霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二五章 琴平丸(ことひらまる)〔五二一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻 篇:第3篇 天岩戸開(三) よみ(新仮名遣い):あまのいわとびらき(三)
章:第25章 琴平丸 よみ(新仮名遣い):ことひらまる 通し章番号:521
口述日:1922(大正11)年03月11日(旧02月13日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高光彦、玉光彦は時置師神とともに橘島を出て呉の港に上陸し、宣伝歌を歌いながら琵琶の湖のほとりまでやってきた。浪が高く、船の出港待ちで七日七夜をすごすことになった。
船客たちは無駄話にふけっている。サルジニヤ島での戦いの様は、船客たちの話にも上っていた。
この話を聞いていた石凝姥神は、厳霊と瑞霊の天の誓約が始まったことを悟り、岩戸隠れを防ぐためにアルプス山に登って八咫鏡を鍛えると言い、時置師神と行平別に別れを告げた。そして二神に、竹島へ渡って秋月姫の消息を探るようにと言い残した。
時置師神は行平別とともに船に乗り込んだ。船は凪いだ湖原を東北さして進んでゆく。
船の一方には、四五人の男たちが車座になって雑談をしている。時置師神と行平別は、その側で話に聞き入っている。
その話によると、素盞嗚命が地上の暗黒を嘆いて高天原に昇ってからは、天変地妖が各地で起こって混乱が続いた。高天原の姉神・天照大御神は、素盞嗚命が悪い心を持ってやってきたのであろうと疑い、打ち滅ぼそうとした。
素盞嗚命は釈明したが、天照大御神の疑いは晴れなかった。そこで二神は、安の河原(太平洋)をはさんで、天の真奈井(日本海)で誓約(うけひ)という御魂改めを行うのだといって、大事になっている。
また、サルジニヤ島では、武を蓄えていた素盞嗚命の娘神・深雪姫を征伐しようと、天照大御神は天菩比命に命じて進軍させたが、深雪姫は美しい瑞霊の神であることがわかって、当てがはずれて帰って行った。
琵琶の湖の竹島にも、秋月姫という瑞霊の女神が鎮まっているが、今度は天津彦根命という天菩比命の弟神が竹島征伐に出立したという。しかし、サルジニヤ島と同じように、案に相違して帰ってくるのではないか。
そもそも、それぞれの神の管掌は、天の真奈井からこちら側が素盞嗚命、天教山のある自転倒島から常世国、黄泉国、高砂島は、天照大御神となっている。しかし、姉神は地教山、コーカス山、黄金山も自分のものにしようと画策していた。
素盞嗚命は姉神に敵対することもかなわず、進退窮まって月の国に退隠しようと、高天原に昇って誓約をしているのだ、という。
誓約によって姉神の玉の威徳によって生まれた五柱の男神は、表面は女のように優しいが、心は武勇絶倫で殺戮征伐といった荒いことをする、激しい我の強い性質であった。
一方弟神は、鋭利な十握の剣の霊から生まれたのは仁慈無限の瑞霊の女神だった、という。
時置師が噂話をしていた男に、どこからそのことを聞いたのか、と尋ねると、男はなんだかにわかに頭が重くなって、突然知らないことをしゃべったのだ、と答えた。
船がしだいに竹島に近づくと、竹島は戦場の阿鼻叫喚の声に満ち、地獄の惨状のごとき光景が展開されていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:サルヂニヤ島(サルヂニヤ)、熊野久須毘命(熊野樟日命) データ凡例: データ最終更新日:2021-09-22 04:00:04 OBC :rm1225
愛善世界社版:207頁 八幡書店版:第2輯 702頁 修補版: 校定版:220頁 普及版:90頁 初版: ページ備考:
