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天祥地瑞
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第64巻(卯の巻)上
序
総説
第1篇 日下開山
01 橄欖山
〔1630〕
02 宣伝使
〔1631〕
03 聖地夜
〔1632〕
04 訪問客
〔1633〕
05 至聖団
〔1634〕
第2篇 聖地巡拝
06 偶像都
〔1635〕
07 巡礼者
〔1636〕
08 自動車
〔1637〕
09 膝栗毛
〔1638〕
10 追懐念
〔1639〕
第3篇 花笑蝶舞
11 公憤私憤
〔1640〕
12 誘惑
〔1641〕
13 試練
〔1642〕
14 荒武事
〔1643〕
15 大相撲
〔1644〕
16 天消地滅
〔1645〕
第4篇 遠近不二
17 強請
〔1646〕
18 新聞種
〔1647〕
19 祭誤
〔1648〕
20 福命
〔1649〕
21 遍路
〔1650〕
22 妖行
〔1651〕
第5篇 山河異涯
23 暗着
〔1652〕
24 妖蝕
〔1653〕
25 地図面
〔1654〕
26 置去
〔1655〕
27 再転
〔1656〕
余白歌
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> 第3篇 花笑蝶舞 > 第15章 大相撲
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第一五章
大相撲
(
おほずまふ
)
〔一六四四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第64巻上 山河草木 卯の巻上
篇:
第3篇 花笑蝶舞
よみ(新仮名遣い):
かしょうちょうぶ
章:
第15章 大相撲
よみ(新仮名遣い):
おおずもう
通し章番号:
1644
口述日:
1923(大正12)年07月12日(旧05月29日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年10月16日
概要:
舞台:
僧院ホテルのブラバーサの部屋
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-24 12:04:00
OBC :
rm64a15
愛善世界社版:
173頁
八幡書店版:
第11輯 442頁
修補版:
校定版:
173頁
普及版:
62頁
初版:
ページ備考:
001
カトリックの
僧院
(
そうゐん
)
ホテルに
滞在
(
たいざい
)
してゐるブラバーサの
居間
(
ゐま
)
を
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
た
一人
(
ひとり
)
の
老紳士
(
らうしんし
)
があつた。
002
之
(
これ
)
はバハイ
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
バハーウラーである。
003
ボーイの
案内
(
あんない
)
につれてブラバーサの
居間
(
ゐま
)
に
通
(
とほ
)
り、
004
バハーウラー
『
御免
(
ごめん
)
なさいませ』
005
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
006
軽
(
かる
)
く
一礼
(
いちれい
)
を
施
(
ほどこ
)
した。
007
ブラバーサは
手
(
て
)
づから
椅子
(
いす
)
をとりよせて、
008
ブラバーサ
『やあ、
009
貴方
(
あなた
)
は
汽車中
(
きしやちう
)
でお
目
(
め
)
にかかつたバハーウラー
様
(
さま
)
で
御座
(
ござ
)
いましたか。
010
一度
(
いちど
)
お
訪
(
たづ
)
ねしたいと
存
(
ぞん
)
じて
居
(
を
)
りましたが、
011
何分
(
なにぶん
)
処慣
(
ところな
)
れないものですから
彼方
(
あちら
)
此方
(
こちら
)
と
見学
(
けんがく
)
して
居
(
を
)
りました。
012
よう
御
(
お
)
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
さいました』
013
と
挨拶
(
あいさつ
)
すればバハーウラーはテーブルを
中
(
なか
)
におき、
014
両方
(
りやうはう
)
から
向
(
むか
)
ひ
合
(
あ
)
ひとなり、
015
バハーウラー
『ハイ、
016
私
(
わたし
)
も
一度
(
いちど
)
お
訪
(
たづ
)
ねしたいと
思
(
おも
)
つてゐましたが、
017
何
(
なん
)
だか
彼是
(
かれこれ
)
ととり
紛
(
まぎ
)
れ
漸
(
やうや
)
く
今日
(
けふ
)
となりました。
018
どうです
聖地
(
せいち
)
においでになつてからの
貴方
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
感想
(
かんさう
)
は?』
019
ブラバーサ
『ハイ、
020
見
(
み
)
るもの、
021
聞
(
き
)
くものが
日
(
ひ
)
の
出島
(
でじま
)
と
違
(
ちが
)
つて
居
(
を
)
りますので
面喰
(
めんくら
)
ひましたよ。
022
漸
(
やうや
)
く
地理
(
ちり
)
も
分
(
わか
)
り
空気
(
くうき
)
にも
慣
(
なれ
)
ましたと
見
(
み
)
え、
023
少
(
すこ
)
し
計
(
ばか
)
り
落付
(
おちつ
)
いて
参
(
まゐ
)
りました』
024
バハーウラー
『
成程
(
なるほど
)
、
025
私
(
わたし
)
も
同感
(
どうかん
)
ですよ。
026
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
から
此処
(
ここ
)
までやつて
来
(
き
)
ましたが、
027
いやもう
見
(
み
)
るもの
聞
(
き
)
くもの
変
(
かは
)
つた
事
(
こと
)
ばかり、
028
かやうな
処
(
ところ
