霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 (おい)高砂(たかさご)〔一八一〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第72巻 山河草木 亥の巻 篇:第1篇 水波洋妖 よみ(新仮名遣い):すいはようよう
章:第1章 老の高砂 よみ(新仮名遣い):おいのたかさご 通し章番号:1810
口述日:1926(大正15)年06月29日(旧05月20日) 口述場所:天之橋立 掬翠荘 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1929(昭和4)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
大雲山の大妖魅、妖幻坊は三五教の総務・杢助に変装し、高姫をたぶらかして一緒に逐電する。
妖幻坊と高姫の恋と欲に迷ったその経緯を伝えるところから、この物語が始まる。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7201
愛善世界社版:7頁 八幡書店版:第12輯 609頁 修補版: 校定版:7頁 普及版:2頁 初版: ページ備考:
001(かみ)(ちから)のこもりたる
002如意(によい)宝珠(ほつしゆ)村肝(むらきも)
003(こころ)(つな)(うば)はれて
004自転倒(おのころ)(じま)(はじ)めとし
005世界(せかい)(くま)なく()けめぐり
006揚句(あげく)のはては外国魂(からたま)
007よるべ(なぎさ)捨小舟(すてをぶね)
008琵琶(びは)湖水(こすい)(うか)びたる
009弁天(べんてん)さまの床下(ゆかした)
010三角石(さんかくいし)(やみ)()
011目標(しるべ)となして爪先(つまさき)
012()のにじむ(まで)()きまはし
013断念(だんねん)したる玉探(たまさが)
014()みおとしたる一人子(ひとりご)
015所在(ありか)をさがす(をり)もあれ
016淡路(あはぢ)洲本(すもと)東助(とうすけ)
017(むかし)なじみの恋人(こひびと)
018()るや(たちま)恋雲(こひぐも)
019全身(ぜんしん)くまなく(つつ)まれて
020(また)狂態(きやうたい)演出(えんしゆつ)
021(あや)聖地(せいち)追放(つゐはう)され
022おためごかしに再度(ふたたび)
023(やま)(ふもと)()てられし
024生田(いくた)(もり)神館(かむやかた)
025(つかさ)となりて(しばら)くは
026いとまめやかに大神(おほかみ)
027(つか)(はべ)りし(をり)もあれ
028夜寒(よさむ)(ふゆ)()やあけて
029若葉(わかば)のめぐむ(はる)となり
030(ふたた)(おこ)(ばば)(いさ)
031(こひ)(ほのほ)()しかねて
032大海原(おほうなばら)(うち)(わた)
033()なれぬ山野(やまの)数越(かずこ)えて
034五月(いつつき)六月(むつき)草枕(くさまくら)
035(たび)(つか)れも(やうや)くに
036甦生(よみがへ)りたる斎苑(いそ)(やかた)
037ウブスナ(やま)にかけ(のぼ)
038総務(そうむ)(つと)むる東別(あづまわけ)
039(つかさ)面会(めんくわい)せむものと
040富楼那(ふるな)(べん)(した)(さき)
041()きつ口説(くど)きつ詰寄(つめよ)れど
042ビクとも(うご)かぬ千引岩(ちびきいは)
043鉄石心(てつせきしん)東助(とうすけ)
044生捕(いけど)(よし)もないじやくり
045(はぢ)(しの)びてテクテクと
046阿修羅(あしゆら)姿(すがた)(すさま)じく
047にらみつけたる斎苑(いそ)(やかた)
048後足(あとあし)あげて(すな)をけり
049肩肱(かたひぢ)(いか)らせ(しり)()
050(おのれ)()てゐよ東助(とうすけ)
051(おも)ひこんだる女丈夫(ぢよぢやうぶ)
052矢竹(やたけ)(こころ)(この)(とほ)
053(いは)()()(ためし)あり
054千引(ちびき)(いは)にも(まつ)(しげ)
055挺子(てこ)でも(ぼう)でも(うご)かない
056(こひ)意地(いぢ)をば()てぬいて
057居並(ゐなら)数多(あまた)役員(やくゐん)
058(あわ)()かせにやおかないと
059(かぜ)()(すさ)阪道(さかみち)
060徳利(とつくり)コブラをぶらつかせ
061尻切(しりき)草履(ざうり)(あし)にかけ
062鼻息(はないき)(あら)(くち)ゆがめ
063(まなこ)(いか)らせ空中(くうちう)
064(ふた)つの(かた)にしやくりつつ
065地団駄(ぢだんだ)()んで(のぼ)()
066あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
067御霊(みたま)(さきは)ひましまして
068(おも)ひつめたる(こひ)意地(いぢ)