001 高光彦(たかてるひこ)002玉光彦(たまてるひこ)宣伝使(せんでんし)時置師(ときおかしの)(かみ)(とも)橘島(たちばなじま)立出(たちいで)て、003(くれ)(みなと)上陸(じやうりく)し、004宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら、005天地(てんち)暗澹(あんたん)たる大野原(おほのはら)(すす)(すす)みて琵琶(びは)(うみ)(ほとり)()きぬ。006(をり)しも(なみ)(たか)(かぜ)(はげ)しく出船(でぶね)()つこと七日(なぬか)七夜(ななよ)(ひさ)しきに(わた)り、007船客(せんきやく)出船(でぶね)()()無駄話(むだばなし)(ふけ)()る。
008(かふ)(鶴公)随分(ずゐぶん)(こま)つた()(なか)になつたものぢやないか。009この琵琶(びは)(うみ)何時(いつ)(おだや)かな湖面(こめん)で、010天女(てんによ)琵琶(びは)(だん)ずる(やう)浪音(なみおと)()てて、011(ふね)往来(ゆきき)をして()安全(あんぜん)第一(だいいち)()はれた(うみ)だのにこの(ごろ)(うみ)()(やう)012今日(けふ)五日(いつか)六日(むゆか)(ふね)()ないと()(やう)(こと)は、013(むかし)からあつた(こと)はない、014どうしたものだらう』
015(おつ)(きま)つた(こと)だ。016(てん)(くら)()(くら)いこの(ごろ)017草木(さうもく)(いろ)(うしな)ひ、018悪魔(あくま)天下(てんか)横行(わうかう)濶歩(くわつぽ)する常暗(とこやみ)()(なか)だ。019琵琶(びは)(うみ)だつてやつぱり天地(てんち)(あひだ)にあるのだもの、020チツト(くらゐ)()れるのは当然(あたりまへ)だよ。021それよりも瀬戸(せと)(うみ)大戦(おほいくさ)があつた(こと)()いて()るか』
022(かふ)(鶴公)『イヤ()()いた(こと)はない。023どんな(たたかひ)があつたのだ』
024(おつ)『なンでも(おほ)きな喧嘩(けんくわ)があつたと()(こと)だ。025喧嘩(けんくわ)(おほ)きなのは(たたかひ)だ』
026(かふ)(鶴公)『そンな(こと)()つたつて、027(わけ)(はな)さな(わか)るかい』
028(おつ)(わか)るも(わか)らんもあるか、029(たたかひ)(たたかひ)だ。030貴様(きさま)何時(いつ)女房(にようばう)嫉妬(やきもち)喧嘩(けんくわ)をするやうなものだ。031貴様(きさま)(かかあ)(よこ)(つら)をピシヤリと(なぐ)る、032(かかあ)(おこ)つて貴様(きさま)(かいな)(かぶ)()く。033「コラ(かか)034(なに)()やがるのだ。035(はな)さぬか、036(はな)さなドタマをかち()るぞ」と拳骨(げんこつ)()りあげる。037女房(にようばう)(やつ)038(うで)にかぶりついた(なり)で、039オンオンと泣声(なきごゑ)()して、040(ころ)すなら(ころ)せ、041(ころ)されても(この)(うで)(はな)さぬ」と()つて一悶着(ひともんちやく)をやる。042(となり)八公(はちこう)()()て「コラコラ鶴公(つるこう)043(かめ)さま、044(なに)喧嘩(けんくわ)するのだ。045(つる)(せん)(ねん)(かめ)(まん)(ねん)046夫婦(めをと)喧嘩(げんくわ)(いぬ)()はぬ。047(せん)(ねん)(まん)(ねん)(なか)()(くら)さなならぬ夫婦(ふうふ)間柄(あひだがら)で、048(なん)()不心得(ふこころえ)(こと)をするのだ」と挨拶(あいさつ)()る。049さうすると鶴公(つるこう)………貴様(きさま)が「イヤ(はつ)さま、050()つといて(くだ)さい。051此奴(こいつ)(むし)得心(とくしん)せぬ、052今日(けふ)(かぎ)(ひま)()るのだ」と力味(りきみ)(かへ)る。053貴様(きさま)女房(にようばう)(かめ)(やつ)054四這(よつばひ)になりよつて「モシモシ(はち)さま、055何卒(どうぞ)()つといて(くだ)さい。056この(ひと)には愛想(あいさう)()きたのだ。057(さけ)(くら)博奕(ばくち)をうつ、058すべた(をんな)(しり)(おひ)かける。059一寸(ちよつと)取得(とりえ)()いガラクタ(おやぢ)だ。060これが(さいわひ)(わたし)不縁(ふえん)にして(もら)ひます。