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第64巻(卯の巻)上
序
総説
第1篇 日下開山
01 橄欖山
〔1630〕
02 宣伝使
〔1631〕
03 聖地夜
〔1632〕
04 訪問客
〔1633〕
05 至聖団
〔1634〕
第2篇 聖地巡拝
06 偶像都
〔1635〕
07 巡礼者
〔1636〕
08 自動車
〔1637〕
09 膝栗毛
〔1638〕
10 追懐念
〔1639〕
第3篇 花笑蝶舞
11 公憤私憤
〔1640〕
12 誘惑
〔1641〕
13 試練
〔1642〕
14 荒武事
〔1643〕
15 大相撲
〔1644〕
16 天消地滅
〔1645〕
第4篇 遠近不二
17 強請
〔1646〕
18 新聞種
〔1647〕
19 祭誤
〔1648〕
20 福命
〔1649〕
21 遍路
〔1650〕
22 妖行
〔1651〕
第5篇 山河異涯
23 暗着
〔1652〕
24 妖蝕
〔1653〕
25 地図面
〔1654〕
26 置去
〔1655〕
27 再転
〔1656〕
余白歌
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> 第2篇 聖地巡拝 > 第10章 追懐念
<<< 膝栗毛
(B)
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第一〇章
追懐念
(
ついくわいねん
)
〔一六三九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第64巻上 山河草木 卯の巻上
篇:
第2篇 聖地巡拝
よみ(新仮名遣い):
せいちじゅんぱい
章:
第10章 追懐念
よみ(新仮名遣い):
ついかいねん
通し章番号:
1639
口述日:
1923(大正12)年07月11日(旧05月28日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年10月16日
概要:
舞台:
エルサレム市街近郊
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm64a10
愛善世界社版:
108頁
八幡書店版:
第11輯 417頁
修補版:
校定版:
107頁
普及版:
62頁
初版:
ページ備考:
001
その
翌日
(
よくじつ
)
も
亦
(
また
)
、
002
スバツフオード
及
(
およ
)
びマリヤと
共
(
とも
)
にブラバーサは
自動車
(
じどうしや
)
を
雇
(
やと
)
つて、
003
死海
(
しかい
)
、
004
ヨルダン、
005
エリコ
等
(
とう
)
の
地方
(
ちはう
)
見物
(
けんぶつ
)
に
出
(
で
)
かけたりける。
006
ジヤツフアの
門
(
もん
)
からダマスカスの
門
(
もん
)
、
007
ヘロデの
門
(
もん
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
つてキドロンの
谷
(
たに
)
からエリコの
道
(
みち
)
へと
出
(
で
)
た。
008
自動車
(
じどうしや
)
がしばらく
走
(
はし
)
ると、
009
橄欖山
(
かんらんざん
)
の
東南
(
とうなん
)
ベタニヤの
村
(
むら
)
を
通
(
とほ
)
る。
010
ベタニヤはアラブの
名
(
な
)
ではエル・アザリエと
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
011
この
名
(
な
)
はラザロから
来
(
き
)
たので、
012
アラブはラザロの
L
(
エル
)
を
冠詞
(
くわんし
)
と
認
(
みと
)
めて
省略
(
しやうりやく
)
したのだといふことである。
013
ラザロは
回教徒
(
くわいけうと
)
の
間
(
あひだ
)
に
於
(
おい
)
ても
聖者
(
せいじや
)
として
尊敬
(
そんけい
)
されて
居
(
ゐ
)
るのである。
014
ベタニアの
村
(
むら
)
はキリストに
関
(
くわん
)
する
種々
(
しゆじゆ
)
の
美
(
うつく
)
しい
物語
(
ものがたり
)
で
充
(
み
)
ちて
居
(
ゐ
)
て、
015
その
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
いただけでも
心
(
こころ
)
が
暖
(
あたた
)
かく
成
(
な
)
つて
来
(
く
)
る。
016
癩者
(
らいしや
)
シモンの
家
(
いへ
)
、
017
そこで
昔
(
むかし
)
マグダラのマリヤがキリストの
足
(
あし
)
を
涙
(
なみだ
)
にて
湿
(
しめ
)
し、
018
頭髪
(
とうはつ
)
を
以
(
もつ
)
てぬぐひ
香油
(
かうゆ
)
をこれに
塗
(
ぬ
)
つた。
019
マルタ、
020
マリヤの
姉妹
(
しまい
)
の
家
(