069()げさせ(たま)へと(いの)りつつ
070(ほこら)(もり)()()れば
071(おも)ひがけなき(かみ)(みや)
072千木(ちぎ)(たか)()りて(そそ)()
073荘厳(そうごん)無比(むひ)神徳(しんとく)
074(あき)れて高姫(たかひめ)言葉(ことば)なく
075しばし(たたず)()たりしが
076ヤンチヤ(ばば)高姫(たかひめ)
077金毛(きんまう)九尾(きうび)還元(くわんげん)
078図々(づうづう)しくも受付(うけつけ)
079大手(おほて)をふりつつ(すす)みより
080(こゑ)(おごそ)かに掛合(かけあ)へば
081(ほこら)(もり)(つか)へてゆ
082まだ()()たぬ神司(かむづかさ)
083斎苑(いそ)(やかた)御使(みつかひ)
084(しん)じて(おく)(とほ)しける
085高姫(たかひめ)ここに(しり)()
086斎苑(いそ)(やかた)往来(ゆきき)する
087信徒(まめひと)(たち)引止(ひきと)めて
088虱殺(しらみごろ)しに(わが)(みち)
089堕落(だらく)とさせむと(たくら)みつ
090教主(けうしゆ)(せき)にすましこみ
091奥殿(おくでん)(ふか)(しづ)まりぬ
092少時(しばらく)あつて受付(うけつけ)
093(おとな)真人(まびと)のメモアルは
094トの()のついた(つかさ)ぞと
095()いて高姫(たかひめ)(ひざ)()
096ウブスナ(やま)聖場(せいぢやう)
097()いてトの()のつく(ひと)
098東助(とうすけ)さまに(ちが)ひない
099人目(ひとめ)(せき)(はぢ)らいて
100(わが)()素気(すげ)なく(あつか)ひつ
101(こころ)はさうぢやない((ない)(しよう)
102(つま)()はむと河鹿山(かじかやま)
103けはしき(さか)昇降(しようかう)
104昔馴染(むかしなじ)みの高姫(たかひめ)
105(した)うて(ござ)つたに(ちが)ひない
106あゝ有難(ありがた)有難(ありがた)
107(をんな)(かみ)()一筋(ひとすぢ)
108大象(だいざう)さへも()くと()
109(ことわざ)さへも()るものを
110(とし)はとつても肉付(にくつき)
111(ひと)(すぐ)れた(この)(からだ)
112(わが)肉体(にくたい)曲線美(きよくせんび)
113全身(ぜんしん)つつむ芳香(はうかう)
114(わす)られ(がた)()(がた)
115(した)うて(きた)るやもめ(どり)
116東助(とうすけ)さまも(こひ)(みち)
117(すこ)しは(はな)せる(ひと)だなア
118こりや面白(おもしろ)面白(おもしろ)
119人目(ひとめ)(すく)なき(この)(やかた)
120(おも)存分(ぞんぶん)口説(くど)()
121(むかし)欠点(あら)をさらけ()
122(かほ)紅葉(もみぢ)()めてやらう
123とは()ふものの(わし)だとて
124(とし)はとつても恋衣(こひごろも)
125()せられや(かほ)(あか)くなる
126(あか)(まこと)(こころ)もて
127(たがひ)親切(しんせつ)(つく)()
128老木(おいき)(えだ)花盛(はなざか)
129小鳥(ことり)(うた)(てふ)()
130喜楽(きらく)蜻蛉(とんぼ)悠々(いういう)
131(はね)(ひろ)げて()(ごと)
132天下(てんか)羽翼(うよく)()ばしつつ
133斎苑(いそ)(やかた)(はな)あかし
134()しあはよくばウラナイの
135(みち)再開(さいかい)せむものと
136雄猛(をたけ)びするぞ(すさま)じき
137受付(うけつけ)イルの案内(あんない)
138()()(をとこ)はあら不思議(ふしぎ)
139東助(とうすけ)ならぬ時置師(ときおかし)
140いつも(わが)()邪魔(じやま)ひろぐ
141杢助(もくすけ)総務(そうむ)姿(すがた)には
142流石(さすが)高姫(たかひめ)ギヨツとして
143(たふ)れむばかりに(おどろ)けど
144副守(ふくしゆ)加勢(かせい)(はげ)まされ
145(ひざ)()(なほ)(えり)(ただ)
146(でか)いお(しり)をチント()
147団栗眼(どんぐりまなこ)(ほそ)くして
148あらむ(かぎ)りの(こび)(てい)
149前歯(まへば)()けた口許(くちもと)
150無理(むり)にすぼめたスタイルは
151(たな)(ねずみ)(もち)かじる
152その口許(くちもと)にさも()たり
153高姫(たかひめ)(こころ)(おも)ふやう
154(わが)()(かたき)杢助(もくすけ)
155木石(ぼくせき)ならぬ(にく)(みや)
156(すこ)しは(なさけ)()るであらう
157一程(いちほど)二金(にかね)三器量(さんきりやう)
158(こひ)規則(きそく)()くからは
159天下(てんか)比類(たぐひ)なき(ほど)
160よき高姫(たかひめ)がこの笑凹(ゑくぼ)
161(おに)でも(じや)でも()()んで
162捕虜(とりこ)にせられぬ(はず)はない
163さうぢやさうぢやと(むね)(うち)