061(いま)()うして(わか)れても、062三年先(さんねんさき)には子供(こども)二人(ふたり)(こしら)へて、063立派(りつぱ)(をとこ)()()いて、064モウシモウシ(つる)さまへ、065三年前(さんねんまへ)にはエライお世話(せわ)になりました。066(かげ)でこんな結構(けつこう)(をつと)()ち、067立派(りつぱ)()()出来(でき)ました。068阿呆(あほう)なおやぢに連添(つれそ)うて()ると、069(わたし)までが阿呆(あほう)になる。070折角(せつかく)()()むでも、071間抜(まぬけ)(つら)した天保銭(てんぱうせん)のやうな小忰(こせがれ)より出来(でけ)やしない。072ヨウ(わか)れて(くだ)さつた」と()つて(れい)()(やう)なものだよ。073()(かく)夫婦(めをと)喧嘩(げんくわ)だといふ(こと)だ。074イヅとかミヅとかいづみづ(くさ)い、075神様(かみさん)でさへも(たたかひ)があつたと()ふことだよ』
076(かふ)(鶴公)貴様(きさま)()(こと)は、077(だま)つて()いて()れば、078(おれ)ンとこの(こと)まで、079大勢(おほぜい)(なか)(さら)()しよつて、080()しからぬ(やつ)だナ』
081(おつ)『それでも神島(かみじま)とか、082亀島(かめじま)とか()(しま)喧嘩(けんくわ)だもの、083(いづ)貴様(きさま)(やま)(かみ)喧嘩(けんくわ)したことを連想(れんさう)せずには()れぬぢやないかい』
084(へい)貴様(きさま)()()加減(かげん)(こと)聞囓(ききかぢ)つて、085大勢(おほぜい)(なか)()つともない。086そンな(はなし)今時(いまどき)()らぬ(もの)があるかい』
087(おつ)(えら)さうに()うな、088それなら貴様(きさま)逐一(ちくいち)()つてみい』
089(へい)()から、090(はな)から、091(みみ)から、092(くち)まで()()けた(この)(はう)だ。093(なに)()()(とほ)つた新煙管(さらぎせる)のやうな(この)(はう)だよ』
094鶴公(つるこう)『さらぎせるテ(なん)だい』
095(へい)よう(とほ)つた(をとこ)()(こと)だよ』
096鶴公(つるこう)(なに)(ぬか)しよるのだい。097サツパリ新煙管(さらぎせる)なら、098(つま)らぬ(をとこ)()(こと)だらう。099アハヽヽヽ』
100(おつ)『こンな新煙管(さらぎせる)()いた(ところ)が、101こつちが(つま)らぬ。102(たれ)(くは)しい(こと)()つて()(もの)()りさうなものだなア』
103(てい)(まん)(にん)(うち)一人(ひとり)(くらゐ)はあるものだよ。104掃溜(はきだめ)にも(つる)()りると()(こと)があるから、105(しか)(この)(つる)さまは(かか)()られの(つる)さまだから例外(れいぐわい)だよ』
106(へい)『それなら、107その掃溜(はきだめ)(つる)()ふのは(たれ)のことだい』
108(てい)(きま)つた(こと)だ、109大抵(たいてい)(かほ)(いろ)()ても(わか)りさうなものじやないか。110口許(くちもと)(りん)とした、111()(すず)やかな、112鼻筋(はなすぢ)(とほ)つた(をとこ)だ』
113自分(じぶん)(はな)(おさ)(なが)ら、
114(てい)真面目(まじめ)()ふから、115真面目(まじめ)()けよ。116(そもそ)もコーカス(ざん)には大気津(おほげつ)(ひめの)(みこと)()ふお(けつ)(でか)(かみ)(さま)があつた。117その(かみ)(さま)多数(たくさん)八王(やつこす)とかビツコスとか()(やつ)沢山(たくさん)()せて、118(なん)でも、119(えら)(えら)(かみ)(さま)(まつ)つて(みやこ)(こしら)へて()つた(ところ)が、120そこへ松茸(まつたけ)とか椎茸(しひたけ)とか干瓢(かんぺう)とか(なん)でも美味(うま)さうな()のつく小便使(せうべんしい)()つて()て、121大尻姫(おほげつひめ)(けつ)ぢやないが、122そこら(ぢう)小便(せうべん)やら(ばば)(ひつ)かけさがして、123流石(さすが)大尻姫(おほげつひめ)大尻(おほげつ)()をかけて、124アーメニヤヘスタコラヨイヤサと逃出(にげだ)したり。