第一二章 懺悔の生活〔一八二一〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第72巻 山河草木 亥の巻
篇:第2篇 杢迂拙婦
よみ(新仮名遣い):もくうせっぷ
章:第12章 懺悔の生活
よみ(新仮名遣い):ざんげのせいかつ
通し章番号:1821
口述日:1926(大正15)年06月30日(旧05月21日)
口述場所:天之橋立なかや別館
筆録者:加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1929(昭和4)年4月3日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:一夜明けて、ヨリコ姫はキューバーに、僕となってスガの宮に仕えるように説き諭す。
キューバーは案に相違して、あっさり申し出を受け入れて、人の嫌がる雑用を進んでこなすことに同意する。
キューバーは掃除をしながらダリヤ姫に見とれているが、なにやら企んでいる様子で、「今は女に心を奪われている時ではない」と一人問答しながらたたずんでいる。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm7212
愛善世界社版:142頁
八幡書店版:第12輯 655頁
修補版:
校定版:147頁
普及版:56頁
初版:
ページ備考:
001大黒主を笠に被て 002七千余国の月の国
003吾物顔に振舞ひつ
005片手に握り片手には
008神の国をば振り出しに
011数多の国々悉く 012吾の掌裡に握らむと
014天運茲に尽きたるか
015三五教の宣伝使
017千辛万苦の計画も 018根本的に破壊され
021吹き来る風に髪の毛を
024前代未聞の大慶事
025山王の神の旧跡に
027珍の御舎千木高く
029ハルの湖辺に影写し 030眩き許りの光景に
032此世を忍ぶ蓑笠の
033軽き扮装草鞋ばき 034手被脚絆を身に纒ひ
036爪先上がりの山道を
039さも宏壮な大道場 040宗教問答所と筆太に
041書き記したるに目をつけて
043宗教問答に対しては 044是だけ広い月の国
047いよいよ天運循環し 048一陽来復時到る
050八千代の椿優曇華の
051花咲く春に遇ふ心地
053坊主鉢巻締め直し 054如何なる奴かは知らねども
056奮戦激闘秘術をば
058何の手間暇要るものか
059風に木の葉の散る如く
062スカ屁を放つたるその如く
064尻はし折つて一散に
065雲を霞と逃げ出すは 066今目の当り見るやうだ
067如何なる女か知らねども 068天下唯一の救世主
069神徳無双のキユーバーが 070舌鋒にかかつちや耐るまい
071相格崩して笏を捨て
073謝り入つて吾弟子に 074何卒加へて下さいと
075歎願致すに違ひない
077五月の空は曇れども 078キユーバーの心の空晴れて
079日月天に照る如く 080スガの山下宮の棟
081輝き渡らむ神の国 082占領なさむは案の内
084問答所の玄関に
085立ちて様子を窺へば 086花に嘘つく美婦人の
087花香の姫に迎へられ
090素知らぬ顔を装ひつ
091庭下駄覆いて境内を 092参拝すると云ひ乍ら
093作戦計画備へつつ
095舌端火を吐きヨリコ姫
098案内につれて奥の間の
101案に相違の気高さに 102魂消ん許り驚けど
103元より曲者胴を据ゑ 104二口三口戦へど
105元より蟷螂の斧をもて 106竜車に向ふ如くなる
108腰を抜かして打ち倒れ
109二人の姫に介抱され 110夜具を着せられ一夜を
112明くれば女帝のヨリコ姫
113キユーバーの傍に立ち寄りて
114『スコブッツエン宗の教祖さま 115昨夜は誠に御失礼
116直日に見直し聞き直し
120女許りの此館
122風呂も焚かして上げませう 123お飯も炊かして上げませう
124下駄の歯入は云ふも更 125雑巾もつて床の間の
126掃除は愚竹箒 127手に携へてお屋敷の
128隅々迄も清らかに 129木の葉や塵を掃きなされ
132女許りの行く雪隠
135『如何にも女帝様御尤も
137今迄思うて居たけれど
139口さへ開かぬ不甲斐なさ 140も些と修業が足らないと
143懺悔の生活営んで 144人の嫌がる便所の
145掃除を大事に勤めませう
147信長公の草履持ち 148下から上つた出世なら
150雲を渡るよな計画は
151危険の伴ふものと知り
153何卒私に目をかけて 154気長く使つて下さんせ
155天晴修業が出来たなら 156三五教の神様の
157御用の端でも務めます』
159『汝の言葉に偽りが
162お便所の掃除をなさいませ
164今日からキユーバーのお爺さま
165此処の下僕と定まりました 166遠慮会釈は要らないで
169二人の前に輝かし 170吾居室さして入りにける
174キユーバーが一時呆けたか
175雲の上から地の底へ
178雨か暴風雨か将風か
179地震雷洪水か 180神ならぬ身の知るよしもなく
181花香の姫やダリヤ姫 182不安の色を浮べつつ
184キユーバーを下僕と使ひける
186神の経綸の面白さ。
189宮の階段刻みつつ 190神の御前に額づきて
191祝詞を唱ふる折もあれ
194穴の開くほど打ち眺め
196姿の綺麗な淑かな
197何処に欠点ない娘
199女の持てない事あろか 200トルマン城に乗り込んで
201天下の美人と聞えたる 202千草の姫さへ惚した
204高が知れたる薬屋の
208女護の島か竜宮の
209乙姫館に住み乍ら 210女の尻の大掃除
211朝から晩迄柔順しう
214心猿意馬奴が狂ひ出し
215何うしても斯うしても耐らない
218こんな所で襤褸出して
220肝腎要の吾企み
222恥を忍んで朝夕に
223苦労するのも後の為め 224今に見て居れヨリコ姫
225花香の姫やダリヤ姫 226俺に秋波を送らねば
229先の百より今五十
231大望抱へしキユーバーの身 232大器晩成と云ふ事は
233吾には尊き金言だ 234恋雲しばし吹き散れ」と
235吾と吾身を伊吹きしつ 236箒で払ふ可笑さよ
238後に従へ階段を
240箒を持ちて庭に立ち
241空行く雲を打ち眺め 242感慨無量の為体
243見るよりダリヤは傍に寄り 244『キユーバーさまえ』と背叩き
245笑へばキユーバーは吃驚し 246揉手をし乍ら腰屈め
247『ハイハイ誠に御失礼
250思はず知らず恍惚と
254云へば玉清別司
255右手を振りつつ『キユーバーさま 256決して心配要りませぬ
257ダリヤの姫と二人連れ 258滅多の事は有りませぬ
259左様ならば』と云ひ捨てて 260神館さして帰り行く
262舌をチヨンチヨン打ち鳴らし
263『チエー畜生馬鹿にすな 264睦じさうに二人連
267怪体が悪いと思へども 268此処をも一つ耐へねば
269肝腎要の大望が 270成就せないと思へばこそ
271歯ぎりを噛んで辛抱する 272嗚呼叶はぬ叶はぬ耐らない
273目玉飛び出すやうだワイ』
274(大正一五・六・三〇 旧五・二一 於天之橋立なかや旅館 加藤明子録)