる。そこで、御子生みの誓約をすることになった。
須佐之男命の剣から生まれたのは、多紀理姫命、市寸嶋比売命、多気津姫命の三女神であった。それぞれ尚武勇健、稜威直進、正義純直という言霊学上の解釈になる。これが瑞霊の霊性である。
須佐之男命の武器からは従順な女神がお生まれになった。
一方、天照大御神の鏡からは、猛々しい五柱の男神がお生まれになった。これによって、天照大御神は変性男子、須佐之男命は変性女子である御魂が立て別けられたのである。
須佐之男命には悪い心がなかったことが明らかになった。つまり誓約には勝ったのだが、須佐之男命に従う者らはこの結果に増長し、さまざまな乱暴を行い始めた。
天照大御神は、弟神がこのような乱暴を行うはずがないとして静観していた。しかし機織り(世界経綸)をしているときに、馬の皮を上から落とされて邪魔をされた。またそれで機織り女が死んでしまうという事件が起きた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:御統真琉(美須麻琉)、熊野久須毘命(熊野樟日命) データ凡例: データ最終更新日:2021-09-22 04:00:20 OBC :rm1229
愛善世界社版:259頁 八幡書店版:第2輯 722頁 修補版: 校定版:275頁 普及版:114頁 初版: ページ備考:
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]神霊界 > 大正9年11月11日号(第131号) > 天の岩戸開〔古事記の真解〕
001 そこで須佐之男(すさのをの)(みこと)がお(とう)さんの伊邪那岐(いざなぎの)(みこと)申上(まをしあ)げられましたのには、002(しか)らば(わたくし)()堅洲国(かたすくに)(まゐ)ります。003(しか)しそれにつきましては、004高天原(たかあまはら)()姉君(あねぎみ)天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)一度(いちど)(いとま)()ひを(いた)して(まゐ)(たい)(ぞん)じます。005高天原(たかあまはら)(のぼ)りますと(まを)されて、
006 『(すなは)(あめ)参上(まゐのぼ)りますときに、007山川(やまかは)(ことごと)(どよ)み、008国土(くにつち)(みな)()りき』
009 (てん)にお(あが)りになるといふ(この)(あめ)大本(おほもと)()へば高天原(たかあまはら)で、010今日(こんにち)(たと)へて()たならば(くに)政治(せいぢ)中心(ちうしん)現代(げんだい)日本(にほん)高天原(たかあまはら)東京(とうきやう)であります。011神界(しんかい)にも政治(せいぢ)中心(ちうしん)高天原(たかあまはら)にあつたのは当然(たうぜん)御座(ござ)います。012そこでいよいよ高天原(たかあまはら)(のぼ)(たま)はむとするとき(やま)(かは)(ことごと)(うご)いた。013国土(くにつち)(みな)(ふる)()しました。014(すなは)物質界(ぶつしつかい)(うへ)にも精神界(せいしんかい)(うへ)にも、015大地震(だいぢしん)があつたのであります。016(しか)しこれは形容(けいよう)であつて、017社会(しやくわい)万民(ばんみん)(すべ)てのものが今更(いまさら)のやうに(おどろ)き、018国土(こくど)神々(かみがみ)一度(いちど)震駭(しんがい)した。019今日(こんにち)言葉(ことば)()へば内乱(ないらん)(おこ)つたといふやうな意味(いみ)非常(ひじやう)(さわ)ぎであります。020須佐之男(すさのをの)(みこと)がこれから()堅洲国(かたすくに)においでになるに(つい)ては、021今度(こんど)(いとま)()ひの(ため)高天原(たかあまはら)にお(あが)りになるといふので、022国中(くにぢう)非常(ひじやう)大騒(おほさわ)ぎで、023(つひ)騒乱(さうらん)(おこ)つたのであります。024一方(いつぱう)天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)(さま)は、025今度(こんど)須佐之男(すさのをの)(みこと)(てん)(のぼ)るに(つい)て、026国中(くにぢう)大騒(おほさわ)ぎであるといふことを(きこ)()されて、027(おほ)いにお(おどろ)きになつて、
028 『あが汝兄(なせ)(みこと)(のぼ)()ます(ゆゑ)は、029(かなら)(うつく)しき(こころ)ならじ、030()(くに)(うば)はむと(おもほ)すにこそ』