125(あと)松茸(まつたけ)126椎茸(しいたけ)127干瓢(かんぺう)さまが(さけ)(かん)須佐之男(すさのをの)(みこと)とか()ふ、128(さけ)(すき)(かみ)さまを(まつ)()むで、129ツル……ギとかカメとかを()神体(しんたい)にして()つた。130さうして(つき)とか(すつぽん)とか、131(はな)とか、132(なん)ぢや()つかしい(をんな)(かみ)がお(みや)のお給仕(きふじ)(つと)めて()たが、133()段々(だんだん)(くも)つて()たので、134コーカス(ざん)(いや)になつたと()え、135(さん)(にん)娘神(むすめがみ)は、136(おほ)きな大蛇(をろち)となつて、137(くも)(おこ)して(てん)舞上(まひあが)り、138一疋(いつぴき)大蛇(をろち)(くれ)(うみ)橘島(たちばなじま)()(かま)へ、139綺麗(きれい)別嬪(べつぴん)()けて()ると()(こと)140(ひと)つは(この)琵琶(びは)(うみ)竹島(たけじま)大蛇(をろち)となつて()りて()たといふ(こと)だ。141それからモ(ひと)つの(すつぽん)とか、142(ゆき)とか()女神(めがみ)(これ)また白蛇(しろへび)となつて、143瀬戸(せと)(うみ)(ひと)(じま)住居(ぢうきよ)をして、144素的(すてき)別嬪(べつぴん)(あら)はれ、145多数(たくさん)家来(けらい)()れて()むで()つた。146そこへ天教山(てんけうざん)から変性(へんじやう)男子(なんし)のお使(つかひ)で、147天菩比(あめのほひの)(みこと)とやらが、148ドツサリと(つよ)そな家来(けらい)()れて、149サルヂニヤの(しま)()(かこ)み、150()をつけて焼滅(やきほろぼ)して(しま)つたさうだ。151ナント(えら)(こと)出来(でけ)たものじやないか』
152鶴公(つるこう)馬鹿(ばか)()ふな、153サルヂニヤは喧嘩(けんくわ)ぢやない、154(をとこ)(はう)喧嘩腰(けんくわごし)で、155乱暴(らんばう)(こと)()りよつたが、156女神(めがみ)(はう)沢山(たくさん)()馳走(ちそう)(こしら)へて、157これはこれはよう()(くだ)さいました。158(なに)御座(ござ)いませぬがお(さけ)なつと充分(じうぶん)()しあがれと()つて、159相手(あひて)にならなかつたのだ。160一方(いつぱう)相手(あひて)にならねば喧嘩(けんくわ)ぢやない』
161(てい)理窟(りくつ)()ふな、162それでも半分(はんぶん)喧嘩(けんくわ)だ』
163鶴公(つるこう)(をとこ)多数(たくさん)家来(けらい)()れて、164(をんな)喧嘩(けんくわ)()きかけに()つても、165一方(いつぱう)相手(あひて)にならねば()()けたものだ。166暖簾(のれん)腕押(うでお)しするやうなもので、167(ちから)()けた(こと)だらう』
168 ()(はな)(かたはら)に、169()(ふさ)いで(しづか)()いて()石凝姥(いしこりどめの)(かみ)は、
170石凝姥神『オー、171(これ)大変(たいへん)だ、172道聴(だうちやう)途説(とせつ)とは()(なが)匹夫(ひつぷ)(げん)にも(しん)ずべき(こと)ありだ。173いよいよ厳霊(いづのみたま)瑞霊(みづのみたま)誓約(うけひ)(はじ)まつたらしい、174まさか(ちが)へば(あま)岩戸(いはと)(がく)れにならうも()れない。175ヤア時置師(ときおかしの)(かみ)殿(どの)176行平別(ゆきひらわけ)殿(どの)177此処(ここ)でお(わか)(まを)す。178(われ)(これ)よりアルプス(さん)(のぼ)()(ざう)八咫鏡(やあたかがみ)()たねばならぬ。179(あめ)目一箇(まひとつの)(かみ)大方(おほかた)()かけて()るであらう。180貴神(きしん)(これ)より竹島(たけじま)(わた)つて、181秋月姫(あきづきひめ)安否(あんぴ)(さぐ)(たま)へ。182さらば……』
