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第12巻(亥の巻)
序文
凡例
総説歌
第1篇 天岩戸開(一)
01 正神邪霊
〔497〕
02 直会宴
〔498〕
03 蚊取別
〔499〕
04 初蚊斧
〔500〕
05 初貫徹
〔501〕
06 招待
〔502〕
07 覚醒
〔503〕
第2篇 天岩戸開(二)
08 思出の歌
〔504〕
09 正夢
〔505〕
10 深夜の琴
〔506〕
11 十二支
〔507〕
12 化身
〔508〕
13 秋月滝
〔509〕
14 大蛇ケ原
〔510〕
15 宣直し
〔511〕
16 国武丸
〔512〕
第3篇 天岩戸開(三)
17 雲の戸開
〔513〕
18 水牛
〔514〕
19 呉の海原
〔515〕
20 救ひ舟
〔516〕
21 立花島
〔517〕
22 一島攻撃
〔518〕
23 短兵急
〔519〕
24 言霊の徳
〔520〕
25 琴平丸
〔521〕
26 秋月皎々
〔522〕
27 航空船
〔523〕
第4篇 古事記略解
28 三柱の貴子
〔524〕
29 子生の誓
〔525〕
30 天の岩戸
〔526〕
余白歌
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第一三章
秋月滝
(
あきづきのたき
)
〔五〇九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻
篇:
第2篇 天岩戸開(二)
よみ(新仮名遣い):
あまのいわとびらき(二)
章:
第13章 秋月滝
よみ(新仮名遣い):
あきづきのたき
通し章番号:
509
口述日:
1922(大正11)年03月09日(旧02月11日)
口述場所:
筆録者:
谷村真友
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年9月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
一行は、ウラル彦の手先の曲津神によって、汚れを撒き散らしている滝の側まで、シナイ山の山中を分け入ってやってきた。
ここには、秋月の滝、深雪の滝、橘の滝、高光の滝、玉光の滝、国光の滝という六つの大滝があるという。
一行はまずは秋月の滝へと進んで来た。すると、滝の上の大岩石が音を立てて崩れ落ちてくる。初公は慌てるが、蚊取別はこれは曲津神の幻術だと見破る。
初公は一生懸命神言を唱えていると、滝の中から火の玉が現れ、滝を昇っていく。そしてすっと消えると、辺りは真っ暗闇になってしまった。
初公は必死になって宣伝歌を歌うと、辺りは明るく晴れ、空にはほのかに日の光が射し始めた。初公は嬉しくなって、蚊取別を呼んだが、辺りには誰もいなくなっていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-11-12 00:39:08
OBC :
rm1213
愛善世界社版:
110頁
八幡書店版:
第2輯 666頁
修補版:
校定版:
116頁
普及版:
47頁
初版:
ページ備考:
001
常夜
(
とこよ
)
往
(
ゆ
)
く
暗
(
やみ
)
を
晴
(
は
)
らして
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を、
002
清
(
きよ
)
めむよしもナイル
河
(
がは
)
、
003
ウラルの
彦
(
ひこ
)
の
御教
(
みをしへ
)
に、
004
心
(
こころ
)
も
身
(
み
)
をも
蕩
(
とろ
)
かされ、
005
正
(
ただ
)
しき
業
(
わざ
)
もシナイ
山
(
ざん
)
、
006
木々
(
きぎ
)
の
繁
(
しげ
)
みに
隠
(
かく
)
ろいて、
007
この
世
(
よ
)
を
乱
(
みだ
)
す
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
、
008
汚
(
けが
)
れを
流
(
なが
)
す
恐
(
おそろ
)
しさ、
009
空
(
そら
)
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
る
秋月
(
あきづき
)
の、
010
滝
(
たき
)
さへ
濁
(
にご
)
る
泥
(
どろ
)
の
雨
(
あめ
)
、
011
降
(
ふ
)
り
来
(
く
)
るものは
泥
(
どろ
)
と
灰
(
はい
)
、
012
地
(
ち
)
に
堆高
(
うづたか
)
く
重
(
かさ
)
なりて、
013
足
(
あし
)
踏
(
ふ
)
みなずむ
谷
(
たに
)
の
路
(
みち
)
、
014
灰
(
はひ
)
降
(
ふ
)
る
後
(
あと
)
の
夏
(
なつ
)
の
日
(
ひ
)
に、
015
冷
(
つめ
)
たき
雪
(
ゆき
)
の
降
(
ふ
)
り
積
(
つも
)
り、
016
夏
(
なつ
)
にも
非
(
あら
)
ず
冬
(
ふゆ
)
ならず、
017
春日
(
はるひ