031()(たま)うて(おとうと)須佐之男(すさのをの)(みこと)海原(うなばら)(しら)さずして、032高天原(たかあまはら)(のぼ)つて()るといふことであるが、033これは(かなら)(うつく)しい(こころ)ではなからう。034(わが)(この)主宰(しゆさい)する(ところ)高天原(たかあまはら)占領(せんりやう)()るのであらうと(あふ)せになつて、
035 『御髪(みかみ)()御美髪(みみづら)()かして』
036 (をとこ)(かみ)のやうに(むす)(なほ)して大丈夫(ますらを)装束(しやうぞく)をして数多(あまた)部下(ぶか)整列(せいれつ)せしめ、037(たたか)ひの用意(ようい)をなさつたのであります。038元来(ぐわんらい)変性(へんじやう)男子(なんし)霊性(れいせい)はお(うたがひ)(ふか)いもので、039わしの(くに)()りに()る、040(あるひ)自分(じぶん)自由(じいう)にする心算(つもり)であらう、041()()心配(しんぱい)になつたのであります。042丁度(ちやうど)これに()たことが、043明治(めいぢ)二十五(にじふご)(ねん)以来(いらい)のお筆先(ふでさき)非常(ひじやう)沢山(たくさん)()いてあります。044変性(へんじやう)女子(によし)高天原(たかあまはら)()(つぶ)して(しま)うと()つて、045変性(へんじやう)女子(によし)行動(かうどう)(たい)して非常(ひじやう)圧迫(あつぱく)(くは)へられる。046また女子(によし)大本(おほもと)全体(ぜんたい)破壊(つぶ)して(しま)うといふやうなことが、047筆先(ふでさき)(あらは)れて()ります。048それで教主(けうしゆ)(はじ)役員(やくゐん)一同(いちどう)049教祖(けうそ)(をしへ)(とほ)りに(この)皇国(くわうこく)()め、050霊主(れいしゆ)体従(たいじゆう)神教(しんけう)()いて日夜(にちや)(つと)めて()るので御座(ござ)いますが、051(しか)大本(おほもと)教祖(けうそ)変性(へんじやう)男子(なんし)霊魂(みたま)であつて矢張(やつぱり)(うたがひ)(ふか)いといふ(てん)もあります。052天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)(さま)は、053(うたが)(ぶか)くも(おとうと)(うつく)しい(こころ)を、054これは(わる)(こころ)(もつ)()たのではあるまいかとお(うたがひ)になつたのであります。055教祖(けうそ)もさう()工合(ぐあひ)変性(へんじやう)男子(なんし)神界(しんかい)(かた)出来(でき)()るのであります。056さうして、
057 『左右(さいう)御美髪(みみづら)にも()(かづら)にも、058左右(ひだりみぎ)御手(みて)にも、059(おのおの)八坂(やさか)勾玉(まがたま)五百津(いほつ)御統真琉(みすまる)(たま)()()たして、060()には千入(ちのり)(ゆぎ)()ひ』
061 矢筒(やつつ)(ゆみ)をお()ちになりて、
062 『伊都(いづ)竹鞆(たけとも)()(おは)して弓腹(ゆはら)()()てて』
063 (ゆみ)一生(いつしやう)懸命(けんめい)に、064ギユツト満月(まんげつ)(ごと)()(しぼ)つて、
065 『堅庭(かたには)向股(むかもも)()みなづみ、066沫雪(あはゆき)なす(くえ)(ばらら)かして、067伊都(いづ)男健(をたけ)()(たけ)びて()()(たま)はく』
068 男健(をたけ)びといふのは、069角力(すもう)()りが土俵(どへう)(あが)つてドンドンと四股(しこ)()んで、070全身(ぜんしん)勇気(ゆうき)()有様(ありさま)であつて、071(おとうと)軍勢(ぐんぜい)()()れて()たならば一撃(いちげき)(もと)()(ほろ)ぼして(しま)うて()らうと、072高天原(たかあまはら)軍勢(ぐんぜい)()()(あつ)めになつたのであります。
073 如何(いか)にも女神(めがみ)(いさ)ましさと、074(えら)(いきほひ)形容(けいよう)してあります。075(おとうと)須佐之男(すさのをの)(みこと)(のぼ)つて()るのは、076高天原(たかあまはら)()(おと)さうと(おも)つて()るのではないかと、077非常(ひじやう)()心配(しんぱい)になつてそれに(たい)する用意(ようい)をしてお()ちになつたのであります。078今日(こんにち)世人(せじん)新聞(しんぶん)雑誌(ざつし)記者(きしや)既成(きせい)宗教家(しうけうか)学者(がくしや)などが、079大本(おほもと)(なに)(めう)なことを(かんが)へて()るのではあるまいかと、080(へん)(ところ)()(まは)して()るのと(おな)じことであります。081そこで、