いへ
)
も
爰
(
ここ
)
にあつたと
云
(
い
)
ふ。
021
ラザロが
死後
(
しご
)
四日
(
よつか
)
を
経
(
へ
)
て
蘇
(
よみが
)
へらせられた
所
(
ところ
)
も
亦
(
また
)
ここで
在
(
あ
)
つたといふ。
022
今
(
いま
)
はミゼラブルな
四五十
(
しごじふ
)
の
回教徒
(
くわいけうと
)
の
家
(
いへ
)
が、
023
其処
(
そこ
)
此処
(
ここ
)
に
散在
(
さんざい
)
して
居
(
ゐ
)
るに
過
(
す
)
ぎないのである。
024
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
下車
(
げしや
)
してラザロの
墓
(
はか
)
やシモン、
025
マルタ、
026
マリヤの
家
(
いへ
)
の
廃趾
(
はいし
)
と
称
(
しよう
)
せられて
居
(
ゐ
)
るものを
見物
(
けんぶつ
)
した。
027
ラザロの
墓
(
はか
)
と
云
(
い
)
はれて
居
(
ゐ
)
るものは
非常
(
ひじやう
)
に
大規模
(
だいきぼ
)
なもので、
028
滑
(
すべ
)
りさうな
階段
(
かいだん
)
を
地下
(
ちか
)
へ
向
(
む
)
かつて
二十二
(
にじふに
)
段
(
だん
)
も
下
(
くだ
)
つて
行
(
ゆ
)
かねばならぬ。
029
内部
(
ないぶ
)
は
穴蔵
(
あなぐら
)
のやうに
真
(
ま
)
つ
暗
(
くら
)
で、
030
持
(
も
)
つて
行
(
い
)
つた
蝋燭
(
らふそく
)
で
照
(
てら
)
して
見
(
み
)
なければ
成
(
な
)
らなかつた。
031
丁度
(
ちやうど
)
桶伏山
(
をけぶせさん
)
麓
(
ろく
)
の
神苑内
(
しんゑんない
)
の
地下
(
ちか
)
の
修行室
(
しうぎやうしつ
)
をブラバーサは
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
さずには
居
(
を
)
られ
無
(
な
)
かつた。
032
村
(
むら
)
のアラブの
子供
(
こども
)
等
(
ら
)
が「バクシツシユ」(
小銭
(
こぜに
)
のこと)と
叫
(
さけ
)
びながら、
033
車
(
くるま
)
の
周囲
(
しうゐ
)
に
群
(
むら
)
がつて
来
(
き
)
てブラバーサ
一行
(
いつかう
)
の
興
(
きよう
)
を
醒
(
さ
)
ますのであつた。
034
ベタニアの
南
(
みなみ
)
でこれに
対
(
たい
)
して
居
(
ゐ
)
る
丘
(
をか
)
の
上
(
うへ
)
にベツフアージエの
村
(
むら
)
がある。
035
ここで
使徒
(
しと
)
たちがキリストの
指示
(
しじ
)
のままに
木
(
き
)
につながれた
一頭
(
いつとう
)
の
牡
(
めん
)
の
驢馬
(
ろば
)
を
見付
(
みつ
)
け、
036
キリストはそれに
乗
(
の
)
つて
都
(
みやこ
)
へのり
込
(
こ
)
んだと
伝
(
つた
)
ふる
所
(
ところ
)
である。
037
ベタニアを
出
(
で
)
て
少
(
すこ
)
しばかり
歩
(
あゆ
)
むと、
038
路傍
(
ろばう
)
に
小
(
ちひ
)
さいチヤペルが
建
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
039
馭者
(
ぎよしや
)
は
主
(
しゆ
)
を
迎
(
むか
)
へに
来
(
き
)
たマルタが
爰
(
ここ
)
で
彼
(
かれ
)
に
逢
(
あ
)
つた
所
(
ところ
)
だと
説明
(
せつめい
)
する。
040
道
(
みち
)
は
段々
(
だんだん
)
と
谷
(
たに
)
に
下
(
くだ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
041
到
(
いた
)
る
処
(
ところ
)
岩
(
いは
)
の
山
(
やま
)
ばかりで
薄
(
うす
)
く
覆
(
おほ
)
はれた
土
(
つち
)
は
橄欖
(
かんらん
)
は
勿論
(
もちろん
)
灌木
(
くわんぼく
)
や
草類
(
くさるゐ
)
さへも
生
(
しやう
)
じない。
042
自然
(
しぜん
)
は
全
(
まつた
)
く
死
(
し
)
んだ
様
(
やう
)
でその
光景
(
くわうけい
)
は
物
(
もの
)
すごい
位
(
くらゐ
)
である。
043
所々
(
ところどころ
)
に
駱駝
(
らくだ
)
の
群
(
むれ
)
が
飼放
(
かひはな
)
しにしてあるのは、
044
今
(
いま
)
まで
他所
(
よそ
)
で
見受
(
みう
)
けなかつた
光景
(
くわうけい
)
である。
045
マリヤはよくエルサレムと
聖者
(
せいじや
)
キリストとの
関係
(
くわんけい
)
を
熟知