)
か
秋
(
あき
)
か
あや
四季
(
しき
)
の、
018
順序
(
ついで
)
乱
(
みだ
)
れて
常夜
(
とこよ
)
行
(
ゆ
)
く、
019
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みもいやちこに、
020
御空
(
みそら
)
晴
(
は
)
らして
高光彦
(
たかてるひこ
)
や
国光彦
(
くにてるひこ
)
、
021
曲津
(
まがつ
)
の
身玉光彦
(
みたまてるひこ
)
や、
022
初花
(
はつはな
)
開
(
ひら
)
く
祝姫
(
はふりひめ
)
、
023
蚊取
(
かとり
)
の
別
(
わけ
)
の
六人
(
むたり
)
連
(
づ
)
れ、
024
谷間
(
たにま
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
025
初公
(
はつこう
)
『ヨー、
026
そつくりだ、
027
夢
(
ゆめ
)
に
見
(
み
)
た
通
(
とほ
)
りの
森林
(
しんりん
)
もあり、
028
滝
(
たき
)
もある。
029
然
(
しか
)
し
昼
(
ひる
)
とは
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
030
ほの
暗
(
ぐら
)
い
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
滝
(
たき
)
ばかり
白
(
しろ
)
く
光
(
ひか
)
つて
居
(
を
)
る。
031
彼奴
(
あいつ
)
が
一
(
ひと
)
つの
曲者
(
くせもの
)
だよ。
032
サアこれからあの
滝
(
たき
)
に
向
(
むか
)
つて
言霊
(
ことたま
)
でウンとやつて
見
(
み
)
よか』
033
蚊取別
(
かとりわけ
)
『ソー
惶
(
あわ
)
てるものぢやない、
034
気
(
き
)
を
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
けて
緩
(
ゆつ
)
くりとかかる
事
(
こと
)
にしよう。
035
祝姫
(
はふりひめ
)
さまは
早
(
は
)
や
此
(
この
)
滝
(
たき
)
に
経験
(
けいけん
)
があるのだから、
036
言
(
い
)
はば
今度
(
こんど
)
は
弔
(
とむら
)
ひ
戦
(
いくさ
)
だ、
037
シツカリ
遣
(
や
)
るのだぜ』
038
初公
(
はつこう
)
『
大分
(
だいぶ
)
に
暗
(
くら
)
くなつて
来
(
き
)
たワイ。
039
何処
(
どこ
)
か
此処
(
ここ
)
らに
麻
(
あさ
)
の
縄
(
なは
)
が
落
(
お
)
ちて
居
(
を
)
らぬかいな』
040
蚊取別
(
かとりわけ
)
『
麻
(
あさ
)
の
縄
(
なは
)
が
落
(
お
)
ちて
居
(
を
)
れば
夢
(
ゆめ
)
が
実現
(
じつげん
)
するのだから、
041
それこそ
又
(
また
)
もや
大蛇
(
をろち
)
の
背中
(
せなか
)
だ。
042
ヤア
皆
(
みな
)
の
方々
(
かたがた
)
、
043
此処
(
ここ
)
には
秋月
(
あきづき
)
の
滝
(
たき
)
、
044
深雪
(
みゆき
)
の
滝
(
たき
)
、
045
橘
(
たちばな
)
の
滝
(
たき
)
、
046
高光
(
たかてる
)
の
滝
(
たき
)
、
047
玉光
(
たまてる
)
の
滝
(
たき
)
、
048
国光
(
くにてる
)
の
滝
(
たき
)
と
六
(
む
)
つの
大滝
(
おほたき
)
がある。
049
それを
各々
(
おのおの
)
手分
(
てわ
)
けして、
050
一
(
ひと
)
つづつ
言向和
(
ことむけやは
)
す
事
(
こと
)
にしたらどうでせうなア』
051
初公
(
はつこう
)
『モシモシ、
052
初
(
はつ
)
の
滝
(
たき
)
、
053
蚊取別
(
かとりわけ
)
の
滝
(
たき
)
はありませぬかいな』
054
蚊取別
(
かとりわけ
)
『
沢山
(
たくさん
)
にある、
055
然
(
しか
)
しそんな
些細
(
ささい
)
な
滝
(
たき
)
は
数
(
かず
)
に
入
(
はい
)
つて
居
(
を
)
らぬのだよ。
056
余
(
あま
)
り
大
(
おほ
)
きくて
数
(
かず
)
に
入
(
はい
)
らぬのが
蚊取別
(
かとりわけ
)
の
滝
(
たき
)
、
057
あまり
小
(
ちひ
)
さくて
数
(
かず
)
に
入
(
はい
)
らぬのが
初
(
はつ
)
の
滝
(
たき
)
と
云
(
い
)
ふのだよ』
058
初公
(
はつこう
)
『
酷
(
ひど
)
いなア、
059
然
(
しか
)
し
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
一度
(
いちど
)
に