082 『何故(なにゆゑ)上来(のぼりき)ませると()(たま)ひき』
083 ()海原(うなはら)(をさ)めて()ればよいのである。084(しか)るに今頃(いまごろ)(なに)()めに高天原(たかあまはら)()()たかとお()ひになつた。085すると須佐之男(すさのをの)(みこと)(こた)へられた。086(わたくし)(いま)()()れば、087大変(たいへん)防備(ばうび)がしてある。088大変(たいへん)軍備(ぐんび)がして()りますが、089これは(わたくし)(たい)する(そな)へでせうが、090(わたくし)(けつ)して()()(きたな)(かんが)へは()つて()りませぬ。091ただ父君(ちちぎみ)伊邪那岐(いざなぎの)(みこと)何故(なにゆゑ)その(はう)()くかとお(たづ)ねになりましたから、092実状(じつじやう)申上(まをしあ)げるのはどうも(つら)御座(ござ)いますし、093親様(おやさま)心配(しんぱい)をかけるのは(おそ)(おほ)いと(おも)つて、094(わたくし)(はは)(くに)(まゐ)らうと(おも)ひますと(まを)()げました(ところ)が、095(ちち)大御神(おほみかみ)(もつ)ての(ほか)のお(いか)りで、096(この)(くに)(をさ)めるだけの(ちから)()きものなら、097勝手(かつて)()けと仰有(おつしや)つて、098手足(てあし)(つめ)()き、099(ひげ)をぬき、100(かみ)()一本(いつぽん)もないやうに、101こんな(ふう)にせられました。102(わたくし)はこれから(はは)(くに)(まゐ)りますといふことを姉上(あねうへ)申上(まをしあ)げに(まゐ)つたのであります。103()うしますると天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)(さま)は、104(はた)して(しか)らば、105(なんぢ)(なに)によつてその(こころ)綺麗(きれい)なことを証明(しようめい)するか、106証拠(しようこ)()せて(もら)()いと(おほ)せられた。107そこで須佐之男(すさのをの)(みこと)は、
108 『(おのおの)(ちか)ひて御子(みこ)()まな』
109 (ちか)ひといふことは、110誓約(せいやく)のことであります。111()しも(わたくし)(わる)かつたならば斯々(かくかく)112()かつたならば斯々(かくかく)といふ(ちか)ひであります。
113 『故爾(かれここ)(おのおの)(あめ)安河(やすかは)(なか)()きて(うけ)ふときに』
114 (あめ)安河(やすかは)といふのは、115非常(ひじやう)清浄(せいじやう)(ところ)意味(いみ)するのであります。116(すべ)(かは)(なが)れのやうに、117(すこ)しも(とどこほ)らない(とど)まらない(ところ)綺麗(きれい)であります。118(もの)(ため)るといふことは腐敗(ふはい)意味(いみ)します。119この綺麗(きれい)(きよ)らかな、120公平(こうへい)無私(むし)(ところ)を、121(あめ)安河(やすかは)といふのであります。122それを真中(まんなか)にして、123本当(ほんたう)公平(こうへい)無私(むし)なる(かがみ)(ここ)()てて、124さうして両方(りやうはう)から誓約(せいやく)をせられました。125どう()誓約(せいやく)であるかといふに、126須佐之男(すさのをの)(みこと)十拳(とつか)(つるぎ)()つて()られた。127(つるぎ)といふものは(をとこ)(たましひ)であります。128(むかし)から(わが)(くに)では(かたな)武士(ぶし)(たましひ)(また)大和(やまと)(だましひ)(まを)して()ります。129(をんな)(たましひ)(かがみ)であります。130(すなは)ちお(まへ)(たましひ)である(ところ)(つるぎ)(わた)せと天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)(あふ)せられたから、131それをお(わた)しになると、132天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)()つに()つて、