183()()てて、184(くも)(かすみ)とアルプス(ざん)目蒐(めが)けて(すす)()く。
185時置師(ときおかし)『ヤア、186石凝姥(いしこりどめ)宣伝使(せんでんし)も、187重大(ぢゆうだい)使命(しめい)()びて()られるのだから仕方(しかた)がない。188(なん)だか此処(ここ)(わか)れるのは、189(もの)()らぬ(やう)だが、190これも()神業(しんげふ)一部(いちぶ)(おも)へば結構(けつこう)だ。191サア(はつ)さま、192(ふね)()さうだ、193(ふね)(なか)(また)ゆつくりと(はな)さうかい』
194()(なが)(ふね)(むか)つて(すす)()く。195(ひやく)数十(すうじふ)(にん)乗客(じやうきやく)は、196(さき)(あらそ)うて琴平丸(ことひらまる)乗込(のりこ)んだ。197(ふね)真帆(まほ)(かぜ)(はら)ませ(なが)ら、198()(わた)つたる湖原(うなばら)を、199船底(せんてい)(なみ)(こと)(だん)じつつ、200東北(とうほく)()して一目散(いちもくさん)(すべ)()く。
201 (ふね)一方(いつぱう)()()めたる小賢(こざか)しき四五(しご)(にん)(をとこ)202車座(くるまざ)になつて四方(よも)八方(やま)(はなし)(ふけ)つて()る。203時置師(ときおかし)204行平別(ゆきひらわけ)宣伝使(せんでんし)何喰(なにく)はぬ(かほ)にて、205その(そば)雑談(ざつだん)()()たり。
206(かふ)『この(あひだ)もあまり()(なか)(わる)くなつて(をさ)まらぬと()ふので、207()(かみ)(さま)(みな)(てん)(のぼ)り、208竜宮(りうぐう)(あつ)まり、209地上(ちじやう)魔神(まがみ)(ばか)りの暗黒界(あんこくかい)210どうする(こと)出来(でき)なくなつたと()つて、211コーカス(ざん)素盞嗚(すさのをの)(みこと)(さま)高天原(たかあまはら)とかへ、212()(あそ)ばしてからと()ふものは、213彼方(あちら)にも此方(こちら)にも、214地震(ぢしん)()る、215海嘯(つなみ)(おこ)る、216(わる)(やまひ)蔓延(まんえん)する、217(かは)()る、218草木(くさき)()れる五穀(ごこく)(みの)らず、219大変(たいへん)(こと)になつて()た。220そこで(てん)高天原(たかあまはら)(つき)御柱(みはしら)(かみ)(さま)が、221素盞嗚(すさのをの)(みこと)(さま)(なん)でも(わる)(こころ)があるとか()つて、222大変(たいへん)()立腹(りつぷく)なされ、223弓矢(ゆみや)用意(ようい)し、224(つるぎ)(ほこ)()(そな)へて、225素盞嗚(すさのをの)(みこと)(さま)討滅(うちほろぼ)さうとなさつたさうだ。226そこで、227素盞嗚(すさのをの)(かみ)さまは「(わたし)(けつ)して(けつ)してその(やう)汚穢(きたな)卑劣(さも)しい(こころ)()ちませぬ。228モウ(この)()(うへ)(いや)になりましたから、229母神(ははがみ)御座(ござ)(つき)(くに)(かへ)りたい。230それ(まで)姉神(あねがみ)(さま)一目(ひとめ)()(かか)りたさに()たのだ」と仰有(おつしや)つても、231姉神(あねがみ)(さま)はお(うたがひ)(ふか)うて、232容易(ようい)納得(なつとく)(あそ)ばさず、233たうとう、234(やす)河原(かはら)太平洋(たいへいやう))を(なか)において、235(あめ)真名井(まなゐ)日本海(にほんかい))に霊審判(みたまあらため)とか誓約(うけひ)とか(あそ)ばすので、236(この)(ごろ)大変(たいへん)(こと)だ。