164合点(がてん)々々(がてん)首肯(うなづ)いて
165『これこれまうし時置師(ときおかし)
166杢助司(もくすけつかさ)総務(そうむ)さま
167ようマアお()まし(くだ)さつた
168三羽烏(さんばがらす)(いち)(にん)
169()(とどろ)かすお(まへ)こそ
170東別(あづまのわけ)(くら)ぶれば
171幾層倍(いくそうばい)英傑(えいけつ)
172(なに)しに御座(ござ)つたその(わけ)
173つぶさに()らして(くだ)され』と
174しなだれかかる(いや)らしさ
175杢助(もくすけ)総務(そうむ)変装(へんさう)した
176大雲山(たいうんざん)大妖魅(だいえうみ)
177妖幻坊(えうげんばう)(つら)()
178(はな)(うご)めかし鷹揚(おうやう)
179(あか)(くち)をば(ひら)きつつ
180ダミ(ごゑ)(しぼ)りケラケラと
181(やかた)(ゆる)高笑(たかわら)
182『これこれ(たか)チヤン生宮(いきみや)さま
183日出(ひのでの)(かみ)(にく)(みや)
184(まへ)(つよ)(こひ)意地(いぢ)
185(そば)()()(うらや)ましと
186(あと)(した)うて()たわいな
187東助(とうすけ)さまには()まないが
188(ひと)(まへ)とは()(なが)
189一旦(いつたん)()てた(こひ)(はな)
190(ひろ)うて()るも人助(ひとだす)
191(こひ)(おく)()(いさ)()
192(ひと)相談(さうだん)せむものと
193きつい山阪(やまさか)()()えて
194()()可愛(かあい)(をとこ)ぞや』と
195(ほこら)(もり)聖場(せいぢやう)
196交渉(かうせう)談判(だんぱん)開始(かいし)して
197二世(にせ)三世(さんせ)はまだ(おろ)
198五百生(ごひやくしやう)(まで)(ちぎり)をば
199ここで(しつか)(むす)昆布(こぶ)
200()てはするめの老夫婦(らうふうふ)
201二人(ふたり)(ほまれ)高砂(たかさご)
202(まへ)()つた浦舟(うらぶね)
203真帆(まほ)片帆(かたほ)をかかげつつ
204(なみ)淡路(あはぢ)島影(しまかげ)
205(ただよ)(ふね)()りし(ごと)
206(たま)御舟(みふね)()()して
207(こころ)(やす)(すみ)()
208(つき)(はな)との夫婦仲(ふうふなか)
209面白(おもしろ)可笑(をか)しく(くら)さうか』
210()へば高姫(たかひめ)(のど)()らし
211()鴨鳥(かもどり)(つかま)へた
212チンチンカモカモ酒祝(さかいは)
213杢助(もくすけ)さまの銚子(てうし)から
214さす(たま)(つゆ)ドツサリと
215(たま)(さかづき)()たしつつ
216夜舟(よぶね)(あそ)びをせむものと
217(ちぎ)りも(ふか)秋茄子(あきなすび)
218(たね)なし(ばなし)()()かす
219かかる(ところ)宣伝使(せんでんし)
220初稚姫(はつわかひめ)(あら)はれて
221高姫(たかひめ)さまの醜態(しうたい)
222()()ぬふりをなし(なが)
223(こま)(とど)めて(やや)(しば)
224(ほこら)(もり)曲津見(まがつみ)
225(はら)はむものとスマートに
226(むね)(ふく)ませ床下(ゆかした)
227(しの)ばせおきて妖幻坊(えうげんばう)
228高姫司(たかひめつかさ)(かみ)()
229高天(たかま)(はら)(すく)はむと
230(こころ)千々(ちぢ)(くだ)かせつ
231とどまり(たま)(をり)もあれ
232妖幻坊(えうげんばう)逸早(いちはや)
233高姫(たかひめ)(ひき)()雲霞(くもかすみ)
234何処(いづく)ともなく()()せぬ
235あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
236(かみ)(めぐ)みに(てら)されて
237(しこ)高姫(たかひめ)行衛(ゆくゑ)をば
238完全(うまら)委曲(つばら)(あか)()
239(かみ)出口(でぐち)瑞月(ずゐげつ)
240日本(にほん)三景(さんけい)の一と()
241風光(ふうくわう)明媚(めいび)老松(おいまつ)
242白砂(はくしや)(はま)にそそり()
243(あま)橋立(はしだて)(せな)()
244なかや旅宿(りよしゆく)別館(べつくわん)
245口述台(こうじゆつだい)(ふね)()
246(こころ)(きよ)くいさぎよく
247妖幻坊(えうげんばう)高姫(たかひめ)
248(こひ)(よく)とに(まよ)ひたる
249その経緯(いきさつ)詳細(まつぶさ)
250(つた)()くこそ(ゆか)しけれ
251あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
252御霊(みたま)(さちは)へましませよ。
253大正一五・六・二九 旧五・二〇 於天之橋立 掬翠荘 北村隆光録)
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