霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一一章 問答所(もんだふどころ)〔一八二〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第72巻 山河草木 亥の巻 篇:第2篇 杢迂拙婦 よみ(新仮名遣い):もくうせっぷ
章:第11章 問答所 よみ(新仮名遣い):もんどうどころ 通し章番号:1820
口述日:1926(大正15)年06月30日(旧05月21日) 口述場所:天之橋立なかや別館 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1929(昭和4)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
完成したスガの宮には、ヨリコ姫、妹の花香、ダリヤ姫の三人が勤務していた。
ヨリコ姫は、問答所という建物を新築した。そして、宗教問答の挑戦者を募り、もしもヨリコが負けたなら、スガの宮を明渡す、という張り紙を出した。
やがて、異様の服装をした一人の修験者が挑戦にやってくる。それは、トルマン国を追い出された、スコブツエン宗のキューバーであった。
キューバーはトルマン国での失敗を取り戻そうとやってきたのであった。
しかし、ヨリコ姫が、元オーラ山の山賊の大頭目であったことを知って仰天し、椅子から落ちて腰を抜かしてしまう。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7211
愛善世界社版:130頁 八幡書店版:第12輯 651頁 修補版: 校定版:135頁 普及版:52頁 初版: ページ備考:
001 スガの(みや)(ひろ)境内(けいだい)片隈(かたすみ)問答所(もんだふどころ)()建物(たてもの)新築(しんちく)し、002ヨリコ(ひめ)003花香(はなか)004ダリヤ(ひめ)(さん)(にん)昼夜(ちうや)出勤(しゆつきん)して()た。005さうして(おもて)大看板(おほかんばん)に「宗教(しうけう)一切(いつさい)問答所(もんだふどころ)」と筆太(ふでぶと)()(しる)し、006(その)(かたはら)細字(さいじ)にて、
007如何(いか)なる008宣伝使(せんでんし)009修験者(しゆげんじや)(いへど)もお相手(あひて)(つかまつ)るべく(さふらふ)010万々一(まんまんいち)(わらは)()()せられし(あかつき)はスガの(みや)宮仕(みやづかへ)()011(わらは)()ちし()(かた)役目(やくめ)をお(ゆづ)可申(まをすべく)(さふらふ)(なり)012無冠(むくわん)女帝(によてい)ヨリコ(ひめ)
013()(しる)しておきたりける。
014大胆(だいたん)至極(しごく)のヨリコ(ひめ)
015(しし)()(いぬ)何処(どこ)までも
016(ひと)をば(なん)とも(おも)はない
017その心根(こころね)歴々(ありあり)
018大看板(おほかんばん)(あら)はれぬ
019五月雨(さみだれ)(そら)(ひく)うして
020山時鳥(やまほととぎす)()(わた)
021若葉(わかば)()いし夕間暮(ゆふまぐれ)
022異様(いやう)服装(ふくさう)()にまとひ
023錫杖(しやくぢやう)ついた修験者(しうげんじや)
024網笠(あみがさ)目深(まぶか)にかぶりつつ
025問答所(もんだふどころ)玄関(げんくわん)
026立塞(たちふさが)りて(こゑ)(たか)
027(たの)まう(たの)まうと(おとな)へば
028花香(はなか)(ひめ)立出(たちい)でて
029いと叮嚀(ていねい)敬礼(けいれい)
030()れば貴方(あなた)修験者(しうげんじや)
031(いづ)れの(かた)かは()らねども
032ヨリコの女帝(によてい)がお(まち)(かね)
033(さだ)めて問答(もんだふ)せむために
034(はこ)びなさつたに(ちが)ひない
035先頭一(せんとういち)のお前様(まへさま)
036シツカリおやりなさいませ
037(わたし)(そば)(はん)べりて
038高論(かうろん)卓説(たくせつ)一々(いちいち)
039拝聴(はいちやう)さして(もら)ひませう
040それが(わたし)第一(だいいち)
041大修業(だいしうげふ)となるのです