237サルヂニヤの(ひと)(じま)に、238素盞嗚(すさのをの)(みこと)(さま)瑞霊(みづのみたま)一柱(ひとはしら)239深雪姫(みゆきひめ)(さま)多紀理(たぎり)(ひめの)(かみ)となりて、240この()(ため)(かみ)(さま)をお(まつ)(あそ)ばして御座(ござ)つた(ところ)が、241姉神(あねがみ)(さま)はこれを(うたが)ひ、242自分(じぶん)御珠(みたま)(かん)じてお(うま)れになつた天菩比(あめのほひの)(みこと)とか()血染(ちぞめ)焼尽(せうじん)(かみ)(さま)(つか)はして、243全島(ぜんたう)焼滅(やきほろ)ぼし、244最後(さいご)になつて、245深雪姫(みゆきひめ)(さま)(あん)相違(さうゐ)(うつく)しき瑞霊(みづのみたま)(かみ)(さま)であつたと()(こと)(わか)り、246アフンとして(かへ)られたといふ(こと)だ。247この(うみ)(たけ)(しま)にも、248秋月姫(あきづきひめ)()瑞霊(みづのみたま)(なか)一人(ひとり)綺麗(きれい)(かみ)(さま)(しづ)まつて()られるのを今度(こんど)天津彦根(あまつひこねの)(みこと)()ふ、249菩比(ほひの)(みこと)弟神(おとうとがみ)(あら)はれて、250(たけ)(しま)宮殿(きうでん)破壊(はくわい)したり、251人民(じんみん)悪者(わるもの)見做(みな)し、252虱殺(しらみごろし)(ほふ)(ころ)すと()つて()かれたさうだ。253(また)サルヂニヤの深雪姫(みゆきひめ)(さま)のやうに(やはら)かく()られて、254アフンとして(かへ)られるだらう』
255(おつ)『それは(めう)(こと)だなア、256(かみ)(さま)でもそンな(ひど)喧嘩(けんくわ)をなさるのか。257さうすれば我々(われわれ)夫婦(ふうふ)喧嘩(げんくわ)をするのは当然(あたりまへ)だなア。258一体(いつたい)この(へん)()(かみ)(さま)がお守護(かま)(あそ)ばすのだ』
259(かふ)『きまつた(こと)だよ。260(あめ)真名井(まなゐ)から此方(こつち)大陸(たいりく)(のこ)らず、261素盞嗚(すさのをの)(みこと)()支配(しはい)262天教山(てんけうざん)自転倒(おのころ)(じま)から常世国(とこよのくに)263黄泉島(よもつじま)264高砂島(たかさごじま)姉神(あねがみ)(さま)がお(かまひ)になつて()るのだ。265それにも(かかは)らず、266姉神(あねがみ)(さま)地教山(ちけうざん)も、267黄金山(わうごんざん)も、268コーカス(ざん)全部(みんな)自分(じぶん)のものにしようと(あそ)ばして、269種々(いろいろ)画策(くわくさく)をめぐらされるんだから、270弟神(おとうとがみ)(さま)(あね)敵対(てきたい)もならず、271進退(しんたい)()(きは)まつて(この)()(うへ)()てて(つき)世界(せかい)()かうと(あそ)ばし、272高天原(たかあまはら)(のぼ)られて、273(いま)誓約(うけひ)とかの最中(さいちう)ださうぢや。274姉神(あねがみ)(さま)(はう)には、275(たま)御徳(みとく)から(あら)はれた立派(りつぱ)五柱(いつはしら)吾勝(あかつの)(みこと)276天菩比(あめのほひの)(みこと)277天津彦根(あまつひこねの)(みこと)278活津(いくつ)彦根(ひこねの)(みこと)279熊野(くまの)久須毘(くすびの)(みこと)といふ、280それはそれは表面(うはべ)(うつく)しい(をんな)(やう)(やさ)しい(かみ)(さま)で、281(こころ)武勇(ぶゆう)絶倫(ぜつりん)282勇猛(ゆうまう)突進(とつしん)283殺戮(さつりく)征伐(せいばつ)(とう)(あら)(こと)()さる(かみ)(さま)(あら)はれて、284(ぜん)(あく)との立別(たてわけ)を、285(あめ)真名井(まなゐ)御霊(みたま)審判(しらべ)をして御座(ござ)最中(さいちう)だと()(こと)ぢや、286姉神(あねがみ)(さま)(たま)(ごと)玲瓏(れいろう)として()(とほ)(あい)女神(めがみ)(やう)だが、287その肝腎(かんじん)御霊(みたま)から(あら)はれた(かみ)(さま)は、288変性(へんじやう)男子(なんし)(みたま)で、289随分(ずゐぶん)(はげ)しい()(つよ)(かみ)さまだと()(こと)だ。