)
へ
救世主
(
きうせいしゆ
)
がお
降
(
くだ
)
りになるかと
思
(
おも
)
へば
何
(
なん
)
だか
奇異
(
きい
)
の
感
(
かん
)
にうたれます。
029
国
(
くに
)
に
居
(
を
)
ります
時
(
とき
)
は
聖地
(
せいち
)
エルサレムエルサレムと
云
(
い
)
つて
日夜
(
にちや
)
憧憬
(
どうけい
)
して
居
(
ゐ
)
ましたが、
030
古
(
ふる
)
く
荒
(
すさ
)
びた
神都
(
しんと
)
の
跡
(
あと
)
、
031
何
(
いづ
)
れも
涙
(
なみだ
)
の
種
(
たね
)
ならぬはありませぬ。
032
黄金
(
こがね
)
の
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ふてゐると
思
(
おも
)
つた
私
(
わたし
)
の
期待
(
きたい
)
はスツカリ
裏切
(
うらぎ
)
られて
了
(
しま
)
ひましたよ。
033
アハヽヽヽヽ』
034
ブラバーサ
『
都会
(
とくわい
)
は
人
(
ひと
)
が
作
(
つく
)
り、
035
田舎
(
ゐなか
)
は
神
(
かみ
)
が
作
(
つく
)
るとか
申
(
まを
)
しまして、
036
かやうな
田舎
(
ゐなか
)
びた
処
(
ところ
)
でないと
到底
(
たうてい
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
はお
降
(
くだ
)
りになりますまい。
037
紅塵
(
こうぢん
)
万丈
(
ばんぢやう
)
の
巷
(
ちまた
)
に、
038
霊肉
(
れいにく
)
ともに
穢
(
けが
)
してゐる
人
(
ひと
)
の
集
(
あつ
)
まつてる
処
(
ところ
)
へは
救世主
(
きうせいしゆ
)
はお
降
(
くだ
)
りになる
筈
(
はず
)
はありませぬ』
039
バハーウラー
『
成程
(
なるほど
)
、
040
さう
承
(
うけたま
)
はればさうかも
知
(
し
)
れませぬな。
041
数年
(
すうねん
)
以前
(
いぜん
)
、
042
バルカン
半島
(
はんたう
)
に
現
(
あら
)
はれた
一朶
(
いちだ
)
の
黒煙
(
こくえん
)
は
燎原
(
れうげん
)
を
焼
(
や
)
く
勢
(
いきほ
)
ひで
全
(
ぜん
)
欧羅巴
(
ヨーロツパ
)
に
蔓延
(
まんえん
)
し
全世界
(
ぜんせかい
)
の
地
(
ち
)
をして
戦雲
(
せんうん
)
に
包
(
つつ
)
んで
了
(
しま
)
ひましたが、
043
為
(
ため
)
に
其
(
その
)
後
(
ご
)
の
人心
(
じんしん
)
は
益々
(
ますます
)
悪化
(
あくくわ
)
し、
044
二進
(
につち
)
も
三進
(
さつち
)
も
行
(
ゆ
)
かなくなつて
来
(
き
)
たぢやありませぬか。
045
かやうな
処
(
ところ
)
へ
救世主
(
きうせいしゆ
)
が
御
(
ご
)
降臨
(
かうりん
)
になつた
処
(
ところ
)
で
足
(
あし
)
一
(
ひと
)
つ
踏
(
ふ
)
み
込
(
こ
)
まれる
処
(
ところ
)
はありますまいな。
046
一人
(
ひとり
)
でも
多
(
おほ
)
く
心
(
こころ
)
を
研
(
みが
)
き
魂
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
いて
神心
(
かみごころ
)
となつて
救世主
(
きうせいしゆ
)
の
降臨
(
かうりん
)
を
待
(
ま
)
たねばなりませぬ。
047
実
(
じつ
)
に
常暗
(
とこやみ
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
となつたもので
御座
(
ござ
)
いますわい』
048
ブラバーサ
『ルートバハーの
教祖
(
けうそ
)
ヨハネの
教
(
をしへ
)
にも
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
大戦
(
おほたたか
)
ひが
初
(
はじ
)
まるぞよと
三十
(
さんじふ
)
年
(
ねん
)
以前
(
いぜん
)
から
仰
(
おほ
)
せられましたが、
049
到頭
(
たうとう
)
世界
(
せかい
)
の
大戦争
(
だいせんそう
)
が
起
(
おこ
)
りました。
050
さうしてヨハネの
教祖
(
けうそ
)
は
先達
(
せんだつて
)
の
世界
(
せかい
)
戦争
(
せんそう
)
の
開戦
(
かいせん
)
期間
(
きかん
)
の
日数
(
につすう
)
一千
(
いつせん
)
五百
(
ごひやく
)
六十七
(
ろくじふしち
)
日
(
にち
)
を
終
(
をは
)
り
平和
(
へいわ
)
条約
(
でうやく
)
が
締結
(
ていけつ
)
された
其
(
その
)
朝
(
あさ
)
、
051
即
(
すなは
)
ち
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
で
云
(
い
)
へば
大正
(
たいしやう
)
七
(
しち
)
年
(
ねん
)
十
(
じふ
)
月
(
ぐわつ
)
三日
(
みつか
)
[
※
出口直が昇天したのは大正7年(1918年)新暦11月6日(旧暦10月3日)
]
の
朝
(
あさ
)
昇天
(
しようてん
)
されました。
052
その
後
(
のち
)
と
云
(
い
)
ふものは
実
(
じつ
)
に
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
目
(
め
)
もあけて
居
(
ゐ
)
られないやうな
惨怛
(
さんたん
)
たる
現状
(
げんじやう
)
で
御座
(
ござ
)
ります』
053
バハーウラー
『
先達
(
せんだつて
)
の
戦争
(
せんそう
)
について
交戦国
(
かうせんこく
)
の
総面積
(
そうめんせき
)
を
調
(
しら
)
ぶれば、
054
四千三百四十万二千七百六十二
平方
(
へいはう
)
哩
(
マイル