133 『(あめ)真名井(まなゐ)()(すす)ぎてさ()みに()みて()()つる気吹(いぶき)狭霧(さぎり)()りませる(かみ)御名(みな)は』
134 第一番(だいいちばん)にお(うま)れになつた(かみ)多紀理(たぎり)(ひめの)(みこと)135(つぎ)市寸嶋(いちきしま)比売(ひめの)(みこと)136(つぎ)多気津(たきつ)(ひめの)(みこと)三女神(さんによしん)(げん)竹生嶋(ちくぶしま)(まつ)つてあります。137安芸(あき)宮嶋(みやじま)(まつ)つてありますのは市杵島(いちきしま)(ひめの)(みこと)であります。138(つぎ)多紀理(たぎり)(ひめの)(みこと)139多岐津(たきつ)比売(ひめの)(みこと)140この(さん)(にん)女神(めがみ)がお(うま)れになつた。141今度(こんど)須佐之男(すさのをの)(みこと)142この(かみ)(さま)非常(ひじやう)(こは)い、143()()鐘馗(しようき)さんみたいな暴悪(ばうあく)無類(むるゐ)(かみ)(さま)のやうに()える、144おまけに(つるぎ)まで()ひて()られる、145その(つるぎ)をお調(しら)べになると、146(さん)(にん)綺麗(きれい)(ひめ)(さま)がお(うま)れになつて()るのである。147この三女神(さんぢよしん)竹生島(ちくぶしま)その()神社(じんじや)(まつ)つてあります。148三女神(さんぢよしん)神名(しんめい)言霊(ことたま)(じやう)より解釈(かいしやく)すれば『多紀理(たぎり)(ひめの)(みこと)尚武(しやうぶ)勇健(ゆうけん)(かみ)』『市寸島(いちきしま)(ひめ)稜威(りようゐ)直進(ちよくしん)149正義(せいぎ)純直(じゆんちよく)(かみ)』『多気津(たきつ)(ひめの)(みこと)突進(とつしん)(てき)勢力(せいりよく)迅速(じんそく)(かみ)(さま)』で(これ)真正(しんせい)(みづ)御魂(みたま)霊性(れいせい)であります。150この竹生島(ちくぶしま)とは竹生(たけなり)()きまして(むかし)から武器(ぶき)(かみ)(さま)としてあります。151(すなは)武器(ぶき)といふのは、152(たけ)(はじ)まりであつて、153()竹槍(たけやり)(つく)つた。154そして(たけ)()(つく)り、155(ゆみ)(こしら)へることを発明(はつめい)したといふやうな工合(ぐあひ)に、156(いま)武器(ぶき)(はじ)めは(たけ)であつた(ゆゑ)()()をタケと()むのであります。157そこで(いま)建速(たけはや)須佐之男(すさのをの)(みこと)()つて()られました(つるぎ)158つまり須佐之男(すさのをの)(みこと)(さま)御霊(みたま)である(ところ)(かたな)からは(さん)(にん)姫神(ひめがみ)がお(うま)れになつた。159(かたな)()つて()るから建速(たけはや)(まを)すとも()ひます。160多紀理(たぎり)比売(ひめ)手切姫(たぎりひめ)()る。161多岐都(たきつ)比売(ひめ)()()くといふ意味(いみ)にもなります。162伊突姫(いつきひめ)突刺(つきさ)意味(いみ)である。163すると(やり)とか(つるぎ)とかは伊突(いつ)き、164手切(たぎ)り、165手断突(たきつ)(はたら)きになつて()ります。166()(かく)立派(りつぱ)綺麗(きれい)(ごく)従順(じうじゆん)(かがみ)(ごと)姫神(ひめがみ)(さま)でありました。167それで()れを(みづ)(みたま)とも、168三人(みつ)(みづ)(みたま)御校正本・愛世版では「三人の瑞の霊」だが、校定版・八幡版では「三人の霊」に直している。とも(まを)します。169三月(さんぐわつ)三日(みつか)節句(せつく)(をんな)節句(せつく)として(いは)ひますのも()()(ところ)から()()ります。170それから今度(こんど)須佐之男(すさのをの)(みこと)天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)()(もち)ゐになつて()ります(たま)171平和(へいわ)象徴(しやうちやう)たる(ところ)(かざ)りの八坂(やさか)勾瓊(まがたま)()()けになつて、172(あま)真名井(まなゐ)綺麗(きれい)(みづ)にお(すす)ぎになつて、
173 『さがみにかみて()()つる気吹(いぶき)狭霧(さぎり)()りませる(かみ)御名(みな)は』