(
じゆくち
)
せるものの
如
(
ごと
)
く、
046
頻
(
しき
)
りに
新約
(
しんやく
)
の
文句
(
もんく
)
を
引出
(
ひきだ
)
して
説明
(
せつめい
)
して
居
(
ゐ
)
る。
047
三
(
さん
)
人
(
にん
)
はエリコとエルサレムとの
中間
(
ちうかん
)
まで
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た。
048
道路
(
だうろ
)
は
再
(
ふたた
)
び
上
(
のぼ
)
り
坂
(
ざか
)
となる。
049
自然
(
しぜん
)
は
全
(
まつた
)
く
荒
(
あ
)
れ
果
(
は
)
てて
居
(
ゐ
)
て、
050
生物
(
せいぶつ
)
らしきものは
何一
(
なにひと
)
つ
見当
(
みあた
)
らない。
051
伝説
(
でんせつ
)
によれば
良
(
よ
)
きサマリア
人
(
びと
)
の
話
(
はなし
)
は
此
(
この
)
あたりだとか、
052
小山
(
こやま
)
の
頂
(
いただき
)
にサマリア
人
(
じん
)
の
旅宿
(
りよしゆく
)
と
名
(
な
)
の
付
(
つ
)
いた、
053
小
(
ちひ
)
さい
建物
(
たてもの
)
のルインが
寂
(
さび
)
し
気
(
げ
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
054
それより
前
(
さき
)
は
道路
(
だうろ
)
が
山々
(
やまやま
)
の
中腹
(
ちうふく
)
を
縫
(
ぬ
)
ふて
死海
(
しかい
)
の
谷
(
たに
)
へと
急転
(
きふてん
)
直下
(
ちよくか
)
するばかりである。
055
道
(
みち
)
で
時々
(
ときどき
)
羊
(
ひつじ
)
の
群
(
むれ
)
に
逢
(
あ
)
つた。
056
その
群
(
むれ
)
の
中
(
なか
)
には、
057
今
(
いま
)
生
(
うま
)
れたばかりの
二三匹
(
にさんびき
)
の
羊
(
ひつじ
)
の
児
(
こ
)
を
荒
(
あら
)
いメリケン
粉
(
こ
)
の
袋
(
ふくろ
)
に
入
(
い
)
れて、
058
背負
(
せお
)
はされた
驢馬
(
ろば
)
が
交
(
まじ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのは、
059
何
(
なん
)
となく
可憐
(
かれん
)
な
光景
(
くわうけい
)
であつた。
060
下
(
した
)
の
方
(
はう
)
に
時々
(
ときどき
)
谷
(
たに
)
の
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
から
死海
(
しかい
)
の
面
(
おもて
)
が
輝
(
かがや
)
いて
見
(
み
)
えて
来
(
く
)
る。
061
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
遂
(
つひ
)
にヨルダンの
谷
(
たに
)
に
下
(
くだ
)
つた。
062
両側
(
りやうがは
)
の
山
(
やま
)
は
削
(
けづ
)
つた
様
(
やう
)
に
屹立
(
きつりつ
)
して
居
(
ゐ
)
るが、
063
中
(
なか
)
は
広々
(
ひろびろ
)
として
居
(
ゐ
)
て、
064
これが
地中海
(
ちちうかい
)
面
(
めん
)
以下
(
いか
)
四百
(
よんひやく
)
メートルの
谷底
(
たにそこ
)
にあるとは
到底
(
たうてい
)
受
(
う
)
けとれない
位
(
くらゐ
)
である。
065
葦草
(
あしぐさ
)
が
所々
(
ところどころ
)
に
生
(
は
)
えて
泥路
(
どろみち
)
と
砂地
(
すなぢ
)
の
中
(
なか
)
を
死海
(
しかい
)
の
浜
(
はま
)
へと
向
(
む
)
かつた。
066
野生
(
やせい
)
の
鶴
(
つる
)
や
放
(
はな
)
ち
飼
(
がひ
)
の
駱駝
(
らくだ
)
に
途々
(
みちみち
)
出会
(
であ
)
ふ。
067
浜
(
はま
)
に
近
(
ちか
)
く
塩
(
しほ
)
を
採
(
と
)
るための
水溜
(
みづたま
)
りがあつて、
068
端
(
はし
)
には
真白
(
まつしろ
)
の
結晶
(
けつしやう
)
が
附着
(
ふちやく
)
して
居
(
ゐ
)
る。
069
そして
二三
(
にさん
)
の
見
(
み
)
すぼらしいアラブの
小屋
(
こや
)
が
荒
(
あら
)
い
砂
(
すな
)
の
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
を
)
るばかりで、
070
驢馬
(
ろば
)
や
駱駝
(
らくだ
)
の
縛
(
つな
)
ぎ
場
(
ば
)
になつて
居
(
ゐ
)
るので
恐