)
即
(
すなは
)
ち
世界
(
せかい
)
面積
(
めんせき
)
の
七割
(
しちわり
)
五分
(
ごぶ
)
八厘
(
はちりん
)
にあまり、
055
又
(
また
)
其
(
その
)
戦争
(
せんそう
)
に
参加
(
さんか
)
した
人員
(
じんゐん
)
の
数
(
かず
)
は
無慮
(
むりよ
)
十六億一千百九十二
万
(
まん
)
人
(
にん
)
に
達
(
たつ
)
し
世界
(
せかい
)
人口
(
じんこう
)
の
九割
(
きうわり
)
二分
(
にぶ
)
五厘
(
ごりん
)
に
相当
(
さうたう
)
する
空前
(
くうぜん
)
の
大戦争
(
だいせんそう
)
で
御座
(
ござ
)
りました。
056
恰
(
あたか
)
も
秋霜
(
しうさう
)
烈日
(
れつじつ
)
の
大威力
(
だいゐりよく
)
を
示
(
しめ
)
して
満天下
(
まんてんか
)
の
草木
(
さうもく
)
を
一夜
(
いちや
)
の
中
(
うち
)
に
凋落
(
てうらく
)
せしめて
了
(
しま
)
ひました。
057
只
(
ただ
)
常磐木
(
ときはぎ
)
のみ
巍然
(
ぎぜん
)
として
聳
(
そび
)
え、
058
又
(
また
)
、
059
別
(
べつ
)
に
数種
(
すうしゆ
)
の
紅
(
あか
)
黄
(
き
)
紫
(
むらさき
)
青
(
あを
)
等
(
など
)
の
僅
(
わづ
)
かに
艶
(
えん
)
を
競
(
きそ
)
ふて
世
(
よ
)
の
終末
(
しうまつ
)
の
美
(
び
)
を
暫時
(
ざんじ
)
誇
(
ほこ
)
つてゐる
位
(
くらゐ
)
であります。
060
あゝ
恐
(
おそ
)
るべき
世界
(
せかい
)
の
大戦争
(
だいせんそう
)
はもはや
之
(
これ
)
で
根絶
(
こんぜつ
)
したで
御座
(
ござ
)
いませうか。
061
大戦後
(
たいせんご
)
の
世界
(
せかい
)
は
何処
(
いづこ
)
の
果
(
は
)
てを
見
(
み
)
ましても
平和
(
へいわ
)
の
象徴
(
しやうちやう
)
を
見
(
み
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬぢやありませぬか。
062
到
(
いた
)
る
処
(
ところ
)
小戦争
(
せうせんそう
)
は
行
(
おこな
)
はれ、
063
餓鬼
(
がき
)
畜生
(
ちくしやう
)
修羅
(
しゆら
)
の
惨状
(
さんじやう
)
を
遺憾
(
ゐかん
)
なく
曝露
(
ばくろ
)
してるぢやありませぬか。
064
ハルマゲドンの
戦争
(
せんそう
)
とは、
065
先達
(
せんだつ
)
ての
戦争
(
せんそう
)
を
云
(
い
)
つてるのぢやありますまいか。
066
ハルマゲドンの
戦争
(
せんそう
)
が
済
(
す
)
めば
世
(
よ
)
の
終
(
をは
)
りが
近
(
ちか
)
づくとの
聖書
(
せいしよ
)
の
教
(
をしへ
)
、
067
どうも
物騒
(
ぶつそう
)
になつて
来
(
き
)
ました。
068
暑
(
あつ
)
い
時
(
とき
)
に
寒
(
さむ
)
い
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
き
作物
(
さくもつ
)
は
思
(
おも
)
ふやうに
発達
(
はつたつ
)
せず、
069
到
(
いた
)
る
処
(
ところ
)
火山
(
くわざん
)
は
爆発
(
ばくはつ
)
し、
070
地震
(
ぢしん
)
洪水
(
こうずゐ
)
の
悩
(
なや
)
み、
071
強盗
(
がうたう
)
殺人
(
さつじん
)
に
諸種
(
しよしゆ
)
の
面白
(
おもしろ
)
からぬ
運動
(
うんどう
)
、
072
到底
(
たうてい
)
人間
(
にんげん
)
として
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
如何
(
どう
)
する
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ますまい。
073
もうこの
上
(
うへ
)
は
救世主
(
きうせいしゆ
)
の
降臨
(
かうりん
)
を
仰
(
あふ
)
ぐより
外
(
ほか
)
に
道
(
みち
)
は
御座
(
ござ
)
いますまいなア』
074
ブラバーサ
『
救世主
(
きうせいしゆ
)
は
屹度
(
きつと
)
御
(
ご
)
降臨
(
かうりん
)
になつて
世界
(
せかい
)
を
無事
(
ぶじ
)
太平
(
たいへい
)
に
治
(
をさ
)
めて
下
(
くだ
)
さる
事
(
こと
)
を
私
(
わたし
)
は
確信
(
かくしん
)
してゐます。
075
然
(
しか
)
しそれ
迄
(
まで
)
に
一
(
ひと
)
つ
大峠
(
おほたうげ
)
が
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るでせう。
076
ハルマゲドンの
戦争
(
せんそう
)
は
私
(
わたし
)
は
今後
(
こんご
)
に
勃発
(
ぼつぱつ
)
するものと
思
(
おも
)
ひます。
077
今日
(
こんにち
)
は
世界
(
せかい
)
に
二大
(
にだい
)
勢力
(
せいりよく
)
があつて
虎視
(
こし
)
眈々
(
たんたん
)
として
互
(
たがひ
)
に
狙
(
ねら
)
ひつつある
現状
(
げんじやう
)
ですから、
078
到底
(
たうてい
)
此
(
この
)
儘
(
まま
)
では
治
(
をさ
)
まりますまい。
079
世
(
よ
)
の
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
しは
今日
(
こんにち
)
の
人間
(
にんげん
)
の
力
(
ちから
)
つき
鼻柱
(
はなばしら
)
が
折
(
を
)
れ、
080
手
(
て
)
の
施
(
ほどこ
)
す
余地
(
よち
)
がなくなつてからでなくては
開始
(
かいし
)
致
(
いた
)