174 (たま)()ふものは元来(ぐわんらい)(きよ)(うつく)しい(ひか)(かがや)真善美(しんぜんび)のものであつて、175(かたな)(ごと)くに()つたり()いたりするものではありませぬ。176(じつ)平和(へいわ)()えるものであります。177これは(ひだり)とか(みぎ)りとか沢山(たくさん)ありますけれども(なが)くなりますから(くわ)しく申上(まをしあ)げませぬ。178(しか)して気吹(いぶき)狭霧(さぎり)になりませるとありますのは、179此処(ここ)はつまり鎮魂(ちんこん)であります。180(はじ)()鎮魂(ちんこん)して各自(かくじ)(れい)調(しら)べるのであります。181吾々(われわれ)静坐(せいざ)瞑目(めいもく)して(いた)して()ります(ところ)鎮魂(ちんこん)(おな)意味(いみ)であります。182如何(いか)なる守護神(しゆごじん)(あら)はれてゐるか、183霊魂(みたま)集中(しうちう)(あらた)めて()るので御座(ござ)います。184そこでお(うま)れになりましたのが、185正勝(まさか)吾勝(あかつ)勝速日(かちはやひ)(あめ)忍穂耳(おしほみみの)(みこと)186不撓(ふたう)不屈(ふくつ)勝利(しようり)光栄(くわうえい)(かみ)187(つぎ)鎮魂(ちんこん)してお(うま)れになつたのが(あめ)菩卑能(ほひの)(みこと)188血染(ちぞめ)焼尽(せうじん)(かみ)189(つぎ)天津(あまつ)日子根(ひこね)(みこと)190破壊(はくわい)屠戮(とりく)(かみ)191(つぎ)活津(いきつ)彦根(ひこねの)(みこと)192打撃(だげき)攻撃(こうげき)電撃(でんげき)(かみ)193(つぎ)熊野(くまぬ)久須毘(くすびの)(みこと)194両刃(もろは)長剣(ちやうけん)(かみ)195都合(つがふ)五柱(いつはしら)(をとこ)(みこと)がお(うま)れになつたのであります。196天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)姿(すがた)(をんな)である。197(をんな)肉体(にくたい)をお()ちであつたので御座(ござ)いますが、198その(れい)以上(いじやう)()べた(ごと)(じつ)勇壮(ゆうさう)無比(むひ)男神(だんしん)でありました。199鎮魂(ちんこん)結果(けつくわ)(うま)(あそ)ばしたのは五柱(いつはしら)(をとこ)(かみ)(さま)霊性(れいせい)(あら)はれた、200それで姿(すがた)(をんな)であつて(をとこ)御霊(みたま)(そな)へて()られますから、201天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)変性(へんじやう)男子(なんし)(まを)し、202(いづ)御魂(みたま)(まを)し、203須佐之男(すさのをの)(みこと)姿(すがた)(をとこ)であつても(をんな)(れい)をおもちであつたから変性(へんじやう)女子(によし)()(みづ)御魂(みたま)といふので御座(ござ)います。204(しか)して(まへ)三女(みつ)(みたま)(たい)して、205この五柱(いつはしら)(みこと)五男(いつ)(みたま)とも(まを)します。206(これ)仏教(ぶつけう)では八大(はちだい)竜王(りうわう)(とな)へまして、207京都(きやうと)祇園(ぎをん)では八王子(はちわうじ)というて()(まつ)りになつて()ります。
208 (ここ)(はじ)めて須佐之男(すさのをの)(みこと)表面(へうめん)(こは)暴逆(ばうぎやく)(かみ)(さま)であるけれども(じつ)()優美(やさ)しい、209()(こころ)(かみ)(さま)であるといふことが(わか)り、210これに()きかへ天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)()くお(やさ)しい、211(かがみ)からぬけ(いで)たやうな玲瓏(れいろう)たるお(かた)でありますけれども、212(まへ)言霊解(ことたまかい)(ごと)御霊(みたま)があつたのであります。
213 ここで(ひと)つよく(かんが)へなければならぬ(こと)天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)のお言葉(ことば)に、
214 『言向(ことむ)()はせ』