力
(
ちから
)
を
集
(
あつ
)
めて
秋月
(
あきづき
)
の
滝
(
たき
)
へ
突撃
(
とつげき
)
を
試
(
こころ
)
むる
事
(
こと
)
にしませうかい』
060
斯
(
か
)
く
云
(
い
)
ふ
間
(
うち
)
滝
(
たき
)
の
音
(
おと
)
はドードーと
刻々
(
こくこく
)
に
激
(
はげ
)
しく
聞
(
きこ
)
えて
来
(
く
)
る。
061
飛沫
(
ひまつ
)
は
四方
(
しはう
)
に
飛散
(
とびち
)
り、
062
折
(
をり
)
からの
風
(
かぜ
)
に
連
(
つ
)
れて
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
佇
(
たたず
)
む
前
(
まへ
)
に
驟雨
(
しうう
)
の
如
(
ごと
)
く
落
(
お
)
ち
来
(
きた
)
る。
063
初公
(
はつこう
)
『サア
大変
(
たいへん
)
だ。
064
滝
(
たき
)
の
奴
(
やつ
)
、
065
祝姫
(
はふりひめ
)
に
秋波
(
しうは
)
でなくて
激波
(
げきは
)
、
066
激沫
(
げきまつ
)
を
飛
(
と
)
ばして、
067
チヨイチヨイとお
顔
(
かほ
)
を
舐
(
なめ
)
ると
云
(
い
)
ふ
洒落
(
しやれ
)
だナア』
068
蚊取別
(
かとりわけ
)
『
滝
(
たき
)
が
来
(
き
)
たのぢやない、
069
此方
(
こちら
)
より
進
(
すす
)
むだぢやないか、
070
ソラ、
071
ここは
滝
(
たき
)
の
前
(
まへ
)
だよ』
072
初公
(
はつこう
)
『ヤア
此奴
(
こいつ
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
、
073
歩
(
ある
)
きもせぬのに
七八町
(
しちはつちやう
)
もある
処
(
ところ
)
をどうして
此処
(
ここ
)
まで
来
(
き
)
たのだらうか』
074
蚊取別
(
かとりわけ
)
『
極
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
よ、
075
大蛇
(
をろち
)
の
背中
(
せなか
)
に
乗
(
の
)
せられて
来
(
き
)
たのだもの。
076
貴様
(
きさま
)
一寸
(
ちよつと
)
前
(
まへ
)
を
見
(
み
)
よ、
077
鎌首
(
かまくび
)
を
立
(
た
)
てて
居
(
ゐ
)
るぢやないか』
078
初公
(
はつこう
)
『ヤア
愈
(
いよいよ
)
怪
(
あや
)
しいぞ、
079
迷宮
(
めいきう
)
に
入
(
い
)
つた。
080
どうやら
蚊取別
(
かとりわけ
)
もかうなつて
来
(
く
)
ると
怪
(
あや
)
しいものだ。
081
神蚊
(
かみ
か
)
悪魔蚊
(
あくま
か
)
、
082
本当蚊
(
ほんたう
か
)
嘘蚊
(
うそ
か
)
、
083
お
化蚊
(
ばけ
か
)
本物蚊
(
ほんもの
か
)
、
084
蚊々々
(
かかか
)
烏蚊
(
か
らす
か
)
鳶蚊
(
とび
か
)
、
085
天狗蚊
(
てんぐ
か
)
大蛇蚊
(
をろち
か
)
、
086
取別
(
とりわけ
)
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬぢやない
蚊
(
か
)
い』
087
斯
(
か
)
く
言
(
い
)
ふ
間
(
うち
)
谷間
(
たにま
)
に
立
(
た
)
てる
見上
(
みあ
)
ぐる
許
(
ばか
)
りの
大岩石
(
だいがんせき
)
はガラガラと
音
(
おと
)
して、
088
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
の
頭上
(
づじやう
)
に
落
(
お
)
ちかからうとする。
089
初公
(
はつこう
)
『サア
蚊取別
(
かとりわけ
)
さま、
090
宣伝歌
(
せんでんか
)
だ
宣伝歌
(
せんでんか
)
だ、
091
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
して
居
(
ゐ
)
ると
岩
(
いは
)
に
押
(
お
)
し
潰
(
つぶ
)
されてしまうワ』
092
蚊取別
(
かとりわけ
)
『あれは
岩
(
いは
)
ではない、
093
滝
(
たき
)
の
水烟
(
みづけむり
)
だ。
094
早
(
は
)
や
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
に
瞞
(
だま
)
されて
居
(
ゐ
)
るな』
095
滝
(
たき
)
の
音
(
おと
)
は
刻々
(
こくこく
)
に
高
(
たか
)
く
轟
(
とどろ
)
いて
来
(
く
)
る。
096
初公
(
はつこう
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