しますまい。
081
九分
(
くぶ
)
九厘
(
くりん
)
、
082
千騎
(
せんき
)
一騎
(
いつき
)
になつて
救世主
(
きうせいしゆ
)
が
降臨
(
かうりん
)
なされるのが
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
経綸
(
けいりん
)
と
存
(
ぞん
)
じます』
083
バハーウラー
『
成程
(
なるほど
)
御
(
ご
)
同感
(
どうかん
)
です。
084
そして
貴方
(
あなた
)
の
二大
(
にだい
)
勢力
(
せいりよく
)
とは
何
(
なに
)
を
指
(
さ
)
して
仰
(
おほ
)
せらるるのですか』
085
ブラバーサ
『
今日
(
こんにち
)
此
(
この
)
地球
(
ちきう
)
上
(
じやう
)
に
於
(
おい
)
て
二
(
ふた
)
つの
大勢力
(
だいせいりよく
)
が
互
(
たがひ
)
に
暗々裡
(
あんあんり
)
に
争
(
あらそ
)
つてゐますのは
貴方
(
あなた
)
も
大抵
(
たいてい
)
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
の
事
(
こと
)
だと
思
(
おも
)
ひます。
086
一方
(
いつぱう
)
には
強大
(
きやうだい
)
なる
一
(
いち
)
新勢力
(
しんせいりよく
)
を
発揮
(
はつき
)
し、
087
全世界
(
ぜんせかい
)
に
活動
(
くわつどう
)
飛躍
(
ひやく
)
を
試
(
こころ
)
み
傍若
(
ばうじやく
)
無人
(
ぶじん
)
的
(
てき
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
をなし、
088
不自然
(
ふしぜん
)
極
(
きは
)
まる
人為
(
じんゐ
)
的
(
てき
)
暴圧力
(
ばうあつりよく
)
によつて
膨脹
(
ばうちやう
)
拡大
(
くわくだい
)
し、
089
弱肉
(
じやくにく
)
強食
(
きやうしよく
)
を
以
(
もつ
)
て
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
国是
(
こくぜ
)
となせる
強大
(
きやうだい
)
なる
国家
(
こくか
)
があり、
090
一方
(
いつぱう
)
には
鎖国
(
さこく
)
攘夷
(
じやうい
)
の
夢
(
ゆめ
)
を
破
(
やぶ
)
り
一躍
(
いちやく
)
して
全世界
(
ぜんせかい
)
の
舞台
(
ぶたい
)
に
現
(
あら
)
はれ、
091
列強
(
れつきやう
)
と
相伍
(
あひご
)
し、
092
再躍
(
さいやく
)
して
世界
(
せかい
)
の
一大
(
いちだい
)
強国
(
きやうこく
)
となつた
国家
(
こくか
)
が
御座
(
ござ
)
います。
093
世界
(
せかい
)
万民
(
ばんみん
)
は
此
(
この
)
二大
(
にだい
)
勢力
(
せいりよく
)
に
対
(
たい
)
して
驚異
(
きやうい
)
の
眼
(
まなこ
)
を
以
(
もつ
)
てのぞみ、
094
茫然
(
ばうぜん
)
自失
(
じしつ
)
の
体
(
てい
)
で
御座
(
ござ
)
います。
095
その
発展
(
はつてん
)
振
(
ぶ
)
りたるや
前古
(
ぜんこ
)
未聞
(
みもん
)
の
大事実
(
だいじじつ
)
で
御座
(
ござ
)
いますけれども、
096
而
(
しか
)
もその
発展
(
はつてん
)
は
頗
(
すこぶ
)
る
公明
(
こうめい
)
正大
(
せいだい
)
と
唱
(
とな
)
へられて
居
(
ゐ
)
るので
御座
(
ござ
)
います。
097
一方
(
いつぱう
)
はピラミツドの
如
(
ごと
)
く
極
(
きは
)
めて
壮観
(
さうくわん
)
なれども
真
(
しん
)
の
生命
(
せいめい
)
なき
建築物
(
けんちくぶつ
)
であり、
098
一方
(
いつぱう
)
は
喬木
(
けうぼく
)
の
如
(
ごと
)
く
生々
(
いきいき
)
としその
壮観
(
さうくわん
)
の
度
(
ど
)
に
於
(
おい
)
ては
到底
(
たうてい
)
彼
(
か
)
のピラミツドの
建築
(
けんちく
)
には
及
(
およ
)
びませぬけれども、
099
真
(
しん
)
に
生命
(
せいめい
)
ある
成長
(
せいちやう
)
を
遂
(
と
)
げつつあるのであります。
100
そして
此
(
この
)
二大
(
にだい
)
勢力
(
せいりよく
)
は
一
(
ひと
)
つは
極東
(
きよくとう
)
の
一
(
いち
)
小孤島
(
せうこたう
)
、
101
一
(
ひと
)
つは
極西
(
きよくせい
)
の
一大
(
いちだい
)
大陸
(
たいりく
)
です。
102
一
(
ひと
)
つは
現今
(
げんこん
)
に
於
(
お
)
ける
最古
(
さいこ
)
の
国
(
くに
)
、
103
一
(
ひと
)
つは
列強中
(
れつきやうちう
)
の
最
(
もつと
)
も
新
(
あたら
)
しき
国
(
くに
)
、
104
一
(
いつ
)
は
建国
(
けんこく
)
以来
(
いらい
)
の
王国
(
わうこく
)
、
105
一
(
いつ
)
は
建国
(
けんこく
)
以来
(
いらい
)
の
民国
(
みんこく
)
、
106
一
(
いつ
)
は
万世
(
ばんせい
)
一系
(
いつけい
)
の
皇統
(
くわうとう
)
を
誇
(
ほこ
)
り、
107
一
(
いつ
)
は
四
(
よ
)
年
(
ねん
)
交代
(
かうたい
)
の
主権
(
しゆけん
)
を
誇
(
ほこ
)
り、
108
一
(
いつ
)
は
天孫
(
てんそん
)
の
稜威
(
みいづ
)
を
本位
(
ほんゐ
)
とし、
109
一
(
いつ
)
は
億兆
(
おくてう
)
烏合
(
うがふ
)
の
民権
(
みんけん
)
を
本位
(
ほんゐ
)
としてゐます。
110
そして
其
(
その
)
国民性
(
こくみんせい
)
たるや、
111
一
(
いつ
)
は