(
おそ
)
ろしい
程
(
ほど
)
不潔
(
ふけつ
)
で
厭
(
いや
)
な
臭気
(
しうき
)
が
鼻
(
はな
)
を
突
(
つ
)
く。
071
水面
(
すゐめん
)
は
全
(
まつた
)
く
波浪
(
はらう
)
なく
朝
(
あさ
)
の
麗
(
うらら
)
かな
日光
(
につくわう
)
にかがやいて
居
(
ゐ
)
て、
072
死海
(
しかい
)
と
云
(
い
)
ふ
恐
(
おそ
)
ろしい
名称
(
めいしよう
)
は
応
(
ふさ
)
はしく
無
(
な
)
いやうに
思
(
おも
)
はれる。
073
水
(
みづ
)
には
強度
(
きやうど
)
の
混和物
(
こんわぶつ
)
が
在
(
あ
)
るために
多少
(
たせう
)
の
濁
(
にご
)
りを
帯
(
お
)
びて
居
(
ゐ
)
る。
074
水
(
みづ
)
を
指頭
(
しとう
)
につけて
味
(
あぢ
)
はつて
見
(
み
)
ると
強烈
(
きやうれつ
)
な
苦
(
にが
)
みがかつた
塩辛
(
しほから
)
い
鉱物質
(
くわうぶつしつ
)
を
含蓄
(
がんちく
)
して
居
(
ゐ
)
る。
075
鉱物質
(
くわうぶつしつ
)
の
割合
(
わりあは
)
は
百分
(
ひやくぶん
)
の
二十四
(
にじふし
)
乃至
(
ないし
)
二十六
(
にじふろく
)
で
塩分
(
えんぶん
)
は
百分
(
ひやくぶん
)
の
七
(
しち
)
だと
云
(
い
)
ふことである。
076
水
(
みづ
)
が
重
(
おも
)
いので
泳
(
およ
)
がうとしても、
077
身体
(
しんたい
)
が
全部
(
ぜんぶ
)
水面
(
すゐめん
)
に
浮
(
う
)
かみでて
了
(
しま
)
つて
泳
(
およ
)
ぐことが
出来
(
でき
)
ぬのである。
078
生卵子
(
なまたまご
)
でも
三分
(
さんぶ
)
の
一
(
いち
)
は
水面
(
すゐめん
)
に
浮
(
う
)
かみ
出
(
で
)
ると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
である。
079
死海
(
しかい
)
の
水
(
みづ
)
は
一種
(
いつしゆ
)
の
滑
(
なめら
)
かな
膚
(
はだ
)
ざはりを
与
(
あた
)
へるが、
080
容易
(
ようい
)
に
一旦
(
いつたん
)
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
に
触
(
ふ
)
れた
以上
(
いじやう
)
は
塩気
(
しほけ
)
が
離
(
はな
)
れないので
気持
(
きもち
)
が
悪
(
わる
)
い。
081
三
(
さん
)
人
(
にん
)
はそれよりヨルダン
河
(
がは
)
へと
向
(
む
)
かつて
進
(
すす
)
んだ。
082
広
(
ひろ
)
い
平野
(
へいや
)
は
一面
(
いちめん
)
に
黒
(
くろ
)
ずんだ
土
(
つち
)
で、
083
一見
(
いつけん
)
した
処
(
ところ
)
非常
(
ひじやう
)
に
豊饒
(
ほうぜう
)
らしく
思
(
おも
)
はれるが、
084
土地
(
とち
)
は
含
(
ふく
)
まれて
居
(
ゐ
)
る
塩分
(
えんぶん
)
のために
全然
(
ぜんぜん
)
不毛
(
ふまう
)
の
地
(
ち
)
となつて
耕作物
(
かうさくぶつ
)
は
駄目
(
だめ
)
なのである。
085
しばらくあつて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は、
086
身
(
み
)
の
丈
(
たけ
)
以上
(
いじやう
)
もある
葦
(
あし
)
の
中
(
なか
)
をすれずれに
通
(
とほ
)
りながらヨルダンの
河畔
(
かはん
)
マハヂツト・ハヂレと
云
(
い
)
ふポプラや
柳
(
やなぎ
)
の
生
(
は
)
えて
居
(
ゐ
)
る
渡船場
(
とせんば
)
の
様
(
やう
)
な
場所
(
ばしよ
)
に
到着
(
たうちやく
)
した。
087
細
(
ほそ
)
い
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
を
組合
(
くみあは
)
せ
葦
(
あし
)
で
屋根
(
やね
)
をふき、
088
湿気
(
しつき
)
を
防
(
ふせ
)
ぐため
細
(
ほそ
)
い
材木
(
ざいもく
)
で
一丈
(
いちぢやう
)
ばかりを
床
(
ゆか
)
を
高
(
たか
)
め、
089
梯子様
(
はしごやう
)
の
階段
(
かいだん
)
でのぼつて
行
(
ゆ
)
くやうにした
南洋風
(
なんやうふう
)
の
土人
(
どじん
)
の
原始
(
げんし
)
的
(
てき
)
の
小屋
(
こや
)
と
木蔭
(
こかげ
)
に
旅客
(
りよきやく
)
の
休憩
(
きうけい
)
のため
二三
(