215()いてありますが、216言葉(ことば)(もつ)世界(せかい)(をさ)めよといふことになります。217さうしますと天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)外交(ぐわいかう)(むづか)しい(こと)について()子孫(しそん)にお(しめ)しになつたのでありまして、218どこまでも(この)(たま)(もつ)充分(じうぶん)平和(へいわ)(むね)として(をさ)めて()かなくてはいかぬといふ()(こころ)でありました。219(しか)るに須佐之男(すさのをの)(みこと)()堅洲国(かたすのくに)()くについても、220武備(ぶび)非常(ひじやう)(さか)んにして軍艦(ぐんかん)沢山(たくさん)(こしら)へ、221大砲(たいはう)沢山(たくさん)(つく)るといふ、222所謂(いはゆる)武装(ぶさう)(てき)平和(へいわ)のお(こころ)である。223()(かんが)へますと、224(いま)外国(ぐわいこく)主義(しゆぎ)須佐之男(すさのをの)(みこと)のと(おな)じである。225体主(たいしゆ)霊従(れいじう)である。226天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)日本国(にほんこく)になつて()るといつてもよいと(おも)ひます。227日本人(にほんじん)(こころ)(なか)には武備(ぶび)がある。228大和(やまと)(だましひ)がある。229けれども表面(へうめん)には武装(ぶさう)がないのである。230いざといふ場合(ばあひ)には稜威(いづ)雄健(をたけ)び、231踏健(ふみたけ)びをしなくてはならぬがその(かん)には(つね)()平和(へいわ)落着(おちつ)いて()る。232(しか)るに外国(ぐわいこく)始終(しじう)(かたな)(もつ)てゐる。233(そと)(むか)つて十拳(とつか)(つるぎ)(にぎ)つてゐるけれども、234(いよいよ)(たたか)ふとなれば、235あちらは(さん)(にん)(をんな)(かみ)(さま)であるのに(はん)して、236表面(へうめん)(よわ)(ごと)くに()えても()(にん)(をとこ)(かみ)(さま)霊性(れいせい)()()るのである。237この(れい)および身魂(みたま)のことに(つい)てはお筆先(ふでさき)にも()()ります。238身魂(みたま)善悪(ぜんあく)(あらた)めると(まを)されてあります。
239 『(ここ)天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)240須佐之男(すさのをの)(みこと)()(たま)はく』
241 (あと)から(うま)れた(ところ)五柱(いつはしら)(かみ)はわしの()つて()(たま)から()()たものであるから自分(じぶん)()である。242所謂(いはゆる)自分(じぶん)(たま)から()男神(なんしん)はみな自分(じぶん)()である。243それから先刻(せんこく)(うま)れた姫御児(ひめみこ)はその(たね)(なれ)(たま)十拳(とつか)(つるぎ)から()たのだからこれは(なんぢ)()であると仰有(おつしや)つた。244これで身魂(みたま)()()けが出来(でき)た。245須佐之男(すさのをの)(みこと)変性(へんじやう)女子(によし)で、246天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)変性(へんじやう)男子(なんし)であるといふことが(あきら)かになつた。247(ところ)須佐之男(すさのをの)(みこと)は、248(あね)天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)今迄(いままで)(わたくし)(こころ)(うたが)うて御座(ござ)つたが、249これで(わたくし)清明(せいめい)潔白(けつぱく)(こと)証拠(しようこ)()てられた。250(わたくし)(こころ)綺麗(きれい)(こと)(わたくし)(たましひ)から(うま)れた手弱女(たをやめ)によつて(わか)りませう。251あの弱々(よわよわ)しい女子(によし)では(いくさ)をする(こと)出来(でき)ますまい。252()(かんが)へたならば最前(さいぜん)あなたは、253(わたくし)高天原(たかあまはら)()りに()たらうと(おほせ)られたがあれは間違(まちが)ひでせう。254(わたくし)()ふことが本当(ほんたう)でせう。
255 『これによりて(まを)さば(おのづか)(われ)(かち)ぬと()ひて、256(かち)さびに天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)営田(みつくだ)畔離(あはな)ち、257溝埋(みぞう)め、258(また)()大嘗(おほにへ)(きこ)()殿(との)(くそ)まり()らしき』