義
(
ぎ
)
につき
一
(
いつ
)
は
利
(
り
)
につき
一
(
いつ
)
は
強国
(
きやうこく
)
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
神国
(
しんこく
)
と
自称
(
じしよう
)
し、
112
一
(
いつ
)
は
基督教
(
キリストけう
)
国
(
こく
)
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
民国
(
みんこく
)
と
自称
(
じしよう
)
し、
113
一
(
いつ
)
は
親子
(
おやこ
)
の
経的
(
けいてき
)
関係
(
くわんけい
)
を
以
(
もつ
)
て
家庭
(
かてい
)
の
本位
(
ほんゐ
)
となし、
114
一
(
いつ
)
は
夫婦
(
ふうふ
)
の
緯的
(
ゐてき
)
関係
(
くわんけい
)
を
以
(
もつ
)
て
家庭
(
かてい
)
の
本位
(
ほんゐ
)
とし、
115
一
(
いつ
)
は
男尊
(
だんそん
)
女卑
(
じよひ
)
の
関係
(
くわんけい
)
を
以
(
もつ
)
て
人倫
(
じんりん
)
の
本位
(
ほんゐ
)
とし、
116
一
(
いつ
)
は
女尊
(
ぢよそん
)
男卑
(
だんぴ
)
の
関係
(
くわんけい
)
を
以
(
もつ
)
て
人倫
(
じんりん
)
の
本位
(
ほんゐ
)
とし、
117
一
(
いつ
)
は
太陽
(
たいやう
)
を
以
(
もつ
)
て
国章
(
こくしやう
)
となし、
118
一
(
いつ
)
は
星
(
ほし
)
を
以
(
もつ
)
て
国章
(
こくしやう
)
となしてゐる。
119
故
(
ゆゑ
)
に
自
(
おのづか
)
らその
国情
(
こくじやう
)
と
使命
(
しめい
)
に
於
(
おい
)
て
相容
(
あひい
)
れないのは
当然
(
たうぜん
)
ではありませぬか』
120
バハーウラー
『
成程
(
なるほど
)
今
(
いま
)
貴方
(
あなた
)
の
仰有
(
おつしや
)
つたのは
実
(
じつ
)
に
時代
(
じだい
)
を
達観
(
たつくわん
)
した
宣言
(
せんげん
)
だと
思
(
おも
)
ひます。
121
一方
(
いつぱう
)
は
日出国
(
ひのでこく
)
一方
(
いつぱう
)
は
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
と
世界
(
せかい
)
に
相対立
(
あひたいりつ
)
してゐる
現状
(
げんじやう
)
をお
示
(
しめ
)
しになつたのでせうな。
122
諺
(
ことわざ
)
にも
両雄
(
りやうゆう
)
相戦
(
あひたたか
)
はば
勢
(
いきほ
)
ひ
共
(
とも
)
に
全
(
まつた
)
からずとか
申
(
まを
)
しまして、
123
どちらか
一方
(
いつぱう
)
に
統一
(
とういつ
)
されねばなりますまい。
124
実
(
じつ
)
に
困
(
こま
)
つた
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
になつたもので
御座
(
ござ
)
いますな。
125
政治
(
せいぢ
)
と
云
(
い
)
ひ
経済
(
けいざい
)
と
云
(
い
)
ひ
思想
(
しさう
)
と
云
(
い
)
ひ、
126
宗教
(
しうけう
)
と
云
(
い
)
ひ
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
一切
(
いつさい
)
今日
(
こんにち
)
程
(
ほど
)
行
(
ゆき
)
つまりの
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
御座
(
ござ
)
りますまい。
127
どうしても
此
(
この
)
悩
(
なや
)
みは
何処
(
どこ
)
かで
破裂
(
はれつ
)
せなくてはおかない
道理
(
だうり
)
で
御座
(
ござ
)
いますな』
128
ブラバーサ
『さうです。
129
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
く
今
(
いま
)
や
東西
(
とうざい
)
の
大関
(
おほぜき
)
が
世界
(
せかい
)
の
大土俵
(
だいどへう
)
上
(
じやう
)
に、
130
褌
(
まはし
)
を
〆
(
し
)
めて
腕
(
うで
)
を
鳴
(
な
)
らせ
肉
(
にく
)
を
躍
(
をど
)
らせて
相対
(
あひたい
)
するの
奇観
(
きくわん
)
を
呈
(
てい
)
してる
以上
(
いじやう
)
は、
131
一方
(
いつぱう
)
が
屈服
(
くつぷく
)
するか、
132
但
(
ただ
)
しは
引込
(
ひきこ
)
まない
以上
(
いじやう
)
は、
133
早晩
(
さうばん
)
虎搏
(
こはく
)
撃壤
(
げきじやう
)
の
幕
(
まく
)
が
切
(
き
)
つて
落
(
おと
)
されるは
火
(
ひ
)
を
睹
(
み
)
るより
明
(
あきら
)
かでせう。
134
ハルマゲドン、
135
即
(
すなは
)
ち
世界
(
せかい
)
最後
(
さいご
)
の
戦争
(
せんそう
)
は
到底
(
たうてい
)
免
(
まぬが
)
れなくなつてゐます。
136
それで
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
は
地上
(
ちじやう
)
をして
天国
(
てんごく
)
の
讃美郷
(
さんびきやう
)
に
安住
(
あんぢう
)
せしめむが
為
(
た
)
めに、
137
ヨハネ、
138
キリストの
身魂
(
みたま
)
を
世
(
よ
)
に
降
(
くだ
)
して、
139
天国
(
てんごく
)
の
福音
(
ふくいん
)
を
普
(
あまね
)
く
万民
(
ばんみん
)
に
伝
(
つた
)
へしめられつつあるのです。
140
さり
乍
(
なが
)
ら
常暗
(
とこやみ
)
の
世
(
よ
)
になれきつた
地上
(
ちじやう
)