042(はや)くお(あが)りなされよ』と
043(たらひ)清水(しみづ)()(きた)
044草鞋(わらぢ)とくとく脚絆(きやはん)まで
045()がせて(あし)(あら)ひやり
046庭下駄(にはげた)(わた)せば修験者(しうげんじや)
047(あん)相違(さうゐ)面持(おももち)
048ニツコと(わら)庭下駄(にはげた)
049(あし)引掛(ひつか)悠々(いういう)
050境内(けいだい)(くま)なく()めぐりつ
051如何(いか)なる(こと)質問(しつもん)
052()してやらうかと(くび)ひねり
053(とき)(うつ)すぞ抜目(ぬけめ)なき
054ヨリコの(ひめ)(まど)()けて
055(いま)()(きた)りし修験者(しゆげんじや)
056変姿(へんし)怪態(くわいたい)(うち)(なが)
057(おも)はず()らずホヽヽヽと
058(わら)ひこけては()(あが)
059(のぞ)きゐるこそあどけなき
060修験者(しゆげんじや)(こころ)(おも)ふやう
061大胆(だいたん)不敵(ふてき)(をんな)()
062大看板(おほかんばん)(かか)げつつ
063(ひと)(けぶり)()いてゐる
064どんな(やつ)かは()らねども
065(わが)(あし)(あら)うた(をんな)()
066チヨイと渋皮(しぶかは)むけてゐる
067どことはなしに(かんば)しき
068(にほ)ひが(はな)にプンと()
069()うしても()しても彼奴(あいつ)をば
070(おれ)女房(にようばう)にせにやおかぬ
071さはさり(なが)今晩(こんばん)
072問答(もんだふ)にもしや()けたなら
073赤恥(あかはぢ)かいて(をとこ)さげ
074スゴスゴ(かへ)らにやならうまい
075(たから)(やま)()(なが)
076()ぶらで(かへ)るも()がきかぬ
077(なん)とか工夫(くふう)をめぐらして
078ヨリコの(ひめ)とか()(やつ)
079木端(こつぱ)微塵(みぢん)()きくだき
080往生(わうじやう)させてキユーバーが
081威勢(ゐせい)をあつぱれ(かがや)かし
082三五教(あななひけう)聖場(せいぢやう)
083うまうま占領(せんりやう)した(うへ)
084スコブッツエン(しう)本山(ほんざん)
085立替(たてかへ)すればそれでよい
086トルマン(ごく)では下手(へた)()
087千草(ちぐさ)(ひめ)には()(わか)
088(をとこ)()げた(その)揚句(あげく)
089青竹払(あをだけばら)ひを()はされし
090(かぜ)(かみ)でも()ふやうに
091田吾作(たごさく)杢兵衛(もくべゑ)おかめ()
092おつ()らはれし無念(むねん)さよ
093あつぱれ此処(ここ)(はた)をあげ
094会稽(くわいけい)(はぢ)(すす)がねば
095大黒主(おほくろぬし)(おん)(まへ)
096()でて言訳(いひわけ)()たうまい
097大足別(おほだるわけ)将軍(しやうぐん)
098(さだ)めて(おこ)つて()るだらう
099(なに)(ひと)つの手柄(てがら)をば
100やつて()せねば救世主(きうせいしゆ)
101教祖(けうそ)(ひかり)暗雲(やみくも)だ」
102などと自己愛(じこあい)利己(りこ)主義(しゆぎ)
103勝手(かつて)(こと)(かんが)へつ
104(えり)をば(ただ)()をすゑて
105玄関(げんくわん)さして(かへ)()
106そのスタイルの可笑(をか)しさに
107ヨリコの(ひめ)(まど)(うち)
108(また)もや(わら)ひこけ(なが)
109一室(ひとま)()りて顔貌(かほかたち)
110(かがみ)(むか)つて(かみ)(ふう)
111(つくろ)ひをへて白妙(しろたへ)
112(ころも)(なが)()にまとひ
113問答席(もんだふせき)(たち)()でて
114四辺(あたり)(まばゆ)()しゐたり
115花香(はなか)(ひめ)案内(あんない)
116ついて()()修験者(しうげんじや)
117ヨリコを一目(ひとめ)()るよりも
118(まなこ)(くら)(むね)おどり
119(した)自由(じいう)(うしな)ひて
120()言霊(ことたま)口籠(くちごも)
121体内(たいない)地震(ぢしん)(とき)じくに
122勃発(ぼつぱつ)したるあさましさ
123()くてはならじと修験者(しうげんじや)