259 この言葉(ことば)(すくな)いけれども、260この意味(いみ)は、261当時(たうじ)須佐之男(すさのをの)(みこと)(さま)にも()沢山(たくさん)臣下(しんか)()つた。262(ここ)須佐之男(すさのをの)(みこと)反対(はんたい)するものと、263味方(みかた)するものとが出来(でき)()たので(まよ)ひが(おこ)つたのであります。264須佐之男(すさのをの)(みこと)がお(かち)になつて、265増長(ぞうちよう)なさつたといふよりも(むし)ろ、266(わたくし)綺麗(きれい)(こころ)(わか)つた(はず)である。267(しか)るに(なほ)(わる)いと(あふ)せになるのは心地(ここち)(わる)い、268不快(ふくわい)であるといふので(つひ)自暴(じばう)自棄(じき)(おちい)つたのであります。269やけくそを(おこ)した結果(けつくわ)が、270()(あぜ)(こは)したり、271(みぞ)(うづ)めたり、272()食事(しよくじ)をなさる(ところ)(くそ)をやり()らして、273いろいろ乱暴(らんばう)のあらむ(かぎ)りを、274須佐之男(すさのをの)(みこと)味方(みかた)する系統(けいとう)(もの)(おこな)つたのであります。275天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)(この)状態(じやうたい)御覧(ごらん)になり、276(おとうと)(けつ)してあの多量(たりやう)(くそ)をまいたりする(はず)はない、277(さけ)()つて(なに)()いたのであらう。278(あぜ)(はな)ちたり、279(みぞ)()めるのは、280丁度(ちやうど)(いま)でいふ耕地(かうち)整理(せいり)のやうなもので、281いらぬ(あぜ)(みぞ)(つぶ)して沢山(たくさん)(こめ)出来(でき)るようにする()めだらうと、282所謂(いはゆる)直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)して、283一切(いつさい)のことを(すべ)善意(ぜんい)()解釈(かいしやく)されて所謂(いはゆる)()(なほ)(たま)うたのであります。284(なん)でも()(はう)(かい)して()けば波瀾(はらん)(すくな)いもので御座(ござ)います。285天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)善意(ぜんい)(かい)して()られましたけれども、286()神意(しんい)(さと)らぬ(かみ)(たち)乱暴(らんばう)(いよいよ)(ちやう)じて()(かた)(あま)りに(ひど)くなる。287八百万(やほよろづ)(かみ)(さま)(がた)がどうしてもお(しづ)まりがない。288()(なか)大騒(おほさわ)ぎになつた。289彼方(あちら)でも此方(こちら)でも暴動(ばうどう)(おこ)る。290無茶(むちや)苦茶(くちや)有様(ありさま)になつた。291そのうちに、
292 『天照(あまてらす)大御神(おほみかみ)293忌服屋(いむはたや)(まし)まして、294神御衣(かむはた)()らしめ(たま)ふときに、295()服屋(はたや)(むね)穿(うが)ちて、296(あめ)斑馬(ふちこま)逆剥(さかは)ぎに()ぎて(おと)()るるときに、297(あめ)御衣(みそ)織女(おりめ)298見驚(みおどろ)きて()陰上(ほと)()きて(みう)せき』
299 ()()事件(じけん)(おこ)つたので御座(ござ)います。300ここで(はた)()るといふことは、301世界(せかい)経綸(けいりん)といふことであります。302(たて)(よこ)との仕組(しぐみ)をして(いただ)いて()つたのであります。303すると(この)経綸(けいりん)(さまた)げた。304(あめ)斑馬(ふちこま)(あば)(うま)(かは)逆剥(さかはぎ)にして、305(うへ)からどつと(はな)したので、306(はた)()つて()稚比売(わかひめ)(みこと)大変(たいへん)(おどろ)いた。307(おどろ)いた途端(とたん)(をさ)秀処(ほと)()()くなつてお(しま)ひになつたのであります。308さあ大変(たいへん)騒動(さうだう)になつて()た。
309大正九・一〇・一五 講演筆録)
310大正一一・三・六 旧二・八 谷村真友再録)
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