の
人類
(
じんるゐ
)
は
一
(
いち
)
人
(
にん
)
として
此
(
この
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
真意
(
しんい
)
を
悟
(
さと
)
り
得
(
う
)
る
者
(
もの
)
なく、
141
只
(
ただ
)
僅
(
わづ
)
かに
忠実
(
ちうじつ
)
なる
神
(
かみ
)
の
僕
(
しもべ
)
が
誠
(
まこと
)
を
尽
(
つく
)
し、
142
神
(
かみ
)
を
念
(
ねん
)
じて
待
(
ま
)
つてゐるばかり、
143
実
(
じつ
)
に
世界
(
せかい
)
は
惨
(
みじ
)
めな
有様
(
ありさま
)
で
御座
(
ござ
)
います。
144
かやうな
邪悪
(
じやあく
)
に
満
(
み
)
ちた
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
を
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
し
遊
(
あそ
)
ばす
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
神業
(
しんげふ
)
も
実
(
じつ
)
に
大謨
(
たいもう
)
では
御座
(
ござ
)
いますまいか』
145
バハーウラー
『
此
(
この
)
世界
(
せかい
)
の
人類
(
じんるゐ
)
は、
146
皆
(
みな
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
同
(
おな
)
じ
御水火
(
みいき
)
より
生
(
うま
)
れたる
尊
(
たふと
)
い
御子
(
みこ
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
147
吾々
(
われわれ
)
人類
(
じんるゐ
)
は
皆
(
みな
)
兄弟
(
きやうだい
)
で
御座
(
ござ
)
ります。
148
然
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
今日
(
こんにち
)
の
状態
(
じやうたい
)
では
到底
(
たうてい
)
吾々
(
われわれ
)
宗教家
(
しうけうか
)
が
何程
(
なにほど
)
あせつた
所
(
ところ
)
で
駄目
(
だめ
)
で
御座
(
ござ
)
いませう。
149
偉大
(
ゐだい
)
なる
救世主
(
きうせいしゆ
)
が
現
(
あら
)
はれて
整理
(
せいり
)
して
下
(
くだ
)
さらねば
乱麻
(
らんま
)
の
如
(
ごと
)
き
世界
(
せかい
)
は
到底
(
たうてい
)
収拾
(
しうしふ
)
する
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ますまい。
150
然
(
しか
)
し
此
(
この
)
二大
(
にだい
)
勢力
(
せいりよく
)
は
一旦
(
いつたん
)
、
151
どちらが
天下
(
てんか
)
を
統一
(
とういつ
)
するとお
考
(
かんが
)
へになりますか。
152
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
でせうか、
153
日出島
(
ひのでじま
)
で
御座
(
ござ
)
いませうか。
154
貴方
(
あなた
)
のお
考
(
かんが
)
へを
承
(
うけたま
)
はり
度
(
た
)
いもので
御座
(
ござ
)
いますが』
155
ブラバーサ
『
到底
(
たうてい
)
人間
(
にんげん
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
は
分
(
わか
)
りませぬが、
156
私
(
わたし
)
がルートバハーの
教示
(
けうじ
)
により、
157
おかげを
頂
(
いただ
)
いて
居
(
を
)
りますのは、
158
将来
(
しやうらい
)
の
国家
(
こくか
)
を
永遠
(
ゑいゑん
)
に
統御
(
とうぎよ
)
すべき
人種
(
じんしゆ
)
は
決
(
けつ
)
して
常世
(
とこよ
)
の
国人
(
こくじん
)
ではなからうと
思
(
おも
)
ひます。
159
二千
(
にせん
)
六百
(
ろくぴやく
)
年
(
ねん
)
、
160
亡国
(
ばうこく
)
の
民
(
たみ
)
となつて
居
(
を
)
つた
讃美郷
(
さんびきやう
)
の
人々
(
ひとびと
)
は
先達
(
せんだつて
)
の
大戦争
(
だいせんそう
)
によつて
神
(
かみ
)
から
賜
(
たま
)
はつたパレスチナを
回復
(
くわいふく
)
し、
161
今
(
いま
)
や
旭日
(
きよくじつ
)
昇天
(
しようてん
)
の
勢
(
いきほひ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
162
そしてその
人種
(
じんしゆ
)
の
信仰力
(
しんかうりよく
)
、
163
忍耐力
(
にんたいりよく
)
並
(
ならび
)
に
霊覚力
(
れいかくりよく
)
と
云
(
い
)
ふものは、
164
到底
(
たうてい
)
世界
(
せかい
)
に
比
(
くら
)
ぶべきものが
御座
(
ござ
)
いませぬ。
165
私
(
わたし
)
は
先申
(
せんまう
)
しました
二大
(
にだい
)
勢力
(
せいりよく
)
よりも、
166
も
一
(
ひと
)
つ
奥
(
おく
)
に
大勢力
(
だいせいりよく
)
が
潜
(
ひそ
)
み
最後
(
さいご
)
の
世界
(
せかい
)
を
統一
(
とういつ
)
するものと
神示
(
しんじ
)
によつて
確信
(
かくしん
)
して
居
(
を
)
ります。
167
ユダヤ
人
(
じん
)
は
七
(
なな
)
つの
不思議
(
ふしぎ
)
があります、
168
それは、
169
第一
(
だいいち
)
、
170
万世
(
ばんせい
)
一系
(
いつけい
)
の
皇統
(
くわうとう
)
を
戴