にさん
)
のベンチとがある。
090
イタリー
語
(
ご
)
を
話
(
はな
)
すスペイン
人
(
じん
)
の
二三
(
にさん
)
のフランチエスカンの
坊
(
ばう
)
さまが、
091
そこで
休憩
(
きうけい
)
して
居
(
ゐ
)
た。
092
今日
(
けふ
)
は
日曜日
(
にちえうび
)
の
事
(
こと
)
とて、
093
朝
(
あさ
)
早
(
はや
)
くからここへ
来
(
き
)
て
野天
(
のてん
)
でメスをしましたと
話
(
はな
)
して
居
(
ゐ
)
た。
094
木立
(
こだ
)
ちの
下
(
した
)
から
河
(
かは
)
の
水面
(
すゐめん
)
が
見
(
み
)
える。
095
平常
(
へいじやう
)
から
濁
(
にご
)
つて
居
(
ゐ
)
る
筈
(
はず
)
の
水
(
みづ
)
は
昨日
(
きのふ
)
の
大雨
(
おほあめ
)
のために
猶更
(
なほさら
)
黄色
(
きいろ
)
になつて
居
(
ゐ
)
た、
096
水量
(
すゐりやう
)
は
多
(
おほ
)
くして
併
(
しか
)
も
流
(
なが
)
れは
急
(
きふ
)
である。
097
有名
(
いうめい
)
なのに
似気
(
にげ
)
なく
小
(
ちひ
)
さいと
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
た
通
(
とほ
)
りで、
098
河
(
かは
)
の
幅
(
はば
)
は
一百
(
いつぴやく
)
尺
(
しやく
)
前後
(
ぜんご
)
の
程度
(
ていど
)
である。
099
ここは
巡礼
(
じゆんれい
)
の
人々
(
ひとびと
)
の
浴場
(
よくぢやう
)
になつて
居
(
ゐ
)
てキリストが
洗礼者
(
せんれいしや
)
のヨハネから
洗礼
(
せんれい
)
を
受
(
う
)
けられた
所
(
ところ
)
と
伝
(
つた
)
へられて
居
(
ゐ
)
る。
100
昔
(
むかし
)
のキリスト
教徒
(
けうと
)
の
間
(
あひだ
)
にはヨルダン
河
(
がは
)
で
洗礼
(
せんれい
)
を
受
(
う
)
ける
事
(
こと
)
を
非常
(
ひじやう
)
に
大切
(
たいせつ
)
な
事
(
こと
)
とし、
101
多勢
(
おほぜい
)
の
巡礼者
(
じゆんれいしや
)
はアラブの
案内者
(
あんないしや
)
に
引率
(
いんそつ
)
されて
羊
(
ひつじ
)
の
群
(
むれ
)
の
様
(
やう
)
にヨルダンの
谷
(
たに
)
をここ
迄
(
まで
)
下
(
くだ
)
つて
来
(
き
)
たものである。
102
それから
当時
(
たうじ
)
この
場所
(
ばしよ
)
は
河岸
(
かがん
)
が
大理石
(
だいりせき
)
でおほはれて
居
(
ゐ
)
たと
云
(
い
)
ふことだ。
103
馭者
(
ぎよしや
)
は
特
(
とく
)
にロシアよりの
巡礼者
(
じゆんれいしや
)
の
敬虔
(
けいけん
)
な
態度
(
たいど
)
に
就
(
つ
)
いて
話
(
はな
)
した。
104
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
は
所在
(
あらゆる
)
窮乏
(
きうばふ
)
を
忍
(
しの
)
んで
茶
(
ちや
)
とパンとのみで
旅行
(
りよかう
)
を
続
(
つづ
)
け、
105
その
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
た
金
(
かね
)
を
全部
(
ぜんぶ
)
寺々
(
てらでら
)
に
捧
(
ささ
)
げて
了
(
しま
)
ふのだと
云
(
い
)
ふ。
106
ブラバーサはエルサレムの
方々
(
はうばう
)
の
寺
(
てら
)
でロシア
人
(
じん
)
の
奉献
(
ほうけん
)
したと
云
(
い
)
ふ
金銀
(
きんぎん
)
や
宝玉
(
はうぎよく
)
づくしの
聖母
(
せいぼ
)
の
像
(
ざう
)
を
見受
(
みう
)
けた
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
して、
107
高砂島
(
たかさごじま
)
の
聖地
(
せいち
)
に
於
(
お
)
ける
信者
(
しんじや
)
の
態度
(
たいど
)
に
比較
(
ひかく
)
し
長大
(
ちやうだい
)
嘆息
(
たんそく
)
を
禁
(
きん
)
じ
得
(
え
)
ないので
在
(
あ
)
つた。
108
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
厳
(
いづ
)
の
御魂
(
みたま
)
瑞
(
みづ
)
の
御魂
(
みたま
)
の
神柱
(
かむばしら
)
に
現在
(
げんざい
)
に
面会
(
めんくわい
)
の
便宜
(
べんぎ
)
ある
高砂島
(
たかさごじま
)