汗
(
あせ
)
を
滝
(
たき
)
と
流
(
なが
)
しながら
神言
(
かみごと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
097
薄暗
(
うすぐら
)
き
滝
(
たき
)
の
畔
(
ほとり
)
は
忽
(
たちま
)
ち
紅
(
あか
)
くなつて
来
(
き
)
た。
098
見
(
み
)
れば
滝
(
たき
)
の
中
(
なか
)
より
巨大
(
きよだい
)
なる
火
(
ひ
)
の
玉
(
たま
)
が、
099
スウスウと
滝
(
たき
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
昇
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
100
初公
(
はつこう
)
『ヤア
出
(
で
)
やがつた
赤玉
(
あかだま
)
奴
(
め
)
が。
101
初
(
はつ
)
さまの
御
(
ご
)
鎮魂
(
ちんこん
)
にウンと
火
(
ひ
)
の
玉
(
たま
)
を
消
(
け
)
して
遣
(
や
)
らうか。
102
ヤア
待
(
ま
)
て
待
(
ま
)
て
彼奴
(
あいつ
)
が
居
(
を
)
るとそこらが
明
(
あか
)
くて
丁度
(
ちやうど
)
灯
(
あかり
)
の
代
(
かは
)
りになるから
放
(
ほ
)
つといてやらうかナア』
103
巨大
(
きよだい
)
な
火
(
ひ
)
の
玉
(
たま
)
は、
104
ブスリと
消
(
き
)
えた。
105
四辺
(
あたり
)
は
真暗闇
(
まつくらやみ
)
である。
106
初公
(
はつこう
)
『ヤア
蚊取別
(
かとりわけ
)
さま、
107
祝姫
(
はふりひめ
)
さま、
108
真闇
(
まつくら
)
になつた、
109
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
110
滝
(
たき
)
の
音
(
おと
)
は
益々
(
ますます
)
高
(
たか
)
く
聞
(
きこ
)
える。
111
初公
(
はつこう
)
『サヽ
蚊取別
(
かとりわけ
)
さま、
112
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
歌
(
うた
)
ひませう。
113
何
(
な
)
んだ
返事
(
へんじ
)
をせぬのか、
114
ハハア、
115
余
(
あま
)
り
滝
(
たき
)
の
音
(
おと
)
が
高
(
たか
)
くて
聞
(
きこ
)
えぬのだらう』
116
と
云
(
い
)
ひながら
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み、
117
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
滝壺
(
たきつぼ
)
に
向
(
むか
)
つて
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つた。
118
初公
(
はつこう
)
『
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
119
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
120
たとへ
天地
(
てんち
)
は
暗
(
くら
)
くとも
121
白瀬
(
しらせ
)
の
川
(
かは
)
の
滝
(
たき
)
に
住
(
す
)
む
122
此
(
こ
)
の
曲津見
(
まがつみ
)
を
言霊
(
ことたま
)
の
123
貴
(
うづ
)
の
剣
(
つるぎ
)
を
抜
(
ぬ
)
き
持
(
も
)
ちて
124
切
(
き
)
り
屠
(
ほふ
)
らずに
置
(
お
)
く
可
(
べ
)
き
蚊
(
か
)
125
取別
(
とりわけ
)
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
化身
(
けしん
)
126
瑞
(
みづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
御光
(
みひかり
)
に
127
岩戸
(
いはと
)
こめたる
雲霧
(
くもきり
)
を
128
伊吹
(
いぶ
)
きに
払
(
はら
)
ふ
祝姫
(
はふりひめ
)
129
赤
(
あか
)
い
火
(
ひ
)
の
玉
(
たま
)
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
して
130
高光彦
(
たかてるひこ
)
か
玉光
(
たまてる
)
か
131
広国
(
ひろくに
)
光
(
て
)
らす
宣伝使
(
せんでんし
)
132
睦
(
むつ
)
び
合
(
あ
)
うたる
神柱
(
かむばしら