124(われ)(こころ)取直(とりなほ)
125臍下(さいか)丹田(たんでん)胆玉(きもだま)
126グツと(すゑ)()けやや()()
127ヨリコの女帝(によてい)()めつけて
128(かる)目礼(もくれい)(ほどこ)しつ
129不恰好(ぶかつかう)出来(でき)口許(くちもと)
130パツと(ひら)いて『(それがし)
131ハルナの(みやこ)()(たか)
132大黒主(おほくろぬし)片腕(かたうで)
133()(きこ)えたるキユーバーぞや
134(そも)大黒主(おほくろぬし)(かみ)(さま)
135七千(しちせん)余国(よこく)(つき)(くに)
136片手(かたて)(にぎ)聖雄(せいゆう)
137普天(ふてん)(もと)率土(そつど)(ひん)
138(これ)(みな)大黒主(おほくろぬし)のもの
139その領分(りやうぶん)()(なんぢ)
140女帝(によてい)()のるは何故(なにゆゑ)
141(こと)(しな)とによつたなら
142スコブッツエン(しう)法力(はふりき)
143(なんぢ)(きび)しく捕縛(ほばく)して
144ハルナの(みやこ)(おく)らうか
145如何(いか)なる悪魔(あくま)化身(けしん)かは
146(さぐ)りかぬれど(なんぢ)こそ
147この()(たばか)探女(さぐめ)なり
148天人(てんにん)天女(てんによ)(まが)ふなる
149美貌(びばう)(たて)()(なか)
150有情(いうじやう)男子(だんし)(きも)をぬき
151(おの)女帝(によてい)となりすまし
152七千(しちせん)余国(よこく)(つき)(くに)
153掌握(しやうあく)せむとの下企(しただく)
154それと(さと)つた修験者(しうげんじや)
155返答(へんたふ)()かむ』と()めよれば
156ヨリコの(ひめ)高笑(たかわら)
157『ホヽヽヽホツホ、ホヽヽヽヽ
158何処(どこ)坊主(ばうず)()らねども
159キユーバーと()()()いて()
160()ると()くとは大違(おほちが)
161ようマアそんな(つら)をして
162世界(せかい)(わた)れて()たものだ
163これを(おも)へば()(なか)
164ホントに(ひろ)いものですな
165(まへ)(やう)醜面(しこづら)
166下品(げひん)姿(すがた)()(ひと)
167(めくら)(せん)(にん)(たとへ)にもれず
168教祖(けうそ)(さま)救世主(きうせいしゆ)
169などと(よろこ)渇仰(かつがう)する
170その心根(こころね)がいぢらしい
171スコブッツエン(しう)()宗旨(しうし)
172(をんな)乳房(ちぶさ)をえぐり()
173要塞(えうさい)地帯(ちたい)(まで)くりぬいて
174(かみ)御前(みまへ)(たてまつ)
175蒙迷(もうめい)頑固(ぐわんこ)偽宗教(にせしうけう)
176其方(そなた)(かほ)一目(ひとめ)()
177宗旨(しうし)全豹(ぜんぺう)(わか)りました
178とるにも()らぬお(まへ)さまと
179問答(もんだふ)したとて是非(ぜひ)はない
180(いち)()(はや)(しり)からげ
181尻尾(しつぽ)(また)(はさ)みつつ
182()げて(かへ)るがためだらう
183グヅグヅしてると野狐(のぎつね)
184尾尾(しつぽ)(あら)はれまするぞや
185スガの(みや)にや(はな)()
186沢山(たくさん)(いぬ)()りますぞ
187ホヽヽヽヽ、ホヽヽヽ
188あまり可笑(をか)しうて(はらわた)
189()れますぞや』と嘲弄(からか)へば
190キユーバーは団栗眼(どんぐりまなこ)(かど)をたて
191(かた)四角(しかく)(そび)やかし
192鼻息(はないき)(あら)(うで)まくり
193(にぎ)(こぶし)(かた)めつつ
194(ちから)(かぎ)りに(たく)()
195コツプの(みづ)(をど)らせつ
196一口(ひとくち)()んで(いき)をつぎ
197ヨリコの(かほ)をいやらしく
198(した)からグツと()()げて
199『ホンに素敵(すてき)女郎(めらう)だなア
200(おれ)諸国(しよこく)遍歴(へんれき)
201沢山(たくさん)(をんな)()うたれど
202(まへ)のやうな奴転婆(どてんば)
203一度(いちど)見付(みつ)けた(こと)はない
204それだけ度胸(どきよう)があるならば