290弟神(おとうとがみ)(さま)(はう)は、291()るも(おそ)ろしい鋭利(えいり)十握(とつか)(つるぎ)(みたま)からお(うま)れになつたのだが、292仁慈(じんじ)無限(むげん)女神(めがみ)(さま)で、293瑞霊(みづのみたま)といふ(こと)だ。294此処(ここ)(あめ)安河原(やすかはら)(なか)()いて、295真名井(まなゐ)(みづ)(その)(たま)(つるぎ)をふり(すす)いで善悪(ぜんあく)立別(たてわ)けが出来(でけ)ると()(こと)だよ。296それだから、297三五教(あななひけう)(むかし)から、298(かみ)(おもて)(あら)はれて(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける、299(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)」とかナンとか()つて()るのだ』
300時置師(ときおかし)一寸(ちよつと)(みな)さまにお(たづ)(いた)しますが、301()姉弟(きやうだい)(かみ)(さま)が、302誓約(うけひ)なさると()(こと)は、303何処(どこ)でお(きき)になりましたか』
304(かふ)『イヤどこでも()きませぬ、305(なん)だか最前(さいぜん)から(あたま)(おも)くなつたと(おも)へば()らず()らずに、306(わたくし)(くち)からあンな(こと)(しやべ)つたのですよ。307怪体(けたい)(こと)があればあるものですなア』
308(おつ)『オイ貴様(きさま)309(げん)貴様(きさま)(くち)から()つたぢやないか。310(なん)だ、311しらじらしい。312とぼけよつて、313正直(しやうぢき)貴様(きさま)似合(にあ)はぬ、314何故(なぜ)そンな無責任(むせきにん)(こと)()ふのだ』
315(かふ)『それだと()つて仕方(しかた)がないわ。316(おれ)(こころ)にもない(こと)()ふのだもの……』
317(へい)『モシモシお(きやく)さま、318此奴(こいつ)はこの(ごろ)陽気(やうき)で、319どうかして()ります。320何申(なにまを)すか(わか)りませぬから、321どうぞ取上(とりあ)げて(くだ)さいますな』
322時置師(ときおかし)『イヤ結構(けつこう)です、323大変(たいへん)参考(さんかう)になりました。324(まつた)(この)(かた)()はれたのでありますまい、325(かみ)(さま)我々(われわれ)(たい)するお(しめ)しでせう』
326(へい)『ヘーン、327貴方(あなた)一寸(ちよつと)328()うと()まぬが、329どうかして()やしませぬか。330こンな気違(きちがひ)()(こと)(いち)()もなく鵜呑(うのみ)にして、331あまり軽卒(けいそつ)ではありますまいか』
332(かふ)『わしは秋月姫(あきづきひめ)(みこと)使神(ししん)である。333その(はう)(わが)言葉(ことば)気違(きちがひ)(まを)したが、334(もつと)もだ。335(なんぢ)はウラル(けう)間諜(まはしもの)だから、336(わが)直言(ちよくげん)がきつく(みみ)(さは)ると()えるワイ』
337(へい)『コラ、338(なに)(とぼ)けよるのだ、339()加減(かげん)馬鹿(ばか)真似(まね)をしておけ』
340 ()(はな)(をり)しも、341(ふね)はチクチクと(たけ)(しま)(ちか)づき()る。342(たちま)(おこ)矢叫(やさけ)びの(こゑ)343(とき)(こゑ)344阿鼻(あび)叫喚(けうくわん)345地獄(ぢごく)惨状(さんじやう)()るが(ごと)き、346竹島(たけしま)磯端(いそばた)激烈(げきれつ)なる惨劇(さんげき)(えん)ぜられつつある光景(くわうけい)347()()(ごと)()()たる。
348大正一一・三・一一 旧二・一三 松村真澄録)
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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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