)
133
厳
(
いづ
)
の
雄健
(
をたけ
)
び
踏
(
ふ
)
み
健
(
たけ
)
び
134
厳
(
いづ
)
のころびを
振
(
ふ
)
り
起
(
お
)
こし
135
曲
(
まが
)
を
悉
(
ことごと
)
言向
(
ことむ
)
けて
136
四方
(
よも
)
に
塞
(
ふさ
)
がる
村雲
(
むらくも
)
を
137
晴
(
は
)
らして
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
世
(
よ
)
となさむ
138
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
139
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
140
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
141
行平別
(
ゆきひらわけ
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
142
敵
(
てき
)
する
神
(
かみ
)
はあらざらむ
143
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
も
秋月
(
あきづき
)
の
144
滝
(
たき
)
の
音
(
おと
)
さへ
鎮
(
しづ
)
まりて
145
枝
(
えだ
)
も
鳴
(
な
)
らさぬ
神
(
かみ
)
の
御代
(
みよ
)
146
ナイルの
河
(
かは
)
も
純世姫
(
すみよひめ
)
147
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
しの
島ケ根
(
しまがね
)
に
148
太
(
ふと
)
き
稜威
(
みいづ
)
を
阿弗利加
(
アフリカ
)
や
149
広
(
ひろ
)
き
原野
(
はらぬ
)
に
蟠
(
わだか
)
まる
150
曲
(
まが
)
言向
(
ことむ
)
けて
初国
(
はつくに
)
を
151
開
(
ひら
)
く
行平別
(
ゆきひらわけ
)
の
神
(
かみ
)
152
アヽ
曲神
(
まがかみ
)
よ、
曲神
(
まがかみ
)
よ
153
神
(
かみ
)
の
御言
(
みこと
)
にまつろひて
154
ナイルの
河
(
かは
)
の
滝水
(
たきみづ
)
に
155
心
(
こころ
)
を
洗
(
あら
)
へよ
清
(
きよ
)
めよや』
156
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
れば、
157
不思議
(
ふしぎ
)
や
今
(
いま
)
まで
暗黒
(
あんこく
)
なりし
谷間
(
たにま
)
は
夜
(
よ
)
の
明
(
あ
)
けたる
如
(
ごと
)
く、
158
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
には、
159
雲
(
くも
)
を
分
(
わ
)
けてほのかに
日
(
ひ
)
の
光
(
ひか
)
り
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
りければ、
160
初公
(
はつこう
)
は
欣喜
(
きんき
)
雀躍
(
じやくやく
)
の
余
(
あま
)
り、
161
後
(
あと
)
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
り、
162
初公
『モシ
蚊取別
(
かとりわけ
)
様
(
さま
)
』
163
と
言
(
い
)
ひつつ
傍
(
かたはら
)
を
見
(
み
)
れば
宣伝使
(
せんでんし
)
の
影
(
かげ
)
は
一柱
(
ひとはしら
)
も
見
(
み
)
えずなりにける。
164
初公
(
はつこう
)
『ハテ
不思議
(
ふしぎ
)
だ、
165
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だか
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬ。
166
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶり
)
で
天
(
あま
)
の
岩戸
(
いはと
)
が
開
(
ひら
)
けたと
見
(
み
)
えて、
167
かすかながらも
日輪
(
にちりん
)
様
(
さま
)
のお
顔
(
かほ
)
を
拝
(
をが
)
むだ。
168
アヽ
有難
(
ありがた
)
いありがたい
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
上
(
あ
)
げませう』
169
(
大正一一・三・九
旧二・一一
谷村真友
録)
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