205(かみ)さま(など)(つか)へずと
206オーラ(さん)へでも()んで()
207ホントのヨリコに面会(めんくわい)
208弟子(でし)になつて泥棒(どろばう)
209飯焚(めしたき)なりとするがよい
210ホンニ(あき)れてもの()へぬ
211愛想(あいそ)もこそも(つき)(くに)
212七千(しちせん)余国(よこく)のその(なか)
213(これ)(ほど)きつい女郎(めろ)あらうか
214ハツハヽヽヽヽ』と苦笑(にがわら)
215すればヨリコはキツとなり
216玄真坊(げんしんばう)やシーゴーの
217三千(さんぜん)(にん)泥棒(どろばう)
218大頭目(だいとうもく)()(あご)
219しやくつて使(つか)うたヨリコとは
220(この)(ねえ)さまで御座(ござ)るぞや
221(おどろ)(なか)(おどろ)くな
222オーラの(やま)解散(かいさん)
223悪魔(あくま)(みち)廃業(はいげふ)して
224(みづ)さへ(きよ)きハルの(うみ)
225()()(かぜ)(たましひ)
226(きよ)めすましてスガの(やま)
227(かみ)(まこと)取次(とりつぎ)
228(たちま)(かは)るヨリコ(ひめ)
229如何(いか)なる悪人(あくにん)なればとて
230(かみ)(もら)うた(たましひ)
231至善(しぜん)至美(しび)なる増鏡(ますかがみ)
232(みが)けば(ひか)(ひと)(たま)
233あまり軽蔑(けいべつ)なさいますな』
234(はじ)めて()かす(その)素性(すじやう)
235()くよりキユーバーは仰天(ぎやうてん)
236(あき)れて椅子(いす)からドツと()
237尻餅(しりもち)ついて(こし)(いた)
238アイタヽタツタ アヽ(いた)
239(くすり)よ、(みづ)よ、繃帯(ほうたい)
240ワザとに駄々(だだ)をこねまわし
241(なん)とかなして(この)美人(びじん)
242()まへる宿(やど)一夜(ひとよさ)
243(とぎ)をなさむと(たく)むこそ
244大胆(だいたん)不敵(ふてき)曲者(くせもの)
245ヨリコの(ひめ)はキユーバーが
246(こころ)(そこ)まで探知(たんち)して
247そしらぬ(かほ)(よそ)ひつつ
248煙草(たばこ)をスパスパ()()きつ
249『これこれ花香(はなか)よ、ダリヤさま
250此処(ここ)一人(ひとり)行倒(ゆきだふ)
251売僧(まいす)坊主(ばうず)()りまする
252(むしろ)(やぶ)れでも()つて()
253(あたま)から(しり)までよく(つつ)
254雪隠(せんち)(そば)()()きて
255其処(そこ)()かして()きなされ
256スコブッツエン(しう)小便使(せうべんし)
257天下(てんか)騙詐(たばか)糞坊主(くそばうず)
258雪隠(せんち)(そば)(しやう)()
259ホヽヽホツホ、ホヽヽヽ』
260(わら)(のこ)悠々(いういう)
261(あふぎ)片頬(かたほほ)あほぎつつ
262(わが)居間(ゐま)さして()りにけり
263キユーバー(この)(てい)()るよりも
264剛腹(がうばら)()ちて(たま)()
265ムツクと()きて胸倉(むなぐら)
266(つか)(こら)しめやらむとは
267(おも)(あせ)れど肝腎(かんじん)
268(こし)蝶番(てふつがひ)脱骨(だつこつ)
269無念(むねん)をのんで両眼(りやうがん)
270()()(なが)(とき)ならぬ
271(なみだ)(あめ)(ひた)りける
272()はシンシンと()(わた)
273夜半(よは)(ほう)ずる太皷(たいこ)()
274七五三(しちごさん)(きこ)()
275花香(はなか)、ダリヤの両人(りやうにん)
276渋々(しぶしぶ)夜具(やぐ)をとり(いだ)
277キユーバーの(うへ)(かぶ)せつつ
278各自(おのおの)寝室(ねや)()りにける
279あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
280(かみ)仕組(しぐみ)面白(おもしろ)き。
281大正一五・六・三〇 旧五・二一 於天之橋立なかや旅館 北村隆光録)
文芸社文庫『あらすじで読む霊界物語』絶賛発売中!
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