(
いただ
)
きつつ
自
(
みづか
)
ら
其
(
その
)
国
(
くに
)
を
亡
(
ほろ
)
ぼした
事
(
こと
)
、
171
第二
(
だいに
)
は
亡国
(
ばうこく
)
以来
(
いらい
)
二千
(
にせん
)
六百
(
ろくぴやく
)
年
(
ねん
)
なるにも
拘
(
かかは
)
らず、
172
今日
(
こんにち
)
も
尚
(
なほ
)
依然
(
いぜん
)
として
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
神
(
かみ
)
の
選民
(
せんみん
)
也
(
なり
)
と
自認
(
じにん
)
してゐる
事
(
こと
)
、
173
第三
(
だいさん
)
は
二千
(
にせん
)
六百
(
ろくぴやく
)
年
(
ねん
)
来
(
らい
)
の
亡国
(
ばうこく
)
を
復興
(
ふくこう
)
して、
174
仮令
(
たとへ
)
小
(
せう
)
なりと
雖
(
いへど
)
もパレスチナに
国家
(
こくか
)
を
建設
(
けんせつ
)
した
事
(
こと
)
、
175
第四
(
だいし
)
は
自国
(
じこく
)
の
言語
(
げんご
)
を
忘却
(
ばうきやく
)
し、
176
国語
(
こくご
)
を
語
(
かた
)
るものを
大学者
(
だいがくしや
)
と
呼
(
よ
)
びなす
迄
(
まで
)
になつて
居
(
を
)
つてもその
国
(
くに
)
を
忘
(
わす
)
れず、
177
信仰
(
しんかう
)
をまげない
事
(
こと
)
、
178
第五
(
だいご
)
は
如何
(
いか
)
なる
場合
(
ばあひ
)
にも
決
(
けつ
)
して
他
(
た
)
の
国民
(
こくみん
)
と
同化
(
どうくわ
)
せない
事
(
こと
)
、
179
第六
(
だいろく
)
には
亡国人
(
ばうこくじん
)
の
身
(
み
)
を
持
(
も
)
ち
乍
(
なが
)
ら
不断
(
ふだん
)
的
(
てき
)
に
世界
(
せかい
)
の
統一
(
とういつ
)
を
計画
(
けいくわく
)
してゐる
事
(
こと
)
、
180
第七
(
だいしち
)
は
今日
(
こんにち
)
の
世界
(
せかい
)
全体
(
ぜんたい
)
は
政治
(
せいぢ
)
上
(
じやう
)
、
181
経済
(
けいざい
)
上
(
じやう
)
、
182
学術
(
がくじゆつ
)
上
(
じやう
)
、
183
ユダヤ
人
(
じん
)
の
意
(
い
)
のままに
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
展開
(
てんかい
)
しつつある
事
(
こと
)
です』
184
バハーウラー
『
成程
(
なるほど
)
それは
実
(
じつ
)
に
驚
(
おどろ
)
くべきもので
御座
(
ござ
)
いますわ。
185
如何
(
いか
)
にも
神
(
かみ
)
の
選民
(
せんみん
)
と
称
(
とな
)
へられる
丈
(
だけ
)
ありて
偉
(
えら
)
いもので
御座
(
ござ
)
いますわい。
186
それから、
187
一方
(
いつぱう
)
の
奥
(
おく
)
の
勢力
(
せいりよく
)
とは
何
(
なん
)
で
御座
(
ござ
)
いますか』
188
ブラバーサ
『それは
日出島
(
ひのでじま
)
の
七
(
なな
)
不思議
(
ふしぎ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
189
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
に
万世
(
ばんせい
)
一系
(
いつけい
)
の
皇統
(
くわうとう
)
を
戴
(
いただ
)
き
終始
(
しうし
)
一貫
(
いつくわん
)
義
(
ぎ
)
を
以
(
もつ
)
て
立
(
た
)
ち、
190
一度
(
いちど
)
も
他
(
た
)
の
侵略
(
しんりやく
)
を
受
(
う
)
けず、
191
国家
(
こくか
)
益々
(
ますます
)
隆昌
(
りうしやう
)
に
赴
(
おもむ
)
きつつある
事
(
こと
)
、
192
第二
(
だいに
)
は
自
(
みづか
)
ら
神洲
(
しんしう
)
と
唱
(
とな
)
へ
乍
(
なが
)
ら
自
(
みづか
)
ら
神
(
かみ
)
の
選民
(
せんみん
)
又
(
また
)
は
神民
(
しんみん
)
と
称
(
とな
)
ふるものの
尠
(
すくな
)
い
事
(
こと
)
、
193
第三
(
だいさん
)
は
王政
(
わうせい
)
復古
(
ふくこ
)
の
経歴
(
けいれき
)
を
有
(
いう
)
するも
未
(
いま
)
だ
一度
(
いちど
)
も
国
(
くに
)
を
再興
(
さいこう
)
したる
事
(
こと
)
なき
事
(
こと
)
、
194
第四
(
だいし
)
は
国語
(
こくご
)
を
進化
(
しんくわ
)
せしめたるも
之
(
これ
)
を
死語
(
しご
)
とせし
事
(
こと
)
もなく、
195
従
(
したが
)
つて
国語
(
こくご
)
を
復活
(
ふくくわつ
)
せしめた
事
(
こと
)
のなき
事
(
こと
)
、
196
第五
(
だいご
)
は
同化
(
どうくわ
)
し
難
(
がた
)
い
国民
(
こくみん
)
のやうに
見
(
み
)
ゆれどもその
実
(
じつ
)
、
197
何
(
いづ
)
れの
国
(
くに
)
の
風俗
(
ふうぞく
)
にも
同化
(
どうくわ
)
し
易
(
やす
)
く、
198
且
(
かつ
)
何
(
いづ
)
れの
思想
(
しさう
)
も
宗教
(
しうけう
)
も
抱擁
(
はうよう
)
帰一
(
きいつ
)
し、
199
ややもすれば
我
(
わが
)
生国
(
せいごく
)
を
忘
(
わす
)
れむとする
国民
(
こくみん
)
の
出
(
い
)
づる
事
(
こと
)
、
200
第六
(
だいろく
)
は
一方
(
いつぱう
)
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