のルートバハーの
信徒
(
しんと
)
の
態度
(
たいど
)
は、
109
このロシア
人
(
じん
)
の
信仰
(
しんかう
)
に
比
(
くら
)
べては
実
(
じつ
)
に
天地
(
てんち
)
霄壤
(
せうぜう
)
の
差
(
さ
)
ある
事
(
こと
)
を
深
(
ふか
)
く
嘆
(
たん
)
じたのである。
110
ヨルダン
河
(
かは
)
及
(
およ
)
び
死海
(
しかい
)
から
程遠
(
ほどとほ
)
からぬ
所
(
ところ
)
にエリコがある。
111
現在
(
げんざい
)
のものは
旧新約
(
きうしんやく
)
時代
(
じだい
)
のエリコとは
違
(
ちが
)
つてゐる。
112
是
(
これ
)
から
多少
(
たせう
)
ヨルダンの
中央部
(
ちうあうぶ
)
の
方
(
はう
)
へ
離
(
はな
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
113
見
(
み
)
すぼらしい
小
(
ちひ
)
さい
村落
(
そんらく
)
で、
114
土人
(
どじん
)
の
家屋
(
かをく
)
と
質素
(
しつそ
)
な
教会
(
けうくわい
)
やモスクが
二三
(
にさん
)
見
(
み
)
えるばかりである。
115
谷底
(
たにぞこ
)
に
位
(
くらゐ
)
して
居
(
ゐ
)
るので
気温
(
きをん
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
高
(
たか
)
く、
116
蒸
(
む
)
し
暑
(
あつ
)
く
植物
(
しよくぶつ
)
は
皆
(
みな
)
准熱帯
(
じゆんねつたい
)
的
(
てき
)
のものである。
117
無花果
(
いちぢく
)
や
棗
(
なつめ
)
や
芭蕉実
(
ばなな
)
の
外
(
ほか
)
、
118
黄色
(
わうしよく
)
の
香
(
かを
)
りの
良
(
い
)
いミモザが
咲
(
さ
)
き
頻
(
しき
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
119
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
新
(
しん
)
エリコの
村落
(
そんらく
)
を
通
(
とほ
)
つて
西方
(
せいはう
)
の
山
(
やま
)
の
近
(
ちか
)
くの
発掘
(
はつくつ
)
された
新約
(
しんやく
)
のエリコを
見
(
み
)
に
行
(
い
)
つた。
120
爰
(
ここ
)
にヘロデ
王
(
わう
)
が
其
(
その
)
宮殿
(
きうでん
)
を
建
(
た
)
てたとの
話
(
はなし
)
がある。
121
その
一角
(
いつかく
)
は
今
(
いま
)
より
十余
(
じふよ
)
年前
(
ねんぜん
)
ドイツ
人
(
じん
)
の
手
(
て
)
によつて
発掘
(
はつくつ
)
されて
居
(
ゐ
)
た。
122
旧約
(
きうやく
)
のエリコの
所在
(
ありか
)
は
其処
(
そこ
)
とは
違
(
ちが
)
つて、
123
現在
(
げんざい
)
のエリコから
東北
(
とうほく
)
の
方
(
はう
)
徒歩
(
とほ
)
二十五
(
にじふご
)
分
(
ふん
)
ばかりの
所
(
ところ
)
にある。
124
エリコからエルサレムの
方角
(
はうがく
)
の
断崖
(
だんがい
)
になつて
居
(
ゐ
)
る
岩山
(
いはやま
)
の
眺望
(
てうばう
)
は
物
(
もの
)
すごい
様
(
やう
)
である。
125
中腹
(
ちうふく
)
にギリシヤ
正教
(
せいけう
)
の
一
(
いち
)
僧院
(
そうゐん
)
が
建
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
126
その
背後
(
はいご
)
の
山
(
やま
)
はそこでキリストが
悪魔
(
あくま
)
の
誘惑
(
いうわく
)
を
受
(
う
)
けた
所
(
ところ
)
から「
誘惑
(
いうわく
)
の
山
(
やま
)
」と
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
が
付
(
つ
)
いてゐる。
127
四十
(
しじふ
)
日
(
にち
)
四十夜
(
しじふや
)
の
断食
(
だんじき
)
の
荒野
(
あらの
)
もこの
先
(
さき
)
の
方
(
はう
)
にあると
馭者
(
ぎよしや
)
の
話
(
はな
)
しであつた。
128
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
帰路
(
きろ
)
についた
途中
(
とちう
)
、
129
橄欖山
(
かんらんざん
)
の
麓
(
ふもと
)
にあるゲツセマネの
園
(
その
)
と
聖母
(
せいぼ
)
の
寺
(
てら
)
とを
訪
(