は
世界
(
せかい
)
統一
(
とういつ
)
の
為
(
ため
)
には
手段
(
しゆだん
)
を
選
(
えら
)
ばざるも、
201
日出島
(
ひのでじま
)
は
常
(
つね
)
に
正義
(
せいぎ
)
公道
(
こうだう
)
即
(
すなは
)
ち
惟神
(
かむながら
)
によつて
雄飛
(
ゆうひ
)
せむとする
事
(
こと
)
、
202
第七
(
だいしち
)
は
世界
(
せかい
)
は
寄
(
よ
)
つてかかつて
日出島
(
ひのでじま
)
を
孤立
(
こりつ
)
せしめむと
計画
(
けいくわく
)
しつつあれども
日出島
(
ひのでじま
)
は
未
(
いま
)
だ
世界
(
せかい
)
的
(
てき
)
の
計画
(
けいくわく
)
を
持
(
も
)
たず、
203
ユダヤとは
趣
(
おもむき
)
を
異
(
こと
)
にしてゐる
事
(
こと
)
であります。
204
之
(
これ
)
を
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
ればどうしても、
205
此
(
この
)
日出島
(
ひのでじま
)
とパレスチナとは
何
(
なに
)
か
一
(
ひと
)
つの
脈絡
(
みやくらく
)
が
神界
(
しんかい
)
から
結
(
むす
)
ばれてあるやうに
思
(
おも
)
はれます。
206
一方
(
いつぱう
)
は
言向和
(
ことむけやは
)
すを
以
(
もつ
)
て
国
(
くに
)
の
精神
(
せいしん
)
となし、
207
征伐
(
せいばつ
)
侵略
(
しんりやく
)
等
(
など
)
は
夢想
(
むさう
)
だもせざる
神国
(
しんこく
)
であり、
208
二千
(
にせん
)
六百
(
ろくぴやく
)
年
(
ねん
)
前
(
ぜん
)
に
建国
(
けんこく
)
の
基礎
(
きそ
)
が
確立
(
かくりつ
)
し、
209
ユダヤは
又
(
また
)
前
(
まへ
)
に
述
(
の
)
べた
通
(
とほ
)
り
二千
(
にせん
)
六百
(
ろくぴやく
)
年
(
ねん
)
前
(
ぜん
)
に
国
(
くに
)
を
亡
(
ほろ
)
ぼし、
210
そして
今
(
いま
)
やその
亡国
(
ばうこく
)
は
漸
(
やうや
)
く
建国
(
けんこく
)
の
曙光
(
しよくわう
)
を
認
(
みと
)
めたぢやありませぬか。
211
私
(
わたし
)
は
屹度
(
きつと
)
此
(
この
)
エルサレムが
救世主
(
きうせいしゆ
)
の
現
(
あら
)
はれ
給
(
たま
)
ふ
聖地
(
せいち
)
と
固
(
かた
)
く
信
(
しん
)
じ
万里
(
ばんり
)
の
海
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
り
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
つて
神業
(
しんげふ
)
のために
参
(
まゐ
)
つたので
御座
(
ござ
)
います』
212
バハーウラー
『
今
(
いま
)
貴方
(
あなた
)
は
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
つて
来
(
き
)
たと
仰
(
おほ
)
せられましたが
飛行機
(
ひかうき
)
の
事
(
こと
)
ぢやありませぬか』
213
ブラバーサ
『いえ
雲
(
くも
)
と
申
(
まを
)
しますのは
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
古言
(
こげん
)
で
舟
(
ふね
)
の
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
いますよ。
214
雲
(
くも
)
も
凹
(
くぼ
)
に
通
(
かよ
)
ひますから
舟
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つて
来
(
く
)
るのを
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
つて
来
(
く
)
ると
聖書
(
せいしよ
)
に
現
(
あら
)
はれてるのですよ』
215
バハーウラー
『
成程
(
なるほど
)
、
216
それで
救世主
(
きうせいしゆ
)
の
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
つてお
降
(
くだ
)
りになると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
も
諒解
(
りようかい
)
致
(
いた
)
しました。
217
いや
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
いました。
218
お
邪魔
(
じやま
)
を
致
(
いた
)
しまして……
又
(
また
)
お
目
(
め
)
にかかりませう。
219
ちつと
御
(
ご
)
寸暇
(
すんか
)
にお
訪
(
たづ
)
ね
下
(
くだ
)
さいませ。
220
ヨルダン
川
(
がは
)
の
辺
(
ほとり
)
に
形
(
かたち
)
ばかりの
館
(
やかた
)
を
作
(
つく
)
つて
吾々
(
われわれ
)
の
信者
(
しんじや
)
が
集
(
あつ
)
まつて
居
(
を
)
りますから……』
221
ブラバーサ
『ハイ、
222
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
223
何
(
いづ
)
れ
近
(
ちか
)
い
中
(
うち
)
にお
邪魔
(
じやま
)
を
致
(
いた
)
します。
224
左様
(
さやう
)
ならば
之
(
これ
)
にてお
別
(
わか
)
れ
致
(
いた
)
しませう』
225
(
大正一二・七・一二
旧五・二九
北村隆光
録)
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