おとづ
)
れて
見
(
み
)
た。
130
ゲツセマネの
園
(
その
)
は
三方
(
さんぱう
)
が
道
(
みち
)
で
囲
(
かこ
)
まれ
不規則
(
ふきそく
)
な
四角形
(
しかくけい
)
を
為
(
な
)
し、
131
厚
(
あつ
)
い
石壁
(
いしかべ
)
を
以
(
もつ
)
て
囲
(
めぐ
)
らされて
居
(
ゐ
)
てフランチエスカンの
所有
(
しよいう
)
に
成
(
な
)
つてゐる。
132
ここを
新約
(
しんやく
)
のゲツセマネと
定
(
さだ
)
めたのは
四
(
し
)
世紀
(
せいき
)
以前
(
いぜん
)
のことだと
云
(
い
)
ふ。
133
門
(
もん
)
の
外
(
そと
)
には
自然
(
しぜん
)
の
岩
(
いは
)
の
頭
(
あたま
)
が
地上
(
ちじやう
)
に
現
(
あら
)
はれてゐてその
上
(
うへ
)
でペテロ、
134
ヤコブ
及
(
およ
)
びヨハネが
眠
(
ねむ
)
つたのだと
伝
(
つた
)
へられてゐる。
135
園内
(
ゑんない
)
には
非常
(
ひじやう
)
に
古
(
ふる
)
い
数本
(
すうほん
)
の
橄欖
(
かんらん
)
の
老樹
(
らうじゆ
)
が
植
(
う
)
わつて
居
(
ゐ
)
て、
136
その
時
(
とき
)
からの
物
(
もの
)
だと
云
(
い
)
われてゐる。
137
橄欖樹
(
かんらんじゆ
)
は
人間
(
にんげん
)
が
触
(
ふ
)
れさへしなければ
幹
(
みき
)
が
枯
(
か
)
れた
後
(
のち
)
でも、
138
其
(
その
)
根
(
ね
)
から
新
(
あたら
)
しい
芽生
(
めばえ
)
が
出
(
で
)
て
斯
(
かく
)
して
世紀
(
せいき
)
から
世紀
(
せいき
)
へと
生延
(
いきの
)
びると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
であるから、
139
この
伝説
(
でんせつ
)
は
或
(
あるひ
)
は
事実
(
じじつ
)
に
近
(
ちか
)
いものかも
知
(
し
)
れない。
140
其
(
その
)
他
(
た
)
ユダがキリストに
接吻
(
せつぷん
)
した
地点
(
ちてん
)
まで
明示
(
めいじ
)
されて
居
(
ゐ
)
る。
141
エルサレムや
橄欖山
(
かんらんざん
)
の
地位
(
ちゐ
)
からしてゲツセマネの
園
(
その
)
が
此
(
この
)
辺
(
あた
)
りに
在
(
あ
)
つたことは
事実
(
じじつ
)
らしい。
142
併
(
しか
)
し
七十歩
(
しちじつぽ
)
四方
(
しはう
)
ばかりの
狭
(
せま
)
い
土地
(
とち
)
を
重
(
おも
)
くるしい
石垣
(
いしがき
)
で
囲
(
かこ
)
んで
其
(
その
)
中
(
なか
)
を
墓地
(
ぼち
)
のやうに、
143
また
近代
(
きんだい
)
的
(
てき
)
の
庭園
(
ていえん
)
のやうに
飾
(
かざ
)
つて
是
(
これ
)
をゲツセマネの
園
(
その
)
と
為
(
な
)
すことは、
144
無限
(
むげん
)
の
大
(
おほ
)
きさと
深
(
ふか
)
さを
持
(
も
)
つたものを
無残
(
むざん
)
にも
限
(
かぎ
)
り
有
(
あ
)
るものの
中
(
なか
)
に
閉
(
と
)
ぢ
込
(
こ
)
めて
置
(
お
)
くことは
実
(
じつ
)
に
残念
(
ざんねん
)
である。
145
ブラバーサは
凡
(
すべ
)
ての
在来
(
ざいらい
)
の
法則
(
はふそく
)
を
破
(
やぶ
)
つて
霊
(
れい
)
のみで
画
(
ゑが
)
かれた
様
(
やう
)
なロンドンのナシヨナル・ガラリーにあるエル・グレコの
筆
(
ふで
)
を
思
(
おも
)
ひ
浮
(
う
)
かべて、
146
此
(
こ
)
の
物足
(
ものた
)
りない
感
(
かん
)
じを
補
(
おぎな
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
147
聖母
(
せいぼ
)
の
寺
(
てら
)
はゲツセマネの
園
(
その
)
に
対
(
たい
)
して
居
(
ゐ
)
る
紀元
(
きげん
)
五
(
ご
)
世紀
(
せいき
)
以来
(
いらい
)
存在
(
そんざい
)
してゐる
古
(
ふる
)
い
寺院
(
じゐん
)
である。
148
その
主要
(
しゆえう
)
部分
(
ぶぶん
)
は
地下
(
ちか
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
て
大理石
(
だいりせき
)
の
階段
(
かいだん
)
を
四五十
(
しごじふ
)
下
(
くだ
)
つて
行
(
ゆ
)
くとマリアの
棺
(
くわん
)
、
149
その
両親
(
りやうしん
)
の
棺
(
くわん
)
、
150
ヨセフの
墓
(
はか
)
、
151
キリストの
血
(
ち
)
の
汗
(
あせ
)
を
流
(
なが
)
された
場所
(
ばしよ
)
等
(
とう
)
がある。
152
ケドロンの
谷
(
たに
)
をシロアムの
村
(
むら
)
の
方
(
はう
)
へ
少
(
すこ
)
しばかり
下
(
くだ
)
ると、
153
山
(
やま
)
の
麓
(
ふもと
)
に
奇妙
(
きめう
)
な
三
(
みつ
)
つの
建築物
(
けんちくぶつ
)
が
並
(
なら
)
んで
居
(
ゐ
)
てアラブが
住
(
す
)
んでゐる。
154
ブラバーサは
初
(
はじ
)
めて
此
(
こ
)
の
地
(
ち
)
に
来
(
き
)
たり、
155
親切
(
しんせつ
)
なるアメリカンコロニーの
人々
(
ひとびと
)
に
沢山
(
たくさん
)
の
聖書
(
せいしよ
)
上
(
じやう
)
の
由緒
(
ゆいしよ
)
ある
場所
(
ばしよ
)
を
案内
(
あんない
)
され
満足
(
まんぞく
)
の
態
(
てい
)
であつた。
156
アヽ
聖地
(
せいち
)
エルサレムそれは
学者
(
がくしや
)
とパリサイ
人
(
じん
)
の
都
(
みやこ
)
、
157
死
(
し
)
せる
儀礼
(
ぎれい
)
の
中枢
(
ちうすう
)
また
死海
(
しかい
)
及
(
およ
)
びヨルダン、
158
それは
荒野
(
あらの
)
に
叫
(
さけ
)
ぶ
洗礼者
(
せんれいしや
)
ヨハネの
国
(
くに
)
すべてが
単調
(
たんてう
)
で
乾
(
かわ
)
き
切
(
き
)
つて
死
(
し
)
んで
居
(
ゐ
)
る
国
(
くに
)
、
159
ルナンをして
世界
(
せかい
)
に
於
(
おい
)
て
最
(
もつと
)
も
悲
(
かな
)
しき
地方
(
ちはう
)
と
云
(
い
)
はしめたエルサレムの
近郊
(
きんかう
)
よ。
160
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
くキリストの
再臨
(
さいりん
)
を
得
(
え
)
てこの
聖地
(
せいち
)
を
太古
(
たいこ
)
の
光栄
(
くわうえい
)
の
都
(
みやこ
)
に
復活
(
ふくくわつ
)
し、
161
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
神願
(
しんぐわん
)
を
達成
(
たつせい
)
せしめ
度
(
た
)
きものであるとブラバーサは
内心
(
ないしん
)
深
(
ふか
)
く
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らしつつ
一先
(
ひとま
)
づ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
はアメリカンコロニーへと
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
162
その
翌日
(
よくじつ
)
又
(
また
)
もやブラバーサはマリヤに
案内
(
あんない
)
されて、
163
湖
(
みづうみ
)
の
水
(
みづ
)
清
(
きよ
)
き
山々
(
やまやま
)
に
翠
(
みどり
)
の
影
(
かげ
)
濃
(
こ
)
く
美
(
うつく
)
しく
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
き
小鳥
(
ことり
)
の
声
(
こゑ
)
の
絶
(
た
)
えない
自然
(
しぜん
)
全体
(
ぜんたい
)
が
笑
(
わら
)
つて
居
(
ゐ
)
る、
164
さうして
其
(
その
)
湖
(
みづうみ
)
のほとりでキリストが
黙想
(
もくさう
)
し
祈祷
(
きたう
)
し
且
(
か
)
つ
教
(
をしへ
)
を
垂
(
た
)
れられたガリラヤの
地
(
ち
)
へと
進
(
すす
)
んだ。
165
エルサレムとガリラヤ、
166
それはキリスト
教
(
けう
)
の
示
(
しめ
)
す
二元
(
にげん
)
主義
(
しゆぎ
)
の
象徴
(
しやうちやう
)
である。
167
死
(
し
)
を
経験
(
けいけん
)
すること
無
(
な
)
しに
生
(
せい
)
の
恩恵
(
おんけい
)
は
分
(
わか
)
らない、
168
律法
(
りつぱう
)
に
依
(
よ
)
りて
死
(
し
)
し
信仰
(
しんかう
)
によりて
生
(
いく
)
ること、
169
この
転換
(
てんくわん
)
こそ
宗教
(
しうけう
)
そのものの
奇蹟
(
きせき
)
的
(
てき
)
力
(
ちから
)
であるべきものなり。
170
(
大正一二・七・一一
旧五・二八
加藤明子
録)
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